説明

液晶ディスプレイ等の製造工程におけるガラス基盤面の急速且つ高精度調温装置

【課題】 本発明は、液晶ディスプレイ等の製造工程におけるガラス基盤面の急速且つ高精度にて調温する調温装置を新規に提供するものである。
【解決手段】 本発明はラス基盤面に成膜と露光とエッチングを順に行う流れ工程において、成膜と露光の間に設けるガラス基盤面の調温装置であって、大小のガラス基盤面のすべてをカバーする大きさの調温風循環タンクと、該タンクの下部に平角筒体形でその下面の中間に帯熱した調温風を戻し入れする回収口を設けた複数本の平角筒体を横断渡設し、該タンク下の至近に走行し入ったガラス基盤面に該タンク内の調温風を各平角筒体間の狭い間隙から吹き付けによる吹き付け調温と該回収口にまわり流入するまでガラス基盤面に接面する接面調温とにてガラス基盤面を急速且つ高精度にて調温するようにした調温装置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液晶ディスプレイ等の製造工程におけるガラス基盤面の急速且つ高精度調温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス基盤面に感光膜を成膜をし、これを乾燥するとガラス基盤が高温になり、露光に適した23℃に冷却する必要がある。先に提案されている特許第3701007号公報は多数のノズルにて成膜したガラス基盤面に調温風を垂直に吹き付けしてガラス基盤面を調温するということを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願第3701007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルによる調温風の垂直吹き付けは図4からわかるように調温風がガラス基盤面に当ってはね返る点接触にとどまるため、調温に時間がかかり、しかも帯熱したはね返り風が吹き付け風の抵抗となるとともに、調温風にまざることで、ガラス基盤面の調温に精密さが欠け、公報は23℃±0.1の精度で調温するとしているが、実際はそれより精度が低くなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、大小のガラス基盤面のすべてをカバーする大きさの調温風循環タンクと、該タンクの下部に平角筒体形でその下面の中間に調温風を戻し入れする回収口を設けた複数本の平角筒体を横断渡設し、該タンク下の至近に走行し入ったガラス基盤面に該タンク内の調温風を各平角筒体間の狭い間隙から吹き付けによる吹き付け調温と該回収口にまわり流入するまでガラス基盤面に接面して調温する接面調温とによりガラス基盤面を急速に調温し、しかも熱交換により帯熱した風を回収口から回収してタンク内の調温風にまざらないようにすることで、回収風の乱流化を防ぎ、調温風の抵抗にならず、省エネルギー且つ高精度すなわち23℃±0.05以内という高精度にてガラス基盤面を調温するようにして、かかる課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は簡単な装置においてガラス基盤面に23℃±0.05℃以内というきわめて精度の高い調温風を効率的に吹き付けて、従来に比較して極めて短時間にガラス基盤の精密温調を行うことができるという効果を生ずる。
【0007】
平角筒体を狭い間隔を置いて並設することと、その下面中間に回収口を設けたことで、ガラス基盤面は吹き付け調温と接面調温とにより急速に調温することができるという効果を生ずる。
【0008】
吹き付け調温風のはね返りが解消することと、帯熱した風が調温風に混入することが防止されることで、きわめて精度の高い調温が行われることになるという効果を生ずる。
急速調整によってコンベアの間歇走行を速めて作業能率を向上させることができるという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】製造工程の一部を示す平面図
【図2】調温装置の要部の部分拡大縦断面図
【図3】同、横断平面図
【図4】従来例におけるノズルから吹き付けした調温風がガラス基盤面にてはね返る状態を示す説明図
【符号の説明】
【0010】
11はコンベア
12は成膜乾燥室
13は調温装置
14は露光室
15は循環タンク
16は循環風路
17はファン
18は温度センサ
19は間隙
20は平角筒体
21は回収口
C/Cは冷却空調器
H/Cは加熱空調器
Gはガラス基盤
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は液晶ディスプレイの製造ラインにおいて、大小のガラス基盤面に成膜と露光とエッチングを順に行う流れ工程において、成膜と露光間に設けるガラス基盤面の調温装置を以下の通りに構成して急速且つ高精度において調温するようにしたのである。
【0012】
その構成は大小すべてのガラス基盤面をカバーする大きさにて調温風の循環タンクを形成し、該タンク内の下部に平角筒体を狭い間隔を置いて複数本横断渡設し、成膜して該タンク下の至近に入るガラス基盤面にタンク内の調温風を下降押しして各平角筒体間の狭い間隙からガラス基盤面に吹き付けすることによるガラス基盤面の吹き付け調温と、この調温風を回収口より回収されるまでガラス基盤面に接面することによる接面調温との合わせによりガラス基盤面を急速に調温し、しかも調温後の帯熱風を回収口から回収してタンク内の調温風に混入しないようにしたことで、設定温度である23℃±0.05℃以内という高い精度をもって調温することを可能にしたのである。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図3は実施例を示すもので、クリーンルーム内にて間歇走行するコンベア11上に成膜乾燥室12、調温装置13、露光室14を順に設け、該コンベア11上に乗って成膜乾燥室12下の至近に走行し入ったガラス基盤Gの面上に感光液を落載し、ガラス基盤Gを回転させる遠心力にて感光液を全面均一の厚みとしてから加熱して感光液を乾燥させる要領にて所定の成膜を行い、調温装置13下の至近に入ったところで温度の上昇したガラス基盤Gを露光に最適な23℃に調温するのである。
【0014】
調温のための調温風は循環タンク15内の側面に調温風の循環風路16を設け、その上部にタンク15内に向けて調温して供給する冷却空調器C/Cを設け、タンク15内の上部に加熱空調器H/Cとその下に調温風を下方に押圧するファン17を設けている。18は加熱空調器H/Cを制御するための温度センサである。
【0015】
しかしてタンク15内の底面をなす下部には狭い間隔19を置いて長尺の平角筒体20を複数本並設する。各平角筒体20は下面の長手方向中間に回収口21を設け、回収口21に戻り入った調温後の帯熱風を平角筒体20内を通って長手方向の両端より循環空路16内に戻り入れて循環するようにしている。
【0016】
さて、成膜したガラス基盤Gがコンベア11の走行により調温装置13下の至近に入るとファン17により下押しされる23℃の調温風が平角筒体20間の狭い間隙19から吹き付けて調温するガラス基盤面Gの吹き付け調温と、次いで吹付け調温風が回収口21に戻り入るまでガラス基盤Gに接面し続ける接面調温とによりガラス基盤面Gは急速に調温されることとなる。
【0017】
しかも従来生じていた調温後の帯熱風のはね返りがなく、すべて回収口21より回収されることでタンク15内の調温風に混じることがないから、23℃±0.05℃以内というすばらしい高精度にて調温されることとなる。
このようにして急速且つ精度高く調温されたガラス基盤Gは露光室14に入り露光されることなる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、感光膜を成膜したガラス基盤面を露光に適した温度に急速且つ高精度にて調温することで広く利用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基盤面に成膜と露光とエッチングを順に行う流れ工程において、成膜と露光の間に設けるガラス基盤面の調温装置であって、大小のガラス基盤面のすべてをカバーする大きさの調温風循環タンクと、該タンクの下部に平角筒体形でその下面の中間に調温風を戻し入れする回収口を設けた複数本の平角筒体を横断渡設し、該タンク下の至近に走行し入ったガラス基盤面に該タンク内の調温風を各平角筒体間の狭い間隙からの吹き付け調温と該回収口にまわり流入するまでガラス基盤面に接面することによる接面調温とによりガラス基盤面を急速に調温し、且つ調温後の帯熱風を該回収口から回収し、タンク内の調整風に混入させないようにしたことで23℃±0.05以内という高精度にて調温するようにしたことを特徴とする液晶ディスプレイ等の製造工程におけるガラス基盤面の急速且つ高精度調温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41053(P2013−41053A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177045(P2011−177045)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(500054031)株式会社上村工業 (8)
【Fターム(参考)】