説明

液体調味料容器

【課題】液体調味料の漏洩を確実に防止する。
【解決手段】液体調味料容器2は、筒状本体3とこの筒状本体3の上端開口4を閉塞する蓋5とを備えている。筒状本体3は、円板状に形成された底部6と、この底部6の一部から立ち上がる断面D字状に形成された側壁部7と、この側壁部7の上部に形成され、注ぎ口9を有する円筒状上部8とを備えている。注ぎ口9は、平板状側壁7A側に、すなわち、半割円筒状側壁7Bの最大膨出部M1の反対方向に形成される。蓋5には、エアを内部に導入する吸気口12が形成される。蓋5を円筒状上部8に取り付ける際には、マーク12を目印に、吸気口12を注ぎ口9と上下方向を合致させて取り付ける。容器2が転倒した際、内部の液体調味料は側壁部7の断面弧状の膨出部側に移動するので、容器2が回転しにくく、最大膨出部M1側が直ちに床面に接し、注ぎ口9と吸気口12とが上方に向く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体調味料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、醤油注し等の液体調味料容器として、有底円筒状本体に蓋を被せ、内部の液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを備えたものが知られている。このような液体調味料容器は、転倒時、内部の液体調味料がこぼれてしまうため、従来から転倒した際、内部の液体調味料がこぼれにくいものが提案されている。例えば、円筒状本体の側壁内部に錘部を設けたものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載のものは、円筒状側壁内部に上下にわたって錘部を埋設し、この錘部と周方向反対側の上方に液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを設けるようにしている。
【特許文献1】特開平11−216056号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の液体調味料容器では、転倒時、内部の液体調味料の量が少ないと起上り小法師のように錘部が下側で安定するものの、液体調味料の量が多いと、錘部が多量の液体調味料の重力に抗して液体調味料を引き起こしにくく錘部が下側に回り込みにくい。このため、多量の液体調味料を収容した状態で容器が転倒した場合、錘部が下側に回り込めず、床面に対し離れた位置で傾斜状態となり、注ぎ口や吸気口から内部の液体調味料がこぼれてしまう畏れがある。これを防ぐため錘部を重量化すると容器が重くなって使いくくなる。また、錘を容器に埋設すため重量が重くなりコストがかかるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成でしかもたとえ内部に多量の液体調味料が収容されていても確実に漏洩を防止することができる液体調味料容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体調味料容器は、液体調味料が入れられる有底筒状本体と、この有底筒状本体の上端開口を閉塞する蓋と、内部の液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを備えた液体調味料容器において、有底筒状本体に、円板状に形成した底部と、この底部の一部から立上り断面D字状に形成された側壁部とを設け、注ぎ口を平板状側壁部側に設けるとともに、吸気口を蓋に形成し注ぎ口の上側に位置させるようにしたものである。
【0006】
本発明に係る液体調味料容器では、液体調味料が入れられる有底筒状本体と、この有底筒状本体の上端開口を閉塞する蓋と、内部の液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを備えた液体調味料容器において、有底筒状本体に、円板状に形成した底部と、この底部の一部から立上り断面D字状に形成された側壁部とを設け、注ぎ口を平板状側壁部側に設けるとともに、吸気口を蓋に形成し注ぎ口の上側に位置させるようにしたことにより、容器が転倒した際、内部の液体調味料はバランスの差により直ちに側壁部の断面弧状の膨出部側、すなわち、半割円筒状側壁部側に移動するので、容器が回転しにくく、半割円筒状側壁部の最大膨出部側が速やかに床面に接し、平板状側壁部側に設けられた注ぎ口と吸気口とが上方に向く。転倒による液体調味料の揺れに応じて容器に揺れが生じても、液体調味料は半割円筒状の膨出部に溜まる状態となるので急速に安定し液の揺れが収まる。このため、転倒時、たとえ、容器に満杯あるいは満杯に近い量の液体調味料が収容されていても外部への漏れが抑えられる。また、底部を板状に形成しているので、容器が転倒しにくくテーブル上で安定させて使用することができる。
【0007】
また、請求項2に係る液体調味料容器は、側壁部の上部を円筒状に形成して注ぎ口を形成するとともに、蓋には、吸気口と容器内部を連通し吸気口から半割円筒状側壁部の最大膨出部側に向けて延びる吸気通路を設けたものである。
【0008】
請求項2に係る液体調味料容器では、側壁部の上部を円筒状に形成して注ぎ口を形成するとともに、蓋には、吸気口と容器内部を連通し吸気口から半割円筒状側壁部の最大膨出部側に向けて延びる吸気通路を設けたことにより、たとえ容器が転倒しても、注ぎ口と吸気口はD字状側壁部内の液体調味料の液面より常に高い位置となる。このため、液体調味料の外部への漏れが確実に防止される。
【0009】
さらに、請求項3に係る液体調味料容器は、吸気通路を最大膨出部側にゆくに従い徐々に下方に傾斜させたものである。
【0010】
請求項3に係る液体調味料容器では、吸気通路を最大膨出部側にゆくに従い徐々に下方に傾斜させたことにより、転倒時、容器内に満杯の液体調味料が収容されていても、通気通路が液体調味料により塞がれ易くなり、液漏れをより確実に防止できる。
【0011】
請求項4に係る液体調味料容器は、注ぎ口と吸気口とを同時に塞いで虫の侵入を防ぐ防虫蓋を設けたものである。
【0012】
請求項4に係る液体調味料容器では、注ぎ口と吸気口とを同時に塞いで虫の侵入を防ぐ防虫蓋を設けたことにより、注ぎ口や吸気口からの虫の侵入が防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液体調味料容器は、液体調味料が入れられる有底筒状本体と、この有底筒状本体の上端開口を閉塞する蓋と、内部の液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを備えた液体調味料容器において、有底筒状本体に、円板状に形成した底部と、この底部の一部から立上り断面D字状に形成された側壁部とを設け、注ぎ口を平板状側壁部側に設けるとともに、吸気口を蓋に形成し注ぎ口の上側に位置させるようにしたので、容器が転倒しても、内部の液体調味料が外部に漏れるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
転倒しても確実に漏れを防止する液体調味料容器を得るという目的を、有底筒状本体に、円板状に形成した底部と、この底部の一部から立上り断面D字状に形成された側壁部とを設け、注ぎ口を平板状側壁部側に設けるとともに、吸気口を蓋に形成し注ぎ口の上側に位置させるようにした構成とすることにより実現した。
【実施例1】
【0015】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1および図2はそれぞれ本発明の一実施例に係る液体調味料容器を示す縦断面図および全体斜視図である。本実施例に係る液体調味料容器2は、食用油、醤油、ソース等の液体調味料を収容する液体調味料容器で、図1に示すように、液体調味料が収容される有底筒状本体3と、この筒状本体3の上部に着脱自在に被せられる蓋5とを備えて構成される。筒状本体3は、透明な合成樹脂を型抜きして成形され、円板状に形成された底部6と、この底部6の一部から上方に立上る断面D字状に形成された側壁部7とを備えている。
【0016】
側壁部7は、断面D字状の筒体、すなわち、図3に示すように、底部6から略垂直に立ち上がる平板状側壁7Aと、この平板状側壁7A左右両側に連続する半割円筒状側壁7Bとを有する筒体により構成される。平板状側壁7Aは半割円筒状側壁7Bが延長してなす円の中心線O1よりずれた位置に設けられる。半割円筒状側壁7Bのうち平板状側壁7Aの縦方向中心線C1(図2参照)に対し最も離れた部位M1が最大膨出部となっている。
【0017】
筒状本体3には、側壁部7の上部に半割円筒状側壁7Bと平板状側壁7Aとに連続し徐々に半割円筒状側壁7Bのなす円と合致する円筒上部8が形成される。円筒上部8には、平板状側壁7A側に、すなわち、半割円筒状側壁7Bの最大膨出部M1と反対側(最大膨出部M1に対して周方向に180度離れた位置)に内部の液体調味料を流出させる注ぎ口9が形成される。
【0018】
円筒上部8には、合成樹脂製の蓋5が被せられる。蓋5は、図1および図5に示すように、上側大径部と下側縮径部とを有する円筒部10を備えている。円筒部10の下側縮径部外周面に周方向溝が形成され、この溝にパッキンリング11が装着されるようになっている。この円筒部10の上側大径部上端には、エアを内部に導入する吸気口12が形成される。この蓋5には、吸気口12と筒状本体3内部とを連通する吸気通路13が直線状に形成される。吸気通路13は、吸気口12から最大膨出部M1側に向かって延びており、しかも、最大膨出部M1側にゆくに従い徐々に下方に傾斜して形成される。蓋5には、吸気口12の上側に「前」と表示されたマーク14が付され、吸気口12を注ぎ口9と上下方向に合致させるようになっている。
【0019】
容器2は、図1および図6に示すように、虫の侵入を防ぐ合成樹脂製の防虫蓋15を備えている。この防虫蓋15は、注ぎ口9を塞ぐ凹部16とこの凹部16に連続し円筒部10に合致して湾曲して形成された湾曲部17とが形成されている。この防虫蓋15は、湾曲部17を上側にして凹部16を注ぎ口9に嵌めると、湾曲部17が吸気口12をも同時に塞ぐようになっている。防虫蓋15は、上端に紐18が結び付けられ、この紐18の他端には、合成樹脂製の取付部19が設けられる。この取付部19は、蓋5の頂部に形成された取付穴20に取り外し自在に嵌め入れられるようになっている。容器2の高さはおよそ120mm、底部6および蓋5の直径はおよそ69mm、注ぎ口9までの高さはおよそ100mmである。
【0020】
次に、上記実施例に係る液体調味料容器2の作用について説明する。上記実施例に係る調味料容器2は、筒状本体3の上端開口4から液体調味料をつぎ入れて、蓋5の「前」マーク14を注ぎ口9の位置に合致させて、蓋5を円筒上部8に被せるようになっている。蓋5はパッキンリング11により筒状本体3に確実に取り付けられる。容器2は上下端が円形に形成されているので、容器2が平坦な床面上を転倒した際、内部が空または内部に少量の液体調味料がある場合、最大膨出部M1側が重いので、回転するか回転を始めたとしても回転途中で最大膨出部M1側が床に接して注ぎ口9と吸気口12とが上方に向く。このため、たとえ内部に少量の液体調味料があっても、内部の液が外部に流出することがない。容器2内部に満杯または満杯に近い液体調味料がある場合、容器2が平坦な床面上を転倒した際、最大膨出部M1側がたとえ上方に向いていても、内部の液体調味料は中心線O1を境にわずかな重量差により回転を始め、最大膨出部M1側が一方の側に傾く。すると、内部の液体調味料は一気に傾いた方向に流れ込み、筒状本体3の最大膨出部M1側は床に接して注ぎ口9と吸気口12とが上方に向く。このとき、液体調味料は半割円筒状側壁7Bに移動し終わってしまっているので、たとえ、転倒による液体調味料の揺れに応じて容器2に揺れが生じても、液体調味料は下側に位置する半割円筒状側壁7Bに溜まった状態となり急速に液の挙動は安定し、液の揺れが収まる。このため、転倒時、たとえ、容器に満杯あるいは満杯に近い量の液体調味料が収容されていても外部への漏れが抑えられる。また、底部を板状に形成しているので、容器が転倒しにくくテーブル上で安定させて使用することができる。
【0021】
容器2は、注ぎ口9を円筒上部8のうち最大膨出部M1と反対側に、すなわち、最大膨出部M1に対して周方向に180度離れた位置に形成し、しかも、吸気口12を注ぎ口9と上下に合致させるようにしているので、たとえ容器2が転倒しても、注ぎ口9と吸気口12は筒状本体3内部の液体調味料の液面より常に高い位置となる。このため、液体調味料の外部への漏れが確実に防止される。さらに、吸気通路13は吸気口12から最大膨出部M1側に向けて延びているので、転倒時、吸気通路13は液により塞がれ易くなり、たとえ、容器2が揺れても、外部のエアが容器2の内部に導かれにくく注ぎ口9から液漏れしにくい。また、吸気通路13は側壁部7の最大膨出部M1側にゆくに従い徐々に下方に傾斜させて設けられているので、転倒時、容器内に満杯の液体調味料が収容されていても、通気通路が液体調味料により塞がれ易くなり、液漏れをより確実に防止できる。
【0022】
容器2は、防虫蓋15を備えるようにしているので、長期間使用しない際に、防虫蓋15を装着すると、注ぎ口9と吸気口12との両方を同時に塞ぐので虫の侵入を防ぐことができる。
【0023】
なお、上記実施例では、筒状本体3の円筒上部8にパッキンリング11を備えた蓋5を取り付けるようにしているがこれに限られるものではなく、円筒上部に雄ねじ部を、蓋の内周面に雌ねじ部を形成して蓋を取り付けるようにしてもよい。また、上記実施例では、注ぎ口9を円筒上部8に、吸気口12を蓋5に設けているがこれに限られるものではなく、両者を蓋に設けてもよいし、筒状本体に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る液体調味料容器を示す縦断面図である。(実施例1)
【図2】図1の液体調味料容器の全体斜視図である。
【図3】図1の液体調味料容器のIII-III線断面図である。
【図4】図1の液体調味料容器のIV-IV線断面図である。
【図5】蓋の断面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ防虫蓋を外した状態と防虫蓋を取り付けた状態とをそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
2 液体調味料容器
3 筒状本体
4 上端開口部
5 蓋
6 底部
7 側壁部
9 注ぎ口
12 吸気口
M1 最大膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体調味料が入れられる有底筒状本体と、この有底筒状本体の上端開口を閉塞する蓋と、内部の液体調味料を流出させる注ぎ口と、エアを内部に導入する吸気口とを備えた液体調味料容器において、
有底筒状本体に、円板状に形成した底部と、この底部の一部から立上り断面D字状に形成された側壁部とを設け、注ぎ口を平板状側壁部側に設けるとともに、吸気口を蓋に形成し注ぎ口の上側に位置させるようにしたことを特徴とする液体調味料容器。
【請求項2】
側壁部の上部を円筒状に形成して注ぎ口を形成するとともに、蓋には、吸気口と容器内部を連通し吸気口から半割円筒状側壁部の最大膨出部側に向けて延びる吸気通路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の液体調味料容器。
【請求項3】
吸気通路を最大膨出部側にゆくに従い徐々に下方に傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載の液体調味料容器。
【請求項4】
注ぎ口と吸気口とを同時に塞いで虫の侵入を防ぐ防虫蓋を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1に記載の液体調味料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−110170(P2006−110170A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301860(P2004−301860)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(503354228)
【Fターム(参考)】