液晶パネルの製造方法及びそれに用いられる液晶パネルの製造装置
【課題】スペーサーの高密度領域を確実に修正する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板11と、アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板12と、両基板11及び12の間に挟持された液晶層16と、両基板11及び12を所定間隔に保持するために液晶層16に設けられた複数のスペーサー14とを備える液晶パネル10の修正方法であって、スペーサー14が液晶層16において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、検出された高密度領域のスペーサー14を分散させることにより、その高密度領域を修正する修正工程とを備え、修正工程では、両基板11及び12に振動を与えながら、高密度領域に対応する対向基板12の外側の修正領域を減圧にすると同時に、その修正領域の周りの非修正領域を加圧する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板11と、アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板12と、両基板11及び12の間に挟持された液晶層16と、両基板11及び12を所定間隔に保持するために液晶層16に設けられた複数のスペーサー14とを備える液晶パネル10の修正方法であって、スペーサー14が液晶層16において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、検出された高密度領域のスペーサー14を分散させることにより、その高密度領域を修正する修正工程とを備え、修正工程では、両基板11及び12に振動を与えながら、高密度領域に対応する対向基板12の外側の修正領域を減圧にすると同時に、その修正領域の周りの非修正領域を加圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの製造方法及びそれに用いられる液晶パネルの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、薄型で低消費電力であるという特徴を生かして、液晶テレビ、ノートパソコン、携帯電話等のディスプレイとして用いられている。
【0003】
この液晶パネルは、例えば、TFT等のスイッチング素子を有するアクティブマトリクス基板と、そのアクティブマトリクス基板に対向配置される対向基板と、それらの両基板の間に挟持される液晶層とにより構成されている。
【0004】
このような構成の液晶パネルは、以下のようにして作製される。
【0005】
まず、ガラス基板等の絶縁基板上に種々の薄膜を成膜及びパターニングして、アクティブマトリクス基板及び対向基板をそれぞれ作製する。
【0006】
次いで、それら両基板のうちの一方の基板にスクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂等からなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布する。
【0007】
次いで、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチックビーズからなる球状のスペーサーを散布する。
【0008】
次いで、アクティブマトリクス基板と対向基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させて、空の液晶パネルを作製する。
【0009】
次いで、空の液晶パネルに、減圧法により液晶材料を注入した後、液晶注入口にUV硬化樹脂を塗布し、UV照射により、液晶材料を封止する。これによって、液晶層が形成され、液晶パネルが作製される。
【0010】
ところで、上記スペーサーは、その散布むらによって、スペーサー同士が局部的に集まったまま配置され、スペーサーの高密度領域となることがある。
【0011】
このスペーサーの高密度領域は、上記両基板間の間隔を所定値よりも大きくして、表示むらを引き起こす恐れがある。そして、この表示むらによって、液晶パネルが不良パネルとなり、液晶パネルの製造歩留まりが低下してしまう。
【0012】
そこで、このスペーサーの高密度領域を縮小或いは解消することにより、液晶パネルの製造歩留まりの向上させる液晶パネルの修正方法が検討されている。
【0013】
特許文献1では、液晶パネル全体に、所定の振動を与えることにより、スペーサーの高密度領域を縮小又は解消する技術が開示されている。
【0014】
また、特許文献2では、液晶パネル全体に、所定の振動を与えると共に、液晶パネル全体を減圧することにより、スペーサーの高密度領域を分散縮小又は解消する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−264986号公報
【特許文献2】特開2002−62538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2のような従来の方法では、液晶パネル全体が減圧されるので、両基板の間隔が拡がって、修正の必要な部分(スペーサーの高密度領域)においてのみ、スペーサーの再配置が起こるのではなく、修正の不必要な部分(スペーサーの正常領域)においてもスペーサーの再配置が起こる可能性がある。
【0016】
そうなると、スペーサーの正常領域では、スペーサーとアクティブマトリクス基板(又は対向基板)との間に介在する配向膜の表面にスペーサーの移動に伴う傷がつき、新たに、スペーサーの分布むらが発生する恐れがある。
【0017】
このように、従来の修正方法では、スペーサーの高密度領域のみを確実に修正することが困難である。
【0018】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スペーサーの高密度領域を確実に修正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、スペーサーの高密度領域に対応する修正領域を減圧すると同時に、非修正領域を加圧するようにしたものである。
【0020】
具体的に本発明に係る液晶パネルの製造方法は、互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備える液晶パネルの製造方法であって、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、上記高密度領域のスペーサーを分散させることにより、該高密度領域を修正する修正工程とを備え、上記修正工程では、上記一対の基板に振動を与えながら、上記高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を減圧にすると同時に、該修正領域の周りの非修正領域を加圧することを特徴とする。
【0021】
上記の方法によれば、一対の基板の外側の修正領域では、減圧されることによって、液晶層側から基板側の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が拡がることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。一方、修正領域の周りの非修正領域では、加圧されることによって基板側から液晶層の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が狭まることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働くようになる。そして、同時に一対の基板には振動が与えられるので、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することが可能になる。
【0022】
上記修正工程は、上記一対の基板を加熱しながら行われてもよい。
【0023】
上記の方法によれば、一対の基板を加熱することにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0024】
上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えてもよい。
【0025】
上記の方法によれば、一対の基板を基板面に対して平行な方向に振動させることにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0026】
本発明に係る液晶パネルの製造装置は、互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備えた液晶パネルの製造装置であって、上記一対の基板を収容する処理室と、上記処理室の内部を加圧する加圧手段と、上記処理室の内部に設けられ、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を覆うカバー部と、上記修正領域を減圧する減圧手段と、上記一対の基板を振動させる加振手段とを備え、上記加振手段により上記一対の基板に振動を与えながら、上記減圧手段により上記修正領域を減圧すると同時に、上記加圧手段により上記修正手段の周りの非修正領域を加圧するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、カバー部の内部が減圧手段によって減圧されることにより、一対の基板の外側の修正領域が減圧される。そのため、修正領域では、液晶層側から基板側の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が拡がることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。一方、処理室の内部が加圧手段によって加圧されることにより、上記修正領域の周りの非修正領域が加圧される。そのため、非修正領域では、基板側から液晶層の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が狭まることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働くことになる。そして、同時に一対の基板には加振手段によって振動が与えられるので、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することが可能になる。
【0028】
上記処理室内には、上記一対の基板を加熱する加熱手段が設けられていてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、一対の基板を加熱手段によって加熱することにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0030】
上記加振手段は、上記加熱手段を備えていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、振動供給手段が加熱手段も兼ねていることになるので、処理室内の限られたスペースが有効に利用される。
【0032】
上記加振手段は、上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えるように構成されていてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、一対の基板を加振手段によって基板面に対して平行な方向に振動させることにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の液晶パネルの製造方法は、液晶パネルを構成する一対の基板に振動を与えながら、スペーサーの高密度領域に対応する一対の基板の外側の修正領域が減圧されると同時に、修正領域の周りの非修正領域が加圧されることにより、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消されると共に、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る液晶パネルの製造方法及びそれに用いられる製造装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、他の構成のものであってもよい。
【0037】
まず、液晶パネルの製造(修正)に用いられる製造(修正)装置について説明する。
【0038】
図1は、本実施形態の液晶パネル修正装置50の概略構成図であり、図2は、液晶パネル修正装置50の断面模式図である。
【0039】
液晶パネル修正装置50は、液晶パネル10を収容する処理室40と、処理室の内部を加圧するコンプレッサー(加圧手段)と、液晶パネル10の外側(表面)を部分的に覆うカバー部30と、カバー部30の内部を減圧する真空ポンプ(減圧手段)と、振動テーブル(加振手段)20とを備えている。
【0040】
処理室40の内底面には、振動テーブル20が設けられ、その振動テーブル20の上面には、液晶パネル10がセットされるようになっている。
【0041】
振動テーブル20は、加熱ヒーター(加熱手段)が内蔵され、その上面にセットされる液晶パネルを加熱するように構成されている。
【0042】
カバー部30は、処理室40に収容される液晶パネル10の上面にぴったりと当たるように構成され、その内部の気密性を高めるために、液晶パネル10と接触することになる周縁には、パッド部32が設けられている。
【0043】
パッド部32は、ゴム、フッ素樹脂等の密着性材料により構成されている。
【0044】
また、カバー部30は、処理室40内において、任意に移動可能である。これによって、カバー部30を液晶パネル10の修正領域に適宜設置することができる。
【0045】
処理室40の側壁からは、カバー部30に接続された減圧用配管31、及び加圧用配管41とが延びている。
【0046】
次に、上述の液晶パネル修正装置50を用いる液晶パネル10の修正方法の一例を工程を追って、図2、図3及び図4を用いて説明する。
【0047】
ここで、修正処理が行われる液晶パネル10について説明する。
【0048】
液晶パネル10は、アクティブマトリクス基板11と、そのアクティブマトリクス基板11に対向するように設けられた対向基板12と、それら両基板に挟持され液晶材料からなる液晶層16とを有している。
【0049】
アクティブマトリクス基板11は、ガラス基板等の絶縁基板上に、行列状に設けられた画素電極と、その各画素電極同士の間で行方向に延びる複数のゲート線と、その各画素電極同士の間で列方向に延びる複数のソース線と、ゲート線及びソース線の各交差部分に設けられたTFTと、各TFTに対応して一対のゲート線及びソース線で囲われる領域に設けられ、画素を構成する画素電極 とにより構成されている。
【0050】
対向基板12は、ガラス基板等の絶縁基板上に、カラーフィルター層、オーバーコート層及び共通電極とを有する。
【0051】
液晶層16とアクティブマトリクス基板11及び対向基板12との間には、配向膜15a及び15bがそれぞれ設けられている。
【0052】
アクティブマトリクス基板11と対向基板12とは、その周囲部(額縁部)に介在するエポキシ樹脂等からなるシール材13によって、互いに接着固定されている。
【0053】
液晶層16には、複数のスペーサー14が設けられている。
【0054】
このスペーサー14は、アクティブマトリクス基板11と対向基板12とを所定間隔に保持するものであり、球状のプラスチックビーズ等である。
【0055】
また、このスペーサー14は、アクティブマトリクス基板11の表面に、又は、対向基板12の表面に散布して形成されるので、その際の散布むらによって、局部的に集まってスペーサーの高密度領域となり、表示むらを引き起こす可能性がある。この表示むらは、以下の検出工程によって検出される。
【0056】
<検出工程(点灯検査)>
まず、対向基板12の共通電極に接続された検査入力端子に一定の共通電極検査信号を入力しながら、ゲート線に接続された検査入力端子に所定のゲート検査信号を入力してゲート線に接続されたTFTをオン状態にする。そして、ソース線に接続された検査入力端子に所定のソース検査信号を入力してTFTを介して特定の画素電極に所定の電荷を書き込む。
【0057】
このとき、画素電極と共通電極との間で構成される液晶容量には所定の電圧が印加され、その画素電極で構成された画素が点灯状態になる。これを利用して、ゲート検査信号及びソース検査信号を選択的に入力して適宜画素を点灯させることによって液晶パネル10の点灯検査が行われる。
【0058】
このような点灯検査によって、スペーサー14が局部的に集まった高密度領域では、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が拡がるので、表示不良(表示むら)として検出される。
【0059】
ここで、スペーサー14が液層層16において局所的に集まった高密度領域に対応する液晶パネル10の外側(表面)を修正領域とし、その修正領域の周りを非修正領域とする。このような修正領域を有する液晶パネル10は、以下の準備工程及び修正工程によって修正される。
【0060】
<準備工程>
まず、上記点灯検査の結果、修正が必要となった液晶パネル10を、液晶パネル修正装置50を構成する処理室40内の振動テーブルの上面にセットする。
【0061】
次いで、液晶パネル10の修正領域を覆うように、カバー部30を移動させる。
【0062】
<修正工程>
まず、カバー部30のパッド部32を、液晶パネル10の修正領域に押し当てながら、真空ポンプを作動させ、カバー部30の内部を減圧する。このとき、カバー部30の内部圧力は、例えば0.01MPa〜0.1MPaに設定する。
【0063】
次いで、加熱ヒーターを作動させ、液晶パネル10を加熱すると共に、コンプレッサーを作動させ、処理室40の内部を加圧する。このとき、加熱温度は、例えば室温〜90℃であり、処理室40の内部圧力は、例えば0.1MPa〜0.5MPaである。
【0064】
次いで、振動テーブル20を作動させ、液晶パネル10に振動を与える。このとき、振動テーブル20の振動周波数は、例えば10Hz〜9MHzである。
【0065】
上記のような工程により、図4に示すように、液晶パネル10を構成する対向基板12外側(表面)の修正領域では、真空ポンプにより減圧されることによって、液晶層16側から対向基板12側の方向に力が働いて、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が拡がることになり、両基板間のスペーサー14bにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。
【0066】
一方、修正領域の周りの非修正領域では、コンプレッサーにより加圧されることによって対向基板12側から液晶層16の方向に力が働いて、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が狭まることになり、両基板間のスペーサー14aにはその移動を制限する規制力が働くようになる。
【0067】
そして、同時に液晶パネル10には振動が与えられるので、修正領域では各スペーサー14bが移動(分散)してスペーサー14bの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサー14aが移動せず、正常な配置のままである。
【0068】
これらのことにより、スペーサー14bが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、液晶パネル10として、アクティブマトリクス駆動方式のものを例示したが、パッシブマトリクス駆動方式のものであってもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態では、カバー部30を介して、液晶パネル10の対向基板12側を減圧したが、アクティブマトリクス基板11側を減圧してもよい。
【0071】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0072】
本発明の実施例として、上記の実施形態と同一の方法で、液晶パネルの修正した。
【0073】
具体的には、15型、10型及び5型の液晶パネル各10個について、3種類の圧力差(0.15MPa、0.35MPa及び0.46MPa)の条件下で修正を試みた。
【0074】
図5は、修正を行う液晶パネル10の平面模式図である。
【0075】
この液晶パネル10において、枠状のシール材13の内側の領域が表示領域である。そして、この表示領域を中央部から外側に向かって順に、領域A、領域B及び領域Cに区分した。
【0076】
ここで、領域Aの周端(領域Bの内周端)は、表示領域の中心から表示領域の外周までの距離の40%の位置であり、領域Bの外周端(領域Cの内周端)は、表示領域の中心から表示領域の外周までの距離の70%の位置である。
【0077】
液晶パネルの条件としては、スペーサーの径を5.2μm、アクティブマトリクス基板及び対向基板のガラス基板の厚さを5mm、両基板の間隔(セル厚)を5.0μmとした。
【0078】
また、液晶パネル修正装置の条件としては、振動周波数を3MHz、振動を与える時間を15分、加熱温度を60℃とした。
【0079】
表1に、上記実験での修正成功率を示す。ここで、修正の成功とは、修正の前後において、スペーサーの局部的集まりが解消され、再点灯検査でスペーサーの破損、配向膜の傷、散布むら等の修正による2次的不良が発生しなかったことを示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1中の圧力差(MPa)とは、処理室内の加圧の圧力値とカバー部内の減圧の圧力値との総和であり、基板の間隔を拡げるための実質的に基板に加わる圧力である。
【0082】
例えば、加圧の圧力値が0.3MPa、減圧の圧力値が0.05MPaの場合には、圧力差は、0.35MPaになる。
【0083】
何れのサイズの液晶パネルにおいても、圧力差が大きくなるほど、修正成功率が高くなっているので、本発明によって、修正が確実になったことが確認された。
【0084】
特に、15型の液晶パネルの領域A及びBにおいては、ほぼ100%修正が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明はスペーサーの散布むらを確実に修正することができるので、液晶パネルにおいて、スペーサーの散布むらに起因する表示不良の修正について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶パネル修正装置50の構成概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶パネル修正装置50の断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る修正前の液晶パネルを説明する断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る修正中の液晶パネルを説明する断面模式図である。
【図5】本発明の実施例に係る液晶パネル10の各領域を説明する平面模式図である。
【符号の説明】
【0087】
10 液晶パネル
11 アクティブマトリクス基板
12 対向基板
13 シール部
14,14a,14b スペーサー
15a,15b 配向膜
16 液晶層
20 振動テーブル
30 カバー部
31 減圧用配管
32 パッド部
40 処理室
41 加圧用配管
50 液晶パネル修正装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの製造方法及びそれに用いられる液晶パネルの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、薄型で低消費電力であるという特徴を生かして、液晶テレビ、ノートパソコン、携帯電話等のディスプレイとして用いられている。
【0003】
この液晶パネルは、例えば、TFT等のスイッチング素子を有するアクティブマトリクス基板と、そのアクティブマトリクス基板に対向配置される対向基板と、それらの両基板の間に挟持される液晶層とにより構成されている。
【0004】
このような構成の液晶パネルは、以下のようにして作製される。
【0005】
まず、ガラス基板等の絶縁基板上に種々の薄膜を成膜及びパターニングして、アクティブマトリクス基板及び対向基板をそれぞれ作製する。
【0006】
次いで、それら両基板のうちの一方の基板にスクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂等からなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布する。
【0007】
次いで、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチックビーズからなる球状のスペーサーを散布する。
【0008】
次いで、アクティブマトリクス基板と対向基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させて、空の液晶パネルを作製する。
【0009】
次いで、空の液晶パネルに、減圧法により液晶材料を注入した後、液晶注入口にUV硬化樹脂を塗布し、UV照射により、液晶材料を封止する。これによって、液晶層が形成され、液晶パネルが作製される。
【0010】
ところで、上記スペーサーは、その散布むらによって、スペーサー同士が局部的に集まったまま配置され、スペーサーの高密度領域となることがある。
【0011】
このスペーサーの高密度領域は、上記両基板間の間隔を所定値よりも大きくして、表示むらを引き起こす恐れがある。そして、この表示むらによって、液晶パネルが不良パネルとなり、液晶パネルの製造歩留まりが低下してしまう。
【0012】
そこで、このスペーサーの高密度領域を縮小或いは解消することにより、液晶パネルの製造歩留まりの向上させる液晶パネルの修正方法が検討されている。
【0013】
特許文献1では、液晶パネル全体に、所定の振動を与えることにより、スペーサーの高密度領域を縮小又は解消する技術が開示されている。
【0014】
また、特許文献2では、液晶パネル全体に、所定の振動を与えると共に、液晶パネル全体を減圧することにより、スペーサーの高密度領域を分散縮小又は解消する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−264986号公報
【特許文献2】特開2002−62538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2のような従来の方法では、液晶パネル全体が減圧されるので、両基板の間隔が拡がって、修正の必要な部分(スペーサーの高密度領域)においてのみ、スペーサーの再配置が起こるのではなく、修正の不必要な部分(スペーサーの正常領域)においてもスペーサーの再配置が起こる可能性がある。
【0016】
そうなると、スペーサーの正常領域では、スペーサーとアクティブマトリクス基板(又は対向基板)との間に介在する配向膜の表面にスペーサーの移動に伴う傷がつき、新たに、スペーサーの分布むらが発生する恐れがある。
【0017】
このように、従来の修正方法では、スペーサーの高密度領域のみを確実に修正することが困難である。
【0018】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スペーサーの高密度領域を確実に修正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、スペーサーの高密度領域に対応する修正領域を減圧すると同時に、非修正領域を加圧するようにしたものである。
【0020】
具体的に本発明に係る液晶パネルの製造方法は、互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備える液晶パネルの製造方法であって、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、上記高密度領域のスペーサーを分散させることにより、該高密度領域を修正する修正工程とを備え、上記修正工程では、上記一対の基板に振動を与えながら、上記高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を減圧にすると同時に、該修正領域の周りの非修正領域を加圧することを特徴とする。
【0021】
上記の方法によれば、一対の基板の外側の修正領域では、減圧されることによって、液晶層側から基板側の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が拡がることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。一方、修正領域の周りの非修正領域では、加圧されることによって基板側から液晶層の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が狭まることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働くようになる。そして、同時に一対の基板には振動が与えられるので、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することが可能になる。
【0022】
上記修正工程は、上記一対の基板を加熱しながら行われてもよい。
【0023】
上記の方法によれば、一対の基板を加熱することにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0024】
上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えてもよい。
【0025】
上記の方法によれば、一対の基板を基板面に対して平行な方向に振動させることにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0026】
本発明に係る液晶パネルの製造装置は、互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備えた液晶パネルの製造装置であって、上記一対の基板を収容する処理室と、上記処理室の内部を加圧する加圧手段と、上記処理室の内部に設けられ、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を覆うカバー部と、上記修正領域を減圧する減圧手段と、上記一対の基板を振動させる加振手段とを備え、上記加振手段により上記一対の基板に振動を与えながら、上記減圧手段により上記修正領域を減圧すると同時に、上記加圧手段により上記修正手段の周りの非修正領域を加圧するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、カバー部の内部が減圧手段によって減圧されることにより、一対の基板の外側の修正領域が減圧される。そのため、修正領域では、液晶層側から基板側の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が拡がることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。一方、処理室の内部が加圧手段によって加圧されることにより、上記修正領域の周りの非修正領域が加圧される。そのため、非修正領域では、基板側から液晶層の方向に力が働いて、一対の基板の間隔が狭まることになり、基板間のスペーサーにはその移動を制限する規制力が働くことになる。そして、同時に一対の基板には加振手段によって振動が与えられるので、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することが可能になる。
【0028】
上記処理室内には、上記一対の基板を加熱する加熱手段が設けられていてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、一対の基板を加熱手段によって加熱することにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【0030】
上記加振手段は、上記加熱手段を備えていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、振動供給手段が加熱手段も兼ねていることになるので、処理室内の限られたスペースが有効に利用される。
【0032】
上記加振手段は、上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えるように構成されていてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、一対の基板を加振手段によって基板面に対して平行な方向に振動させることにより、スペーサーの移動が容易になり、スペーサーの局部的集まりが解消される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の液晶パネルの製造方法は、液晶パネルを構成する一対の基板に振動を与えながら、スペーサーの高密度領域に対応する一対の基板の外側の修正領域が減圧されると同時に、修正領域の周りの非修正領域が加圧されることにより、修正領域では各スペーサーが移動(分散)してスペーサーの局部的集まりが解消されると共に、非修正領域では、各スペーサーが移動せず、正常な配置のままである。これにより、スペーサーが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る液晶パネルの製造方法及びそれに用いられる製造装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、他の構成のものであってもよい。
【0037】
まず、液晶パネルの製造(修正)に用いられる製造(修正)装置について説明する。
【0038】
図1は、本実施形態の液晶パネル修正装置50の概略構成図であり、図2は、液晶パネル修正装置50の断面模式図である。
【0039】
液晶パネル修正装置50は、液晶パネル10を収容する処理室40と、処理室の内部を加圧するコンプレッサー(加圧手段)と、液晶パネル10の外側(表面)を部分的に覆うカバー部30と、カバー部30の内部を減圧する真空ポンプ(減圧手段)と、振動テーブル(加振手段)20とを備えている。
【0040】
処理室40の内底面には、振動テーブル20が設けられ、その振動テーブル20の上面には、液晶パネル10がセットされるようになっている。
【0041】
振動テーブル20は、加熱ヒーター(加熱手段)が内蔵され、その上面にセットされる液晶パネルを加熱するように構成されている。
【0042】
カバー部30は、処理室40に収容される液晶パネル10の上面にぴったりと当たるように構成され、その内部の気密性を高めるために、液晶パネル10と接触することになる周縁には、パッド部32が設けられている。
【0043】
パッド部32は、ゴム、フッ素樹脂等の密着性材料により構成されている。
【0044】
また、カバー部30は、処理室40内において、任意に移動可能である。これによって、カバー部30を液晶パネル10の修正領域に適宜設置することができる。
【0045】
処理室40の側壁からは、カバー部30に接続された減圧用配管31、及び加圧用配管41とが延びている。
【0046】
次に、上述の液晶パネル修正装置50を用いる液晶パネル10の修正方法の一例を工程を追って、図2、図3及び図4を用いて説明する。
【0047】
ここで、修正処理が行われる液晶パネル10について説明する。
【0048】
液晶パネル10は、アクティブマトリクス基板11と、そのアクティブマトリクス基板11に対向するように設けられた対向基板12と、それら両基板に挟持され液晶材料からなる液晶層16とを有している。
【0049】
アクティブマトリクス基板11は、ガラス基板等の絶縁基板上に、行列状に設けられた画素電極と、その各画素電極同士の間で行方向に延びる複数のゲート線と、その各画素電極同士の間で列方向に延びる複数のソース線と、ゲート線及びソース線の各交差部分に設けられたTFTと、各TFTに対応して一対のゲート線及びソース線で囲われる領域に設けられ、画素を構成する画素電極 とにより構成されている。
【0050】
対向基板12は、ガラス基板等の絶縁基板上に、カラーフィルター層、オーバーコート層及び共通電極とを有する。
【0051】
液晶層16とアクティブマトリクス基板11及び対向基板12との間には、配向膜15a及び15bがそれぞれ設けられている。
【0052】
アクティブマトリクス基板11と対向基板12とは、その周囲部(額縁部)に介在するエポキシ樹脂等からなるシール材13によって、互いに接着固定されている。
【0053】
液晶層16には、複数のスペーサー14が設けられている。
【0054】
このスペーサー14は、アクティブマトリクス基板11と対向基板12とを所定間隔に保持するものであり、球状のプラスチックビーズ等である。
【0055】
また、このスペーサー14は、アクティブマトリクス基板11の表面に、又は、対向基板12の表面に散布して形成されるので、その際の散布むらによって、局部的に集まってスペーサーの高密度領域となり、表示むらを引き起こす可能性がある。この表示むらは、以下の検出工程によって検出される。
【0056】
<検出工程(点灯検査)>
まず、対向基板12の共通電極に接続された検査入力端子に一定の共通電極検査信号を入力しながら、ゲート線に接続された検査入力端子に所定のゲート検査信号を入力してゲート線に接続されたTFTをオン状態にする。そして、ソース線に接続された検査入力端子に所定のソース検査信号を入力してTFTを介して特定の画素電極に所定の電荷を書き込む。
【0057】
このとき、画素電極と共通電極との間で構成される液晶容量には所定の電圧が印加され、その画素電極で構成された画素が点灯状態になる。これを利用して、ゲート検査信号及びソース検査信号を選択的に入力して適宜画素を点灯させることによって液晶パネル10の点灯検査が行われる。
【0058】
このような点灯検査によって、スペーサー14が局部的に集まった高密度領域では、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が拡がるので、表示不良(表示むら)として検出される。
【0059】
ここで、スペーサー14が液層層16において局所的に集まった高密度領域に対応する液晶パネル10の外側(表面)を修正領域とし、その修正領域の周りを非修正領域とする。このような修正領域を有する液晶パネル10は、以下の準備工程及び修正工程によって修正される。
【0060】
<準備工程>
まず、上記点灯検査の結果、修正が必要となった液晶パネル10を、液晶パネル修正装置50を構成する処理室40内の振動テーブルの上面にセットする。
【0061】
次いで、液晶パネル10の修正領域を覆うように、カバー部30を移動させる。
【0062】
<修正工程>
まず、カバー部30のパッド部32を、液晶パネル10の修正領域に押し当てながら、真空ポンプを作動させ、カバー部30の内部を減圧する。このとき、カバー部30の内部圧力は、例えば0.01MPa〜0.1MPaに設定する。
【0063】
次いで、加熱ヒーターを作動させ、液晶パネル10を加熱すると共に、コンプレッサーを作動させ、処理室40の内部を加圧する。このとき、加熱温度は、例えば室温〜90℃であり、処理室40の内部圧力は、例えば0.1MPa〜0.5MPaである。
【0064】
次いで、振動テーブル20を作動させ、液晶パネル10に振動を与える。このとき、振動テーブル20の振動周波数は、例えば10Hz〜9MHzである。
【0065】
上記のような工程により、図4に示すように、液晶パネル10を構成する対向基板12外側(表面)の修正領域では、真空ポンプにより減圧されることによって、液晶層16側から対向基板12側の方向に力が働いて、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が拡がることになり、両基板間のスペーサー14bにはその移動を制限する規制力が働かないことになる。
【0066】
一方、修正領域の周りの非修正領域では、コンプレッサーにより加圧されることによって対向基板12側から液晶層16の方向に力が働いて、アクティブマトリクス基板11と対向基板12との間隔が狭まることになり、両基板間のスペーサー14aにはその移動を制限する規制力が働くようになる。
【0067】
そして、同時に液晶パネル10には振動が与えられるので、修正領域では各スペーサー14bが移動(分散)してスペーサー14bの局部的集まりが解消され、一方、非修正領域では、各スペーサー14aが移動せず、正常な配置のままである。
【0068】
これらのことにより、スペーサー14bが局部的に集まった高密度領域を確実に修正することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、液晶パネル10として、アクティブマトリクス駆動方式のものを例示したが、パッシブマトリクス駆動方式のものであってもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態では、カバー部30を介して、液晶パネル10の対向基板12側を減圧したが、アクティブマトリクス基板11側を減圧してもよい。
【0071】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0072】
本発明の実施例として、上記の実施形態と同一の方法で、液晶パネルの修正した。
【0073】
具体的には、15型、10型及び5型の液晶パネル各10個について、3種類の圧力差(0.15MPa、0.35MPa及び0.46MPa)の条件下で修正を試みた。
【0074】
図5は、修正を行う液晶パネル10の平面模式図である。
【0075】
この液晶パネル10において、枠状のシール材13の内側の領域が表示領域である。そして、この表示領域を中央部から外側に向かって順に、領域A、領域B及び領域Cに区分した。
【0076】
ここで、領域Aの周端(領域Bの内周端)は、表示領域の中心から表示領域の外周までの距離の40%の位置であり、領域Bの外周端(領域Cの内周端)は、表示領域の中心から表示領域の外周までの距離の70%の位置である。
【0077】
液晶パネルの条件としては、スペーサーの径を5.2μm、アクティブマトリクス基板及び対向基板のガラス基板の厚さを5mm、両基板の間隔(セル厚)を5.0μmとした。
【0078】
また、液晶パネル修正装置の条件としては、振動周波数を3MHz、振動を与える時間を15分、加熱温度を60℃とした。
【0079】
表1に、上記実験での修正成功率を示す。ここで、修正の成功とは、修正の前後において、スペーサーの局部的集まりが解消され、再点灯検査でスペーサーの破損、配向膜の傷、散布むら等の修正による2次的不良が発生しなかったことを示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1中の圧力差(MPa)とは、処理室内の加圧の圧力値とカバー部内の減圧の圧力値との総和であり、基板の間隔を拡げるための実質的に基板に加わる圧力である。
【0082】
例えば、加圧の圧力値が0.3MPa、減圧の圧力値が0.05MPaの場合には、圧力差は、0.35MPaになる。
【0083】
何れのサイズの液晶パネルにおいても、圧力差が大きくなるほど、修正成功率が高くなっているので、本発明によって、修正が確実になったことが確認された。
【0084】
特に、15型の液晶パネルの領域A及びBにおいては、ほぼ100%修正が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明はスペーサーの散布むらを確実に修正することができるので、液晶パネルにおいて、スペーサーの散布むらに起因する表示不良の修正について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶パネル修正装置50の構成概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶パネル修正装置50の断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る修正前の液晶パネルを説明する断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る修正中の液晶パネルを説明する断面模式図である。
【図5】本発明の実施例に係る液晶パネル10の各領域を説明する平面模式図である。
【符号の説明】
【0087】
10 液晶パネル
11 アクティブマトリクス基板
12 対向基板
13 シール部
14,14a,14b スペーサー
15a,15b 配向膜
16 液晶層
20 振動テーブル
30 カバー部
31 減圧用配管
32 パッド部
40 処理室
41 加圧用配管
50 液晶パネル修正装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備える液晶パネルの製造方法であって、
上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、
上記高密度領域のスペーサーを分散させることにより、該高密度領域を修正する修正工程とを備え、
上記修正工程では、上記一対の基板に振動を与えながら、上記高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を減圧にすると同時に、該修正領域の周りの非修正領域を加圧することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶パネルの製造方法であって、
上記修正工程は、上記一対の基板を加熱しながら行われることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された液晶パネルの製造方法であって、
上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備えた液晶パネルの製造装置であって、
上記一対の基板を収容する処理室と、
上記処理室の内部を加圧する加圧手段と、
上記処理室の内部に設けられ、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を覆うカバー部と、
上記修正領域を減圧する減圧手段と、
上記一対の基板を振動させる加振手段とを備え、
上記加振手段により上記一対の基板に振動を与えながら、上記減圧手段により上記修正領域を減圧すると同時に、上記加圧手段により上記修正手段の周りの非修正領域を加圧するように構成されていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記処理室内には、上記一対の基板を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記加振手段は、上記加熱手段を備えていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項7】
請求項4に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記加振手段は、上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えるように構成されていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項1】
互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備える液晶パネルの製造方法であって、
上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域を検出する検出工程と、
上記高密度領域のスペーサーを分散させることにより、該高密度領域を修正する修正工程とを備え、
上記修正工程では、上記一対の基板に振動を与えながら、上記高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を減圧にすると同時に、該修正領域の周りの非修正領域を加圧することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶パネルの製造方法であって、
上記修正工程は、上記一対の基板を加熱しながら行われることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された液晶パネルの製造方法であって、
上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
互いに対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層と、該一対の基板を所定間隔に保持するために上記液晶層に設けられた複数のスペーサーとを備えた液晶パネルの製造装置であって、
上記一対の基板を収容する処理室と、
上記処理室の内部を加圧する加圧手段と、
上記処理室の内部に設けられ、上記スペーサーが上記液晶層において局部的に集まった高密度領域に対応する上記一対の基板の外側の修正領域を覆うカバー部と、
上記修正領域を減圧する減圧手段と、
上記一対の基板を振動させる加振手段とを備え、
上記加振手段により上記一対の基板に振動を与えながら、上記減圧手段により上記修正領域を減圧すると同時に、上記加圧手段により上記修正手段の周りの非修正領域を加圧するように構成されていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記処理室内には、上記一対の基板を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記加振手段は、上記加熱手段を備えていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項7】
請求項4に記載された液晶パネルの製造装置であって、
上記加振手段は、上記一対の基板の基板面に対して、平行な方向に振動を与えるように構成されていることを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2006−18137(P2006−18137A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197746(P2004−197746)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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