説明

液垂れ防止バルブ

【課題】コンパクトで、不要に流体を排出することなく、乱流の発生を抑制できる液垂れ防止バルブを提供すること。
【解決手段】弁体11とスプリング12を収納する収納室7,8の内壁に弁座面13が形成されており、収納室7,8に連通して薬液等を吐出するノズル流路9を備えるバルブ本体2を有し、スプリング12の内部空間がノズル流路9と連通しており、スプリング12のバネ荷重が、ノズル流路9から薬液等を吐出する場合に入力ポート5に供給される薬液等の流体圧より小さく設定され、入力流路6に接続される配管L1に残った薬液等の水頭圧では弁体11を弁座面13に当接させて弁閉する値に設定され、ノズル流路9の全長D4がスプリング12の内部空間の全長D3より長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液垂れを防止する液垂れ防止バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造工程では、チャンバ内に搬送したウエハ上にノズルを移動させ、所定量の薬液や純水(以下「薬液等」という。)をノズルからウエハに塗布することが行われている。近年、半導体回路の微細化が進み、ウエハに塗布する薬液等の供給量がシビアに管理されている。そのような状況の中で、例えば、配管内に残った薬液等が、ノズル移動時の振動等によりノズルからウエハに垂れると、ウエハ上で行われる化学反応に影響を及ぼし、歩留まりを低下させてしまう。
【0003】
この不具合を回避するために、ノズルと、薬液等の供給量を制御する供給弁との間に、サックバックバルブを設置することが行われている。この場合、供給弁が閉じた後に、サックバックバルブが配管内の薬液等を吸い戻し、ノズルから薬液等が垂れることを防止する(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところが、発泡性の薬液や比重の重い薬液をウエハに塗布する場合、サックバックバルブでは、配管内に残った薬液を十分に吸い戻すことができず、薬液等がノズルからウエハに垂れてしまうことがあった。この不具合を解消するために、従来よりいくつかの技術が提案されている。
【0005】
例えば、図16に示す第1従来例では、薬液等を供給する配管L1の先端のノズル102からウエハWへ塗布する薬液等を供給バルブ101で制御している。排出配管L2は、供給バルブ101の下流側において、配管L1から分岐されている。排出配管L2には、エゼクタ103が設置されている。このような第1従来例では、供給バルブ101がON状態にされている場合、エゼクタ103が圧縮エアを供給されず、排出配管L2から薬液等が排出されない。そのため、薬液等が、供給バルブ101で流量制御された後、配管L1からノズル102を介してウエハWへ塗布される。その後、供給バルブ101がOFF状態にされる場合に、エゼクタ103が圧縮エアを供給される。これにより、供給バルブ101の下流側に残っている薬液等がエゼクタ103により排出配管L2へ吸引され、排出される。そのため、薬液等がノズル102からウエハWに垂れない。
【0006】
また例えば、図17に示す第2従来例では、排出配管L2上に排出バルブ113が設置されている。この第2従来例では、供給バルブ101がON状態にされている場合、排出バルブ113がOFF状態にされている。そのため、薬液等が、供給バルブ101で流量制御された後、配管L1からノズル102を介してウエハWへ塗布される。その後、供給バルブ101がOFF状態にされる場合に、排出バルブ113がON状態にされる。これにより、供給バルブ101の下流側に残っている薬液等が、水頭圧を利用して排出配管L2へ流れて排出される。そのため、薬液等がノズル102からウエハWへ垂れない。
【0007】
また例えば、第3従来例では、ノズル201の内部にバルブ機構を備え、通常、このバルブ204は、ノズル入口202を塞ぐように押しバネ206で押し当てられている。ノズル201に流れ込む薬液等の圧力が押しバネ206の圧力より大きくなるとバルブ204は移動し、ノズル201が開く。ノズル201に流れ込む薬液等の圧力が押しバネ206の圧力より大きい間、薬液等は、ノズル201のノズル出口203から吐出される。一方、ノズル201に流れ込む薬液等の圧力が押しバネ206の圧力より小さくなると、押しバネ206によりノズル入口202が塞がれ、この瞬間に薬液等の吐出が停止する。よって、薬液等がノズル201から垂れない(例えば特許文献2参照)。
【0008】
尚、出願人は、特願2009−173659号(特開2011−27180号公報)において、図19及び図20に示す樹脂製逆止弁310を提案している。樹脂製逆止弁310は、図19に示すように、バルブ302の出力ポートに接続される接続配管303に継手304を用いて接続され、バルブ302に薬液等が逆流することを防ぐ。
【0009】
図20に示すように、樹脂製逆止弁310は、弁体収納室316を備える弁本体311と、上流側流路312bの開口部分に設けられた弁座面319と、弁座面319に当接又は離間する弁体317と、弁体収納室316に縮設されて弁体317を弁座方向に付勢するスプリング318を有する。弁座面319は、弁体収納室316の上流側流路312bが開口する開口部外周に、弁体収納室316の軸線方向に対して直交する面に設けられた平坦な面で構成される。弁体317は、弁座面319に当接する面が平坦に設けられた環状シール部317aを有する。弁座面319は、少なくとも環状シール部317aが当接する部分の表面を塑性変形し、平面度を小さくされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−316085号公報
【特許文献2】実用新案登録第3064245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、第1従来例の液垂れ防止システムは、エゼクタ103を駆動するための機器や圧縮エアを供給するエア供給源を必要とし、装置が大型になっていた。
また、第2従来例の液垂れ防止システムは、薬液等の塗布工程において、排出バルブ113をON状態にして薬液等を排出するための時間が、半導体製造工程の処理能力を低下させる問題があった。
また、第1及び第2従来例の液垂れ防止システムは、1枚のウエハWに薬液等を塗布する毎に、薬液等を排出配管L2から排出するため、薬液等が無駄に消費される問題があった。
更に、第3従来例の液垂れ防止ノズル201は、ノズル出口203が短い。そのため、スプリング206の内部空間207からノズル出口203へ流れ込んだ流体が、乱流を発生した状態で、ノズル出口203から吐出される。この場合、ウエハ上に塗布される薬液等が不均一となり、歩留まりを低下させてしまうおそれがある。
尚、特願2009−173659号(特開2011−27180号公報)に記載される逆止弁310は、小さい流体圧でも弁を開くことができるようにするものであって、乱流の発生を抑えることを目的としていない。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コンパクトで、不要に流体を排出することなく、乱流の発生を抑制できる液垂れ防止バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記課題を解決するために、本発明の液垂れ防止バルブは、弁体と、前記弁体を付勢するスプリングと、前記弁体と前記スプリングを収納する収納室と、前記収納室に連通する入力流路と、前記入力流路が開口する前記収納室の内壁に形成されるものであって前記弁体が当接又は離間する弁座面とが形成されるとともに、前記収納室に連通して前記流体を吐出するノズル流路を備えるバルブ本体と、を有し、前記スプリングは、内部空間が前記ノズル流路と連通しており、バネ荷重が、前記ノズル流路から前記流体を吐出する場合に前記入力流路に供給される前記流体の流体圧より小さく設定され、前記入力流路に前記流体が供給されなくなった後に、前記入力流路に接続される配管に残った前記流体の水頭圧では前記弁体を前記弁座面に当接させて弁閉する値に設定されていること、前記ノズル流路は、全長が前記スプリングの内部空間の全長より長い。
【0014】
(2)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)記載の発明において、前記スプリングの前記内部空間の内径寸法が前記ノズル流路の内径寸法と同じである。
【0015】
(3)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)又は(2)記載の発明において、前記スプリングの前記ノズル流路側の端部に配置されるバネ受け部材を有し、前記バルブ本体は、前記ノズル流路を形成する前記ノズルが螺入されて前記バネ受け部材に先端部を突き当てられている。
【0016】
(4)本発明の液垂れ防止バルブは、(3)記載の発明において、前記ノズルの後端部が前記バルブ本体の外部に露出している。
【0017】
(5)本発明の液垂れ防止バルブは、(3)又は(4)記載の発明において、前記ノズルは、前記バルブ本体に当接して前記バルブ本体に対する螺進を阻止するストッパ部を有する。
【0018】
(6)本発明の液垂れ防止バルブは、(3)乃至(5)の何れか一つに記載の発明において、前記ノズルと一体的に回転するものであって、前記バルブ本体に対して回転することを阻止するロック部材を有する。
【0019】
(7)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)乃至(6)の何れか一つに記載の発明において、前記スプリングのコイルの断面形状が、四角、台形、又は、半円形である。
【0020】
(8)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)乃至(7)の何れか一つに記載の発明において、前記バルブ本体の外周面に継手が接続される継手接続部を設ける。
【0021】
(9)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)乃至(8)の何れか一つに記載の発明において、前記弁体、前記スプリング、前記バルブ本体、前記ノズルがフッ素樹脂で形成されている。
【0022】
(10)本発明の液垂れ防止バルブは、(1)乃至(8)の何れか一つに記載の発明において、接液部が、耐腐食性のある材料で形成又はコーティングされている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の液垂れ防止バルブは、弁体と、弁体を付勢するスプリングと、弁体とスプリングを収納する収納室と、収納室に連通する入力流路と、入力流路が開口する収納室の内壁に形成されるものであって弁体が当接又は離間する弁座面とが形成されるとともに、収納室に連通して流体を吐出するノズル流路を備えるバルブ本体と、を有しており、バルブとノズルが一体に設けられている。そのため、バルブとノズルを接続する配管が必要でなく、コンパクトである。そして、スプリングは、内部空間がノズル流路と連通しており、バネ荷重が、ノズル流路から流体を吐出する場合に入力流路に供給される流体の流体圧より小さく設定され、入力流路に流体が供給されなくなった後に、入力流路に接続される配管に残った流体の水頭圧では弁体を弁座面に当接させて弁閉する値に設定されているので、液垂れ防止バルブを移動させる場合などに、ノズル流路から流体が垂れない。この場合に、液垂れ防止バルブは、水頭圧を利用して弁閉が行われるので、駆動源を必要とせず、コンパクトである。しかも、液垂れ防止バルブは、流体を排出せずに液垂れを防止するので、不要に流体を排出しない。更に、ノズル流路の全長がスプリングの内部空間の全長より長いので、流体がノズル流路を通過する場合に層流化されるので、乱流の発生を抑制できる。
【0024】
本発明の液垂れ防止バルブは、スプリングの内部空間の内径寸法がノズル流路の内径寸法と同じであるので、スプリングの内部空間をノズル流路を延長した流路のように使用し、流体の層流化を促進できる。
【0025】
本発明の液垂れ防止バルブは、スプリングのノズル流路側の端部に配置されるバネ受け部材を有し、バルブ本体は、ノズル流路を形成するノズルが螺入されてバネ受け部材に先端部を突き当てられているので、ノズルをバルブ本体に螺入する量を調整すると、バネ受け部材を介してスプリングの圧縮量が変化し、スプリングのバネ荷重を自由に調整することができる。
【0026】
本発明の液垂れ防止バルブは、ノズルの後端部がバルブ本体の外部に露出しているのでバルブ本体を分解せずにスプリングのバネ荷重を調整することができる。
【0027】
本発明の液垂れ防止バルブは、ノズルが、バルブ本体に当接してバルブ本体に対する螺進を阻止するストッパ部を有するので、スプリングがノズルを介して過度に圧縮されて弁開動作を阻害することがない。
【0028】
本発明の液垂れ防止バルブは、ノズルと一体的に回転するものであって、バルブ本体に対して回転することを阻止するロック部材を有するので、調整したバネ荷重を保つことができる。
【0029】
本発明の液垂れ防止バルブは、スプリングのコイルの断面形状が、四角、台形、又は、半円形であるので、スプリングが圧縮された場合に、スプリングの内部空間を構成する面にできる凹凸を少なくし、スプリングの内部空間を通過する流体の層流化を促進できる。
【0030】
本発明の液垂れ防止バルブは、バルブ本体の外周面に継手が接続される継手接続部を設けるので、流体を供給する配管に継手を介して直接接続される。そのため、本発明の液垂れ防止バルブは、設置スペースが小さくて済み、配管に接続する施工工数を低減できる。
【0031】
本発明の液垂れ防止バルブは、弁体、スプリング、バルブ本体がフッ素樹脂で形成されているので、軽量である。
【0032】
本発明の液垂れ防止バルブは、接液部が、耐腐食性のある材料で形成又はコーティングされているので、腐食性の高い流体で接液部を腐食し、流体を汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液垂れ防止バルブの断面図であって、弁閉状態を示す。
【図2】図1に示す液垂れ防止バルブの弁開状態を示す断面図である。
【図3】スプリングと弁体の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液垂れ防止バルブの断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液垂れ防止バルブの断面図であって、弁開状態を示す。
【図6】本発明の第4実施形態に係る液垂れ防止バルブの外観図である。
【図7】図6に示す液垂れ防止バルブのAA断面図であって、バネ荷重調整前の状態を示す。
【図8】図7に示す液垂れ防止バルブのバネ荷重調整後の状態を示す。
【図9】本発明の第5実施形態に係る液垂れ防止バルブの外観図である。
【図10】図9のBB断面図であって、バネ荷重調整前のロック状態を示す。
【図11】図10に示す液垂れ防止バルブのバネ荷重調整時のロック解除状態を示す。
【図12】図10に示す液垂れ防止バルブのバネ荷重調整後のロック状態を示す。
【図13】回転阻止機構の構造を示す図である。
【図14】液垂れ防止バルブの第1変形例を示す図である。
【図15】液垂れ防止バルブの第2変形例を示す図である。
【図16】第1従来例の液垂れ防止システムの構成を示す図である。
【図17】第2従来例の液垂れ防止システムの構成を示す図である。
【図18】第3従来例の液垂れ防止システムの構成を示す図である。
【図19】参考例のバルブユニットの外観図である。
【図20】図19に示す逆止弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明に係る好ましい実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明することにする。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液垂れ防止バルブ1の断面図であって、弁閉状態を示す。図2は、図1に示す液垂れ防止バルブ1の弁開状態を示す断面図である。図3は、スプリング12と弁体11の斜視図である。
図1に示す液垂れ防止バルブ1は、弁とノズルを一体化したものである。液垂れ防止バルブ1は、例えば、半導体製造装置のウエハに薬液等を塗布する薬液等塗布装置に使用される。液垂れ防止バルブ1は、継手19を介して薬液等塗布装置の配管L1に接続される。配管L1は、薬液等供給源に接続され、薬液等の供給量を制御するための図示しない供給バルブが薬液等供給源と液垂れ防止バルブ1との間に設置されている。液垂れ防止バルブ1は、耐薬品性を高めるために、全ての部品がフッ素樹脂を材質としている。
【0036】
液垂れ防止バルブ1は、下流側ボディ4に上流側ボディ3を螺合接続することによりバルブ本体2が構成されている。バルブ本体2の外周面には、継手19が接続される継手接続部2aが設けられている。バルブ本体2には、入力ポート5と、入力流路6と、弁体収納室7と、スプリング収納室8と、ノズル流路9が同軸上に形成されている。弁体収納室7には、ディスク型の弁体11が収納されている。スプリング収納室8には、スプリング12が縮設されている。そのため、弁体11は、スプリング12の弾性力により、弁座面13に押しつけられている。
【0037】
弁座面13は、上流側ボディ3の後端面(図中下面)に開設された孔部の底壁に、形成されている。弁座面13は、入力流路6の開口部外周に沿って形成されている。弁座面13は、バルブ本体2の軸線方向に対して直交する平坦な面により形成されている。
【0038】
図1〜図3に示すように、弁体11は、環状シール部11aが突設されている。環状シール部11aは、先端部が弁体11の軸線に対して直交する平坦な面により形成され、弁座面13に面接触する。弁体11は、環状シール部11aが設けられた面と反対の面の中心に、取付凸部11bが軸方向に突き出すように設けられている。
【0039】
スプリング12は、弁体11を取り付けるための弁体受け部12aがコイル部12bの先端に設けられている。コイル部12bは、コイルの断面形状が四角に形成されている。弁体受け部12aは、コイル部12bのバネ荷重を弁体11に均等に作用させるように形成されている。弁体受け部12aの中心には、取付凸部11bがはめ込まれる取付孔12cが設けられている。弁体11とスプリング12は、弁閉時に弁座面13にならい弁閉しやすくするため、取付凸部11bを取付孔12cにクリアランスをもってはめ込まれる。
【0040】
図1及び図2に示すように、スプリング12は、後端(図中下端)がスプリング収納室8の底壁に突き当てられた状態で、スプリング収納室8に圧縮された状態で収納されている。コイル部12bは、スプリング収納室8の軸線方向に沿って伸縮する。そのため、スプリング12は、弁体11の環状シール部11aを弁座面13に対して周方向に均等な力で押しつける。スプリング12のバネ荷重は、ノズル流路9から薬液等を吐出する場合に入力流路6に供給される薬液等の流体圧より小さく設定され、入力流路6に薬液等が供給されなくなった後に、入力流路6に接続される配管L1に残った薬液等の水頭圧では弁体11を弁座面13に当接させて弁閉する値に設定されている。
【0041】
図3に示すように、弁体受け部12aには、複数の流体導入部12dが形成されている。流体導入部12dは、コイル部12bの内周面に連通するように形成され、スプリング12の外側から内側へ薬液等を案内する。
【0042】
図1及び図2に示すように、スプリング12は、コイル部12bの後端(図中下端)がノズル流路9の開口部外周に沿って配置され、コイル部12bの伸縮状態にかかわらずコイル部12bの内部空間がノズル流路9と連通している。そのため、コイル部12bの内側へ案内された薬液等は、ノズル流路9へスムーズに流れ込む。
【0043】
図1に示すように、ノズル流路9は、全長D4が弁閉時におけるコイル部12bの全長D3より長くなるように、設計されている。下流側ボディ4は、ノズル流路9の周囲が肉薄に形成され、ノズル部10を一体成形されている。
【0044】
上記液垂れ防止バルブ1は、図示しない供給バルブがON状態にされて、図2に示すように、所定の供給量に制御された薬液等が配管L1から入力ポート5に入力すると、薬液等の流体圧力が弁体11に作用する。弁体11は、スプリング12のコイル部12bにより弁座面13側へ付勢されているが、コイル部12bのバネ荷重は、配管L1から入力ポート5に供給される薬液等の流体圧より小さい値に設定されている。そのため、図示しない供給バルブをON状態にして入力ポート5に薬液等を入力させると、弁体11がスプリング12のコイル部12bを圧縮させながら移動し、弁座面13から離間する。これにより、入力流路6から弁体収納室7へ薬液等が流れ込む。
【0045】
薬液等は、スプリング12の流体導入部12d(図3)やコイル部12bの隙間からコイル部12bの内部空間へ流れ込む。薬液等は、圧縮されたコイル部12bの内部空間を通過してノズル流路9へ流れ込み、ノズル部10から吐出される。このとき、ノズル流路9の全長D4がコイル部12bの全長D3より長い。そのため、薬液等は、コイル部12bの内部空間を通過する際にわずかに乱流を発生したとしても、ノズル流路9を流れる間に層流状態にされる。その結果、ウエハ上に均一に薬液等を塗布することができる。
【0046】
図示しない供給バルブがOFF状態にされ、配管L1に薬液等が供給されなくなると、配管L1には、薬液等の水頭圧のみが作用する。スプリング12は、コイル部12bのバネ荷重が配管L1内の水頭圧より高くなると、コイル部12bが瞬時に伸張し、弁体11の環状シール部11aを弁座面13に押し当てる。これにより、液垂れ防止バルブ1が弁閉状態になり、ノズル部10から液垂れしない。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態の液垂れ防止バルブ1は、弁体11と、弁体11を付勢するスプリング12と、弁体11とスプリング12を収納する収納室(弁体収納室7,スプリング収納室8)と、収納室7,8に連通する入力流路6と、入力流路6が開口する収納室7,8の内壁に形成されるものであって弁体11が当接又は離間する弁座面13とが形成されるとともに、収納室7,8に連通して薬液等を吐出するノズル流路9を備えるバルブ本体2と、を有しており、バルブとノズルが一体に設けられている。そのため、バルブとノズルを接続する配管が必要でなく、コンパクトである。そして、スプリング12は、内部空間がノズル流路9と連通しており、バネ荷重が、ノズル流路9から薬液等を吐出する場合に入力ポート5に供給される薬液等の流体圧より小さく設定され、入力流路6に薬液等が供給されなくなった後に、入力流路6に接続される配管L1に残った薬液等の水頭圧では弁体11を弁座面13に当接させて弁閉する値に設定されているので、液垂れ防止バルブ1を移動させる場合などに、ノズル流路9から薬液等が垂れない。この場合に、液垂れ防止バルブ1は、水頭圧を利用して弁閉が行われるので、駆動源を必要とせず、コンパクトである。しかも、液垂れ防止バルブ1は、薬液等を排出せずに液垂れを防止するので、不要に薬液等を排出しない。更に、ノズル流路9の全長D4がスプリング12の内部空間の全長D3より長いので、薬液等がノズル流路9を通過する場合に層流化されるので、乱流の発生を抑制できる。このため、液垂れ防止バルブ1は、例えば半導体製造装置の薬液等塗布装置に適用された場合に、ウエハ上に均一に薬液等を塗布できる。
【0048】
本実施形態の液垂れ防止バルブ1は、スプリング12のコイルの断面形状が、四角であるので、スプリング12が圧縮された場合に、スプリング12の内部空間を構成する面にできる凹凸を少なくし、スプリング12の内部空間を通過する薬液等の層流化を促進できる。
【0049】
本実施形態の液垂れ防止バルブ1は、バルブ本体2の外周面に継手19が接続される継手接続部2aを設けるので、薬液等を供給する配管L1に継手19を介して直接接続される。そのため、本実施形態の液垂れ防止バルブ1は、設置スペースが小さくて済み、配管L1に接続する施工工数を低減できる。
【0050】
本実施形態の液垂れ防止バルブ1は、弁体11、スプリング12、バルブ本体2を含め、全ての構成部品がフッ素樹脂で形成されているので、軽量である。
【0051】
本実施形態の液垂れ防止バルブ1は、接液部が、耐腐食性のある材料(フッ素樹脂)で形成されているので、腐食性の高い流体で接液部を腐食し、流体を汚染することがない。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る液垂れ防止バルブ21の断面図である。
第2実施形態の液垂れ防止バルブ21は、スプリング22の先端部にOリング23を装着し、Oリング23に弁体の役割をさせている点が第1実施形態と相違している。尚、液垂れ防止バルブ21のその他の点は、第1実施形態と共通している。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点は説明を省略する。
【0053】
スプリング22は、Oリング装着部22aの先端部外周にOリング23が取り付けられている。Oリング23は、耐腐食性と弾性を有するゴムを材質としている。Oリング装着部22aは、コイル部12bのバネ荷重をOリング23に対して円周方向に均一に作用させるように形成されている。
【0054】
このような液垂れ防止バルブ21によれば、Oリング23を弾性変形させて弁座面13に密着させ、シールを行う。そのため、液垂れ防止バルブ21は、例えば、図示しない供給バルブから供給される薬液等の流体圧が低く、コイル部12bのバネ荷重が小さく設定されている場合でも、確実に弁閉して液垂れを防止することができる。
【0055】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る液垂れ防止バルブ31の断面図であって、弁開状態を示す。
第3実施形態の液垂れ防止バルブ31は、スプリング32のコイル部32bの内径寸法D31がノズル流路9の内径寸法D2と同じである点が、第1実施形態と相違している。液垂れ防止バルブ31は、その他の点は第1実施形態と共通している。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点は説明を省略する。
【0056】
液垂れ防止バルブ31は、コイル部32bの内径寸法D31がノズル流路9の内径寸法D2と同じであるため、弁開時にコイル部32bが圧縮されてコイルピッチを狭めた場合に、コイル部32bの内部空間がノズル流路9にストレートに接続し、ノズル流路9を延長した流路のようになる。そのため、薬液等は、コイル部32bの内部空間を流れる間に層流化され、さらにノズル流路9でも層流化される。よって、液垂れ防止バルブ31によれば、第1実施形態の液垂れ防止バルブ1よりも、薬液等の層流化が促進される。その結果、液垂れ防止バルブ31は、第1実施形態の液垂れ防止バルブ1より、ウエハ上に均一に薬液等を塗布することができる。
【0057】
本実施形態の液垂れ防止バルブ31は、スプリング12の内部空間の内径寸法D1がノズル流路9の内径寸法D2と同じであるので、スプリングの内部空間をノズル流路9を延長した流路のように使用し、薬液等の層流化を促進できる。
【0058】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る液垂れ防止バルブ41の外観図である。図7は、図6に示す液垂れ防止バルブ41のAA断面図であって、バネ荷重調整前の状態を示す。図8は、図7に示す液垂れ防止バルブ41のバネ荷重調整後の状態を示す。
第4実施形態に係る液垂れ防止バルブ41は、スプリング32のバネ荷重を調整するバネ荷重調整機構49を備える点が、第3実施形態の液垂れ防止バルブ31と相違する。液垂れ防止バルブ41は、その他の点は第3実施形態の液垂れ防止バルブ31と共通する。ここでは、第3実施形態と相違するバネ荷重調整機構49を中心に説明し、第3実施形態と共通する点は、適宜説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、液垂れ防止バルブ41は、上流側ボディ3と下流側ボディ44とによりバルブ本体42が構成されている。液垂れ防止バルブ41は、ノズル流路9を形成するロッド型ノズル45が下流側ボディ44と別部材で構成されている。スプリング32は、バネ受け部材47を介してスプリング収納室8に収納されている。バネ受け部材47には、下流側ボディ44に螺入されたロッド型ノズル45の先端部が突き当てられている。バネ受け部材47には、薬液等をコイル部32bの内部空間からロッド型ノズル45へ通過させるための貫通孔47aが形成されている。コイル部32bの内径寸法と貫通孔47aの内径寸法とロッド型ノズル45の流路内径寸法は、同一に設定されている。
【0060】
バネ荷重調整機構49は、ロッド型ノズル45がバネ受け部材47を介してコイル部32bを圧縮させる量によって、スプリング32のバネ荷重を調整するように構成されている。バネ荷重調整機構49は、ロッド型ノズル45の外周面に形成されたバネ荷重調整用雄ねじ部45aと、下流側ボディ44に軸線に沿って形成されたバネ荷重調整用雌ねじ部44aとにより、バネ荷重調整ねじ部48が構成されている。バネ荷重調整機構49は、バネ荷重調整ねじ部48のねじ込み量によりロッド型ノズル45を下流側ボディ44へ挿入する挿入量を変化させ、スプリング32のバネ荷重を調整する。
【0061】
ロッド型ノズル45は、スプリング32の圧縮量を規制するためのストッパ部45bを備える。ストッパ部45bは、最大外径寸法が、バネ荷重調整用雄ねじ部45aのねじ山を構成する外径寸法より大きく、下流側ボディ44の後端面(図中下端面)に当接することにより軸線方向への移動を制限される。
【0062】
尚、下流側ボディ44とロッド型ノズル45との間は、ゴム等の弾性変形可能な材質からなるシール部材46によりシールされている。そのため、薬液等は、スプリング収納室8から下流側ボディ44とロッド型ノズル45との間の隙間を通って外部に漏れることがない。液垂れ防止バルブ41は、部品が全てフッ素樹脂を材質とし、軽量にされている。
【0063】
このような液垂れ防止バルブ41では、バネ荷重を増加させる場合、使用者がバルブ本体42の外部に突出するストッパ部45bを握って所定方向に回転させる。すると、バネ荷重調整ねじ部48のねじ送りにより、例えばロッド型ノズル45が図7に示す位置から図8に示す位置まで螺入される。ロッド型ノズル45は、下流側ボディ44への挿入量が増加するに従って、バネ受け部材47を介してスプリング32を押圧する。スプリング32は、コイル部32bの圧縮量が増し、バネ荷重を増加させる。
【0064】
尚、バネ荷重を減少させたい場合には、ストッパ部45bを所定方向と反対方向に回転させ、ロッド型ノズル45が下流側ボディ44に螺入する量を減らせば良い。
【0065】
ところで、液垂れ防止バルブ41は、スプリング32のコイル部32bを圧縮することによって弁開する。スプリング32のコイル部32bが密着高さまで圧縮すると、液垂れ防止バルブ41は弁開できなくなる。そのため、ロッド型ノズル45がスプリング32を圧縮させる量を規制する必要がある。これに対して、液垂れ防止バルブ41は、ストッパ部45bがバルブ本体42(下流側ボディ44)の図中下端面に突き当てられるまで、ロッド型ノズル45がバルブ本体42(下流側ボディ44)にねじ込まれるようになっている。ストッパ部45bがバルブ本体42に当接すると、ロッド型ノズル45を回転させる場合の摺動抵抗が格段に上昇する。そのため、ロッド型ノズル45がバルブ本体42(下流側ボディ44)に過度にねじ込まれなくなる。これにより、液垂れ防止ノズル41は、スプリング32が過度に圧縮されて弁開できなくなる不具合が、回避される。
【0066】
本実施形態の液垂れ防止バルブ41は、スプリング32のノズル45側の端部に配置されるバネ受け部材47を有し、バルブ本体42は、ノズル45が螺入されてバネ受け部材47に先端部を突き当てられているので、ノズル45をバルブ本体42に螺入する量を調整すると、バネ受け部材47を介してスプリング32の圧縮量が変化し、スプリング32のバネ荷重を自由に調整することができる。
【0067】
本実施形態の液垂れ防止バルブ41は、ノズル32の後端部がバルブ本体42の外部に露出しているのでバルブ本体42を分解せずにスプリング32のバネ荷重を調整することができる。
【0068】
本実施形態の液垂れ防止バルブ41は、ロッド型ノズル45が、バルブ本体42に当接してバルブ本体42に対する螺進を阻止するストッパ部45bを有するので、スプリング32がロッド型ノズル45を介して過度に圧縮されて弁開動作を阻害することがない。
【0069】
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態に係る液垂れ防止バルブ51の外観図である。図10は、図9のBB断面図であって、バネ荷重調整前のロック状態を示す。図11は、図10に示す液垂れ防止バルブ51のバネ荷重調整時のロック解除状態を示す。図12は、 図10に示す液垂れ防止バルブ51のバネ荷重調整後のロック状態を示す。図13は、回転阻止機構57の構造を示す図である。
第5実施形態の液垂れ防止バルブ51は、バネ荷重を調整した後に、ロッド型ノズル55の回転を阻止する回転阻止機構57を備える点が、第4実施形態の液垂れ防止バルブ41と相違する。液垂れ防止バルブ51は、回転阻止機構57を除き、第4実施形態の液垂れ防止バルブ41と構成が共通する。ここでは、第4実施形態と相違する回転阻止機構57を中心に説明し、第4実施形態と共通する点は適宜説明を省略する。
【0070】
図9に示すように、液垂れ防止バルブ51は、上流側ボディ3と下流側ボディ54によりバルブ本体52が構成されている。バルブ本体52は、ノズル流路9を形成するロッド型ノズル55が下流側ボディ54の外部に露出している。ロック部材56は、下流側ボディ54とロッド型ノズル55の外側に装着されている。
【0071】
図10〜図12に示す液垂れ防止バルブ51は、部品がすべて樹脂を材質としている。液垂れ防止バルブ51は、下流側ボディ54の後端面(図中下面)に、バネ荷重調整用雌ねじ部44aの外周に沿って、係合凹溝54aが環状に形成されている。係合凹溝54aは、断面山形のノッチが円周方向に連続して形成されている。一方、ロック部材56は、一方に開口する円筒形状をなす。ロック部材56の底面内壁には、係合凹溝54aに嵌合する係合凸部56aが軸方向へ突き出すように設けられている。係合凸部56aは、係合凹溝54aに対応して、断面山形形状をなす。液垂れ防止バルブ51は、係合凹溝54aに係合凸部56aが嵌め合わされて係合する間、ロック部材56が下流側ボディ44に対して回転することが阻止される。
【0072】
下流側ボディ54は、図中下側外周面に沿って、2本のロック溝54b,54cが環状に形成されている。ロック溝54b,54cは、下流側ボディ54の軸線に対して直交するように形成されている。ロック部材56は、開口部内測面に沿って環状凸部56bが突設されている。環状凸部56bは、ロック溝54b又はロック溝54cのいずれかに嵌合され、ロック部材56がバルブ本体52の軸線方向へ移動することを規制する。ロック溝54bは、係合凸部56aを係合凹溝54aにはめ込んだ状態で、環状凸部56bが嵌合される位置に設けられている。一方、ロック溝54cは、係合凸部56aを係合凹溝54aから抜き出した状態で、環状凸部56bが嵌合される位置に設けられている。
【0073】
図13に示すように、ロッド型ノズル55のストッパ部55bは、対向する面が平行に形成されて、動力伝達面55c,55cが形成されている。ロック部材56には、ストッパ部55bが貫き通される貫通溝56cが形成されている。貫通溝56cの溝幅W2は、動力伝達面55c,55cが貫通溝56cの縁部に摺接するように、動力伝達面55c,55cの二面幅W1とほぼ同じに形成されている。そのため、動力伝達面55c,55cを貫通溝56cに対して交差させた姿勢では、ストッパ部55bが貫通溝56cに挿通されないようにされている。ストッパ部55bは、長手方向の幅寸法W3が、下流側ボディ44のバネ荷重調整用雌ねじ部44aの内径寸法より大きくされ、下流側ボディ44の端面に突き当てられるようになっている。
【0074】
本実施形態では、液垂れ防止バルブ51は、図10に示すように、バネ受け部材47をスプリング収納室8の底壁に突き当てたときのロッド型ノズル55の停止位置を初期位置とする。このとき、ロック部材56は、環状凸部56bがロック溝54bに嵌め合わされ、下流側ボディ54から脱落することを防止されている。そして、係合凸部56aが係合凹溝54aに係合し、ロッド型ノズル55が下流側ボディ54に対して回転することが阻止されている。
【0075】
この初期状態からバネ荷重を増加させる場合には、図11に示すように、ロック部材56を下流側ボディ44の後端側(図中下側)へスライドさせ、環状凸部56bをロック溝54bからロック溝54cに嵌め替える。これにより、ロック部材56を下流側ボディ44から脱落させることなく、係合凸部56aを係合凹溝54aから抜き出すことができる。これにより、ロック部材56は、下流側ボディ44に対して自由に回転できるようになる。ロッド型ノズル55は、ロック部材56の貫通溝56cにストッパ部55bが挿通された状態で、バルブ本体52の外部に露出している。そこで、使用者は、ストッパ部55bを所定方向へ回転させる。すると、ロッド型ノズル55の回転力が、動力伝達面55c,55cと接する貫通溝56cの縁部からロック部材56に伝達され、ロッド型ノズル55はロック部材56と一体的に回転して下流側ボディ54にねじ込まれていく。これに伴い、ロッド型ノズル55は、バネ受け部材47を介してスプリング32を圧縮し、バネ荷重を増加させる。
【0076】
バネ荷重の調整が完了したら、図12に示すように、ロック部材56を下流側ボディ44の先端側(図中上側)へ移動させ、環状凸部56bをロック溝54cからロック溝54bへ嵌め替える。これにより、係合凸部56aが係合凹溝54aに嵌め合わされ、ロック部材56が下流側ボディ54に対して回転できなくなる。ロッド型ノズル55は、ストッパ部55bの動力伝達面55c,55cが貫通溝56cの縁部に当接し、ロック部材56に対して自由に回転できないようになっている。そのため、ロッド型ノズル55は、ロック部材56を介して下流側ボディ54に対して回転することを阻止され、バネ荷重を調整した位置からずれない。
【0077】
本実施形態の液垂れ防止バルブ51は、ノズル55と一体的に回転するものであって、バルブ本体52に対して回転することを阻止するロック部材56を有するので、例えば、液垂れ防止バルブ51に作業者の手や物がぶつかったり、液垂れ防止バルブ51が振動するような場合であっても、調整したバネ荷重を保つことができる。
【0078】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0079】
(1)例えば、上記実施形態では、スプリング12,32を構成するコイル部12bのコイルの断面形状を四角形にした。これに対して、図14の第1変形例61に示すように、スプリング62を構成するコイル部62bのコイルの断面形状を台形にしても良い。図15の第2変形例71に示すように、スプリング72を構成するコイル部72bのコイルの断面形状を半円形にしても良い。これらの場合、弁開時にコイル部62,72が圧縮されたときに、コイルの間に生じる隙間が小さくなる。そのため、第1及び第2変形例61,71によれば、薬液等がスプリング62,72を構成するコイル部62b,72bの内部空間を通過する際に層流状態を作りやすい。
【0080】
(2)例えば、上記実施形態では、液垂れ防止バルブ1,21,31,41,51,61,71を構成する部品の材質を樹脂にした。これに対して、少なくとも、薬液が通過する接液部をフッ素樹脂でコーティングしたりフッ素樹脂で形成すれば、構成部品を樹脂以外の材質(例えばSUS等)としても良い。
(3)上記第1実施形態では、ノズル流路9の周りを肉薄にしてノズル部10を設け、ノズル部10の外形寸法が下流側ボディ4の上端部(上流側ボディ3側の端部)の外形寸法より小さくされている。これに対して、例えば、下流側ボディ4の外形寸法を上端部から下端部まで一定幅にし、その中にノズル流路9を所定の長さで形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0081】
1,21,31,41,51,61,71 液垂れ防止バルブ
2,42,52 バルブ本体
2a 継手接続部
6 入力流路
7 弁体収納室
8 スプリング収納室
11 弁体
12,32,62,72 スプリング
9 ノズル流路
45,55 ロッド型ノズル
47 バネ受け部材
45b、55b ストッパ部
56 ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体と、
前記弁体を付勢するスプリングと、
前記弁体と前記スプリングを収納する収納室と、前記収納室に連通する入力流路と、前記入力流路が開口する前記収納室の内壁に形成されるものであって前記弁体が当接又は離間する弁座面とが形成されるとともに、前記収納室に連通して前記流体を吐出するノズル流路を備えるバルブ本体と、を有し、
前記スプリングは、内部空間が前記ノズル流路と連通しており、バネ荷重が、前記ノズル流路から前記流体を吐出する場合に前記入力流路に供給される前記流体の流体圧より小さく設定され、前記入力流路に前記流体が供給されなくなった後に、前記入力流路に接続される配管に残った前記流体の水頭圧では前記弁体を前記弁座面に当接させて弁閉する値に設定されていること、
前記ノズル流路は、全長が前記スプリングの内部空間の全長より長い
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記スプリングは、前記内部空間の内径寸法が前記ノズル流路の内径寸法と同じである
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記スプリングの前記ノズル流路側の端部に配置されるバネ受け部材を有し、
前記バルブ本体は、前記ノズル流路を形成するノズルが螺入されて前記バネ受け部材に先端部を突き当てられている
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項4】
請求項3に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記ノズルの後端部が前記バルブ本体の外部に露出している
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記ノズルは、前記バルブ本体に当接して前記バルブ本体に対する螺進を阻止するストッパ部を有する
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか一つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記ノズルと一体的に回転するものであって、前記バルブ本体に対して回転することを阻止するロック部材を有する
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記スプリングは、コイルの断面形状が、四角、台形、又は、半円形である
ことを特徴する液垂れ防止バルブ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一つに記載する液垂れ防止バルブにおいて
前記バルブ本体の外周面に継手が接続される継手接続部を設ける
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
前記弁体、前記スプリング、前記バルブ本体がフッ素樹脂で形成されている
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8の何れか一つに記載する液垂れ防止バルブにおいて、
接液部が、耐腐食性のある材料で形成又はコーティングされている
ことを特徴とする液垂れ防止バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−233517(P2012−233517A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101562(P2011−101562)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】