液体物の検査方法及び装置
【課題】デュアルエネルギーCTにより液体物に対して素早く安全検査を行う方法及び装置を提供する。
【解決手段】CTスキャンとデュアルエネルギー像再構成法により、検査される液体物の物理属性を含む一層か多層のCT画像が取得され、そして、画像処理と解析方法により、CT画像から各々検査される液体物の物理属性の値が取得され、最後に、取得された物理属性の値をその液体物の物理属性の参考値と比較して、検査される液体物に麻薬が隠されているかどうかを判断する。なお、CTスキャン方法として、通常の断層CTスキャン技術を含むが、螺旋状CTスキャン技術により実現してもよい。通常の断層CTスキャン技術が利用される際に、一連の特定の位置を設定してスキャンしてもよいし、また、オペレータがDR画像によりスキャン位置を指定してもよい。更に、DR画像に対する自動解析によって、液体部分の位置を確定してCTスキャンを進めてもよい。
【解決手段】CTスキャンとデュアルエネルギー像再構成法により、検査される液体物の物理属性を含む一層か多層のCT画像が取得され、そして、画像処理と解析方法により、CT画像から各々検査される液体物の物理属性の値が取得され、最後に、取得された物理属性の値をその液体物の物理属性の参考値と比較して、検査される液体物に麻薬が隠されているかどうかを判断する。なお、CTスキャン方法として、通常の断層CTスキャン技術を含むが、螺旋状CTスキャン技術により実現してもよい。通常の断層CTスキャン技術が利用される際に、一連の特定の位置を設定してスキャンしてもよいし、また、オペレータがDR画像によりスキャン位置を指定してもよい。更に、DR画像に対する自動解析によって、液体部分の位置を確定してCTスキャンを進めてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検査に関し、特に、デュアルエネルギーCTにより液体物に対して素早く安全検査(セキュリティ検査)を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカの911事件が発生してから、航空分野における安全検査作業がますます重視されている。従来の荷物に対する安全検査の上で、乗客の持つ液体物に対して安全検査する要求も増加している。従って、荷物の中の液体物に対して素早く安全検査を行う有効な方式と手段が早急に必要とされている。
【0003】
従来、液体物の安全検査に使える方法には、化学的な方法、電磁的方法、中性子を用いる方法、放射線を用いる方法というような4種類がある。具体的には、
(1)化学的な方法は、匂い識別と、イオンスキャンと、物質解析とに細かく分けられている。匂い識別は、実際に使用される時には、液体物が封止されているために検査することができない場合が多い。イオンスキャンは、感度がよいことが知られているが、誤検知率が高く、よく背景環境に影響されるという欠点がある。物質解析は、高い精度と確実性を有するという特徴があるが、サンプルを解析する時間がかかるので、現場で素早く検査するというニーズを満足することができない。
(2)電磁的な方法は、能動的な測定方法を用い、液体物によって電磁波に対する誘電率が異なることから、液体物が区分される。電磁的な方法自身は、金属の包装や厚材の包装に影響を受けやすい。そのため、包装材料が複雑な現状では、電磁的な方法の使用はある程度制限されてしまう。
(3)中性子を用いる方法は、使用されるときに、「中性子放射化」現象が発生することになる。つまり、中性子により検査された液体物に放射能が残留する現象である。また、中性子の透過能力がより強いので放射線を遮断することがより困難であり、装置の占有面積が大きくなり、そのため、空港の安全検査システムには適用されていない。
(4)従来、航空分野における安全検査装置には、放射線装置が多い。このような装置において、X線の2次元画像を結像する技術とCTスキャンの3次元画像を結像する技術と
が多く使われている。これらの技術によって物体の構造情報を取得することができるが、液体の中に麻薬が隠されているかどうかを判断できない。それは、麻薬が液体に隠されると、成分だけ変わり、全体の構造が大きく変わることはないからである。
【0004】
以上述べたように、液体物に対して素早く安全検査を行うことについて、化学的な方法と電磁的な方法と中性子を用いる方法には、いずれも素早い安全検査に適しないという特徴がある。X線の2次元画像を結像する技術とCTスキャンの3次元画像を結像する技術
を採用する場合は、構造の情報を含む画像しか取得できず、液体に麻薬が隠されているかどうかを判断するための十分な証拠を提供することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の不都合を回避するために、放射線により液体物に対して素早く安全検査を行う方法と装置を提供することである。これにより、液体物の包装を破らずに、素早く安全検査を行い、検査される液体物の定量情報を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査方法を提供する。検査方法は、検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、デュアルエネルギーCT投影データを得るステップと、投影データに基づいてCT再構成を行い、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を得るステップと、CT画像から検査される液体物の物理属性の値を抽出するステップと、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なものか否かを判断するステップとを含む。
【0007】
本発明の第2態様によれば、物理属性の値は、検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【0008】
本発明の第3態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、スライスCTスキャン方式を採用する。
【0009】
本発明の第4態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、通常の螺旋状CTスキャン方式を採用する。
【0010】
本発明の第5態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、ピッチの大きな螺旋状CTスキャン方式を採用する。
【0011】
本発明の第6態様によれば、スライスCTスキャンを行う前に、予め1組のスキャン位置を設定しておく。
【0012】
本発明の第7態様によれば、スライスCTスキャンを行う前に、まずDR結像を行い被検査物の透過画像を得て、次に透過画像によってCTスキャン位置を確定する。
【0013】
本発明の第8態様によれば、透過画像を得ると、オペレータが入力装置により少なくとも画像の1行を指定してCTスキャン位置とする。
【0014】
本発明の第9態様によれば、透過画像を得ると、画像処理技術により少なくとも画像の1行を自動的に確定してCTスキャン位置とする。
【0015】
本発明の第10態様によれば、透過画像を形成するステップは、放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、被検査物を通り抜けて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を融合して透過画像を形成するステップとを含む。
【0016】
本発明の第11態様によれば、透過画像を形成するステップは、放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像の何れかを選択して透過画像とするステップとを含む。
【0017】
本発明の第12態様によれば、デュアルエネルギー投影データから検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成するステップは、高低エネルギーの投影データに基づいて、2種類の基材の係数に関する投影データを生成するステップと、2種類の基材の係数に関する投影データに基づいて再構成を行って、検査される液体物に対応する2種類の基材の係数を表すCT画像を得るステップと、基材の係数を表すCT画像によって、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を生成するステップとを含む。
【0018】
本発明の第13態様によれば、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像に基づいて検査される液体物の物理属性の値を得るステップは、CT画像から液体部分に対応している画素を抽出するステップと、液体部分に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して検査される液体物の密度と原子番号とするステップとを含む。
【0019】
本発明の第14態様によれば、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なもの否かを判断するステップは、密度と原子番号と、密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出するステップと、差の値が所定の閾値よりも大きければ、検査される液体物に麻薬が含まれているとするステップとを含む。
【0020】
本発明の第15態様によれば、各位置にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、検査される液体物のCT画像を回転させる。
【0021】
本発明の第16態様によれば、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させる。
【0022】
本発明の第17態様によれば、液体物は、いくつかの空間に仕切られている容器に入っている。
【0023】
本発明の第18態様によれば、第17態様の方法は、所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出するステップと、容器が存在する場合はCT画像における特定のマークを検出するステップと、特定のマークに基づいて所定の位置まで容器を回転させるステップとを含む。
【0024】
本発明の第19態様によれば、第16又は18の態様は、検査される液体に関する判断の結果をディスプレイパネルに表示するステップを更に含む。
【0025】
本発明の第20態様によれば、第16又は18の態様は、各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトするステップを更に含む。
【0026】
本発明の第21態様によれば、第16又は18の態様は、各々の検査される液体のCT画像をカラー化するステップを更に含む。
【0027】
本発明の第22態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置を提供する。放射線を放射する放射線源と、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、放射線源と探測・収集装置を制御することによって検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、投影データを得るコントローラと、投影データに基づいて検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置と、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置とを備える。
【0028】
本発明の第23態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは所定の位置によって行う。
【0029】
本発明の第24態様によれば、第22態様は、探測・収集装置は、透過画像を形成できるように、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集し、装置は透過画像における少なくとも1行を指定する装置を更に備え、デュアルエネルギーCTスキャンは、指定された行に基づいて行う。
【0030】
本発明の第25態様によれば、物理属性の値は、少なくとも検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【0031】
本発明の第26態様によれば、第24態様は、放射線源から高エネルギーの射線と低エネルギーの射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成して、装置は高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を融合し、透過画像を形成する装置を更に備える。
【0032】
本発明の第27態様によれば、第24態様は、放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、装置は高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像のいずれかを透過画像として選択する装置を更に備える。
【0033】
本発明の第28態様によれば、透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、オペレータが入力装置により透過画像から少なくとも1行を選択する装置を備える。
【0034】
本発明の第29態様によれば、透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、透過画像の画素値を解析することによって透過画像を分層する装置と、各層の中間行を、デュアルエネルギーCTスキャンを行う行として指定する装置とを備える。
【0035】
本発明の第30態様によれば、投影データに基づいて検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置は、CT画像として、検査される液体物の密度により識別される密度の画像と、検査される液体物の原子番号により識別される原子番号の画像とをCT画像に融合する装置と、CT画像から液体部分に対応している画素を抽出する装置と、液体部分の画素に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して検査される液体物の密度と原子番号とする装置とを備える。
【0036】
本発明の第31態様によれば、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置は、密度と原子番号と、密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出する装置を備え、差の値が所定の閾値よりも大きい場合は、検査される液体物に麻薬が隠されているとする。
【0037】
本発明の第32態様によれば、第24態様は、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、検査される液体物のCT画像を回転させる装置を更に備える。
【0038】
本発明の第33態様によれば、第24態様は、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させる装置を更に備える。
【0039】
本発明の第34態様によれば、第24態様は、いくつかの空間に仕切られ、空間にはそれぞれ液体物が入れられる容器を更に備える。
【0040】
本発明の第35態様によれば、第35態様は、所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出する装置と、容器が存在する場合はCT画像における特定のマークを検出する装置と、特定のマークに基づいて所定の位置まで容器を回転させる装置とを更に備える。
【0041】
本発明の第36態様によれば、第33又は第35態様は、検査される液体に関する判断の結果を表示する表示装置を更に備える。
【0042】
本発明の第37態様によれば、第33又は第35態様は、各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトする装置を更に備える。
【0043】
本発明の第38態様によれば、第33又は第35態様は、各々の検査される液体のCT画像をカラー化する装置を更に備える。
【0044】
本発明の第39態様によれば、第24態様は、検査される液体物が載置される載置機構を更に備え、載置機構に載置された検査される液体物の表面には、オペレータが識別可能ないくつかの区域が分けられている。
【0045】
本発明の第40態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置を提供する。放射線を放射するための放射線源と、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、放射線源と、探測・収集装置とを制御することによって、検査される液体物に螺旋状CTスキャンを行い、それぞれ検査される液体物の少なくとも一つの物理属性の値を表す一組の螺旋状CT画像を形成するコントローラと、液体の螺旋状CT画像の部分を確定するために螺旋状CT画像を解析する装置と、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置とを備える。
【0046】
本発明の第41態様によれば、物理属性の値は、少なくとも検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【発明の効果】
【0047】
本発明の方法と装置を利用すれば、透過画像によりデュアルエネルギーCTスキャンを行うので、検出の速度が向上すると共に、検出の精度が低下することなく、かつ透過画像により液体物には二重の層があるかどうかを判断することもできる。
【0048】
また、測定された密度と原子番号を密度と原子番号の参考値と比較することによって、検査される液体物(例えばお酒など)に麻薬(例えばコカインなど)が隠れているかどうかを判断することができる。
【0049】
また、オペレータが指定された位置のいずれにもデュアルエネルギーCTスキャンを行うことができるので、再検査の操作がやりやすくなる。また、オペレータが必要に応じて新たに検査される液体物を追加することができる。
【0050】
また、複数の検出を同時に行う場合には、区分け容器の使用により検査されるどの液体物が不審なのかを簡便に確定することができる。
【0051】
以下、詳細な説明および図面において、上述した本発明の特徴と利点が一層明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。各図において、同様の参照符号は、異なる図面に示しているが、同様または類似の要素を示している。明確かつ簡単にするために、ここに含まれる既知の機能と構造についての詳細な記述は省略され、そうしないと、本発明の課題が不明確になる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態による検査装置の構造を示す図である。
【0053】
図1に示すように、本実施形態による検査装置は、例えばX線機器のような検査用デュ
アルエネルギーX線を放射する放射線源10と、検査される液体物を検査区域に入れ、放
射線源10からの放射線が透過するように、検査される液体物をZ軸回りに回転させ、昇降可能な載置機構40と、全体にモジュール構造を備えた探測機及びデータ収集機であり、検査される液体物を透過するデュアルエネルギーの放射線を探測しアナログ信号を取得して、デジタル信号に変換することによって液体物の高いエネルギーのX線と低いエネル
ギーのX線に対するスキャンデータを出力するための探測・収集装置30と、システム全
体の各部分の同期作動を制御するためのコントローラ50と、データ収集機により収集されたデータを処理し検査結果を出力するためのコンピュータのデータプロセッサ60とを備える。
【0054】
図1に示すように、放射線源10は、検査される液体物が載置されることが可能な載置機構40の一側に配置され、探測・収集装置30は、載置機構40の他の側に配置されている。探測・収集装置30は、検査される液体物のDRデータ及び多角度の投影データを得るための探測機とデータ収集機を含む。データ収集機には、(電流)積分方式またはパルス(計数)方式で動作できるデータアンプ回路が含まれる。探測・収集装置30では、データ出力用ケーブルがコンピュータのデータプロセッサ60に接続されており、収集されたデータがトリガ指令によりコンピュータのデータプロセッサ60に保存される。
【0055】
なお、検査装置は、金属製の筒状の通路20も含み、載置機構40に設置され、X線の
外への放射を遮断することができる。検査される液体物は、被検査物の通路に放置されている。
【0056】
図2は、図1に示すコンピュータのデータプロセッサ60の構造のブロック図を示している。図2に示すように、データ収集機により収集されたデータは、インターフェースユニット68とバス64を介してメモリ61に格納されている。読み取り専用メモリ(ROM)62にコンピュータのデータプロセッサのスペック情報及びプログラムが格納されている。ランダムアクセスメモリ(RAM)63は、プロセッサ66の動作における各種類のデータを一時的に保存するためのものである。なお、メモリ61には、データ処理するためのコンピュータプログラムと予め作られたデータベースが格納されている。そのデータベースには、各種既知液体物に関する情報、例えば、プロセッサ66により算出された、検査される液体物における液体の密度や原子番号などの属性値と比較するための液体名称、種類、物理属性などの情報が格納されている。内部バス64において、上に述べたメモリ61と、読み取り専用メモリ62と、ランダムアクセスメモリ63と、入力装置65と、プロセッサ66と、表示装置67と、インターフェースユニット68とが接続されている。
【0057】
ユーザが、例えばキーボードやマウスなどの入力装置65により動作命令を入力すると、コンピュータプログラムのコマンドコードがプロセッサ66に命令し、所定のデータ処理アルゴリズムが実行される。データ処理の結果を得た後に、その処理結果は、例えばLCDディスプレイなどの表示装置67に表示され、またはハードコピーの形式で直接プリンタで出力される。
【0058】
図3は、本発明の実施形態によるコントローラ50の構造のブロック図である。図3に示すように、コントローラ50は、コンピュータ60からの指令に基づき放射線源10、載置機構40、探測・収集装置30を制御する制御ユニット51と、制御ユニットにより放射線源10、載置機構40、探測・収集装置30の動作を開始させるトリガ指令を発生するためのトリガ信号発生ユニット52と、トリガ信号発生ユニット52の制御ユニット51の制御により発生するトリガ指令に基づき載置機構40の上昇または下降を駆動する第1駆動モータ55と、載置機構40の移動につれて制御ユニット51に載置機構の高さ情報をフィードバックする高さ情報取得ユニット53と、トリガ信号発生ユニット52の制御ユニット51の制御により発生するトリガ指令に基づき載置機構40の回転を駆動する第2駆動モータ56と、載置機構40の回転において載置機構40の回転角度を取得し、制御ユニット51にフィードバックする角度情報取得ユニット54とを備える。
【0059】
本発明の実施形態によれば、上述した高さ情報取得ユニット53と角度情報取得ユニット54と両方とも光電式エンコーダ(photoelectric encoder)であり、ノイズに強いという利点がある。
【0060】
以上述べたように、メモリ61にはデータベースが格納されている。その中に、例えば液体物の密度と原子番号の参考値のような既知の各種類の液体物の識別情報や物理属性の値がツリー構造で格納されている。図4は、データベースにおいて各種類の液体物の識別情報や属性情報を格納するための構造を示している。
【0061】
例えば、まず、すべてのサンプルは、例えばサブクラス1(酒)、サブクラス2(コーラ)、サブクラス3(ミルク)、…、サブクラスnなどのような複数のサブクラスに分割される。そして、各サブクラスは複数のサブクラスに更に細かく分割される。例えば、サブクラス1(酒)は、サブクラス1.1(ワイン)、サブクラス1.2(蒸留酒)、サブクラス1.3(ビール)、…、サブクラス1.nなどのように細かく分けられている。次に、各サブクラスに対して細分化を続ける。例えば、サブクラス1.2(蒸留酒)が、サブクラス1.2.1(ラム酒)、サブクラス1.2.2(ウィスキー)、サブクラス1.2.3(ウォッカ)、…、サブクラス1.2.n(中国の白酒)に細かく分割され、サブクラスにおける各サンプルの密度と原子番号の参考値の差がある特定の値よりも小さくなるまで、例えばシステムのノイズの測定範囲まで細分化を続ける。その最終的な小クラスが属性構造の葉ノードになる。
【0062】
なお、各葉ノードはすべての親ノードの名称の組み合わせで識別される。例えば、「キューバ産の40度のハバナのラム酒」があり、その識別子と、密度と原子番号の参考値とが一対一に対応している。検査フローにおいて、コンピュータがツリー構造を一階層ずつユーザに展開して、オペレータが一階層ずつ選択することによって識別情報を入力する。例えば、オペレータが1本のキューバ産の40度のハバナのラム酒に関する物理属性の情報を取得したい場合は、酒→蒸留酒→ラム酒→キューバのラム酒→ハバナのラム酒→40度という経路に沿って一階層ずつ選択することができる。
【0063】
オペレータが一階層ずつ選択することにより識別子を入力すると同時に、コンピュータが検索を行う。ユーザが最終的に識別子を確定したときには、それと対応している密度と原子番号の参考値も同時に検索された。
【0064】
図5は、DR結像とCT結像との関係を説明するための模式的な図である。本発明の第1実施形態によって、まず、液体物の液体部分を判断するために液体物のDR結像を行い、次に、検査の速度を上げるように液体部分のある位置のみCT結像を行う。
【0065】
図6と図7は、それぞれDR結像の例を示している。図6に示すように、ある液体物のDR結像を行った後、後述するような画素値に対する解析によって液体物の中の液体の位置を判断する。図6に示すように、該当液体物には1種類の液体しか含まれていない。しかしながら、図7に示すように、液体によって液体の吸収係数が異なるので、液体物に2種類或いはそれ以上の液体が含まれ液体に層ができた場合は、DR結像により取得されたDR画像に対して、画素の解析を行い液体の境界面位置を判断する。また、異なる液体に対してCT結像を行う。
【0066】
図8は、本発明の第1の実施形態による液体物の検査方法の全フローチャートを示している。図8に示すように、例えば、チェックインの間に、乗客の持つ液体物に対して安全検査を行う必要がある。まず、ステップS110において、オペレータは検査される液体物を載置機構40に載せて、乗客の申告書または液体物のラベルから該当する液体物の識別情報、例えば40度のラム酒を取得する。
【0067】
次に、ステップS111において、オペレータがデータベースからその識別情報により密度と原子番号の参考値を検索し取得する。続いて、図6と図7に示すように、DR画像を生成するために、オペレータはスタートボタンを押してDRスキャンを実行する。
【0068】
上に述べたように、DRスキャンを行う目的として、第一には、オペレータが被検査物の内部構造を見えるように検査される液体物の透視画像を取得することであり、第二には、ソフトウェアがDR画像に基づき液体の位置を自動的に識別し次のCT結像を進めることであり、第三には、ユーザがDR画像にCT結像と検査する必要がある位置を指定して次のCT結像を進めることである。以下ではDR結像の詳細について詳しく記述する。
【0069】
説明すべきなのは、DRスキャンを必ず行うわけではない。検査の速度を上げるために、DRスキャンによりCTスキャンを進める代わりに、いくつか所定された位置で直接的にCTスキャンを行う。例えば、検討によると、瓶の底から5cmになるまでCTスキャンを行うと、殆どの液体物の液体の部位を検査することができることが分かった。従って、瓶の底から5cmの高さはスキャン予定の高さとして使ってもよい。なお、オペレータが実務経験から目測によって被検査物の高さを適当に設定することができる。例えば、缶コーラのスキャンの高さを3cmとするが、瓶の底が厚いワインのスキャンの高さを10cmとする。
【0070】
DR画像を取得してから、ステップS113Aにおいて、DR画像を解析して、CT結像のスキャン位置を自動的に確定する(図6と図7に矢印で示す位置)。或いは、ステップS113Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度を向上する。
【0071】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS114において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成し、そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。
【0072】
更に、ステップS115において、コンピュータが解析プログラムを実行することによってCT画像を解析し測定された密度と原子番号を取得する。更に、ステップS116において、測定された密度と原子番号を、データベースから検索された密度と原子番号の参考値に比較して、お互いに一致しているかどうかを判断する。例えば、両者の差が所定の閾値よりも小さいかどうかを判断する。ステップS117において、その差が所定の閾値よりも大きければ、該当する液体物が不審物であることを表している。オペレータに警告し、または検査結果をプリントアウトする。
【0073】
以下、図9〜14を合わせて、上述した各ステップの詳細な動作について詳しく説明する。図9は、DR結像のプロセスのフローチャートを示しているが、図10は、DR結像における探測・収集装置30による収集されたDR画像データの並べ方式を示している。
【0074】
図9に示すように、DR結像のプロセスにおいて、ステップS210に、コンピュータ60からコントローラ50にコマンドを送り、それによって載置機構40が駆動され、通路20に沿って垂直に移動する。コントローラ50は、載置機構が垂直に移動している間に、高さ情報取得ユニット53によって載置機構の高さをリアルタイムで監視する。
【0075】
ステップS211において、コントローラ50は、一定の高さ(例えば1ミリメートル)おきに、探測・収集装置30にトリガ信号を送信する。探測・収集装置30は、そのトリガ信号を受信すると、各探測機の出力信号を収集することによって、高いエネルギーの探索データと低いエネルギーの探索データを取得して、内蔵のバッファに保存する。
【0076】
ステップS212において、載置機構40は指定された高さ、例えば500ミリメートルに達しているかどうかを判断する。達していない場合には、ステップS210に戻り、上に述べた動作を繰り返す。
【0077】
載置機構40が上記所定の高さに達した場合には、コントローラ50は探測・収集装置30にトリガ信号を送信しない。コンピュータ60は、探測・収集装置30から収集された高低エネルギーの探索データを読み取って、DR画像になるようにデータのマトリックスを並べる。DR画像の各画素には、放射線が物体を通り抜ける時の残りの強度が記録され、その強度が低エネルギーの射線強度と高エネルギーの射線強度を含む。
【0078】
上に述べたように、後に続くCT結像されたスキャン位置は、すべてDR画像で確定されたものである。自動識別の方式を使っても、手動指定の方式を使っても、まずDR画像における行番号を取得する。次にコンピュータはその行番号を載置機構の高さに変換して、またコントローラ50にコマンドを与えることによって載置機構40を駆動し指定位置まで移動させる。その後、CT結像を行う。
【0079】
DR結像のフローによれば、DR画像の各行が特定の載置機構40の高さに対応していることが分かった。DR結像をスタートするときに載置機構の高さを0とすると、載置機構が結像している間にどんどん下降され、hミリメートごとに一回の収集をトリガするので、DR画像におけるm行目として、対応する載置機構の高さは−m*hになる。
【0080】
図11は、DR画像に対する処理によるCTスキャンの位置を確定するフローチャートを示している。
【0081】
DR画像において、検査される液体物には、一般に瓶の底と、液体部分と、瓶の首と、瓶の蓋などのいくつの部分が分けられている。画像解析の技術によって、その中の液体の部分(多層は可能)を抽出して各層のCTスキャンでの位置を確定することができる。
【0082】
ステップS310において、DR画像の高低エネルギーのデータを融合し平滑化して、ノイズが小さな単値のDR画像を得る。例えば、高低エネルギーのデータを融合する具体的な方法としては、直接に高低エネルギーのデータの何れかを融合結果として選択してもよいし、また、高低エネルギーのデータに重みを付けて組み合わせてもよい。平滑化の方法としては、ガウスフィルタを使って画像にフィルター処理を実施してもよい。
【0083】
ステップS311において、平滑化されたDR画像における検査される液体物(前景)を抽出して空気(背景)を取り除く。具体的には、閾値を設定して、取り除いた値が該当する閾値以下になる画素を前景画素とし、ほかの画素を背景画素とする。閾値により背景を取り除く理由は、検査される液体物が放射線を遮断したことによって対応するDR画素の値が低くなるためである(DR画像に記録されたのは射線の残りの強度である)。
【0084】
ステップS312において、平滑化されたDR画像における水平の縁部の画素を抽出する。具体的には、DR画像の画素ごとに対して、垂直方向に隣接する画素との差の値を算出する。その差の値がある閾値よりも大きければ、該当画素が水平の縁部の画素に属するものとする。
【0085】
ステップS313において、平滑化されたDR画像における水平の縁部の行を抽出する。水平の縁部の行は、瓶の底と液体との境界、液体と空気との境界、瓶の蓋と空気との境界、又は容器中の多層の液体の間の境界に対応している。具体的には、DR画像の水平方向の各行に対して、その水平の縁部の画素数と前景の画素数との比率を合計して、その比率がある閾値(例えば50%)より大きければ、該当行が水平の縁部の行に属するものとする。
【0086】
ステップS314において、DR画像を垂直に区切り、非液体の区域を排除する。DR画像における水平の縁部の各行は、DR画像を下から上の順に、瓶の底と、液体(密度による多層になる可能性がある)と、瓶内空気(あるとすれば)と、瓶の蓋などという複数の区域に分けている。選択基準を定めることによって非液体の区域を排除することができる。具体的には、
(a)垂直方向においては、行数がある閾値よりも小さい区域が排除される。行数が少ない区域つまり厚さが小さい区域は、瓶の底、瓶の蓋、または容器内の液体と容器の頂部との間の狭い隙間(例えば缶の頂部における空気)である可能性がある。閾値の確定について、具体的に、各種類の液体の包装容器の瓶の底と瓶の蓋と容器内の空気層の厚さを検討することによって行われる。
(b)水平方向においては、各行の前景画素数の平均値がある閾値より小さい区域が排除される。これらの区域は細長い瓶の首に対応している場合がある。閾値の確定について、具体的に、各種類の液体の包装容器の瓶の首の太さを取得することによって行われる。
【0087】
ステップS315において、液体区域(複数ある可能性がある)のCTスキャンの位置を確定して液体の層の位置を決定する。非液体区域を排除した後、残りの区域(複数ある可能性がある)が液体区域と見なしている。これらの区域の高度方向における中心行をCTスキャンの位置として選ぶ。
【0088】
以上、CTスキャンの位置を自動的に確定することについて述べたが、スキャンの位置を手動で指定する場合は、オペレータが入力装置65によってDR画像でCTスキャンする行を、CTスキャンの位置として直接に指定する。
【0089】
図12はCT結像のプロセスを示しており、図13はCT結像におけるCT投影データ並べる方式を示している。
【0090】
図12に示すように、CTスキャンの位置が確定されるとCT結像を実行する。つまり、確定されたCTスキャンの位置において、CT結像を行い被検物の一断層の密度と原子番号に関する画像を生成することによって液体の密度と原子番号の測定を行う。以上述べたように、代表的な場所のみでCTスキャンするので、チェックイン時間を大幅に短くすることができる。
【0091】
ステップS410において、コンピュータ60は、コントローラ50にコマンドを送信することによって、載置機構40を所定の角度で例えば1度の角度で回転させる。コントローラ50は載置機構が回転している間に、角度情報取得ユニット54により載置機構の角度をリアルタイムで監視する。
【0092】
ステップS411において、1度の角度で回転するとコントローラ50が探測・収集装置30にトリガ信号を送信する。探測・収集装置30はそのトリガ信号を受信すると、各探測機の出力信号を一回収集して内蔵のバッファに保存する。
【0093】
次に、ステップS412において、回転角度を累積して一周になったかどうかを判断する。一周になっていない場合は、ステップS410に戻り、上に述べた動作を繰り返す。
【0094】
累積した回転角度が指定角度(例えば360度)になった場合は、ステップS413において回転運動を停止する。コントローラ50は探測・収集装置30にトリガ信号を送信しない。コンピュータ60は、探測・収集装置30から収集された高低エネルギーの探索機の信号を読み取って、図13に示すように、CTの投影データにするために、データのマトリックスのように並べる。CT投影データの各画素には、放射線が物体を通り抜ける時の残りの強度が記録されている。その強度は低エネルギーの射線強度と高エネルギーの射線強度を含む。ステップS414において、コンピュータ60は、デュアルエネルギーの再構成アルゴリズムを利用して、高低エネルギーのCT投影データに基づいて、断層上の密度と原子番号の画像、つまりCT画像を再構成する。CT画像の各画素には、被検物の該当画素に対応する位置の密度と原子番号が記録されている。
【0095】
以下、高低エネルギーのCT投影データから断層画像の再構成について説明する。
<CTの数学的原理>
ある方向θに二次元分布u(x,y)の線積分を行うと、一次元の関数pθ(t)が得られる。その関数は、u(x,y)の角度θに関する投影という。各方向の投影pθ(t)を得られれば、ラドン変換により二次元分布u(x,y)を精度よく算出することができる。投影から二次元分布を得るまでを、再構成という。
【0096】
実際の応用において、X線機器と探測機が物体の周りを一周回ると、物体のあるスライ
スの減衰係数の分布の各方向における投影が検出され、それによって、CTの原理に基づいて物体のスライスの減衰係数の二次元分布を再構成し取得することができる。
<基材の分解モデル>
小型X線安全検査システムにかかるエネルギー範囲内(<200keV)において、物
質線の減衰係数は、次のような式(1)で近似に表される。
【0097】
【数1】
【0098】
式(1)において、fp(E)は、光起電力効果による断面がエネルギーに応じて変化することを表す。fKN(E)は、コンプトン散乱による断面がエネルギーに応じて変化することを表す。fp(E)とfKN(E)とは、既知の解析式を持っている。定数a1とa2は、物質の原子番号と質量数と密度に関係があって、その数式が式(2)と式(3)のように示している。ここで、Zは原子番号、Mは質量数、ρは密度(g/cm3)、nは定数である。
【0099】
各種類の物質の線減衰係数が式(1)における二つの係数a1とa2によって唯一に決まるので二種類の基材を選択してもよい、例えば炭素とアルミニウムであり、基材の線減衰係数の線形結合により他のすべての材料を示す。式(4)のように示している。
【0100】
【数2】
【0101】
但し、μ(E)は任意の材料の線減衰係数、μ1(E)とμ2(E)は選択された二種類の基材の線減衰係数であり、b1とb2は基材の係数という。
【0102】
式(5)に基づいて、特性密度は、原子番号の2倍と質量数との比と、密度との積として定義されている。
【0103】
【数3】
【0104】
二種類の基材の原子番号と特性密度をそれぞれ(Z1,ρ1*)、(Z2,ρ2*)とすると、上の式(1)〜(4)によって任意の材料の原子番号と特性密度の式を推定することができる。
【0105】
【数4】
【0106】
<基材の投影モデル>
通常、X線管から発生するスペクトルが連続スペクトルであり、探索機のX線のスペク
トルに対する応答関数は定数ではない。スペクトルN(E)とエネルギーの応答関数Pd(E)との積をS(E)とし、S(E)を正規化すると以下のようになる。
【0107】
【数5】
【0108】
投影線の投影値を表す式は、次のような積分式になる。
【0109】
【数6】
【0110】
式(9)において、I0とIはそれぞれ放射線が物体に減衰される前と後に探索機により読み取った数値を表す。Emは放射線の最大エネルギーを、Iは放射線が通った経路を表す。
【0111】
式(9)から、つまり実際にシステムが測定した投影値pと二次元分布u(x,y)との関係から、X線は多色性を有し、式(9)はu(x,y)のある直線に沿う線積分を表
すものではないので、CTの数学的原理の要求を満たしていないことが分かる。通常の再構成のアルゴリズムはこのような違いを無視しており、再構成によるu(x,y)画像には、硬化の偽像という杯状の偽像(cupping artifact)が含まれている。
【0112】
従来のデュアルエネルギーCTの方法では、まず通常の再構成により2組のu(x,y)を取得して、次に原子番号と密度などの情報を算出する。しかし、そのようにしても放射線の多色性の影響を解消することができない。本発明では、基材を分解する考え方によってその問題が解決された。
【0113】
式(9)に基材の分解モデルを代入して、基材係数による投影値の式を得ることができる。
【0114】
【数7】
【0115】
上の式における経路1に沿う積分を下の式で表す。
【0116】
【数8】
【0117】
上述した式(11)、(12)の定義によると、B1とB2が基材係数b1(x,y)とb2(x,y)の投影と呼ばれる。各角度に係る全部の基材係数の投影を取得したとすると、CTの再構成の理論によって基材係数b1とb2の分布を再構成し取得することができる。それによって、基材の分解モデルに基づき物体の原子番号と特性密度の分布及び任意のエネルギーに係る線減衰係数の値を算出することができる。
<基材係数の投影の求め方>
デュアルエネルギーCTが二種類のエネルギーに係る投影データを収集すると、次のデュアルエネルギー投影データを得る。
【0118】
【数9】
【0119】
(p1,p2)を測定した後で方程式(13)と(14)により(B1,B2)を求めることができるが、上述した二つの方程式がいずれも対数の積分の方程式なので、解析して求めることができない。非線形性の反復法は、通常計算量が多く、安定な解を得にくい。
【0120】
放射線が厚さd1、d2の基材1、2を通った後で測定されたデュアルエネルギー投影は、次の式で表すことに留意すべきである。
【0121】
【数10】
【0122】
式(13)、(14)を式(15)、(16)と比べて、測定された投影データペア(p1,p2)が同じとすると、基材の投影データペア(B1,B2)と基材厚さの組み合わせ(d1,d2)が全く同じであることが分かった。
【0123】
厚さの異なる組み合わせに係るデュアルエネルギー投影を測定することによって、デュアルエネルギー投影のデータペア(p1,p2)と基材係数の投影データペア(B1,B2)との対応関係を得ることができて、ルックアップテーブルを形成することができる。(p1,p2)により(B1,B2)を算出することによって、複雑な解を求めるプロセスの代わりに、ルックアップテーブルに応じて、線形補間を用いて実現することができる。
【0124】
図14は、液体の属性を測定するプロセスを示している。
【0125】
図14に示すように、ステップS510において、密度画像と原子番号画像を融合し平滑化して、ノイズが小さな単値のCT画像を得る。融合の具体的な方法としては、直接密度画像と原子番号画像の何れかを融合結果として選択してもよい。また、両者に重みを付けて組み合わせてもよい。平滑化の方法としては、ガウシアンフィルタを使って画像にフィルタ処理を実施してもよい。
【0126】
ステップS511において、平滑化されたCT画像における被検物(前景であり、液体及びその包装を含む)を抽出して空気(背景)を取り除く。具体的には、閾値を設定して、取り除いた値が該当する閾値以上になる画素を前景画素とし、ほかの画素を背景画素とする。これは空気の密度と原子番号がほとんど0なのに対して、検査される液体物の密度と原子番号が大きくなるためである。
【0127】
ステップS512において、前景画像から液体画素を抽出する。具体的には、CT画像に対応する二値画像を作成して、前景画素を1とし、背景画素を0とする。そして二値画像に浸食演算(erosion operation)を数回行い、1回に一つの画素が浸食され、最終的に値が1の画素を液体画素とする。これは液体が常に包装物内に入っており、数回の浸食を実施することによって包装物を少しずつ取り除くことができるためである。浸食の回数は、包装物の厚さを確定することにより設定することができる。
【0128】
ステップS513において、今回の測定の出力結果として、CT画像における全ての液体画素の平均密度と平均原子番号を算出する。
【0129】
なお、DR画像の解析により液体が分層していることが確定した場合は、上述したステップを各層の液体に対して実行する。それによって、各層の液体が不審かどうかを判断し、最後に、オペレータに最終的な検査結果を報告する。
【0130】
なお、データベースに液体物の情報が不足のため拡張する必要がある場合がある。言い換えると、データベースにおける各データの内容は、システムを工場から出荷する前にプロバイダにより設定しておいてもよければ、システムを工場から出荷した後でオペレータにより拡張してもよい。例えば、新しい飲み物が市場に登場する場合は、オペレータはその飲み物のサンプルから該当飲み物の密度と原子番号の参考値を生成することができる。図15は、データベースを拡張するプロセスを示している。
【0131】
データベースに一つレコードを入力する基本的な方法では、まず、検査されるサンプルを実測して密度と原子番号の参考値を確定し、次にツリー状の識別システムに唯一の識別子を作成して、識別子に基づき、識別子と、密度と原子番号とをデータベースに保存する。
【0132】
図15に示すように、ステップS610において、オペレータがシステムを立ち上げてデータベース拡張操作画面に登録する。システムがセルフチェックしてから準備状態になる。オペレータは、データベースに追加したい液体サンプルを載置機構40に置く。ステップS611において、コンピュータ60は、コントローラ50にコマンドを送信することによって、放射線源10と、探測・収集装置30とをトリガさせてDR結像を行う。そして、ステップS612Aにおいて、上に述べたような方式に応じて、液体の位置を自動的に確定し、またはステップS612Bにおいて、オペレータが液体の位置を手動でDR画像に指定する。
【0133】
ステップS613において、自動または手動で確定された液体位置においてCT結像を行い、ステップS614において、CT画像から液体の密度と原子番号の参考値を取得するためにCT画像を解析する。
【0134】
更に、ステップS615において、オペレータが液体サンプルに識別子を設定し、例えばコカコーラ、そして、ステップS616において、液体の識別子をその密度と原子番号の参考値に結び付けて一緒にデータベースに保存する。
(第2の実施形態)
以上、第1実施形態に述べたのは、一回に一つの液体物を検出する場合である。次に、図16〜19を合わせて、同時に複数の液体物を検出する操作プロセスを詳しく説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、複数の液体物が存在するので、オペレータにどの液体物が不審なのかを明らかにさせるために、CT結像後、ディスプレイに表示された結像結果の位置を載置機構における物体の位置に対応させる必要があることである。図16(A)と図16(B)は、本発明の第2実施形態による複数の液体物を検出する際の再構成のCT画像を示す図を示している。
【0135】
例えば、オペレータが俯瞰で載置機構における被検物を見下ろすため、検査を終了してから、各層のCT画像における各物体の位置は載置機構40の平面図と必ず一致するように要求される。
【0136】
図17(A)〜(K)はCT結像完了後、CTスキャンする前の物体の相対位置と一致するように、如何にしてCT再構成の画像及び/又は載置機構を回転させるかのプロセスを示している。
【0137】
図17(A)は、1回目にCT結像が開始するときの載置機構40の平面図を示している。その中に、矢印で示すのが載置機構の角度である。図17(B)は1回目にCT画像を回転させる前のCT画像を示しており、1回目の結像を開始するときの載置機構の平面図と一致している。その中に、点線で示すのが載置機構の回転範囲である。図17Cは第1層のCT画像を回転させた後のCT画像を示しており、回転角度が0なので、実際にその層のCT画像を回転させる必要がない。
【0138】
図17(D)は、n回目にCT結像が開始するときの載置機構の平面図を示している。図17(D)から分かるように、n回目にCT結像が開始するときに、載置機構が1回目のCT結像する前の状況と比べて角度を持つようになっている。図17(E)は、n回目にCT画像を回転させる前のCT画像を示しており、n回目の結像開始するときの載置機構の平面図と一致している。図17(F)は、第1層のCT画像に合わせるように図17(D)における画像を回転させる図を示している。
【0139】
図17(G)は、最後にCT結像が開始するときの載置機構の平面図を示している。この時、載置機構が1回目のCT結像開始時と比べて角度を持つことが分かった。図17(H)は、N回目にCT画像を回転させる前の画像を示しており、N回目の結像開始するときの載置機構の平面図と一致している。図17(I)は、第1層のCT画像に合わせるように図17(H)における画像を回転させる図を示している。
【0140】
図17(J)は、最後にCT結像が終了したあとの載置機構の平面図を示している。ここで、載置機構が1回目のCT結像開始する前の状況と比べて角度を持つようになっている。図17(K)は、1回目のCT結像による画像と一致するように、結像が終了した後に載置機構を回転させることを示している。
【0141】
CT結像がすべて終了したあと、各層のCT画像と載置機構に角度調整を行う。まず、毎回CT結像開始時の載置機構の角度(角度情報取得ユニット54により取得できる)によって、同じ物体に対して各層のCT画像における位置が一致するように各層のCT画像に回転処理を行う。例えば、第1層のCTと位置合わせる。次に、載置機構の平面図がCT画像と一致するように載置機構の角度を調整する。
【0142】
例えば、N回のCT結像を行ったとする。N回目のCT結像開始時の載置機構の角度をαnとし、終了時の載置機構の角度をβnとする。平面図において載置機構が反時計回り方向に回転するとする。物体の第n層のCT画像における位置を第1層における位置と一致させるために、第n層のCT画像を反時計回り方向にαn−α1角度で回転させればよい。画像を回転させたあと、物体の載置機構の平面図における位置をCT画像における位置と一致させるために、載置機構を反時計回り方向に360−(βN−α1)角度で回転させればよい。
【0143】
図18は、被検査物が複数存在する際の検査を行うフローチャートを示している。図18に示すように、ステップS710において、オペレータがシステムを立ち上げて検査画面に登録する。システムがセルフチェックしてから準備状態になる。次に、オペレータが複数の被検物、例えば物体Aと物体Bを直接載置機構40に載せて検査ボタンを押す。ここで、物体Aが載置機構の右上角に位置して、物体Bが載置機構の左下角に位置するとする。また、オペレータが物体Aと物体Bの識別情報をそれぞれ入力する。
【0144】
ステップS711において、物体Aと物体Bの識別情報によりデータベースからそれぞれの密度と原子番号の参考値を検索する。続いて、ステップS712において、オペレータがスタートボタンを押すと上述したような方式でDRスキャンを実行してDR画像を生成する。
【0145】
DR画像を取得してから、ステップS713Aにおいて、DR画像を解析し、CT結像のスキャン位置を自動的に確定する。または、ステップS713Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度が向上する。
【0146】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS714において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し、再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成し、そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。液体に複数の層が存在する場合は、各層にCTスキャンを行う。
【0147】
ステップS715とS716において、最後のCT結像が終了したあと、各層のCT画像における各物体の位置(例えば、第1層のCTと位置合わせする)が一致しており、物体の載置機構における実際位置と一致する(例えば、平面図と一致する)ように、上述したような方法に従って載置機構の角度と各層のCT画像の角度を調整する。それにより物体Bと物体Aとを区別する。
【0148】
ステップS717において、各層のCT画像に画像分割処理(例えば分水界(watershed)アルゴリズム)を行い、各液体物の液体区域を得る。ステップS718において、各液体区域内における各画素の密度と原子番号の平均値を算出する。ステップS719において、それを密度と原子番号の参考値と比較する。それによって、ステップS720において、該当被検物のその層の液体が不審かを判断する。
【0149】
ステップS721において、各層の検査結果をまとめてオペレータに提示する。まとめ方として、すべてのCT画像におけるすべての液体区域が安全な液体と判断されるときのみ、今回の検査結論が「安全」で、そうではないときは「不審」であるという方法がある。また、各層のCT画像をカラー化してユーザに表示する。CT画像において、不審と判断された被検物には一つの色(例えば赤色)を使い、安全と判断された被検物には他の色(例えば緑色)を使う。
【0150】
以上述べたのは、二つの液体物を同時に検査する場合である。もっと多い液体物を同時に検査するときに、オペレータに各液体物の位置を明らかにさせるために、図19に示すように、載置機構に載せられた液体物の表面を、例えば図19におけるA区、B区、C区、D区という幾つかの区域に区切る。そうすることによって、オペレータが各液体物を該当する区域に入れることができ、各区域にそれぞれの液体の識別情報を入力することができる。
(第3の実施形態)
検出効率をさらに高めて、細長い検査される液体物を直接に載置機構に載せることにより検出する際に不安定が生じやすく検出結果に影響を与えるという問題を防ぐために、第3の実施形態では、複数の物体を区分け容器に入れることが提案されている。
【0151】
従って、第3の実施形態と第2の実施形態との相違点は、複数の物体を検査する過程において、区分け容器を使うという点である。次に、図20〜図25を合わせて、本実施形態による検査装置の具体的な操作プロセスを詳しく説明する。
【0152】
図20は、本実施形態による区分け容器の側面図を示している。図21は、区分け容器の平面図を示している。図22は、区分け容器の底面図を示している。
【0153】
図20に示すように、区分け容器70は底部及び底部と接合する側壁を備える。底部の下表面には、円錐状またはほかの形の突起がいくつか設置されている。これらの三つの円錐状突起は、載置機構40上に対応している位置にあわせ用の穴に嵌め込むことができる。それによって、載置機構が回転している間に、区分け容器70と載置機構40と一緒に回転し、両者の間に相対運動を生じさせないようになる。
【0154】
なお、図20に示すように、オペレータの持ち運びが容易になるように、側壁の上端部の一周にフランジが設置されている。側壁は円柱状または円錐状であり、弾力性がある材料、例えばポリエチレン(PE)またはアルミニウムによって作成される。
【0155】
図21は、三種類の区分け容器の平面図である。図に示すように、底部と側壁により形成された空間には、一つまたは複数の区切り部品が設置されている。その区切り部品は、必要に応じて該当空間を、それぞれ液体物を入れるためのいくつかの空間に区切っている。従って、複数の液体物を同時に検査するときに、複数の液体物を区切り部品で分けられた空間に入れて、これらの液体物を同時に検査する。この場合、側壁の外表面にマークを付けることによって検査時に検査用容器に入った液体物を位置あわせしやすくなる。例えば、四つの液体物の中に一つの不審物が検出されたときに、その液体物の側壁に設置されたマークと対応している位置によって、どの液体物が不審なのかをユーザに報告することができる。
【0156】
例えば、図21の左側の図に示すように、区切り部品の上側に所定のサイズの円形断面のマークを設置すること、あるいはある区切り部品の長さをほかよりも小さくすることによって、液体物に使われているマークを位置合わせる。
【0157】
図22は、区分け容器の底面図である。底部の下表面に三つの突起が平均に分布しているが、これらの三つの突起の分布は平均しなくてもよい。
【0158】
図23は、検査中における区分け容器とマークを如何に自動で検出するかのプロセスを示している。上に述べたように、区分け容器は特定の構造を有し、画像処理によく使われるテンプレートマッチング法で検出することができる。十字区分けの第一種の容器を例として、まずステップS810において、十字付きのテンプレート画像を作成して、そのテンプレートの中心を識別待ちのCT画像の中心に設置することによってマッチング値を得る。
【0159】
次にステップS811において、そのマッチング値が所定の閾値より大きいかどうかを判断して、判断結果が否である場合に、テンプレート画像とCT画像とのマッチング度が最大になるまで、テンプレート画像を回転する。マッチング度がある所定の閾値よりも大きければ、CT画像に区分け容器が存在するものとする。そうでなければ、CT画像に区分け容器が存在しないものとする。
【0160】
CT画像に区分け容器が存在する場合は、ステップS812において、さらに位置合わせ用マークの特徴により位置合わせ用マークを検出する。また十字区分けの第一種の容器を例にすると、その位置合わせ用マークが区分け線の上端にあり、該当区分け線をほかの3本の区分け線よりも短くするようになっている。テンプレートマッチング方法でCT画像に区分け容器が存在することが確定されたあと、マッチング度が最大のときにテンプレート画像における十字はちょうど区分け線に一致する。四つの区分け線の長さを比較してもっとも長いのを選ぶことにより位置合わせ用マークを取得することができる。
【0161】
多層CT結像のあと、まず各層のCT画像に区分け容器と位置合わせ用マークを検出する。各層のCT画像に区分け容器を検出することができていない場合は、オペレータが区分け容器を使っていないと考えられる。少なくとも一層のCT画像に区分け容器が検出された場合は、オペレータが区分け容器を使っていると考えられる。各層に検出された位置合わせ用マークの位置が一致しなければ、信号強度がもっとも強いものを最終的な位置合わせ用マークとしてもよい。ある層のCTの位置合わせ用マークの信号強度を表す方法は、その層における四つの区分け線の長さの最大値から平均値を引いて、その差が大きければ大きいほど位置合わせ用マークの信号強度が大きいというものである。
【0162】
図24(A)〜(D)は、検出中における容器を回転させる模式的な図を示している。検査用区分け容器の位置合わせ用マークを所定の位置に調整すれば、各区分け部を指定位置に調整することができる。第一種の十字区分け容器を例として、CT画像の中心を座標系の原点として極座標系を作成して、各区分け部の位置が位置合わせ用マークの角座標によって一つに定まる。図24に示すように、システムの各種のCT画像における最終的に確定された位置合わせ用マークが対応している極座標の角度をγ、システムの所定の調整目標をθとして、各層のCT画像と載置機構をθ−γ度で回転させれば調整を完成することができる。
【0163】
図24(A)と(B)に示すように、予め要求される位置に達するように、区分け容器をある角度で回転させる。同じように、回転後の区分け容器の角度と一致するように各層のCT結像による画像を回転させる。
【0164】
図25は、本実施形態による検査プロセスのフローチャートを示している。ステップS910からステップS921までは、上述した第3実施形態のステップS710からステップS721までと同じである。ここでは、ステップS922からステップS926までのみ記述する。
【0165】
ステップS922において、CT画像を解析する。ステップS923において検査用区分け容器があるかどうかを判断する。検査用容器がなければ、今回の検査が終了する。
【0166】
検査用容器を使った場合は、ステップS924において、検査用容器の位置合わせマークを識別して区分け部の位置を確定する。次に、ステップS925において、載置機構の角度と各層のCT画像の角度とに二回目の調整を行って、所定の位置になるまで、載置機構の検査用容器における各区分け部の位置と各層のCT画像における各区分け部の位置を調整する。
【0167】
ステップS926において、システムが各層のCT画像の各区分け部内の各液体区域に対する検査結果をリストアップして、各区分け部の検査結論をまとめてオペレータに提示する。本実施形態によれば、まとめ方として、ある区分け部に対して、すべてのCT画像の該当する区分け部内のすべての液体区域が安全な液体と判断されたときのみ、今回の検査結論が「安全」で、そうでなければ「不審」であるという方法がある。
(第4の実施形態)
以上、第1〜第3実施形態は、本発明の検査される液体物が不審物かどうかを判断するための検査方法について説明したが、検査される液体物には薬品が隠されているかどうかを直接判断することもできる。
【0168】
液体の物理属性(例えば密度及び同等の原子番号)は、薬品が隠されることによって変わる。例えば、純水の密度は1.00g/cm3、原子番号は7.5である。
【0169】
1000gの水に50gコカインを溶けると、その密度は1.01g/cm3、原子番号は7.6になる。
【0170】
物質の同等の原子番号(混合物も含む)を算出する方法は、次の通りである。
【0171】
ある物質にN種類の元素が含まれ、各種の元素の原子番号はそれぞれZi、原子個数のパーセンテージはαi、ただし、i=1,2…,N、且つ
【0172】
【数11】
【0173】
とすると、該当物質の同等の原子番号は
【0174】
【数12】
【0175】
になる。
【0176】
そして、水(H2O)を例として、その物質の同等の原子番号を算出するプロセスは、次の表1に示すようになる。
【0177】
【表1】
【0178】
液体に麻薬が隠されたあとの密度と原子番号の変化(水に塩酸コカインを溶けることを例とする)は、次の表2に示すようになる。
【0179】
【表2】
【0180】
なお、図26(A)は、液体に麻薬が隠された場合の密度の変化を説明するためのグラフである。図26(B)は、液体に麻薬が隠された場合の原子番号の変化を説明するためのグラフである。図26(C)は、液体に麻薬が隠された場合の特性密度の変化を説明するためのグラフである。
【0181】
次に、図27を参照しながら、本発明の実施形態の検査方法について詳しく説明する。
【0182】
ステップS1010において、オペレータが検査される液体物を載置機構40に載せて、乗客の申告書または液体物のラベルにより該当する液体物の識別情報、例えば1本の水を取得する。
【0183】
次に、ステップS1011において、オペレータがデータベースからその識別情報により密度と原子番号の参考値を検索し取得する。例えば、密度は1.00(特性密度は1.11)g/cm3、原子番号の参考値は7.51である。続いて、DR画像を生成するためにオペレータがスタートボタンを押してDRスキャンを実行する。
【0184】
DR画像を取得してから、ステップS1013Aにおいて、DR画像を解析して、CT結像のスキャン位置を自動的に確定し、または、ステップS1013Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度を向上する。
【0185】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS1014において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し、再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成する。そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。
【0186】
そして、ステップS1015において、コンピュータが解析プログラムを実行することによってCT画像を解析し検出した密度と原子番号を取得する。例えば、検出された密度は1.02(特性密度は1.13)g/cm3、原子番号は7.71である。更に、ステップS1016において、計算により実測密度と参考値との差0.02g/cm3、及び原子番号の差0.20を得ることができる。麻薬隠しの判別閾値は、もし密度の差が0.02g/cm3、原子番号の差が0.20のように設定されれば、その検出された密度と原子番号が所定の範囲内になる。ステップS1017において、その差が所定の閾値よりも大きければ、該当する液体物が不審物であることを表している。オペレータに警告し、または検査結果をプリントアウトする。
【0187】
必要な密度と原子番号の参考値を判別するためには、予めその種類の液体のサンプルをデータベースに保存しておけばよい。必要な差の閾値を判別するためには、手動で適当な値を設定すればよい。微量の薬品を検出したい場合は、その閾値を小さく設定すればよいが、そのリスクとして、麻薬が隠されていない被検物であっても、システムのノイズによる大きな偏差が検出され、誤検知になる恐れがある。逆に、麻薬が隠されていない被検物に対する誤検知をできるだけ少なくするためには、その閾値を大きく設定すべきであるが、そのリスクとして、検査される液体物にわずかの薬品が隠されている場合は、その密度の差が僅かであり、判別閾値ほどにはならないために、検知漏れになる。
【0188】
以上、一つの被検物の検査を例として説明したが、当分野の一般技術者によく知られているように、第4実施形態による方法は、第2実施形態と第3実施形態と同じように複数の瓶の検査に適用することができる。
(変形例1)
以上、本発明の実施形態については、まずDR結像して次にCT結像することを例として説明したが、直接螺旋状CT結像によって液体物を検査することもできる。
【0189】
液体物に螺旋状CT検査を行うことによって、1組の螺旋状CTの画像を取得する。その組のCT画像における画素を比較、解析することによって、液体の位置、また液体が分層しているかを確定することができる。そして、以上述べたような方法で各層における液体の物理属性の値、例えば、密度と原子番号を取得する。例えば、図28に示すような液体物に螺旋状CT結像を行う場合は、2cmのピッチでスキャンすると、図29(A)〜(M)に示すような1組のCT画像を得る。従って、各螺旋状CT画像における画素の値を解析することによって、液体物にいける液体の位置を明らかにすることができる。ここで、螺旋状CT結像は、ピッチの大きな螺旋状CT結像または通常ピッチのCT結像を採用してもよい。
【0190】
なお、以上では密度と原子番号を例として説明したが、本発明は、密度と原子番号のいずれを使って行ってもよい。または、より多くの物理属性を使って行ってもよい。
(変形例2)
以上、まずDR結像して次にデュアルエネルギーCT結像することによって液体の密度と原子番号を取得するものであるが、ここでのDR結像は必須ではない。それは、異なる液体物に対して、所定の位置にデュアルエネルギーCT結像を行うことによって液体の密度と原子番号を取得することができるからである。
【0191】
以上述べた形態は、本発明の実施形態を実現するためにしか使われない。当分野の一般技術者が理解すべきなのは、本発明の範囲から逸脱しない任意の変更や一部の切り替えは、全て本発明の請求項に限られている範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は請求項の保護範囲に準じるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施形態による検査装置の構造を示す図である。
【図2】図1に示すコンピュータのデータプロセッサ60の構造のブロック図を示している。
【図3】本発明の第1実施形態によるコントローラの構造のブロック図を示している。
【図4】データベースにおいて各種類の液体物の識別情報や属性情報を格納するための構造を示している。
【図5】DR結像とCT結像との関係を説明するための模式的な図である。
【図6】DR結像の結果の一例を示している。
【図7】DR結像の結果の他の例を示している。
【図8】本発明の第1の実施形態による液体物の検査方法の全フローチャートを示している。
【図9】DR結像のプロセスのフローチャートを示している。
【図10】DR結像における探測・収集装置30による収集されたDR画像データの並べ方式を示している。
【図11】DR画像に対する処理によりCTスキャンの位置を確定するフローチャートを示している。
【図12】CT結像のプロセスを示している。
【図13】CT結像におけるCT投影データの並べ方式を示している。
【図14】液体の属性を測定するプロセスを示している。
【図15】データベースを拡張するプロセスを示している。
【図16】本発明の第2実施形態による複数の液体物を測定する際の再構成のCT画像を示す図を示している。
【図17】CT結像完了後、CTスキャンする前の物体の相対位置と一致するようにCT再構成の画像及び/又は載置機構を如何に回転させるかのプロセスを示している。
【図18】被検査物が複数存在する際の検査を行うフローチャートを示している。
【図19】本発明の第2実施形態による載置機構の平面図を示している。
【図20】本実施形態による区分け容器の側面図を示している。
【図21】区分け容器の平面図を示している。
【図22】区分け容器の底面図を示している。
【図23】検査中における区分け容器とマークを如何に自動で測定するかのプロセスを示している。
【図24】測定中における容器を回転させる模式的な図を示している。
【図25】第3の実施形態による検査プロセスのフローチャートを示している。
【図26】(A)液体に麻薬が隠された場合の密度の変化を説明するためのグラフであり、(B)液体に麻薬が隠された場合の原子番号の変化を説明するためのグラフであり、(C)液体に麻薬が隠された場合の特性密度の変化を説明するためのグラフである。
【図27】本発明の第4の実施形態による検査方法を詳しく説明するためのフローチャートである。
【図28】液体物に対する螺旋状CTスキャンの実施を説明するための図である。
【図29】液体物に対して螺旋CTスキャンによる取得した画像を説明するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検査に関し、特に、デュアルエネルギーCTにより液体物に対して素早く安全検査(セキュリティ検査)を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカの911事件が発生してから、航空分野における安全検査作業がますます重視されている。従来の荷物に対する安全検査の上で、乗客の持つ液体物に対して安全検査する要求も増加している。従って、荷物の中の液体物に対して素早く安全検査を行う有効な方式と手段が早急に必要とされている。
【0003】
従来、液体物の安全検査に使える方法には、化学的な方法、電磁的方法、中性子を用いる方法、放射線を用いる方法というような4種類がある。具体的には、
(1)化学的な方法は、匂い識別と、イオンスキャンと、物質解析とに細かく分けられている。匂い識別は、実際に使用される時には、液体物が封止されているために検査することができない場合が多い。イオンスキャンは、感度がよいことが知られているが、誤検知率が高く、よく背景環境に影響されるという欠点がある。物質解析は、高い精度と確実性を有するという特徴があるが、サンプルを解析する時間がかかるので、現場で素早く検査するというニーズを満足することができない。
(2)電磁的な方法は、能動的な測定方法を用い、液体物によって電磁波に対する誘電率が異なることから、液体物が区分される。電磁的な方法自身は、金属の包装や厚材の包装に影響を受けやすい。そのため、包装材料が複雑な現状では、電磁的な方法の使用はある程度制限されてしまう。
(3)中性子を用いる方法は、使用されるときに、「中性子放射化」現象が発生することになる。つまり、中性子により検査された液体物に放射能が残留する現象である。また、中性子の透過能力がより強いので放射線を遮断することがより困難であり、装置の占有面積が大きくなり、そのため、空港の安全検査システムには適用されていない。
(4)従来、航空分野における安全検査装置には、放射線装置が多い。このような装置において、X線の2次元画像を結像する技術とCTスキャンの3次元画像を結像する技術と
が多く使われている。これらの技術によって物体の構造情報を取得することができるが、液体の中に麻薬が隠されているかどうかを判断できない。それは、麻薬が液体に隠されると、成分だけ変わり、全体の構造が大きく変わることはないからである。
【0004】
以上述べたように、液体物に対して素早く安全検査を行うことについて、化学的な方法と電磁的な方法と中性子を用いる方法には、いずれも素早い安全検査に適しないという特徴がある。X線の2次元画像を結像する技術とCTスキャンの3次元画像を結像する技術
を採用する場合は、構造の情報を含む画像しか取得できず、液体に麻薬が隠されているかどうかを判断するための十分な証拠を提供することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の不都合を回避するために、放射線により液体物に対して素早く安全検査を行う方法と装置を提供することである。これにより、液体物の包装を破らずに、素早く安全検査を行い、検査される液体物の定量情報を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査方法を提供する。検査方法は、検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、デュアルエネルギーCT投影データを得るステップと、投影データに基づいてCT再構成を行い、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を得るステップと、CT画像から検査される液体物の物理属性の値を抽出するステップと、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なものか否かを判断するステップとを含む。
【0007】
本発明の第2態様によれば、物理属性の値は、検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【0008】
本発明の第3態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、スライスCTスキャン方式を採用する。
【0009】
本発明の第4態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、通常の螺旋状CTスキャン方式を採用する。
【0010】
本発明の第5態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは、ピッチの大きな螺旋状CTスキャン方式を採用する。
【0011】
本発明の第6態様によれば、スライスCTスキャンを行う前に、予め1組のスキャン位置を設定しておく。
【0012】
本発明の第7態様によれば、スライスCTスキャンを行う前に、まずDR結像を行い被検査物の透過画像を得て、次に透過画像によってCTスキャン位置を確定する。
【0013】
本発明の第8態様によれば、透過画像を得ると、オペレータが入力装置により少なくとも画像の1行を指定してCTスキャン位置とする。
【0014】
本発明の第9態様によれば、透過画像を得ると、画像処理技術により少なくとも画像の1行を自動的に確定してCTスキャン位置とする。
【0015】
本発明の第10態様によれば、透過画像を形成するステップは、放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、被検査物を通り抜けて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を融合して透過画像を形成するステップとを含む。
【0016】
本発明の第11態様によれば、透過画像を形成するステップは、放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像の何れかを選択して透過画像とするステップとを含む。
【0017】
本発明の第12態様によれば、デュアルエネルギー投影データから検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成するステップは、高低エネルギーの投影データに基づいて、2種類の基材の係数に関する投影データを生成するステップと、2種類の基材の係数に関する投影データに基づいて再構成を行って、検査される液体物に対応する2種類の基材の係数を表すCT画像を得るステップと、基材の係数を表すCT画像によって、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を生成するステップとを含む。
【0018】
本発明の第13態様によれば、検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像に基づいて検査される液体物の物理属性の値を得るステップは、CT画像から液体部分に対応している画素を抽出するステップと、液体部分に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して検査される液体物の密度と原子番号とするステップとを含む。
【0019】
本発明の第14態様によれば、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なもの否かを判断するステップは、密度と原子番号と、密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出するステップと、差の値が所定の閾値よりも大きければ、検査される液体物に麻薬が含まれているとするステップとを含む。
【0020】
本発明の第15態様によれば、各位置にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、検査される液体物のCT画像を回転させる。
【0021】
本発明の第16態様によれば、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させる。
【0022】
本発明の第17態様によれば、液体物は、いくつかの空間に仕切られている容器に入っている。
【0023】
本発明の第18態様によれば、第17態様の方法は、所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出するステップと、容器が存在する場合はCT画像における特定のマークを検出するステップと、特定のマークに基づいて所定の位置まで容器を回転させるステップとを含む。
【0024】
本発明の第19態様によれば、第16又は18の態様は、検査される液体に関する判断の結果をディスプレイパネルに表示するステップを更に含む。
【0025】
本発明の第20態様によれば、第16又は18の態様は、各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトするステップを更に含む。
【0026】
本発明の第21態様によれば、第16又は18の態様は、各々の検査される液体のCT画像をカラー化するステップを更に含む。
【0027】
本発明の第22態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置を提供する。放射線を放射する放射線源と、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、放射線源と探測・収集装置を制御することによって検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、投影データを得るコントローラと、投影データに基づいて検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置と、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置とを備える。
【0028】
本発明の第23態様によれば、デュアルエネルギーCTスキャンは所定の位置によって行う。
【0029】
本発明の第24態様によれば、第22態様は、探測・収集装置は、透過画像を形成できるように、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集し、装置は透過画像における少なくとも1行を指定する装置を更に備え、デュアルエネルギーCTスキャンは、指定された行に基づいて行う。
【0030】
本発明の第25態様によれば、物理属性の値は、少なくとも検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【0031】
本発明の第26態様によれば、第24態様は、放射線源から高エネルギーの射線と低エネルギーの射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成して、装置は高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を融合し、透過画像を形成する装置を更に備える。
【0032】
本発明の第27態様によれば、第24態様は、放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、装置は高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像のいずれかを透過画像として選択する装置を更に備える。
【0033】
本発明の第28態様によれば、透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、オペレータが入力装置により透過画像から少なくとも1行を選択する装置を備える。
【0034】
本発明の第29態様によれば、透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、透過画像の画素値を解析することによって透過画像を分層する装置と、各層の中間行を、デュアルエネルギーCTスキャンを行う行として指定する装置とを備える。
【0035】
本発明の第30態様によれば、投影データに基づいて検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置は、CT画像として、検査される液体物の密度により識別される密度の画像と、検査される液体物の原子番号により識別される原子番号の画像とをCT画像に融合する装置と、CT画像から液体部分に対応している画素を抽出する装置と、液体部分の画素に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して検査される液体物の密度と原子番号とする装置とを備える。
【0036】
本発明の第31態様によれば、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置は、密度と原子番号と、密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出する装置を備え、差の値が所定の閾値よりも大きい場合は、検査される液体物に麻薬が隠されているとする。
【0037】
本発明の第32態様によれば、第24態様は、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、検査される液体物のCT画像を回転させる装置を更に備える。
【0038】
本発明の第33態様によれば、第24態様は、各行にデュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させる装置を更に備える。
【0039】
本発明の第34態様によれば、第24態様は、いくつかの空間に仕切られ、空間にはそれぞれ液体物が入れられる容器を更に備える。
【0040】
本発明の第35態様によれば、第35態様は、所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出する装置と、容器が存在する場合はCT画像における特定のマークを検出する装置と、特定のマークに基づいて所定の位置まで容器を回転させる装置とを更に備える。
【0041】
本発明の第36態様によれば、第33又は第35態様は、検査される液体に関する判断の結果を表示する表示装置を更に備える。
【0042】
本発明の第37態様によれば、第33又は第35態様は、各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトする装置を更に備える。
【0043】
本発明の第38態様によれば、第33又は第35態様は、各々の検査される液体のCT画像をカラー化する装置を更に備える。
【0044】
本発明の第39態様によれば、第24態様は、検査される液体物が載置される載置機構を更に備え、載置機構に載置された検査される液体物の表面には、オペレータが識別可能ないくつかの区域が分けられている。
【0045】
本発明の第40態様は、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置を提供する。放射線を放射するための放射線源と、少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、放射線源と、探測・収集装置とを制御することによって、検査される液体物に螺旋状CTスキャンを行い、それぞれ検査される液体物の少なくとも一つの物理属性の値を表す一組の螺旋状CT画像を形成するコントローラと、液体の螺旋状CT画像の部分を確定するために螺旋状CT画像を解析する装置と、物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置とを備える。
【0046】
本発明の第41態様によれば、物理属性の値は、少なくとも検査される液体物の密度と原子番号を含む。
【発明の効果】
【0047】
本発明の方法と装置を利用すれば、透過画像によりデュアルエネルギーCTスキャンを行うので、検出の速度が向上すると共に、検出の精度が低下することなく、かつ透過画像により液体物には二重の層があるかどうかを判断することもできる。
【0048】
また、測定された密度と原子番号を密度と原子番号の参考値と比較することによって、検査される液体物(例えばお酒など)に麻薬(例えばコカインなど)が隠れているかどうかを判断することができる。
【0049】
また、オペレータが指定された位置のいずれにもデュアルエネルギーCTスキャンを行うことができるので、再検査の操作がやりやすくなる。また、オペレータが必要に応じて新たに検査される液体物を追加することができる。
【0050】
また、複数の検出を同時に行う場合には、区分け容器の使用により検査されるどの液体物が不審なのかを簡便に確定することができる。
【0051】
以下、詳細な説明および図面において、上述した本発明の特徴と利点が一層明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。各図において、同様の参照符号は、異なる図面に示しているが、同様または類似の要素を示している。明確かつ簡単にするために、ここに含まれる既知の機能と構造についての詳細な記述は省略され、そうしないと、本発明の課題が不明確になる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態による検査装置の構造を示す図である。
【0053】
図1に示すように、本実施形態による検査装置は、例えばX線機器のような検査用デュ
アルエネルギーX線を放射する放射線源10と、検査される液体物を検査区域に入れ、放
射線源10からの放射線が透過するように、検査される液体物をZ軸回りに回転させ、昇降可能な載置機構40と、全体にモジュール構造を備えた探測機及びデータ収集機であり、検査される液体物を透過するデュアルエネルギーの放射線を探測しアナログ信号を取得して、デジタル信号に変換することによって液体物の高いエネルギーのX線と低いエネル
ギーのX線に対するスキャンデータを出力するための探測・収集装置30と、システム全
体の各部分の同期作動を制御するためのコントローラ50と、データ収集機により収集されたデータを処理し検査結果を出力するためのコンピュータのデータプロセッサ60とを備える。
【0054】
図1に示すように、放射線源10は、検査される液体物が載置されることが可能な載置機構40の一側に配置され、探測・収集装置30は、載置機構40の他の側に配置されている。探測・収集装置30は、検査される液体物のDRデータ及び多角度の投影データを得るための探測機とデータ収集機を含む。データ収集機には、(電流)積分方式またはパルス(計数)方式で動作できるデータアンプ回路が含まれる。探測・収集装置30では、データ出力用ケーブルがコンピュータのデータプロセッサ60に接続されており、収集されたデータがトリガ指令によりコンピュータのデータプロセッサ60に保存される。
【0055】
なお、検査装置は、金属製の筒状の通路20も含み、載置機構40に設置され、X線の
外への放射を遮断することができる。検査される液体物は、被検査物の通路に放置されている。
【0056】
図2は、図1に示すコンピュータのデータプロセッサ60の構造のブロック図を示している。図2に示すように、データ収集機により収集されたデータは、インターフェースユニット68とバス64を介してメモリ61に格納されている。読み取り専用メモリ(ROM)62にコンピュータのデータプロセッサのスペック情報及びプログラムが格納されている。ランダムアクセスメモリ(RAM)63は、プロセッサ66の動作における各種類のデータを一時的に保存するためのものである。なお、メモリ61には、データ処理するためのコンピュータプログラムと予め作られたデータベースが格納されている。そのデータベースには、各種既知液体物に関する情報、例えば、プロセッサ66により算出された、検査される液体物における液体の密度や原子番号などの属性値と比較するための液体名称、種類、物理属性などの情報が格納されている。内部バス64において、上に述べたメモリ61と、読み取り専用メモリ62と、ランダムアクセスメモリ63と、入力装置65と、プロセッサ66と、表示装置67と、インターフェースユニット68とが接続されている。
【0057】
ユーザが、例えばキーボードやマウスなどの入力装置65により動作命令を入力すると、コンピュータプログラムのコマンドコードがプロセッサ66に命令し、所定のデータ処理アルゴリズムが実行される。データ処理の結果を得た後に、その処理結果は、例えばLCDディスプレイなどの表示装置67に表示され、またはハードコピーの形式で直接プリンタで出力される。
【0058】
図3は、本発明の実施形態によるコントローラ50の構造のブロック図である。図3に示すように、コントローラ50は、コンピュータ60からの指令に基づき放射線源10、載置機構40、探測・収集装置30を制御する制御ユニット51と、制御ユニットにより放射線源10、載置機構40、探測・収集装置30の動作を開始させるトリガ指令を発生するためのトリガ信号発生ユニット52と、トリガ信号発生ユニット52の制御ユニット51の制御により発生するトリガ指令に基づき載置機構40の上昇または下降を駆動する第1駆動モータ55と、載置機構40の移動につれて制御ユニット51に載置機構の高さ情報をフィードバックする高さ情報取得ユニット53と、トリガ信号発生ユニット52の制御ユニット51の制御により発生するトリガ指令に基づき載置機構40の回転を駆動する第2駆動モータ56と、載置機構40の回転において載置機構40の回転角度を取得し、制御ユニット51にフィードバックする角度情報取得ユニット54とを備える。
【0059】
本発明の実施形態によれば、上述した高さ情報取得ユニット53と角度情報取得ユニット54と両方とも光電式エンコーダ(photoelectric encoder)であり、ノイズに強いという利点がある。
【0060】
以上述べたように、メモリ61にはデータベースが格納されている。その中に、例えば液体物の密度と原子番号の参考値のような既知の各種類の液体物の識別情報や物理属性の値がツリー構造で格納されている。図4は、データベースにおいて各種類の液体物の識別情報や属性情報を格納するための構造を示している。
【0061】
例えば、まず、すべてのサンプルは、例えばサブクラス1(酒)、サブクラス2(コーラ)、サブクラス3(ミルク)、…、サブクラスnなどのような複数のサブクラスに分割される。そして、各サブクラスは複数のサブクラスに更に細かく分割される。例えば、サブクラス1(酒)は、サブクラス1.1(ワイン)、サブクラス1.2(蒸留酒)、サブクラス1.3(ビール)、…、サブクラス1.nなどのように細かく分けられている。次に、各サブクラスに対して細分化を続ける。例えば、サブクラス1.2(蒸留酒)が、サブクラス1.2.1(ラム酒)、サブクラス1.2.2(ウィスキー)、サブクラス1.2.3(ウォッカ)、…、サブクラス1.2.n(中国の白酒)に細かく分割され、サブクラスにおける各サンプルの密度と原子番号の参考値の差がある特定の値よりも小さくなるまで、例えばシステムのノイズの測定範囲まで細分化を続ける。その最終的な小クラスが属性構造の葉ノードになる。
【0062】
なお、各葉ノードはすべての親ノードの名称の組み合わせで識別される。例えば、「キューバ産の40度のハバナのラム酒」があり、その識別子と、密度と原子番号の参考値とが一対一に対応している。検査フローにおいて、コンピュータがツリー構造を一階層ずつユーザに展開して、オペレータが一階層ずつ選択することによって識別情報を入力する。例えば、オペレータが1本のキューバ産の40度のハバナのラム酒に関する物理属性の情報を取得したい場合は、酒→蒸留酒→ラム酒→キューバのラム酒→ハバナのラム酒→40度という経路に沿って一階層ずつ選択することができる。
【0063】
オペレータが一階層ずつ選択することにより識別子を入力すると同時に、コンピュータが検索を行う。ユーザが最終的に識別子を確定したときには、それと対応している密度と原子番号の参考値も同時に検索された。
【0064】
図5は、DR結像とCT結像との関係を説明するための模式的な図である。本発明の第1実施形態によって、まず、液体物の液体部分を判断するために液体物のDR結像を行い、次に、検査の速度を上げるように液体部分のある位置のみCT結像を行う。
【0065】
図6と図7は、それぞれDR結像の例を示している。図6に示すように、ある液体物のDR結像を行った後、後述するような画素値に対する解析によって液体物の中の液体の位置を判断する。図6に示すように、該当液体物には1種類の液体しか含まれていない。しかしながら、図7に示すように、液体によって液体の吸収係数が異なるので、液体物に2種類或いはそれ以上の液体が含まれ液体に層ができた場合は、DR結像により取得されたDR画像に対して、画素の解析を行い液体の境界面位置を判断する。また、異なる液体に対してCT結像を行う。
【0066】
図8は、本発明の第1の実施形態による液体物の検査方法の全フローチャートを示している。図8に示すように、例えば、チェックインの間に、乗客の持つ液体物に対して安全検査を行う必要がある。まず、ステップS110において、オペレータは検査される液体物を載置機構40に載せて、乗客の申告書または液体物のラベルから該当する液体物の識別情報、例えば40度のラム酒を取得する。
【0067】
次に、ステップS111において、オペレータがデータベースからその識別情報により密度と原子番号の参考値を検索し取得する。続いて、図6と図7に示すように、DR画像を生成するために、オペレータはスタートボタンを押してDRスキャンを実行する。
【0068】
上に述べたように、DRスキャンを行う目的として、第一には、オペレータが被検査物の内部構造を見えるように検査される液体物の透視画像を取得することであり、第二には、ソフトウェアがDR画像に基づき液体の位置を自動的に識別し次のCT結像を進めることであり、第三には、ユーザがDR画像にCT結像と検査する必要がある位置を指定して次のCT結像を進めることである。以下ではDR結像の詳細について詳しく記述する。
【0069】
説明すべきなのは、DRスキャンを必ず行うわけではない。検査の速度を上げるために、DRスキャンによりCTスキャンを進める代わりに、いくつか所定された位置で直接的にCTスキャンを行う。例えば、検討によると、瓶の底から5cmになるまでCTスキャンを行うと、殆どの液体物の液体の部位を検査することができることが分かった。従って、瓶の底から5cmの高さはスキャン予定の高さとして使ってもよい。なお、オペレータが実務経験から目測によって被検査物の高さを適当に設定することができる。例えば、缶コーラのスキャンの高さを3cmとするが、瓶の底が厚いワインのスキャンの高さを10cmとする。
【0070】
DR画像を取得してから、ステップS113Aにおいて、DR画像を解析して、CT結像のスキャン位置を自動的に確定する(図6と図7に矢印で示す位置)。或いは、ステップS113Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度を向上する。
【0071】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS114において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成し、そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。
【0072】
更に、ステップS115において、コンピュータが解析プログラムを実行することによってCT画像を解析し測定された密度と原子番号を取得する。更に、ステップS116において、測定された密度と原子番号を、データベースから検索された密度と原子番号の参考値に比較して、お互いに一致しているかどうかを判断する。例えば、両者の差が所定の閾値よりも小さいかどうかを判断する。ステップS117において、その差が所定の閾値よりも大きければ、該当する液体物が不審物であることを表している。オペレータに警告し、または検査結果をプリントアウトする。
【0073】
以下、図9〜14を合わせて、上述した各ステップの詳細な動作について詳しく説明する。図9は、DR結像のプロセスのフローチャートを示しているが、図10は、DR結像における探測・収集装置30による収集されたDR画像データの並べ方式を示している。
【0074】
図9に示すように、DR結像のプロセスにおいて、ステップS210に、コンピュータ60からコントローラ50にコマンドを送り、それによって載置機構40が駆動され、通路20に沿って垂直に移動する。コントローラ50は、載置機構が垂直に移動している間に、高さ情報取得ユニット53によって載置機構の高さをリアルタイムで監視する。
【0075】
ステップS211において、コントローラ50は、一定の高さ(例えば1ミリメートル)おきに、探測・収集装置30にトリガ信号を送信する。探測・収集装置30は、そのトリガ信号を受信すると、各探測機の出力信号を収集することによって、高いエネルギーの探索データと低いエネルギーの探索データを取得して、内蔵のバッファに保存する。
【0076】
ステップS212において、載置機構40は指定された高さ、例えば500ミリメートルに達しているかどうかを判断する。達していない場合には、ステップS210に戻り、上に述べた動作を繰り返す。
【0077】
載置機構40が上記所定の高さに達した場合には、コントローラ50は探測・収集装置30にトリガ信号を送信しない。コンピュータ60は、探測・収集装置30から収集された高低エネルギーの探索データを読み取って、DR画像になるようにデータのマトリックスを並べる。DR画像の各画素には、放射線が物体を通り抜ける時の残りの強度が記録され、その強度が低エネルギーの射線強度と高エネルギーの射線強度を含む。
【0078】
上に述べたように、後に続くCT結像されたスキャン位置は、すべてDR画像で確定されたものである。自動識別の方式を使っても、手動指定の方式を使っても、まずDR画像における行番号を取得する。次にコンピュータはその行番号を載置機構の高さに変換して、またコントローラ50にコマンドを与えることによって載置機構40を駆動し指定位置まで移動させる。その後、CT結像を行う。
【0079】
DR結像のフローによれば、DR画像の各行が特定の載置機構40の高さに対応していることが分かった。DR結像をスタートするときに載置機構の高さを0とすると、載置機構が結像している間にどんどん下降され、hミリメートごとに一回の収集をトリガするので、DR画像におけるm行目として、対応する載置機構の高さは−m*hになる。
【0080】
図11は、DR画像に対する処理によるCTスキャンの位置を確定するフローチャートを示している。
【0081】
DR画像において、検査される液体物には、一般に瓶の底と、液体部分と、瓶の首と、瓶の蓋などのいくつの部分が分けられている。画像解析の技術によって、その中の液体の部分(多層は可能)を抽出して各層のCTスキャンでの位置を確定することができる。
【0082】
ステップS310において、DR画像の高低エネルギーのデータを融合し平滑化して、ノイズが小さな単値のDR画像を得る。例えば、高低エネルギーのデータを融合する具体的な方法としては、直接に高低エネルギーのデータの何れかを融合結果として選択してもよいし、また、高低エネルギーのデータに重みを付けて組み合わせてもよい。平滑化の方法としては、ガウスフィルタを使って画像にフィルター処理を実施してもよい。
【0083】
ステップS311において、平滑化されたDR画像における検査される液体物(前景)を抽出して空気(背景)を取り除く。具体的には、閾値を設定して、取り除いた値が該当する閾値以下になる画素を前景画素とし、ほかの画素を背景画素とする。閾値により背景を取り除く理由は、検査される液体物が放射線を遮断したことによって対応するDR画素の値が低くなるためである(DR画像に記録されたのは射線の残りの強度である)。
【0084】
ステップS312において、平滑化されたDR画像における水平の縁部の画素を抽出する。具体的には、DR画像の画素ごとに対して、垂直方向に隣接する画素との差の値を算出する。その差の値がある閾値よりも大きければ、該当画素が水平の縁部の画素に属するものとする。
【0085】
ステップS313において、平滑化されたDR画像における水平の縁部の行を抽出する。水平の縁部の行は、瓶の底と液体との境界、液体と空気との境界、瓶の蓋と空気との境界、又は容器中の多層の液体の間の境界に対応している。具体的には、DR画像の水平方向の各行に対して、その水平の縁部の画素数と前景の画素数との比率を合計して、その比率がある閾値(例えば50%)より大きければ、該当行が水平の縁部の行に属するものとする。
【0086】
ステップS314において、DR画像を垂直に区切り、非液体の区域を排除する。DR画像における水平の縁部の各行は、DR画像を下から上の順に、瓶の底と、液体(密度による多層になる可能性がある)と、瓶内空気(あるとすれば)と、瓶の蓋などという複数の区域に分けている。選択基準を定めることによって非液体の区域を排除することができる。具体的には、
(a)垂直方向においては、行数がある閾値よりも小さい区域が排除される。行数が少ない区域つまり厚さが小さい区域は、瓶の底、瓶の蓋、または容器内の液体と容器の頂部との間の狭い隙間(例えば缶の頂部における空気)である可能性がある。閾値の確定について、具体的に、各種類の液体の包装容器の瓶の底と瓶の蓋と容器内の空気層の厚さを検討することによって行われる。
(b)水平方向においては、各行の前景画素数の平均値がある閾値より小さい区域が排除される。これらの区域は細長い瓶の首に対応している場合がある。閾値の確定について、具体的に、各種類の液体の包装容器の瓶の首の太さを取得することによって行われる。
【0087】
ステップS315において、液体区域(複数ある可能性がある)のCTスキャンの位置を確定して液体の層の位置を決定する。非液体区域を排除した後、残りの区域(複数ある可能性がある)が液体区域と見なしている。これらの区域の高度方向における中心行をCTスキャンの位置として選ぶ。
【0088】
以上、CTスキャンの位置を自動的に確定することについて述べたが、スキャンの位置を手動で指定する場合は、オペレータが入力装置65によってDR画像でCTスキャンする行を、CTスキャンの位置として直接に指定する。
【0089】
図12はCT結像のプロセスを示しており、図13はCT結像におけるCT投影データ並べる方式を示している。
【0090】
図12に示すように、CTスキャンの位置が確定されるとCT結像を実行する。つまり、確定されたCTスキャンの位置において、CT結像を行い被検物の一断層の密度と原子番号に関する画像を生成することによって液体の密度と原子番号の測定を行う。以上述べたように、代表的な場所のみでCTスキャンするので、チェックイン時間を大幅に短くすることができる。
【0091】
ステップS410において、コンピュータ60は、コントローラ50にコマンドを送信することによって、載置機構40を所定の角度で例えば1度の角度で回転させる。コントローラ50は載置機構が回転している間に、角度情報取得ユニット54により載置機構の角度をリアルタイムで監視する。
【0092】
ステップS411において、1度の角度で回転するとコントローラ50が探測・収集装置30にトリガ信号を送信する。探測・収集装置30はそのトリガ信号を受信すると、各探測機の出力信号を一回収集して内蔵のバッファに保存する。
【0093】
次に、ステップS412において、回転角度を累積して一周になったかどうかを判断する。一周になっていない場合は、ステップS410に戻り、上に述べた動作を繰り返す。
【0094】
累積した回転角度が指定角度(例えば360度)になった場合は、ステップS413において回転運動を停止する。コントローラ50は探測・収集装置30にトリガ信号を送信しない。コンピュータ60は、探測・収集装置30から収集された高低エネルギーの探索機の信号を読み取って、図13に示すように、CTの投影データにするために、データのマトリックスのように並べる。CT投影データの各画素には、放射線が物体を通り抜ける時の残りの強度が記録されている。その強度は低エネルギーの射線強度と高エネルギーの射線強度を含む。ステップS414において、コンピュータ60は、デュアルエネルギーの再構成アルゴリズムを利用して、高低エネルギーのCT投影データに基づいて、断層上の密度と原子番号の画像、つまりCT画像を再構成する。CT画像の各画素には、被検物の該当画素に対応する位置の密度と原子番号が記録されている。
【0095】
以下、高低エネルギーのCT投影データから断層画像の再構成について説明する。
<CTの数学的原理>
ある方向θに二次元分布u(x,y)の線積分を行うと、一次元の関数pθ(t)が得られる。その関数は、u(x,y)の角度θに関する投影という。各方向の投影pθ(t)を得られれば、ラドン変換により二次元分布u(x,y)を精度よく算出することができる。投影から二次元分布を得るまでを、再構成という。
【0096】
実際の応用において、X線機器と探測機が物体の周りを一周回ると、物体のあるスライ
スの減衰係数の分布の各方向における投影が検出され、それによって、CTの原理に基づいて物体のスライスの減衰係数の二次元分布を再構成し取得することができる。
<基材の分解モデル>
小型X線安全検査システムにかかるエネルギー範囲内(<200keV)において、物
質線の減衰係数は、次のような式(1)で近似に表される。
【0097】
【数1】
【0098】
式(1)において、fp(E)は、光起電力効果による断面がエネルギーに応じて変化することを表す。fKN(E)は、コンプトン散乱による断面がエネルギーに応じて変化することを表す。fp(E)とfKN(E)とは、既知の解析式を持っている。定数a1とa2は、物質の原子番号と質量数と密度に関係があって、その数式が式(2)と式(3)のように示している。ここで、Zは原子番号、Mは質量数、ρは密度(g/cm3)、nは定数である。
【0099】
各種類の物質の線減衰係数が式(1)における二つの係数a1とa2によって唯一に決まるので二種類の基材を選択してもよい、例えば炭素とアルミニウムであり、基材の線減衰係数の線形結合により他のすべての材料を示す。式(4)のように示している。
【0100】
【数2】
【0101】
但し、μ(E)は任意の材料の線減衰係数、μ1(E)とμ2(E)は選択された二種類の基材の線減衰係数であり、b1とb2は基材の係数という。
【0102】
式(5)に基づいて、特性密度は、原子番号の2倍と質量数との比と、密度との積として定義されている。
【0103】
【数3】
【0104】
二種類の基材の原子番号と特性密度をそれぞれ(Z1,ρ1*)、(Z2,ρ2*)とすると、上の式(1)〜(4)によって任意の材料の原子番号と特性密度の式を推定することができる。
【0105】
【数4】
【0106】
<基材の投影モデル>
通常、X線管から発生するスペクトルが連続スペクトルであり、探索機のX線のスペク
トルに対する応答関数は定数ではない。スペクトルN(E)とエネルギーの応答関数Pd(E)との積をS(E)とし、S(E)を正規化すると以下のようになる。
【0107】
【数5】
【0108】
投影線の投影値を表す式は、次のような積分式になる。
【0109】
【数6】
【0110】
式(9)において、I0とIはそれぞれ放射線が物体に減衰される前と後に探索機により読み取った数値を表す。Emは放射線の最大エネルギーを、Iは放射線が通った経路を表す。
【0111】
式(9)から、つまり実際にシステムが測定した投影値pと二次元分布u(x,y)との関係から、X線は多色性を有し、式(9)はu(x,y)のある直線に沿う線積分を表
すものではないので、CTの数学的原理の要求を満たしていないことが分かる。通常の再構成のアルゴリズムはこのような違いを無視しており、再構成によるu(x,y)画像には、硬化の偽像という杯状の偽像(cupping artifact)が含まれている。
【0112】
従来のデュアルエネルギーCTの方法では、まず通常の再構成により2組のu(x,y)を取得して、次に原子番号と密度などの情報を算出する。しかし、そのようにしても放射線の多色性の影響を解消することができない。本発明では、基材を分解する考え方によってその問題が解決された。
【0113】
式(9)に基材の分解モデルを代入して、基材係数による投影値の式を得ることができる。
【0114】
【数7】
【0115】
上の式における経路1に沿う積分を下の式で表す。
【0116】
【数8】
【0117】
上述した式(11)、(12)の定義によると、B1とB2が基材係数b1(x,y)とb2(x,y)の投影と呼ばれる。各角度に係る全部の基材係数の投影を取得したとすると、CTの再構成の理論によって基材係数b1とb2の分布を再構成し取得することができる。それによって、基材の分解モデルに基づき物体の原子番号と特性密度の分布及び任意のエネルギーに係る線減衰係数の値を算出することができる。
<基材係数の投影の求め方>
デュアルエネルギーCTが二種類のエネルギーに係る投影データを収集すると、次のデュアルエネルギー投影データを得る。
【0118】
【数9】
【0119】
(p1,p2)を測定した後で方程式(13)と(14)により(B1,B2)を求めることができるが、上述した二つの方程式がいずれも対数の積分の方程式なので、解析して求めることができない。非線形性の反復法は、通常計算量が多く、安定な解を得にくい。
【0120】
放射線が厚さd1、d2の基材1、2を通った後で測定されたデュアルエネルギー投影は、次の式で表すことに留意すべきである。
【0121】
【数10】
【0122】
式(13)、(14)を式(15)、(16)と比べて、測定された投影データペア(p1,p2)が同じとすると、基材の投影データペア(B1,B2)と基材厚さの組み合わせ(d1,d2)が全く同じであることが分かった。
【0123】
厚さの異なる組み合わせに係るデュアルエネルギー投影を測定することによって、デュアルエネルギー投影のデータペア(p1,p2)と基材係数の投影データペア(B1,B2)との対応関係を得ることができて、ルックアップテーブルを形成することができる。(p1,p2)により(B1,B2)を算出することによって、複雑な解を求めるプロセスの代わりに、ルックアップテーブルに応じて、線形補間を用いて実現することができる。
【0124】
図14は、液体の属性を測定するプロセスを示している。
【0125】
図14に示すように、ステップS510において、密度画像と原子番号画像を融合し平滑化して、ノイズが小さな単値のCT画像を得る。融合の具体的な方法としては、直接密度画像と原子番号画像の何れかを融合結果として選択してもよい。また、両者に重みを付けて組み合わせてもよい。平滑化の方法としては、ガウシアンフィルタを使って画像にフィルタ処理を実施してもよい。
【0126】
ステップS511において、平滑化されたCT画像における被検物(前景であり、液体及びその包装を含む)を抽出して空気(背景)を取り除く。具体的には、閾値を設定して、取り除いた値が該当する閾値以上になる画素を前景画素とし、ほかの画素を背景画素とする。これは空気の密度と原子番号がほとんど0なのに対して、検査される液体物の密度と原子番号が大きくなるためである。
【0127】
ステップS512において、前景画像から液体画素を抽出する。具体的には、CT画像に対応する二値画像を作成して、前景画素を1とし、背景画素を0とする。そして二値画像に浸食演算(erosion operation)を数回行い、1回に一つの画素が浸食され、最終的に値が1の画素を液体画素とする。これは液体が常に包装物内に入っており、数回の浸食を実施することによって包装物を少しずつ取り除くことができるためである。浸食の回数は、包装物の厚さを確定することにより設定することができる。
【0128】
ステップS513において、今回の測定の出力結果として、CT画像における全ての液体画素の平均密度と平均原子番号を算出する。
【0129】
なお、DR画像の解析により液体が分層していることが確定した場合は、上述したステップを各層の液体に対して実行する。それによって、各層の液体が不審かどうかを判断し、最後に、オペレータに最終的な検査結果を報告する。
【0130】
なお、データベースに液体物の情報が不足のため拡張する必要がある場合がある。言い換えると、データベースにおける各データの内容は、システムを工場から出荷する前にプロバイダにより設定しておいてもよければ、システムを工場から出荷した後でオペレータにより拡張してもよい。例えば、新しい飲み物が市場に登場する場合は、オペレータはその飲み物のサンプルから該当飲み物の密度と原子番号の参考値を生成することができる。図15は、データベースを拡張するプロセスを示している。
【0131】
データベースに一つレコードを入力する基本的な方法では、まず、検査されるサンプルを実測して密度と原子番号の参考値を確定し、次にツリー状の識別システムに唯一の識別子を作成して、識別子に基づき、識別子と、密度と原子番号とをデータベースに保存する。
【0132】
図15に示すように、ステップS610において、オペレータがシステムを立ち上げてデータベース拡張操作画面に登録する。システムがセルフチェックしてから準備状態になる。オペレータは、データベースに追加したい液体サンプルを載置機構40に置く。ステップS611において、コンピュータ60は、コントローラ50にコマンドを送信することによって、放射線源10と、探測・収集装置30とをトリガさせてDR結像を行う。そして、ステップS612Aにおいて、上に述べたような方式に応じて、液体の位置を自動的に確定し、またはステップS612Bにおいて、オペレータが液体の位置を手動でDR画像に指定する。
【0133】
ステップS613において、自動または手動で確定された液体位置においてCT結像を行い、ステップS614において、CT画像から液体の密度と原子番号の参考値を取得するためにCT画像を解析する。
【0134】
更に、ステップS615において、オペレータが液体サンプルに識別子を設定し、例えばコカコーラ、そして、ステップS616において、液体の識別子をその密度と原子番号の参考値に結び付けて一緒にデータベースに保存する。
(第2の実施形態)
以上、第1実施形態に述べたのは、一回に一つの液体物を検出する場合である。次に、図16〜19を合わせて、同時に複数の液体物を検出する操作プロセスを詳しく説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、複数の液体物が存在するので、オペレータにどの液体物が不審なのかを明らかにさせるために、CT結像後、ディスプレイに表示された結像結果の位置を載置機構における物体の位置に対応させる必要があることである。図16(A)と図16(B)は、本発明の第2実施形態による複数の液体物を検出する際の再構成のCT画像を示す図を示している。
【0135】
例えば、オペレータが俯瞰で載置機構における被検物を見下ろすため、検査を終了してから、各層のCT画像における各物体の位置は載置機構40の平面図と必ず一致するように要求される。
【0136】
図17(A)〜(K)はCT結像完了後、CTスキャンする前の物体の相対位置と一致するように、如何にしてCT再構成の画像及び/又は載置機構を回転させるかのプロセスを示している。
【0137】
図17(A)は、1回目にCT結像が開始するときの載置機構40の平面図を示している。その中に、矢印で示すのが載置機構の角度である。図17(B)は1回目にCT画像を回転させる前のCT画像を示しており、1回目の結像を開始するときの載置機構の平面図と一致している。その中に、点線で示すのが載置機構の回転範囲である。図17Cは第1層のCT画像を回転させた後のCT画像を示しており、回転角度が0なので、実際にその層のCT画像を回転させる必要がない。
【0138】
図17(D)は、n回目にCT結像が開始するときの載置機構の平面図を示している。図17(D)から分かるように、n回目にCT結像が開始するときに、載置機構が1回目のCT結像する前の状況と比べて角度を持つようになっている。図17(E)は、n回目にCT画像を回転させる前のCT画像を示しており、n回目の結像開始するときの載置機構の平面図と一致している。図17(F)は、第1層のCT画像に合わせるように図17(D)における画像を回転させる図を示している。
【0139】
図17(G)は、最後にCT結像が開始するときの載置機構の平面図を示している。この時、載置機構が1回目のCT結像開始時と比べて角度を持つことが分かった。図17(H)は、N回目にCT画像を回転させる前の画像を示しており、N回目の結像開始するときの載置機構の平面図と一致している。図17(I)は、第1層のCT画像に合わせるように図17(H)における画像を回転させる図を示している。
【0140】
図17(J)は、最後にCT結像が終了したあとの載置機構の平面図を示している。ここで、載置機構が1回目のCT結像開始する前の状況と比べて角度を持つようになっている。図17(K)は、1回目のCT結像による画像と一致するように、結像が終了した後に載置機構を回転させることを示している。
【0141】
CT結像がすべて終了したあと、各層のCT画像と載置機構に角度調整を行う。まず、毎回CT結像開始時の載置機構の角度(角度情報取得ユニット54により取得できる)によって、同じ物体に対して各層のCT画像における位置が一致するように各層のCT画像に回転処理を行う。例えば、第1層のCTと位置合わせる。次に、載置機構の平面図がCT画像と一致するように載置機構の角度を調整する。
【0142】
例えば、N回のCT結像を行ったとする。N回目のCT結像開始時の載置機構の角度をαnとし、終了時の載置機構の角度をβnとする。平面図において載置機構が反時計回り方向に回転するとする。物体の第n層のCT画像における位置を第1層における位置と一致させるために、第n層のCT画像を反時計回り方向にαn−α1角度で回転させればよい。画像を回転させたあと、物体の載置機構の平面図における位置をCT画像における位置と一致させるために、載置機構を反時計回り方向に360−(βN−α1)角度で回転させればよい。
【0143】
図18は、被検査物が複数存在する際の検査を行うフローチャートを示している。図18に示すように、ステップS710において、オペレータがシステムを立ち上げて検査画面に登録する。システムがセルフチェックしてから準備状態になる。次に、オペレータが複数の被検物、例えば物体Aと物体Bを直接載置機構40に載せて検査ボタンを押す。ここで、物体Aが載置機構の右上角に位置して、物体Bが載置機構の左下角に位置するとする。また、オペレータが物体Aと物体Bの識別情報をそれぞれ入力する。
【0144】
ステップS711において、物体Aと物体Bの識別情報によりデータベースからそれぞれの密度と原子番号の参考値を検索する。続いて、ステップS712において、オペレータがスタートボタンを押すと上述したような方式でDRスキャンを実行してDR画像を生成する。
【0145】
DR画像を取得してから、ステップS713Aにおいて、DR画像を解析し、CT結像のスキャン位置を自動的に確定する。または、ステップS713Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度が向上する。
【0146】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS714において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し、再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成し、そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。液体に複数の層が存在する場合は、各層にCTスキャンを行う。
【0147】
ステップS715とS716において、最後のCT結像が終了したあと、各層のCT画像における各物体の位置(例えば、第1層のCTと位置合わせする)が一致しており、物体の載置機構における実際位置と一致する(例えば、平面図と一致する)ように、上述したような方法に従って載置機構の角度と各層のCT画像の角度を調整する。それにより物体Bと物体Aとを区別する。
【0148】
ステップS717において、各層のCT画像に画像分割処理(例えば分水界(watershed)アルゴリズム)を行い、各液体物の液体区域を得る。ステップS718において、各液体区域内における各画素の密度と原子番号の平均値を算出する。ステップS719において、それを密度と原子番号の参考値と比較する。それによって、ステップS720において、該当被検物のその層の液体が不審かを判断する。
【0149】
ステップS721において、各層の検査結果をまとめてオペレータに提示する。まとめ方として、すべてのCT画像におけるすべての液体区域が安全な液体と判断されるときのみ、今回の検査結論が「安全」で、そうではないときは「不審」であるという方法がある。また、各層のCT画像をカラー化してユーザに表示する。CT画像において、不審と判断された被検物には一つの色(例えば赤色)を使い、安全と判断された被検物には他の色(例えば緑色)を使う。
【0150】
以上述べたのは、二つの液体物を同時に検査する場合である。もっと多い液体物を同時に検査するときに、オペレータに各液体物の位置を明らかにさせるために、図19に示すように、載置機構に載せられた液体物の表面を、例えば図19におけるA区、B区、C区、D区という幾つかの区域に区切る。そうすることによって、オペレータが各液体物を該当する区域に入れることができ、各区域にそれぞれの液体の識別情報を入力することができる。
(第3の実施形態)
検出効率をさらに高めて、細長い検査される液体物を直接に載置機構に載せることにより検出する際に不安定が生じやすく検出結果に影響を与えるという問題を防ぐために、第3の実施形態では、複数の物体を区分け容器に入れることが提案されている。
【0151】
従って、第3の実施形態と第2の実施形態との相違点は、複数の物体を検査する過程において、区分け容器を使うという点である。次に、図20〜図25を合わせて、本実施形態による検査装置の具体的な操作プロセスを詳しく説明する。
【0152】
図20は、本実施形態による区分け容器の側面図を示している。図21は、区分け容器の平面図を示している。図22は、区分け容器の底面図を示している。
【0153】
図20に示すように、区分け容器70は底部及び底部と接合する側壁を備える。底部の下表面には、円錐状またはほかの形の突起がいくつか設置されている。これらの三つの円錐状突起は、載置機構40上に対応している位置にあわせ用の穴に嵌め込むことができる。それによって、載置機構が回転している間に、区分け容器70と載置機構40と一緒に回転し、両者の間に相対運動を生じさせないようになる。
【0154】
なお、図20に示すように、オペレータの持ち運びが容易になるように、側壁の上端部の一周にフランジが設置されている。側壁は円柱状または円錐状であり、弾力性がある材料、例えばポリエチレン(PE)またはアルミニウムによって作成される。
【0155】
図21は、三種類の区分け容器の平面図である。図に示すように、底部と側壁により形成された空間には、一つまたは複数の区切り部品が設置されている。その区切り部品は、必要に応じて該当空間を、それぞれ液体物を入れるためのいくつかの空間に区切っている。従って、複数の液体物を同時に検査するときに、複数の液体物を区切り部品で分けられた空間に入れて、これらの液体物を同時に検査する。この場合、側壁の外表面にマークを付けることによって検査時に検査用容器に入った液体物を位置あわせしやすくなる。例えば、四つの液体物の中に一つの不審物が検出されたときに、その液体物の側壁に設置されたマークと対応している位置によって、どの液体物が不審なのかをユーザに報告することができる。
【0156】
例えば、図21の左側の図に示すように、区切り部品の上側に所定のサイズの円形断面のマークを設置すること、あるいはある区切り部品の長さをほかよりも小さくすることによって、液体物に使われているマークを位置合わせる。
【0157】
図22は、区分け容器の底面図である。底部の下表面に三つの突起が平均に分布しているが、これらの三つの突起の分布は平均しなくてもよい。
【0158】
図23は、検査中における区分け容器とマークを如何に自動で検出するかのプロセスを示している。上に述べたように、区分け容器は特定の構造を有し、画像処理によく使われるテンプレートマッチング法で検出することができる。十字区分けの第一種の容器を例として、まずステップS810において、十字付きのテンプレート画像を作成して、そのテンプレートの中心を識別待ちのCT画像の中心に設置することによってマッチング値を得る。
【0159】
次にステップS811において、そのマッチング値が所定の閾値より大きいかどうかを判断して、判断結果が否である場合に、テンプレート画像とCT画像とのマッチング度が最大になるまで、テンプレート画像を回転する。マッチング度がある所定の閾値よりも大きければ、CT画像に区分け容器が存在するものとする。そうでなければ、CT画像に区分け容器が存在しないものとする。
【0160】
CT画像に区分け容器が存在する場合は、ステップS812において、さらに位置合わせ用マークの特徴により位置合わせ用マークを検出する。また十字区分けの第一種の容器を例にすると、その位置合わせ用マークが区分け線の上端にあり、該当区分け線をほかの3本の区分け線よりも短くするようになっている。テンプレートマッチング方法でCT画像に区分け容器が存在することが確定されたあと、マッチング度が最大のときにテンプレート画像における十字はちょうど区分け線に一致する。四つの区分け線の長さを比較してもっとも長いのを選ぶことにより位置合わせ用マークを取得することができる。
【0161】
多層CT結像のあと、まず各層のCT画像に区分け容器と位置合わせ用マークを検出する。各層のCT画像に区分け容器を検出することができていない場合は、オペレータが区分け容器を使っていないと考えられる。少なくとも一層のCT画像に区分け容器が検出された場合は、オペレータが区分け容器を使っていると考えられる。各層に検出された位置合わせ用マークの位置が一致しなければ、信号強度がもっとも強いものを最終的な位置合わせ用マークとしてもよい。ある層のCTの位置合わせ用マークの信号強度を表す方法は、その層における四つの区分け線の長さの最大値から平均値を引いて、その差が大きければ大きいほど位置合わせ用マークの信号強度が大きいというものである。
【0162】
図24(A)〜(D)は、検出中における容器を回転させる模式的な図を示している。検査用区分け容器の位置合わせ用マークを所定の位置に調整すれば、各区分け部を指定位置に調整することができる。第一種の十字区分け容器を例として、CT画像の中心を座標系の原点として極座標系を作成して、各区分け部の位置が位置合わせ用マークの角座標によって一つに定まる。図24に示すように、システムの各種のCT画像における最終的に確定された位置合わせ用マークが対応している極座標の角度をγ、システムの所定の調整目標をθとして、各層のCT画像と載置機構をθ−γ度で回転させれば調整を完成することができる。
【0163】
図24(A)と(B)に示すように、予め要求される位置に達するように、区分け容器をある角度で回転させる。同じように、回転後の区分け容器の角度と一致するように各層のCT結像による画像を回転させる。
【0164】
図25は、本実施形態による検査プロセスのフローチャートを示している。ステップS910からステップS921までは、上述した第3実施形態のステップS710からステップS721までと同じである。ここでは、ステップS922からステップS926までのみ記述する。
【0165】
ステップS922において、CT画像を解析する。ステップS923において検査用区分け容器があるかどうかを判断する。検査用容器がなければ、今回の検査が終了する。
【0166】
検査用容器を使った場合は、ステップS924において、検査用容器の位置合わせマークを識別して区分け部の位置を確定する。次に、ステップS925において、載置機構の角度と各層のCT画像の角度とに二回目の調整を行って、所定の位置になるまで、載置機構の検査用容器における各区分け部の位置と各層のCT画像における各区分け部の位置を調整する。
【0167】
ステップS926において、システムが各層のCT画像の各区分け部内の各液体区域に対する検査結果をリストアップして、各区分け部の検査結論をまとめてオペレータに提示する。本実施形態によれば、まとめ方として、ある区分け部に対して、すべてのCT画像の該当する区分け部内のすべての液体区域が安全な液体と判断されたときのみ、今回の検査結論が「安全」で、そうでなければ「不審」であるという方法がある。
(第4の実施形態)
以上、第1〜第3実施形態は、本発明の検査される液体物が不審物かどうかを判断するための検査方法について説明したが、検査される液体物には薬品が隠されているかどうかを直接判断することもできる。
【0168】
液体の物理属性(例えば密度及び同等の原子番号)は、薬品が隠されることによって変わる。例えば、純水の密度は1.00g/cm3、原子番号は7.5である。
【0169】
1000gの水に50gコカインを溶けると、その密度は1.01g/cm3、原子番号は7.6になる。
【0170】
物質の同等の原子番号(混合物も含む)を算出する方法は、次の通りである。
【0171】
ある物質にN種類の元素が含まれ、各種の元素の原子番号はそれぞれZi、原子個数のパーセンテージはαi、ただし、i=1,2…,N、且つ
【0172】
【数11】
【0173】
とすると、該当物質の同等の原子番号は
【0174】
【数12】
【0175】
になる。
【0176】
そして、水(H2O)を例として、その物質の同等の原子番号を算出するプロセスは、次の表1に示すようになる。
【0177】
【表1】
【0178】
液体に麻薬が隠されたあとの密度と原子番号の変化(水に塩酸コカインを溶けることを例とする)は、次の表2に示すようになる。
【0179】
【表2】
【0180】
なお、図26(A)は、液体に麻薬が隠された場合の密度の変化を説明するためのグラフである。図26(B)は、液体に麻薬が隠された場合の原子番号の変化を説明するためのグラフである。図26(C)は、液体に麻薬が隠された場合の特性密度の変化を説明するためのグラフである。
【0181】
次に、図27を参照しながら、本発明の実施形態の検査方法について詳しく説明する。
【0182】
ステップS1010において、オペレータが検査される液体物を載置機構40に載せて、乗客の申告書または液体物のラベルにより該当する液体物の識別情報、例えば1本の水を取得する。
【0183】
次に、ステップS1011において、オペレータがデータベースからその識別情報により密度と原子番号の参考値を検索し取得する。例えば、密度は1.00(特性密度は1.11)g/cm3、原子番号の参考値は7.51である。続いて、DR画像を生成するためにオペレータがスタートボタンを押してDRスキャンを実行する。
【0184】
DR画像を取得してから、ステップS1013Aにおいて、DR画像を解析して、CT結像のスキャン位置を自動的に確定し、または、ステップS1013Bにおいて、オペレータが例えばマウスのような入力装置65によってCTスキャンの位置を指定する。それによって、液体物の中の代表的な位置のみCTスキャンを行うので、検査の品質を低下させず、検査の速度を向上する。
【0185】
CTスキャンの位置を確定してから、ステップS1014において、CTスキャンを実行する。つまり、確定されたスキャンの位置で液体物のCTスキャンを行い、CTスキャンデータを取得し、再構成のアルゴリズムによりCT画像を再構成する。そのCT画像の各画素は液体物における該当する部分の密度と原子番号を表している。
【0186】
そして、ステップS1015において、コンピュータが解析プログラムを実行することによってCT画像を解析し検出した密度と原子番号を取得する。例えば、検出された密度は1.02(特性密度は1.13)g/cm3、原子番号は7.71である。更に、ステップS1016において、計算により実測密度と参考値との差0.02g/cm3、及び原子番号の差0.20を得ることができる。麻薬隠しの判別閾値は、もし密度の差が0.02g/cm3、原子番号の差が0.20のように設定されれば、その検出された密度と原子番号が所定の範囲内になる。ステップS1017において、その差が所定の閾値よりも大きければ、該当する液体物が不審物であることを表している。オペレータに警告し、または検査結果をプリントアウトする。
【0187】
必要な密度と原子番号の参考値を判別するためには、予めその種類の液体のサンプルをデータベースに保存しておけばよい。必要な差の閾値を判別するためには、手動で適当な値を設定すればよい。微量の薬品を検出したい場合は、その閾値を小さく設定すればよいが、そのリスクとして、麻薬が隠されていない被検物であっても、システムのノイズによる大きな偏差が検出され、誤検知になる恐れがある。逆に、麻薬が隠されていない被検物に対する誤検知をできるだけ少なくするためには、その閾値を大きく設定すべきであるが、そのリスクとして、検査される液体物にわずかの薬品が隠されている場合は、その密度の差が僅かであり、判別閾値ほどにはならないために、検知漏れになる。
【0188】
以上、一つの被検物の検査を例として説明したが、当分野の一般技術者によく知られているように、第4実施形態による方法は、第2実施形態と第3実施形態と同じように複数の瓶の検査に適用することができる。
(変形例1)
以上、本発明の実施形態については、まずDR結像して次にCT結像することを例として説明したが、直接螺旋状CT結像によって液体物を検査することもできる。
【0189】
液体物に螺旋状CT検査を行うことによって、1組の螺旋状CTの画像を取得する。その組のCT画像における画素を比較、解析することによって、液体の位置、また液体が分層しているかを確定することができる。そして、以上述べたような方法で各層における液体の物理属性の値、例えば、密度と原子番号を取得する。例えば、図28に示すような液体物に螺旋状CT結像を行う場合は、2cmのピッチでスキャンすると、図29(A)〜(M)に示すような1組のCT画像を得る。従って、各螺旋状CT画像における画素の値を解析することによって、液体物にいける液体の位置を明らかにすることができる。ここで、螺旋状CT結像は、ピッチの大きな螺旋状CT結像または通常ピッチのCT結像を採用してもよい。
【0190】
なお、以上では密度と原子番号を例として説明したが、本発明は、密度と原子番号のいずれを使って行ってもよい。または、より多くの物理属性を使って行ってもよい。
(変形例2)
以上、まずDR結像して次にデュアルエネルギーCT結像することによって液体の密度と原子番号を取得するものであるが、ここでのDR結像は必須ではない。それは、異なる液体物に対して、所定の位置にデュアルエネルギーCT結像を行うことによって液体の密度と原子番号を取得することができるからである。
【0191】
以上述べた形態は、本発明の実施形態を実現するためにしか使われない。当分野の一般技術者が理解すべきなのは、本発明の範囲から逸脱しない任意の変更や一部の切り替えは、全て本発明の請求項に限られている範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は請求項の保護範囲に準じるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施形態による検査装置の構造を示す図である。
【図2】図1に示すコンピュータのデータプロセッサ60の構造のブロック図を示している。
【図3】本発明の第1実施形態によるコントローラの構造のブロック図を示している。
【図4】データベースにおいて各種類の液体物の識別情報や属性情報を格納するための構造を示している。
【図5】DR結像とCT結像との関係を説明するための模式的な図である。
【図6】DR結像の結果の一例を示している。
【図7】DR結像の結果の他の例を示している。
【図8】本発明の第1の実施形態による液体物の検査方法の全フローチャートを示している。
【図9】DR結像のプロセスのフローチャートを示している。
【図10】DR結像における探測・収集装置30による収集されたDR画像データの並べ方式を示している。
【図11】DR画像に対する処理によりCTスキャンの位置を確定するフローチャートを示している。
【図12】CT結像のプロセスを示している。
【図13】CT結像におけるCT投影データの並べ方式を示している。
【図14】液体の属性を測定するプロセスを示している。
【図15】データベースを拡張するプロセスを示している。
【図16】本発明の第2実施形態による複数の液体物を測定する際の再構成のCT画像を示す図を示している。
【図17】CT結像完了後、CTスキャンする前の物体の相対位置と一致するようにCT再構成の画像及び/又は載置機構を如何に回転させるかのプロセスを示している。
【図18】被検査物が複数存在する際の検査を行うフローチャートを示している。
【図19】本発明の第2実施形態による載置機構の平面図を示している。
【図20】本実施形態による区分け容器の側面図を示している。
【図21】区分け容器の平面図を示している。
【図22】区分け容器の底面図を示している。
【図23】検査中における区分け容器とマークを如何に自動で測定するかのプロセスを示している。
【図24】測定中における容器を回転させる模式的な図を示している。
【図25】第3の実施形態による検査プロセスのフローチャートを示している。
【図26】(A)液体に麻薬が隠された場合の密度の変化を説明するためのグラフであり、(B)液体に麻薬が隠された場合の原子番号の変化を説明するためのグラフであり、(C)液体に麻薬が隠された場合の特性密度の変化を説明するためのグラフである。
【図27】本発明の第4の実施形態による検査方法を詳しく説明するためのフローチャートである。
【図28】液体物に対する螺旋状CTスキャンの実施を説明するための図である。
【図29】液体物に対して螺旋CTスキャンによる取得した画像を説明するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、デュアルエネルギーCT投影データを得るステップと、
前記投影データに基づいてCT再構成を行い、前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を得るステップと、
前記CT画像から前記検査される液体物の前記物理属性の値を抽出するステップと、
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものか否かを判断するステップと、
を含むことを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査方法。
【請求項2】
前記物理属性の値は、前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、スライスCTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項4】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、通常の螺旋状CTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項5】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、ピッチの大きな螺旋状CTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項6】
前記スライスCTスキャンを行う前に、予め1組のスキャン位置を設定しておくことを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項7】
前記スライスCTスキャンを行う前に、まずDR結像を行い被検査物の透過画像を得て、次に前記透過画像によってCTスキャン位置を確定することを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項8】
前記透過画像を得ると、オペレータが入力装置により少なくとも画像の1行を指定してCTスキャン位置とすることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項9】
前記透過画像を得ると、画像処理技術により少なくとも画像の1行を自動的に確定してCTスキャン位置とすることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項10】
前記透過画像を形成する前記ステップは、
放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、前記被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、
前記高いエネルギー透過画像と前記低いエネルギー透過画像を融合して前記透過画像を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項11】
前記透過画像を形成する前記ステップは、
放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、前記被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、
前記高いエネルギー透過画像と前記低いエネルギー透過画像の何れかを選択して前記透過画像とするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項12】
前記デュアルエネルギー投影データから前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像を再構成する前記ステップは、
高低エネルギーの投影データに基づいて、2種類の基材の係数に関する投影データを生成するステップと、
前記2種類の基材の係数に関する投影データに基づいて再構成を行って、前記検査される液体物に対応する2種類の基材の係数を表すCT画像を得るステップと、
前記基材の係数を表す前記CT画像によって、前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を生成するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項13】
前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像に基づいて、前記検査される液体物の前記物理属性の値を得る前記ステップは、
前記CT画像から液体部分に対応している画素を抽出するステップと、
前記液体部分に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して前記検査される液体物の密度と原子番号とするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項14】
前記物理属性の値と前記該当する液体物の前記物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものか否かを判断する前記ステップは、
前記密度と原子番号と、前記密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出するステップと、
前記差の値が所定の閾値よりも大きければ、前記検査される液体物に麻薬が含まれているとするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項15】
各位置に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目の前記デュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、前記検査される液体物の前記CT画像を回転させることを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項16】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、前記スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させることを特徴とする、請求項15の方法。
【請求項17】
前記液体物は、いくつかの空間に仕切られている容器に入っていることを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項18】
所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出するステップと、
前記容器が存在する場合は前記CT画像における特定のマークを検出するステップと、
前記特定のマークに基づいて所定の位置まで前記容器を回転させるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項17の方法。
【請求項19】
前記検査される液体に関する判断の結果を前記ディスプレイパネルに表示するステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18の方法。
【請求項20】
各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトするステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18の方法。
【請求項21】
各々の前記検査される液体のCT画像をカラー化するステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18方法。
【請求項22】
放射線を放射する放射線源と、
少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、
前記放射線源と、前記探測・収集装置とを制御することによって、前記検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、投影データを得るコントローラと、
前記投影データに基づいて前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置と、
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置と、
を備えることを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置。
【請求項23】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは所定の位置によって行うことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項24】
前記探測・収集装置は、透過画像を形成できるように、少なくとも一つの前記検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集し、
前記装置は透過画像における少なくとも1行を指定する装置を更に備え、
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、指定された行に基づいて行う、
ことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項25】
前記物理属性の値は、少なくとも前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項26】
前記放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、高エネルギーの画像と低エネルギーの画像を融合し、前記透過画像を形成する装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項27】
前記放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、前記高エネルギーの透過画像と前記低エネルギーの透過画像のいずれかを前記透過画像として選択する装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項28】
前記透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、オペレータが入力装置により前記透過画像から少なくとも1行を選択する装置を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項29】
前記透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、
前記透過画像の画素値を解析することによって前記透過画像を分層する装置と、
各層の中間行を、前記デュアルエネルギーCTスキャンを行う行として指定する装置と、
を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項30】
前記投影データに基づいて前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像を再構成する前記装置は、
前記CT画像として、前記検査される液体物の密度により識別される密度の画像と、前記検査される液体物の原子番号により識別される原子番号の画像とを前記CT画像に融合する装置と、
前記CT画像から液体部分に対応している画素を抽出する装置と、
前記液体部分の画素に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して前記検査される液体物の密度と原子番号とする装置と、
を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項31】
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する前記装置は、
前記密度と原子番号と、前記密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出する装置を備え、
前記差の値が所定の閾値よりも大きい場合は、前記検査される液体物に麻薬が隠されているとすることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項32】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、前記検査される液体物の前記CT画像を回転させる装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項33】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、前記検査される液体物を回転させる装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項34】
いくつかの空間に仕切られ、前記空間にはそれぞれ前記液体物が入れられる容器を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項35】
所定のテンプレートによって前記容器の存在を自動的に検出する装置と、
前記容器が存在する場合は、CT画像における特定のマークを検出する装置と、
前記特定のマークに基づいて所定の位置まで前記容器を回転させる装置と、
を備えることを特徴とする、請求項34の装置。
【請求項36】
前記検査される液体に関する判断の結果を表示する表示装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項37】
各々の前記検査される液体に関する前記判断の結果をプリントアウトする装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項38】
各々の前記検査される液体のCT画像をカラー化する装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項39】
前記検査される液体物が載置される載置機構を更に備え、
前記載置機構に載置された前記検査される液体物の表面には、前記オペレータが識別可能ないくつかの区域が分けられていることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項40】
放射線を放射する放射線源と、
少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、
前記放射線源と、前記探測・収集装置とを制御することによって、前記検査される液体物に螺旋状CTスキャンを行い、それぞれ前記検査される液体物の少なくとも一つの物理属性の値を表す一組の螺旋状CT画像を形成するコントローラと、
液体の螺旋状CT画像の部分を確定するために前記螺旋状CT画像を解析する装置と、
前記物理属性の値と該当する前記液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置と、
を備えることを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置。
【請求項41】
前記物理属性の値は、少なくとも前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項40の装置。
【請求項1】
検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、デュアルエネルギーCT投影データを得るステップと、
前記投影データに基づいてCT再構成を行い、前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を得るステップと、
前記CT画像から前記検査される液体物の前記物理属性の値を抽出するステップと、
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものか否かを判断するステップと、
を含むことを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査方法。
【請求項2】
前記物理属性の値は、前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、スライスCTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項4】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、通常の螺旋状CTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項5】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、ピッチの大きな螺旋状CTスキャン方式を採用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項6】
前記スライスCTスキャンを行う前に、予め1組のスキャン位置を設定しておくことを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項7】
前記スライスCTスキャンを行う前に、まずDR結像を行い被検査物の透過画像を得て、次に前記透過画像によってCTスキャン位置を確定することを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項8】
前記透過画像を得ると、オペレータが入力装置により少なくとも画像の1行を指定してCTスキャン位置とすることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項9】
前記透過画像を得ると、画像処理技術により少なくとも画像の1行を自動的に確定してCTスキャン位置とすることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項10】
前記透過画像を形成する前記ステップは、
放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、前記被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、
前記高いエネルギー透過画像と前記低いエネルギー透過画像を融合して前記透過画像を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項11】
前記透過画像を形成する前記ステップは、
放射線源から高いエネルギーの放射線と低いエネルギーの放射線を放射させ、前記被検査物を通過させて高いエネルギー透過画像と低いエネルギー透過画像を形成するステップと、
前記高いエネルギー透過画像と前記低いエネルギー透過画像の何れかを選択して前記透過画像とするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項12】
前記デュアルエネルギー投影データから前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像を再構成する前記ステップは、
高低エネルギーの投影データに基づいて、2種類の基材の係数に関する投影データを生成するステップと、
前記2種類の基材の係数に関する投影データに基づいて再構成を行って、前記検査される液体物に対応する2種類の基材の係数を表すCT画像を得るステップと、
前記基材の係数を表す前記CT画像によって、前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を生成するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項13】
前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像に基づいて、前記検査される液体物の前記物理属性の値を得る前記ステップは、
前記CT画像から液体部分に対応している画素を抽出するステップと、
前記液体部分に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して前記検査される液体物の密度と原子番号とするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項14】
前記物理属性の値と前記該当する液体物の前記物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものか否かを判断する前記ステップは、
前記密度と原子番号と、前記密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出するステップと、
前記差の値が所定の閾値よりも大きければ、前記検査される液体物に麻薬が含まれているとするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項15】
各位置に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目の前記デュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、前記検査される液体物の前記CT画像を回転させることを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項16】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、前記スキャン前の位置に合わせるように、検査される液体物を回転させることを特徴とする、請求項15の方法。
【請求項17】
前記液体物は、いくつかの空間に仕切られている容器に入っていることを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項18】
所定のテンプレートによって容器の存在を自動的に検出するステップと、
前記容器が存在する場合は前記CT画像における特定のマークを検出するステップと、
前記特定のマークに基づいて所定の位置まで前記容器を回転させるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項17の方法。
【請求項19】
前記検査される液体に関する判断の結果を前記ディスプレイパネルに表示するステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18の方法。
【請求項20】
各々の検査される液体に関する判断の結果をプリントアウトするステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18の方法。
【請求項21】
各々の前記検査される液体のCT画像をカラー化するステップを更に含むことを特徴とする、請求項16又は18方法。
【請求項22】
放射線を放射する放射線源と、
少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、
前記放射線源と、前記探測・収集装置とを制御することによって、前記検査される液体物にデュアルエネルギーCTスキャンを行い、投影データを得るコントローラと、
前記投影データに基づいて前記検査される液体物の物理属性の値を表すCT画像を再構成する装置と、
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置と、
を備えることを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置。
【請求項23】
前記デュアルエネルギーCTスキャンは所定の位置によって行うことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項24】
前記探測・収集装置は、透過画像を形成できるように、少なくとも一つの前記検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集し、
前記装置は透過画像における少なくとも1行を指定する装置を更に備え、
前記デュアルエネルギーCTスキャンは、指定された行に基づいて行う、
ことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項25】
前記物理属性の値は、少なくとも前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項22の装置。
【請求項26】
前記放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、高エネルギーの画像と低エネルギーの画像を融合し、前記透過画像を形成する装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項27】
前記放射線源から高エネルギーの放射線と低エネルギーの放射線を放射し、被検物体を通過させて、高エネルギーの透過画像と低エネルギーの透過画像を形成し、前記高エネルギーの透過画像と前記低エネルギーの透過画像のいずれかを前記透過画像として選択する装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項28】
前記透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、オペレータが入力装置により前記透過画像から少なくとも1行を選択する装置を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項29】
前記透過画像における少なくとも1行を指定する装置は、
前記透過画像の画素値を解析することによって前記透過画像を分層する装置と、
各層の中間行を、前記デュアルエネルギーCTスキャンを行う行として指定する装置と、
を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項30】
前記投影データに基づいて前記検査される液体物の前記物理属性の値を表す前記CT画像を再構成する前記装置は、
前記CT画像として、前記検査される液体物の密度により識別される密度の画像と、前記検査される液体物の原子番号により識別される原子番号の画像とを前記CT画像に融合する装置と、
前記CT画像から液体部分に対応している画素を抽出する装置と、
前記液体部分の画素に対して、密度の平均値と原子番号の平均値を算出して前記検査される液体物の密度と原子番号とする装置と、
を備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項31】
前記物理属性の値と該当する液体物の物理属性の参考値に基づいて前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する前記装置は、
前記密度と原子番号と、前記密度の参考値と原子番号の参考値との差の値を算出する装置を備え、
前記差の値が所定の閾値よりも大きい場合は、前記検査される液体物に麻薬が隠されているとすることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項32】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、一回目のデュアルエネルギーCTスキャンによる画像に合わせるように、前記検査される液体物の前記CT画像を回転させる装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項33】
各行に前記デュアルエネルギーCTスキャンを行ってから、スキャン前の位置に合わせるように、前記検査される液体物を回転させる装置を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項34】
いくつかの空間に仕切られ、前記空間にはそれぞれ前記液体物が入れられる容器を更に備えることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項35】
所定のテンプレートによって前記容器の存在を自動的に検出する装置と、
前記容器が存在する場合は、CT画像における特定のマークを検出する装置と、
前記特定のマークに基づいて所定の位置まで前記容器を回転させる装置と、
を備えることを特徴とする、請求項34の装置。
【請求項36】
前記検査される液体に関する判断の結果を表示する表示装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項37】
各々の前記検査される液体に関する前記判断の結果をプリントアウトする装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項38】
各々の前記検査される液体のCT画像をカラー化する装置を更に備えることを特徴とする、請求項33又は35の装置。
【請求項39】
前記検査される液体物が載置される載置機構を更に備え、
前記載置機構に載置された前記検査される液体物の表面には、前記オペレータが識別可能ないくつかの区域が分けられていることを特徴とする、請求項24の装置。
【請求項40】
放射線を放射する放射線源と、
少なくとも一つの検査される液体物を透過する放射線信号を探測し収集する探測・収集装置と、
前記放射線源と、前記探測・収集装置とを制御することによって、前記検査される液体物に螺旋状CTスキャンを行い、それぞれ前記検査される液体物の少なくとも一つの物理属性の値を表す一組の螺旋状CT画像を形成するコントローラと、
液体の螺旋状CT画像の部分を確定するために前記螺旋状CT画像を解析する装置と、
前記物理属性の値と該当する前記液体物の物理属性の参考値に基づいて、前記検査される液体物が不審なものであるかどうかを判断する装置と、
を備えることを特徴とする、デュアルエネルギーCTによる液体物に対する検査装置。
【請求項41】
前記物理属性の値は、少なくとも前記検査される液体物の密度と原子番号を含むことを特徴とする、請求項40の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図27】
【図28】
【図29】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図27】
【図28】
【図29】
【図26】
【公開番号】特開2009−92658(P2009−92658A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259431(P2008−259431)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(508025378)チンファ ユニバーシティ (5)
【出願人】(508025367)ヌクテック カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(508025378)チンファ ユニバーシティ (5)
【出願人】(508025367)ヌクテック カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
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