説明

液体混入装置

【課題】並列に接続された混入器から供給される2種類の液体を液体供給手段から供給される液体に確実に所定量混入できる液体混入装置を提供する。
【解決手段】液体供給手段2が供給する液体に第1の液体3を混入する第1混入器4を設ける。また、液体供給手段2が供給する液体に第2の液体6を混入する第2混入器7を、第1混入器4と並列状態で接続する。第1混入器4および第2混入器7が供給する液体が合流する合流部48を設ける。この合流部48は、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を切り替える弁体49を有し、この弁体49により第1混入器4および第2混入器7が交互に作動する。そして、第1の液体3および第2の液体6が交互に合流し、液体供給手段2が供給する液体に第1の液体3および第2の液体6の2種類の液体を所定量混入できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給手段から供給される例えば水等の液体に、液肥や薬液等の2種類の液体を混入させる液体混入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば農園や庭園等では、水等の液体に液肥や薬液等の液体を混入器により所定の比率で混入して混入液を生成し、この混入液を植物等に散布する。
【0003】
前記混入器としては、大径部と小径部とを有する主管路と、液体供給手段から供給される第1の液体が充填された一方の液体室および液肥や薬液等の第2の液体が充填された他方の液体室がピストンによって区切られたシリンダと、前記主管路と前記一方の液体室との間に連結配設された第1の連結管と、前記主管路と前記他方の液体室との間に連結配設された第2の連結管とを有し、ピストンの移動によって第2の液体を主管路の小径部に供給し、第1の液体に第2の液体を所定の比率にて混入する混入液供給機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この特許文献1のように、混入器には、シリンダ内をピストンが移動して前記混入器内で液体が流動することにより混入液を生成するものが多く、このような混入器にて、液体供給手段から供給される液体に対して2種類の液体を混入する場合は、2つの前記混入器を直列状態で接続し、2種類の液体を1種類ずつ順に前記液体供給手段から供給される液体に混入していく方法と、2つの前記混入器を並列状態で接続し、2種類の液体を別個に前記液体供給手段から供給される液体に混入して2種類の混入液を生成し、これらの混入液を合流させる方法とが知られている。
【特許文献1】特開平8−108055号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した2つの混入器を直列状態で接続する方法では、2つの混入器それぞれの作動による抵抗が加わるので、2つの混入器を作動させるための十分な圧力を確保できる高性能なポンプ等が必要であり、十分な圧力を確保し難い。また、2種類の液体を順に混入するので2つの混入器を使用する場合であっても流量を増量し難い。
【0006】
2つの混入器を並列状態で接続する方法では、2つの混入器の作動による抵抗は混入器1つ分程度であり、直列な状態での接続に比べて2つの混入器の作動に必要な圧力を確保し易い。また、各混入器にて2種類の混入液を生成し、これらの混入液を合流させるので流量の増加も容易であるが、各混入器から供給される液体は間欠的に供給されるので、これらの液体を合流する際の合流状態が各混入器の作動状態に影響されやすい。つまり、各混入器から間欠的に供給される液体を交互に合流しにくく、液体供給手段から供給される液体に2種類の液体を所定量混入し難い問題が考えられる。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、並列に接続された混入器から供給される2種類の液体を液体供給手段から供給される液体に確実に所定量混入できる液体混入装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された液体混入装置は、液体供給手段から供給される液体に所定量の第1の液体を混入させる第1混入器と、この第1混入器に並列状態で前記液体供給手段に接続されこの液体供給手段から供給される液体に所定量の第2の液体を混入させる第2混入器と、前記第1混入器および前記第2混入器から間欠的に供給される液体が合流する合流部とを備え、前記合流部は、前記第1混入器または前記第2混入器からの液体の供給を切り替える弁体を有し、この弁体により前記第1混入器および前記第2混入器を交互に作動させるものである。
【0009】
請求項2に記載された液体混入装置は、請求項1に記載された液体混入装置において、合流部の弁体は、第1混入器に連通する第1流入口と、第2混入器に連通する第2流入口と、前記第1流入口および前記第2流入口に連通しこれら第1流入口および前記第2流入口から液体が流入する弁室と、この弁室から液体が流出する流出口と、前記弁室内に移動可能に設けられ前記第1流入口および第2流入口を開閉する弁部材とを有し、前記弁部材は、前記第1流入口および前記第2流入口から間欠的に流入する液体による圧力の変化に応じて弁室内を移動し前記第1流入口または前記第2流入口のいずれか一方を開放して他方を閉塞するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、合流部は、第1混入器または第2混入器からの液体の供給を切り替える弁体を有し、この弁体により、前記第1混入器および前記第2混入器を交互に作動させるので、並列状態で接続された前記第1混入器および前記第2混入器から間欠的に供給される液体を確実に交互に合流でき、これら2種類の液体を液体供給手段から供給される液体に確実に所定量混入できる。
【0011】
請求項2に記載された発明によれば、弁体は、第1流入口および第2流入口から間欠的に流入する液体による圧力の変化に応じて弁室内を移動し、前記第1流入口または前記第2流入口の一方を開放して他方を閉塞する弁部材を有するので、簡単な構成で合流部を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図1ないし図4を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1に示されるように、液体混入装置1は、例えば水等の主流となる液体を供給する液体供給手段2を備えている。この液体供給手段2には、図示しない例えばポンプ等の加圧手段が設けられ、液体供給手段2は、図示しない加圧手段にて加圧しながら液体を供給する。
【0014】
また、液体供給手段2には、液体供給手段2から供給される液体に所定量の例えば液肥や薬液等の第1の液体3を混入させる第1混入器4が流入経路5を介して接続されている。さらに、液体供給手段2には、液体供給手段2から供給される液体に所定量の例えば液肥や薬液等の第2の液体6を混入させる第2混入器7が、流入経路5を介して第1混入器4に並列状態で接続されている。
【0015】
並列状態で接続された第1混入器4および第2混入器7は、加圧された状態で液体供給手段2から供給される液体により作動する。これら第1混入器4および第2混入器7は、液体供給手段2から供給される液体が内部で流動することにより駆動する駆動部8と、この駆動部8の駆動により第1の液体3および第2の液体6を吸引する液体吸引部9とを有している。
【0016】
これら第1混入器4および第2混入器7は、各駆動部8に流出経路10がそれぞれ接続され、液体供給手段2から供給された液体を流出経路10へ間欠的に流出する。また、各液体吸引部9には、バイパス経路11がそれぞれ接続され、第1の液体3および第2の液体6をバイパス経路11へ間欠的に流出する。
【0017】
なお、第1混入器4および第2混入器7には、図示しない流量調整手段が設けられており、第1混入器4および第2混入器7から流出させる液体の流量を調整でき、液体供給手段2から供給された液体、第1の液体3および第2の液体6を所定量ずつ間欠的に供給する。
【0018】
図2に示されるように、第1混入器4および第2混入器7の各駆動部8は、円筒状の駆動部本体13とこの駆動部本体13の上部を覆うカバー体14とから形成されている。駆動部本体13の側部には、流入経路5に接続されて駆動部本体13内へ液体を流入する流入路15が設けられ、さらに、流出経路10に接続されて駆動部本体13から液体が流出する流出路16が設けられている。また、駆動部本体13の下端部には、図示しない接続部が形成されており、この図示しない接続部に接続部材17によって液体吸引部9が固定されている。
【0019】
液体吸引部9には、液体吸引部本体18が設けられ、この液体吸引部本体18の側部には、バイパス経路11が接続されている。液体吸引部本体18の下端部には、第1の液体3または第2の液体6が貯留されるタンク等に接続する吸引用ホース19の一端が接続され、この吸引用ホース19の他端には、第1の液体3または第2の液体6を吸引する際に異物の混入を防止する吸引用フィルタ20が設けられている。
【0020】
図3に示されるように、駆動部本体13内には、シリンダ22およびこのシリンダ22内で摺動するピストン23が設けられている。
【0021】
シリンダ22には、外側シリンダ24とこの外側シリンダ24の内側に位置する内側シリンダ25とが形成されている。
【0022】
また、ピストン23には、外側シリンダ24内を摺動する外側ピストン26と、内側シリンダ25内を摺動する内側ピストン27とが形成されている。
【0023】
シリンダ22内には、シリンダ22およびピストン23にて、流入路15に連通する第1流入部28および流出路16に連通する第2流入部29が形成されている。
【0024】
また、外側ピストン26には、第1連通口30および第2連通口31,32が形成されている。第1連通口30は、第1流入部28と第2流入部29とを連通させるものである。第2連通口31,32は、第2流入部29と流出路16とを連通させるものである。
【0025】
さらに、シリンダ22内には、ピストン23の摺動とともにシリンダ22内を移動する切替ロッド34が設けられている。この切替ロッド34には、切替ロッド34と一体的にシリンダ22内を移動する固定部材35が固定されている。この固定部材35には、切替ロッド34および固定部材35と一体的にシリンダ22内を移動する第1開閉弁36および第2開閉弁37,38が固定されている。第1開閉弁36は第1連通口30を開閉し、第2開閉弁37,38は第2連通口31,32を開閉するものである。これら第1開閉弁36および第2開閉弁37,38は、切替ロッド34および固定部材35とともに移動することにより、それぞれが第1連通口30および第2連通口31,32に接離し、第1連通口30および第2連通口31,32を開閉する。
【0026】
また、切替ロッド34には、切替機構40が設けられている。この切替機構40は、図示しないバネにより固定部材35をピストン23に対して上下方向に移動させ、第1開閉弁36および第2開閉弁37,38による第1連通口30および第2連通口31,32の開閉状態を切り替えるものである。また、この切替機構40は、切替ロッド34に対してピストン23が上下方向に移動することにより作動する。
【0027】
駆動部本体13の下端部に設けられた液体吸引部9の液体吸引部本体18内には、吸引用シリンダ41が設けられている。この吸引用シリンダ41内には、吸引用ホース19に連通し吸引された液体が流入する流入口42と、バイパス経路11に連通し液体が流出する流出口43とが設けられている。また、吸引用シリンダ41内には、流入口42に接離して流入口42を開閉する逆止弁44が設けられている。この逆止弁44は、流入口42から吸引用シリンダ41内へ液体が流入しようとすると、流入口42から離間して流出口43を開放し、吸引用シリンダ41内から流入口42へ液体が流出しようとすると、流出口43に接触して流出口43を閉塞するものである。
【0028】
さらに、吸引用シリンダ41内には、吸引用シリンダ41内を移動する吸引用ピストン45が設けられている。この吸引用ピストン45は、吸引用シリンダ41よりやや小径に形成され、吸引された液体を流出口43の方向へのみ流動させる図示しないシールが設けられている。また、この吸引用ピストン45は、棒部材46を介してピストン23に接続され、ピストン23の摺動にともなって吸引用シリンダ41内を移動する。そして、吸引用ピストン45の移動により、流入口42から吸引用シリンダ41内へ液体が流入し、流出口43からバイパス経路11に液体が流出される。
【0029】
流出口43に連通したバイパス経路11は、合流部48に接続されている。そして、液体吸引部9にて吸引された第1の液体3および第2の液体6は、間欠的に合流部48に流出されて合流する。
【0030】
合流部48には、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を自動的に切り替える弁体49が設けられ、この弁体49により、第1混入器4および第2混入器7を交互に作動させ、第1の液体3および第2の液体6を交互に流入させて合流させる。
【0031】
図4(a)および(b)に示されるように、弁体49には、バイパス経路11を介して第1混入器4に連通し第1混入器4から間欠的に供給される液体が流入する第1流入口50と、バイパス経路11を介して第2混入器7に連通し第2混入器7から間欠的に供給される液体が流入する第2流入口51とが設けられている。第2流入口51は、流出口54を中心にして第1流入口50側に突出して形成され、第1流入口50と第2流入口51とは、流出口54を中心に非対称に位置している。
【0032】
これら第1流入口50および第2流入口51は、弁室52に連通し、第1流入口50および第2流入口51から弁室52へ液体が流入する。
【0033】
弁室52内には、弁室52内で移動可能な円盤状の弁部材53が設けられている。この弁部材53は、第1流入口50および第2流入口51から間欠的に流入する液体による圧力の変化に応じて弁室52内を自動的に移動し、第1流入口50または第2流入口51のいずれか一方を開放して他方を閉塞する。
【0034】
つまり、第1流入口50から間欠的に流入する液体によって弁部材53にかかる圧力が、第2流入口51から間欠的に流入する液体によって弁部材53にかかる圧力より大きい場合は、図4(a)のように、第1流入口50を開放して第2流入口51を閉塞する。また、第2流入口51から間欠的に流入する液体によって弁部材53にかかる圧力が、第1流入口50から間欠的に流入する液体によって弁部材53にかかる圧力より大きい場合は、図4(b)のように第2流入口51を開放して第1流入口50を閉塞する。
【0035】
このように、弁部材53が第1流入口50または第2流入口51のいずれか一方を開放して他方を閉塞することにより、弁体49が抵抗となり、第1混入器4および第2混入器7が交互に作動し、第1の液体3または第2の液体6が交互に弁体49の弁室52へ流入して合流する。
【0036】
弁室52には、液体が流出する流出口54が設けられ、この流出口54には、混入経路57が接続されている。
【0037】
混入経路57は、流出経路10に接続され、合流部48にて第1の液体3および第2の液体6が合流した液体は、混入経路57を通って流出経路10へ流入し、流出経路10にて液体供給手段2から供給された液体に混入される。
【0038】
流出経路10は、散水経路55に接続され、散水経路55には、例えば散水ノズルやスプリンクラ等の散水手段56が接続されており、液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3および第2の液体6が所定量混入された混入液は、散水手段56から散水される。
【0039】
なお、第1混入器4および第2混入器7は、液体供給手段2から供給される液体に第1の液体3または第2の液体6を所定量混入できるものであれば、上記の構成には、限定されない。
【0040】
また、合流部48の弁体49は、第1流入口50および第2流入口51から間欠的に流入する液体による圧力の変化にて弁室52内で弁部材53が移動し、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を切り替える構成としたが、このような構成には限定されず、第1混入器4および第2混入器7の作動状態に連動して第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を切り替えられる構成であれば、例えば、センサーを設けて供給を切り替える構成等でもよい。
【0041】
さらに、弁体49は、第1流入口50と第2流入口51とが流出口54を中心に非対称に位置する構成としたが、このような構成には限定されず、例えば第1流入口50と第2流入口51とが流出口54を中心に対称に位置する構成でもよい。
【0042】
また、弁部材53は、円盤状の形状としたが、第1流入口50および第2流入口51から間欠的に流入する液体による圧力の変化にて弁室52内で移動するものであれば、弁部材53の形状は限定されない。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
【0044】
液体混入装置1により、例えば水等の主流となる液体に、液肥や薬液等の2種類の液体を混入する際には、まず、主流となる液体を液体供給手段2から加圧した状態で第1混入器4および第2混入器7へ供給する。
【0045】
第1混入器4および第2混入器7は並列状態で接続されているので、液体供給手段2から供給された液体は、第1混入器4および第2混入器7の各駆動部本体13内へほとんど同時に流入し、第1混入器4および第2混入器7が作動する。
【0046】
第1混入器4および第2混入器7の各駆動部本体13内では、第1連通口30が第1開閉弁36にて閉塞され、第2連通口31,32が開放されている。
【0047】
この状態で、液体供給手段2から液体が供給されると、流入路15から第1流入部28へ液体が流入する。第1連通口30が閉塞されているので、第1流入部28に流入した液体により、外側ピストン26が押し上げられ、ピストン23がシリンダ22内を上方へ摺動する。
【0048】
ここで、ピストン23の摺動にともなって、吸引用ピストン45が吸引用シリンダ41内を上方へ移動する。この吸引用ピストン45の移動による負圧にて、第1の液体3または第2の液体6が吸引され、流入口42から吸引用シリンダ41内へ吸引された液体が流入する。
【0049】
ピストン23が上方へ摺動していくと、切替ロッド34がシリンダ22内の上端部に接触して係止される。この切替ロッド34の係止により、切替ロッド34に固定された固定部材35およびこの固定部材35に固定された第1開閉弁36および第2開閉弁37,38の移動が停止する。
【0050】
一方、ピストン23は、流入する液体によりそのまま押し上げられ、切替ロッド34に対してピストン23が上方へ移動する。切替ロッド34に対してピストン23が上方へ移動すると、切替機構40が作動して、切替機構40がピストン23に対して下方へ移動する。この切替機構40の下方への移動により、固定部材35も下方へ移動し、第1開閉弁36および第2開閉弁37,38がピストン23に対して下方へ移動する。第1開閉弁36および第2開閉弁37,38がピストン23に対して下方へ移動すると、第1連通口30が開放され、第2連通口31,32が閉塞される。
【0051】
第1連通口30が開放され、第2連通口31,32が閉塞されると、液体は、第1連通口30を通って第1流入部28から第2流入部29へ流入する。
【0052】
第2流入部29へ液体が流入すると、外側ピストン26には、液体によって第1流入部28側および第2流入部29側の両側から圧力がかかる。液体により外側ピストン26の第1流入部28側および第2流入部29側にかかる圧力は等しく、圧力のかかる面積は、第2流入部29側の方が第1流入部28側より大きいので、第2流入部29側から第1流入部28側への力の方が大きくなり、ピストン23が押し下げられてシリンダ22内を下方へ摺動する。
【0053】
ここで、ピストン23の下方への摺動にともなって、吸引用ピストン45が吸引用シリンダ41内で下方へ移動する。吸引用ピストン45が下方へ移動すると、吸引用シリンダ41内の液体が流入口42の方向へ押し下げられるが、逆止弁44が作用して流入口42を閉塞し、吸引用シリンダ41内の液体が流入口42から流出するのを防止する。流入口42から流出できない液体は、吸引用シリンダ41と吸引用ピストン45との間を通って、吸引用シリンダ41内の吸引用ピストン45より上方へ移動する。
【0054】
ピストン23が下方へ摺動していくと、切替ロッド34がシリンダ22内の下端部に接触して係止される。この切替ロッド34の係止により、切替ロッド34に固定された固定部材35およびこの固定部材35に固定された第1開閉弁36および第2開閉弁37,38の移動が停止する。
【0055】
一方、ピストン23は、そのまま押し下げられ、切替ロッド34に対してピストン23が下方へ移動する。切替ロッド34に対してピストン23が下方へ移動すると、切替機構40が作動して、切替機構40がピストン23に対して上方へ移動する。この切替機構40の上方への移動にともなって、固定部材35も上方へ移動して第1開閉弁36および第2開閉弁37,38がピストン23に対して上方へ移動する。第1開閉弁36および第2開閉弁37,38がピストン23に対して上方へ移動すると、第1連通口30が閉塞され、第2連通口31,32が開放される。
【0056】
第2連通口31,32が開放されると、第2流入部29の液体は、第2連通口31,32を通って流出路16へ流出し、液体供給手段2から供給された液体が、流出路16から流出経路10へ所定量流出される。
【0057】
また、第1連通口30が閉塞されているので、流入路15から第1流入部28へ流入する液体により外側ピストン26が押し上げられ、ピストン23がシリンダ22内で上方へ摺動する。
【0058】
ピストン23の摺動にともなって、吸引用ピストン45が吸引用シリンダ41内を上方へ移動する。吸引用シリンダ41内の吸引用ピストン45より上部には吸引した液体があり、この液体は、上方へ移動する吸引用ピストン45に押し出されるように、吸引用シリンダ41の流出口43からバイパス経路11へ所定量流出される。さらに、吸引用ピストン45の上方への移動により、第1の液体3または第2の液体6を吸引して流入口42から吸引用シリンダ41内へ液体が流入する。
【0059】
そして、駆動部本体13および液体吸引部9では、上記のような作動を繰り返し、液体供給手段から供給される液体、第1の液体3および第2の液体6を所定量ずつ間欠的に流出する。
【0060】
第1混入器4および第2混入器7から各バイパス経路11へ所定量ずつ間欠的に流出された第1の液体3および第2の液体6は、合流部48へ流入する。
【0061】
このようにバイパス経路11が設けられることにより、駆動部本体13内に液体供給手段2から供給された液体以外の液体が流入しないので、メンテナンスが容易でありかつ液肥や薬液等の第1の液体3および第2の液体6により駆動部本体13内が損傷するおそれを防止できる。
【0062】
合流部48は、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を自動的に切り替える弁体49を有している。この弁体49により、第1混入器4および第2混入器7を交互に作動させ、第1混入器4および第2混入器7から供給される液体を交互に流入させて合流させる。
【0063】
合流部48での液体の合流の際に、液体が第1流入口50から弁室52へ流入する場合は、弁部材53が第2流入口51側に接触し、第2流入口51が閉塞され、第1流入口50が開放されている。そして、第1混入器4および第2混入器7からは所定量ずつ間欠的に液体が供給されるので、所定量の第1の液体3が供給されると、第1流入口50から流入する液体によって弁部材53にかかる圧力より、第2流入口51から流入する液体によって弁部材53にかかる圧力の方が大きくなる。このように弁部材53にかかる圧力が変化することにより、弁部材53は、第1流入口50側へ移動して第2連通口31を開放して第1連通口30を閉塞し、第2混入器7からの液体の供給に切り替える。さらに、第2混入器7から所定量の液体が供給されると、上記と同様に第1混入器4からの液体の供給に自動的に切り替える。このように、第1流入口50および第2流入口51から間欠的に流入する液体の弁部材53への圧力の変化に応じて弁部材53が弁室52内で移動し、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給の切り替えを自動的に繰り返す。
【0064】
弁体49が第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給の切り替えを繰り返すことにより、流入する液体に対して弁体49が抵抗となるので、第1混入器4および第2混入器7が交互に作動して、第1の液体3または第2の液体6を交互に弁体49の弁室52へ流入させることができる。
【0065】
そして、合流部48では、第1混入器4および第2混入器7から間欠的に供給される第1の液体3および第2の液体6が所定量ずつ合流できる。
【0066】
第1の液体3および第2の液体6が合流した液体は、流出口54から混入経路57を介して流出経路10へ流入する。
【0067】
流出経路10では、液体供給手段2から供給された液体に、第1混入器4および第2混入器7の2種類の液体が混入される。
【0068】
混入液は、流出経路10に接続された散水経路55を通って散水手段56に供給され、散水手段56から散水される。
【0069】
このように、合流部48は、第1混入器4または第2混入器7からの液体の供給を自動的に切り替える弁体49を有し、この弁体49により、第1混入器4および第2混入器7を交互に作動させるので、並列状態で接続された第1混入器4および第2混入器7から間欠的に供給される第1の液体3および第2の液体6を確実に交互に所定量ずつ合流部48に流入させて合流でき、第1の液体3および第2の液体6の2種類の液体を液体供給手段2から供給される液体に確実に所定量混入できる。
【0070】
また、弁体49は、第1流入口50および第2流入口51から間欠的に流入する液体による圧力の変化に応じて弁室52内を移動し、第1流入口50または第2流入口51のいずれか一方を開放して他方を閉塞する弁部材53を有するので、第1混入器4および第2混入器7から間欠的に供給される液体の流入に確実に対応でき、例えば複雑な構成の装置等を用いず簡単な構成で合流部48を形成できる。
【0071】
さらに、第2連通口31が弁室52内で第1連通口30側に突出して形成され、第1連通口30と第2連通口31とが流出口54を中心に非対称に位置することにより、第1連通口30または第2連通口31の一方が開放され、他方が閉塞され易い状態になるので、第1連通口30および第2連通口31の両方から同時に液体が流入したり、一方のみから多く流入したりすることにより混入比率が変化するおそれを防止できる。
【0072】
次に、第2の実施の形態を図5を参照して説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図5に示されるように、第1混入器4および第2混入器7の各液体吸引部9に接続された各バイパス経路11は、第1混入器4および第2混入器7の各駆動部8に接続された流出経路10に接続されている。
【0074】
各バイパス経路11を通って流出経路10に流入した第1の液体3および第2の液体6は、流出経路10にて、液体供給手段2から供給された液体にそれぞれ混入される。
【0075】
流出経路10は、合流部48に接続されており、液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3が混入された液体および液体供給手段2から供給された液体に第2の液体6が混入された液体は、それぞれ合流部48へ交互に流入し、合流部48にて合流されて、液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3および第2の液体6の2種類の液体が混入された混入液が生成される。
【0076】
そして、この混入液は、散水経路55を通って、散水手段56から散水される。
【0077】
このように、第1混入器4および第2混入器7に吸引された第1の液体3および第2の液体6が、第1混入器4および第2混入器7に接続された各流出経路10にて液体供給手段2から供給される液体に混入され、その後、合流部48にて合流させることにより、合流部48へ流入する液体の流量が多くなるので、流入する液体により弁体49の弁部材53にかかる圧力の変化が大きくなり、より確実に液体の供給を自動的に切り替えることができる。したがって、第1混入器4および第2混入器7を交互に作動させ易く、第1混入器4および第2混入器7から供給される各液体をより確実に交互に合流できる。
【0078】
次に、第3の実施の形態を図6を参照して説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0079】
図6に示されるように、第1混入器4および第2混入器7は、流出経路10を介して合流部48に接続され、第1混入器4および第2混入器7から供給される液体は、合流部48にて合流される。
【0080】
ここで、第1混入器4および第2混入器7の各液体吸引部9により吸引された第1の液体3および第2の液体6は、第1混入器4および第2混入器7の各液体吸引部9から各駆動部8へ流入する。そして、駆動部本体13内にて液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3および第2の液体6が混入され、液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3が混入された液体と、液体供給手段2から供給された液体に第2の液体6が混入された液体とが合流部48に交互に流入して合流する。
【0081】
そして、液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3および第2の液体6の2種類の液体が混入された液体は、散水経路55を通って、散水手段56から散水される。
【0082】
このように、第1混入器4内および第2混入器7内にて液体供給手段2から供給された液体に第1の液体3および第2の液体6を混入する構成とすることにより、より簡単な構成で、液体混入装置1を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の液体混入装置における第1の実施の形態を示す配管図である。
【図2】同上液体混入装置における第1混入器および第2混入器を示す平面図である。
【図3】同上液体混入装置における第1混入器および第2混入器の内部を示す断面図である。
【図4】(a)および(b)は同上液体混入装置の弁体を示す断面図である。
【図5】本発明の液体混入装置における第2の実施の形態を示す配管図である。
【図6】本発明の液体混入装置における第3の実施の形態を示す配管図である。
【符号の説明】
【0084】
1 液体混入装置
2 液体供給手段
3 第1の液体
4 第1混入器
6 第2の液体
7 第2混入器
48 合流部
49 弁体
50 第1流入口
51 第2流入口
52 弁室
53 弁部材
54 流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給手段から供給される液体に所定量の第1の液体を混入させる第1混入器と、
この第1混入器に並列状態で前記液体供給手段に接続されこの液体供給手段から供給される液体に所定量の第2の液体を混入させる第2混入器と、
前記第1混入器および前記第2混入器から間欠的に供給される液体が合流する合流部とを備え、
前記合流部は、前記第1混入器または前記第2混入器からの液体の供給を切り替える弁体を有し、この弁体により前記第1混入器および前記第2混入器を交互に作動させる
ことを特徴とした液体混入装置。
【請求項2】
合流部の弁体は、第1混入器に連通する第1流入口と、第2混入器に連通する第2流入口と、前記第1流入口および前記第2流入口に連通しこれら第1流入口および前記第2流入口から液体が流入する弁室と、この弁室から液体が流出する流出口と、前記弁室内に移動可能に設けられ前記第1流入口および第2流入口を開閉する弁部材とを有し、
前記弁部材は、前記第1流入口および前記第2流入口から間欠的に流入する液体による圧力の変化に応じて弁室内を移動し前記第1流入口または前記第2流入口のいずれか一方を開放して他方を閉塞する
ことを特徴とした請求項1記載の液体混入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189925(P2009−189925A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31772(P2008−31772)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(391035669)株式会社イーエス・ウォーターネット (7)
【Fターム(参考)】