説明

液圧シリンダの制御装置

【課題】磁性体のシリンダチューブを使用した場合でも、正確にピストンの位置を検出してピストンの速度調整をする。
【解決手段】シリンダチューブ2の外周に歪みゲージ8,9,10を取り付け、ピストン3が通過したときに、歪みゲージ8,9,10の歪み量が変化することにより、シリンダストロークを検知し、この検知結果に対応させてピストン3の移動速度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧シリンダの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧又は水圧シリンダのシリンダチューブ内のピストンの位置を検知する位置検出装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の位置検出装置のように、非磁性シリンダチューブの外側に鉄検出装置を固着させ、ピストンロッドに取り付けられた磁性体のピストンを検知する方法が知られている。この位置検出装置は、シリンダチューブが磁性を有さないことから、ピストン側に磁石を取り付けることなく、磁性体であるピストンの接近を検知して、その位置を検出できるようになっている。
【特許文献1】特開昭63−115001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に油圧シリンダのように大きな負荷のかかるシリンダでは、通常、シリンダチューブは強磁性体である炭素鋼管で構成されている。オーステナイト系のステンレス鋼管の中には、非磁性体のものもあるが、炭素鋼管に比べると高価であるため、あまり使用されていない。
【0005】
ステンレス製鋼管に比べて安価で強度の高い炭素鋼管であれば、上記特許文献1の方法は適用できず、ピストン側に磁石を設けて、その磁石を検知するなどの方法をとらなければならない。この場合、改造が面倒であったり、改造時にシリンダチューブ内に異物が入り込んだりするという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磁性体のシリンダチューブを使用した場合でも、正確にピストンの位置を検出してピストンの速度調整をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、シリンダチューブに取り付けた歪みゲージから検出される歪み量の変化を検出し、この検出結果を用いて液圧シリンダの速度制御を行うようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、シリンダチューブと、一端にピストンを有して該ピストンが該シリンダチューブ内を摺動するピストンロッドとを備えた液圧シリンダを制御する液圧シリンダの制御装置を前提とし、
上記シリンダチューブの外周に取り付けられた歪みゲージと、
上記ピストンが上記歪みゲージと対応する位置を通過したときに、上記歪みゲージの歪み量が変化することにより、シリンダストロークを検知する検知手段と、
上記検知手段の検知結果に対応させて上記ピストンの移動速度を調整する速度調整手段とを備えている。
【0009】
すなわち、液圧シリンダでは、シリンダチューブ内の液圧を上昇させてピストンで区切られた領域内の圧力の差により、ピストンが移動してシリンダストロークが変化する。単動式の液圧シリンダでは、ピストンロッドが縮んだ状態から伸びた状態になるときには、ピストンが通過する前に低かったチューブ内の内圧が、ピストンが通過すると一気に上昇するので、シリンダチューブの外径が大きくなり、歪みゲージが歪みを検知する。逆にピストンロッドが伸びた状態から縮んだ状態になるときには、ピストンが通過する前に高かったチューブ内の内圧が、ピストンが通過すると一気に低下するので、シリンダチューブの外径が小さくなり、歪みゲージが歪みを検知する。このことで、検知手段により、ピストンが通過したことが検知されるので、歪みゲージの位置により、シリンダストロークが検知可能となる。
【0010】
復動式の液圧シリンダでは、ピストンロッドが伸びた状態から縮んだ状態になるとき及び伸びた状態から縮んだ状態になるときのいずれの場合も、ピストンが通過する前に低かったチューブ内の内圧が、ピストンが通過すると一気に上昇するので、シリンダチューブの外径が大きくなり、歪みゲージが歪みを検知する。このことで、ピストンが通過したことが検知されるので、歪みゲージの位置により、検知手段がシリンダストロークを検知可能となる。
【0011】
このように歪みゲージを取り付けることで、近接センサを設置できない磁性体の液圧シリンダであってもシリンダストロークが正確に検知できる。そして、検知手段の検知結果に対応させて速度調整手段がピストンの移動速度を調整することにより、例えば、ストロークエンドの手前でピストンの移動速度を緩めたり、ピストンの移動を止めたりすることが可能となる。また、従来のようにピストンの通過を近接センサで検知する必要はないので、シリンダチューブが炭素鋼管のような強磁性体であっても、シリンダストロークが正確に検知可能である。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記歪みゲージは、上記ピストンのストロークエンドの手前に取り付けられ、該歪みゲージの歪み量の変化を検知した検知手段の検知結果に対応させて上記速度調整手段が上記液圧シリンダへの作動液体の流量を低減するように構成されている。
【0013】
上記の構成によると、検知手段によりシリンダストロークが正確に検知できるので、ストロークエンドの手前で作動流体の流量を減らしてピストンの移動速度を緩めることにより、液圧シリンダにかかる衝撃が効果的に低減される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、シリンダチューブの外周に歪みゲージを取り付け、ピストンが通過したときの歪みゲージの歪み量の変化からシリンダストロークを検知し、その検知信号を受けてピストンの移動速度を調整するようにしたことにより、磁性体のシリンダチューブを使用した場合でも、正確にピストンの位置を検出してピストンの速度調整をすることができる。
【0015】
さらに、強磁性体よりなるシリンダチューブを備えていても、歪みゲージの歪み量の変化を検知することで、シリンダストロークを正確に検知してピストンの移動速度の調整を容易に行うことができる。
【0016】
上記第2の発明によれば、ピストンのストロークエンドの手前に取り付けた歪みゲージの歪み量の変化を検知し、液圧シリンダへの作動液体の流量を低減するようにしたことにより、ストロークエンドの手前でピストンの移動速度を緩めてストロークエンドでの衝撃を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
−シリンダストロークの検知方法−
まず、歪みゲージを用いたシリンダストロークの検知方法について説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態にかかる液圧シリンダとしての油圧シリンダ1を示し、この油圧シリンダ1は、単動式のものとする。この油圧シリンダ1は、シリンダチューブ2と、一端にピストン3を有して該ピストン3が該シリンダチューブ2内を摺動するピストンロッド4とを備えている。シリンダチューブ2は、強磁性体の炭素鋼管よりなる。ピストン3の外周には、パッキン5が嵌め込まれている。シリンダチューブ2の基端側には、シリンダ用油圧配管6が接続されている。なお、シリンダ用油圧配管6と反対側のピストンロッド4の外周とシリンダチューブ2の内周との間には、圧縮コイルスプリング7が挿入され、ピストン3の戻り時の付勢力を加えるように構成されている。
【0020】
そして、本発明の特徴として、図1〜図4に示すように、シリンダチューブ2の外周には、歪みゲージ8,9,10が取り付けられている。例えば、シリンダチューブ2の基端側から順に第1ゲージ8、第2ゲージ9及び第3ゲージ10が取り付けられている。第1ゲージ8は、ピストン3がシリンダチューブ2の基端側から若干進んだ位置に取り付けられている。第3ゲージ10は、ストロークエンドの手前でピストン3の先端部が真下を通過し、かつ、圧縮コイルスプリング7が完全に縮んだストロークエンドのときにピストン3のパッキン5の真上の位置にくるように取り付けられている。第2ゲージ9は、これらの中間にそれぞれ取り付けられている。なお、図面上では、見やすくするために歪みゲージ8,9,10の取り付け位置を黒塗りの逆三角形で示している。
【0021】
油圧シリンダ1では、シリンダ用油圧配管6より高圧油を流し込み、シリンダチューブ2内の油圧を上昇させてピストン3で区切られた領域内の圧力の差により、ピストン3が移動してシリンダストロークが変化する。図5に拡大して示すように、本実施形態のような単動の油圧シリンダ1では、ピストンロッド4が縮んだ状態から伸びた状態になるときには、ピストン3が通過する前に低かったチューブ(そのときの外径D1)内の内圧が、ピストン3(正確には、その外周のパッキン5)が通過すると一気に上昇するので、シリンダチューブ2の外径D2が大きくなり(D2>D1)、歪みゲージ8,9,10が歪みを検知する。逆にピストンロッド4が伸びた状態から縮んだ状態になるときには、ピストン3が通過する前に高かったチューブ(そのときの外径D2)内の内圧が、ピストン3が通過すると一気に低下するので、シリンダチューブ2の外径D1が小さくなり(D1<D2)、歪みゲージ8,9,10が歪みを検知する。
【0022】
このように歪みゲージ8,9,10を取り付け、これらのうち、どの歪みゲージで歪みが検知されたかを測定することによって近接センサを設置できない磁性体の油圧シリンダ1であってもシリンダストロークが正確に検知できる。
【0023】
次に具体的に油圧シリンダ1に負荷をかけて、歪みゲージ8,9,10の歪み量を測定した結果について説明する。
【0024】
図6及び図7に測定装置13を示す。この測定装置13は、昇降可能な昇降台14を備えている。この昇降台14は、4本の支持棒15aを有する支持台15と、各支持台15が挿入されるチューブ16aを有する天板16とを備えている。この天板16の上には、最低作動圧確保用のウェイト17が載置されている。
【0025】
支持台15側には、油圧シリンダ1のピストンロッド4先端が連結され、天板16には、シリンダチューブ2の基端側が連結されている。この油圧シリンダ1のシリンダ用油圧配管6には、図示しない油圧ユニットに接続されている。
【0026】
このように構成することで、油圧ユニットから作動油を送り込むと、図7に示すように、油圧シリンダ1が伸びて昇降台14が上昇し、一方、作動油の供給を止め、シリンダチューブ2内の作動油を油圧ユニットのタンクに戻すようにすると、図6に示すように、油圧シリンダ1が縮んで昇降台14が下降するようになっている。
【0027】
このように構成した測定装置13を用いて測定した結果を図8に示す。横軸には時間(s)を示し、縦軸には、応力(N/mm )と油圧(MPa)を示している。
【0028】
まず、作動スタートのフルボトムの時点において、油圧は、ウェイト17を支持するために約4MPaとなっている。第1〜第3ゲージ10の応力は、0N/mm である。
【0029】
次いで、上昇作動を開始する。油圧ユニットの油圧モータを駆動し、高圧の作動油をシリンダ用油圧配管6からシリンダチューブ2内に送り込むと、ピストンロッド4が上昇し始める。
【0030】
次いで、さらに作動油を送り込むと、ピストン3が第1ゲージ8に近付くにつれ、第1ゲージ8の応力が上昇する。
【0031】
そして、図2に示すように、パッキン5が第1ゲージ8の真下を通過後、作動油が真下に流れ込んだときには、第1ゲージ8の応力は、12〜13N/mm となる。
【0032】
さらに作動油を送り込むと、ピストン3が第2ゲージ9に近付くにつれ、第2ゲージ9の応力が上昇し、図3に示すように、パッキン5が第2ゲージ9の真下を通過後、作動油が真下に流れ込んだときには、第2ゲージ9の応力も、12〜13N/mm となる。
【0033】
さらに作動油を送り込むと、ピストン3が第3ゲージ10に近付くにつれ、圧縮コイルスプリング7を押し付ける力が増大し、作動抵抗となってシリンダチューブ2内の圧力が高くなる。このため、第3ゲージ10の応力が上昇する。なお、第1ゲージ8及び第2ゲージ9においても、シリンダチューブ2内の圧力上昇に伴って、その応力が徐々に上昇している。
【0034】
ストロークエンド時には、油圧シリンダ1の作動は停止し、図4に示すように、パッキン5が第3ゲージ10の真下に到達したときには、第3ゲージ10の応力は21〜22N/mm となる。一方、第1ゲージ8及び第2ゲージ9は、39〜41N/mm となる。作動油は、リリーフ弁(図示せず)からタンクに戻るため、油圧はリリーフ圧(約13MPa)となる。第1ゲージ8及び第2ゲージ9の応力は、このリリーフ圧により決定している。ストロークエンド時に第3ゲージ10の真下には作動油が存在しないため、第3ゲージ10の応力の方が第1ゲージ8及び第2ゲージ9の応力よりも低くなっている。
【0035】
次いで、油圧ユニットの駆動を停止すると、降下作動が開始され、ピストン3が移動し始めると、第3ゲージ10の値が0N/mm に激減する。また、第1ゲージ8及び第2ゲージ9は、約10N/mm に減少する。
【0036】
さらに、ピストン3が第2ゲージ9の手前にある時点から第2ゲージ9の応力が減少し、パッキン5が第2ゲージ9の真下を通過後、0N/mm となる。
【0037】
さらに、ピストン3が第3ゲージ10の手前にある時点から第3ゲージ10の応力が減少し、パッキン5が第3ゲージ10の真下を通過後、0N/mm となる。
【0038】
このように、歪みゲージ8,9,10の値を検出することで、ピストン3が歪みゲージ8,9,10の真下を通過したことが検知される。このため、歪みゲージ8,9,10の位置により、シリンダストロークが検知可能となる。
【0039】
−油圧シリンダの制御装置を備えたテールゲートリフタ−
次に本実施形態の油圧シリンダの制御装置20を備えたテールゲートリフタ21を例示する。図9〜図11に示すように、このテールゲートリフタ21は、ワンボックスカーの後方開口などに設置され、車椅子や荷物を車両に乗せるものとなっている。
【0040】
テールゲートリフタ21は、地面に対して水平なデッキ22がポスト23に連結され、このポスト23にリフトアーム24の一端が連結されて、他端が車体後方開口周縁の支持ブラケット25に支持され、ポスト23がコンプレッションアーム26と油圧シリンダ1とに連結されている。油圧シリンダ1には、パワーユニット27から高圧の作動油が送り込まれるようになっている。このことで、図10及び図11に示すように、油圧シリンダ1を伸長すれば、リフトアーム24がポスト23を引っ張ってデッキ22が上昇するようになっている。一方、図9に示すように、圧縮コイルスプリング7の作用及び自重により、油圧シリンダ1が縮小してデッキ22が下降するようになっている。
【0041】
図12に示すように、油圧シリンダの制御装置20は、検知手段及び速度調整手段としてのコントローラ28を備えている。コントローラ28は、歪みゲージ10が取り付けられた位置と対応する位置をピストン3が通過したときに、歪みゲージ10の歪み量が変化することにより、シリンダストロークを検知する検知手段の役割を果たす。また、この検知手段の検知結果に対応させてピストン3の移動速度を調整する速度調整手段の役割も果たしている。このテールゲートリフタ21において、油圧シリンダ1には、少なくとも第3ゲージ10が取り付けられている(すなわち、第3ゲージ10は、ストロークエンド付近に取り付けられている)。第1及び第2ゲージ8,9を取り付けてシリンダストロークを検出するようにしてもよい。
【0042】
油圧シリンダの制御装置20は、2位置切換のソレノイドバルブ29と、フローコントロールバルブ30とを備えている。歪みゲージ10からの信号は、コントローラ28に入力され、そしてコントローラ28からソレノイドバルブ29に制御信号が送られるようになっている。具体的には、図14に示すように、コントローラ28内では、第3ゲージ10のゲージ出力を受けてスイッチR1を作動させ、ソレノイドバルブ29を切り換えるようになっている。
【0043】
次にテールゲートリフタ21の作動について説明する。
【0044】
まず、図9に示すように、デッキ22が地面に載置されている状態から、デッキ22を上昇させるには、パワーユニット27を駆動し、図12に示すようにソレノイドバルブ29を通して油圧シリンダ1に高圧油を送り込む。すると、油圧シリンダ1が伸びてデッキ22が徐々に上昇する。
【0045】
図10に示すように、ストロークエンドの手前で第3ゲージ10の応力が変化し、その信号がコントローラ28に送られる。すると、スイッチR1が入り、ソレノイドバルブ29が移動して、図13の状態となる。
【0046】
パワーユニット27からの高圧油は、フローコントロールバルブ30を介して流量を絞られながら油圧シリンダ1に送り込まれる。このため、ストロークエンドの手前からデッキ22の上昇速度が遅くなり、ストロークエンドでのショックが軽減される。このため、デッキ22に載った車椅子等に衝撃が伝わって違和感を与えることはない。
【0047】
したがって、本実施形態にかかる油圧シリンダの制御装置20によると、シリンダチューブ2の外周に歪みゲージ8,9,10を取り付け、ピストン3が通過したときの歪みゲージ8,9,10の歪み量の変化からシリンダストロークを検知し、その検知信号を受けてピストン3の移動速度を調整するようにしたことにより、磁性体のシリンダチューブ2を使用した場合でも、正確にピストン3の位置を検出してピストン3の速度調整をすることができる。
【0048】
また、強磁性体よりなるシリンダチューブ2を備えていても、歪みゲージ8,9,10の歪み量の変化を検知することで、シリンダストロークを正確に検知してピストン3の移動速度の調整を容易に行うことができる。
【0049】
さらに、ピストン3のストロークエンドの手前に取り付けた歪みゲージ10の歪み量の変化を検知し、油圧シリンダ1への作動液体の流量を低減するようにしたことにより、ストロークエンドの手前でピストン3の移動速度を緩めてストロークエンドでの衝撃を緩和することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0051】
すなわち、上記実施形態では、液圧シリンダは油圧シリンダ1としたが、圧力を調整する液体は、作動油に限定されず、水等でもよい。
【0052】
上記実施形態では、油圧シリンダ1は、シリンダ用油圧配管6が1本しかない単動式のものとしたが、シリンダ用油圧配管6が2本接続された復動式の油圧シリンダとしてもよい。復動式の油圧シリンダでは、ピストンロッド4が伸びた状態から縮んだ状態になるとき及び伸びた状態から縮んだ状態になるときのいずれの場合も、ピストン3が通過する前に低かったチューブ内の内圧が、ピストン3が通過すると一気に上昇するので、シリンダチューブ2の外径が大きくなり、歪みゲージ8,9,10が歪みを検知する。このことで、ピストン3が通過したことが検知されるので、歪みゲージ8,9,10の位置により、検知手段がシリンダストロークが検知可能となる。
【0053】
上記実施形態では、油圧シリンダの制御装置20をテールゲートリフタ21に設けたが、例えば、開いた水平状態のゲートを垂直に閉じるような開き位置と閉じ位置とが決まっているゲートに用いた場合には、油圧シリンダを復動式のものとし、ピストンが、開き側のエンドストロークの位置にあるときと、閉じ側のエンドストロークの位置にあるときの双方に対応するようにシリンダチューブ2の外周に歪みゲージを貼り、エンドストロークを検知して油圧シリンダの制御を行うようにしてもよい。この場合には、3位置切換のソレノイドバルブを設け、開閉いずれの操作においてもフローコントロールバルブが作用するように油圧回路と電気回路を組むとよい。
【0054】
また、歪みゲージを貼る位置は、検知したいシリンダストロークに合わせて1枚〜複数枚貼ればよい。
【0055】
さらに、上記実施形態では、シリンダチューブ2は、炭素鋼管よりなるものとしたが、他の磁性体で構成してもよいし、非磁性体で構成してもよい。
【0056】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、油圧シリンダや水圧シリンダなどの液圧シリンダをシリンダストロークに合わせて速度制御する制御装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に実施形態にかかる油圧シリンダの縮小時を側方から見た断面図である。
【図2】油圧シリンダを延ばしてピストンが第1ゲージの真下に来た様子を示す図1相当図である。
【図3】油圧シリンダを延ばしてピストンが第2ゲージの真下に来た様子を示す図1相当図である。
【図4】油圧シリンダを延ばしてピストンが第3ゲージの真下に来た様子を示す図1相当図である。
【図5】油圧シリンダのピストン及びその周辺を拡大して示す断面図である。
【図6】降下状態の測定装置を一部破断して示す正面図である。
【図7】上昇状体の測定装置を一部破断して示す正面図である。
【図8】測定装置による測定結果を示すグラフである。
【図9】テールゲートの降下状態を示す側面図である。
【図10】ストロークエンドの手前のテールゲートを示す側面図である。
【図11】ストロークエンドにあるテールゲートを示す側面図である。
【図12】上昇作動時の油圧回路図である。
【図13】ストロークエンド手前での油圧回路図である。
【図14】ソレノイドバルブのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0059】
1 油圧シリンダ(液圧シリンダ)
2 シリンダチューブ
3 ピストン
4 ピストンロッド
8 第1ゲージ(歪みゲージ)
9 第2ゲージ(歪みゲージ)
10 第3ゲージ(歪みゲージ)
20 油圧シリンダの制御装置(液圧シリンダの制御装置)
28 コントローラ(検知手段、速度調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブと、一端にピストンを有して該ピストンが該シリンダチューブ内を摺動するピストンロッドとを備えた液圧シリンダを制御する液圧シリンダの制御装置において、
上記シリンダチューブの外周に取り付けられた歪みゲージと、
上記ピストンが上記歪みゲージと対応する位置を通過したときに、上記歪みゲージの歪み量が変化することにより、シリンダストロークを検知する検知手段と、
上記検知手段の検知結果に対応させて上記ピストンの移動速度を調整する速度調整手段とを備えている
ことを特徴とする液圧シリンダの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧シリンダの制御装置において、
上記歪みゲージは、上記ピストンのストロークエンドの手前に取り付けられ、該歪みゲージの歪み量の変化を検知した検知手段の検知結果に対応させて上記速度調整手段が上記液圧シリンダへの作動液体の流量を低減するように構成されている
ことを特徴とする液圧シリンダの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−185922(P2009−185922A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27295(P2008−27295)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】