説明

液晶モジュール

【課題】チップオンフィルムの形状を工夫して配線基板の基板長を短縮することにより、マザー基板からの配線基板の取り数を増加させてコストダウンを可能にした液晶モジュールを提供する。
【解決手段】バックライトユニットの前面側に光学シートと液晶パネル1を配置し、液晶パネル1の端縁沿いに配置した配線基板2と液晶パネル1とを、配線基板2の長さ方向に並べた複数枚のチップオンフィルムで電気的に接続した液晶モジュールにおいて、複数枚のチップオンフィルムのうち、少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルム30,30を、その配線基板側のフィルム端部の方が液晶パネル側のフィルム端部よりも横幅が狭い形状とする。配線基板側のフィルム端部の横幅を狭めた寸法に応じて配線基板2の基板長を短縮できるので、マザー基板からの配線基板の取り数が増加しコストダウンを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ、パソコンその他の電子機器に組み込まれる液晶モジュールに関し、更に詳しくは、チップオンフィルムを介して液晶パネルに接続される配線基板の基板長を短縮できるように改良してコストダウンを図った液晶モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な液晶モジュールは、バックライトユニットの前面側に光学シートと液晶パネルを設けたものであって、図6に示すように、液晶パネル1の端縁沿いに細長い配線基板2が配置され、この配線基板2と液晶パネル1が、配線基板2の長さ方向に並べられた複数枚の方形のチップオンフィルム3によって電気的に接続されている。
【0003】
その一例として、マトリクス方式の液晶パネルの横方向の一辺と縦方向の一辺に、矩形状のX−PCBと直角三角形状のY−PCBを配置し、これらのX−PCB及びY−PCBと液晶パネルとを、複数枚の方形のチップオンフィルムで電気的に接続した液晶表示装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
一方、外部回路と接続が必要な端子を多数個有する高密度基板において、端子形成領域を狭小化することを目的として、端子の形状を台形形状とし、引出線との接続側に台形形状の長辺と短辺を交互に配置して端子部を形成したものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−271313号公報
【特許文献2】特開2002−334736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示すように、方形のチップオンフィルム3で液晶パネル1と配線基板2を接続する場合は、液晶パネル1の端辺と実質的に同じ長さを有する配線基板2が必要となり、配線基板2の基板長を短縮することが困難であるため、マザー基板からの配線基板2の取り数が少なく、コスト高になるという問題があった。
【0007】
また、前記特許文献1の液晶表示装置は、矩形状のX−PCBと直角三角形状のY−PCBを使用するため、マザー基板からのY−PCBの取り数を2倍に増やすことはできるが、図6の従来例と同様に方形のチップオンフィルムで矩形状のX−PCBと液晶パネルを接続するため、X−PCBの基板長を短縮してマザー基板からの取り数を増加させることはやはり困難であった。
【0008】
一方、前記特許文献2の高密度基板は、端子の形状を台形形状とし、引出線との接続側に台形形状の長辺と短辺を交互に配置することで、端子形成領域を狭小化するものであり、チップオンフィルムを工夫して基板長を短縮するものではないから、この技術を応用しても上記問題を解決することは難しい。
【0009】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、チップオンフィルムの形状を工夫して配線基板の基板長を短縮することにより、マザー基板からの配線基板の取り数を増加させてコストダウンを可能にした液晶モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る液晶モジュールは、バックライトユニットの前面側に光学シートと液晶パネルを配置し、液晶パネルの端縁沿いに配置した細長い配線基板と液晶パネルとを、配線基板の長さ方向に並べた複数枚のチップオンフィルムで電気的に接続した液晶モジュールにおいて、上記複数枚のチップオンフィルムのうち、少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムを、その配線基板側のフィルム端部の方が液晶パネル側のフィルム端部よりも横幅が狭い形状としたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の液晶モジュールにおいては、少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムが等脚台形の平面形状を有するものであることが望ましい。
また、両端に位置する2枚のチップオンフィルムが不等脚台形の平面形状を有するものであって、一端に位置するチップオンフィルムは、その一端側の底角が他端側の底角よりも小さいものであり、他端に位置するチップオンフィルムは、その他端側の底角が一端側の底角よりも小さいものであることも望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液晶モジュールのように、液晶パネルと配線基板を電気的に接続する複数枚のチップオンフィルムのうち、少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムを、その配線基板側のフィルム端部の方が液晶パネル側のフィルム端部よりも横幅が狭い形状にすると、配線基板の両端部において、配線基板側のフィルム端部の横幅を狭めた分の寸法(以下、横幅縮小寸法と記す)に応じて基板長を短縮することが可能となるので、マザー基板からの配線基板の取り数が増加し、コストダウンを図ることができる。
【0013】
少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムは、配線基板側のフィルム端部の方が液晶パネル側のフィルム端部よりも横幅が狭い形状であれば全て使用可能であるが、その中でも、等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルムが好ましく使用される。少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムとして、このような等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルムを用いると、配線基板の両端部において、配線基板側のフィルム端部の横幅縮小寸法の略1/2ずつ基板長を短縮することが可能となり、配線基板全体では実質的に横幅縮小寸法分だけ基板長を短縮することが可能となるので、マザー基板からの配線基板側の取り数を増やすことができる。
【0014】
特に、両端に位置する2枚のチップオンフィルムが不等脚台形の平面形状を有するものであって、一端に位置するチップオンフィルムは、その一端側の底角が他端側の底角よりも小さいものであり、他端に位置するチップオンフィルムは、その他端側の底角が一端側の底角よりも小さいものである場合には、配線基板の両端部において、横幅縮小寸法の1/2以上づつ基板長を短縮することが可能となる。例えば、一端に位置するチップオンフィルムの一端側の底角が鋭角、他端側の底角が直角であり、他端に位置するチップオンフィルムの他端側の底角が鋭角、一端側の底角が直角であると、配線基板の両端部において、横幅縮小寸法分ずつ基板長を短縮することが可能となり、配線基板全体として横幅縮小寸方の略2倍も基板長を短縮することが可能となるので、マザー基板からの配線基板の取り数を大幅に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶モジュールの正面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】同液晶モジュールの要部説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る液晶モジュールの要部説明図である。
【図5】(a)(b)はそれぞれ形状が異なるチップオンフィルムの平面図である。
【図6】従来の液晶モジュールの部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る液晶モジュールの実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る液晶モジュールの正面図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3は同液晶モジュールの要部説明図であって、図2中、4は浅い箱型の板金製のリアフレームを示しており、このリアフレーム4の内部にはバックライトユニットBLUが設けられている。
【0018】
このバックライトユニットBLUは、透明な合成樹脂よりなる導光板5の端面(この実施形態では下端面)に沿って、光源として複数のLED6aを一列に並べて細長い矩形基板6bに実装してなるLEDバー6を、そのLED6aと導光板5の端面との間に所定のクリアランスを保って配置した、所謂、エッジライト型のバックライトユニットであり、LEDバー6の矩形基板6bは、放熱シート6cを介してリアフレーム4の下側の側板4aに接着されている。この矩形基板6bは、アルミニウムをコア材とする熱伝導性の良好な基板であり、LED6aから発生する熱を矩形基板6bと放熱シート6cを通じてリアフレーム4に伝導させ、効率良く放熱できるようになっている。
【0019】
そして、導光板5とリアフレーム4の背面板との間には光反射シート7が設けられており、LED6aから導光板5に入射した光の大部分を該光反射シート7で前面側へ反射させることによって、液晶パネル1を背後から明るく照明して液晶パネル1の表示面を輝度を高めるようにしている。
なお、光反射シート7に代えて、白色塗料層などの光反射層を導光板5の背面に形成して、光の利用効率を高めるようにしても勿論よい。
【0020】
リアフレーム4の四周には、合成樹脂製のモールドフレーム8が設けられており、このモールドフレーム8の裏面側に形成された押え凸部8aによって、導光板5の四周縁が前面側へ浮き上がらないように押えられている。
【0021】
バックライトユニットBLUの導光板2の前面側には、光拡散シートやプリズムシートなどの光学シート9が複数枚重ねられ、更に、その前面側には液晶パネル1が配置されている。そして、この液晶パネル1はモールドフレーム8の内周縁で支持されており、この液晶パネル7とリアフレーム1の四周がベゼル10によって囲繞されている。
【0022】
図2,図3に示すように、この液晶パネル1の上端縁沿いには細長い配線基板2(X−基板)が配置されており、この配線基板2と液晶パネル1は、配線基板2の長さ方向に並べられた複数枚のチップオンフィルム30によって、電気的に接続されている。このチップオンフィルム30は、図3,図5(a)に示すように、配線基板2側のフィルム端部30cの方が液晶パネル1側のフィルム端部30dよりも横幅が狭い等脚台形の平面形状を有するものであって、その中央部にはソースドライバICチップCが実装されている。そして、このチップオンフィルム30の配線基板2側のフィルム端部30cには、入力側の端子列30aが露出して形成されており、液晶パネル1側のフィルム端部30dには、出力側の端子列30bが露出して形成されている。
【0023】
上記のような等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルム30では、配線基板側のフィルム端部30cの横幅を、液晶パネル側のフィルム端部30dの横幅の1/2〜1/5程度に設定することが好ましく、また、入力側の端子列30aの端子の数は、出力側の端子列30bの端子の数の1/2〜1/8程度に設定することが好ましい。配線基板側のフィルム端部30cの横幅が液晶パネル側のフィルム端部30dの1/2よりも広くなると、配線基板2の短縮効果が少なくなり、1/5よりも狭くなると、端子列30aの端子相互間の隙間が狭くなりすぎてトラブルの恐れが生じる。
【0024】
この実施形態の液晶モジュールでは、図3に示すように、上記チップオンフィルム30を配線基板2の長さ方向に横一列に並べ、配線基板2の出力側の端子列(不図示)とチップオンフィルム30の入力側の端子列30aを導電接着剤を介して熱圧着すると共に、チップオンフィルム30の出力側の端子列30bと液晶パネル1の端縁の入力側の端子列(不図示)を導電接着剤を介して熱圧着することにより、配線基板2と液晶パネル1が電気的に接続されている。そして、配線基板2は、図2に示すようにモールドフレーム8の外側面に取付けられている。
【0025】
なお、図示はしていないが、液晶パネル1の左右いずれかの側縁に沿って配設される細長い配線基板(Y−基板)も、ゲートドライバICチップを搭載した等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルム30を介して、液晶パネル1に電気的に接続されている。
【0026】
以上のような構成の液晶モジュールは、図3に示すように、配線基板2の両端部において、チップオンフィルム30の配線基板側のフィルム端部30cの横幅を狭めた横幅縮小寸法の略1/2だけスペースS1,S1をあけて、配線基板2の基板長を全体でほぼ横幅縮小寸法分だけ短縮することが可能となるので、マザー基板からの配線基板2の取り数が増加し、コストダウンを図ることができる。
なお、両端に位置するチップオンフィルム30,30以外の中間部に位置するチップオンフィルム30は、配線基板2の基板長の短縮には寄与しないので、従来と同様の方形の平面形状を有するチップオンフィルム3を使用してもよい。
【0027】
両端に位置する2枚のチップオンフィルムは、上記の等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルム30に限定されるものではなく、配線基板側のフィルム端縁の方が液晶パネル側のフィルム端縁よりも横幅が狭い形状を有するものであればよい。図4,図5(b)(c)は、そのような等脚台形のチップオンフィルム30とは異なる平面形状を有するチップオンフィルム31,32を使用した実施形態を示すものである。
【0028】
即ち、これらのチップオンフィルム31,32はいずれも不等脚台形の平面形状を有するものであって、一端(図4では右端)に位置するチップオンフィルム31は、その一端側(右端側)の底角θ1が他端側(左端側)の底角θ2よりも小さく設定されており、具体的には一端側の底角θ1が鋭角、他端側の底角θ2が直角に設定されている。これに対し、他端(図4では左端)に位置するチップオンフィルム32は、一端に位置する上記チップオンフィルム31とは線対称の不等脚台形の平面形状を有するものであって、他端側(左端側)の底角θ2が一端側(右端側)の底角θ1よりも小さく設定されており、具体的には他端側の底角θ2が鋭角、一端側の底角θ1が直角に設定されている。
【0029】
そして、これらチップオンフィルム31,32の配線基板2側の横幅が狭められたフィルム端縁31c,32cには入力側の端子列31a,32aが露出して形成され、液晶パネル1側のフィルム端縁31d,32dには出力側の端子列31b,32bが露出して形成され、それぞれのフィルム中央部にはソースドライバICチップCが搭載されている。
【0030】
なお、前記のチップオンフィルム30の場合と同様に、配線基板側のフィルム端部31c,32cの横幅は、液晶パネル側のフィルム端部31d,32dの横幅の1/2〜1/5程度に設定することが好ましく、また、入力側の端子列31a,32aの端子の数は、出力側の端子列31b,32bの端子の数の1/2〜1/8程度に設定することが好ましい。
【0031】
この実施形態の液晶モジュールは、図4に示すように、上記不等脚台形のチップオンフィルム31,32を両端に配置し、従来の方形のチップオンフィルム3を中間部に配置して、各フィルムの入力側の端子列と配線基板2の出力側の端子列、及び、各フィルムの出力側の端子列と液晶パネル1の入力側の端子列を、それぞれ導電接着剤を介して熱圧着して電気的に接続している。
【0032】
上記のように、不等脚台形の平面形状を有するチップオンフィルム31,32を両端に配置して配線基板2と液晶パネル1を電気的に接続すると、図4に示すように、配線基板2の両端部において、チップオンフィルム31,32の配線基板側のフィルム端部31c,32cの横幅を狭めた横幅縮小寸法分のスペースS2,S2をあけて、配線基板2の基板長を全体で横幅縮小寸方の略2倍ほど短縮することが可能となるので、マザー基板からの配線基板の取り数を大幅に増やして更にコストダウンを図ることができる。
【0033】
以上、代表的な実施形態を挙げて本発明の液晶モジュールを説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、前記のチップオンフィルム30,31,32に代えて凸形の平面形状を有するチップオンフィルムを使用したり、エッジライト型バックライトユニットに代えて、冷陰極管を用いた直下ライト型バックライトユニットを使用するなど、種々の設計的変更態様を許容し得るものである。
【符号の説明】
【0034】
1 液晶パネル
2 細長い配線基板
3,30,31,32 チップオンフィルム
30a,31a,32a 入力側の端子列
30b,31b,32b 出力側の端子列
30c,31c,32c 配線基板側のフィルム端縁
30d,31d,32d 液晶パネル側のフィルム端縁
4 リアフレーム
5 導光板
6 LEDバー
7 反射シート
8 モールドフレーム
9 光学シート
10 ベゼル
BLU バックライトユニット
C チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトユニットの前面側に光学シートと液晶パネルを配置し、液晶パネルの端縁沿いに配置した細長い配線基板と液晶パネルとを、配線基板の長さ方向に並べた複数枚のチップオンフィルムで電気的に接続した液晶モジュールにおいて、
上記複数枚のチップオンフィルムのうち、少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムを、その配線基板側のフィルム端部の方が液晶パネル側のフィルム端部よりも横幅が狭い形状としたことを特徴とする液晶モジュール。
【請求項2】
少なくとも両端に位置する2枚のチップオンフィルムが等脚台形の平面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶モジュール。
【請求項3】
両端に位置する2枚のチップオンフィルムが不等脚台形の平面形状を有し、一端に位置するチップオンフィルムは、その一端側の底角が他端側の底角よりも小さく、他端に位置するチップオンフィルムは、その他端側の底角が一端側の底角よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の液晶モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−237824(P2012−237824A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105618(P2011−105618)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】