説明

液体漂白剤組成物

【課題】優れた除臭効果を有する液体漂白剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ショウガ科Amomum(アモマム)属植物の抽出物、
(B)ノニオン界面活性剤、及び
(C)過酸化水素含有する液体漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料等に用いることができる液体漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の衛生意識の向上や清潔志向の高まりにより、例えば衣料用漂白剤分野においても、除臭効果を付与することが期待されてきた。
衣料用漂白剤には、塩素系と酸素系漂白剤があるが、現在の主流漂白剤は酸素系漂白剤である。塩素系漂白剤は、除臭効果が付与されるものの、主流になっていない原因として、色柄物には使用できないこと、においが強すぎることがあげられる。
一方酸素系漂白剤には、粉末と液体タイプがあるが、液体タイプは汚れに直接塗布したりすることができること、粉末のように溶かさないで済むなどの利便性があることより、酸素系漂白剤の主流となっている。除臭基材において、粉末タイプは過炭酸ナトリウムであるが、非危険物化を行えば、配合量に制限はない。しかし液体漂白剤の主基材である過酸化水素は家庭品で配合できる最大量が6%以下と決められている。
【0003】
したがって除臭効果としては、必ずしも充分ではなく、低濃度で効果の高い基材が必要となってきている。一方、一般家庭向けの洗浄剤において、除菌効果を付与するために、安全性、低環境負荷を考慮して植物由来の成分による殺菌・抗菌成分を配合した洗浄剤等も提案されてきた。例えば、ヒノキ油を含有する洗浄剤(特許文献1)、カテキン誘導体を必須成分とする除菌洗浄剤(特許文献2)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載のものは残念ながら実効が明確ではない。
そして、最近になって、ある種の植物抽出物は優れた抗菌・防腐作用を有することが開示された(特許文献3、4、5)。これらの植物抽出物は、種々の組成物中での防腐作用に対しては充分な効力を発揮できる。また、植物抽出物は、安全性が高く、低環境負荷であり、この点においても有利である。
また、液体の漂白剤においては、長期保存により基材の分解による、除臭性能の低下及び過酸化水素が基材を分解することにより、過酸化水素自身の分解も起こってしまい貯蔵容器が膨らんでしまう問題もあった。
尚、本明細書において、「除菌」とは、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効量減少させることをいう。
【0004】
【特許文献1】特開2000−328096号公報
【特許文献2】特開平10−273698号公報
【特許文献3】特開2003−113013号公報
【特許文献4】特願2005−373049号
【特許文献5】特願2005−373050号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、優れた除臭効果を有する液体漂白剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は、鋭意検討の結果、液体漂白剤分野でこれら抽出物の除臭効果に使用できる検討を行い、除臭効果の優れた組成物を開発した。
前記課題を解決するために、本発明の漂白洗浄剤組成物は、(A)ショウガ科Amomum(アモマム)属植物の抽出物、(B)ノニオン界面活性剤、(C)過酸化水素、を含有する。
本発明の液体漂白剤組成物は、さらに(D)フェノール系ラジカルトラップ剤及び/または(E)ホスホン酸系金属イオン捕捉剤を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、優れた除臭効果を奏する液体漂白剤組成物を提供することができる。本発明の組成物はまた、除菌効果にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[(A)成分]
(A)成分の原料であるショウガ科Amomum(アモマム)属植物としては、アモマム・クサンティオイデス(Amomum xanthioides、別名「縮砂」)、アモマム・ツァオコ(A.tsao−ko)、アモマム・キネンセ(A.chinense)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。特にアモマム・クサンティオイデス(Amomum xanthioides)が好ましい。これらの植物の用部に特に限定はないが、地上部を用いることが好ましく、果実部及び種子を用いることが特に好ましい。
【0009】
本発明において、植物抽出物は、植物を生のまま、あるいは乾燥したものを適当な大きさに切断したり、粉砕加工したものから抽出を行うことによって液体状のものとして得ることができる。抽出は、溶媒抽出、水蒸気蒸留、超臨界抽出等、通常工業的に用いられている方法によって行うことができる。抽出溶媒が使用上無害なものであれば、抽出溶媒を除去せずに、抽出液をそのまま液体漂白剤組成物に混合して用いることができる。また、抽出液を適宜な溶媒で希釈した希釈液を液体漂白組成物に混合してもよい。あるいは抽出液を濃縮して、濃縮エキスとしたり、凍結乾燥などにより乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したもの等を用いることもできる。上記植物抽出物を得るために用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、アセトン、モノテルペン類(例えば、dl-リモネン)などの植物の抽出に一般に用いられる有機溶媒、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類及び水などを挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶媒の中でも、エタノール、水、1,3−ブチレングリコール、モノテルペン類やこれらの混合溶剤が望ましく、特にエタノール及び水とエタノールとの混合物が好ましい。水とエタノールとの混合物は、エタノール濃度が 50〜90質量%となるのが好ましく、60〜80質量%となるのがより好ましい。なお、抽出処理は、冷浸、温浸、加熱環流、パーコレーション法などの常法によって行うことができる。溶媒抽出の他に、水蒸気蒸留、炭酸ガスを超臨界状態にして行う超臨界抽出によって得た抽出物(エキス)も同様に利用でき、中でも水蒸気蒸留が特に好ましい抽出方法として挙げられる。超臨界抽出では、抽出助剤としてヘキサン、エタノールなどを用いることもできる。また、植物抽出物は精製してもよい。植物抽出物の精製は、植物抽出物を活性炭処理、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどで行うことができる。なお、上述の植物抽出物を得るための条件、例えば抽出温度、抽出pH等については特に制限することはない。また、植物抽出物としては、上述の抽出方法を用いて抽出された市販製品も好適に利用できる。
【0010】
液体漂白剤組成物中の(A)成分の含有量は、固形分換算で好ましくは0.05〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。0.05質量%以上であることにより、除臭効果はもちろん除菌効果も十分に発揮されるので好ましい。上限値以下であることにより、原料コストに鑑みて、(B)、(C)成分をより多く配合可能になり、結果的に除臭効果に優れるので好ましい。
【0011】
[(B)成分]
(B)成分は、従来より液体漂白剤において使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ノニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド[「アルキル(ポリ)グリコシド」は「アルキルポリグリコシド」と「アルキルグリコシド」の一方あるいは両方を示す]、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特に好ましいものは、下記一般式(1)に示される化合物である。
【0012】
【化1】

【0013】
(式(1)中、R1は炭素数7〜16のアルキル基を示し、nはエチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を示し、5〜30、好ましくは6〜20の数である。)
上記一般式(1)において、R1で示されるアルキル基としては、直鎖状でも、分岐を有するものでもよい。アルキル基の炭素数は7〜16であり、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14である。具体的なアルキル基としては、例えばヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等を挙げることができる。
上記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、1種または2種以上混合して用いることができる。例えばR1が異なる種類である2種以上の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを混合して用いることができる。
【0014】
液体漂白剤組成物中の(B)成分の配合量は特に制限されるものではないが、通常、液体漂白剤組成物中、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%、さらに特に好ましくは1〜15質量%含有すると好適である。下限値以上にすることにより、性能面で充分な効果が得られ、上限値以下とすることにより、コスト的に有利であり、安定性が向上する。
具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。
(B)成分以外の界面活性剤を併用する場合は、組成物の全量を基準として(B)成分以外の界面活性剤の配合量が好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%が好適である。
【0015】
[(C)成分]
本発明の液体漂白剤組成物においては、(C)成分を必須とする。これにより酸素系の液体漂白剤組成物が得られる。
(C)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、組成物全量(容器質量は除く、以下同様)に対して0.1〜10質量%が好適であり、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜6質量%である。(C)成分の配合量が少なすぎると、充分な漂白性能が得られない場合があり、また多すぎると安全性の面から例えば家庭用として使用し難くなる。
【0016】
[(D)フェノール系ラジカルトラップ剤]
本発明の液体漂白剤組成物において、(D)成分を配合することにより、(A)成分と(C)成分の分解を効果的に抑制できるという効果が得られる。ラジカルトラップ剤としてフェノール系ラジカルトラップ剤を選択的に用いることにより、(A)成分と(C)成分の分解を効果的に抑制できる。は、他のラジカルトラップ剤よりラジカルをトラップする効果が高いためであると推測される。(D)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分としては、フェノール性OH基を有する化合物、又はフェノール性OH基のエーテル誘導体が好ましい。フェノール性OH基のエーテル誘導体とは、当該OH基の水素原子がメチル基もしくはエチル基により置換されて、酸素原子とエーテル結合を形成しているものである。
なお、フェニル基がOH基以外の置換基を有する場合、その置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
【0017】
これらの中でも、フェノール性OH基を有する化合物がより好ましい。
そして、例えば分子量80〜250のものが好ましい。
これらの中でも更に好ましい化合物は、G.E.Penketh,J.Appl.Chem,7,512(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは、0.75V以下の化合物である。これらの化合物の中でも、好ましくはジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等を挙げることができ、これらの中でも特に好ましくは4−メトキシフェノールが挙げられる。
【0018】
以下に、本発明の(D)成分の具体例として、代表的な化合物の構造式を示す。なお、式中に示してあるMeは、メチル基を、Etはエチル基を示す。
【0019】
【化2】




【0020】
【化3】

【0021】
【化4】













【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
(D)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、0.01〜6質量%が好適であり、より好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。0.1質量%未満では(A)成分の分解を抑制するには不充分であり、また、過酸化水素の分解を防止するにも不充分であるおそれがある。また、6質量%を超えると本発明の組成物の安定性が不充分となる場合があり、結晶の析出や液の分離が生じる恐れがある。
【0025】
[(E)成分]
(E)成分である、「ホスホン酸系金属イオン捕捉剤」は、(A)、(C)成分の分解を効果的に抑制できる効果がある。すなわち、組成物中に微量の鉄イオン、又は銅イオンが存在すると、液体漂白剤組成物の安定性が低下し、(A)、(C)成分が分解する場合がある。その結果、(A)成分の性能低下や(C)成分の分解により、ガス発生量が増加し容器の膨らみや亀裂などを引き起こす可能性がある。これら金属イオンの影響を抑制するには、キレート効率の指標として、一般的に用いられているキレート安定度定の対数値(log K)の値が多いほど良いといえる。つまり、(E)成分は、ホスホン構造を有し、Fe3+,Cu2+に対するキレート安定度定数の対数値(log K)がそれぞれ10以上であり、好ましくは12以上である。(E)成分としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体が挙げられる。これらの中でも特に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸などがより好ましい。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の主な市販品としては、例えばオルブライトウィルソン社の製品名BRIQUEST ADPA、キレスト社の製品名キレストPH−210、モンサント社の製品名DEQUEST 2010等が挙げられる。これらの何れを使用しても同様の効果が得られる。(E)成分は、液体漂白剤組成物中に0.05〜3質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.3〜3質量%含有すると好適である。この範囲であると液外観も良好であり、液体漂白剤組成物の安定性、漂白成分の安定性も良好である。
【0026】
[その他の任意成分]
本発明の液体漂白剤組成物には、例えば以下に示す様な、その他の任意成分を適宜配合可能である。
・アニオン界面活性剤
アニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖、または分岐のアルキル硫酸エステル塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩;高級脂肪酸塩等が挙げられる。
なお、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0027】
アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、炭素数8〜16のものが好ましい。α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したものが好ましい。α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。高級脂肪酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アニオン界面活性剤として、特に上記炭素数(8〜24、好ましくは10〜20)のアルキル基やアルケニル基を有するものを使用すると、(A)成分と(D)成分を充分に可溶化でき、液が分離や白濁を示さない液体漂白剤組成物をより容易に得ることができる。
【0028】
・カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩であれば何れのものであっても使用できる。例えば、ジアルキル型第4級アンモニウム塩の場合は、長鎖アルキル基の炭素数は6〜24、特に10〜20が好ましく、短鎖アルキル基の炭素数は1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0029】
・両性界面活性剤
両性界面活性剤としては、例えばカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等を挙げることができ、炭素数は10〜20が好ましい。
【0030】
本発明の液体漂白剤組成物においては、ノニオン界面活性剤やアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤を含有するのが好ましく、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を含有するのがより好ましい。
これらの界面活性剤を使用することにより、(A)成分を安定に可溶化し、液の分離や白濁をより有効に防止することができる。更に被洗物への浸透性が良好で、より高い漂白性能を得ることができる。
特に、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤(特にアルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸系アニオン)を併用すると、特に良好な粘度に調整できるので、特に好ましい。
【0031】
・高分子
本発明の液体漂白剤組成物には、しみ除去性能を向上させる目的で、高分子化合物を配合してもよい。具体的には、ソイルリリースポリマーと呼ばれるもので、アルキレンテレフタレート単位及び/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位を骨格にした高分子化合物である。なお、重合はランダムまたはブロックで重合するが、ブロックで重合したものが好ましい。
アルキレンテレフタレートとしてはエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート及びこれらの混合物が挙げられ、中でもエチレンテレフタレートが好ましい。アルキレンイソフタレートとしてはエチレンイソフタレート、プロピレンイソフタレート、ブチレンイソフタレート及びこれらの混合物が挙げられ、中でもエチレンイソフタレートが好ましい。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン等が挙げられるが、ポリオキシエチレンが好ましい。高分子化合物の質量平均分子量は、また、水への溶解分散性を向上させるために、500以上、好ましくは800以上、特に好ましくは1500以上であると望ましい。また、質量平均分子量の上限値は、8000以下、好ましくは7000以下、特に6000以下が好ましい。この質量平均分子量の範囲で用いると、ポリエステルの油性汚れの塗布漂白洗浄性能が十分に発現し、しかも液体漂白剤組成物の液外観が良好で実使用上好ましい。なお、本明細書において、質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)で溶媒をTHF(テトラヒドロフラン)で測定したとき、PEG(ポリエチレングリコール)を較正曲線に用い換算したときの値である。
【0032】
この様な高分子化合物の製造方法は、各種の文献、教科書及び特許等に開示されている。例えば、Journal of Polymer Science,第3巻,609〜630ページ(1948年)、Journal of Polymer Science,第8巻,1〜22ページ(1951年)、特開昭61−218699号公報に記載の方法を用いることができ、また、それ以外の方法を用いて製造してもよい。これら高分子化合物の具体的例としては、商品名TexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製)、商品名TexCareSRN−300(ドイツ、ClariantGmbH社製)、として市販されているものが挙げられる。特に好ましいのはTexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製)である。この様な好ましい高分子化合物を用いると、水への溶解性が高く、したがって透明感の高い液体漂白剤組成物が得られる。高分子化合物は液体漂白剤組成物中に0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2質量%の範囲で用いられる。この範囲で用いることにより、配合することによって期待できる性能を充分に発現させることができる。また、コストの点でも好ましい。
【0033】
・有機過酸前駆体
有機過酸前駆体を配合すると、さらに漂白効果を向上させることができる。
有機過酸前駆体の代表例としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイ
ルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等を挙げることができる。これらの中でも特にノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸等がより好ましい。
【0034】
・ハイドロトロープ剤
さらに、本発明の液体漂白剤組成物には、香料等の各種成分を安定配合するため、粘度調整剤のため、エタノール、イソプロパノール、フェニルポリオキシエチレンアルコール等の1価のアルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類などのハイドロトロープ剤を配合することができる。
【0035】
・香料
本発明の液体漂白剤組成物には、更に香料を配合することもでき、香料としては、通常、下記香料原料を複数組み合わせ配合した香料組成物が好適に使用される。当該香料組成物の配合量は、組成物全量に対して0.001〜20質量%が好適であり、より好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0036】
本発明の液体漂白剤組成物には、その他、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウムなどの無機塩類や、シリコーン類、蛍光染料、酵素等の、一般に液体洗浄剤組成物や液体漂白剤組成物に配合される成分であれば必要に応じて配合することができる。
【0037】
[最適pH範囲とpH調整剤]
本発明の液体漂白剤組成物は、25℃においてpH3〜8に調整するのが好ましく、さらにpH4〜6に調整するのがより好ましい。pHをこの範囲にすると、本発明の効果に優れ、保存安定性がさらに向上する。pHの調整は、pH調整剤(酸性物質、アルカリ性物質)を適宜選択し、適量添加することにより行うことができる。
アルカリ性物質としては、四ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア(通常は水溶液として用いる)等が挙げられる。酸性物質としては、例えばホウ酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸(通常は水溶液として用いる)等が挙げられる。(A)成分及び(C)成分の安定性等を考慮すると、pH調整剤として四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸が好ましい。
【0038】
[製造方法]
本発明の液体漂白剤組成物の製造方法としては常法が適用可能である。例えば、上記必須とする材料と適宜選択される好ましい材料や任意成分等を、適度な濃度になる様に水に溶解して混合するとともに、上述の様に酸性物質やアルカリ性物質を用いてpHを調整することにより、製造することができる。そして、適当な容器に収納して製品とする。
【0039】
[収納容器]
液体漂白剤組成物を収納する容器としては、特に限定することはなく、一般的に用いられている容器に収納することができる。
例えば、計量キャップを備えたノズル型容器や中栓型容器、自動計量機構または簡易計量機構を備えたスクイズ容器やポンプ容器、液を吹きかけるあるいは泡状に塗布するトリガー容器やスクイズ容器、液を塗りつける塗布面を持った塗布容器、詰め替え容器(パウチ、薄肉ボトル、付け替えボトル等)等が挙げられる。本発明における液体漂白剤組成物を収納する容器は特に規定しないが、過酸化水素製剤を収納する容器として好ましい容器が、例えば特開2003−268398号公報に提示されている。本発明の液体漂白剤組成物においては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、(E)成分の相乗効果によって、優れた除菌効果及び除臭効果が得られる。
【実施例】
【0040】
上述の様にして製造した液体漂白剤組成物を用いて以下の評価を行った
下記の表2、3、4実施例において特に明記のない場合の組成は、「%」は質量%、表中の各成分の量は純分としての配合量を示し、表1〜4は記載成分の配合量で示した。なお、植物抽出物[(A)成分]の配合量は固形物換算で示す。
<植物抽出物の調製例>
〔調製例(縮砂)〕
ショウガ科アモマム属植物としてアモマム・クサンティオイデス(A.xanthioides)を用い、その地上部(果実部)を乾燥、粉砕して粗末とし、粗末10gを70%エタノールに浸漬し、室温で5日間抽出した。残渣をロ別して得られた抽出液を減圧濃縮し、抽出物を得た。
【0041】
[除臭効果評価方法]
液体漂白組成物を使用して、下記洗濯方法に従って繊維類を洗濯、乾燥した後、繊維類の臭いを嗅ぎ、下記評価基準に従って悪臭の除臭効果を評価した。
(1)洗濯方法
家庭で半年間使用した手拭きタオル2枚を各々通常生活で約1日使用した後、2槽式洗濯機(MITUBISHI CW-C30A1-H)に入れ、温度約20℃、硬度約3゜DHの水道水を3L注水し、液体漂白剤組成物を30mL、JIS指標洗剤3gを添加して20分間漬け置きした。その後、温度約20℃、硬度約3゜DHの水道水を27L注水し、JIS指標洗剤12gを添加、10分間洗濯した。1分間脱水後、2分間流水ですすぎ、1分間脱水した。なおJIS指標洗剤は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%,ゼオライト 17%,珪酸ナトリウム5%,炭酸ナトリウム7%,カルボキシメチルセルロースナトリウム 1% ,硫酸ナトリウム 55%を含む。
(2)乾燥方法
洗濯終了後、室温約25℃、湿度90%RHの室内で干して、5時間乾燥を行った。
(3)評価基準
(1)(2)に記した洗濯・乾燥方法で処理したタオルを5名のパネラーで官能評価を行った。下記評価基準を基に点数化し、5名の平均点で判定した。
5:強烈な臭い。
4:強い臭い。
3:楽に感知できる臭い。
2:何のにおいかわかる弱い臭い。
1:かすかに感じられる臭い。
0:臭わない。
このうち、0点以上1点未満を◎、1点以上2点未満を○、2点以上3点未満を△、3点以上を×とした。
【0042】
[除菌活性評価試験]
除菌試験法の概要
(1)試験菌 Escherichia coil IF0 3301(大腸菌)
(2)試験用培地及び試液
NA培地:Nutrient Agar(Difco)
NB培地:Nutrient Broth(Difco)
SA培地:標準寒天培地(栄研化学株式会社)
1/20NB培地:NB培地を滅菌精製水を用いて20倍に希釈したもの
緩衝生理食塩水:A液(Na2HPO4 28.39gを精製水に溶解させ、1000mLにしたもの)72mL、B液(NaH2PO4 23.99gを精製水に溶解させ、1000mLにしたもの)28mL及びNaCl5gを精製水に加えて、1000mLにし、高圧蒸気滅菌(121℃、15分間)したもの
中和液;緩衝生理食塩水1000mLに対してろ過滅菌した10W/V%ポリソルベート80溶液10mL及びろ過滅菌した1mol/L チオ硫酸Na0.4mLを加えた。
硬水;滅菌精製水に硬水濃縮液を33/1000量加えたもの
綿金巾1m(JIS L0803)を非イオン界面活性剤であるPOE、POPアルキルエーテル(商品名EP15030ライオン社製) 5,000ppm、炭酸ナトリウム5,000ppmを1Lに入れ、その後加熱し1時間沸騰。1Lの沸騰水ですすぎ1回、イオン交換水で泡が無くなるまですすいだ後、一晩乾燥した。18mm×18mmのチップに切り、1.00g±0.03g(約29枚)を束にしてオートクレーブした。
【0043】
(3)菌液の調製
試験菌をNA培地に画線し、37±1℃、24±1時間培養後、その1コロニーを佐渡NA培地に移植し、37±1℃、24±1時間培養した。そして培養後の菌体を1/20NB培地5mLに懸濁させ、この懸濁液の濃度を1/20ニュートリエント液体培地をブランクとして660nmにて測定する。懸濁液の一部を下記の濁度となるように1/20ニュートリエント液体培地で希釈して試験菌液を調製する。試験菌液は氷冷下で保存し、8時間以内に使用する。(JIS L1902準拠)なお、大腸菌の調整濁度 0.2±0.02に調整した。
(4)洗剤濃縮液の調製
JIS指標洗剤を滅菌精製水で容器を洗いながら、500mL容滅菌容器に移し、全量が500gになるまで滅菌精製水を加えた。その後速やかにスターラーを用いて、10分間以上攪拌し、溶解させ洗剤濃縮液とした。
【0044】
(5)漂白剤濃縮液の調製
液体漂白組成物10gを100mL容滅菌容器にそれぞれはかりとり、滅菌精製水を全量が100gになるまで加えた。その後、速やかにスターラーを用いて攪拌し、溶解させ、漂白剤濃縮液とした。
(6)洗浄液の調製
洗剤のみの場合、滅菌精製水を14mL、硬水濃縮液を1mL、洗剤濃縮液を15mL加え、洗剤濃度を8000ppmとした。
漂白剤を使用する場合、滅菌精製水を11mL、硬水濃縮液を1mL、洗剤濃縮液を15mL加え、漂白剤濃縮液を3mL加え、洗剤濃度を8000ppm、漂白剤濃度を10000ppmとした。
【0045】
(7)試験操作
(i)洗浄操作
a)洗浄実験
高圧蒸気滅菌した綿布1gに菌液0.2mLを接種し、試験布とした。50mL容の遠心管に洗浄液30mLを入れ、次に試験布を入れた。遠心管のふたを閉め、振幅方向と平行となるように振とう機に設置し、120rpmで1分間浸透した。その後、25±1℃の恒温水槽内で19分間静置した。
(ii) 脱水操作
遠心管のふたを開け、試験布が流れ出ないように洗浄液を捨てた後、さらに注射筒を用いて、試験布の水分を除去した。
(iii) すすぎ操作
脱水後の試験布を25±1℃に保温した硬水30mLを含む新たな遠心管に入れた。遠心管のふたを閉め、振幅方向と平行となるように振とう機に設置し、120rpmで3分間振とうした、この脱水操作を2回繰り返した。
(iv) 中和及び菌体抽出
試験布をストマッカー抽出袋に入れ、ここに中和液50mLを加え、ストマッカー装置で1分間処理し、菌体を抽出した。
(v) 生菌数測定
抽出液の生菌数にはSA培地を用いた、混釈平板培養法(35℃±1℃、2日間培養)により測定し、試験布あたりに換算した。
(vi) 除菌性能(除菌効果)評価基準。
JIS洗剤試料溶液のみを用いた場合の残存菌数をSc(CFU/試験片)、試験試料溶液を用いた場合の残存菌数をSt(CFU/試験片)としたとき、各試験試料の除菌性能(除菌活性)Eを次式で算出した。
E=log(Sc)−log(St)。
このとき、E値が大きいほど除菌性能が高く、以下の基準で各組成物の除菌性能を判定した。
◎:E≧3、○:3>E≧2、×:E<2。
下記表1、2の結果からわかるように、本発明の範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べ、除菌、除臭効果が高い漂白剤組成物であること、実施例6〜11は、保存後でも除菌、除臭効果が高く、しかも安定性に優れた液体漂白剤組成物であることが判明した。なお、比較例1は、(A)成分が配合されていない場合、比較例2は、(C)成分が配合されていない場合、比較例3は、(B)成分に対応する成分が範囲外である場合である。いずれの比較例と対比しても、表1、2に示した結果より、本発明に係る実施例においては、必須成分の相乗効果により、除菌効果、除臭効果に優れることが明らかとなった。また、保存後でも耐えうる良好な結果が得られた。
【0046】
[安定性試験]
本発明の実施例2〜4の液体漂白剤組成物を高密度ポリエチレン製容器(横断面形状がオーバル、内容積575mL、容器胴部の平均肉厚3mm、容器底部の窪み深さ3mm)に500mL充填し、ポリプロピレン製キャップを硬く閉め、50℃の恒温室に1ヵ月放置し、容器の膨らみを目視判定した。また配合直後と保存後の除菌、除臭試験の性能評価を行った。
◎:膨らみは認められない、○:胴部が若干膨らむ、△:胴部が明らかに膨らみさわるとぐらつく、×:底部が飛び出る
【0047】
【表1】



























【0048】
【表2】



















【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)、(C)成分を含有することを特徴とする液体漂白剤組成物。
(A)ショウガ科Amomum(アモマム)属植物の抽出物
(B)ノニオン界面活性剤
(C)過酸化水素
【請求項2】
さらに、(D)フェノール系ラジカルトラップ剤及び/または(E)ホスホン酸系金属イオン捕捉剤を含有する請求項1記載の液体漂白剤組成物。
【請求項3】
(A)ショウガ科Amomum(アモマム)属植物が、アモマム・クサンティオイデス(Amomum xanthioides)、アモマム・ツァオコ(A.tsao−ko)、アモマム・キネンセ(A.chinense)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1又は2記載の液体漂白剤組成物。
【請求項4】
植物抽出物が、水、エタノール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる溶媒を使用して抽出したものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の液体漂白剤組成物。

【公開番号】特開2007−291181(P2007−291181A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118173(P2006−118173)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】