説明

液晶ディスプレイ

【課題】PSA(高分子支持配向;Polymer Sustained Alignment)型液晶ディスプレイに関し、およびPSAディスプレイで使用するための新規な液晶媒体および新規な重合性化合物に関する。
【解決手段】少なくとも1種類は式Iのビアリール構造単位を有する重合性化合物を含む液晶媒体を使用する。


(式中、AおよびBは、それぞれ互いに独立に、芳香族または完全または部分的に飽和された環を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPSA(高分子支持配向;Polymer Sustained Alignment)型液晶(LC)ディスプレイに関し、およびPSAディスプレイで使用するための新規な液晶媒体および新規な重合性化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている液晶ディスプレイ(LCディスプレイ)は、ほとんどの場合、TN(捩れネマチック)型のものである。しかしながら、これらのディスプレイは、コントラストの視野角依存性が強いという不具合を有する。また、より広い視野角を有するいわゆるVA(垂直配向;vertical alignment)ディスプレイが知られている。VAディスプレイのLCセルは2つの透明電極の間にLC媒体層を備えており、普通、LC媒体は負の値の誘電(DC)異方性を有する。スイッチが切れている状態で、LC層の分子は電極表面に垂直(ホメオトロピック)に配向しているか、傾いたホメオトロピック配向をとっている。電極に電圧を印加すると、電極表面に対して平行となるようLC分子は再配向される。さらに、OCB(光学的補償屈曲;optically compensated bend)ディスプレイが知られているが、このディスプレイは複屈折効果に基づいており、「屈曲(bend)」と呼ばれる配向で普通、正(DC)の異方性を有するLC層を備えている。電圧を印加すると、電極表面に対して垂直となるようLC分子は再配向される。加えて、暗い状態における屈曲セルの光に対する好ましくない透明性を防ぐために、OCBディスプレイは、通常、1枚以上の複屈折性光学位相差フィルムを備えている。TNディスプレイと比べ、OCBディスプレイは、より広い視野角とより短い応答時間を有する。
【0003】
より最近の型のVAディスプレイにおいては、LC分子の不均一な配向は、LCセル内の比較的小さい複数のドメインに限られている。これらのドメインの間にはディスクリネーションが存在しており、チルトドメインとしても知られている。従来のVAディスプレイと比べ、チルトドメインを有するVAディスプレイは、コントラストおよびグレーシェードのより大きな視野角非依存性を有する。さらに、スイッチが入っている状態での分子の均一な配向のために、例えばラビングのような電極表面の追加の処理が必要ないため、この型のディスプレイはより単純に製造できる。代わりに、チルトまたはプレチルト角の優先的な方向は、電極を特別に設計することで制御される。いわゆるMVA(マルチドメイン垂直配向;multidomain vertical alignment)ディスプレイでは、局所的なプレチルトを生じる突起を有する電極により、優先方向の制御を達成する。結果として、電圧を印加すると、セル内の異なる特定のドメインで異なる方向の電極表面に平行に、LC分子が配向される。よって、「制御された」スイッチングが達成され、干渉ディスクリネーションラインの生成が防がれる。この配向はディスプレイの視野角を改良するが、しかしながら、光に対する透明性が低下する結果となる。MVAの更なる開発では、一方のみの電極側上で突起を使用し、反対の電極にスリットを設けることで、光に対する透明性を改良している。電圧を印加すると、スリットが設けられた電極は不均一な電場をLCセル内に生成し、このことは、制御されたスイッチングが依然達成されていることを意味する。光に対する透明性を更に改良するために、スリットと突起との間の分離を増加させることもできるが、この場合、応答時間が長くなる結果となる。いわゆるPVA(パターン化されたVA;patterned VA)では、両方の電極が反対側のスリットによって形成され点において突起は完全に不要となり、結果として、コントラストが増加し光に対する透明性が改良されるが、技術的に困難であり、ディスプレイが機械的影響(タッピングなど)に対してより敏感となる。しかしながら、例えばモニターおよび特にTVスクリーンのような多くの用途分野においては、応答時間を短くし、ディスプレイのコントラストおよび輝度(透過性)を改良することが望まれている。
【0004】
更に開発されたのが、いわゆるPSA(高分子支持配向;polymer sustained alignment)ディスプレイである。これらのディスプレイでは、少量(例えば0.3質量%、典型的には1質量%未満)の重合性化合物がLC媒体に添加され、LCセルに導入後、電極間に電圧を印加した状態で、通常UV光重合により、その場で重合し架橋される。「反応性メソゲン類」(RM)としても知られている重合性メソゲン性または液晶化合物類をLC混合物に添加することが、特に適していることが証明されている。2つの用途、即ちいわゆるPSA−VAディスプレイおよびPSA−OCBディスプレイについて述べることができる。試験用セル中で示されるように、PSA法によってセル中にプレチルトが生じる。よって、PSA−OCBディスプレイの場合、屈曲構造を安定化することができ、オフセット電圧を不要とできるか、減少させることができる。PSA−VAディスプレイの場合、このようにして生じるプレチルトは応答時間に対して正の効果を有する。PSA−VAディスプレイでは、標準的なMVAまたはPVAピクセルおよび電極レイアウトを使用できる。しかしながら加えて、例えば、突起のない片側のみ構造化された電極によって動作可能であり、製造が著しく簡略化され、結果として同時に非常に優れたコントラストと、同時に光に対する非常に優れた透明性が得られる。
【0005】
重合性化合物またはRMを含むLC混合物を備えるPSA−VAディスプレイは、例えば、JP 10−036847 A(特許文献1)、EP 1 170 626 A2(特許文献2)、EP 1 378 557 A1(特許文献3)、EP 1 498 468 A1(特許文献4)、US 2004/0191428 A1(特許文献5)、US 2006/0066793 A1(特許文献6)およびUS 2006/0103804 A1(特許文献7)に記載されている。重合されたRMまたは高分子を含むLC混合物を備えるPSA−OCBディスプレイは、例えば、T.−J− Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.第45巻、2006年、第2702〜2704頁(非特許文献1)およびS.H.KimおよびL.−C− Chien、Jpn.J.Appl.Phys.第43巻、2004年、第7643〜7647頁(非特許文献2)に記載されている。
【0006】
しかしながら、先行技術から公知のLC混合物およびRMでは、PSAディスプレイでの使用に際し幾つかの欠点があることが見出された。よって、全ての溶解性の単量体またはRMがPSAディスプレイに適しているわけではなく、プレチルト測定を伴うPSA実験を直接ただ行うよりも、より適切な選択の基準を見出すことは困難と思われる。光開始剤を添加しないUV光による重合が望ましい場合(特定の用途には利点のこともある)、選択の幅は更に狭くなる。
【0007】
よって、上記の不具合を有していないか、有していても低減されているPSAディスプレイ、特にVAおよびOCB型、およびそのようなディスプレイで使用されるLC媒体および重合性化合物に対する要望が依然強い。特に、高い比抵抗と同時に、広い作動温度領域、短応答時間(低温においても)、低閾電圧を有し、多数のグレーシェード、高いコントラストおよび広い視野角を容易にし、UVに曝露された場合でも高い値の電圧保持率(HR)を有するPSAディスプレイまたは材料に対する強い要望がある。
【特許文献1】JP 10−036847 A
【特許文献2】EP 1 170 626 A2
【特許文献3】EP 1 378 557 A1
【特許文献4】EP 1 498 468 A1
【特許文献5】US 2004/0191428 A1
【特許文献6】US 2006/0066793 A1
【特許文献7】US 2006/0103804 A1
【非特許文献1】T.−J− Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.第45巻、2006年、第2702〜2704頁
【非特許文献2】S.H.KimおよびL.−C− Chien、Jpn.J.Appl.Phys.第43巻、2004年、第7643〜7647頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上で示される不具合を有していないか低減されており、プレチルト角を設定でき、好ましくは、同時に非常に高い比抵抗値、低い閾電圧および短い応答時間を有するPSAディスプレイを提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、請求項1の式Iのビアリール構造単位を有する重合された化合物を含む本発明のPSAディスプレイを使用することにより、この目的が達成されることが見出された。このことは、VAチルト測定用セル中においてプレチルトを測定することにより、LC媒体との組み合わせにより示された。特に、光開始剤を添加することなく、プレチルトが達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
よって、本発明は、少なくとも一方の基体が光に対して透明で、少なくとも一方の基体が電極層を有する2つの基体と、
該基体の間に配置され1種類以上の重合された化合物を含む低分子量LC媒体の層(ただし、該重合された化合物は、該LCセルの該基体間で該LC媒体中において電圧印加状態で1種類以上の重合性化合物を重合して得られる)と、
を含むLCセルを備え;
該重合性化合物の少なくとも1種類は式Iのビアリール構造単位を有し、
該構造単位は、少なくとも一箇所で1つ以上の重合性基に、直接または有機基もしくはスペーサー基を介して結合されている
ことを特徴とするPSA(高分子支持配向;Polymer Sustained Alignment)型液晶(LC)ディスプレイに関する。
【0011】
【化1】

式中、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、芳香族または完全または部分的に飽和された環を表し、
ただし加えて、それぞれの環において、1つ以上のCH基がNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよく、および
それぞれの環は1置換または多置換されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、式Iのビアリール構造単位を有する1種類以上の重合性化合物を含む新規なLC媒体に関する。
【0013】
さらに、本発明は、式Iのビアリール構造単位を有する新規な重合性化合物に関する。
【0014】
上および下で示されるビアリール構造単位およびこの構造単位を有する重合性および重合された化合物はキラルであり、光学的に活性な様式すなわち純粋なエナンチオマーとしてか、2種類のエナンチオマーの所望の混合物としてか、そのラセミ体として使用できる。ラセミ体の使用が好ましい。例えば極めてより直接的に合成でき材料費が低いなど、ラセミ体の使用には、純粋なエナンチオマーを使用する以上の幾つかの利点がある。
【0015】
上および下で示される式およびサブ式において、式Iのビアリール骨格は、
【0016】
【化2】


好ましくは、以下の式より選択される。
【0017】
【化3.1】

【0018】
【化3.2】


式IaおよびIbの骨格が、特に好ましい。
【0019】
スペーサー基を介して一箇所以上で1つ以上の重合性基に結合されており、好ましくは式Iの構造単位に直接結合されている重合性基を1つ含んでいるか含んでいない式Iの構造単位を含む重合性化合物が、特に好ましい。
【0020】
さらに、一箇所のみで重合性基に直接結合されている式Iの構造単位を含む重合性化合物が好ましい。
【0021】
さらに、二箇所で重合性基に直接結合されている式Iの構造単位を含む重合性化合物が好ましい。
【0022】
さらに、二箇所より多い箇所で重合性基に直接結合されている式Iの構造単位を含む重合性化合物が好ましい。
【0023】
本発明の好ましい態様において、重合性化合物は以下の式より選択される。
【0024】
【化4】

式中、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、縮合ベンゼン、シクロヘキサンまたはシクロヘキセンを表し、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、ただし加えて、基Y1〜4の1つ以上は、隣接する基Y1〜4および/またはビアリール骨格と共に、脂肪族または芳香族で単環または多環で縮合していてもよい環系を形成でき、そして、基Y1〜4の少なくとも1つは重合性基Pを含んでいるか表しており、
y1およびy2は、1、2または3を表し、および
y3およびy4は、1、2、3または4を表し、
ここで、式I1中のそれぞれの環において、1つ以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよい。
【0025】
本発明の好ましい重合されたビアリール化合物は、重合性ビアリール化合物のために上および下で示された式に従い、例えば式I1およびそれのサブ式において、重合性基Pが、重合反応から形成される高分子主鎖への対応する結合で置き換えられたものに一致する。よって例えば、式CH=CH−COO−(アクリレート)の基Pは、対応する重合された化合物の中で、以下の構造によって置き換えられる。
【0026】
【化5】

ただし、nは単量体単位の個数(重合度)を表す。簡単のため、下では重合性化合物の式のみを示す。毎回明らかに述べなくとも、本発明の重合されたビアリール化合物は、これらの式でカバーされている。
【0027】
上および下で示される式において、以下の意味を適用する。
【0028】
用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、下で「Sp」とも示され、当業者には公知であり文献に記載されている。例えば、Pure Appl.Chem.73(5)、888(2001)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004、116、6340〜6368を参照。他に明記しないかぎり、上および下において、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は屈曲性の有機基を表し、重合性メソゲン化合物(「RM」)中でメソゲン基と重合性基とをつないでいる。
【0029】
用語「メソゲン基」は、液晶(LC)相の挙動を誘発することのできる基を意味する。メソゲン基を有する化合物は、それ自身では必ずしもLC相を示す必要はない。他の化合物と混合することによってのみ、またはメソゲン化合物またはその混合物を重合した際にLC相挙動を示すことも可能である。簡単のため、以降では、用語「液晶」をメソゲン性およびLC材料の両者で使用する。定義の概説については、Pure Appl.Chem.73(5)、888(2001)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004、116、6340〜6368を参照。
【0030】
用語「有機基」は、炭素基または炭化水素基を表す。
【0031】
用語「炭素基」は、少なくとも1つの炭素原子を有し、その他の種類の原子を更には含まないか(例えば、−C≡C−のように)、任意に例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeのような更なる1種類以上の原子を含んでいてもよい(例えば、カルボニル基など)1価または多価の有機基を表す。用語「炭化水素基」は、1つ以上の水素原子を付加的に含み、任意に例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeのような1つ以上ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素基を表す。
【0032】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0033】
炭素基または炭化水素基は、飽和の基でも不飽和の基でもよい。不飽和の基は、例えば、アリール、アルケニルまたはアルキニル基である。炭素数が3より多い炭素基または炭化水素基は直鎖状、分岐状および/または環状でよく、スピロ結合または縮合環を有していてもよい。
【0034】
用語「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは多価の基も含み、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなどである。
【0035】
用語「アリール」は、芳香族炭素基またはそれらより誘導される基を表す。用語「ヘテロアリール」は、1つ以上のヘテロ原子を含む上の定義による「アリール」を表す。
【0036】
好ましい炭素基および炭化水素基は、置換されていてもよい炭素数1〜40、好ましくは1〜25、特に好ましくは1〜18のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ;置換されていてもよい炭素数6〜40、好ましくは6〜25のアリールおよびアリールオキシ;または置換されていてもよい炭素数6〜40、好ましくは6〜25のアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0037】
さらに好ましい炭素基および炭化水素基は、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリル、C〜C40アルキルジエニル、C〜C40ポリエニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アルキルアリールオキシ、C〜C40アリールアルキルオキシ、C〜C40ヘテロアリール、C〜C40シクロアルキル、C〜C40シクロアルケニルなどである。特に好ましくは、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アルキニル、C〜C22アリル、C〜C22アルキルジエニル、C〜C12アリール、C〜C20アリールアルキルおよびC〜C20ヘテロアリールである。
【0038】
さらに好ましい炭素基および炭化水素基は、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状アルキル基であり、無置換であるかF、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、隣接していない1以上のCH基が、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立に、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0039】
は、H、ハロゲン、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖であり、ただし加えて、隣接していない1つ以上の炭素原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって置き換えられていてもよく、ただし、1つ以上の水素原子はフッ素、または、置換されていてもよい炭素数5〜40のアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基により置き換えられていてもよい。
【0040】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどである。
【0041】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0042】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0043】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、n−ドデシルオキシなどである。
【0044】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0045】
アリール基は単環または多環でよく、すなわち1つの環(例えば、フェニル)を有することもあれば、2つ以上の環を有することもあり、縮合されているもの(例えば、ナフチル)または共有結合によって連結されているもの(例えば、ビフェニル)の場合もあれば、縮合されているものおよび共有結合によって連結されているものの組み合わせを含む場合もある。全共役系のアリール基が好ましい。
【0046】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、[1,1’:3’,1”]−ターフェニル−2’−イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0047】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールのような5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンのような6員環;またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンのような縮合基;またはこれらの基の組み合わせである。また、ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキルまたは更にアリールまたはヘテロアリール基で置換されてもよい。
【0048】
アリール、ヘテロアリール、炭素および炭化水素基は1つ以上の置換基を有していてもよく、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C1〜12アルキル、C6〜12アリール、C1〜12アルコキシ、水酸基またはこれらの基の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0049】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシのような溶解促進基、フッ素、ニトロまたはニトリルのような電子吸引基、高分子のガラス転移温度(Tg)を上昇させる基、特に例えばt−ブチルまたは置換されていてもよいアリール基のような嵩高い基である。
【0050】
好ましい置換基は以下で「L」とも表し、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)Y、−C(=O)R、−N(Rであり(式中、Rは上で示される意味を有し、Yはハロゲン)、置換されていてもよいシリル、炭素数4〜40、好ましくは6〜20のアリール、および炭素数1〜25の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ただし、1つ以上の水素原子はFまたはClで置換されていてもよい。
【0051】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHF、OC、さらにはフェニルである。
【0052】
重合性基Pは、例えば、フリーラジカルまたはイオン性鎖重合、重付加または重縮合のような重合反応に適するか、または、例えば、高分子主鎖上への付加または縮合といった高分子類似反応に適する基である。特に好ましくは鎖重合のための基で、特に、C−C二重結合またはC−C三重結合を含むものであり、および、例えばオキセタンまたはエポキシド基のような開環重合に適する基である。
【0053】
好ましい基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0054】
【化6】


CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−であり、式中、WはH、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは炭素数1〜5のアルキルを表し、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜5のアルキルを表し、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、炭素数1〜5のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは炭素数1〜5のアルキルを表し、Pheは、上で定義される1つ以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。
【0055】
特に好ましい基Pは、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CH−、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
【0056】
【化7】

特には、ビニル、アクリレート、メタクリレート、オキセタンおよびエポキシドである。
【0057】
好ましいスペーサー基Spは式Sp’−X’から選択され、基「P−Sp−」は式「P−Sp’−X’−」に従う。
【0058】
ただし、
Sp’は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキレンを表しており、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されていてもよく、および式中で加えて、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、1つ以上の隣接していないCH基が、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキルを表し、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。
【0059】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
【0060】
典型的なスペーサー基Sp’は、例えば、−(CHp1−、−(CHCHO)q1−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−、−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)p1−であり、式中、p1は1〜12の整数で、q1は1〜3の整数で、およびRおよびR00は上に示される意味を有する。
【0061】
特に好ましい基−X’−Sp’−は、−(CH−、−O−(CHp1−、−OCO−(CHp1−、−OCOO−(CHp1−である。
【0062】
特に好ましい基Sp’は、例えば、それぞれの場合で直鎖状で、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0063】
以下の式の重合性化合物が好ましい。
【0064】
【化8】

式中、L、A、B、Y1〜4、y3およびy4は上で示される意味を有し、y11およびy22は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、r1およびr2は、それぞれ互いに独立に、0、1または2を表し、および、YおよびYは好ましくは重合性基を含むか表す。
【0065】
特に好ましい式I1aおよびI1bの化合物は、以下のサブ式のものである。
【0066】
【化9】

式中、Y、Y、L、AおよびBは上で示される意味を有し、およびr11およびr22は、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。
【0067】
特に好ましくは、1つ以上の基Y1〜4が−W−(Z−Am1−Sp−Pを表す式I1、I1a、I1a1、I1b、I1b1およびそれらのサブ式の化合物である。
【0068】
式中、
Wは、O、S、CHまたは単結合を表し、
Spは、スペーサー基または単結合を表し、
Pは、重合性基を表し、
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、炭素数4〜20で置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたは完全または部分的に飽和されたシクロアルキルを表し、ここで、1つ以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよく、
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、
m1は、0、1、2、3または4を表す。
【0069】
更に好ましくは、1つ以上の基Y1〜4が−W−(Z−Am1−Rを表す式I1、I1a、I1a1、I1bおよびI1b1およびそれらのサブ式の化合物である。
【0070】
ここでW、Z、Aおよびm1は上で示される意味を有し、および
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、H、上で定義されるL、直鎖状または分岐状で炭素数1〜25のアルキルを表し、そしてそれは置換されていないか、またはF、Cl、Br、I、CNまたはP−Sp−で1置換または多置換されており、また、1つ以上の隣接していないCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置換されていてもよく、ただし、Rは上で示される意味を有しており、および
全ての基Y1〜4が−W−(Z−Am1−Rを表す場合、1つ以上の基Rは少なくとも1つの基P−Sp−を有する。
【0071】
基−(Z−Am1−は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0072】
【化10.1】

【0073】
【化10.2】

【0074】
【化10.3】


式中、ZはZで示される意味の1つを有し、Lは上で示される意味を有し、rは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2を表す。特に好ましくは、ZはOCO、OCH、OCF、CHCH、CH=CH、C≡Cまたは単結合を表し、Lは好ましくはFである。
【0075】
【化11】

式中、Lは、出現するたびに同一か異なって、上で示される意味の1つを有する。
【0076】
更に、式I1、I1a、I1a1、I1b、I1b1およびそれらのサブ式の化合物であって、以下を満たすものが好ましい。
【0077】
−YおよびYが、それぞれ互いに独立に、−W−(Z−Am1−Sp−Pまたは−W−(Z−Am1−Rで示された意味の1つを有する。
【0078】
−YおよびYが、同一の基である。
【0079】
−YおよびYが、P−Sp−を表す。
【0080】
−YおよびYが、P−を表す。
【0081】
−Yおよび/またはYが、m1が0より大きい−W−(Z−Am1−Sp−Pを表す。
【0082】
−Yおよび/またはYが、m1が0より大きい−W−(Z−Am11−Rを表す。
【0083】
−Yおよび/またはYが、Rを表す。
【0084】
−Yおよび/またはYが、Hを表す。
【0085】
−YおよびYが、それぞれ互いに独立に、−W−(Z−Am1−Sp−Pまたは−W−(Z−Am1−Rで示された意味の1つを有する。
【0086】
−YおよびYが、同一の基である。
【0087】
−YおよびYが、P−Sp−を表す。
【0088】
−YおよびYが、P−を表す。
【0089】
−Yおよび/またはYが、m1が0より大きい−W−(Z−Am1−Sp−Pを表す。
【0090】
−Yおよび/またはYが、m1が0より大きい−W−(Z−Am11−Rを表す。
【0091】
−Yおよび/またはYが、Rを表す。
【0092】
−基Y1〜4の1つ以上が−W−(Z−Am1−Rで示される意味の1つを有し、ただし1つ以上の基RはP−Sp−で2置換または多置換されている。
【0093】
−YおよびYがPを表し、好ましくはアクリレートまたはメタクリレートであり、およびYおよびYがHまたはアリール(任意にLで1置換または多置換されていてもよい)を表し、好ましくはHまたは無置換のフェニルである。
【0094】
−y3およびy4が、それぞれ1である。
【0095】
−m1が、0である。
【0096】
−m1が、1または2である。
【0097】
−Wが、単結合を表す。
【0098】
−Spが、単結合を表す。
【0099】
−Spが、−O−(CHp1−、−OCO−(CHp1−または−OCOO−(CHp1−を表し、およびp1は2〜12の整数、好ましくは3または6を表す。
【0100】
−Pが、アクリレートまたはメタクリレートを表す。
【0101】
−Lが、Fを表す。
【0102】
−AおよびBが、ベンゼン環を表す。
【0103】
−AおよびBが、シクロヘキサン環を表す。
【0104】
−y11およびy22が、1を表す。
【0105】
−r1およびr2が、0を表す。
【0106】
−r11およびr22が、0を表す。
【0107】
−r11およびr22が1を表し、およびLが上で示される意味の1つを有し、特に好ましくはメチルまたはフェニルを表す。
【0108】
本発明の好ましい態様では、式I1、I1a、I1a1、I1b、I1b1およびそれらのサブ式において、1つ以上の基Y1〜4、好ましくは基YおよびYは、隣接する基Y1〜4またはビアリール骨格と共に、任意に縮合されていてもよい脂肪族または芳香族の単環または多環の環系を形成している。そのような化合物は、例えば、EP 1 249 483 A1、WO 02/034739 A1、WO 02/006195 A1およびWO 02/094805 A1に記載されている。
【0109】
しかしながら、1つ以上の基Y1〜4、好ましくは少なくとも基YおよびY、特に好ましくは基Y1〜4の全てが末端基を現す、即ち、互いにまたはビアリール骨格と環系を形成していない式I1、I1a、I1a1、I1b、I1b1およびそれらのサブ式の化合物が特に好ましい。
【0110】
本発明の好ましい更なる態様においては、式I1、I1a、I1a1、I1b、I1b1およびそれらのサブ式の化合物は、2つ以上の重合性基Pを有する分岐状の基R(多官能性重合性基)を1つ以上含む。この型の適当な基およびそれらを含むビナフチル化合物は、例えば、US 7,060,200 B1またはUS 2006/0172090 A1に記載されている。以下の式より選ばれる多官能性重合性基Rが、特に好ましい。
【0111】
【化12】

式中、
alkylは、単結合または炭素数1〜12の直鎖状または分岐状アルキレンを表し、無置換であるか、F、ClまたはCNで1置換または多置換されており、式中、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、1つ以上の隣接していないCH基が、それぞれ互いに独立に、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし、Rは上で示される意味を有し、好ましくは上で定義されるRを表し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’で示される意味を有し、および
1〜5は、それぞれ互いに独立に、Pで上に示される意味の1つを有する。
【0112】
特に好ましい式I1a1の化合物は、以下のサブ式のものである。
【0113】
【化13.1】

【0114】
【化13.2】

式中、Y、Y、X’、Sp’、P、Z、A、L、r11およびr22は、出現するたびに同一か異なって、上で示される意味を有し、およびZおよびAは、それぞれ、ZおよびAで示される意味の1つを有する。基−Z−A−および−Z−A−Z−A−は、好ましくは、式Ia〜Iqから選ばれる。
【0115】
特に好ましい式I1b1の化合物は、以下のサブ式のものである。
【0116】
【化14.1】

【0117】
【化14.2】

式中、SpおよびPは、出現するたびに同一か異なって、上で示される意味を有する。
【0118】
式I1a1eおよびI1a1fの化合物の好ましい例を以下の表に示す(r11およびr22は0)。
【0119】
【表1.1】

【0120】
【表1.2】

【0121】
【表1.3】

【0122】
【表1.4】

【0123】
【表1.5】

【0124】
【表1.6】

【0125】
【表1.7】

【0126】
【表1.8】

【0127】
【表2.1】

【0128】
【表2.2】

【0129】
【表2.3】

【0130】
【表2.4】

【0131】
【表2.5】

【0132】
【表2.6】

【0133】
【表2.7】

【0134】
【表2.8】

【0135】
【表2.9】


重合性化合物は、当業者に公知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような有機化学の標準的な書物に記載されている方法に類似して調製される。重合性ビナフチル化合物およびそれの合成は、例えば、DE 43 42 280 A1、DE 195 20 704 A1、GB 2 328 436 A、GB 2 398 569 A、GB 2 298 202 A、EP 0 964 035 A1、EP 1 249 483 A1、WO 02/034739 A1、WO 02/006195 A1、WO02/094805 A1、US 2005/179005 A1、JP 2001−066431 A、JP 2005−170934 AまたはP 2005−171235 Aに記載されている。
【0136】
重合性化合物は、電圧を印加した状態でLCディスプレイの基体間のLC媒体中において、その場での重合により重合または架橋(化合物が2つ以上の重合性基を含む場合)される。適しており好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。必要であれば、ここに1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合の適当な条件および開始剤の適当な型および量は当業者に公知であり、文献に記載されている。フリーラジカル重合に適するものは、例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)である。開始剤は、混合物全体に対する比率として、好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.005〜1質量%で使用される。しかしながら、開始剤を添加することなく、重合を行うこともできる。
【0137】
本発明のビアリール化合物は開始剤のない重合に特に適しており、例えば材料費が低廉であり、特に、残留する可能性ある量の開始剤によるLC媒体の汚染、または製品の劣化を低減できるといった特筆すべき利点に関連している。
【0138】
また、例えば保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を避けるために、LC媒体は1種類以上の安定剤を含むこともできる。安定剤の適当な型および量は当業者に公知であり、文献に記載されている。特に適当なのは、例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)の商業的に入手可能なものである。安定剤を使用するのであれば、重合性化合物の総量に対する安定剤の割合は、好ましくは10〜5000ppm、非常に好ましくは50〜500ppmである。
【0139】
本発明のLC媒体は、好ましくは5%未満、特に好ましくは1%未満、非常に特に好ましくは0.5%未満の重合性化合物、特には上で述べられる式のビアリール化合物を含む。
【0140】
本発明の重合性化合物を、それぞれLC媒体に加えることができるが、本発明の重合性ビアリール化合物の2種類以上を含む混合物、または本発明の重合性ビアリール化合物の1種類以上と、追加の重合性化合物(コモノマー)の1種類以上とを含む混合物を使用することも可能である。コモノマーは、メソゲン性でも非メソゲン性でも構わない。この型の混合物を重合する場合、共重合体が生じる。さらに、本発明は、上および下で述べられる重合性混合物にも関する。
【0141】
適当で好ましいメソゲン性のコモノマーは、例えば、以下の式から選ばれるものである。
【0142】
【化15.1】

【0143】
【化15.2】

式中、PおよびPはPで示される意味の1つを有し、好ましくはアクリレートまたはメタクリレートを表し、SpおよびSpはSpで示される意味の1つを有するか単結合を表し、ZおよびZは、それぞれ互いに独立に、Zで示される意味の1つを有し、好ましくは−COO−または−OCO−を表し、Lおよびrは、出現するたびに同一か異なって、上で示される意味の1つを有し、およびLは好ましくはFまたはCHを表し、sは0、1、2または3を表し、およびRおよびRは、それぞれ互いに独立に、HまたはCHを表す。
【0144】
上に記載される重合性ビアリール化合物に加え、本発明のLCディスプレイで使用されるLC媒体は、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、単量体または非重合性)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。非重合性化合物は、ビアリール化合物の重合で使用される条件において、重合反応に対して安定であるか反応しない。特に、従来のVAおよびOCBディスプレイでの使用に適する任意のLC混合物は、ホスト混合物として適している。適当なLC混合物は当業者に公知であるか文献に記載されており、例えば、EP 1 378 557 A1のVAディスプレイ中の混合物およびEP 1 306 418 A1およびDE 102 24 046 A1のOCBディスプレイ用の混合物である。
【0145】
特に好ましいLC媒体を以下に述べる。
【0146】
1)式IIの1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【0147】
【化16】

式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基を表し、ただし加えて、1つまたは2つの隣接していないCH基が、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−により置き換えられていてもよく、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合を表し、好ましくは単結合であり、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFを表し、
aは、0または1を表し、および
【0148】
【化17】


を表す。
【0149】
好ましくは、LおよびLがFを表すか、LおよびLの一方がClを表し他方がFを表す。
【0150】
式IIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0151】
【化18.1】

【0152】
【化18.2】

【0153】
【化18.3】

【0154】
【化18.4】

【0155】
【化18.5】

【0156】
【化18.6】

式中、pは1または2を示し、AlkylおよびAlkylは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜12の直鎖状アルキルを示し、Alkenylは炭素数2〜6の直鎖状アルケニルを表す。
【0157】
2)1種類以上の式IIIの化合物を付加的に含む媒体。
【0158】
【化19】

式中、それぞれの基は、以下の意味を有する:
【0159】
【化20】

を表し、
bは、0または1を表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、
は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、ここで、1つまたは2つの隣接していないCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−により置き換えられていてもよく、またはもしbが0で環Bがシクロヘキシレンを表す場合、RはRも表す。
【0160】
は、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキルまたはアルコキシであり、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシまたはn−ブトキシである。好ましくは、LおよびLがFを表すか、LがClを表しLがFを表す。
【0161】
式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0162】
【化21】



式中、R3は、出現するたびに同一か異なって、上で示される意味を有し、oは0または1で、alkylはC1〜6−アルキルを表し、好ましくは直鎖である。式IIIa、IIIb、IIIdおよびIIIfの化合物が特に好ましい。
【0163】
3)1種類以上の式IVの化合物を付加的に含む媒体。
【0164】
【化22】

式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、式IIで示される意味の1つを有し、および
【0165】
【化23】



式中、LはFまたはClを示し、好ましくはFであり、LはF、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFであり、好ましくはFである。
【0166】
式IVの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0167】
【化24.1】

【0168】
【化24.2】

【0169】
【化24.3】


式中、Rは炭素数1〜7の直鎖状アルキルまたはアルコキシで、Rは炭素数2〜7の直鎖状アルケニルであり、mは1〜6の整数を表す。
【0170】
4)式VaおよびVbより選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0171】
【化25】

式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、Rで示される意味の1つを有し、RはCH、Cまたはn−Cを表し、qは1または2を表す。
【0172】
式VaおよびVbの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0173】
【化26.1】

【0174】
【化26.2】



式中、RおよびRは、好ましくは直鎖状のアルキルを表し、RはCH、Cまたはn−Cを表す。
【0175】
5)例えば、以下の式より選択されるようなテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を有する化合物を1種類以上付加的に含む媒体。
【0176】
【化27.1】

【0177】
【化27.2】



式中、R10およびR11は、それぞれ互いに独立に、Rで示される意味の1つを有し、好ましくは、直鎖状のアルキル、直鎖状のアルコキシまたは直鎖状のアルケニルを表し、Z、ZおよびZは、それぞれ互いに独立に、−C−、−CH=CH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH−または単結合を表す。
【0178】
6)式VIIの1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0179】
【化28】

式中、
およびRは、互いに独立に、式IIのRで示される意味の1つを有し、
【0180】
【化29】

を表し、
【0181】
【化30】

を表し、および
eは、0または1を表す。
【0182】
式VIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0183】
【化31】

式中、alkylはC1〜6アルキルを表し、RはC1〜6アルキルまたはアルコキシを表し、alkenylはC2〜7アルケニルを表し、LはHまたはFを表す。
【0184】
7)式VIIIa〜VIIIdより選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0185】
【化32】

式中、alkylはC1〜6アルキルを表し、LはHまたはFを表し、XはFまたはClを表す。XがFを表す式VIIIaの化合物が特に好ましい。
【0186】
8)以下の式より選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0187】
【化33.1】

【0188】
【化33.2】

【0189】
【化33.3】

式中、Rおよびalkylは上で示される意味を有し、dは0または1を示す。これらの化合物中で、Rは、特に好ましくは、C1〜6アルキルまたはアルコキシであり、dは、好ましくは1である。式XbおよびXIbの化合物が特に好ましい。
【0190】
9)以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0191】
【化34.1】

【0192】
【化34.2】

式中、RおよびRは上で示される意味を有し、好ましくは炭素数1〜8のアルキルを表し、Rは上で与えられるRの意味の1つを有し、Alkylは炭素数1〜6の直鎖状アルキルを表す。
【0193】
10)式IまたはI1またはそれらのサブ式の重合性化合物およびコモノマーに加え、末端ビニルまたはビニルオキシ基(−CH=CHまたは−O−CH=CH)を有するアルケニル側鎖を持つ化合物を含まない媒体。
【0194】
11)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式II2および/またはII27の化合物を含む媒体。混合物全体におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらのそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜20%である。
【0195】
12)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式II8および/またはII33の化合物を含む媒体。混合物全体におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらのそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜20%である。
【0196】
13)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式IIIの化合物、特には式IIIa、IIIb、IIId、IIIeまたはIIIfの化合物を含む媒体。混合物全体における式IIIの化合物の割合は、好ましくは2〜70%、特に好ましくは5〜60%である。式IIIのそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ1〜60%である。
【0197】
14)1〜10種類、好ましくは1〜8種類の式VIIcの化合物を含む媒体。
【0198】
15)1〜10種類、好ましくは1〜8種類の式VIIの化合物、特に式VIIaおよび/またはVIIdの化合物を含む媒体。
【0199】
16)混合物全体における式II33、IV2およびIV3の化合物の割合は、好ましくは5〜50%、特に好ましくは10〜35%である媒体。式II33のそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜15%である。式IV2のそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜10%である。式IV3のそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜20%である。
【0200】
17)混合物全体における式VaおよびVbの化合物の割合は、好ましくは30%まで、特に好ましくは20%までである媒体。式VaおよびVbのそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれ2〜12%である。
【0201】
18)混合物全体におけるテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位(例えば、式VIa〜VIeの)を有する化合物の割合は、好ましくは30%まで、特に好ましくは20%までである媒体。この型のそれぞれの化合物の含有量は、好ましくは、それぞれで2〜20%である。
【0202】
19)混合物全体における式VII〜XVおよびXIX〜XXIIIの化合物の割合は10〜70%、好ましくは10〜60%である媒体。
【0203】
20)1〜5種類、好ましくは1、2または3種類の重合性化合物を含む媒体。
【0204】
21)混合物全体における重合性化合物の割合は0.05〜5%、好ましくは0.1〜1%である媒体。
【0205】
22)以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含み、特にOCBディスプレイで使用される媒体。
【0206】
【化35】

式中、
は、出現するたびに同一か異なって、それぞれ炭素数9までのn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、
は、F、Clまたは、それぞれの場合でハロゲン化されたそれぞれ炭素数6までのアルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシを表し、
は、−CFO−または単結合を表し、
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
は、好ましくは、F、Cl、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CF、特に好ましくはFまたはOCFである。
【0207】
式XVIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0208】
【化36.1】

【0209】
【化36.2】



式中、RおよびXは上で示される意味を有し、Xは好ましくはFを表す。式XVIbおよびXVIfの化合物が特に好ましい。
【0210】
式XVIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0211】
【化37.1】

【0212】
【化37.2】

式中、RおよびXは上で示される意味を有し、Xは好ましくはFを表す。式XVIIa、XVIIbおよびXVIIeの化合物が特に好ましい。
【0213】
式XVIIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0214】
【化38】

式中、Rは、出現するたびに同一または異なって、上で示される意味を有し、好ましくは、炭素数1〜6のアルキルを表す。
【0215】
23)以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0216】
【化39】

式中、それぞれの基は以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、Rで上で示される意味の1つを有し、
【0217】
【化40】

【0218】
【化41】



gは、1または2を表す。
【0219】
式XIXの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0220】
【化42.1】

【0221】
【化42.2】

式中、AlkylおよびAlkylは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜6の直鎖状アルキルを表し、AlkenylおよびAlkenylは、それぞれ互いに独立に、炭素数2〜6の直鎖状アルケニルを表す。
【0222】
24)以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含む媒体。
【0223】
【化43】

式中、それぞれの基は以下の意味を有する:
【0224】
【化44】

fは、0または1を表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜12のアルキルを表し、ただし加えて、O原子が互いに直接結合しないように、1つまたは2つの隣接していないCH基は、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合を表し、好ましくは、単結合であり、および
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFを表す。
【0225】
好ましくは、LおよびLがFを表すか、LおよびLの一方がClを表し他方がFを表す。
【0226】
式XXの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選ばれる。
【0227】
【化45.1】

【0228】
【化45.2】

【0229】
【化45.3】

【0230】
【化45.4】

式中、Rは上で示される意味を有し、vは1〜6の整数を表し、Rは好ましくは直鎖状のアルキルまたはアルケニルである。
【0231】
25)以下の式の1種類以上のジフルオロジベンゾクロマンおよび/またはクロマン化合物を付加的に含む媒体。
【0232】
【化46】

式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立にRについて上で示される意味を有し、cは0または1を表し、好ましくは3〜20質量%の量、非常に好ましくは3〜15質量%の量である。
【0233】
式XXIおよびXXIIの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から選ばれる。
【0234】
【化47.1】

【0235】
【化47.2】

式中、AlkylおよびAlkylは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜6の直鎖状アルキルを表し、AlkenylおよびAlkenylは、それぞれ互いに独立に、炭素数2〜6の直鎖状アルケニルを表す。
【0236】
26)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレン類またはジベンゾフラン類を付加的に含む媒体。
【0237】
【化48】


式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0238】
式XXIIIおよびXXIVの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から選ばれる。
【0239】
【化49】

式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜7の直鎖状アルキルまたはアルコキシを表す。
【0240】
式II〜XXIVの化合物を上に記載される重合されたビアリール化合物と組み合わせることは、本発明のLC媒体中の高い透明点および高いHR値を保持しつつ、低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性にとって効果的であり、PSAディスプレイ中のプレチルト角を設定できる。特に、先行技術からの媒体と比べ、PSAディスプレイにおいて、LC媒体は非常に短縮された応答時間、特にグレーシェード応答時間を有する。
【0241】
液晶混合物は、少なくとも80K、好ましくは少なくとも100Kのネマチック相範囲、および20℃において250mPa・s以下、好ましくは200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0242】
VA型ディスプレイで使用されるための本発明のLC媒体は負の誘電異方性Δεを有し、20℃および1kHzで、好ましくは約−0.5〜−7.5、特には、約−2.8〜−5.5である。
【0243】
OCB型ディスプレイで使用されるための本発明のLC媒体は正の誘電異方性Δεを有し、20℃および1kHzで、好ましくは約+7〜+17である。
【0244】
VA型ディスプレイで使用されるための本発明のLC媒体の複屈折Δnは、好ましくは0.16より低く、特に好ましくは0.06および0.14の間であり、特には0.07および0.12の間である。
【0245】
OCB型ディスプレイで使用されるための本発明のLC媒体の複屈折Δnは、好ましくは0.14および0.22の間であり、特には0.16および0.22の間である。
【0246】
また、誘電体は、当業者に公知で文献に記載される添加剤を更に含んでもよい。例えば、0〜15質量%の多色性色素を加えてもよく、更には、ナノ粒子類、導電性を改良するための導電性塩類、好ましくは、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキシルオキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテルの錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.第24巻、第249〜258頁(1973年)参照)、または誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するための物質を加えてもよい。この型の物質は、例えば、DE−A 22 09 127、22 40 864、23 21 632、23 38 281、24 50 088、26 37 430および28 53 728に記載されている。
【0247】
本発明のLC混合物の式II〜XXIVのそれぞれの化合物は公知であるか、文献に記載されている標準的な方法に拠っているため、関連する分野の当業者により先行技術から容易に誘導される方法によって調製される。式IIに対応する化合物は、例えば、EP−A−0 364 538に記載されている。式IIIに対応する化合物は、例えば、EP−A−0 122 389に記載されている。式VIIに対応する化合物は、例えば、DE−A−26 36 684およびDE−A−33 21 373に記載されている。
【0248】
本発明で使用できるLC媒体は、それ自身従来の方法、例えば、式II〜XXIVの1種類以上の化合物を上で定義される1種類以上の重合性化合物と、任意に更なる液晶化合物および/または添加剤と混合して調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主構成成分を構成する成分中で、好ましくは加熱して溶解する。または、成分の溶液を、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール等の有機溶媒に混合し、完全に混合後、例えば蒸留により溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明のLC媒体を調製するための方法にも関している。
【0249】
また、本発明のLC媒体は、例えばH、N、O、Cl、Fが対応する同位体に置き換えられた化合物を含むことができることは、当業者には言うまでもない。
【0250】
本発明のLCディスプレイの構成は、最初に引用した先行技術に記載されるようなPSAディスプレイの従来の構造に対応している。突起のない構造が好ましく、特には、加えてカラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスリットを有するものである。PSA−VAディスプレイ用に特に適当で好ましい電極構造は、例えば、US 2006/0066793 A1に記載されている。
【実施例】
【0251】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。上および下において、パーセントのデータは質量パーセントであり、他に示さない限り、温度はすべて摂氏で示される。
【0252】
以下の略称および頭字語を使用する。
【0253】
【表3】

更に、以下の通りである。
Tgは、ガラス転移温度を表す。
Nは、ネマチック相を表す。
Iは、等方相を表す。
cl.p.は、透明点を表わす。
Δnは、20℃および589nmにおける光学異方性(複屈折率)を表わす。
Δεは、20℃および1kHzにおける誘電異方性を表す。
εは、20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電定数を表す。
/Kは、弾性定数KおよびKの比を表す。
γは、回転粘度(mPa・s)(他に示さない限り20℃における)を表す。
は、容量閾電圧(V)を表す。
τは、ミリ秒での応答時間を表す。
【0254】
他に明らかに述べない限り、本願における全ての濃度は質量%で与えられ、他に明らかに述べない限り、対応する混合物または混合物成分についてである。
【0255】
他に明らかに述べない限り、本願における全ての温度の値、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移温度T(S,N)、および透明点T(N,I)などは、摂氏(℃)で与えられる。
【0256】
全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社にしたがって決定され、20℃で有効で、特に別に述べない限り、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0257】
容量閾電圧を測定するために使用されるディスプレイは、4μm間隔の2枚の平らで平行な外部板、外部板の内側のトップ層上にラビングされたポリイミドの配向層を備えた電極層を有しており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向が生じている。
【0258】
重合性化合物は、ディスプレイ中で、同時に電圧(通常、10V〜30Vの交流)を印加しながら、例えば28mW/cmの強度で所定の時間、UVを照射し、重合される。
【0259】
チルト角は、回転結晶実験法(Autronic−Melchers TBA−105)で決定される。ここでは、小さい値(即ち、90°角から大きくずれている)が大きなチルトに対応する。
【0260】
<例1>
2’−(2−メチルアクリロイルオキシ)[1,1’]ビナフタリニル−2−イル−2 メチルアクリレート(化合物1)
【0261】
【化50】

化合物は、ラセミ体として、S.ZhengおよびD.Y.Sogah、Polymer Preprints 2001、42(1)、452〜453に記載されており、(+)−R−1,1’−ビ−2−ナフトールより光学活性な形式に類似して得られる。
【0262】
相挙動:Tg 12℃ I
化合物(15)を類似して調製する。
【0263】
【化51】

相挙動:Tg 16 C 128 I
【0264】
<例2>
2’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−6,6’−ジフェニル[1,1’]ビナフタリニル−2−イル(±)−2−メチルアクリレート(化合物2)を以下の通り調製する。
【0265】
<工程1>(±)−6,6’−ジフェニル[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオール
【0266】
【化52】

最初に、12.0g(25.7mmol)の(±)−6,6’−ジブロモ[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオール、11.5g(41mmol)のメタほう酸ナトリウム八水和物および800mgの塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)を100mlの水および20mlのTHFに導入し、0.13ml(1mmol)のヒドラジン水和物を添加し、7.0g(57mmol)のフェニルボロン酸の80mlTHF溶液を滴下により加える。引き続き反応物を還流下で一晩加熱し、水に加え、MTBエーテルで3回抽出する。合わせた有機相を水により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で取り除き、残渣をトルエン/酢酸エチル(19:1)によりシリカゲルを通して濾過し、蒸発乾燥し、生成物をトルエン/シクロヘキサン(1:1)およびイソプロパノールからそれぞれ再結晶して、無色の結晶として(±)−6,6’−ジフェニル[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオールを得る。
【0267】
MS(EI):m/e(%)=438[M](100)。
【0268】
<工程2>2’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−6,6’−ジフェニル[1,1’]ビナフタリニル−2−イル(±)−2−メチルアクリレート
【0269】
【化53】

6.6g(14.5mmol)の(±)−6,6’−ジフェニル[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオールおよび11ml(80mmol)のトリエチルアミンを350mlのジクロロメタンに溶解し、3.7ml(37.8mmol)の塩化メタクリロイルを氷冷しながら添加する。反応物を室温で一晩攪拌し、蒸発乾燥し、トルエン/酢酸エチル(19:1)によりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行う。粗生成物をジエチルエーテルから再結晶し、融点180℃(ラセミ体)の無色の結晶を得る。
【0270】
純粋で光学活性なエナンチオマー(2)を、商業的に入手可能な(R)または(S)−6,6’−ジブロモ[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオール(CAS番号:65283−60−5または80655−81−8)より、上に記載の合成に類似して得ることができる。
【0271】
<例3>
化合物(3)を以下のように調製する。
【0272】
【化54】


D.J.Cramら、J.Org.Chem.1981、46、393〜406の方法により入手可能な5,6,7,8,5’,6’,7’,8’−オクタヒドロ[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオールから出発し、[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオールを触媒的に水素化し、例1および2と類似して塩化アクリロイルと反応させることのより、2’−アクリロイルオキシ−5,6,7,8,5’,6’,7’,8’−オクタヒドロ[1,1’]ビナフタレニル−2−イルアクリレートを無色の固体として得る。
【0273】
以下の化合物(Meはメチル、Phはフェニル)を類似して調製する。
【0274】
【化55.1】

【0275】
【化55.2】



<例4>
化合物(16)
【0276】
【化56】

出発物質である4,4’−ジブロモ[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオールを、M.S.Newman、V.Sankaran、D.R.Olson、J.Am.Chem.Soc.1976、98、3237〜3241の方法で調製する4−ブロモ−2−ナフトールから、M.Noji、M.Nakajima、K.Koga、Tetrahedron Lett.1994、35、7983〜7984の方法により調製する。エナンチオマーは、HPLC(カラム:Chiralpak AD−H 20μm、溶離液:エタノール)により分離する。
【0277】
<工程1>
9,17−ジブロモ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン
【0278】
【化57】

最初に、5.66g(12.7mmol)の4,4’−ジブロモ[1,1’]ビナフタリニル−2,2’−ジオールおよび9.5g(29.2mmol)の炭酸セシウムを75mlのDMFに導入し、1.4ml(13.4mmol)の1,3−ジブロモプロパンを80℃で加える。反応物を一晩攪拌し、水に加え、トルエンで抽出する。合わせた有機相を蒸発乾燥し、残渣をトルエンによりシリカゲルを通して濾過し、9,17−ジブロモ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニンを無色の結晶として得る。
【0279】
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ=1.99(m、2H、−OCHCHO−)、4.35(m、4H、−OCCHO−)、7.26(m、4H、Ar−H)、7.48(ddd、J=1.4Hz、J=6.64Hz、J=8.56Hz、2H、Ar−H)、7.78(s、2H、Ar−H)、8.27(d、J=8.6Hz、2H、Ar−H)。
【0280】
<工程2>
13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン−9,17−ジイル−9,17−ジボロン酸
【0281】
【化58】


4.00g(8.26mmol)の9,17−ジブロモ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニンを100mlのジオキサンに溶解し、5.0g(50.9mmol)の酢酸カリウム、6.5g(25.1mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンおよび400mg(0.545mmol)の塩化1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)を添加し、混合物を還流下で4時間加熱する。続いて反応物を水に加え、MTBエーテルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、残渣をヘプタン/酢酸エチル(2:1)でシリカゲルを通して濾過し、蒸発乾燥し、200mlのアセトン中に回収し、9g(45mmol)の過ヨウ素酸ナトリウムおよび3.2g(45mmol)の酢酸アンモニウムを加え、混合物を室温で一晩攪拌し、変換(TLCで確認)が完了するまで45℃で攪拌する。続いて、溶媒を真空下で除去し、残渣に水を加え、混合物をMTBエーテルに抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を除去すると、13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン−9,17−ジイル−9,17−ジボロン酸が得られ、精製することなく次の工程で使用する。
【0282】
<工程3>
9,17−ジヒドロキシ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン
【0283】
【化59】

最初、2.6g(6.4mmol)の13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン−9,17−ジイル−9,17−ジボロン酸を50mlのTHFに導入し、2mlの水および2.2mlの氷酢酸を加え、3.5ml(36mmol)の35%過酸化水素を引き続き氷冷しながら徐々に加える。反応物を室温で3時間攪拌し、水で希釈し、MTBエーテルで抽出する。合わせた有機相を硫酸アンモニウム鉄(II)溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾燥する。シリカゲル上でヘプタン/MTBエーテル(1:4)により粗生成物のクロマトグラフィーを行うことにより、9,17−ジヒドロキシ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニンを無色の固体として得る。
【0284】
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ=1.95(m、2H、−OCHCHO−)、4.31(m、4H、−OCCHO−)、5.40(s、2H、OH)、6.84(s、2H、Ar−H)、7.26(m、4H、Ar−H)、7.36(ddd、J=4.0Hz、J=4.0Hz、J=8.1Hz、2H、Ar−H)、8.16(d、J=8.4Hz、2H、Ar−H)。
【0285】
<工程4>
13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン−9,17−ジイル−ジメタクリレート
【0286】
【化60】

1.20g(3.35mmol)の9,17−ジヒドロキシ−13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニンを30mlのトルエンに溶解し、20mlのトルエン中のジシクロヘキシルカルボジイミドおよび150mgのN,N−ジメチルアミノピリジンを添加する。引き続き0.85ml(10mmol)のアクリル酸を加え、反応物を一晩攪拌する。0.5gのシュウ酸二水和物を添加後、混合物を更に2時間攪拌し、沈殿される固体を濾別し、濾液を蒸発乾燥し、ヘプタン/酢酸エチル(6:1)によりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い、粗生成物をエーテル/酢酸エチルより再結晶して、13,14−ジヒドロ−12H−ナフト[2,1,10,13−fgh][1,5]ジオキソニン−9,17−ジイル−ジメタクリレートを無色の固体として得る。
【0287】
相挙動:Tg 157 C 240 I。
【0288】
比旋光度 (c=0.5、CHCl):[α]20=−210.5。
【0289】
<混合物例A>
ネマチックLCホスト混合物N1を、以下の通り構成する。
【0290】
【表4】

例1〜4の重合性単量体化合物の0.3%をLC混合物N1に添加し、得られる混合物をVA e/o試験セル(90°でラビング済み、VA−ポリイミド配向層、層厚dは約4μm)に導入する。10V(交流)の電圧を印加しながら、それぞれのセルに20分間、28mW/cmの強度にてUVを照射し、単量体化合物を重合する。2回目の一連の実験では、0.006%の光開始剤Irgacure 651をLC/単量体混合物に追加的に加え、曝露時間を2分に短縮する。UV照射の前後で、チルト角を回転結晶実験法(Autronic−Melchers TBA−105)で決定する。結果を、表1に示す。
【0291】
【表5】

表1より分かる通り、本発明の単量体により、特に光開始剤を使用することなく、重合後のチルトの著しい上昇(即ち、チルト角の減少)を実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の基体が光に対して透明で、少なくとも一方の基体が電極層を有する2つの基体と、
該基体の間に配置され1種類以上の重合された化合物を含む低分子量LC媒体の層(ただし、該重合された化合物は、該LCセルの該基体間で該LC媒体中において電圧印加状態で1種類以上の重合性化合物を重合して得られる)と、
を含むLCセルを備え;
該重合性化合物の少なくとも1種類は式Iのビアリール構造単位を有し、
該構造単位は、少なくとも一箇所で1つ以上の重合性基に、直接または有機基もしくはスペーサー基を介して結合されている
ことを特徴とするPSA(高分子支持配向;Polymer Sustained Alignment)型液晶(LC)ディスプレイ。
【化1】

(式中、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、芳香族または完全または部分的に飽和された環を表し、
ただし加えて、それぞれの環において、1つ以上のCH基がNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよく、および
それぞれの環は1置換または多置換されていてもよい。)
【請求項2】
前記重合性化合物は、スペーサー基を介して一箇所以上で1つ以上の重合性基に結合されている前記式Iの構造単位を含むことを特徴とする請求項1記載のLCディスプレイ。
【請求項3】
前記重合性化合物は、一箇所、二箇所または二箇所より多い箇所で重合性基に直接結合されている前記式Iの構造単位を含むことを特徴とする請求項1または2記載のLCディスプレイ。
【請求項4】
前記式Iの構造単位は、以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化2】

【請求項5】
前記重合性化合物は、以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化3】

(式中、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、縮合ベンゼン、シクロヘキサンまたはシクロヘキセンを表し、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、ただし加えて、基Y1〜4の1つ以上は、隣接する基Y1〜4および/またはビアリール骨格と共に、脂肪族または芳香族で単環または多環で縮合していてもよい環系を形成でき、そして、基Y1〜4の少なくとも1つは重合性基Pを含んでおり、
y1およびy2は、1、2または3を表し、および
y3およびy4は、1、2、3または4を表し、
ただし加えて、式I1中のそれぞれの環において、1つ以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよい。)
【請求項6】
前記重合性化合物は、以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化4】

(式中、
A、B、Y1〜4、y3およびy4は、請求項5で示される意味を有し、
r1およびr2は、それぞれ互いに独立に、0、1または2を表し、
y11およびy22は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
Lは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)Y、−C(=O)R、−N(R、置換されていてもよいシリル基、炭素数4〜40のアリール基、または、直鎖状または分岐状で炭素数1〜25のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし、1つ以上の水素原子がFまたはClで置き換えられていてもよく、
は、H、ハロゲン、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖を表し、ただし加えて、1つ以上の隣接していない炭素原子は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、およびただし、1つ以上の水素原子はフッ素、または置換されていてもよい炭素数5〜40のアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基で置換されていてもよく、および
は、ハロゲンを表す。)
【請求項7】
前記重合性化合物は、以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化5】

(式中、
1〜4、L、AおよびBは、請求項5および6で示される意味を有し、および
r11およびr22は、0または1を表す。)
【請求項8】
前記式I1、I1a、I1a1、I1bおよびI1b1の1つ以上の基Y1〜4は、−W−(Z−Am1−Sp−Pを表し、ただし、
Wは、O、S、CHまたは単結合を表し、
Spは、スペーサー基または単結合を表し、
pは、重合性基を表し、
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、炭素数4〜20で置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたは完全または部分的に飽和されたシクロアルキルを表し、ただし加えて、1つ以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよく、
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、
m1は、0、1、2、3または4を表す
ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【請求項9】
前記式I1、I1a、I1a1、I1bおよびI1b1の1つ以上の基Y1〜4は、−W−(Z−Am1−Rを表し、ただし、
W、Z、Aおよびm1は請求項8で示される意味を有し、
は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、H、請求項6で定義されるL、直鎖状または分岐状で炭素数1〜25のアルキルを表し、置換されていないか、またはF、Cl、Br、I、CNまたはP−Sp−で単置換または多置換されており、およびただし、1つ以上の隣接していないCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置換されていてもよく、ただし、Rは請求項6で示される意味を有しており、および
全ての基Y1〜4が−W−(Z−Am1−Rを表す場合、1つ以上の基Rは少なくとも1つの基P−Sp−を有する
ことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【請求項10】
前記重合性化合物は、以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化6.1】

【化6.2】


【化6.3】

【化6.4】


(式中、
、Y、P、Sp、Z、A、L、r11およびr22は、それぞれ出現するたびに同一または異なって、請求項7および8で示される意味を有し、ZおよびAは、それぞれZおよびAで示される意味の1つを有し、
Sp’は、炭素数1〜20のアルキレンを表し、ただしF、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されていてもよく、加えて式中で、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、1つ以上の隣接していないCH基が、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキルを表し、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。)
【請求項11】
前記LC媒体は、式IIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化7】

(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基を表し、ただし加えて、1つまたは2つの隣接していないCH基が、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−により置き換えられていてもよく、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合を表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFを表し、
aは、0または1を表し、および
【化8】


を表す。)
【請求項12】
前記LC媒体は、式IIIの1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化9】

(式中、それぞれの基は、以下の意味を有する:
【化10】


を表し、
bは、0または1を表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、
は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、ただし加えて、1つまたは2つの隣接していないCH基が、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−により置き換えられていてもよく、またはもしbが0で環Bがシクロヘキシレンを表す場合、RはRも表す。)
【請求項13】
前記LC媒体は、式VIIの1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【化11】

(式中、
およびRは、互いに独立に、式IIのRで示される意味の1つを有し、
【化12】


を表し、
【化13】

を表し、および
eは、0または1を表す。)
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかで定義されるLC媒体。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかで定義される重合性化合物。
【請求項16】
式Ibのビアリール構造単位を有し、
該構造単位は、少なくとも一箇所で1つ以上の重合性基に直接または有機基もしくはスペーサー基を介して結合されていること
を特徴とする請求項15記載の重合性化合物。
【化14】

(式中、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、芳香族または完全または部分的に飽和された環を表し、
ただし加えて、それぞれの環において、1つ以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、O原子および/またはS原子で置き換えられていてもよく、および
それぞれの環が1置換または多置換されていてもよい。)
【請求項17】
式I1a1bから選ばれることを特徴とする請求項15記載の重合性化合物。
【化15】


(式中、P、Sp、L、r11およびr22は、請求項10で示される意味を有する。)
【請求項18】
式I1b1から選ばれることを特徴とする請求項15記載の重合性化合物。
【化16】

(式中、A、B、L、r11およびr22は請求項10で示される意味を有し、およびYおよびYは重合性基を含むかまたは意味する。)
【請求項19】
PSA−VAまたはPSA−OCBディスプレイであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のLCディスプレイ。
【請求項20】
1種類以上の低分子量液晶化合物を、請求項15〜18のいずれかに記載の重合性化合物の1種類以上、および任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することを特徴とする請求項14記載のLC媒体の調製方法。

【公開番号】特開2008−116931(P2008−116931A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265841(P2007−265841)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】