液圧シリンダ用の位置測定システム
【課題】ピストンロッドの表面特性の改善によって摩耗が低減され、それによりシステムの耐用年数が延びた液圧シリンダ用の位置測定システムを提供する。
【解決手段】本システムは、少なくとも1つのセンサと、1つの磁石と、ピストンロッドとを含む。ピストンロッドは、高磁化率の金属芯部及び略軸方向の溝構造を備えている。溝構造には、芯部よりも磁化率の低い金属が埋め込まれ、センサは、溝構造によって変化する芯部の磁場を測定して、ピストンロッドの相対位置及び絶対位置の両方を判定し得る。
【解決手段】本システムは、少なくとも1つのセンサと、1つの磁石と、ピストンロッドとを含む。ピストンロッドは、高磁化率の金属芯部及び略軸方向の溝構造を備えている。溝構造には、芯部よりも磁化率の低い金属が埋め込まれ、センサは、溝構造によって変化する芯部の磁場を測定して、ピストンロッドの相対位置及び絶対位置の両方を判定し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧シリンダ用の位置測定システムであって、磁場を検出する少なくとも1つのセンサが液圧シリンダのピストンロッド上に設けられたパターンを認識し、それによりピストンの位置を判定する液圧シリンダ用位置測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧シリンダ用位置測定システムは、ストローク長の制御又は調整がピストンの位置について正確な情報を要求する場合に用いられる。
【0003】
EP0618373B1から位置測定システムは公知である。この公報では、ピストンロッドに溝構造が設けられており、この構造が磁気的にスキャンされる。非常に深い構造が用いられ、これら構造にはセラミックコーティングが埋め込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのセラミックコーティングは非常に硬いが、縁部が鋭利なセラミック粒子によって、液圧シリンダのシーリング系が摩損性の損傷を受けるという欠点がある。したがって、セラミックコーティングを有するシステムは、シリンダのストローク数が多いアプリケーションに適さず、耐用年数が限定される。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ピストンロッドの表面特性の改善によって摩耗が低減され、それによりシステムの耐用年数が延びた液圧シリンダ用の位置測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記目的は、請求項1に記載の液圧シリンダ用位置測定システムによって達成される。ここで、ピストンロッドの芯部は、高い磁化率を有する金属で形成され、略軸方向の溝構造を有している。この溝構造には、芯部よりも磁化率の低い金属が埋め込まれている。その軸方向の位置に固定された磁石によって生成される磁場は、溝構造によって変化する。この磁場変化は、少なくとも1つのセンサによって測定される。磁場の変化は溝構造の位置に依存するので、ピストンの位置はこの磁場変化を測定することによって判定され得る。
【0007】
溝構造を埋め込む金属を用いるので、ピストンロッドは、硬度、摩耗、防食性及び耐用年数について優れた表面特性を有する。それら特性は、位置測定システムを備えていないピストンロッドの特性に対応する。具体的には、表面は非常に滑らかであり、シーリング系などのシリンダの他の構成部材は損傷を受けず、したがってシステム全体が長い耐用年数を有する。さらに、溝構造を埋め込む金属を用いることにより、この溝構造の深さが浅くなり、そのノッチ効果が無視できるほどに小さく、シリンダの構成を変更する必要がない。さらに、センサシステム及びそれを評価する電子システム全体が、無圧力領域内のこのシステム内に設けられ、最大圧力によって損傷を受け得ない。全体として、このことにより、単純に構成され且つ極めて強固なシステムが提供される。このシステムは、低コストでの製造及び動作が可能であり、具体的には、摩耗が少ないことの結果として、シリンダのストローク数が多いシステムに用い得る。さらに、本発明の測定システムは、その構成を実質的に変更する必要なく、任意のシリンダ内に組み込まれ得る。
【0008】
好適には、少なくとも1つのセンサが、特定の方向に沿って磁場を測定する。この特定の方向においては、磁場の変化に対するセンサの感度が増大する。好適には、磁場は永久磁石であり、そのNS軸はセンサ(30,40)の配置及び配向に依存して延びている。具体的には、NS軸はピストンに対して半径方向に延び得、それに対して、少なくとも1つのセンサが磁場を測定する該特定の方向は、軸方向において、NS軸に対して垂直に延びている。それにより、溝構造の軸方向でのズレがセンサによって測定される磁場に大きく影響することが確実にされ、このことが位置測定の精度及び信頼性を向上させる。
【0009】
好適には、溝構造は、溝部及び隆起部から構成されている。溝構造の軸方向に隣接している溝部又は隆起部は、好適には、各々が互いから等しい距離だけ離れている。さらに、溝構造は、好適には、軸方向に周期的な形状、具体的には軸方向に略正弦波の形状を有している。そのような周期的に変化する構造により、位置判定が容易であり、ピストンロッドが移動すると、少なくとも1つのセンサによって測定される磁場も同様に、ピストンロッドの移動に従って周期的に変化する。
【0010】
測定された磁場の1周期分の変化は、ピストンロッドの位置の軸方向の2つの隣接する溝部又は隆起部の間の距離分の移動に対応している。したがって、測定された磁場における変化の周期を数えることにより、ピストン位置の相対移動が容易に計算され得る。
【0011】
絶対位置の判定を提供するため、溝部又は隆起部を個々に削除して基準マークを形成する。基準マークは、好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置された隆起部又は溝部の数が溝構造全体に亘って各々異なるように設けられ、2つの基準マーク間の各間隔が隆起部又は溝部の数によって一意的に特徴付けられる。遅くともセンサが第2の基準マークを検出した後に、ピストンロッドの絶対位置が正確に示され得る。
【0012】
特に、ピストンロッドの絶対位置判定に用いる本発明の基準マークを備えた本発明の液圧シリンダ用位置測定システムは、以下の利点をさらに有する。2つのセンサを用いることにより基準マークは一意的に認識され得るので、たった数個のセンサを用いて単純且つ安価な構造が可能である。さらに、システムは、小型の省スペースな形態で実現され得、ピストンロッドに対して一定の半径位置に設ける必要がなく、このことによっても単純且つ安価な構造が提供される。
【0013】
好適には、基準マークは、位置を即座に示すことが重要なピストンロッドの領域において2つの基準マーク間の距離が最小になるように配置されている。通常、これはピストンロッドの始端及び終端であり、位置を即座に示すことが比較的重要ではないピストンロッドの中央部においては、基準マーク間の距離を大きくし得る。
【0014】
好適には、磁化率が高い金属芯部は強磁性であり、溝構造を埋め込んでいる金属芯部よりも磁化率が低い金属は、強磁性ではない。好適には、金属芯部は鉄で形成されている。
【0015】
好適には、溝構造を埋め込んでいる金属は、実質的にクロミウムからなる。当然、他の金属又は合金を同様に用い得るが、決定的な条件となるのは磁化率の差である。具体的には、非強磁性ニッケルを用い得る。溝構造を備えた金属芯部の磁化率と溝構造を埋め込んでいる金属の磁化率との差は、磁石によって生成される磁場の強さが、特に軸方向において、溝構造の位置に依存して大きく変動するという結果をもたらす。この磁場の変動は、センサによって測定され得る。このセンサは、好適には、磁石とピストンロッドとの間、即ちピストンロッドのすぐ近くに配置される。したがって、芯部に強磁性材料を用いることは、外部から作用する磁場を大いに強めるので有利である。なお、非強磁性材料はこの特性を有しない。強磁性材料と比較して、非強磁性材料は、磁場をごくわずかしか変化させ得ず、その変化は、材料に応じて、正の方向及び負の方向の両方に起こり得る。ほとんどの合金において、鉄は強磁性であり、したがって、一般に液圧シリンダで用いられている鉄製のピストンロッドは、大きな変更をせずに本発明のシステムで用い得る。一方、クロミウムは強磁性ではなく、特に、硬度、粗度、防食性、耐用年数の点で、ピストンロッドの表面についての残りの要件を満たすので、溝構造を埋め込む金属として非常に適している。
【0016】
或いは、溝構造は、好適には、非強磁性ニッケル合金で埋め込み得る。この非強磁性ニッケル合金は、好適には10.5%を越える量の燐を含む。このことにより、特に防食性に関して利点が提供され得る。
【0017】
さらに、その溝構造を埋め込む非強磁性ニッケル層は、平滑になるように研磨され得、クロミウムでコーティングされ得る。
【0018】
さらに、好適には、磁化率が高い金属芯部と溝構造を埋め込んでいる磁化率が低い金属との間にさらなる金属層を設け得る。この金属層の磁気特性は重要でなく、この金属層を追加することにより、防食性、耐用年数、溝構造を埋め込む金属の接着性などの特性が顕著に向上し得る。特に、薄膜強磁性ニッケル層はこの目的に有用であり、好適には、電着又は非電着手段によって溝パターン上に形成され、さらに好適には50μm未満の厚さを有する。具体的にはニッケルからなるこの金属層は、主として、ロッドの防食性の向上に役立つものである。該層は磁性であり得るが、溝構造全体に亘って均一に形成されるので、センサによって測定された信号を変化させない。
【0019】
好適には、溝構造は溝部と隆起部とを交互に有しており、隆起部に対する溝部の深さは約200μmである。溝構造を埋め込んでいる金属は、好適には、この溝構造を完全に埋め込み、溝部上の金属の厚さは200μmを超える厚さである。隆起部上において、溝構造を埋め込んでいる金属は、好適には約50μmの厚さを有する。金属芯部と溝構造を埋め込んでいる金属との間に設け得る追加の金属層は、50μm未満の厚さを有する。この金属層は、好適には電着又は非電着手段によって金属芯部上に形成される。
【0020】
溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムは、好適には、同様に、金属芯部上又は金属芯部を囲んでいる具体的にはニッケルから形成された金属層上に電気溶着にて形成される。クロミウム層を50μmを超える厚さで形成することは問題がある、つまり、そのような肉厚の層においては引張応力が生じて、その結果クラックが発生するので、溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムは、好適には多層法によって形成される。多層法において、該金属は、各々が50μm未満の厚さである複数の層の形態で形成され、層間に形成される各遷移領域が、発生し得る応力を低減する。そのような複数の薄膜層が互いに重ね合わせて設けられた構成において、クラックの発生頻度は極めて低く、クラックは遷移領域においてその拡大が防がれる。
【0021】
ピストンロッドを再研磨することにより、溝構造を埋め込む金属の余剰部分が除去され、ピストンロッドの表面が平坦にされる。好適には、溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムの最小の厚さは、50μm未満になってはならない。ピストンロッドを再研磨することにより、平滑な表面が得られる。この平滑な表面は、通常のピストンロッドと比較して、硬度、粗度、防食性及び耐用年数の点で特に劣ることはない。
【0022】
溝構造を非強磁性ニッケル合金で埋め込む場合、非強磁性ニッケル合金の形成は、好適には、電気溶着によって同様に行われる。しかし、非強磁性ニッケル層は、非電着手段によって形成することもできる。ピストンロッドを再研磨して表面を平滑にした後、好適には、該表面をクロミウム層でコーティングする。このコーティングは、好適には、電気溶着によって同様に行われる。コーティングによってもまた、表面特性が向上する。
【0023】
磁場を測定するセンサは、好適には磁気抵抗センサを含む。さらに、磁気抵抗センサは、好適には複数の磁気抵抗性抵抗器構造体によって構成される。従来の磁気抵抗センサ又はGMR(巨大磁気抵抗)センサのいずれかが用いられる。これら何れの種類のセンサも磁場の測定に非常に適しており、それらのうちGMRセンサの方が効率がよい。好適には、これらの磁気抵抗性抵抗器構造体は、2つのブリッジ回路、即ち正弦回路及び余弦回路を形成するように配置される。磁気抵抗性抵抗器構造体の距離は、好適には、溝構造の周期長に対して適合されている。該センサは、磁石とピストンロッドとの間に配置され、好適には軸方向において磁場を測定する。というのは、ピストンロッド即ち溝パターンの軸方向の移動の間、軸方向の成分が最も大きな影響を受けるからである。
【0024】
そのようなセンサによって出力された信号は、好適には、それらの直角位相信号を介して評価される。それらの信号はさらに直角位相カウンタによって評価され得、溝構造の周期長の1/4の精度で増分位置信号を提供する。直角位相カウンタは正弦信号及び余弦信号の傾斜の数を数え、好適には、2つの信号の位相関係を分析することにより、方向に関するステートメントが提供される。より高い精度の位置が要求される場合、この精度は、好適には、正弦信号及び余弦信号から係数を形成することによって、溝構造の周期長の1/360よりも高い精度が達成され得る程度にまで上昇される。
【0025】
好適には、本発明の位置測定システムは、軸方向における互いからの距離が一定である2つのセンサを含む。具体的には、2つのセンサ間の距離は、溝構造の周期長の数倍、具体的な例としては2倍である。溝部又は隆起部を削除することによって形成された基準マークは、2つのセンサからの信号を比較することによって認識され得る。このことにより、絶対位置測定が提供される。
【0026】
正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを備えた1つのセンサチップのみを用いた場合、基準マークの通過は一意的に検出され得ない。センサは、磁場が一定期間の間変化しなくなるのを検出するに過ぎない。しかし、このことは、ピストンロッドがそれ以上動かずシステムが休止状態にあることによるものである。この問題は、好適には、第2のセンサを用いることによって解決される。削除された溝部又は隆起部をセンサが通過した場合、第1の直角位相カウンタの読み取り値は一定であり、一方、第2のセンサに対応する第2のカウンタは増加する。ここで、第2のセンサが同じ削除された溝部又は隆起部を通過した場合、対応する第2の直角位相カウンタの読み取り値は停止する。基準マークを完全に通過した後、2つのカウンタは再び同期して動作する。その信号によって、基準マークは一意的に検出され得る。
【0027】
好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置された隆起部又は溝部の数は、2つの基準マーク間の各間隔毎に異なっており、その場合、基準マーク間に配置された溝部又は隆起部を数え、正弦信号と余弦信号との位相関係から移動方向を判定することにより、第2の基準マークを通過した際に絶対位置を一意的に判定し得る。具体的には、このことは、2つのセンサを用いれば可能であり、したがってコストが抑制され、省スペースの構成が可能である。
【0028】
さらに、本発明による液圧シリンダ用位置測定システムは、好適にはセンサホルダを含む。センサホルダはスライド部材とばねとを含む。センサ及び磁石がセンサホルダ内に配置される。センサが設けられた好適にはアルミニウム製であるスライド部材は、センサが、該表面からの距離が可能な限り短く且つ可能な限り一定になるような様態で、ピストンロッド表面に沿って案内され得ることを確実にする。スライド部材は、ハウジング内に移動可能に設けられ、ばねによりピストンロッドの表面に向かって付勢される。好適には、ピストンロッドに面しているスライド部材の前側は曲面であり、スライド部材の内部半径は好適にはピストンロッドの半径よりも小さく、よってスライド部材は、外側縁部においてのみピストンロッドに当接しており、したがってピストンロッドに沿ってスライドする。センサの面とピストンロッドの表面との間の距離は、好適には1mm未満である。この距離で、センサによって測定された磁場は溝構造の影響を大いに受け、溝構造の確実且つ正確な認識が提供される。ここで、全体として、信号強度を高めるために、溝構造までのセンサの距離は、溝構造の深さと比べてあまり大きくなってはならない、つまり少なくとも同じオーダーの範囲内になければならない。
【0029】
摩擦を低減し且つ耐摩耗性を向上するために、アルミニウム製のスライド部材は、好適にはコーティングされる。さらに、このコーティングは、好適にはPTFEを含有する電着中間層で構成される。
【0030】
さらに、本発明は、本発明の液圧シリンダ用位置測定システムのピストンロッドを形成する方法を包含する。該方法において、本発明の溝パターンは金属芯部に研磨によって形成され、芯部よりも磁化率の低い金属からなる1以上の層が溝構造上に電着又は非電着手段によって形成され、具体的にはクロミウム又は非強磁性ニッケル合金が用いられ、溝構造を埋め込んでいる金属は研磨されて平滑な表面が得られる。
【0031】
本発明の方法によると、好適には、溝構造を埋め込む金属を形成する前に、さらに1層の金属層、具体的にはニッケル層を電着又は非電着手段によって形成する。
【0032】
好適には、特に溝構造を埋め込むのに非強磁性ニッケル合金を用いた場合、溝構造を埋め込んでいる金属を研磨した後、本発明の方法は、さらなる金属層、具体的にはクロミウム層を電着又は非電着手段によって形成する工程をさらに包含する。
【0033】
本発明のピストンロッド上に連続的に設けられたパターンを溝構造と呼ぶ。溝パターンは、ピストンロッドの外周全体を回転方向に対称な様態で囲んでおり、このことにより、ピストンロッド及びセンサの組立時にピストンロッドの向きを観察する必要がない。また、本発明の位置測定システムの測定結果に影響を及ぼすことなく、軸方向の移動と同時にピストンロッドを回転させることが可能である。しかし、当然ではあるが、溝パターンの半径方向の範囲は、本発明の位置測定システムの動作に対して大した影響がない。測定システムの動作のために、溝構造は、使用されるセンサの範囲に対応して半径方向に1つの範囲を有していればよい。この範囲が非常に小さい場合、個々の溝部又は隆起部は、ほとんどがドット形状となり得る。しかし、本発明について、主に軸方向の構造が重要であり、その構成を溝構造と呼ぶ。
【0034】
基本的なアイデアは略周期的に設けられたマークを有するあらゆるルーラーに用い得るので、ピストンの位置の絶対的判定のための上記基準マークがルーラー及び測定装置の具体的な設計から完全に独立して使用され得ることも同様に極めて明らかである。そのような一般的な絶対位置測定システムにおいて、基準マークは、削除又は改変されたマークによってルーラー上に形成される。
【0035】
ルーラーの移動の間にマークを検出し、それによりルーラーの相対移動を測定するセンサは、改変又は削除されたマーク、即ち基準マークを直接的に認識するか又はルーラーの移動方向において第1のセンサから所定の距離だけ離れた第2のセンサとの比較によって認識し得る。
【0036】
個々の基準マークの一意的な特定のために、基準マークは、好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置されたマークの数が溝構造全体に亘ってそれぞれ異なり、それにより、2つの基準マーク間の間隔がマークの数によって一意的に特徴付けられるように配置されている。遅くともセンサが第2の基準マークを検出した後、ルーラーの絶対位置が正確に示され得る。
【0037】
特別なシステムの上記利点は、ルーラーの位置の絶対判定のための一般的な基準マークについても同様に得られる。具体的にはマーク、基準マーク及びセンサの数及び距離に関して、特別なシステムにおいて説明した特性は、一般的なシステムにも適用可能である。
【0038】
具体的には内部曲面の半径がピストンロッドの半径よりも小さく表面がコーティングされたスライド部材を備えたセンサホルダの構成は、ピストンロッド上のマークの具体的な設計から独立して使用され得る。
【0039】
センサの構成についても同じことが言える。つまり、センサの構成もまた、ピストンロッド上のマークの具体的な設計から独立している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面に示した実施形態を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0041】
図1に示す液圧シリンダ用位置測定システムの実施形態は、高磁化率の金属芯部13を備えたピストンロッド10と、略軸方向に形成された溝構造11と、芯部13よりも磁化率が低い金属12とを備えている。金属12は、溝パターン11を埋め込んでおり、平滑な表面17を有している。さらに、本発明の位置測定システムの本実施形態は、永久磁石20を備えている。永久磁石20のN極21及びS極22は、永久磁石20のN−S軸が略半径方向に延びる、つまり、永久磁石20のN−S軸がピストンロッド10の軸に対して垂直になるように構成されている。永久磁石20とピストンロッド10との間には、磁気センサ30,40が設けられている。磁気センサ30,40は、磁気抵抗センサチップを構成する。磁気抵抗センサチップは、磁気抵抗性抵抗器構造体31,41によって構成されている。磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、ピストンロッド10の表面17の近傍にてピストンロッド10の軸に対して平行になるように一列に配列されている。2つのセンサ30,40は軸距離が一定であり、これは、図示した実施形態においては、溝構造11の周期長の3倍に相当する。磁石20及びセンサ30,40は、スライド部材50内に設けられる。スライド部材50は、コーティング51を介してピストンロッド10の表面17上に配置されている。
【0042】
図2は、本発明のピストンロッド10の第1の実施形態を示す。溝構造11は、軸方向に延びており、ピストン10の長さ方向に亘って略正弦波状の形状を有している。第1の実施形態において、溝構造11の波長は2mmであり、溝構造11の深さは約200μmである。溝構造11は、略半径方向に、ピストンロッド10の全周に対して対称になるように、ピストンロッド10の強磁性芯部13内へと研磨形成されている。溝構造11の深さは、溝部16と隆起部15との間における芯部13の厚さの差に対応している。液圧シリンダにおいて一般に行われているように、ピストンロッド10の芯部13は鉄で形成されており、特に位置測定システムのためにシリンダの構成を変更する必要はない。これは、溝構造の深さが浅く、そのノッチ効果は無視できるほどに小さいためである。第1の実施形態において、溝構造11上には、強磁性ニッケルで形成された薄膜中間金属層14が設けられている。この薄膜強磁性ニッケル層14は、芯部13上に電着又は非電着手段によって50μm未満の厚さに形成される。この中間層は、ロッドの防食性を向上させる働きをする。中間層は磁性部材であり得るが、構造全体に亘って均一に形成されるので、センサによって測定される信号の形状を変化させることはない。したがって、溝構造11には、非強磁性金属(この場合、クロミウム)が埋め込まれる。溝構造11に埋め込まれたクロミウム層12は、電着的に形成される。クロミウム層の厚さは200μmよりも厚いので、多層クロミウム層が用いられる。50μmを越える肉厚のクロミウム層を設けることは、問題を生じる。具体的には、肉厚の層において引張応力が生じ、その結果クラックが生じる。これらのクラックはベース材料にまで到達し得、この箇所がピストンロッドの腐食の発生場所となる。多層法において、クロミウムは50μm未満の層として形成される。層間には、それぞれ遷移領域が形成され、この領域が応力を低減する。電着の結果、多層クロミウム層がニッケル層14上に均一に形成され、ピストンロッド10の表面は、多層クロミウム層を形成しても依然溝パターン11を有した状態にある。前記溝パターンは、ピストンロッド10を再研磨することによって除去され、研磨後、クロミウム層12は、依然50μmの最小厚さを隆起部上に有している。ピストンロッドを再研磨することによって、平滑表面17が得られる。その表面特性(硬度、摩耗、防食性、耐用年数)は、位置測定を行わない通常のシステムの表面特性に対応している。とりわけ、表面17は、凹凸度が非常に低いので、液圧シリンダの残りの構成部材、とりわけシーリング系は、摩耗によってダメージを受け得ず、該系はピストンストローク数の多いアプリケーションに適している。芯部13に強磁性の鉄を用い且つ溝構造11に埋め込まれる金属12に非強磁性のクロミウムを用いるので、この溝構造11上に大きな磁気コントラスト(magnetic contrast)が得られる。この磁気コントラストは、磁石20によって発生した磁場を大きく変化させる。
【0043】
図3aは、本発明のピストンロッドの第2の実施形態を示す。これは、ニッケル層14を設けていない点を除いて、ピストンロッドの第1の実施形態に実質的に対応している。第1の実施形態において、ニッケル層14は、極限使用条件に対する追加防食部材として使用されるが、第2の実施形態に示すように省略してもよく、それにより、より単純な構成となり、製造コストが削減され得る。
【0044】
図3bは、本発明のピストンロッドの第3の実施形態を示す。第3の実施形態において、溝構造11には、電気溶着された非強磁性ニッケル層12が埋め込まれている。電気溶着されたニッケル層は通常強磁特性を有するので、溝構造を埋め込むのには不適であることに留意されたい。該層には10.5%を越える燐が含まれるので、非強磁性ニッケルは電気溶着され得る。これらの非強磁性ニッケル層は非電解的手段で容易に形成されるが、非電解的に溝構造11を埋め込むには溝部が深過ぎる。ピストンロッドを再研磨することによって該溝構造が除去され、平滑な表面18が得られる。最後に、ピストンロッド10は、従来はクロミウム層19によって被覆される。この構成はまた、硬度、摩耗、防食性、耐用年数、及び表面の平滑度に関して優れた特性を提供する。さらに、個々の層は容易に低コストで設けられ得る。強磁性の芯部13及び溝構造11を埋め込む非強磁性金属12を用いることにより、この実施形態においても、溝構造11上に大きな磁気コントラストが得られ、それにより、磁石20によって発生した磁場が大きく変形される。
【0045】
センサ30,40は、ピストンロッド10がこの磁場を軸方向に通過する際の磁場の変形を測定する。磁場は、溝構造11によって周期的に変化し、この周期を数えることによって相対位置が測定され得る。しかし、絶対位置測定のためにはさらなる情報が必要である。図4に示す第4の実施形態では、この情報は、基準マーク1の形で本発明のピストンロッドに与えられている。これらの基準マーク1は、周期的な溝構造11から溝部16及び隆起部15を削除することによって設定される。本発明のピストンロッド10の第4の実施形態において、基準マーク1は、2つの隣接する基準マーク1間に設けられた隆起部15又は溝部16の数が溝構造11全体に亘ってそれぞれ異なり、2つの基準マーク間の各間隔が2つの基準マーク間に設けられた隆起部又は溝部の数によって一意的に特徴付けられるように、配置されている。2つの連続する基準マーク1を通過すると、絶対位置がわかる。ピストンロッドの本実施形態上に基準マーク1を配置することによって、基準点まで、つまり、表示された絶対位置までの最大移動距離が特定され得る。特に早い基準が例えばシリンダの終端位置に設けられることが望まれる場合、基準マークは、図4に示すように、2つの基準マーク間の距離が終端位置において最小になるように配置されている。
【0046】
本発明のピストンロッド10の第4の実施形態において、溝部の削除は、左側から見て5本の溝部が第1の2つの削除された溝部の間に存在するように行われる。第2の削除された溝部と第3の削除された溝部との間の距離は7本の溝部に相当する距離であり、第3の削除された溝部と第4の削除された溝部との間の距離は9本の溝部に相当する距離であり、以降同様に続く。右側から見て、第1の削除された溝部と第2の削除された溝部との間の距離は、6本の溝部に相当する距離である。第2の削除された溝部と第3の削除された溝部との間の距離は、8本の溝部に相当する距離であり、その後、10本、12本と続く。奇数本の距離から偶数本の距離への遷移は、ロッドの中央部で起こる。本実施形態において、溝部の合計本数は約1400である。
【0047】
溝部又は隆起部を削除することによって設けられた基準マーク1並びに2つの基準マーク1間の一意的に特定可能な距離により、信頼性の高い正確な絶対位置測定が、複雑なパターンを用いる必要なく、素早く容易に実現され得る。
【0048】
図5aは、画像部の上方に配置された図示しない磁石20の磁場が溝構造11によってどのように変化するかを示す。頂部から底部に延びるラインは、磁場の強度を示すラインであり、ライン間の距離が短い箇所は磁場が強いことを示し、ライン間の距離が大きいほど、磁場が弱いことを示している。ピストンロッド10の表面17から大きく離れた位置において、磁場はほとんど妨害されず、半径方向、つまりこの図面の頂部から底部へと均一に拡がっている。溝構造11を埋め込むのに用いる非強磁性金属12は、磁化率が非常に低く、したがって、その内部の磁場を強めることはほとんどない。したがって、非強磁性金属12は、磁場のラインの進路に実質的に影響を与えない。このことは、図面において、磁場のラインが表面17上で崩されないことからも理解される。しかし、芯部13の強磁性金属の場合は事情が全く異なる。これは、非常に磁化率が高く、その内部において磁場を強める。このことは、図面において、磁場のラインが溝構造11において崩れていることからも理解される。隆起部15が磁石20のより近くに設けられた場合、磁場は、磁石20からさらに離れた溝部16内よりも強い。このことは、図5aにおいて、隆起部15上における磁場のラインが溝部16と比べてかなり狭い間隔になっていることから理解される。溝構造11上の領域において、磁場はそれ以上半径方向には拡がらないが、軸方向の成分Hyを有し、通常この成分は0とは異なる。
【0049】
図5bにおいて、ピストンロッド10の表面17のわずかに上方で測定された磁場Hyの強さは、溝構造11上の位置に依存することが示されている。本実施形態において溝構造11は実質的に正弦曲線の形状を有するので、磁場の軸方向の成分Hyも、正弦曲線の形状を有する。隆起部15又は溝部16の真上において、軸方向の磁場Hyは0であるが、溝部16と隆起部15との間の傾斜部上では正又は負の値を示す。本実施形態において、センサは、ピストンロッド10の軸に対して平行であり且つピストンロッド10の表面17から1mm未満の距離にある面に配置されている。本実施形態の永久磁石20及びセンサ30,40は、軸方向に固定的に設けられており、それにより、センサによって測定される磁場Hyは、ピストンロッド10が軸方向に移動する間、正弦変調される。1周期分の磁場Hyの変調は、2つの溝部の間の距離分のピストンロッドの移動に対応する。
【0050】
本実施形態において使用されるセンサ30,40は、磁気抵抗性磁場センサを構成する。変調された磁場を測定するこれらの標準的なセンサは、複数の磁気抵抗性抵抗器構造体31,41によって形成される。磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、接続されて2つのブリッジ回路(正弦ブリッジ及び余弦ブリッジ)を形成している。センサ30,40の選択は、センサチップ上の抵抗器の地理的距離が、測定する磁場構造の周期長、即ち溝構造11の周期長に適合するように実施される。しかし、GMRセンサも同様に使用され得る。
【0051】
図6aは、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジの信号を示す。なお、溝構造11を有する本発明のピストンロッド10は、センサを軸方向に通過する。センサは、磁石の中心から、測定方向に対して横向きに2.6mmずらされている。センサ30,40の磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、ピストンロッド10の構造体17から400μmの距離に配置されている。図6aは、互いに対してずらされた測定信号の正弦曲線を明示している。
【0052】
これらの信号は、標準的な方法で評価され得、位置を提供し得る。評価は、図6bに示すように、直角位相信号(quadrature signal)を介して実施される。ヒステリシスを有する比較回路によって、信号はA−B直角位相信号に変換される。その後、この信号は、直角位相カウンタ(quadrature counter)で評価され得、溝構造11の周期長の1/4の精度の増分位置信号を提供する。直角位相カウンタは、正弦信号及び余弦信号の傾斜の数を数える。なお、2つの信号の間の位相関係の分析によって、移動方向に関するステートメント(statement)が提供される。より高い位置精度が要求される場合、正弦信号及び余弦信号から商(quotient)を形成することによって精度を上げることができる。このようにして、溝構造11の周期長の1/360よりも高い精度が達成され得る。したがって、センサ30,40を用いることにより、ピストンロッドの相対移動を極めて高い精度で判定することが実現される。
【0053】
しかし、絶対位置の測定のために、基準マーク1からの追加情報が要求される。センサ30,40を1つだけ用いる場合、基準マークの通過は一意的に検出され得ない。センサは、磁場が所定の期間の間これ以上変化しないことを「観察」するのみである。しかし、このことは、ピストンロッド10が移動しないという事実に帰するものであり得る。
【0054】
この問題は、2つのセンサ30,40を用いることにより解決される。センサ30,40は、互いに対して軸方向に一定の距離に配置される。本発明の本実施形態において、この一定の距離は4mmであり、これは2つの溝部の間の距離に対応している。溝構造11の周期長の倍数に対応する距離を空けて2つのセンサを配置することには、2つのセンサの何れにおいても基準マークが検出されない場合に、2つのセンサが同じ信号を提供するという利点がある。2つのセンサによって生成された信号を比較することにより、基準マーク1は一意的に検出され得る。この目的のために、2つのセンサ間の距離を、2つの基準マーク1間の最小距離よりも短くする必要がある。ここで基準マークがセンサを通過した場合、第1のセンサ30の直角位相カウンタの読み取り値は一定のままであり、それに対して第2のセンサ40の直角位相カウンタは増加する。その後、基準マーク1は第2のセンサ40を通過し、第2のセンサ40の直角位相カウンタの読み取り値は変化しないのに対して、第1のセンサ30の直角位相カウンタの読み取り値は増加する。基準マーク1が2つのセンサ30,40を通過した後、2つの直角位相カウンタは再び同期して動作する。したがって、基準マーク1は、そのような信号の挙動によって明確に認識され得る。
【0055】
ここで第2の基準マーク1がセンサ30,40を通過した場合、現在の特定の基準マーク1は、2つの基準マーク間の溝部16又は隆起部15の数を数え、正弦信号と余弦信号との間の位相比較から移動方向を判定することによって特定され得る。したがって、ピストンロッド10の絶対位置も一意的に特定される。特に、このことは2つのセンサを用いれば可能であり、構造上の空間及びコストが節約される。
【0056】
図7及び図8は、本発明のセンサホルダ60の一実施形態の構成を示す。センサホルダ60は、2つの磁気抵抗センサ30,40がピストンロッド10の表面17に沿って、表面17に対してより短く且つ一定の距離で案内されるように設計されている。ピストン表面17とセンサ30,40との間の距離が短いことが重要である。というのは、溝構造11から短い距離の位置においてのみ、センサの背後に配置された磁石20の磁場が溝構造11によって大きな変化をうけるからである。良好な信号を得るために、表面17に可能な限り近い位置、即ち溝構造11に可能な限り近い位置で磁場を測定する必要がある。この距離は、ピストンロッド10が軸方向に移動する間は一定である必要があり、それにより、測定結果に誤りが起こらない。
【0057】
したがって、本発明のセンサホルダ60の本実施形態は、アルミニウム製のスライド部材50を含む。スライド部材50は、センサ30,40及び永久磁石20を保持する。スライド部材50は、ばね61によりピストンロッド10に向かって付勢される。センサ30,40における磁気抵抗性抵抗器31,41の面とピストンロッド10の表面17との間の距離は、1mm未満である。
【0058】
スライド部材50の内部は、スライド部材50の内部半径がピストンロッドの半径よりも小さなカーブになっており、それによりスライド部材は、その外側エッジ上のみでピストンロッドに沿ってスライドする。
【0059】
摩擦を低減し且つ耐摩耗性を向上するため、本実施形態では、アルミニウム製のスライド部材50はコーティング51が施されている。コーティングは、PTFEを含有する電着ニッケル層である。
【0060】
センサホルダ60全体が、シリンダの蓋の中の無圧力領域内に一体化されている。外部から混入したゴミによる摩耗を避けるため、システムと外部領域との間にスクレーパ(scraper)並びにシール又はガイドストリップが設けられている。
【0061】
センサシステム及び電子システムの全体が無圧力領域内に配置され、したがって最大圧力によりダメージを受け得ないので、上記により構造の安定性及び耐用年数がさらに増加する。
【0062】
これらのシステムにおいて、測定システムはシリンダの高圧力領域内に一体化される必要があるので、上記は、磁気抵抗型測定システムと比較して特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の液圧シリンダ用位置測定システムの一実施形態の模式断面図である。
【図2】本発明によるピストンロッドの第1の実施形態の模式断面図である。
【図3a】本発明によるピストンロッドの第2の実施形態の模式断面図である。
【図3b】本発明によるピストンロッドの第3の実施形態の模式断面図である。
【図4】本発明による基準マークが設けられたピストンロッドの第4の実施形態の模式図である。
【図5a】溝構造によって変形された磁場Hの模式断面図である。
【図5b】溝構造上の軸位置に対する、軸方向における磁場Hyの変化を示す図である。
【図6a】本発明のセンサの一実施形態による正弦余弦回路の出力信号を示す波形図である。
【図6b】直角位相信号を介した正弦信号及び余弦信号の評価を示す図である。
【図7】本発明のセンサホルダの一実施形態の斜視図である。
【図8】本発明のセンサホルダの一実施形態の切欠斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧シリンダ用の位置測定システムであって、磁場を検出する少なくとも1つのセンサが液圧シリンダのピストンロッド上に設けられたパターンを認識し、それによりピストンの位置を判定する液圧シリンダ用位置測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧シリンダ用位置測定システムは、ストローク長の制御又は調整がピストンの位置について正確な情報を要求する場合に用いられる。
【0003】
EP0618373B1から位置測定システムは公知である。この公報では、ピストンロッドに溝構造が設けられており、この構造が磁気的にスキャンされる。非常に深い構造が用いられ、これら構造にはセラミックコーティングが埋め込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのセラミックコーティングは非常に硬いが、縁部が鋭利なセラミック粒子によって、液圧シリンダのシーリング系が摩損性の損傷を受けるという欠点がある。したがって、セラミックコーティングを有するシステムは、シリンダのストローク数が多いアプリケーションに適さず、耐用年数が限定される。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ピストンロッドの表面特性の改善によって摩耗が低減され、それによりシステムの耐用年数が延びた液圧シリンダ用の位置測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記目的は、請求項1に記載の液圧シリンダ用位置測定システムによって達成される。ここで、ピストンロッドの芯部は、高い磁化率を有する金属で形成され、略軸方向の溝構造を有している。この溝構造には、芯部よりも磁化率の低い金属が埋め込まれている。その軸方向の位置に固定された磁石によって生成される磁場は、溝構造によって変化する。この磁場変化は、少なくとも1つのセンサによって測定される。磁場の変化は溝構造の位置に依存するので、ピストンの位置はこの磁場変化を測定することによって判定され得る。
【0007】
溝構造を埋め込む金属を用いるので、ピストンロッドは、硬度、摩耗、防食性及び耐用年数について優れた表面特性を有する。それら特性は、位置測定システムを備えていないピストンロッドの特性に対応する。具体的には、表面は非常に滑らかであり、シーリング系などのシリンダの他の構成部材は損傷を受けず、したがってシステム全体が長い耐用年数を有する。さらに、溝構造を埋め込む金属を用いることにより、この溝構造の深さが浅くなり、そのノッチ効果が無視できるほどに小さく、シリンダの構成を変更する必要がない。さらに、センサシステム及びそれを評価する電子システム全体が、無圧力領域内のこのシステム内に設けられ、最大圧力によって損傷を受け得ない。全体として、このことにより、単純に構成され且つ極めて強固なシステムが提供される。このシステムは、低コストでの製造及び動作が可能であり、具体的には、摩耗が少ないことの結果として、シリンダのストローク数が多いシステムに用い得る。さらに、本発明の測定システムは、その構成を実質的に変更する必要なく、任意のシリンダ内に組み込まれ得る。
【0008】
好適には、少なくとも1つのセンサが、特定の方向に沿って磁場を測定する。この特定の方向においては、磁場の変化に対するセンサの感度が増大する。好適には、磁場は永久磁石であり、そのNS軸はセンサ(30,40)の配置及び配向に依存して延びている。具体的には、NS軸はピストンに対して半径方向に延び得、それに対して、少なくとも1つのセンサが磁場を測定する該特定の方向は、軸方向において、NS軸に対して垂直に延びている。それにより、溝構造の軸方向でのズレがセンサによって測定される磁場に大きく影響することが確実にされ、このことが位置測定の精度及び信頼性を向上させる。
【0009】
好適には、溝構造は、溝部及び隆起部から構成されている。溝構造の軸方向に隣接している溝部又は隆起部は、好適には、各々が互いから等しい距離だけ離れている。さらに、溝構造は、好適には、軸方向に周期的な形状、具体的には軸方向に略正弦波の形状を有している。そのような周期的に変化する構造により、位置判定が容易であり、ピストンロッドが移動すると、少なくとも1つのセンサによって測定される磁場も同様に、ピストンロッドの移動に従って周期的に変化する。
【0010】
測定された磁場の1周期分の変化は、ピストンロッドの位置の軸方向の2つの隣接する溝部又は隆起部の間の距離分の移動に対応している。したがって、測定された磁場における変化の周期を数えることにより、ピストン位置の相対移動が容易に計算され得る。
【0011】
絶対位置の判定を提供するため、溝部又は隆起部を個々に削除して基準マークを形成する。基準マークは、好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置された隆起部又は溝部の数が溝構造全体に亘って各々異なるように設けられ、2つの基準マーク間の各間隔が隆起部又は溝部の数によって一意的に特徴付けられる。遅くともセンサが第2の基準マークを検出した後に、ピストンロッドの絶対位置が正確に示され得る。
【0012】
特に、ピストンロッドの絶対位置判定に用いる本発明の基準マークを備えた本発明の液圧シリンダ用位置測定システムは、以下の利点をさらに有する。2つのセンサを用いることにより基準マークは一意的に認識され得るので、たった数個のセンサを用いて単純且つ安価な構造が可能である。さらに、システムは、小型の省スペースな形態で実現され得、ピストンロッドに対して一定の半径位置に設ける必要がなく、このことによっても単純且つ安価な構造が提供される。
【0013】
好適には、基準マークは、位置を即座に示すことが重要なピストンロッドの領域において2つの基準マーク間の距離が最小になるように配置されている。通常、これはピストンロッドの始端及び終端であり、位置を即座に示すことが比較的重要ではないピストンロッドの中央部においては、基準マーク間の距離を大きくし得る。
【0014】
好適には、磁化率が高い金属芯部は強磁性であり、溝構造を埋め込んでいる金属芯部よりも磁化率が低い金属は、強磁性ではない。好適には、金属芯部は鉄で形成されている。
【0015】
好適には、溝構造を埋め込んでいる金属は、実質的にクロミウムからなる。当然、他の金属又は合金を同様に用い得るが、決定的な条件となるのは磁化率の差である。具体的には、非強磁性ニッケルを用い得る。溝構造を備えた金属芯部の磁化率と溝構造を埋め込んでいる金属の磁化率との差は、磁石によって生成される磁場の強さが、特に軸方向において、溝構造の位置に依存して大きく変動するという結果をもたらす。この磁場の変動は、センサによって測定され得る。このセンサは、好適には、磁石とピストンロッドとの間、即ちピストンロッドのすぐ近くに配置される。したがって、芯部に強磁性材料を用いることは、外部から作用する磁場を大いに強めるので有利である。なお、非強磁性材料はこの特性を有しない。強磁性材料と比較して、非強磁性材料は、磁場をごくわずかしか変化させ得ず、その変化は、材料に応じて、正の方向及び負の方向の両方に起こり得る。ほとんどの合金において、鉄は強磁性であり、したがって、一般に液圧シリンダで用いられている鉄製のピストンロッドは、大きな変更をせずに本発明のシステムで用い得る。一方、クロミウムは強磁性ではなく、特に、硬度、粗度、防食性、耐用年数の点で、ピストンロッドの表面についての残りの要件を満たすので、溝構造を埋め込む金属として非常に適している。
【0016】
或いは、溝構造は、好適には、非強磁性ニッケル合金で埋め込み得る。この非強磁性ニッケル合金は、好適には10.5%を越える量の燐を含む。このことにより、特に防食性に関して利点が提供され得る。
【0017】
さらに、その溝構造を埋め込む非強磁性ニッケル層は、平滑になるように研磨され得、クロミウムでコーティングされ得る。
【0018】
さらに、好適には、磁化率が高い金属芯部と溝構造を埋め込んでいる磁化率が低い金属との間にさらなる金属層を設け得る。この金属層の磁気特性は重要でなく、この金属層を追加することにより、防食性、耐用年数、溝構造を埋め込む金属の接着性などの特性が顕著に向上し得る。特に、薄膜強磁性ニッケル層はこの目的に有用であり、好適には、電着又は非電着手段によって溝パターン上に形成され、さらに好適には50μm未満の厚さを有する。具体的にはニッケルからなるこの金属層は、主として、ロッドの防食性の向上に役立つものである。該層は磁性であり得るが、溝構造全体に亘って均一に形成されるので、センサによって測定された信号を変化させない。
【0019】
好適には、溝構造は溝部と隆起部とを交互に有しており、隆起部に対する溝部の深さは約200μmである。溝構造を埋め込んでいる金属は、好適には、この溝構造を完全に埋め込み、溝部上の金属の厚さは200μmを超える厚さである。隆起部上において、溝構造を埋め込んでいる金属は、好適には約50μmの厚さを有する。金属芯部と溝構造を埋め込んでいる金属との間に設け得る追加の金属層は、50μm未満の厚さを有する。この金属層は、好適には電着又は非電着手段によって金属芯部上に形成される。
【0020】
溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムは、好適には、同様に、金属芯部上又は金属芯部を囲んでいる具体的にはニッケルから形成された金属層上に電気溶着にて形成される。クロミウム層を50μmを超える厚さで形成することは問題がある、つまり、そのような肉厚の層においては引張応力が生じて、その結果クラックが発生するので、溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムは、好適には多層法によって形成される。多層法において、該金属は、各々が50μm未満の厚さである複数の層の形態で形成され、層間に形成される各遷移領域が、発生し得る応力を低減する。そのような複数の薄膜層が互いに重ね合わせて設けられた構成において、クラックの発生頻度は極めて低く、クラックは遷移領域においてその拡大が防がれる。
【0021】
ピストンロッドを再研磨することにより、溝構造を埋め込む金属の余剰部分が除去され、ピストンロッドの表面が平坦にされる。好適には、溝構造を埋め込んでいる金属、つまり具体的にはクロミウムの最小の厚さは、50μm未満になってはならない。ピストンロッドを再研磨することにより、平滑な表面が得られる。この平滑な表面は、通常のピストンロッドと比較して、硬度、粗度、防食性及び耐用年数の点で特に劣ることはない。
【0022】
溝構造を非強磁性ニッケル合金で埋め込む場合、非強磁性ニッケル合金の形成は、好適には、電気溶着によって同様に行われる。しかし、非強磁性ニッケル層は、非電着手段によって形成することもできる。ピストンロッドを再研磨して表面を平滑にした後、好適には、該表面をクロミウム層でコーティングする。このコーティングは、好適には、電気溶着によって同様に行われる。コーティングによってもまた、表面特性が向上する。
【0023】
磁場を測定するセンサは、好適には磁気抵抗センサを含む。さらに、磁気抵抗センサは、好適には複数の磁気抵抗性抵抗器構造体によって構成される。従来の磁気抵抗センサ又はGMR(巨大磁気抵抗)センサのいずれかが用いられる。これら何れの種類のセンサも磁場の測定に非常に適しており、それらのうちGMRセンサの方が効率がよい。好適には、これらの磁気抵抗性抵抗器構造体は、2つのブリッジ回路、即ち正弦回路及び余弦回路を形成するように配置される。磁気抵抗性抵抗器構造体の距離は、好適には、溝構造の周期長に対して適合されている。該センサは、磁石とピストンロッドとの間に配置され、好適には軸方向において磁場を測定する。というのは、ピストンロッド即ち溝パターンの軸方向の移動の間、軸方向の成分が最も大きな影響を受けるからである。
【0024】
そのようなセンサによって出力された信号は、好適には、それらの直角位相信号を介して評価される。それらの信号はさらに直角位相カウンタによって評価され得、溝構造の周期長の1/4の精度で増分位置信号を提供する。直角位相カウンタは正弦信号及び余弦信号の傾斜の数を数え、好適には、2つの信号の位相関係を分析することにより、方向に関するステートメントが提供される。より高い精度の位置が要求される場合、この精度は、好適には、正弦信号及び余弦信号から係数を形成することによって、溝構造の周期長の1/360よりも高い精度が達成され得る程度にまで上昇される。
【0025】
好適には、本発明の位置測定システムは、軸方向における互いからの距離が一定である2つのセンサを含む。具体的には、2つのセンサ間の距離は、溝構造の周期長の数倍、具体的な例としては2倍である。溝部又は隆起部を削除することによって形成された基準マークは、2つのセンサからの信号を比較することによって認識され得る。このことにより、絶対位置測定が提供される。
【0026】
正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを備えた1つのセンサチップのみを用いた場合、基準マークの通過は一意的に検出され得ない。センサは、磁場が一定期間の間変化しなくなるのを検出するに過ぎない。しかし、このことは、ピストンロッドがそれ以上動かずシステムが休止状態にあることによるものである。この問題は、好適には、第2のセンサを用いることによって解決される。削除された溝部又は隆起部をセンサが通過した場合、第1の直角位相カウンタの読み取り値は一定であり、一方、第2のセンサに対応する第2のカウンタは増加する。ここで、第2のセンサが同じ削除された溝部又は隆起部を通過した場合、対応する第2の直角位相カウンタの読み取り値は停止する。基準マークを完全に通過した後、2つのカウンタは再び同期して動作する。その信号によって、基準マークは一意的に検出され得る。
【0027】
好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置された隆起部又は溝部の数は、2つの基準マーク間の各間隔毎に異なっており、その場合、基準マーク間に配置された溝部又は隆起部を数え、正弦信号と余弦信号との位相関係から移動方向を判定することにより、第2の基準マークを通過した際に絶対位置を一意的に判定し得る。具体的には、このことは、2つのセンサを用いれば可能であり、したがってコストが抑制され、省スペースの構成が可能である。
【0028】
さらに、本発明による液圧シリンダ用位置測定システムは、好適にはセンサホルダを含む。センサホルダはスライド部材とばねとを含む。センサ及び磁石がセンサホルダ内に配置される。センサが設けられた好適にはアルミニウム製であるスライド部材は、センサが、該表面からの距離が可能な限り短く且つ可能な限り一定になるような様態で、ピストンロッド表面に沿って案内され得ることを確実にする。スライド部材は、ハウジング内に移動可能に設けられ、ばねによりピストンロッドの表面に向かって付勢される。好適には、ピストンロッドに面しているスライド部材の前側は曲面であり、スライド部材の内部半径は好適にはピストンロッドの半径よりも小さく、よってスライド部材は、外側縁部においてのみピストンロッドに当接しており、したがってピストンロッドに沿ってスライドする。センサの面とピストンロッドの表面との間の距離は、好適には1mm未満である。この距離で、センサによって測定された磁場は溝構造の影響を大いに受け、溝構造の確実且つ正確な認識が提供される。ここで、全体として、信号強度を高めるために、溝構造までのセンサの距離は、溝構造の深さと比べてあまり大きくなってはならない、つまり少なくとも同じオーダーの範囲内になければならない。
【0029】
摩擦を低減し且つ耐摩耗性を向上するために、アルミニウム製のスライド部材は、好適にはコーティングされる。さらに、このコーティングは、好適にはPTFEを含有する電着中間層で構成される。
【0030】
さらに、本発明は、本発明の液圧シリンダ用位置測定システムのピストンロッドを形成する方法を包含する。該方法において、本発明の溝パターンは金属芯部に研磨によって形成され、芯部よりも磁化率の低い金属からなる1以上の層が溝構造上に電着又は非電着手段によって形成され、具体的にはクロミウム又は非強磁性ニッケル合金が用いられ、溝構造を埋め込んでいる金属は研磨されて平滑な表面が得られる。
【0031】
本発明の方法によると、好適には、溝構造を埋め込む金属を形成する前に、さらに1層の金属層、具体的にはニッケル層を電着又は非電着手段によって形成する。
【0032】
好適には、特に溝構造を埋め込むのに非強磁性ニッケル合金を用いた場合、溝構造を埋め込んでいる金属を研磨した後、本発明の方法は、さらなる金属層、具体的にはクロミウム層を電着又は非電着手段によって形成する工程をさらに包含する。
【0033】
本発明のピストンロッド上に連続的に設けられたパターンを溝構造と呼ぶ。溝パターンは、ピストンロッドの外周全体を回転方向に対称な様態で囲んでおり、このことにより、ピストンロッド及びセンサの組立時にピストンロッドの向きを観察する必要がない。また、本発明の位置測定システムの測定結果に影響を及ぼすことなく、軸方向の移動と同時にピストンロッドを回転させることが可能である。しかし、当然ではあるが、溝パターンの半径方向の範囲は、本発明の位置測定システムの動作に対して大した影響がない。測定システムの動作のために、溝構造は、使用されるセンサの範囲に対応して半径方向に1つの範囲を有していればよい。この範囲が非常に小さい場合、個々の溝部又は隆起部は、ほとんどがドット形状となり得る。しかし、本発明について、主に軸方向の構造が重要であり、その構成を溝構造と呼ぶ。
【0034】
基本的なアイデアは略周期的に設けられたマークを有するあらゆるルーラーに用い得るので、ピストンの位置の絶対的判定のための上記基準マークがルーラー及び測定装置の具体的な設計から完全に独立して使用され得ることも同様に極めて明らかである。そのような一般的な絶対位置測定システムにおいて、基準マークは、削除又は改変されたマークによってルーラー上に形成される。
【0035】
ルーラーの移動の間にマークを検出し、それによりルーラーの相対移動を測定するセンサは、改変又は削除されたマーク、即ち基準マークを直接的に認識するか又はルーラーの移動方向において第1のセンサから所定の距離だけ離れた第2のセンサとの比較によって認識し得る。
【0036】
個々の基準マークの一意的な特定のために、基準マークは、好適には、2つの隣接する基準マーク間に配置されたマークの数が溝構造全体に亘ってそれぞれ異なり、それにより、2つの基準マーク間の間隔がマークの数によって一意的に特徴付けられるように配置されている。遅くともセンサが第2の基準マークを検出した後、ルーラーの絶対位置が正確に示され得る。
【0037】
特別なシステムの上記利点は、ルーラーの位置の絶対判定のための一般的な基準マークについても同様に得られる。具体的にはマーク、基準マーク及びセンサの数及び距離に関して、特別なシステムにおいて説明した特性は、一般的なシステムにも適用可能である。
【0038】
具体的には内部曲面の半径がピストンロッドの半径よりも小さく表面がコーティングされたスライド部材を備えたセンサホルダの構成は、ピストンロッド上のマークの具体的な設計から独立して使用され得る。
【0039】
センサの構成についても同じことが言える。つまり、センサの構成もまた、ピストンロッド上のマークの具体的な設計から独立している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面に示した実施形態を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0041】
図1に示す液圧シリンダ用位置測定システムの実施形態は、高磁化率の金属芯部13を備えたピストンロッド10と、略軸方向に形成された溝構造11と、芯部13よりも磁化率が低い金属12とを備えている。金属12は、溝パターン11を埋め込んでおり、平滑な表面17を有している。さらに、本発明の位置測定システムの本実施形態は、永久磁石20を備えている。永久磁石20のN極21及びS極22は、永久磁石20のN−S軸が略半径方向に延びる、つまり、永久磁石20のN−S軸がピストンロッド10の軸に対して垂直になるように構成されている。永久磁石20とピストンロッド10との間には、磁気センサ30,40が設けられている。磁気センサ30,40は、磁気抵抗センサチップを構成する。磁気抵抗センサチップは、磁気抵抗性抵抗器構造体31,41によって構成されている。磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、ピストンロッド10の表面17の近傍にてピストンロッド10の軸に対して平行になるように一列に配列されている。2つのセンサ30,40は軸距離が一定であり、これは、図示した実施形態においては、溝構造11の周期長の3倍に相当する。磁石20及びセンサ30,40は、スライド部材50内に設けられる。スライド部材50は、コーティング51を介してピストンロッド10の表面17上に配置されている。
【0042】
図2は、本発明のピストンロッド10の第1の実施形態を示す。溝構造11は、軸方向に延びており、ピストン10の長さ方向に亘って略正弦波状の形状を有している。第1の実施形態において、溝構造11の波長は2mmであり、溝構造11の深さは約200μmである。溝構造11は、略半径方向に、ピストンロッド10の全周に対して対称になるように、ピストンロッド10の強磁性芯部13内へと研磨形成されている。溝構造11の深さは、溝部16と隆起部15との間における芯部13の厚さの差に対応している。液圧シリンダにおいて一般に行われているように、ピストンロッド10の芯部13は鉄で形成されており、特に位置測定システムのためにシリンダの構成を変更する必要はない。これは、溝構造の深さが浅く、そのノッチ効果は無視できるほどに小さいためである。第1の実施形態において、溝構造11上には、強磁性ニッケルで形成された薄膜中間金属層14が設けられている。この薄膜強磁性ニッケル層14は、芯部13上に電着又は非電着手段によって50μm未満の厚さに形成される。この中間層は、ロッドの防食性を向上させる働きをする。中間層は磁性部材であり得るが、構造全体に亘って均一に形成されるので、センサによって測定される信号の形状を変化させることはない。したがって、溝構造11には、非強磁性金属(この場合、クロミウム)が埋め込まれる。溝構造11に埋め込まれたクロミウム層12は、電着的に形成される。クロミウム層の厚さは200μmよりも厚いので、多層クロミウム層が用いられる。50μmを越える肉厚のクロミウム層を設けることは、問題を生じる。具体的には、肉厚の層において引張応力が生じ、その結果クラックが生じる。これらのクラックはベース材料にまで到達し得、この箇所がピストンロッドの腐食の発生場所となる。多層法において、クロミウムは50μm未満の層として形成される。層間には、それぞれ遷移領域が形成され、この領域が応力を低減する。電着の結果、多層クロミウム層がニッケル層14上に均一に形成され、ピストンロッド10の表面は、多層クロミウム層を形成しても依然溝パターン11を有した状態にある。前記溝パターンは、ピストンロッド10を再研磨することによって除去され、研磨後、クロミウム層12は、依然50μmの最小厚さを隆起部上に有している。ピストンロッドを再研磨することによって、平滑表面17が得られる。その表面特性(硬度、摩耗、防食性、耐用年数)は、位置測定を行わない通常のシステムの表面特性に対応している。とりわけ、表面17は、凹凸度が非常に低いので、液圧シリンダの残りの構成部材、とりわけシーリング系は、摩耗によってダメージを受け得ず、該系はピストンストローク数の多いアプリケーションに適している。芯部13に強磁性の鉄を用い且つ溝構造11に埋め込まれる金属12に非強磁性のクロミウムを用いるので、この溝構造11上に大きな磁気コントラスト(magnetic contrast)が得られる。この磁気コントラストは、磁石20によって発生した磁場を大きく変化させる。
【0043】
図3aは、本発明のピストンロッドの第2の実施形態を示す。これは、ニッケル層14を設けていない点を除いて、ピストンロッドの第1の実施形態に実質的に対応している。第1の実施形態において、ニッケル層14は、極限使用条件に対する追加防食部材として使用されるが、第2の実施形態に示すように省略してもよく、それにより、より単純な構成となり、製造コストが削減され得る。
【0044】
図3bは、本発明のピストンロッドの第3の実施形態を示す。第3の実施形態において、溝構造11には、電気溶着された非強磁性ニッケル層12が埋め込まれている。電気溶着されたニッケル層は通常強磁特性を有するので、溝構造を埋め込むのには不適であることに留意されたい。該層には10.5%を越える燐が含まれるので、非強磁性ニッケルは電気溶着され得る。これらの非強磁性ニッケル層は非電解的手段で容易に形成されるが、非電解的に溝構造11を埋め込むには溝部が深過ぎる。ピストンロッドを再研磨することによって該溝構造が除去され、平滑な表面18が得られる。最後に、ピストンロッド10は、従来はクロミウム層19によって被覆される。この構成はまた、硬度、摩耗、防食性、耐用年数、及び表面の平滑度に関して優れた特性を提供する。さらに、個々の層は容易に低コストで設けられ得る。強磁性の芯部13及び溝構造11を埋め込む非強磁性金属12を用いることにより、この実施形態においても、溝構造11上に大きな磁気コントラストが得られ、それにより、磁石20によって発生した磁場が大きく変形される。
【0045】
センサ30,40は、ピストンロッド10がこの磁場を軸方向に通過する際の磁場の変形を測定する。磁場は、溝構造11によって周期的に変化し、この周期を数えることによって相対位置が測定され得る。しかし、絶対位置測定のためにはさらなる情報が必要である。図4に示す第4の実施形態では、この情報は、基準マーク1の形で本発明のピストンロッドに与えられている。これらの基準マーク1は、周期的な溝構造11から溝部16及び隆起部15を削除することによって設定される。本発明のピストンロッド10の第4の実施形態において、基準マーク1は、2つの隣接する基準マーク1間に設けられた隆起部15又は溝部16の数が溝構造11全体に亘ってそれぞれ異なり、2つの基準マーク間の各間隔が2つの基準マーク間に設けられた隆起部又は溝部の数によって一意的に特徴付けられるように、配置されている。2つの連続する基準マーク1を通過すると、絶対位置がわかる。ピストンロッドの本実施形態上に基準マーク1を配置することによって、基準点まで、つまり、表示された絶対位置までの最大移動距離が特定され得る。特に早い基準が例えばシリンダの終端位置に設けられることが望まれる場合、基準マークは、図4に示すように、2つの基準マーク間の距離が終端位置において最小になるように配置されている。
【0046】
本発明のピストンロッド10の第4の実施形態において、溝部の削除は、左側から見て5本の溝部が第1の2つの削除された溝部の間に存在するように行われる。第2の削除された溝部と第3の削除された溝部との間の距離は7本の溝部に相当する距離であり、第3の削除された溝部と第4の削除された溝部との間の距離は9本の溝部に相当する距離であり、以降同様に続く。右側から見て、第1の削除された溝部と第2の削除された溝部との間の距離は、6本の溝部に相当する距離である。第2の削除された溝部と第3の削除された溝部との間の距離は、8本の溝部に相当する距離であり、その後、10本、12本と続く。奇数本の距離から偶数本の距離への遷移は、ロッドの中央部で起こる。本実施形態において、溝部の合計本数は約1400である。
【0047】
溝部又は隆起部を削除することによって設けられた基準マーク1並びに2つの基準マーク1間の一意的に特定可能な距離により、信頼性の高い正確な絶対位置測定が、複雑なパターンを用いる必要なく、素早く容易に実現され得る。
【0048】
図5aは、画像部の上方に配置された図示しない磁石20の磁場が溝構造11によってどのように変化するかを示す。頂部から底部に延びるラインは、磁場の強度を示すラインであり、ライン間の距離が短い箇所は磁場が強いことを示し、ライン間の距離が大きいほど、磁場が弱いことを示している。ピストンロッド10の表面17から大きく離れた位置において、磁場はほとんど妨害されず、半径方向、つまりこの図面の頂部から底部へと均一に拡がっている。溝構造11を埋め込むのに用いる非強磁性金属12は、磁化率が非常に低く、したがって、その内部の磁場を強めることはほとんどない。したがって、非強磁性金属12は、磁場のラインの進路に実質的に影響を与えない。このことは、図面において、磁場のラインが表面17上で崩されないことからも理解される。しかし、芯部13の強磁性金属の場合は事情が全く異なる。これは、非常に磁化率が高く、その内部において磁場を強める。このことは、図面において、磁場のラインが溝構造11において崩れていることからも理解される。隆起部15が磁石20のより近くに設けられた場合、磁場は、磁石20からさらに離れた溝部16内よりも強い。このことは、図5aにおいて、隆起部15上における磁場のラインが溝部16と比べてかなり狭い間隔になっていることから理解される。溝構造11上の領域において、磁場はそれ以上半径方向には拡がらないが、軸方向の成分Hyを有し、通常この成分は0とは異なる。
【0049】
図5bにおいて、ピストンロッド10の表面17のわずかに上方で測定された磁場Hyの強さは、溝構造11上の位置に依存することが示されている。本実施形態において溝構造11は実質的に正弦曲線の形状を有するので、磁場の軸方向の成分Hyも、正弦曲線の形状を有する。隆起部15又は溝部16の真上において、軸方向の磁場Hyは0であるが、溝部16と隆起部15との間の傾斜部上では正又は負の値を示す。本実施形態において、センサは、ピストンロッド10の軸に対して平行であり且つピストンロッド10の表面17から1mm未満の距離にある面に配置されている。本実施形態の永久磁石20及びセンサ30,40は、軸方向に固定的に設けられており、それにより、センサによって測定される磁場Hyは、ピストンロッド10が軸方向に移動する間、正弦変調される。1周期分の磁場Hyの変調は、2つの溝部の間の距離分のピストンロッドの移動に対応する。
【0050】
本実施形態において使用されるセンサ30,40は、磁気抵抗性磁場センサを構成する。変調された磁場を測定するこれらの標準的なセンサは、複数の磁気抵抗性抵抗器構造体31,41によって形成される。磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、接続されて2つのブリッジ回路(正弦ブリッジ及び余弦ブリッジ)を形成している。センサ30,40の選択は、センサチップ上の抵抗器の地理的距離が、測定する磁場構造の周期長、即ち溝構造11の周期長に適合するように実施される。しかし、GMRセンサも同様に使用され得る。
【0051】
図6aは、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジの信号を示す。なお、溝構造11を有する本発明のピストンロッド10は、センサを軸方向に通過する。センサは、磁石の中心から、測定方向に対して横向きに2.6mmずらされている。センサ30,40の磁気抵抗性抵抗器構造体31,41は、ピストンロッド10の構造体17から400μmの距離に配置されている。図6aは、互いに対してずらされた測定信号の正弦曲線を明示している。
【0052】
これらの信号は、標準的な方法で評価され得、位置を提供し得る。評価は、図6bに示すように、直角位相信号(quadrature signal)を介して実施される。ヒステリシスを有する比較回路によって、信号はA−B直角位相信号に変換される。その後、この信号は、直角位相カウンタ(quadrature counter)で評価され得、溝構造11の周期長の1/4の精度の増分位置信号を提供する。直角位相カウンタは、正弦信号及び余弦信号の傾斜の数を数える。なお、2つの信号の間の位相関係の分析によって、移動方向に関するステートメント(statement)が提供される。より高い位置精度が要求される場合、正弦信号及び余弦信号から商(quotient)を形成することによって精度を上げることができる。このようにして、溝構造11の周期長の1/360よりも高い精度が達成され得る。したがって、センサ30,40を用いることにより、ピストンロッドの相対移動を極めて高い精度で判定することが実現される。
【0053】
しかし、絶対位置の測定のために、基準マーク1からの追加情報が要求される。センサ30,40を1つだけ用いる場合、基準マークの通過は一意的に検出され得ない。センサは、磁場が所定の期間の間これ以上変化しないことを「観察」するのみである。しかし、このことは、ピストンロッド10が移動しないという事実に帰するものであり得る。
【0054】
この問題は、2つのセンサ30,40を用いることにより解決される。センサ30,40は、互いに対して軸方向に一定の距離に配置される。本発明の本実施形態において、この一定の距離は4mmであり、これは2つの溝部の間の距離に対応している。溝構造11の周期長の倍数に対応する距離を空けて2つのセンサを配置することには、2つのセンサの何れにおいても基準マークが検出されない場合に、2つのセンサが同じ信号を提供するという利点がある。2つのセンサによって生成された信号を比較することにより、基準マーク1は一意的に検出され得る。この目的のために、2つのセンサ間の距離を、2つの基準マーク1間の最小距離よりも短くする必要がある。ここで基準マークがセンサを通過した場合、第1のセンサ30の直角位相カウンタの読み取り値は一定のままであり、それに対して第2のセンサ40の直角位相カウンタは増加する。その後、基準マーク1は第2のセンサ40を通過し、第2のセンサ40の直角位相カウンタの読み取り値は変化しないのに対して、第1のセンサ30の直角位相カウンタの読み取り値は増加する。基準マーク1が2つのセンサ30,40を通過した後、2つの直角位相カウンタは再び同期して動作する。したがって、基準マーク1は、そのような信号の挙動によって明確に認識され得る。
【0055】
ここで第2の基準マーク1がセンサ30,40を通過した場合、現在の特定の基準マーク1は、2つの基準マーク間の溝部16又は隆起部15の数を数え、正弦信号と余弦信号との間の位相比較から移動方向を判定することによって特定され得る。したがって、ピストンロッド10の絶対位置も一意的に特定される。特に、このことは2つのセンサを用いれば可能であり、構造上の空間及びコストが節約される。
【0056】
図7及び図8は、本発明のセンサホルダ60の一実施形態の構成を示す。センサホルダ60は、2つの磁気抵抗センサ30,40がピストンロッド10の表面17に沿って、表面17に対してより短く且つ一定の距離で案内されるように設計されている。ピストン表面17とセンサ30,40との間の距離が短いことが重要である。というのは、溝構造11から短い距離の位置においてのみ、センサの背後に配置された磁石20の磁場が溝構造11によって大きな変化をうけるからである。良好な信号を得るために、表面17に可能な限り近い位置、即ち溝構造11に可能な限り近い位置で磁場を測定する必要がある。この距離は、ピストンロッド10が軸方向に移動する間は一定である必要があり、それにより、測定結果に誤りが起こらない。
【0057】
したがって、本発明のセンサホルダ60の本実施形態は、アルミニウム製のスライド部材50を含む。スライド部材50は、センサ30,40及び永久磁石20を保持する。スライド部材50は、ばね61によりピストンロッド10に向かって付勢される。センサ30,40における磁気抵抗性抵抗器31,41の面とピストンロッド10の表面17との間の距離は、1mm未満である。
【0058】
スライド部材50の内部は、スライド部材50の内部半径がピストンロッドの半径よりも小さなカーブになっており、それによりスライド部材は、その外側エッジ上のみでピストンロッドに沿ってスライドする。
【0059】
摩擦を低減し且つ耐摩耗性を向上するため、本実施形態では、アルミニウム製のスライド部材50はコーティング51が施されている。コーティングは、PTFEを含有する電着ニッケル層である。
【0060】
センサホルダ60全体が、シリンダの蓋の中の無圧力領域内に一体化されている。外部から混入したゴミによる摩耗を避けるため、システムと外部領域との間にスクレーパ(scraper)並びにシール又はガイドストリップが設けられている。
【0061】
センサシステム及び電子システムの全体が無圧力領域内に配置され、したがって最大圧力によりダメージを受け得ないので、上記により構造の安定性及び耐用年数がさらに増加する。
【0062】
これらのシステムにおいて、測定システムはシリンダの高圧力領域内に一体化される必要があるので、上記は、磁気抵抗型測定システムと比較して特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の液圧シリンダ用位置測定システムの一実施形態の模式断面図である。
【図2】本発明によるピストンロッドの第1の実施形態の模式断面図である。
【図3a】本発明によるピストンロッドの第2の実施形態の模式断面図である。
【図3b】本発明によるピストンロッドの第3の実施形態の模式断面図である。
【図4】本発明による基準マークが設けられたピストンロッドの第4の実施形態の模式図である。
【図5a】溝構造によって変形された磁場Hの模式断面図である。
【図5b】溝構造上の軸位置に対する、軸方向における磁場Hyの変化を示す図である。
【図6a】本発明のセンサの一実施形態による正弦余弦回路の出力信号を示す波形図である。
【図6b】直角位相信号を介した正弦信号及び余弦信号の評価を示す図である。
【図7】本発明のセンサホルダの一実施形態の斜視図である。
【図8】本発明のセンサホルダの一実施形態の切欠斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石(20)と、少なくとも1つのセンサ(30,40)と、高磁化率の金属芯部(13)及び略軸方向の溝構造(11)を備えたピストンロッド(10)とを含む液圧シリンダ用位置測定システムであって、
前記溝構造(11)には、前記芯部(13)よりも磁化率の低い金属(12)が埋め込まれ、前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は、前記溝構造(11)の位置に依存して変化する前記磁石(20)の磁場を測定する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項2】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は特定の方向に沿って前記磁場を測定する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項3】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁石(20)は永久磁石であって、前記永久磁石のN−S軸は、前記センサ(30,40)の配置及び配向に依存して延びている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項4】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)は、溝部(16)及び隆起部(15)から構成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項5】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝部(16)又は隆起部(15)は軸方向に隣接しており、各々が互いから等しい距離だけ離れている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項6】
請求項1又は4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造は、軸方向に略周期的な形状、具体的には軸方向に略正弦波の形状を有している
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項7】
請求項4又は5の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝部(16)又は隆起部(15)を個々に削除して基準マーク(1)を形成する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項8】
請求項7の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記基準マーク(1)は、2つの隣接する基準マーク(1)間に配置された前記隆起部(15)又は溝部(16)の数が溝構造(11)全体に亘って各々異なるように設けられ、2つの基準マーク間の各間隔が前記隆起部(15)又は溝部(16)の数によって一意的に特徴付けられる
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項9】
請求項7の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
位置を即座に表示することが要求される前記ピストンロッド(10)の領域において、前記基準マーク(1)間の距離は、残りの領域と比べて短い
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項10】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)は強磁性であり、前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は非強磁性である
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項11】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)は鉄で形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項12】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)はクロミウムを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項13】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は非強磁性ニッケル合金を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項14】
請求項13の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記非強磁性ニッケル合金は10.5%を越える量の燐を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項15】
請求項1又は12の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)と前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)との間に中間金属層(14)が設けられている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項16】
請求項15の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)はニッケルを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項17】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)は平滑な表面(17,18)を有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項18】
請求項1又は17の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)上に外側金属層(19)が設けられている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項19】
請求項18の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)はクロミウムを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項20】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記隆起部(15)に対する前記溝部(16)の深さは約200μmである
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項21】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、前記溝部(16)上に200μmを越える厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項22】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、前記隆起部(15)上に約50μmの厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項23】
請求項15又は16の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)は50μm未満の厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項24】
請求項18又は19の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)は約50μmの厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項25】
請求項15又は16の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)は、前記金属芯部(13)上に電着又は非電着手段によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項26】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、電着又は非電着手段によって形成され且つ平滑な表面(17,18)を有するように研磨されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項27】
請求項26の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)の適用は多層法を含み、前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、厚さが50μm未満である交互に設けられた複数の層を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項28】
請求項18又は19の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)は電着又は非電着手段によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項29】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は、磁気抵抗センサ又はGMR(巨大磁気抵抗)センサである
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項30】
請求項29の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記センサは、複数の磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項31】
請求項30の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)は、2つのブリッジ回路、即ち正弦回路及び余弦回路を形成するように配置される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項32】
請求項30の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)の距離は、前記溝構造(11)の周期長に対して適合されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項33】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記センサ(30,40)によって出力された信号は、それらの直角位相信号を介して評価される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項34】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記正弦回路及び余弦回路からの前記信号の位相関係の分析によって、前記方向に関するステートメントが提供される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項35】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記正弦回路及び余弦回路からの前記信号の商(quotient)の形成によって、位置分析の精度が高くなる
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項36】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
軸方向の距離が一定である2つのセンサを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項37】
請求項36の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記距離は、前記溝構造(11)の周期長の数倍、具体的には2倍を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項38】
請求項37の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記基準マーク(1)は、前記2つのセンサ(30,40)の信号を比較することにより検出され得る
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項39】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
センサホルダ(60)をさらに含み、前記センサホルダ(60)はスライド部材(50)とばね(61)とを有し、前記スライド部材(50)内に前記センサ(30,40)が配置されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項40】
請求項39の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)はアルミニウム製である
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項41】
請求項40の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)は、摩擦を低減し且つ耐摩耗性を提供するコーティング(51)を有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項42】
請求項41の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記コーティング(51)は、PTFEを含む電着ニッケル層によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項43】
請求項39の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)の内部半径は、前記ピストンロッド(10)の半径よりも小さい
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項44】
請求項1に記載の液圧シリンダ用位置測定システムのピストンロッドを形成する方法であって、
研磨により前記金属芯部(13)に前記溝パターン(11)を形成する工程と、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)の複数の層を電着又は非電着手段によって形成する工程と、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を研磨して平滑な表面(17,18)を得る工程とを包含する
ことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44のピストンロッド形成方法において、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を設ける前に、金属層(14)を電着又は非電着手段によって形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44のピストンロッド形成方法において、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を研磨して平滑な表面(18)を得た後に、外側金属層(19)が電着又は非電着手段によって形成される
ことを特徴とする方法。
【請求項1】
磁石(20)と、少なくとも1つのセンサ(30,40)と、高磁化率の金属芯部(13)及び略軸方向の溝構造(11)を備えたピストンロッド(10)とを含む液圧シリンダ用位置測定システムであって、
前記溝構造(11)には、前記芯部(13)よりも磁化率の低い金属(12)が埋め込まれ、前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は、前記溝構造(11)の位置に依存して変化する前記磁石(20)の磁場を測定する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項2】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は特定の方向に沿って前記磁場を測定する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項3】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁石(20)は永久磁石であって、前記永久磁石のN−S軸は、前記センサ(30,40)の配置及び配向に依存して延びている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項4】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)は、溝部(16)及び隆起部(15)から構成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項5】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝部(16)又は隆起部(15)は軸方向に隣接しており、各々が互いから等しい距離だけ離れている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項6】
請求項1又は4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造は、軸方向に略周期的な形状、具体的には軸方向に略正弦波の形状を有している
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項7】
請求項4又は5の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝部(16)又は隆起部(15)を個々に削除して基準マーク(1)を形成する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項8】
請求項7の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記基準マーク(1)は、2つの隣接する基準マーク(1)間に配置された前記隆起部(15)又は溝部(16)の数が溝構造(11)全体に亘って各々異なるように設けられ、2つの基準マーク間の各間隔が前記隆起部(15)又は溝部(16)の数によって一意的に特徴付けられる
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項9】
請求項7の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
位置を即座に表示することが要求される前記ピストンロッド(10)の領域において、前記基準マーク(1)間の距離は、残りの領域と比べて短い
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項10】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)は強磁性であり、前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は非強磁性である
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項11】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)は鉄で形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項12】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)はクロミウムを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項13】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は非強磁性ニッケル合金を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項14】
請求項13の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記非強磁性ニッケル合金は10.5%を越える量の燐を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項15】
請求項1又は12の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記金属芯部(13)と前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)との間に中間金属層(14)が設けられている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項16】
請求項15の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)はニッケルを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項17】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)は平滑な表面(17,18)を有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項18】
請求項1又は17の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造を埋め込んでいる前記金属(12)上に外側金属層(19)が設けられている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項19】
請求項18の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)はクロミウムを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項20】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記隆起部(15)に対する前記溝部(16)の深さは約200μmである
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項21】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、前記溝部(16)上に200μmを越える厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項22】
請求項4の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、前記隆起部(15)上に約50μmの厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項23】
請求項15又は16の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)は50μm未満の厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項24】
請求項18又は19の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)は約50μmの厚さを有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項25】
請求項15又は16の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記中間金属層(14)は、前記金属芯部(13)上に電着又は非電着手段によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項26】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、電着又は非電着手段によって形成され且つ平滑な表面(17,18)を有するように研磨されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項27】
請求項26の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)の適用は多層法を含み、前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)は、厚さが50μm未満である交互に設けられた複数の層を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項28】
請求項18又は19の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記外側金属層(19)は電着又は非電着手段によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項29】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(30,40)は、磁気抵抗センサ又はGMR(巨大磁気抵抗)センサである
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項30】
請求項29の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記センサは、複数の磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項31】
請求項30の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)は、2つのブリッジ回路、即ち正弦回路及び余弦回路を形成するように配置される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項32】
請求項30の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記磁気抵抗性抵抗器又はGMR抵抗器構造体(31,41)の距離は、前記溝構造(11)の周期長に対して適合されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項33】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記センサ(30,40)によって出力された信号は、それらの直角位相信号を介して評価される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項34】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記正弦回路及び余弦回路からの前記信号の位相関係の分析によって、前記方向に関するステートメントが提供される
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項35】
請求項31の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記正弦回路及び余弦回路からの前記信号の商(quotient)の形成によって、位置分析の精度が高くなる
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項36】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
軸方向の距離が一定である2つのセンサを含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項37】
請求項36の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記距離は、前記溝構造(11)の周期長の数倍、具体的には2倍を含む
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項38】
請求項37の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記基準マーク(1)は、前記2つのセンサ(30,40)の信号を比較することにより検出され得る
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項39】
請求項1の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
センサホルダ(60)をさらに含み、前記センサホルダ(60)はスライド部材(50)とばね(61)とを有し、前記スライド部材(50)内に前記センサ(30,40)が配置されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項40】
請求項39の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)はアルミニウム製である
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項41】
請求項40の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)は、摩擦を低減し且つ耐摩耗性を提供するコーティング(51)を有する
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項42】
請求項41の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記コーティング(51)は、PTFEを含む電着ニッケル層によって形成されている
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項43】
請求項39の液圧シリンダ用位置測定システムにおいて、
前記スライド部材(50)の内部半径は、前記ピストンロッド(10)の半径よりも小さい
ことを特徴とする液圧シリンダ用位置測定システム。
【請求項44】
請求項1に記載の液圧シリンダ用位置測定システムのピストンロッドを形成する方法であって、
研磨により前記金属芯部(13)に前記溝パターン(11)を形成する工程と、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)の複数の層を電着又は非電着手段によって形成する工程と、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を研磨して平滑な表面(17,18)を得る工程とを包含する
ことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44のピストンロッド形成方法において、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を設ける前に、金属層(14)を電着又は非電着手段によって形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44のピストンロッド形成方法において、
前記溝構造(11)を埋め込んでいる前記金属(12)を研磨して平滑な表面(18)を得た後に、外側金属層(19)が電着又は非電着手段によって形成される
ことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−240531(P2007−240531A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−58130(P2007−58130)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503448376)リープヘル−フランス ソシエテ アノニム サンプリフィエ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58130(P2007−58130)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503448376)リープヘル−フランス ソシエテ アノニム サンプリフィエ (4)
【Fターム(参考)】
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