説明

液体用紙容器の口栓及び該口栓を取り付けた液体用紙容器

【課題】内容液の注ぎ出し時に液ダレの発生が少なく液切れの良い注出筒を有する口栓と該口栓を取り付けた液体用紙容器を提供すること。
【解決手段】スパウト(10)の注出筒(14)の先端部分は、螺子部(13)の先縁から液体用紙容器の傾斜板(4)の傾斜角度θと略同じ傾斜角度θで末広がりに拡がって形成され、注出筒の先端部分の半径と中心部分の半径との半径差Dが0.5〜9mm、注出筒の先端部分と螺子部の先端縁との距離Lが2〜10mmに形成されている。また、傾斜角度θは25°〜35°である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器頂部に超音波シール法により熱融着して突設されるスパウトとそのスパウトに螺着されるキャップとからなる液体用紙容器の口栓と該口栓を取り付けた液体用紙容器に関し、特には注出時に液切れし易い液体用紙容器の口栓と該口栓を取り付けた液体用紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や非食品の液体内容物に使用される液体用紙容器には、使用時の使い易さ等を考慮して、例えば、図4に示すように、胴部(3)が四角柱状で、切り妻屋根型の頂部の傾斜板(4)の注出位置に、スパウト(10)とキャップ(20)とからなる口栓(1)を突設させた液体用紙容器(2)が広く使用されている。
【0003】
この口栓(1)は、容器の口栓取付け孔から突出するスパウトの注出筒にキャップを螺着したものであるが、流通・保管時の密封性の完全さと使用時の易開封性を兼ね備えるため、例えば、図3に示すように、スパウト(10)の注出筒(14)の内側の下方内面に封鎖板(15)を設け封止し、使用時に開口するため、この封鎖板の下面の開口所定位置に断面逆V字状の環状切り込み(16)を設けて環状薄肉脆弱線(17)を形成し、この環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリング(18)を有する支柱(19)を立設させたものであり、容器を開封するために口栓を開口するときには、キャップ(20)を取り外し、注出筒(14)の内側に収容されているプルリング(19)を指先に掛けて引っ張り、封鎖板(15)の環状薄肉脆弱線(17)を引き裂いて開栓していた。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、開栓した紙容器を手で掴んで持ち上げ、紙容器をコップ等の移し替え用の容器に向けて傾けて、内容液(30)である清酒等を注ぎ出していた(図2(a)、(b)参照)。
【0005】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2004−051126号公報。
【0006】
ところが、注ぎ出し時には注出筒の先端部分(141)の外側まで濡れた状態で注出され、注ぎ出しが終わった時には最上端より外側の液体(30)は、注出筒(14)の外壁に垂れるという問題がある。注出筒の先端部分が図2(a)に示すような形状であると、注出筒外側の出幅が小さく、螺子部(13)に垂れ易い。
【0007】
注出筒の先端部分が図2(b)のように注出筒外側の出幅が比較的あり、かつ、その下の螺子部(13)までの距離が比較的長い場合には、内容液(30)が螺子部(13)に垂れる量は減るが、粘度が高い内容物になると同様に液ダレする。また、注出時に外側が濡れることにより、液ダレが少なくても乾燥物が蓄積し液ダレに発展するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、容器頂部に超音波シール法により熱融着して突設されるスパウトとそのスパウトに螺着されるキャップとからなる液体用紙容器の口栓に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、内容液の注ぎ出し時に液ダレの発生が少なく液切れの良い注出筒を
有する口栓及び該口栓を取り付けた液体用紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1の発明は、頂部が屋根型に形成されたゲーブルトップタイプの液体用紙容器の傾斜板に設けられた口栓取り付け孔に突設されるスパウトと該スパウトに螺合させて装着されるキャップとからなる口栓において、前記スパウトが、下端外周面に貼着リングが周設された台座リングの上面の内周縁部にキャップと螺合する螺子部を外周面に有する注出筒が立設され、該注出筒の下方内面には閉鎖板が設けられて内側が封止され、該閉鎖板の所定位置に環状切り込みが設けられて環状薄肉脆弱線が形成され、該環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリングを有する支柱が立設された構造からなり、前記スパウトの注出筒の先端部分は、螺子部の先縁から前記口栓を取り付ける液体用紙容器の傾斜板の傾斜角度θと略同じ傾斜角度θで末広がり状に拡がって形成され、注出筒の先端部分の半径と注出筒と注出筒の中心部分の半径との半径差Dが0.5〜5mm、注出筒の先端部分と螺子部の先端縁との距離Lが2〜10mmに形成されていることを特徴とする、液体用紙容器の口栓である。
【0010】
このように請求項1記載の発明によれば、頂部が屋根型に形成されたゲーブルトップタイプの液体用紙容器の傾斜板に設けられた口栓取り付け孔に突設されるスパウトと該スパウトに螺合させて装着されるキャップとからなる口栓において、前記スパウトが、下端外周面に貼着リングが周設された台座リングの上面の内周縁部にキャップと螺合する螺子部を外周面に有する注出筒が立設され、該注出筒の下方内面には閉鎖板が設けられて内側が封止され、該閉鎖板の所定位置に環状切り込みが設けられて環状薄肉脆弱線が形成され、該環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリングを有する支柱が立設された構造からなり、前記スパウトの注出筒の先端部分は、螺子部の先縁から前記口栓を取り付ける液体用紙容器の傾斜板の傾斜角度θと略同じ傾斜角度θで末広がり状に拡がって形成され、注出筒の先端部分の半径と注出筒と注出筒の中心部分の半径との半径差Dが0.5〜5mm、注出筒の先端部分と螺子部の先端縁との距離Lが2〜10mmに形成されているので、内容液が満量充填されている液体用紙容器(パック)を傾ける角度が少ない時でも液切れが良い。また、注出筒の外側壁を濡らすことなく注出できる.さらには、注出筒の外側壁に内容液が付着しても、注ぎ終わったパックの口元がほぼ下を向いているため付着した内容液は、注ぎ出し先のコップ等の容器に落ち易くなる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記傾斜角度θが25°〜35°であることを特徴とする、液体用紙容器の口栓である。
【0012】
このように請求項2記載の発明によれば、傾斜角度θを25°〜35°に設定してあるので、ゲーブルトップタイプの液体紙容器の傾斜板の傾斜角度は30°であり、注出筒の先端部分の角度と同じであり、パックを少し傾けるだけで、液切れ良く注出できる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の口栓を熱融着により取り付けた液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明の液体用紙容器の口栓は、注出筒の先端部分を薄肉にし角度を付けることにより、注出筒の外壁が濡れずに注出できるので液切れし易い。さらに断面形状をラッパ状に突出させることでさらに液切れし易く、液ダレし難くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の液体用紙容器の口栓は、例えば、図4に示すように、液体用紙容器(2)の口栓
取り付け孔に突設されるスパウト(10)と、このスパウトに螺合させて装着されるキャップ(20)とからなる口栓(1)である。スパウト(10)や口栓(20)は、ポリプロピレンなどの適度の剛性を有する熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製される。
【0016】
そしてスパウト(10)の構造はつぎの通りである。すなわち、例えば、図1に示すように、下端外周面に貼着リング(11)が周設された台座リング(12)の上面の内周縁部にキャップ(20)と螺合させる螺子部(13)を外周面に有する注出筒(14)が立設されている。
【0017】
注出筒(14)の下方内面には閉鎖板(15)が設けられて内側が封止され、この閉鎖板(15)の所定位置に、断面逆V字状又は断面V字状の環状切り込み(16)が設けられ、対向面側に環状薄肉脆弱線(17)が形成されている。
【0018】
この環状薄肉脆弱線(17)の内側近傍の上面の一側に、先端に一般的には円形状又は楕円形状のプルリング(18)を有する支柱(19)が立設されている。
【0019】
そして、スパウト(10)の注出筒(14)の先端部分(141)は、螺子部(13)の先縁から、口栓(1)を取り付ける液体用紙容器の傾斜板(4)の傾斜角度θと略同じ角度θで末広がりに拡がって断面ラッパ状に形成されている。傾斜角度θを25〜35°に設定しておくと、パックを少し傾けて注ぎ出す際の液切れが良くなる。
【0020】
また、注出筒(14)の先端部分(141)の半径と、注出筒(14)の中心部分の半径との半径差Dを0.5〜5mm、注出筒(14)の先端部分と螺子部(13)の先端縁(131)との距離Lを2〜10mmに設定している。
【0021】
このように設定することにより、通常ゲーブルトップタイプの液体用紙容器の傾斜板(4)の傾斜角度θは30°であり、注出筒(14)の先端部分の開口角度を傾斜板(4)の傾斜角度θと同じにすることで、内容液が満量入っているときのパックを傾ける角度の小さい時でも液切れが良くなった。
【0022】
また、注出筒(14)の先端部分(141)の肉厚を薄くして、角度を付けることにより,注出筒(14)の外側を濡らさずに注ぎ出しできるようになった。さらに、注出筒(14)の先端部分(141)から螺子部(13)の先端縁(131)までの距離を増やすことで、注出筒(14)の外側に付着した液体は、注ぎ終わって容器がまだ傾いている時に口元がほぼ下を向いているために注出先であるコップ等の容器に落ち易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の口栓に使用するスパウトの一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】(a)、(b)は従来の口栓を用いた液体用紙容器から内容液を注ぎ出している状態を模式的に示す、要部斜視説明図である。
【図3】液体用紙容器に取り付けた従来の口栓、特にスパウト部分の一例を示す、断面説明図である。
【図4】口栓を頂部傾斜板に熱融着により取り付けた一例の液体用紙容器の斜視説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1‥‥口栓
2‥‥液体紙容器
3‥‥胴部
4‥‥傾斜板
10‥‥スパウト
11‥‥貼着リング
12‥‥台座リング
13‥‥螺子部
14‥‥注出筒
15‥‥閉鎖板
16‥‥環状切り込み
17‥‥環状薄肉脆弱線
18‥‥プルリング
19‥‥支柱
20‥‥キャップ
30‥‥内容液
131‥‥螺子部の先端縁
141‥‥注出筒の先端部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部が屋根型に形成されたゲーブルトップタイプの液体用紙容器の傾斜板に設けられた口栓取付け孔に突設されるスパウトと該スパウトに螺合させて装着されるキャップとからなる口栓において、
前記スパウトが、下端外周面に貼着リングが周設された台座リングの上面の内周縁部にキャップと螺合する螺子部を外周面に有する注出筒が立設され、該注出筒の下方内面には閉鎖板が設けられて内側が封止され、該閉鎖板の所定位置に環状切り込みが設けられて環状薄肉脆弱線が形成され、該環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に,先端にプルリングを有する支柱が立設された構造からなり、
前記スパウトの注出筒の先端部分は、螺子部の先縁から、前記口栓を取り付ける液体用紙容器の傾斜板の傾斜角度θと略同じ傾斜角度θで末広がりに拡がって形成され、注出筒の先端部分の半径と中心部分の半径との半径差Dが0.5〜5mm、注出筒の先端部分と螺子部の先端縁との距離Lが2〜10mmに形成されていることを特徴とする、液体用紙容器の口栓。
【請求項2】
前記傾斜角度θが25〜35°であることを特徴とする、請求項1記載の液体用紙容器の口栓。
【請求項3】
請求項1又は2記載の口栓を熱融着により取り付けたゲーブルトップタイプの液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−18971(P2008−18971A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192544(P2006−192544)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】