説明

液体容器

【課題】液体容器本体と着脱自在に装着する構造体によって、卓上用や直接口を持っていき飲むことのできる携帯用更にはコーヒー、紅茶等のドリッパーによる抽出液を貯えることのできる多機能を有している。
【解決手段】金属製の口元6を広口とする真空二重容器2を設け、この真空二重容器の肩部に肩部材3を固定した液体容器本体1aを設け、この肩部材に真空二重容器内の液体を注出する構造体4或いは真空二重容器内へ抽出液を抽出する構造体4を着脱自在に装着する。上記構造体4が中央に真空二重容器2の口元と連通する開口を有した受部9と、受部前方の注ぎ口部10と、受部より垂下した外周壁部11と、外周壁部の後方に把手12とを備えた水切部材4a、又は真空二重容器2の口元を開閉する栓4b、4c或いは真空二重容器2内へ抽出するドリッパー4dのいずれか一つであり、それぞれが肩部材に取り替え自在に装着してなる構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製内、外壁を有する真空二重容器の外壁を外装とし、卓上用、携帯用又はドリッパーによる抽出用として変化可能な液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体容器としては、真空二重の中びんを囲んだ容器本体を設け、容器本体の上部で中央を開口した上面開口部、上面開口部前壁を貫通して前方に延びた吐出口、上面開口部後方に延びた把手を容器本体に一体成形し、上面開口部に栓を着脱自在に装着した構造の液体容器が実開平4−80846号公報(特許文献1、図2参照)として存在する。
【0003】
【特許文献1】実開平4−80846号公報(特許文献1、図2参照)
【0004】
以下、特許文献1の図2により従来の液体容器について説明する。
この特許文献1の液体容器は、ガラス製真空二重の中びん2を設け、この中びんを囲んで、上部に中央を開口した上面開口部3、上面開口部前壁を貫通して前方に延びた吐出口16、及び上面開口部後方に延びた把手とを一体的に成形した容器本体1を設け、上面開口部3に中びん2の口元を開閉する栓5を着脱自在に装着し、栓5にコーヒー、紅茶等を抽出するドリッパーとなる蓋12付きフイルター11を内蔵し、コーヒー粉、紅茶葉等を収納したフイルター11内に上方より液体を注ぎ入れ、フイルター下方より抽出して液体を栓5をしたまま中びん2内に貯蔵する構造としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、、この種の液体容器では、単に、中びんの口元を開閉する栓に通常の中栓機能とコーヒー、紅茶等の抽出液を抽出する機能とを備えているにすぎないために、栓の構造が非常に複雑で、不良品を増大させ生産効率を低下させると共に中びんを囲んだ容器本体に対しても構造が複雑で、しかも大きな形状となって嵩張り持ち運びに不便であるという問題点があった。
【0006】
又、この液体容器は、卓上用であって屋外に持ち運びするには不便であり、直接口を持っていき飲むこともできないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属製の内壁2a、外壁2bを有し、口元6を広口とする真空二重容器2を設け、この真空二重容器の肩部に肩部材3を固定した液体容器本体1aを設け、液体容器本体の肩部材に真空二重容器内の液体を注出する構造体4或いは真空二重容器内へ抽出液を抽出する構造体4を着脱自在に装着した液体容器1に於いて、上記構造体4が中央に真空二重容器2の口元と連通する開口を有した受部9と、受部前方の注ぎ口部10と、受部より垂下した外周壁部11と、外周壁部の後方に把手12とを備えた水切部材4a、又は真空二重容器2の口元を開閉する栓4b、4c或いは真空二重容器2内へ抽出するドリッパー4dのいずれか一つであり、それぞれが肩部材に取り替え自在に装着してなる構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決したものであって、構造が至って簡単であり、液体容器本体と着脱自在に装着する構造体によって、卓上用や直接口を持っていき飲むことのできる携帯用更にはコーヒー、紅茶等のドリッパーによる抽出液をそのまま確実に貯えることのできる多機能を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
液体容器1は、内壁2aと外壁2bとからなるステンレス製の真空二重容器2と、この真空二重容器2の肩部に装着固定した合成樹脂製の肩部材3と、真空二重容器2の底部を覆う底体5と、真空二重容器2、肩部材3及び底体5との結合を液体容器本体1aとし、液体容器本体1aの肩部材3に装着する構造体4とにて構成している。
【0010】
液体容器本体1aの真空二重容器2は、図2乃至図8に示すように、有底筒状の内壁2aと、内壁2aと間隔を隔てて囲んだ外壁2bとからなり、内壁2aと外壁2bの口元を接合し、底部にて真空引きし、内、外壁間を真空としている。
【0011】
この真空二重容器2の口元6は、広口としており、後述の肩部材3及び底体5にて囲まれた部分を除く胴体を液体容器本体1aの外装としている。
真空二重容器2の外壁2bの肩部は、胴体より段状に狭まっており、合成樹脂材料の肩部材3を装着固定している。
【0012】
液体容器本体1aの肩部材3は、合成樹脂材料により図2、図4、図6及び図8に示すように、真空二重容器2の口元6周りを覆い、内周壁が真空二重容器2の肩部外形状に沿い、外周壁が段状に形成されて、外周壁上側に雄ネジ7を刻設している。
【0013】
液体容器本体1aの底体5は、図2、図4、図6及び図8に示すように、ステンレス材料により真空二重容器2の真空引きした外壁2b底壁を覆って外壁2bの胴体下部に溶着している。
【0014】
液体容器本体1aに対して卓上用として用いる際には、図1及び図2に示すように、構造体4は、中央に真空二重容器2の口元6と連通する開口8を有する受部9と、受部9前方の注ぎ口部10と、受部9より垂下した外周壁部11と、外周壁部11の後方に把手12とを備えた水切部材4aからなっており、この水切部材4aの受部9に真空二重容器2の口元6を閉鎖するレバー式栓20を着脱自在に装着している。
【0015】
水切部材4aの受部9の内周壁には、後述のレバー式栓20を螺着するレバー式栓用雌ネジ13を刻設しており、外周壁部11の内周壁には、肩部材3の雄ネジ7と螺着する雌ネジ14を刻設している。
15は、シールパッキンで真空二重容器2の口元6に嵌め込まれており、水切部材4aの受部9下端と密に接触している。
【0016】
レバー式栓20は、図2に示すように、水切部材4aのレバー式栓用雌ネジ13に螺着し、真空二重容器2の口元6を閉鎖するレバー式栓用雄ネジ16を外周壁に刻設し、レバー17の上下動に伴い弁体18を上下動させて、栓内液通路19を通り注出口21より真空二重容器2内の液体を水切部材4aの注ぎ口部10へ導き吐出するようにしている。
【0017】
この水切部材4aの受部9に螺着するレバー式栓20は、特に限定されるものではなく、通常の螺着式の中栓といわれるものであっても何ら支障をきたすものではない。
【0018】
この構造体4である水切部材4aは、液体容器本体1aの肩部材3に螺着することで液体容器本体1aに保持され、レバー式栓20又は通常の中栓を装着することにより、液体容器1を卓上用として十分使用することができる。
【0019】
次に、液体容器本体1aに対して卓上用、携帯用どちらでも用いる際には、図3及び図4に示すように、構造体4は、ネジ式栓4bからなっており、液体容器本体1aの構造は、図1及び図2に示す水切部材4aの場合と全く同一のものである。
【0020】
ネジ式栓4bは、真空二重容器2の口元6より内部へ深く入り込んだ椀状の有底筒壁部22と、この有底筒壁部22上端より外方へ延びた環状壁部23と、環状壁部23先端より下方へ垂下した外筒壁部24とからなる栓本体25と、有底筒壁部22の上端を閉鎖する栓蓋26と、有底筒壁部22と栓蓋26との内部空間に装填された断熱材27とからなっている。
【0021】
ネジ式栓4bの外筒壁部24の内周壁には、液体容器本体1aの肩部材3の雄ネジ7に螺着する雌ネジ14を刻設している。
28はパッキンである。
【0022】
この構造体4であるネジ式栓4bは、液体容器本体1aの肩部材3に螺着することで、真空二重容器2の口元6を閉鎖し、液体容器1を卓上用としても又余分な把手もないためにそのまま持ち運びできて携帯用としても十分使用することができる。又ネジ式栓4bを取りはずせば真空二重容器2の口元6が広いために簡単に液体を真空二重容器2内へ注ぎ入れることができる。更に液体容器1の大きな割合を占める胴体部分が、真空二重容器2の外壁2bの胴部を直接外装としているので、計量で嵩張らず携帯用として持ち運びに便利である。
【0023】
次に、液体容器本体1aに対して屋外スポーツ用として用いる際には、図5及び図6に示すように、構造体4は、吸い口付栓4cからなっており、液体容器本体1aの構造は、図1乃至図4に示す水切部材4a又はネジ式栓4bの場合と全く同一のものである。
【0024】
吸い口付栓4cは、真空二重容器2の口元6を閉鎖する蓋部29と、蓋部29の外周端より下方に垂下した外周部30と、蓋部29の中央で真空二重容器2の口元6と連通する吸い口筒部31と、吸い口筒部31に螺着して吸い口32を閉鎖するキャツプ33とからなっている。
【0025】
吸い口付栓4cの外周部30の内周壁には、液体容器本体1aの肩部材3の雄ネジ7に螺着する雌ネジ14を刻設している。
34は、真空二重容器2の口元6内側に挿入される環状のガイド片である。
【0026】
吸い口筒部31の外周壁には、キャツプ33を螺着するキャツプ用雄ネジ35を刻設している。
キャツプ33は、有底筒状で内周壁にキャツプ用雄ネジ35と螺着するキャツプ用雌ネジ36を刻設しており、逆位にして吸い口筒部31に被っている。
【0027】
このキャツプ33は、持ち運び時又は取り外し時に無くさないよう吸い口筒部31下端と連結部材(図示せず)を介して連結するようにしてもよい。
【0028】
この構造体4である吸い口付栓4cは、キャツプ33を吸い口筒部31に螺着し、吸い口付栓4cの外周部30の雌ネジ14を液体容器本体1aの肩部材3の雄ネジ7に螺着することで携帯用として持ち運びでき、屋外特にスポーツ時キャツプ33のみを取り外すだけで吸い口32に口を持っていき、一気に飲むことができる。又吸い口付栓4cをはずせば真空二重容器2の口元6が広いために簡単に液体を真空二重容器2内へ注ぎ入れることができる。更に液体容器1の大きな割合を占める胴体部分が、真空二重容器2の外壁2bの胴部を直接外装としているので、計量で嵩張らず携帯用として持ち運びに便利である。
【0029】
次に、液体容器本体1aに対して抽出される抽出液をそのまま貯蔵する際には、図7,図8に示すように、構造体4は、ドリッパー4dからなっており、液体容器本体1aの構造は、図1乃至図6に示す水切部材4a、ネジ式栓4b又は吸い口付栓4cの場合と全く同一のものである。
【0030】
ドリッパー4dは、真空二重容器2の口元6上に載置する台座37と、台座37の中央より上方に延びて真空二重容器2内と連通する複数の小孔38を備えた濾斗部39と、台座37の下端で真空二重容器2の口元6内側に挿入されるガイド筒部40とを一体成形しており、濾斗部39には濾紙を敷いて後にコーヒー粉、紅茶葉等を載せている。この状態で濾斗部39上方より熱湯を注ぐと濾斗部の小孔38よりコーヒー、紅茶等の抽出液が滴下し、真空二重容器2へ導かれる。
【0031】
この構造体4であるドリッパー4dは、単に液体容器本体1aの肩部材3の上面で真空二重容器2の広口の口元6に簡単に載せ、濾斗部39に載置したコーヒー粉、紅茶葉等の上から熱湯を注ぐだけでコーヒー、紅茶等の抽出液をそのまま真空二重容器2内へ滴下することができ、後にネジ式栓等により栓蓋をすればいつでもコーヒー、紅茶等の抽出液をおいしく味わうことができる。
【0032】
このように液体容器本体1aに対して肩部材3に装着する構造体4を変化させることにより、卓上用として又は携帯用更にはスポーツ時に或いは液体抽出用として多種にわたって変化させ使用することができるものである。
【0033】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の構造体が肩部材である実施例の斜視図。
【図2】本発明の構造体が肩部材である実施例の分解中央縦断面図。
【図3】本発明の構造体がネジ式栓である実施例の分解斜視図。
【図4】本発明の構造体がネジ式栓である実施例の中央縦断面図。
【図5】本発明の構造体が吸い口付き栓である実施例の分解斜視図。
【図6】本発明の構造体が吸い口付き栓である実施例の中央縦断面図。
【図7】本発明の構造体がドリッパーである実施例の分解斜視図。
【図8】本発明の構造体がドリッパーである実施例の中央縦断面図。
【0035】
1…液体容器
1a…液体容器本体
2…真空二重容器
2a…内壁
2b…外壁
3…肩部材
4…構造体
4a…水切部材
4b…ネジ式栓
4c…吸い口付き栓
4d…ドリッパー
5…底体
6…口元
7…雄ネジ
8…開口
9…受部
10…注ぎ口部
11…外周壁部
12…把手
13…レバー式栓用雌ネジ
14…雌ネジ
15…シールパッキン
16…レバー式栓用雄ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の内壁(2a)、外壁(2b)を有し、口元(6)を広口とする真空二重容器(2)を設け、この真空二重容器の肩部に肩部材(3)を固定した液体容器本体(1a)を設け、液体容器本体の肩部材に真空二重容器内の液体を注出する構造体(4)或いは真空二重容器内へ抽出液を抽出する構造体(4)を着脱自在に装着した液体容器(1)に於いて、上記構造体(4)が中央に真空二重容器(2)の口元と連通する開口を有した受部(9)と、受部前方の注ぎ口部(10)と、受部より垂下した外周壁部(11)と、外周壁部の後方に把手(12)とを備えた水切部材(4a)、又は真空二重容器(2)の口元を開閉する栓(4b)、(4c)或いは真空二重容器(2)内へ抽出するドリッパー(4d)のいずれか一つであり、それぞれが肩部材に取り替え自在に装着してなることを特徴とした液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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