液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを使用したストロボ装置
【課題】透過率が高く、且つ印加電圧を変えることによって透過光の広がりを連続的に制御することが可能な液晶光学素子を使用して、ハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボ装置を実現することにある。
【解決手段】対向する面に透明電極1が形成された一対のガラス基板2に液晶10が挟持された液晶光学素子11の少なくとも一方のガラス基板2の液晶10と接する面にプリズムを有するプリズムアレイ6を設ける。そしてこの液晶光学素子11の下方に光源を配設してストロボ装置を構成する。すると、液晶光学素子11に印加する電圧を連続的に変化させることで液晶層の屈折率が連続的に変わり、液晶層とプリズムの界面での両者の屈折率差も連続的に変わる。その結果、光源から発せられて液晶光学素子11を透過した光の配光特性が連続的に広がる方向に可変制御される。
【解決手段】対向する面に透明電極1が形成された一対のガラス基板2に液晶10が挟持された液晶光学素子11の少なくとも一方のガラス基板2の液晶10と接する面にプリズムを有するプリズムアレイ6を設ける。そしてこの液晶光学素子11の下方に光源を配設してストロボ装置を構成する。すると、液晶光学素子11に印加する電圧を連続的に変化させることで液晶層の屈折率が連続的に変わり、液晶層とプリズムの界面での両者の屈折率差も連続的に変わる。その結果、光源から発せられて液晶光学素子11を透過した光の配光特性が連続的に広がる方向に可変制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを使用したストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストロボ装置は、主に光源となるXe管、Xe管からの発せられた光を照射方向に向けるリフレクタおよびリフレクタからの光を集光するレンズ等で構成されている。そのうち、レンズには通常、光量、配光等の所定の光学特性を得るためにフレネル等のカットが施されている。
【0003】
また、ストロボ装置の照射範囲を制御するためには、光源の光軸方向にレンズを動かして光源とレンズとの相対距離を変え、それによってレンズを介して出射される光束を平行光束〜発散光束の範囲で調整するようなメカ機構のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、特に、DSC(デジタルスチルカメラ)等の小型化が進むカメラ製品の内蔵ストロボにおいては機械的可動領域を設けるような容積増加に対しては承認さないことが多く、そのため配光制御にメカ機構を採用することは極めて困難なことである。
【0005】
また、DSCを含むコンパクトカメラに採用されている内蔵ストロボは、一般的に左右方向の開口幅が広いために適切なリフレクタ設計を行なうことによって上下方向に対する所望の配光特性を得ることが可能となる。
【0006】
一方、左右方向の配光特性については、上下方向の開口幅が狭いためにリフレクタ設計で所望の配光を得る余地が制約され、光源からの直射光に依存せざるを得ない状況にある。このことは、開口の左右方向の幅を縮小できない理由ともなっており、カメラ製品の設計の自由度を低下させる要因ともなるものである。
【0007】
ストロボの照射範囲の制御方法には、拡散度の異なる複数の拡散板を適宜交換自在に支持できるような構造も考えられる。
【0008】
その場合、外付ストロボは内蔵ストロボに比べて一般的に大型で光出力が大きいために、比較的拡散度の大きい拡散板によって撮影範囲よりも広い範囲を照明する手法が採用されることがある。但し、この手法は拡散板の交換作業に時間がかかるためにシャッターチャンスを逃す可能性があると共に、近くの主被写体と遠くの背景を一様な拡散板を介して照明するために主被写体と背景の夫々における照射光量に差が生じ、目的にそぐわない写真となってしまう。
【0009】
コンパクトカメラの内蔵ストロボは、実装容積、消費電力等の制約から外付大型ストロボのような実装構造、操作方法を採用することは不可能である。そこで、メカ機構を用いない配光制御技術として、以下に示すようなものがある。
【0010】
それは、ストロボと被写体の間に液晶高分子層をマトリックス駆動するストロボ拡散板を配置し、該ストロボ拡散板に強弱の電圧を印加することによって透明状態から拡散状態までを無段階に制御する。それによって、撮影範囲内の多くの照射光量が必要な部分には透過状態、少ない照射光量で十分な部分には拡散状態を夫々選択して、良好な照射光量分布を実現するものである(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−90822号公報
【特許文献2】特開平10−26793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の、液晶光学素子を使用したストロボ装置には以下のような問題があった。それは、
(1)従来の液晶光学素子は、そのほとんどがガラス基板上に形成された凹凸形状を有する膜(凹凸膜)の上に液晶分子の配列を促す為の配向膜を形成し、配向膜上にラビング等による配向処理を施して一軸配向性の配向処理膜を得る構造のものであった。この場合、配向膜形成には高温加熱工程(180〜260℃、1〜2時間)が必要であり、そのため凹凸膜の材料に耐熱性を持たせる必要があることから材料選択の自由度に制約が加わることになる。また、微細な凹凸形状の上に均一な配向処理を施すことは非常に困難であり、配向不良等の問題を発生する恐れがあった。
(2)従来の液晶光学素子は、そのほとんどが偏光系であり、構成部材に偏光板を用いる、あるいは光源に偏光系のレーザ等を用いる必要があった。そのため、偏光板を用いた場合は光の利用効率が低下し、液晶光学素子の信頼性を損なう等の問題があり、偏光系のレーザを用いた場合はレーザ自体が高額である等の理由で用途が限定される問題があった。
(3)従来の液晶光学素子は、そのほとんどが凹凸膜の上にITO等からなる透明電極を形成する必要があった。この場合、ITO膜形成時の熱やプラズマの影響で凹凸膜がダメージを受けて形状や透過率に悪影響を及ぼすことがあった。この問題を回避するために低温でITO膜を形成すると透明電極の透過率(特に、短波長領域)が悪化するという問題が生じる。ITO膜の透過率を重視すると少なくとも300℃以上の熱処理が必要である。また、ITO膜をパターニングする場合、ITOのエッチング液によってITO膜の下に位置する凹凸膜がダメージを受けることがあった。そこで、この問題を回避するためにITO膜の上に凹凸膜を形成することが考えられるが、この場合は凹凸膜のために液晶層にかかる電圧が場所によって異なる現象が生じると共に、必要な印加電圧も高くなるといった問題があり、均一な光の制御状態が要求されるような用途においてはこのような構成は採用できなかった。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、透過率が高く、且つ印加電圧を変えることによって透過光の広がりを連続的に制御することが可能な液晶光学素子を使用して、ハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、対向する面に透明電極が形成された一対の透明基板に液晶が挟持された液晶光学素子であって、前記透明基板のうち少なくとも一方の透明基板の前記液晶と接する面には対向する面に向かう複数の凹凸を有する透明膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記凹凸は断面形状が直角三角形でることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項2において、前記直角三角形は該直角三角形の長辺が透過光の照射軸に対して角度を成していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項2または3のいずれか1項において、前記直角三角形が10〜100μmのピッチで配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記液晶を含む層はギャップコントロール材により間隔を保持されており、前記ギャップコントロール材の径は4.5〜100μmであることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、請求項2〜5のいずれか1項において、前記凹凸が線状の構造物であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、請求項6において、前記線状の構造物が、同心円状に形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記透明基板、前記透明膜および前記透明電極のいずれにも液晶配向処理が施されていないことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項9に記載された発明は、透明基板に透明電極を形成し、前記透明基板の前記透明電極側にUV硬化樹脂を滴下し、前記UV硬化樹脂を滴下した透明基板を補強材上に載置し、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側に金型を当ててプレスを行い、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側の反対面側からUV照射を行なって前記UV硬化樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項10に記載された発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子と、光源と、反射部と、制御装置を備え、前記制御装置で前記液晶光学素子を制御することによって前記液晶光学素子の配光制御が行なわれることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項11に記載された発明は、請求項10において、前記液晶光学素子の制御によって照射範囲が広がり、且つ前記光源の光軸に垂直な面に照射したときに前記照射範囲の中心部と周縁部の照射強度が略同等となる配光と、前記照射範囲の中心部に前記照射光が集中する配光との間の任意の配光が得られることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項12に記載された発明は、請求項10または11のいずれか1項において、前記光源が、LED、特に砲弾型パッケージを有するLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の液晶光学素子は、電圧を印加することによって液晶光学素子を透過する光の広がりを連続的に制御することが可能である。
【0026】
また、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、機械的作動部がなくてもハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボ装置を実現することが可能となる。
【0027】
更に、液晶光学素子は一般的な液晶表示素子と違って偏光板が不要であるために透過率が高く、通常は90%以上で、ARコートを施すことにより95%以上が確保できる。
【0028】
従って、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、照射光量が多い(明るい)ストロボ装置を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のストロボ装置は、光源と、光源からの光の向かう方向を制御する部材(例えば、リフレクタ)と、液晶光学素子と、液晶光学素子を電気的に制御する制御装置を備えており、液晶光学素子は対向する面の夫々に透明電極が形成された一対の透明基板で液晶を挟持し、少なくとも一方の透明基板の液晶と接する面には微小な複数の凹凸部が透明材料で形成されている。
【0030】
そして、制御装置によって透明電極を介して液晶に電圧を印加すると液晶分子の配列が変化して液晶層の屈折率値が変わる。すると、微小な透明凹凸部と液晶層との界面を透過する光の屈折角も変化し(スネルの法則による)、光の進行方向が変えられる。
【0031】
したがって、このような構成の液晶光学素子を使用することによって、光源から発せられた光の照射配光特性を電気的に且つ連続的に制御することができるストロボ装置が実現する。
【0032】
以下、この発明の好適な実施例を図1〜図15を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0033】
実施例1の製造方法を図1を参照して説明する。まず、(a)の工程において、夫々にITOからなる透明電極1が形成された一対のガラス基板2を用意する。ガラス基板2の仕様は、透明電極1の膜厚が80nm、ガラス基板の厚みが0.7mm、ガラスの材質は青板ガラスである。
【0034】
次に(b)の工程において、いずれか一方のガラス基板2の透明電極1が形成された側の面上に所定量のUV硬化樹脂5を滴下し、UV硬化樹脂5を滴下したガラス基板2を厚手の石英等からなる透光性を有する補強材3の上に載置する。そしてガラス基板2の樹脂滴下側から金型4を当ててガラス基板2を補強材3と金型4とでプレスする。
【0035】
その後、1分以上放置し、滴下されたUV硬化樹脂5がガラス基板2(あるいは透明電極1)と金型4との隙間を埋めた状態になったところで補強材3側から500mJ/cm2の紫外線を照射してUV硬化樹脂5を硬化させる。このとき、紫外線照射はUV硬化樹脂5を硬化させることが目的であるので照射量についてはあまり重要ではない。但し、透明電極1を形成するITOは紫外線を吸収する性質があるため、ITO膜の膜厚が変わるとUV硬化樹脂5を硬化させるために必要な照射量も変わる可能性があるのでその点については注意が必要である。
【0036】
UV硬化樹脂5の硬化後、プレスされていた金型4と補強材3からガラス基板2を取り外す。このときのガラス基板2の状態を図2に示している。ガラス基板2の透明電極1が形成された側の面上にUV硬化樹脂5によって断面鋸歯状の複数のプリズム14が直線状に平行に並設されてなるプリズムアレイ6が形成されている。個々のプリズム14の断面形状は高さが20μm、頂角が90°、2つの底角が夫々45°の微小な直角三角形の形状をしており、夫々の短辺がガラス基板2面上に位置するようにプリズムアレイ6が形成されている。図3はプリズムアレイ6を上方から見た顕微鏡写真と段差計で求めたプリズムアレイ6の断面形状である。
【0037】
次に(c)の工程において、ITOからなる透明電極1およびUV硬化樹脂による微小プリズムアレイ6が形成されたガラス基板2上の周縁部に、ギャップコントロール材7aを2〜5wt%含有したメインシール材8をスクリーン印刷もしくはディスペンサによって塗布する。
【0038】
ギャップコントロール材7aの径は、プリズムアレイ6のベース層の厚み20〜40μmとプリズム14部の高さ0〜20μmを含め液晶層の厚みが5〜30μmとなるような材料を選んで使用するが、本実施例では直径75μmのプラスチックボール(積水化学工業株式会社製)を採用した。これをシール材ES−7500(三井化学株式会社製)に4wt%添加してメインシール材8とした。
【0039】
また、他方のガラス基板2(あるいは透明電極1)上にはギャップコントロール材7bを散布する。ギャップコントロール材7bは直径15μmのプラスチックボール(積水化学工業株式会社製)を採用し、乾式のギャップ散布機を用いて散布する。なお、本実施例ではギャップコントロール材7bの直径を15μmとしているが、4.5〜100μmの範囲内にあることが望ましい。
【0040】
そして、上記2枚のガラス基板2を夫々のプリズムアレイ6とギャップコントロール材7bが対向するように互いに向かい合わせる。
【0041】
次に(d)の工程において、2枚のガラス基板2を重ね合わせ、プレス機等でガラス基板2の両側から圧力を加えた状態で熱処理を施してメインシール材8を硬化させる。本実施例では150℃で3時間の熱処理を行い、セル厚が5〜30μmの空セルを完成させた。なお、セルギャップ9の厚み(セル厚)はプリズムアレイ6の形状・寸法に係わって場所により異なるが、本発明における光学性能は後述するようにプリズムと液晶層の界面での両者の屈折率差が重要な要件となるため、セル厚が光学性能に影響を与えることはほとんどない。
【0042】
また、空セルをプリズムアレイ6側の上方から見た顕微鏡写真とその断面形状を示す図4によって、ガラス基板2上に散布されたギャップコントロール材7bは、空セルとして完成したときにはそのほとんどがプリズムアレイ6の凹部に収まることが分かる。
【0043】
最後に、(e)の工程において、空セルのセルギャップ9に液晶10を真空注入し、その後液晶注入口にエンドシール材(図示せず)を塗布して液晶10を封止することによって液晶光学素子11が完成する。液晶は誘電率異方性(Δε)が正で、屈折率異方性(Δn)が0.298(大日本インキ化学工業株式会社製)のものを採用した。
【0044】
なお、上記製造方法において、プリズムアレイを形成する工程で使用する金型にエアー抜き用の微小な溝を設けても良い。また、ガラス基板の重ね合わせ工程を真空中で行なっても良い。また、液晶光学素子の光制御部分(表示素子における画素に相当する部分)の透明電極は両基板ともベタパターンでも良いし、パターニングされたものでも良い。但し、一方のガラス基板側に電極端子を設けたい場合はパターニングを施す必要がある。なお、両ガラス基板ともにメインシール部分に電極が位置することは劣化の原因となる恐れがあり、液晶光学素子の信頼性の面からあまり好ましいことではない。
【0045】
上記製造工程を経て完成した液晶光学素子は、Δε>0の液晶を用い、配向処理を行なわないでアモルファス配向とすることで方位異方性を持たない構成となっている。また、液晶の屈折率は、電圧印加時(液晶応答時)ではUV硬化樹脂からなるプリズムアレイとほぼ等しく、電圧無印加時(液晶非応答時)ではプリズムアレイよりも大きくなる。
【0046】
上記製造工程を経て作製された液晶光学素子とLED光源を組み合わせて行なった配光可変実験について以下に示す。実験方法は図5に示すように、液晶光学素子11の下方に半値幅が約±10°の砲弾型LED12を配置し、LEDを点灯させた状態で液晶光学素子11に印加する電圧を変えることによって液晶層の屈折率値を変化させた。
【0047】
すると、図6に示すように、液晶光学素子11に電圧を印加(本実施例では50Vを印加)したときには液晶層13の屈折率が小さくなってプリズムアレイ6とほぼ同じとなり、液晶層13とプリズム14の界面で両者の屈折率差がほぼ無くなる。そのため、LED12光源から発せられた光は液晶層13とプリズムアレイ6を直進して外部に出射される(光線L1)。
【0048】
一方、液晶光学素子11に電圧を印加しないときには液晶層13の屈折率が大きくなってプリズムアレイ6よりも大きくなり、液晶層13とプリズム14の界面で両者の屈折率差が生じる。そのため、LED12光源から発せられた光は液晶層13とプリズム14の界面で屈折されて外部に出射される(光線L2)。
【0049】
したがって、液晶光学素子11に印加する電圧を連続的に変化させると液晶層13の屈折率が連続的に変わり、液晶層13とプリズム14の界面での両者の屈折率差も連続的に変わる。その結果、LED12光源から発せられて液晶光学素子11を透過した光の配光特性を連続的に可変制御することが可能となる(光線L3)。
【0050】
図7は液晶光学素子を通して得られた配光特性を示したグラフであり、縦軸は光強度(μW)、横軸はプリズムアレイのアレイ方向の視認角度(°)を示している。また、破線は液晶光学素子に対する電圧印加時の配光特性を表し、直線は電圧無印加時の配光特性を表している。つまり、破線はLED光源に近似した配光特性を示し、直線はLED光源の配光特性を可変制御して得られた、LED光源とは異なる配光特性を示すものである。
【0051】
この図より、液晶光学素子のプリズム効果によって、光源の配光特性に対して−40°〜−15°および15°〜40°の領域に照射光量の増加が見られ、配光特性の可変制御が可能であることが確認できた。このことより、液晶光学素子に印加する電圧を連続的に変化させることにより、破線と直線の夫々で表される配光特性に対する中間特性を得ることが可能となる。
【0052】
図8の(a)、(b)、(c)は液晶光学素子に夫々0V、10V、20Vの電圧を印加したときの配光パターンを撮影した写真である。写真から、印加電圧が低下するにつれて広がった配光パターンを形成することが分かる。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、上述した実施例1の液晶光学素子に対して、UV硬化樹脂からなるプリズムアレイの形状を図9のようにしたものである。具体的には、個々のプリズムの断面形状は高さが20μm、頂角が45°、底角の夫々が45°と90°の微小な直角三角形の形状をしており、長辺が透過光の照射軸に対して角度を成している。プリズムのピッチは20μmである。これにより、液晶光学素子のセル厚が5〜40μmとなっている。その他、材料および製造方法は実施例1と同様である。なお、本実施例ではプリズムのピッチを20μmとしているが、10〜100μmの範囲内にあることが望ましい。
【0054】
上記実施例2の液晶光学素子とストロボを組み合わせたものについて、その光学特性をシミュレーションによって検証したので、条件および結果について説明する。
【0055】
図10は液晶光学素子とストロボの構成を示したものである。断面弧状のリフレクタ15の内側にXe管16を配置し、リフレクタ15の開口を塞ぐように液晶光学素子11を配置する。液晶光学素子11の方向は、液晶光学素子11内に形成されたプリズムアレイ6のプリズム14の延長方向とXe管16の長手方向が同一となる方向(図面の奥行き方向)とする。
【0056】
そして、ガラス基板2およびプリズムアレイ6の屈折率を共に1.54、液晶の屈折率を電圧印加時を1.54、電圧無印加時を1.74と設定した。
【0057】
図11および図12にシミュレーションで得られた指向特性を示している。図11はプリズムアレイのアレイ方向の指向特性、図12はプリズムアレイのプリズム延長方向の指向特性である。また夫々の図中においては液晶光学素子に対する電圧印加時の指向特性および電圧無印加時の指向特性が示されている。
【0058】
図11では、電圧印加時に対して電圧無印加時の配光がハート状に広がっているが、それに対し図12では、電圧印加時と電圧無印加時の配光はほとんど変わっていない。このことから分かるように、液晶光学素子をプリズムアレイのアレイ方向を上下方向とてストロボに取り付けることにより、ストロボ照射したときに上下方向に広がった照射配光パターンを形成することができることになる。
【0059】
本発明の液晶光学素子は制御パラメータを変化させることによって、それに伴う配光特性を示す。図13は液晶層の屈折率をパラメータとし、屈折率を1.54〜1.74まで変化させたときの液晶光学素子によるプリズムアレイのアレイ方向の配光特性の変化をシミュレーションによって求めたものであり、図14はプリズムアレイのプリズムの頂角をパラメータとし、頂角を90°〜140°まで変化させたときの液晶光学素子によるプリズムアレイのアレイ方向の配光特性の変化をシミュレーションによって求めたものである。
【0060】
図13より、液晶層の屈折率が大きくなるにつれて放射強度分布のピーク値が下がると共に、放射強度分布が広がっていることが分かる。つまり、液晶光学素子に印加する電圧を変えることによって液晶層の屈折率値が変わり、その結果、放射強度分布(配光特性)を制御することができることをシミュレーション結果が示している。
【0061】
また、図14より、プリズムアレイのプリズムの頂角が大きくなるにつれて放射強度分布のピーク値が下がると共に、放射強度分布が広がっていることが分かる。つまり、液晶光学素子の液晶層の屈折率値を一定にした場合、プリズムアレイのプリズムの頂角を適宜設定することによって所望する放射強度分布(配光特性)を実現することが可能であることをシミュレーション結果が示している。
【0062】
なお、液晶光学素子内に形成されたプリズムアレイは、断面鋸歯状の複数のプリズムが直線状に平行に並設された形状であったが、所望する配光特性を考慮して図15に示すような断面鋸歯状の複数のプリズムが同心円状に平行に並設された形状であっても良い。これにより、放射状に広がった配光特性を得ることができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の液晶光学素子は、印加する電圧を変えることによって液晶光学素子を透過する光の広がりを連続的に制御することが可能である。
【0064】
また、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、機械的作動部がなくてもハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボ装置を実現することが可能となる。
【0065】
更に、本発明の液晶光学素子は一般的な液晶表示素子と違って偏光板が不要であるために透過率が高く、通常は90%以上で、ARコートを施すことにより95%以上が確保できる。
【0066】
従って、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、照射光量が多い(明るい)ストロボ装置を実現することが可能となる。
【0067】
なお、本発明の液晶光学素子は、Xe管あるいはLEDを光源とするストロボ装置としてビデオカメラ、防犯カメラ、車載カメラ等の動画撮影用カメラ全般、デジタルスチルカメラ全般、および、LEDを光源とするストロボ装置としてカメラ付携帯電話、ムービー用補助光源等に使用できる。
【0068】
また、配光制御手段として、普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等の自動車用灯具、および、オートバイ、自転車等の二輪車用灯具、および、屋内照明、街路灯、懐中電灯等の一般照明器具等に使用できる。
【0069】
更に、光学系として、レーザプリンタ、スキャナ、コピー機等の事務機器等に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の液晶光学素子の製造工程図である。
【図2】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子のプリズムアレイの斜視図である。
【図3】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子のプリズムアレイを上方から見た顕微鏡写真およびその断面図である。
【図4】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子を上方から見た顕微鏡写真およびその断面図である。
【図5】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子を使用した配光可変実験の実験方法を示す概略図である。
【図6】本発明の液晶光学素子の液晶層とプリズムアレイの界面近傍を示す部分断面図である。
【図7】配光可変実験において液晶光学素子を通して得られた配光特性を示したグラフである。
【図8】液晶光学素子に電圧を印加したときの配光パターンを撮影した写真である。
【図9】本発明に係わる実施例2の液晶光学素子の断面図である。
【図10】本発明の液晶光学素子を使用したストロボ装置の断面図である
【図11】本発明の液晶光学素子の指向特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】同じく、本発明の液晶光学素子の指向特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】本発明の液晶光学素子のパラメータの数値を変えたときの配光特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】同じく、本発明の液晶光学素子のパラメータの数値を変えたときの配光特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図15】本発明の液晶光学素子に係わる他のプリズムアレイの斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 透明電極
2 ガラス基板
3 補強材
4 金型
5 UV硬化樹脂
6 プリズムアレイ
7a、7b ギャップコントロール材
8 メインシール材
9 セルギャップ
10 液晶
11 液晶光学素子
12 LED
13 液晶層
14 プリズム
15 リフレクタ
16 Xe管
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを使用したストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストロボ装置は、主に光源となるXe管、Xe管からの発せられた光を照射方向に向けるリフレクタおよびリフレクタからの光を集光するレンズ等で構成されている。そのうち、レンズには通常、光量、配光等の所定の光学特性を得るためにフレネル等のカットが施されている。
【0003】
また、ストロボ装置の照射範囲を制御するためには、光源の光軸方向にレンズを動かして光源とレンズとの相対距離を変え、それによってレンズを介して出射される光束を平行光束〜発散光束の範囲で調整するようなメカ機構のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、特に、DSC(デジタルスチルカメラ)等の小型化が進むカメラ製品の内蔵ストロボにおいては機械的可動領域を設けるような容積増加に対しては承認さないことが多く、そのため配光制御にメカ機構を採用することは極めて困難なことである。
【0005】
また、DSCを含むコンパクトカメラに採用されている内蔵ストロボは、一般的に左右方向の開口幅が広いために適切なリフレクタ設計を行なうことによって上下方向に対する所望の配光特性を得ることが可能となる。
【0006】
一方、左右方向の配光特性については、上下方向の開口幅が狭いためにリフレクタ設計で所望の配光を得る余地が制約され、光源からの直射光に依存せざるを得ない状況にある。このことは、開口の左右方向の幅を縮小できない理由ともなっており、カメラ製品の設計の自由度を低下させる要因ともなるものである。
【0007】
ストロボの照射範囲の制御方法には、拡散度の異なる複数の拡散板を適宜交換自在に支持できるような構造も考えられる。
【0008】
その場合、外付ストロボは内蔵ストロボに比べて一般的に大型で光出力が大きいために、比較的拡散度の大きい拡散板によって撮影範囲よりも広い範囲を照明する手法が採用されることがある。但し、この手法は拡散板の交換作業に時間がかかるためにシャッターチャンスを逃す可能性があると共に、近くの主被写体と遠くの背景を一様な拡散板を介して照明するために主被写体と背景の夫々における照射光量に差が生じ、目的にそぐわない写真となってしまう。
【0009】
コンパクトカメラの内蔵ストロボは、実装容積、消費電力等の制約から外付大型ストロボのような実装構造、操作方法を採用することは不可能である。そこで、メカ機構を用いない配光制御技術として、以下に示すようなものがある。
【0010】
それは、ストロボと被写体の間に液晶高分子層をマトリックス駆動するストロボ拡散板を配置し、該ストロボ拡散板に強弱の電圧を印加することによって透明状態から拡散状態までを無段階に制御する。それによって、撮影範囲内の多くの照射光量が必要な部分には透過状態、少ない照射光量で十分な部分には拡散状態を夫々選択して、良好な照射光量分布を実現するものである(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−90822号公報
【特許文献2】特開平10−26793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の、液晶光学素子を使用したストロボ装置には以下のような問題があった。それは、
(1)従来の液晶光学素子は、そのほとんどがガラス基板上に形成された凹凸形状を有する膜(凹凸膜)の上に液晶分子の配列を促す為の配向膜を形成し、配向膜上にラビング等による配向処理を施して一軸配向性の配向処理膜を得る構造のものであった。この場合、配向膜形成には高温加熱工程(180〜260℃、1〜2時間)が必要であり、そのため凹凸膜の材料に耐熱性を持たせる必要があることから材料選択の自由度に制約が加わることになる。また、微細な凹凸形状の上に均一な配向処理を施すことは非常に困難であり、配向不良等の問題を発生する恐れがあった。
(2)従来の液晶光学素子は、そのほとんどが偏光系であり、構成部材に偏光板を用いる、あるいは光源に偏光系のレーザ等を用いる必要があった。そのため、偏光板を用いた場合は光の利用効率が低下し、液晶光学素子の信頼性を損なう等の問題があり、偏光系のレーザを用いた場合はレーザ自体が高額である等の理由で用途が限定される問題があった。
(3)従来の液晶光学素子は、そのほとんどが凹凸膜の上にITO等からなる透明電極を形成する必要があった。この場合、ITO膜形成時の熱やプラズマの影響で凹凸膜がダメージを受けて形状や透過率に悪影響を及ぼすことがあった。この問題を回避するために低温でITO膜を形成すると透明電極の透過率(特に、短波長領域)が悪化するという問題が生じる。ITO膜の透過率を重視すると少なくとも300℃以上の熱処理が必要である。また、ITO膜をパターニングする場合、ITOのエッチング液によってITO膜の下に位置する凹凸膜がダメージを受けることがあった。そこで、この問題を回避するためにITO膜の上に凹凸膜を形成することが考えられるが、この場合は凹凸膜のために液晶層にかかる電圧が場所によって異なる現象が生じると共に、必要な印加電圧も高くなるといった問題があり、均一な光の制御状態が要求されるような用途においてはこのような構成は採用できなかった。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、透過率が高く、且つ印加電圧を変えることによって透過光の広がりを連続的に制御することが可能な液晶光学素子を使用して、ハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、対向する面に透明電極が形成された一対の透明基板に液晶が挟持された液晶光学素子であって、前記透明基板のうち少なくとも一方の透明基板の前記液晶と接する面には対向する面に向かう複数の凹凸を有する透明膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記凹凸は断面形状が直角三角形でることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項2において、前記直角三角形は該直角三角形の長辺が透過光の照射軸に対して角度を成していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項2または3のいずれか1項において、前記直角三角形が10〜100μmのピッチで配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記液晶を含む層はギャップコントロール材により間隔を保持されており、前記ギャップコントロール材の径は4.5〜100μmであることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、請求項2〜5のいずれか1項において、前記凹凸が線状の構造物であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、請求項6において、前記線状の構造物が、同心円状に形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記透明基板、前記透明膜および前記透明電極のいずれにも液晶配向処理が施されていないことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項9に記載された発明は、透明基板に透明電極を形成し、前記透明基板の前記透明電極側にUV硬化樹脂を滴下し、前記UV硬化樹脂を滴下した透明基板を補強材上に載置し、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側に金型を当ててプレスを行い、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側の反対面側からUV照射を行なって前記UV硬化樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項10に記載された発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子と、光源と、反射部と、制御装置を備え、前記制御装置で前記液晶光学素子を制御することによって前記液晶光学素子の配光制御が行なわれることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項11に記載された発明は、請求項10において、前記液晶光学素子の制御によって照射範囲が広がり、且つ前記光源の光軸に垂直な面に照射したときに前記照射範囲の中心部と周縁部の照射強度が略同等となる配光と、前記照射範囲の中心部に前記照射光が集中する配光との間の任意の配光が得られることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項12に記載された発明は、請求項10または11のいずれか1項において、前記光源が、LED、特に砲弾型パッケージを有するLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の液晶光学素子は、電圧を印加することによって液晶光学素子を透過する光の広がりを連続的に制御することが可能である。
【0026】
また、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、機械的作動部がなくてもハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボ装置を実現することが可能となる。
【0027】
更に、液晶光学素子は一般的な液晶表示素子と違って偏光板が不要であるために透過率が高く、通常は90%以上で、ARコートを施すことにより95%以上が確保できる。
【0028】
従って、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、照射光量が多い(明るい)ストロボ装置を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のストロボ装置は、光源と、光源からの光の向かう方向を制御する部材(例えば、リフレクタ)と、液晶光学素子と、液晶光学素子を電気的に制御する制御装置を備えており、液晶光学素子は対向する面の夫々に透明電極が形成された一対の透明基板で液晶を挟持し、少なくとも一方の透明基板の液晶と接する面には微小な複数の凹凸部が透明材料で形成されている。
【0030】
そして、制御装置によって透明電極を介して液晶に電圧を印加すると液晶分子の配列が変化して液晶層の屈折率値が変わる。すると、微小な透明凹凸部と液晶層との界面を透過する光の屈折角も変化し(スネルの法則による)、光の進行方向が変えられる。
【0031】
したがって、このような構成の液晶光学素子を使用することによって、光源から発せられた光の照射配光特性を電気的に且つ連続的に制御することができるストロボ装置が実現する。
【0032】
以下、この発明の好適な実施例を図1〜図15を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0033】
実施例1の製造方法を図1を参照して説明する。まず、(a)の工程において、夫々にITOからなる透明電極1が形成された一対のガラス基板2を用意する。ガラス基板2の仕様は、透明電極1の膜厚が80nm、ガラス基板の厚みが0.7mm、ガラスの材質は青板ガラスである。
【0034】
次に(b)の工程において、いずれか一方のガラス基板2の透明電極1が形成された側の面上に所定量のUV硬化樹脂5を滴下し、UV硬化樹脂5を滴下したガラス基板2を厚手の石英等からなる透光性を有する補強材3の上に載置する。そしてガラス基板2の樹脂滴下側から金型4を当ててガラス基板2を補強材3と金型4とでプレスする。
【0035】
その後、1分以上放置し、滴下されたUV硬化樹脂5がガラス基板2(あるいは透明電極1)と金型4との隙間を埋めた状態になったところで補強材3側から500mJ/cm2の紫外線を照射してUV硬化樹脂5を硬化させる。このとき、紫外線照射はUV硬化樹脂5を硬化させることが目的であるので照射量についてはあまり重要ではない。但し、透明電極1を形成するITOは紫外線を吸収する性質があるため、ITO膜の膜厚が変わるとUV硬化樹脂5を硬化させるために必要な照射量も変わる可能性があるのでその点については注意が必要である。
【0036】
UV硬化樹脂5の硬化後、プレスされていた金型4と補強材3からガラス基板2を取り外す。このときのガラス基板2の状態を図2に示している。ガラス基板2の透明電極1が形成された側の面上にUV硬化樹脂5によって断面鋸歯状の複数のプリズム14が直線状に平行に並設されてなるプリズムアレイ6が形成されている。個々のプリズム14の断面形状は高さが20μm、頂角が90°、2つの底角が夫々45°の微小な直角三角形の形状をしており、夫々の短辺がガラス基板2面上に位置するようにプリズムアレイ6が形成されている。図3はプリズムアレイ6を上方から見た顕微鏡写真と段差計で求めたプリズムアレイ6の断面形状である。
【0037】
次に(c)の工程において、ITOからなる透明電極1およびUV硬化樹脂による微小プリズムアレイ6が形成されたガラス基板2上の周縁部に、ギャップコントロール材7aを2〜5wt%含有したメインシール材8をスクリーン印刷もしくはディスペンサによって塗布する。
【0038】
ギャップコントロール材7aの径は、プリズムアレイ6のベース層の厚み20〜40μmとプリズム14部の高さ0〜20μmを含め液晶層の厚みが5〜30μmとなるような材料を選んで使用するが、本実施例では直径75μmのプラスチックボール(積水化学工業株式会社製)を採用した。これをシール材ES−7500(三井化学株式会社製)に4wt%添加してメインシール材8とした。
【0039】
また、他方のガラス基板2(あるいは透明電極1)上にはギャップコントロール材7bを散布する。ギャップコントロール材7bは直径15μmのプラスチックボール(積水化学工業株式会社製)を採用し、乾式のギャップ散布機を用いて散布する。なお、本実施例ではギャップコントロール材7bの直径を15μmとしているが、4.5〜100μmの範囲内にあることが望ましい。
【0040】
そして、上記2枚のガラス基板2を夫々のプリズムアレイ6とギャップコントロール材7bが対向するように互いに向かい合わせる。
【0041】
次に(d)の工程において、2枚のガラス基板2を重ね合わせ、プレス機等でガラス基板2の両側から圧力を加えた状態で熱処理を施してメインシール材8を硬化させる。本実施例では150℃で3時間の熱処理を行い、セル厚が5〜30μmの空セルを完成させた。なお、セルギャップ9の厚み(セル厚)はプリズムアレイ6の形状・寸法に係わって場所により異なるが、本発明における光学性能は後述するようにプリズムと液晶層の界面での両者の屈折率差が重要な要件となるため、セル厚が光学性能に影響を与えることはほとんどない。
【0042】
また、空セルをプリズムアレイ6側の上方から見た顕微鏡写真とその断面形状を示す図4によって、ガラス基板2上に散布されたギャップコントロール材7bは、空セルとして完成したときにはそのほとんどがプリズムアレイ6の凹部に収まることが分かる。
【0043】
最後に、(e)の工程において、空セルのセルギャップ9に液晶10を真空注入し、その後液晶注入口にエンドシール材(図示せず)を塗布して液晶10を封止することによって液晶光学素子11が完成する。液晶は誘電率異方性(Δε)が正で、屈折率異方性(Δn)が0.298(大日本インキ化学工業株式会社製)のものを採用した。
【0044】
なお、上記製造方法において、プリズムアレイを形成する工程で使用する金型にエアー抜き用の微小な溝を設けても良い。また、ガラス基板の重ね合わせ工程を真空中で行なっても良い。また、液晶光学素子の光制御部分(表示素子における画素に相当する部分)の透明電極は両基板ともベタパターンでも良いし、パターニングされたものでも良い。但し、一方のガラス基板側に電極端子を設けたい場合はパターニングを施す必要がある。なお、両ガラス基板ともにメインシール部分に電極が位置することは劣化の原因となる恐れがあり、液晶光学素子の信頼性の面からあまり好ましいことではない。
【0045】
上記製造工程を経て完成した液晶光学素子は、Δε>0の液晶を用い、配向処理を行なわないでアモルファス配向とすることで方位異方性を持たない構成となっている。また、液晶の屈折率は、電圧印加時(液晶応答時)ではUV硬化樹脂からなるプリズムアレイとほぼ等しく、電圧無印加時(液晶非応答時)ではプリズムアレイよりも大きくなる。
【0046】
上記製造工程を経て作製された液晶光学素子とLED光源を組み合わせて行なった配光可変実験について以下に示す。実験方法は図5に示すように、液晶光学素子11の下方に半値幅が約±10°の砲弾型LED12を配置し、LEDを点灯させた状態で液晶光学素子11に印加する電圧を変えることによって液晶層の屈折率値を変化させた。
【0047】
すると、図6に示すように、液晶光学素子11に電圧を印加(本実施例では50Vを印加)したときには液晶層13の屈折率が小さくなってプリズムアレイ6とほぼ同じとなり、液晶層13とプリズム14の界面で両者の屈折率差がほぼ無くなる。そのため、LED12光源から発せられた光は液晶層13とプリズムアレイ6を直進して外部に出射される(光線L1)。
【0048】
一方、液晶光学素子11に電圧を印加しないときには液晶層13の屈折率が大きくなってプリズムアレイ6よりも大きくなり、液晶層13とプリズム14の界面で両者の屈折率差が生じる。そのため、LED12光源から発せられた光は液晶層13とプリズム14の界面で屈折されて外部に出射される(光線L2)。
【0049】
したがって、液晶光学素子11に印加する電圧を連続的に変化させると液晶層13の屈折率が連続的に変わり、液晶層13とプリズム14の界面での両者の屈折率差も連続的に変わる。その結果、LED12光源から発せられて液晶光学素子11を透過した光の配光特性を連続的に可変制御することが可能となる(光線L3)。
【0050】
図7は液晶光学素子を通して得られた配光特性を示したグラフであり、縦軸は光強度(μW)、横軸はプリズムアレイのアレイ方向の視認角度(°)を示している。また、破線は液晶光学素子に対する電圧印加時の配光特性を表し、直線は電圧無印加時の配光特性を表している。つまり、破線はLED光源に近似した配光特性を示し、直線はLED光源の配光特性を可変制御して得られた、LED光源とは異なる配光特性を示すものである。
【0051】
この図より、液晶光学素子のプリズム効果によって、光源の配光特性に対して−40°〜−15°および15°〜40°の領域に照射光量の増加が見られ、配光特性の可変制御が可能であることが確認できた。このことより、液晶光学素子に印加する電圧を連続的に変化させることにより、破線と直線の夫々で表される配光特性に対する中間特性を得ることが可能となる。
【0052】
図8の(a)、(b)、(c)は液晶光学素子に夫々0V、10V、20Vの電圧を印加したときの配光パターンを撮影した写真である。写真から、印加電圧が低下するにつれて広がった配光パターンを形成することが分かる。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、上述した実施例1の液晶光学素子に対して、UV硬化樹脂からなるプリズムアレイの形状を図9のようにしたものである。具体的には、個々のプリズムの断面形状は高さが20μm、頂角が45°、底角の夫々が45°と90°の微小な直角三角形の形状をしており、長辺が透過光の照射軸に対して角度を成している。プリズムのピッチは20μmである。これにより、液晶光学素子のセル厚が5〜40μmとなっている。その他、材料および製造方法は実施例1と同様である。なお、本実施例ではプリズムのピッチを20μmとしているが、10〜100μmの範囲内にあることが望ましい。
【0054】
上記実施例2の液晶光学素子とストロボを組み合わせたものについて、その光学特性をシミュレーションによって検証したので、条件および結果について説明する。
【0055】
図10は液晶光学素子とストロボの構成を示したものである。断面弧状のリフレクタ15の内側にXe管16を配置し、リフレクタ15の開口を塞ぐように液晶光学素子11を配置する。液晶光学素子11の方向は、液晶光学素子11内に形成されたプリズムアレイ6のプリズム14の延長方向とXe管16の長手方向が同一となる方向(図面の奥行き方向)とする。
【0056】
そして、ガラス基板2およびプリズムアレイ6の屈折率を共に1.54、液晶の屈折率を電圧印加時を1.54、電圧無印加時を1.74と設定した。
【0057】
図11および図12にシミュレーションで得られた指向特性を示している。図11はプリズムアレイのアレイ方向の指向特性、図12はプリズムアレイのプリズム延長方向の指向特性である。また夫々の図中においては液晶光学素子に対する電圧印加時の指向特性および電圧無印加時の指向特性が示されている。
【0058】
図11では、電圧印加時に対して電圧無印加時の配光がハート状に広がっているが、それに対し図12では、電圧印加時と電圧無印加時の配光はほとんど変わっていない。このことから分かるように、液晶光学素子をプリズムアレイのアレイ方向を上下方向とてストロボに取り付けることにより、ストロボ照射したときに上下方向に広がった照射配光パターンを形成することができることになる。
【0059】
本発明の液晶光学素子は制御パラメータを変化させることによって、それに伴う配光特性を示す。図13は液晶層の屈折率をパラメータとし、屈折率を1.54〜1.74まで変化させたときの液晶光学素子によるプリズムアレイのアレイ方向の配光特性の変化をシミュレーションによって求めたものであり、図14はプリズムアレイのプリズムの頂角をパラメータとし、頂角を90°〜140°まで変化させたときの液晶光学素子によるプリズムアレイのアレイ方向の配光特性の変化をシミュレーションによって求めたものである。
【0060】
図13より、液晶層の屈折率が大きくなるにつれて放射強度分布のピーク値が下がると共に、放射強度分布が広がっていることが分かる。つまり、液晶光学素子に印加する電圧を変えることによって液晶層の屈折率値が変わり、その結果、放射強度分布(配光特性)を制御することができることをシミュレーション結果が示している。
【0061】
また、図14より、プリズムアレイのプリズムの頂角が大きくなるにつれて放射強度分布のピーク値が下がると共に、放射強度分布が広がっていることが分かる。つまり、液晶光学素子の液晶層の屈折率値を一定にした場合、プリズムアレイのプリズムの頂角を適宜設定することによって所望する放射強度分布(配光特性)を実現することが可能であることをシミュレーション結果が示している。
【0062】
なお、液晶光学素子内に形成されたプリズムアレイは、断面鋸歯状の複数のプリズムが直線状に平行に並設された形状であったが、所望する配光特性を考慮して図15に示すような断面鋸歯状の複数のプリズムが同心円状に平行に並設された形状であっても良い。これにより、放射状に広がった配光特性を得ることができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の液晶光学素子は、印加する電圧を変えることによって液晶光学素子を透過する光の広がりを連続的に制御することが可能である。
【0064】
また、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、機械的作動部がなくてもハート状配光パターン(特に、上下方向の配光制御を強調した平面配光パターン)を有するストロボ装置を実現することが可能となる。
【0065】
更に、本発明の液晶光学素子は一般的な液晶表示素子と違って偏光板が不要であるために透過率が高く、通常は90%以上で、ARコートを施すことにより95%以上が確保できる。
【0066】
従って、ストロボ装置にこのような液晶光学素子を使用することによって、照射光量が多い(明るい)ストロボ装置を実現することが可能となる。
【0067】
なお、本発明の液晶光学素子は、Xe管あるいはLEDを光源とするストロボ装置としてビデオカメラ、防犯カメラ、車載カメラ等の動画撮影用カメラ全般、デジタルスチルカメラ全般、および、LEDを光源とするストロボ装置としてカメラ付携帯電話、ムービー用補助光源等に使用できる。
【0068】
また、配光制御手段として、普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等の自動車用灯具、および、オートバイ、自転車等の二輪車用灯具、および、屋内照明、街路灯、懐中電灯等の一般照明器具等に使用できる。
【0069】
更に、光学系として、レーザプリンタ、スキャナ、コピー機等の事務機器等に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の液晶光学素子の製造工程図である。
【図2】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子のプリズムアレイの斜視図である。
【図3】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子のプリズムアレイを上方から見た顕微鏡写真およびその断面図である。
【図4】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子を上方から見た顕微鏡写真およびその断面図である。
【図5】本発明に係わる実施例1の液晶光学素子を使用した配光可変実験の実験方法を示す概略図である。
【図6】本発明の液晶光学素子の液晶層とプリズムアレイの界面近傍を示す部分断面図である。
【図7】配光可変実験において液晶光学素子を通して得られた配光特性を示したグラフである。
【図8】液晶光学素子に電圧を印加したときの配光パターンを撮影した写真である。
【図9】本発明に係わる実施例2の液晶光学素子の断面図である。
【図10】本発明の液晶光学素子を使用したストロボ装置の断面図である
【図11】本発明の液晶光学素子の指向特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】同じく、本発明の液晶光学素子の指向特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】本発明の液晶光学素子のパラメータの数値を変えたときの配光特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】同じく、本発明の液晶光学素子のパラメータの数値を変えたときの配光特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図15】本発明の液晶光学素子に係わる他のプリズムアレイの斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 透明電極
2 ガラス基板
3 補強材
4 金型
5 UV硬化樹脂
6 プリズムアレイ
7a、7b ギャップコントロール材
8 メインシール材
9 セルギャップ
10 液晶
11 液晶光学素子
12 LED
13 液晶層
14 プリズム
15 リフレクタ
16 Xe管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する面に透明電極が形成された一対の透明基板に液晶が挟持された液晶光学素子であって、前記透明基板のうち少なくとも一方の透明基板の前記液晶と接する面には対向する面に向かう複数の凹凸を有する透明膜が設けられていることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項2】
前記凹凸は断面形状が直角三角形でることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項3】
前記直角三角形は該直角三角形の長辺が透過光の照射軸に対して角度を成していることを特徴とする請求項2に記載の液晶光学素子。
【請求項4】
前記直角三角形が10〜100μmのピッチで配置されていることを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項5】
前記液晶を含む層はギャップコントロール材により間隔を保持されており、前記ギャップコントロール材の径は4.5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項6】
前記凹凸が線状の構造物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項7】
前記線状の構造物が、同心円状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶光学素子。
【請求項8】
前記透明基板、前記透明膜および前記透明電極のいずれにも液晶配向処理が施されていないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項9】
透明基板に透明電極を形成し、前記透明基板の前記透明電極側にUV硬化樹脂を滴下し、前記UV硬化樹脂を滴下した透明基板を補強材上に載置し、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側に金型を当ててプレスを行い、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側の反対面側からUV照射を行なって前記UV硬化樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とする液晶光学素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子と、光源と、反射部と、制御装置を備え、前記制御装置で前記液晶光学素子を制御することによって前記液晶光学素子の配光制御が行なわれることを特徴とするストロボ装置。
【請求項11】
前記液晶光学素子の制御によって照射範囲が広がり、且つ前記光源の光軸に垂直な面に照射したときに前記照射範囲の中心部と周縁部の照射強度が略同等となる配光と、前記照射範囲の中心部に前記照射光が集中する配光との間の任意の配光が得られることを特徴とする請求項10に記載のストロボ装置。
【請求項12】
前記光源が、LED、特に砲弾型パッケージを有するLEDであることを特徴とする請求項10または11のいずれか1項に記載のストロボ装置。
【請求項1】
対向する面に透明電極が形成された一対の透明基板に液晶が挟持された液晶光学素子であって、前記透明基板のうち少なくとも一方の透明基板の前記液晶と接する面には対向する面に向かう複数の凹凸を有する透明膜が設けられていることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項2】
前記凹凸は断面形状が直角三角形でることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項3】
前記直角三角形は該直角三角形の長辺が透過光の照射軸に対して角度を成していることを特徴とする請求項2に記載の液晶光学素子。
【請求項4】
前記直角三角形が10〜100μmのピッチで配置されていることを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項5】
前記液晶を含む層はギャップコントロール材により間隔を保持されており、前記ギャップコントロール材の径は4.5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項6】
前記凹凸が線状の構造物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項7】
前記線状の構造物が、同心円状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶光学素子。
【請求項8】
前記透明基板、前記透明膜および前記透明電極のいずれにも液晶配向処理が施されていないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項9】
透明基板に透明電極を形成し、前記透明基板の前記透明電極側にUV硬化樹脂を滴下し、前記UV硬化樹脂を滴下した透明基板を補強材上に載置し、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側に金型を当ててプレスを行い、前記透明基板の前記UV硬化樹脂滴下側の反対面側からUV照射を行なって前記UV硬化樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とする液晶光学素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子と、光源と、反射部と、制御装置を備え、前記制御装置で前記液晶光学素子を制御することによって前記液晶光学素子の配光制御が行なわれることを特徴とするストロボ装置。
【請求項11】
前記液晶光学素子の制御によって照射範囲が広がり、且つ前記光源の光軸に垂直な面に照射したときに前記照射範囲の中心部と周縁部の照射強度が略同等となる配光と、前記照射範囲の中心部に前記照射光が集中する配光との間の任意の配光が得られることを特徴とする請求項10に記載のストロボ装置。
【請求項12】
前記光源が、LED、特に砲弾型パッケージを有するLEDであることを特徴とする請求項10または11のいずれか1項に記載のストロボ装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3】
【図4】
【図8】
【図15】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3】
【図4】
【図8】
【図15】
【公開番号】特開2008−89782(P2008−89782A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268556(P2006−268556)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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