説明

液体洗浄剤組成物

【課題】N−アシル酸性アミノ酸の低濃度域において、優れた泡質を呈しつつ低温安定性が改善された液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)N−アシル酸性アミノ酸を0.03〜0.30モル/L、並びに(B)ナトリウムイオン及びカリウムイオンを含有し、前記ナトリウムイオン及びカリウムイオンの総含有量に対する前記ナトリウムイオンの含有量(モル比)が、0.51〜0.99であり、かつ25℃におけるpHが、5.0〜8.0である液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
身体洗浄料等の皮膚に直接接する洗浄剤組成物は、近年、皮膚に対する刺激性が低くかつ、良好な泡質、使用感等が求められている。なお、冬場等の低温条件下においても安定的に使用できるよう品質の安定性も大前提として求められている。
【0003】
N−アシル酸性アミノ酸塩は皮膚刺激性が低いため、身体洗浄料への応用が検討されてきた。一般に、N−アシル酸性アミノ酸塩の対イオンにはナトリウムイオンやカリウムイオンが用いられるが、いずれのものでも、脂肪酸石鹸等に比べると泡質等に改善の余地がある。さらに、N−アシル酸性アミノ酸塩の水溶液は低温で結晶が析出する傾向にあり、これを配合した液体洗浄剤組成物において低温域での品質安定性(低温安定性)の確保は非常に重要である。これらの課題は、ポリマー等の泡質改善剤や種々の界面活性剤等を併用して配合することで改善される場合もあるが、これらの配合が影響してアシル酸性アミノ酸塩自体の良好な使用感や低皮膚刺激性が損なわれたり、コストパフォーマンスが低下したりする場合があり、様々な処方を設計する上では、できるだけ簡便にこれらの課題を改善する技術が必要となる。
【0004】
こうしたなか、例えば、特許文献1には、N−アシルグルタミン酸として、そのアシル基がラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基のものを一定割合で配合することで、優れた気泡力を発揮する皮膚洗浄料が開示されている。しかしながら、かかる皮膚洗浄料は粉末ないし顆粒状の洗浄料である。単にこれを液体洗浄料に適用しただけでは、低温安定性が不十分であり、使いやすさなどの観点から粉末ないし顆粒状の形状のものよりも液体の洗浄料が好まれる場合が多い近年の状況に充分対応し得るものではない。
【0005】
一方、低温安定性の改善を図る液体洗浄料として、例えば、特許文献2には、N−アシルグルタミン酸1モルに対し、対イオンとしてカリウムイオンを0.7〜1.8モル含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献3にも、N−アシルグルタミン酸のカルボキシル基1モルに対して、対イオンとしてカリウムイオンとナトリウムイオンをその総和が0.35モル以上0.9モル以下であり、かつ、カリウムイオンとナトリウムイオンの当量比率が20/1から1/5となるように含有する界面活性剤水溶液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−51945号公報
【特許文献2】特開平6−49481号公報
【特許文献3】特開2001−107078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2では、そのカリウムイオン含有率を高めて低温安定性を改善することや高温保存後の臭いや着色を抑える技術が開示されているのみであり、ナトリウムイオン含有率が高い状況での泡質については何ら検討されていない。
一方、特許文献3では、高濃度のN−アシルグルタミン酸溶液の低温安定性が検討されているのみであり、低濃度での泡質や低温安定性については何ら検討されていない。
従って、本発明の課題は、N−アシル酸性アミノ酸の低濃度域において、優れた泡質を呈しつつ、低温安定性が改善された低刺激性の液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、N−アシル酸性アミノ酸を含有する液体洗浄剤の泡質は、その濃度が低い場合には顕著に低下するという課題に着目し、これを解決すべく種々検討した結果、N−アシル酸性アミノ酸を低濃度で含有しつつ、その対イオンとして、ナトリウムイオン及びカリウムイオンを特定の関係を満たす含有量とすることにより、泡質が著しく向上し、低温安定性の改善された液体洗浄剤組成物が簡便に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)N−アシル酸性アミノ酸を0.03〜0.30モル/L、
(B)ナトリウムイオン及びカリウムイオン
を含有し、前記ナトリウムイオン及びカリウムイオンの総含有量に対する前記ナトリウムイオンの含有量(モル比)が、0.51〜0.99であり、かつ
25℃におけるpHが、5.0〜8.0である液体洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、N−アシル酸性アミノ酸を低濃度で含有しながら、その対イオンとしてナトリウムイオンとカリウムイオンを特定比率にすることによって、極めて泡質に優れ、かつ低温安定性が改善された液体洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液体洗浄剤組成物は、N−アシル酸性アミノ酸(A)を含有する。ここで用いるN−アシル酸性アミノ酸(A)のアシル基は、泡質と低温安定性の観点から炭素数8〜18の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸を由来としたものが好ましく、このような脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリンル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。これら脂肪酸のなかでも、泡質や保存安定性の点から、炭素数8〜14の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸が好ましく、ラウリン酸、オレイン酸がより好ましく、とりわけラウリン酸が好ましい。
【0012】
また、N−アシル酸性アミノ酸(A)のアシル基は、混合脂肪酸を由来としたもの、例えば、ヤシ油、パーム核油などを原料にして得られたものであってもよい。なかでも、ヤシ油脂肪酸やパーム核脂肪酸を原料に用いたもの、とりわけ、コストの点から、ヤシ油脂肪酸を原料にして得られたものが好ましい。
【0013】
N−アシル酸性アミノ酸(A)のアミノ酸部分は、グルタミン酸、アスパラギン酸が好ましく、より好ましくはグルタミン酸である。また、これらのアミノ酸部分はD体、L体或いはD体とL体の混合物のいずれであってもよく、L体であるのが好ましい。
【0014】
上記N−アシル酸性アミノ酸(A)としては、具体的には、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−パルミトイルグルタミン酸、N−オレイルグルタミン酸、N−ココイルグルタミン酸等が挙げられる。なかでも、良好な泡質と低温安定性を示す観点から、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ココイルグルタミン酸が好ましい。
【0015】
上記N−アシル酸性アミノ酸(A)は、酸として配合してもよく、予めN−アシル酸性アミノ酸(A)が有するカルボキシル基の全部または一部がナトリウム塩、カリウム塩として中和されたものを配合してもよい。その他、リチウム塩やトリエタノールアミン塩等の無機塩基や有機塩基との塩として配合してもよい。特に、本発明では、ナトリウム塩及びカリウム塩として配合するか、酸のものを配合するとよい。
【0016】
なお、pH及びナトリウムイオンとカリウムイオンとの含有量比を所望の値に調製するために、必要に応じて追加的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア等の一般的な各種塩基や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の一般的な各種酸を用いてもよい。
【0017】
上記N−アシル酸性アミノ酸(A)の含有量は、本発明の液体洗浄剤組成物中に、0.03〜0.30モル/L、好ましくは0.05〜0.24モル/L、より好ましくは0.07〜0.18モル/Lである。N−アシル酸性アミノ酸(A)の含有量が上記範囲内であると、良好な泡質の点と皮膚への低刺激性やコストダウンの点で有利である。
【0018】
本発明の液体洗浄剤組成物は、ナトリウムイオン及びカリウムイオン(B)を含有する。これらは上記N−アシル酸性アミノ酸(A)の塩から遊離するものであってもよく、他の成分から遊離するものであってもよい。また、これらナトリウムイオン及びカリウムイオンの総含有量に対するナトリウムイオンの含有量(モル比)は、0.51〜0.99、好ましくは0.70〜0.97、より好ましくは0.85〜0.95である。ナトリウムイオン及びカリウムイオン(B)のモル比が上記範囲内であると、泡質がよい洗浄剤組成物が得られるばかりか、低温域におけるN−アシル酸性アミノ酸(A)の結晶化を有効に改善することもできる。
【0019】
なお、ナトリウムイオン及びカリウムイオン(B)の総含有量は、本発明の液体洗浄剤組成物中に、好ましくは0.03〜0.6モル/L、より好ましくは0.06〜0.45モル/Lである。かかる総含有量の範囲内で、上記ナトリウムイオンとカリウムイオンとの含有量比を満たすのが望ましい。
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、皮膚への刺激性を低減する観点、また優れた泡質とより過酷な低温環境下での優れた安定性を両立する観点から、pHが5.0〜8.0であり、より好ましくは5.5〜7.3、特に好ましくは6.4〜7.0である。なお、このときのN−アシル酸性アミノ酸(A)の中和度としては、1.2〜2.0が好ましく、1.23〜1.95がより好ましく、1.6〜1.95が特に好ましく、1.81〜1.92が最も好ましい。
【0021】
さらに、本発明の液体洗浄剤組成物は、泡質に影響を与えずにより低温安定性が向上する点から、フェノール骨格を有する殺菌剤(C)を含有するものが好ましい。フェノール骨格を有する殺菌剤とは、その分子構造内の一部にフェノール骨格を有する殺菌剤であり、かかる殺菌剤は殺菌やにきび予防等を目的とした殺菌剤として、その効果や使用実績等の点から、用いられている。本発明で用いられるフェノール骨格を有する殺菌剤(C)は、N−アシル酸性アミノ酸(A)の低温安定性を向上させる観点から、中性水溶液環境下において非水溶性で、特に非イオン性のものがよい。上記フェノール骨格を有する殺菌剤(C)は、水分を多く含む液体洗浄剤組成物中において低溶解度のために分子自体が低温環境で結晶化しやすい傾向があるが、N−アシル酸性アミノ酸(A)の結晶化防止に対しては良好に作用する。よって、本発明の液体洗浄剤組成物は、N−アシル酸性アミノ酸(A)とフェノール骨格を有する殺菌剤(C)とを併用することにより、より過酷な低温環境においても優れた低温安定性を発揮し、かつ殺菌効果をも発揮することができる。
【0022】
かかるフェノール骨格を有する殺菌剤(C)の具体的な例としては、イソプロピルメチルフェノール(3−メチル−4−イソプロピルフェノール、シメン−5−オール)、チモール(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)、トリクロサン(5−クロロ−2−[2,4−ジクロロフェノキシル]フェノール)、パラクロロメタキシレノール(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール)、トリクロロカルバニリド(3,4,4'−トリクロロカルバニリド)等が挙げられる。これらの中から所望の殺菌性能等に応じ、適宜選択することができる。なかでも、上記低温安定性及び皮膚刺激性の観点から、特にイソプロピルメチルフェノール、トリクロサンが好ましく、とりわけイソプロピルメチルフェノールが好ましい。
【0023】
上記フェノール骨格を有する殺菌剤(C)は、本発明の液体洗浄剤組成物中に、上記低温安定性及び皮膚刺激性の観点から、0.05〜1.0質量%であるとよく、好ましくは0.07〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.3質量%含有するとよい。フェノール骨格を有する殺菌剤(C)の含有量が上記範囲内であると、過酷な低温環境(例えば0℃より低い温度、具体的には−5℃)においてもN−アシル酸性アミノ酸(A)の結晶化を有効に防止し、低温安定性の向上を図ることができる。
【0024】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水を媒体とすることが好ましい。水の含有量は、本発明の液体洗浄剤組成物を低濃度のN−アシル酸性アミノ酸含有液体洗浄剤組成物とする観点や、極めて泡質に優れ、かつ低温安定性が改善された液体洗浄剤組成物を得る点から、本発明の液体洗浄剤組成物中に、40〜95質量%であるとよく、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは70〜85質量%である。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物は、粘度・使用感の調整、防腐性の向上等の点から、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−プロパノ−ル、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、グリセリン、ソルビト−ル等のアルコ−ル類やポリオール類を含有するとよい。なかでも、保湿性や刺激性の点や、極めて泡質に優れ、かつ低温安定性が改善された液体洗浄剤組成物を得る点からグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に、グリセリンやジプロピレングリコールが好ましい。上記ポリオール類やアルコ−ル類は上述の観点から、その含有量は本発明の液体洗浄剤組成物中に好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは10〜20質量%である。
【0026】
さらに、本発明の液体洗浄剤組成物は、通常の液体洗浄剤組成物に用いられる成分、グアーガム等の植物由来の多糖類、キサンタンガム等の微生物由来の多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、分子内にポリオキシエチレン鎖を有するエステル或いはエーテル系化合物、アクリル酸重合体或いはアクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のカルボキシビニルポリマー類等の増粘剤;カチオン化セルロース等のカチオンポリマー、シリコーン化合物及びその誘導体等のコンディショニング成分、エチレングリコールジステアレート等のパール化剤;アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤;アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシド、ヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤;アルキル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルの塩等の陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン性界面活性剤;染料、顔料等の着色剤;無機塩類;植物エキス類;防腐剤;キレート剤;ビタミン剤;抗炎症剤;抗ふけ剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することが可能である。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記各成分を用い、常法に従って製造することができる。また、かかる液体洗浄剤組成物は、皮膚洗浄用として、特にハンドソープ、洗顔料、ボディーソープとして用いるのが好ましい。
【0028】
本発明の液体洗浄剤は、上記液体洗浄剤組成物を泡で吐出するタイプのノンガスフォーマー容器に充填するとよい。N−アシル酸性アミノ酸塩は、脂肪酸石鹸に比べると泡のクリーミーさ等にやや欠ける性質を有するが、上記液体洗浄剤組成物をかかるノンガスフォーマー容器に充填し吐出した場合、N−アシル酸性アミノ酸(A)の対イオンとしてナトリウムイオンとカリウムイオンとが特定の含有量比であることと相まって、特にクリーミーで安定性が良好な泡を容易に得ることができる。ノンガス型の泡吐出容器としては、空気と混合して泡として吐出できるものであればいずれのものでも用いることができるが、例えば、シリンダーを押すことで吐出するポンプフォーマー容器や胴体部分を押すことで吐出するスクイズフォーマー容器が挙げられ、具体的には、株式会社吉野工業所製、大和製罐製のフォーマー容器等が挙げられる。また、例えば、特開平7−315463、特開平8−230961及び特開2005−193972号公報等に記載されたフォーマー容器を使用することもできる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
[実施例1〜20、比較例1〜9]
表1〜3に示す組成に従い、各液体洗浄剤組成物を常法により製造し、下記の方法に従って各評価を行った。結果を表1〜3に示す。
【0031】
[評価方法]
(1)泡質
本発明において泡質とは、泡安定性を意味し、下記の方法に従って評価することができる。得られた液体洗浄剤組成物を吉野工業所社製ポンプフォーマー容器(ポンプノズルを押すタイプ、泡を形成するための多孔質膜フィルターのメッシュサイズは200メッシュを1枚と300メッシュを1枚使用したもの)に充填し、25℃下、直径3.6cmのメモリ付きガラス円筒容器内に15プッシュ分(15g)泡を吐出し、静置した。なお、1プッシュの泡の体積は13cm3であった。消泡して液に変わった量が10mLに達するまでの所要時間を測定し、排液速度(min)とした。
【0032】
本発明の液体洗浄剤組成物(N−アシル酸性アミノ酸の対イオンとしてナトリウムイオンとカリウムイオンとが混合された系)の排液速度の値の、N−アシル酸性アミノ酸の対イオンがナトリウムイオンのみのときの排液速度の値に対する比を計算し、改善度の値とした。
得られた改善度の値から、1.05以上1.10未満であるものを改善とみなし○、1.10以上のものを顕著な改善とみなし◎と総合評価した。
【0033】
(2)低温安定性
得られた液体洗浄剤組成物を100mLガラス製密閉容器に入れ、低温条件(−5℃、0℃、5℃又は10℃)で保存し、3日後、目視観察により下記基準に従って評価した。(初期状態は室温(25℃)で透明であった。)なお、液体洗浄剤組成物中でのN−アシル酸性アミノ酸の濃度やpHは、N−アシル酸性アミノ酸の低温での結晶化に影響を与える場合があり、また所望の製品(ハンドソープ、ボディーソープ、洗顔料等)によっても好ましい濃度が変動し得るため、対イオンの効果の有無を判断しやすいように、N−アシル酸性アミノ酸の同濃度、同pHの条件で各温度にて比較した。
【0034】
◎:変化がない。
○:微量の白濁を生じるが25℃に戻すと透明に溶解する。
×:結晶析出し、25℃に戻して、1時間静置しても溶解しない。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
表1〜3の結果から明らかなように、N−アシル酸性アミノ酸を特定の量で含有しつつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンを特定のモル比で含有する実施例1〜20は、比較例1〜9に比して、泡質が改善されるばかりではなく、低温安定性をも改善されていることがわかる。特に実施例3〜7によれば、フェノール骨格を有する殺菌剤(C)を含有する場合、−5℃という過酷な低温環境における低温安定性も改善されていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N−アシル酸性アミノ酸を0.03〜0.30モル/L、並びに
(B)ナトリウムイオン及びカリウムイオン
を含有し、前記ナトリウムイオン及びカリウムイオンの総含有量に対する前記ナトリウムイオンの含有量(モル比)が、0.51〜0.99であり、かつ
25℃におけるpHが、5.0〜8.0である液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、(C)フェノール骨格を有する殺菌剤を0.05〜1.0質量%含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記フェノール骨格を有する殺菌剤が、イソプロピルメチルフェノール及び/又はトリクロサンである請求項2に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物をノンガスフォーマー容器に充填してなる液体洗浄剤。

【公開番号】特開2012−107116(P2012−107116A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256712(P2010−256712)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】