説明

液体洗浄剤

【課題】低温安定性が良好であると共に、泡立ちが速い液体洗浄剤を提供する。
【解決手段】(a1)で表される化合物(a)と、式(b1)で表される化合物(b)と、芳香族スルホン酸(塩)、芳香族カルボン酸(塩)及び炭素数2〜4のアルコールから選択される少なくとも一種とを含有し、(a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下である液体洗浄剤。


(RはC8〜24の直鎖アルキル又はアルケニル基。nは1〜5。xとyはそれぞれ1〜7の整数で、x+y=8である。p+qは1〜10である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。M及びMはそれぞれアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用洗浄剤のような日用品分野でも、地球環境に配慮した製品開発が求められている。カーボンニュートラルという環境面から、洗剤原料としては、油脂原料由来の直鎖状アルキル基を有するアルコールを用いることが好ましい。このアルコールを原料とした直鎖状アルコールエトキシサルフェートを、硬表面用洗浄剤に配合した場合、特に泡の持続性が向上する。
泡の持続性に優れる液体洗浄剤として、特定の直鎖状アルコールエトキシサルフェートと、2級アルカンスルホン酸塩と、半極性界面活性剤と、高級アルコール又は脂肪酸とを含有する組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−332305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、直鎖状アルコールエトキシサルフェートは分子間の配向性が高いため、これを含有する液体洗浄剤は、低温条件下で析出を生じやすく、保存安定性の確保が難しい。加えて、泡が立つのが遅いという問題がある。
特許文献1に記載された液体洗浄剤においては、食器洗い用スポンジに注ぎ足してから、当該スポンジを10回手で揉むことにより良く泡立つとされているが、実用上、充分な量の泡をさらに速く泡立たせたい、という要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低温安定性が良好であると共に、泡立ちが速い液体洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、一般に会合状態を形成しにくく、低起泡性組成物用として好適な成分とされる分岐鎖状の化合物の中から特定の構造を有する陰イオン界面活性剤を選択し、当該陰イオン界面活性剤と、直鎖状アルコールエトキシサルフェートと、特定のハイドロトロープ剤とを組み合わせて用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液体洗浄剤は、下記一般式(a1)で表される化合物(a)と、下記一般式(b1)で表される化合物(b)と、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、及び炭素数2〜4のアルコールからなる群より選択される少なくとも一種(c)とを含有し、(a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下であることを特徴とする。
【0006】
【化1】

[式(a1)中、Rは炭素数8〜24の直鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜24の直鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表す。nはEOの平均繰返し数を表し、1〜5の数である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。式(b1)中、xとyはそれぞれ1〜7の整数であり、x+y=8である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を表す。pはPOの平均繰返し数、qはEOの平均繰返し数を表し、p+qは1〜10である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。]
【0007】
本発明の液体洗浄剤においては、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(d)をさらに含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低温安定性が良好であると共に、泡立ちが速い液体洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液体洗浄剤は、前記一般式(a1)で表される化合物(a)と、前記一般式(b1)で表される化合物(b)と、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、及び炭素数2〜4のアルコールからなる群より選択される少なくとも一種(c)とを含有する。
以下、これらの成分をそれぞれ(a)成分、(b)成分、(c)成分ともいう。
本発明の液体洗浄剤は、硬表面用の洗浄剤として好適に利用できる。ここで「硬表面」とは、陶器、磁器、ガラス、硬質プラスチック、金属、塗装金属、タイル等の硬質材料からなる表面をいう。その具体例としては、食器類、調理器具、便器、窓ガラス、乗り物のガラス、めがね、透明プラスチック、鏡;浴槽、浴室の壁や床、流し台、洗面台等が挙げられる。なかでも、本発明の液体洗浄剤は、食器類、調理器具等の台所用の洗浄剤として特に好適に利用できる。
【0010】
<化合物(a)>
本発明の液体洗浄剤において、化合物(a)は、下記一般式(a1)で表される、直鎖型の陰イオン界面活性剤(直鎖状アルコールエトキシサルフェート)である。(a)成分を含有することにより、主として、泡の持続性、洗浄力が付与される。
【0011】
【化2】

[式(a1)中、Rは炭素数8〜24の直鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜24の直鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表す。nはEOの平均繰返し数を表し、1〜5の数である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。]
【0012】
前記式(a1)中、Rは、炭素数8〜24の直鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜24の直鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜24の直鎖状のアルキル基が好ましい。
のアルキル基、アルケニル基において、炭素数は8〜24であり、炭素数8〜16が好ましく、より好ましくは炭素数10〜14であり、特に好ましくは炭素数12〜14である。
としては、泡の持続性、洗浄力及び環境面から、油脂原料由来の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
【0013】
前記式(a1)中、EOはオキシエチレン基、nはEOの平均繰返し数を表す。
nは、1〜5の数であり、nが1未満では、液体洗浄剤の低温安定性が低下するおそれがあり、nが5を超えると、泡の持続性、洗浄力が低下するおそれがある。
【0014】
前記式(a1)中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンであり、R−O−(EO)n−SOとともに水溶性の塩を形成し得るものであればよい。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0015】
(a)成分として具体的には、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(3)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(3)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルトリエタノールアミン塩などが挙げられる。
なかでも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。
ここで、たとえば「ポリオキシエチレン(2)」とは、オキシエチレン基の平均繰返し数が2(エチレンオキシドの平均付加モル数が2)であることを意味する。
「C12/14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有するものと、炭素数14の直鎖アルキル基を有するものとの混合物(混合比率:質量比で75/25)であること、天然油脂由来の直鎖状のアルキル基であること、を意味する。
【0016】
(a)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体洗浄剤中、(a)成分の配合量は、該液体洗浄剤の総質量に対して5〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
(a)成分の配合量が下限値未満であると、泡の持続性が低下する場合がある。一方、上限値を超えると、泡立ちが遅くなる傾向になる。また、すすぎ性、低温安定性の改善効果も得られにくくなる。
【0017】
<化合物(b)>
本発明の液体洗浄剤において、化合物(b)は、下記一般式(b1)で表される、分岐型アルキル基を有する陰イオン界面活性剤である。
化合物(b)と前記(a)成分とを組み合わせて用いることにより、主として、泡立ちが速くなる。加えて、良好なすすぎ性、油汚れに対して高い洗浄力が得られる。
【0018】
【化3】

[式中、xとyはそれぞれ1〜7の整数であり、x+y=8である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を表す。pはPOの平均繰返し数、qはEOの平均繰返し数を表し、p+qは1〜10である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。]
【0019】
前記式(b1)中、xとyは、それぞれ1〜7の整数であり、x+y=8である。x+y=8であることにより、泡が速く立ちやすくなる。
2x+1、C2y+1としては、それぞれ、直鎖状のアルキル基又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、泡の立ちやすさの観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。そのなかでも、C2x+1、C2y+1は、プロピル基とペンチル基との組合せ(xとyの一方が3で、他方が5であること)が特に好ましい。
【0020】
前記式(b1)中、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、pはPOの平均繰返し数、qはEOの平均繰返し数をそれぞれ表す。
p+qは1〜10であり、好ましくは1〜5であり、特に好ましくは3〜4である。p+qが前記範囲であることにより、泡が速く立ちやすくなる。加えて、すすぎ性(泡切れの良さ、ヌルツキのなさ)が良好となる。さらに、低温条件での保存安定性がより向上する。また、後述の(d)成分との併用により、洗浄中であっても、食器類等から汚れが落ちると、スポンジと食器類等との間に摩擦が生じるようになり、洗浄済み実感を得られやすい。
qは1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
pは、泡の立ちやすさの観点から、0〜9であることが好ましく、0〜4であることがより好ましい。
POとEOとが混在している場合、POとEOとの配列状態は特に制限されず、ランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
なお、p、qは、それぞれPO、EOの「平均」繰返し数を示している。すなわち、式(b1)で表される化合物は、PO、EOの繰返し数が異なる分子(PO又はEOを有しない分子を含む)の集合体である。また、C2x+1とC2y+1との組合せの異なる分子の集合体であってもよい。
【0021】
前記式(b1)中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンであり、(C2x+1)(C2y+1)CH−CHO−(PO)p−(EO)q−SOとともに水溶性の塩を形成し得るものであればよい。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0022】
(b)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(b)成分としては、ガーベット反応による2分子縮合で得られた、β位に分岐構造を有するアルコールのアルキレンオキシド付加物の硫酸化物であることが好ましい。
(b)成分は、ガーベットアルコールのアルキレンオキシド付加物を、槽型反応方式、フィルム型反応方式、管型気液混相流反応方式等を用いて、たとえば液体無水硫酸との混合、又はSOガスとの接触などにより硫酸化した後、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニウム又はアルカノールアミン等で中和することにより製造できる。
ガーベットアルコールのアルキレンオキシド付加物の具体例としては、BASF社製のルテンゾールXP30(エチレンオキシドの平均付加モル数3)、ルテンゾールXP40(エチレンオキシドの平均付加モル数4)、ルテンゾールXL40(プロピレンオキシドの平均付加モル数1、エチレンオキシドの平均付加モル数3)(以上、商品名)等が挙げられる。
【0023】
液体洗浄剤中、(b)成分の配合量は、該液体洗浄剤の総質量に対して1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜20質量%である。
(b)成分の配合量が下限値未満であると、泡立ちが遅くなる傾向になる。また、すすぎ性、低温安定性の改善効果も得られにくくなる。一方、上限値を超えると、すすぎ性が低下しやすい。
【0024】
本発明の液体洗浄剤において、前記(a)成分と前記(b)成分との合計は、該液体洗浄剤の総質量に対して15〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
(a)成分と(b)成分との合計が下限値以上であると、液体洗浄剤に高い洗浄性能が付与されやすくなる。一方、(a)成分と(b)成分との合計が好ましい上限値を超えると、すすぎ性向上の効果が得られにくくなる。
【0025】
本発明において「(a)成分/(b)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(b)成分の含有量に対する、(a)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
本発明の液体洗浄剤において、(a)成分と(b)成分との配合比率は、(a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下であり、好ましくは0.5〜6であり、より好ましくは1〜5である。
当該質量比が下限値以上であると、特に(a)成分配合による泡の持続性に優れ、すすぎ性も向上する。一方、上限値以下であると、低温安定性がより良好となる。加えて、泡が速く立ちやすくなる。
【0026】
<芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、及び炭素数2〜4のアルコールからなる群より選択される少なくとも一種(c)>
本発明においては、ハイドロトロープ剤として(c)成分を含有することにより、液体洗浄剤の保存安定性(特に低温安定性)が向上し、透明外観をより安定に確保できる。
【0027】
(c)成分における芳香族スルホン酸としては、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸などが挙げられ、なかでもトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸が好ましい。
トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸は、それぞれo体、m体、p体の3異性体のいずれでもよく、これらのなかでも容易に入手が可能なことからp体が好ましく、そのなかでも、p−トルエンスルホン酸がより好ましい。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸などが挙げられる。
芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸塩における塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
炭素数2〜4のアルコールのうち、1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0028】
(c)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(c)成分としては、特に低温条件であっても保存安定性に優れることから、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、及び炭素数2〜4のアルコールからなる群より選択される少なくとも二種を用いることが好ましい。なかでも、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びエタノールからなる群より選択される少なくとも二種を用いることがより好ましく、そのなかでも、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸及び安息香酸塩からなる群より選択される少なくとも一種と、エタノールとを併用することが特に好ましい。
【0029】
液体洗浄剤中、(c)成分の配合量は、該液体洗浄剤の総質量に対して5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは6〜10質量%である。
(c)成分の配合量が好ましい下限値以上であると、液体洗浄剤の低温安定性がより向上する。一方、好ましい上限値を超えると、(c)成分の配合効果が飽和に達し、当該上限値を超えて多量に配合する場合、他の洗浄成分が少なくなり、泡立ち性(泡の立ちやすさ、泡量)や洗浄力が低下するおそれがある。
【0030】
<溶媒:水>
本発明の液体洗浄剤は、液体洗浄剤の調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤中の水の配合量は、液体洗浄剤の総質量に対して40〜90質量%が好ましく、45〜85質量%がより好ましく、50〜80質量%がさらに好ましい。
水の配合量が下限値以上であると、経時に伴う液体洗浄剤の液安定性がより良好となり、上限値以下であれば、液粘度が適度に低くなり、使用性の観点から良好となる。
【0031】
<その他の成分>
本発明の液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を任意に配合してもよい。
その他の成分としては、特に限定されず、硬表面用又は衣料用等の洗浄剤に用いられている成分を配合することができ、具体的には以下に示すものが挙げられる。
【0032】
(両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(d))
本発明の液体洗浄剤においては、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(d)(以下「(d)成分」ともいう。)をさらに含有することが好ましい。
(d)成分をさらに含有することにより、主として、洗浄中に食器類等から汚れが落ちると、スポンジと食器類等との間に摩擦が生じるようになり、洗浄済み実感が付与される。さらに、油汚れに対して高い洗浄力が得られやすくなる。
【0033】
両性界面活性剤としては、アミノ酢酸ベタイン(アルキルベタイン、アルキルアミドベタインなど)、スルホベタイン(アルキルヒドロキシスルホベタインなど)等のベタイン型のもの;グリシン系のもの(イミダゾリニウムベタインなど)、アミノプロピオン酸系のもの等のアミノ酸型のものなどが挙げられる。
両性界面活性剤として具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン;N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン等のスルホベタイン;2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等のグリシン系のもの;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム等のアミノプロピオン酸系のものが挙げられる。
【0034】
本発明において、「半極性界面活性剤」とは、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤のことであり、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、陽イオン性、陰イオン性、又は両極性となるものをいう。
半極性界面活性剤のなかで好適なものとしては、アミンアルキレンオキサイド型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤などが挙げられる。なかでも、油汚れに対する洗浄力及び泡立ちが良好であることから、アミンオキシド型界面活性剤が好ましい。
アミンオキシド型界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられ、なかでも下記一般式(d1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
【0035】
【化4】

[式中、Rは炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。Bは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−O−である。rは0又は1の数である。]
【0036】
前記式(d1)中、Rは、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
のアルキル基、アルケニル基において、炭素数は8〜18であり、油汚れに対する洗浄力、洗浄済み実感の付与効果がより向上することから、10〜14であることが好ましい。
、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R及びRはいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
は、炭素数1〜4のアルキレン基である。
Bは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−O−である。
rは、0又は1の数であり、0が好ましい。
【0037】
アミンオキシド型界面活性剤として具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド系のもの;ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド等のアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシド系のもの等が挙げられる。なかでも、油汚れに対する洗浄力、洗浄済み実感の付与効果が特に良好であることから、アルキルジメチルアミンオキシド系のものがより好ましい。
【0038】
(d)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(d)成分としては、油汚れに対する洗浄力、(b)成分と併用して洗浄済み実感の付与効果が特に良好であることから、アミノ酢酸ベタイン、スルホベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド系のもの、又はアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシド系のものが好ましく、アルキルジメチルアミンオキシド系のものが特に好ましい。
【0039】
液体洗浄剤中、(d)成分の配合量は、該液体洗浄剤の総質量に対して2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量%であり、特に好ましくは4〜10質量%である。
(d)成分の配合量が好ましい下限値以上であると、洗浄力が高まり、泡がより立ちやすくなる。一方、好ましい上限値を超えると、液体洗浄剤の粘度が増加し過ぎる、すすぎ性が低下するおそれがある。
【0040】
本発明の液体洗浄剤において、(a)成分と(b)成分と(d)成分との配合比率は、[(a)成分+(b)成分]/(d)成分で表される質量比が1.5〜7.5であることが好ましく、4〜6である。
当該質量比が下限値以上であると、洗浄中の洗浄済み実感が得られるようになる。加えて、泡が立ちやすくなり、すすぎ性もより向上する。一方、上限値以下であると、洗浄中の洗浄済み実感に加えて、油汚れに対する洗浄力がより向上する。
本発明において「[(a)成分+(b)成分]/(d)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(d)成分の含有量に対する、(a)成分と(b)成分との合計の含有量の割合(質量比)を表す。
【0041】
(脂肪酸モノエタノールアミド化合物(e))
本発明の液体洗浄剤においては、脂肪酸モノエタノールアミド化合物(e)(以下「(e)成分」という。)をさらに含有することが好ましい。(e)成分を含有することにより、主として、洗浄時の泡の持続性が高まる。
(e)成分のなかで好適なものとしては、下記一般式(e1)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化5】

[式中、Rは炭素数5〜19のアルキル基を表す。mはオキシエチレン基(−CO−)の平均繰返し数を表し、0〜9の数である。]
【0043】
前記式(e1)中、Rは、炭素数5〜19のアルキル基を表し、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
のアルキル基において、炭素数は5〜19であり、油汚れに対する洗浄力、泡の持続性が向上することから、炭素数7〜13が好ましい。
mは、オキシエチレン基(−CO−)の平均繰返し数を表し、0〜9の数であり、0〜4の数であることが好ましく、0〜2の数であることがより好ましい。
【0044】
(e)成分として具体的には、ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド(前記式(e1)におけるR=炭素数11の直鎖状のアルキル基、m=2)、ポリオキシエチレン(2)カプリン酸モノエタノールアミド(前記式(e1)におけるR=炭素数9の直鎖状のアルキル基、m=2)等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレン(2)カプリン酸モノエタノールアミドがより好ましい。
【0045】
(e)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体洗浄剤中、(e)成分の配合量は、該液体洗浄剤の総質量に対して1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜16質量%である。
(e)成分の配合量が好ましい下限値未満であると、泡の持続性向上の効果が得られにくくなる場合があり、一方、好ましい上限値を超えると、泡の持続性は高まるものの、泡が立ちにくくなるおそれがある。
【0046】
本発明の液体洗浄剤において、(e)成分/[(a)成分+(b)成分]で表される質量比は0.6以下であることが好ましく、0.01〜0.55であることがより好ましく、0.05〜0.55であることが特に好ましい。
当該質量比が上限値以下であると、泡がより速く立ちやすくなる。加えて、泡立ち量及びすすぎ性もより良好となる。一方、下限値以上であると、泡の持続性がより向上する。
本発明において「(e)成分/[(a)成分+(b)成分]で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(a)成分と(b)成分との合計の含有量に対する、(e)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
【0047】
本発明の液体洗浄剤には、上述した成分以外のその他の成分として、二価金属塩、pH調整剤(水酸化ナトリウム、硫酸、グリコール酸等)、キレート剤、酸化防止剤、着色剤、酵素、香料なども任意に配合することができる。
【0048】
本発明の液体洗浄剤は、二価金属塩(以下「(f)成分」ともいう。)をさらに含有することにより、主として洗浄力が高まる。
(f)成分としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、臭化マグネシウム等のマグネシウム塩;塩化カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化カルシウム、硝酸カルシウム等のカルシウム塩;硝酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化アンモニウム亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛塩などが挙げられる。
これらのなかでも、洗浄力向上の効果に加えて、除菌効果、抗菌効果も付与できることから、亜鉛塩が好ましく、硫酸亜鉛、酸化亜鉛が特に好ましい。
(f)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(f)成分がたとえば亜鉛塩の場合、(f)成分は、液体洗浄剤中に亜鉛イオンが0.01質量%以上となるように配合することが好ましく、0.02質量%以上となるように配合することがより好ましい。亜鉛イオンが好ましい下限値以上配合されていれば、洗浄力向上の効果が得られやすく、除菌効果及び抗菌効果も得られやすい。
【0049】
液体洗浄剤の総質量に対する、(f)成分由来の二価金属イオンの濃度は、以下のようにして求めることができる。
たとえば、液体洗浄剤中に、硫酸亜鉛7水和物(分子量287.61)1質量%を含有する場合、液体洗浄剤中の亜鉛イオンの含有量(質量%)は次の通りである。
液体洗浄剤中の亜鉛イオンの含有量
=液体洗浄剤中の硫酸亜鉛7水和物の配合量×(亜鉛の分子量/硫酸亜鉛7水和物の分子量)
=1質量%×(65.39/287.61)
=0.23質量%
【0050】
本発明の液体洗浄剤のpHは、25℃でのpHが5〜8であることが好ましく、pHが6.5〜7.5であることがより好ましい。
液体洗浄剤のpHが5以上であると、液体洗浄剤の透明外観をより安定に保ちやすくなる。また、液体洗浄剤のゲル化又は固化がより起きにくくなる。一方、pHが8以下であると、泡立ち性(泡の立ちやすさ、泡量)がより向上する。また、油汚れに対する洗浄力と泡の持続性がより向上する。
液体洗浄剤(25℃に調温)のpHは、pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用い、JIS K3362−1998に準拠した方法により測定される値を示す。
【0051】
本発明の液体洗浄剤は、低温安定性が良好であると共に、泡立ちが速い。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが以下のように推測される。
上記のように、直鎖状アルコールエトキシサルフェートを含有する液体洗浄剤は、低温条件下で析出を生じやすく、保存安定性の確保が難しい。さらに、泡が立つのが遅いという問題がある。
本発明の液体洗浄剤においては、直鎖状アルコールエトキシサルフェート(a)と、特定の分岐構造を有する硫酸エステル塩である(b)成分とが、特定の配合比率((a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下)で組み合わされている。この(b)成分のβ位での分岐構造によって、(a)成分の分子配列が乱れやすくなる。さらに、特定のハイドロトロープ剤(c)が併用されていることにより、(a)成分の低温条件下での析出が抑制される。このため、低温での安定性が良好であると考えられる。
また、β位で分岐した特異的な構造を有する(b)成分は、一般的な直鎖状又は分岐鎖状の陰イオン界面活性剤に比べて動的界面張力低下能が高い。これにより、(b)成分は、新しく界面ができると、その界面にすばやく配向し、(a)成分と共に界面活性剤分子膜を速やかに形成し得る。このため、泡立ちが速いと考えられる。
【0052】
加えて、本発明の液体洗浄剤は、高い洗浄力を有すると共に、泡の持続性とすすぎ性が良好である。この理由は以下のように推測される。
上述したように、(b)成分の動的表面張力低下能が高いことから、(b)成分が油汚れ等にすばやく吸着し、これに伴って(a)成分の油汚れへの吸着も速くなることにより、油汚れの分解(分散、溶解)が促進され、また、泡の持続性も良好となる。さらに、β位のみの分岐構造は、一般的な分岐鎖状の陰イオン界面活性剤に比べて、疎水基が嵩高くなりやすい。このため、気液界面に密に配向しにくく、洗浄液が希釈されると破泡しやすいことにより、すすぎ性(泡切れの良さ、ヌルツキのなさ)が良くなると推測される。
【0053】
さらに、本発明の液体洗浄剤においては、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(d)を含有することにより、起泡力を維持しつつ、洗浄中に食器類等が泡に覆われていても、汚れが落ちたことを実感できる。この理由は以下のように推測される。
(b)成分は、(a)成分及び(d)成分と混合することにより、安定な会合状態を形成し得ると考えられる。また、(b)成分は動的界面張力低下能が高いため、(b)成分は洗浄液中での拡散スピードが速く、これに伴って(a)成分、(b)成分及び(d)成分は、スポンジと食器類等との間に長く留まることがない。これにより、液体洗浄剤を含ませたスポンジで食器類等を洗浄中に、油汚れ等が除去されると、スポンジと食器類等との間に「ギュッギュッ」という摩擦感が感じられるようになる。以上により、(d)成分をさらに含有する本発明の液体洗浄剤によれば、起泡力を維持しつつ、食器類等が泡に覆われていても、汚れが落ちたことを実感できると推測される。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
<液体洗浄剤の調製>
表に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
なお、各例の液体洗浄剤は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように水でバランスして調製した。各成分は50℃に保温したものを用いた。
【0056】
[液体洗浄剤の製造方法]
まず、200mLビーカーに、(a)成分と、(b)成分又は(b’)成分と、(c)成分又は(c’)成分と、(e)成分とを入れ、マグネチックスターラにより撹拌した。次に、(d)成分を入れて撹拌した。
次いで、全体量(全体量を100質量部とする。)が93質量部になるように水を入れて撹拌した。その後、グリコール酸と水酸化ナトリウムとを加えてpHを調整し、全体量が100質量部になるように残りの水を加えてバランスし、各例の液体洗浄剤をそれぞれ製造した。
なお、水の配合量を示す「バランス」は、液体洗浄剤に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられた残部を意味する。
水酸化ナトリウムの配合量を示す「適量」は、所定量のグリコール酸を配合した後、液体洗浄剤のpH(25℃)を7.0に調整するために配合した水酸化ナトリウムの量を示す。
pH測定は、液体洗浄剤を25℃に調整し、ガラス電極式pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。
【0057】
表中、(a)/(b)は、液体洗浄剤中の(b)成分の含有量に対する、(a)成分の含有量の割合(質量比)を意味する。
[(a)+(b)]/(d)は、液体洗浄剤中の(d)成分の含有量に対する、(a)成分と(b)成分との合計の含有量の割合(質量比)を意味する。
(e)/[(a)+(b)]は、液体洗浄剤中の(a)成分と(b)成分との合計の含有量に対する、(e)成分の含有量の割合(質量比)を意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
【0058】
・(a)成分
a−1:C12直鎖AES、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、上記式(a1)におけるR=炭素数12の直鎖状のアルキル基、n=2、M=ナトリウム。
[a−1の調製例]
4Lのオートクレーブ中に、P&G社製の商品名CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%,質量比)400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、攪拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながら、エチレンオキシド181gを導入し、エチレンオキシドの平均付加モル数2の反応物を得た。なお、前記の「C12/C14」とは、炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの混合物を意味する。
次に、このようにして得たアルコールエトキシレート282gを攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)78gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりa−1を得た。
【0059】
・(b)成分
b−1:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルヘプチル)エーテル硫酸エステルNa、上記式(b1)におけるC2x+1=プロピル基,C2y+1=ペンチル基、x+y=8、p=0、q=3、M=ナトリウムに相当。
[b−1の調製例]
BASF社製「Lutensol XP30」290gを、撹拌装置付の500mLフラスコに取り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりb−1を得た。
【0060】
b−2:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルヘプチル)エーテル硫酸エステルNa、上記式(b1)におけるC2x+1=プロピル基,C2y+1=ペンチル基、x+y=8、p=0、q=4、M=ナトリウムに相当。
[b−2の調製例]
BASF社製「Lutensol XP30」の代わりに、BASF社製「Lutensol XP40」334gを用いた以外は、b−1と同様にして調製した。
【0061】
b−3:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2−プロピルヘプチル)エーテル硫酸エステルNa、上記一般式(b1)におけるC2x+1=プロピル基,C2y+1=ペンチル基、x+y=8、p=1、q=3、M=ナトリウムに相当。
[b−3の調製例]
BASF社製「Lutensol XP30」の代わりに、BASF社製「Lutensol XL40」349gを用いた以外は、b−1と同様にして調製した。
【0062】
・(b)成分の比較成分[以下「(b’)成分」と表す。]
b’−1:ポリオキシエチレンモノ(2−ブチルオクチル)エーテル硫酸エステルNa、上記式(b1)におけるC2x+1=ブチル基,C2y+1=ヘキシル基、x+y=10、p=0、q=2、M=ナトリウムに相当。
[b’−1の調製例]
4Lのオートクレーブ中に、サソール社製の商品名「ISOFOL12」(上記式(b1)におけるC2x+1=ブチル基,C2y+1=ヘキシル基)372gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、攪拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながら、エチレンオキシド181gを導入し、エチレンオキシドの平均付加モル数2の反応物を得た。次に、上記で得られたアルコールエトキシレート274gを、撹拌装置付の500mLフラスコに取り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりb’−1を得た。
【0063】
b’−2:モノ(2−プロピルヘプチル)エーテル硫酸エステルNa、上記式(b1)におけるC2x+1=プロピル基,C2y+1=ペンチル基、x+y=8、p=0、q=0、M=ナトリウムに相当。
[b’−2の調製例]
ヘキシルアルデヒドをアルカリによってゲルベ縮合(二量化)させ、これによって得られた2−プロピルヘプタノール158gを撹拌装置付の500mLフラスコに取り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりb’−2を得た。
【0064】
b’−3:炭素数13の分岐アルコールのエチレンオキシド平均3モル付加品の硫酸化物。
[b’−3の調製例]
BASF社製「Lutensol TO3」332gを、撹拌装置付の500mLフラスコに取り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりb’−3を得た。
【0065】
b’−4:炭素数12〜13の合成アルコールのエチレンオキシド平均3モル付加品の硫酸化物。
[b’−4の調製例]
4Lのオートクレーブ中に、サソール社製の商品名「Safol23」400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、攪拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながら、エチレンオキシド271gを導入し、エチレンオキシドの平均付加モル数3の反応物を得た。次に、上記で得られたアルコールエトキシレート334gを撹拌装置付の500mLフラスコに取り、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりb’−4を得た。
【0066】
・(c)成分
c−1:p−トルエンスルホン酸、協和発酵ケミカル株式会社製、p−トルエンスルホン酸の略称p−TSH。
c−2:クメンスルホン酸ナトリウム、テイカ株式会社製、商品名「テイカトックスN5040」。
c−3:安息香酸ナトリウム、伏見製薬所社製、食品添加物 安息香酸ナトリウム。
c−4:エタノール、純正化学株式会社製、試薬特級。
【0067】
・(c)成分の比較成分[以下「(c’)成分」と表す。]
c’−1:ポリエチレングリコール、ライオン(株)製、商品名「PEG#1000」。
【0068】
・(d)成分
d−1:AX、C12アルキルジメチルアミンオキシド(ライオンアクゾ社製、商品名「アロモックスDM12D−W」)。
d−2:HSB、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、略称C12ヒドロキシスルホベタイン(花王株式会社製、商品名「アンヒトール 20HD」)。
【0069】
・(e)成分
e−1:C12MEA(2)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、上記式(e1)におけるR=炭素数11の直鎖状のアルキル基、m=2。略称LME(2)。
[e−1の調製例]
ラウリン酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−12」)214gに、モノエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)64.1gと、ソジウムメチラート(株式会社日本触媒製、商品名「SM−28」、28質量%品)7.7g(1.0質量%対脂肪酸メチルエステル)とを加え、副生するメタノールを、減圧下留去しながら加熱攪拌(40Pa〜1.3kPa、90℃、1時間)し、反応圧力が1.3kPaに到達した時点で、反応温度90℃で3時間熟成し、ラウリン酸モノエタノールアミド240gを調製した。
得られたラウリン酸モノエタノールアミドを1L容オートクレーブに仕込み、エチレンオキシドをラウリン酸モノエタノールアミドに対して1.0モル分仕込み、90℃で2時間かけて付加反応を行い、C12MEA(2)を得た。
【0070】
e−2:C10MEA(2)、ポリオキシエチレンカプリン酸モノエタノールアミド、上記式(e1)におけるR=炭素数9の直鎖状のアルキル基、m=2。略称CME(2)。
[e−2の調製例]
C10MEA(2)は、ラウリン酸メチルの代わりにカプリン酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−10」)を用いた以外は、C12MEA(2)と同様にして調製した。
【0071】
・その他の成分
グリコール酸:デュポン社製、商品名「グリピュア70」。
水酸化Na:水酸化ナトリウム、鶴見曹達(株)製。
水:水道水。
【0072】
<液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表に併記した。
【0073】
[低温安定性の評価]
各例の液体洗浄剤100mLを、直径50mm、高さ100mmの円筒ガラス瓶に充填し、フタを閉めて密封した。この状態で、−5℃(低温条件)の恒温槽内で1ヶ月間保存した後の液体洗浄剤の外観を、目視により観察し、下記の評価基準(◎〜○が合格範囲)に基づいて、液体洗浄剤の低温安定性(外観)を評価した。
(評価基準)
◎:均一透明であった。
○:析出が生じていたものの、その析出物の円筒ガラス瓶中に存在している量が、円筒ガラス瓶の全体積の微量〜5%未満であった。
△:析出が生じており、その析出物の円筒ガラス瓶中に存在している量が、円筒ガラス瓶の全体積の5%以上10%未満であった。
×:析出が生じており、その析出物の円筒ガラス瓶中に存在している量が、円筒ガラス瓶の全体積の10%以上であった。
【0074】
[泡立ちの速さの評価]
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、水38gと各例の液体洗浄剤2gとを採り、5回手で揉んだ後の状態(泡の立ち具合)を、下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果が◎◎、◎、○のものを、泡立ちの速さが良好であるとした。
(評価基準)
◎◎:スポンジの表面全体から泡が溢れていた。
◎:スポンジの表面全体を泡が覆い尽くしていた。
○:スポンジ表面を覆う泡の割合が、スポンジの表面積の80%以上、100%未満であった。
△:スポンジ表面を覆う泡の割合が、スポンジの表面積の50%以上、80%未満であった。
×:スポンジ表面を覆う泡の割合が、スポンジの表面積の50%未満であった。
【0075】
[すすぎ性の評価]
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、水38gと各例の液体洗浄剤2gとを採り、当該スポンジを5回手で揉んで泡立たせた。泡立たせたスポンジで、陶器皿5枚(φ=23cm)を、その陶器皿表面に円を描くように5回擦った。次に、泡が残存する陶器皿を、水道水(流速100mL/s、25℃)ですすいでいる間に、泡がなくなってから、指でヌルツキが感じられなくなるまでの時間を測定した。
そして、下記の評価基準に基づいてすすぎ性を評価した。◎、○のものを、すすぎ性が良好であるとした。
(評価基準)
◎:30秒以内であった。
○:31〜35秒の範囲内であった。
△:36〜40秒の範囲内であった。
×:41秒以上であった。
【0076】
[泡の持続性の評価]
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、水38gと各例の液体洗浄剤2gとを採り、3回手で揉んだ。その後、当該スポンジと、オリーブ油1gと水5gとを載せた陶器皿(φ=23cm)とを接触させて、汚れとスポンジとを馴染ませた。
その後、スポンジを陶器皿に押さえつけた状態で、その陶器皿表面に円を2周描くように動かして擦り洗いを施した。そして、泡が陶器皿表面全体の5%になった時点を終点とし、当該終点までに洗い終えた陶器皿の枚数を求め、泡の持続性を評価した。
【0077】
[洗浄済み実感の評価]
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、水38gと各例の液体洗浄剤2gとを採り、オリーブ油1gと水5mLとを載せた陶器皿(φ=23cm)を、当該スポンジで擦りながら洗浄した。当該洗浄は、陶器皿(φ=23cm)の一面に5回円を描くように、次いで他方の面に2回円を描くように、最後に当該陶器皿の周囲を1周、それぞれスポンジで擦る方法により行った。
そして、洗浄中の陶器皿の洗浄済み実感について、下記の評価基準に基づいてパネラー10名による評価を行い、その10名の平均値を算出した。
(評価基準)
2点:洗浄中に、陶器皿から汚れが落ちたことが、スポンジと陶器皿との間における摩擦の変化によってはっきりと感じられた。
1点:洗浄中に、陶器皿から汚れが落ちたことが、スポンジと陶器皿との間における摩擦の変化によって感じられた。
0点:洗浄中に、スポンジと陶器皿との間における摩擦の変化が感じられなかった。
尚、評価基準の2点及び1点の場合、スポンジと陶器皿との間に摩擦を感じた時点で擦り洗いを中断し、泡が残存する陶器皿を水道水(流速100mL/s、25℃)で5秒間すすぎ、陶器皿から汚れが落ちているかどうかについて確認した。その結果、いずれの場合も、油による皮膜がなく、油の残留による手で触ったときのぬるつきも感じられず、陶器皿から汚れが落ちていた。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
表に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜25の液体洗浄剤は、低温安定性が良好であると共に、泡立ちが速いことが分かる。
加えて、実施例1〜25の液体洗浄剤は、すすぎ性が良好であることが分かる。
【0083】
表4に示す結果から、実施例20、21〜23の液体洗浄剤の評価結果から、(d)成分をさらに含有することにより、洗浄済み実感が得られるようになることが分かる。
(e)成分をさらに含有する実施例24、25の液体洗浄剤は、泡の持続性がより良好であることが分かる。
また、縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、25℃水道水38gと液体洗浄剤2gとを採り、数回手で揉んだ後、この泡立てたスポンジを用いて、牛脂がタッパ容器内面に塗布された汚垢モデルを家庭で通常行われる方法と同様にして洗浄する試験を行った結果、いずれの実施例の液体洗浄剤も油汚れに対する洗浄力は良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(a1)で表される化合物(a)と、
下記一般式(b1)で表される化合物(b)と、
芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、及び炭素数2〜4のアルコールからなる群より選択される少なくとも一種(c)と
を含有し、
(a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下であることを特徴とする液体洗浄剤。
【化1】

[式(a1)中、Rは炭素数8〜24の直鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜24の直鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表す。nはEOの平均繰返し数を表し、1〜5の数である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。式(b1)中、xとyはそれぞれ1〜7の整数であり、x+y=8である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を表す。pはPOの平均繰返し数、qはEOの平均繰返し数を表し、p+qは1〜10である。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。]
【請求項2】
両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(d)をさらに含有することを特徴とする、請求項1記載の液体洗浄剤。

【公開番号】特開2012−233077(P2012−233077A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102350(P2011−102350)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】