説明

液晶組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】基材面に対する密着性に優れた位相差層を形成することのできる液晶組成物、それを用いたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】1種または2種以上の架橋性液晶化合物と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた少なくとも1種とを含有することを特徴とする液晶組成物、およびこれを基材に塗布して形成した位相差層を備えるカラーフィルタならびに該カラーフィルタを表示側基板とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶組成物、該液晶組成物よりなる位相差層を有するカラーフィルタ及び該カラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点を持つため、パーソナルコンピューターや携帯電話、電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。これらの液晶表示装置は、駆動液晶材料の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っている。したがって、液晶表示装置は駆動液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性が存在し、この問題を解決するために各種の位相差層形成フィルムが開発されている。この位相差層形成フィルムは通常、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のフィルムの延伸によって作製され、2枚の基板で駆動用液晶材料を挟み込んでなる液晶セルの外側に設置される。また、最近では架橋性液晶材料や高分子液晶材料を用いて液晶セルの内側に位相差層を設置する方法が提案されており(特許文献1)、液晶セルの内側に位相差層を設置することで上記フィルムが不要となるため、高い機械的強度と耐熱性が得られ、さらには吸湿変形を抑制することが出来る。
【0003】
【特許文献1】特開2000−221506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、架橋性液晶材料を架橋させて形成した位相差層は、架橋性液晶材料自体に接着に関与する部位が乏しいため、液晶セル内側の基材との密着性が低く、長期間の密着信頼性が乏しいといった問題が有った。
この密着性の問題を解決するために、基材と位相差層との間に、該基材と該位相差層との密着性を高めるための接着層を形成するか、架橋性液晶材料と接着性の高い物質を用いて基材表面を改質する層を形成する等の方法も考えられる。しかしこれらの方法では、液晶表示装置の厚みを増す結果となり薄型軽量化の観点から望ましくない上、製造工程数を増やすという問題もある。また基材と位相差層との間に非等方性の層を形成することによって液晶装置に透過される光の乱反射を招く原因となる虞もある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、基材と位相差層との間に第3の層を形成することなく、長期にわたり基材との密着性に優れた位相差層を液晶ディスプレイ等の画像表示装置に設けることができる、液晶組成物、それを用いたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶組成物は、架橋性液晶化合物に対し、特定のシランカップリング剤を配合することによって、上記架橋性液晶化合物を重合固定して得られる位相差層の基材密着性を向上することを実現するものである。
【0007】
即ち本発明は、
(1)1種または2種以上の架橋性液晶化合物と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた少なくとも1種とを含有することを特徴とする液晶組成物、
(2)上記架橋性液晶化合物の少なくとも1種が、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とする上記(1)に記載の液晶組成物、
(3)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の1種又は2種以上を、合計で1〜20重量%(対配合物換算値)含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の液晶組成物、
(4)アミノ系シランカップリング剤を0.01〜20重量%(対配合物換算値)含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の液晶組成物、
(5)シランカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の1種又は2種以上とを、合計で0.01〜20重量%(対配合物換算値)含有する上記(1)又は(2)に記載の液晶組成物、
(6)上記アミノ系シランカップリング剤は、分子構造中にケチミン構造を有するケチミン系シランカップリング剤であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の液晶組成物、
(7)上記(1)乃至(6)に記載の液晶組成物であって、該液晶組成物を基材表面に塗付し、光硬化及び焼成することにより塗膜を形成し、次いで上記塗膜を温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験を行ったときに、上記塗膜の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下を示すことを特徴とする液晶組成物、
(8)透明基板上に、位相差層と着色層とが設けられ、前記位相差層が上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の液晶組成物中に含有される架橋性液晶化合物を配向させた状態で架橋重合させて形成されたものであることを特徴とするカラーフィルタ、
(9)位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の上記スルフィド系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である上記(8)に記載のカラーフィルタ、
(10)位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の上記メルカプト系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である上記(8)に記載のカラーフィルタ、
(11)位相差層が、少なくとも99.89〜70重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び0.01〜20重量%(対配合物換算値)の上記アミノ系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下であることを特徴とする上記(8)に記載のカラーフィルタ、
(12)位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である上記(8)に記載のカラーフィルタ、
(13)位相差層が、少なくとも99.89〜70重量%(対配合物換算値)の上記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤と、上記スルフィド系シランカップリング剤、上記メルカプト系シランカップリング剤、上記アミノ系シランカップリング剤、及び上記(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた2種以上のシランカップリング剤0.01〜20重量%(対配合物換算値)とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である上記(8)に記載のカラーフィルタ、
(14)位相差層がホメオトロピック配向していることを特徴とする上記(8)乃至(13)のいずれかに記載のカラーフィルタ、
(15)表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、上記表示側基板が上記(8)乃至(14)のいずれかに記載のカラーフィルタであることを特徴とする液晶表示装置、
を要旨とするものである。
【0008】
尚、本明細書において用いられるいくつかの用語について以下のとおり定義する。
「液晶組成物」とは、少なくとも架橋性液晶化合物と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた少なくとも1種とを含み、さらに位相差層を形成するために用いられる他の物質が配合された混合物である組成物(混合形態組成物)、及び上記混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させて調製した溶液状態である組成物(溶液形態組成物)の両方を意味する。また本明細書中、特に上述した「溶液状態である組成物」である本発明の液晶組成物のことを、便宜上「液晶組成物溶液」とも呼ぶ。
【0009】
「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタアクリロイル基」の2つの官能基の総称として用いるものとする。尚、アクリロイル基の例としてはアクリレート基(アクリロイロキシ基)、メタアクリロイル基としてはメタクリレート基がある。
【0010】
「対配合物換算値」とは、本発明の液晶組成物が上記混合形態組成物である場合には、該混合形態組成物を構成する物質として配合される各配合物の総重量を100としたときの各配合物の重量比を意味し、また、本発明の液晶組成物が上記配合物を溶媒で溶解あるいは混合した溶液である上記溶液形態組成物である場合には、溶液の重量から溶媒の重量を引いた重量(即ち、溶媒に溶解或いは懸濁する前の各配合物の総重量)を100としたときの各配合物の重量比を意味する。
【0011】
「位相差層」とは、光の位相差(リタデーション)変化に対して光学補償することができる位相差制御機能を有する層を意味する。
【0012】
「ホメオトロピック配向」とは、位相差層を構成する液晶分子の光軸が基板面に対して垂直又は略垂直に立ち上がっている配向状態をいう。また「位相差層がホメオトロピック配向している」とは、位相差層を構成する液晶分子が、基板面に対して垂直配向していることをいう。尚、本発明において、液晶分子の理想的な垂直配向(ホメオトロピック配向)とは、位相差層の厚さ方向をz軸にしてxyz直交座標を想定したとき、x軸方向の屈折率nxとy軸方向の屈折率nyがほぼ同じ値になり、かつ測定角度が0°の時の位相差値が4nm以下の場合をいい、好ましくは3.5nm以下の場合をいい、より好ましくは3nm以下の場合をいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液晶組成物は、架橋性液晶化合物に、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の少なくとも1種を組み合わせて用いることにより、本発明の液晶組成物をガラス基板、着色層あるいは配向膜等の基材上に塗布して該液晶組成物中に含有される架橋性液晶化合物を配向、硬化させた場合に、優れた視野角改善効果を発揮する位相差層を形成できるとともに、基材に対する該位相差層の密着性を良好なものとすることができる。このため本発明の液晶組成物を用いて形成された位相差層を備えるカラーフィルタやこのカラーフィルタを表示側基板として用いた液晶表示装置は、長期間に亘って優れた視野角改善効果を発揮する。
【0014】
また、本発明によれば、液晶組成物に分子構造中にケチミン構造を有するケチミン系シランカップリング剤が含まれることで、透明性に飛躍的に優れた位相差を得ることが可能となるという効果を奏する。
【0015】
そして上記ケチミン系シランカップリング剤を含有して構成される位相差層を備えるカラーフィルタであれば、上述のとおり位相差層の透明性が非常に高いので、高コントラストが実現され、より高品質な画像を提供することが可能である。
【0016】
しかも本発明の液晶組成物であれば、基材上にこれを塗布して塗膜を形成し、該塗膜に含まれる架橋性液晶組成物を配向させ硬化させて位相差層を形成するだけで、上述する位相差層と基材との密着性の向上効果を得ることができる。したがって、基材と位相差層との間にさらに接着層などの別の層を形成する必要がないので特に製造工程を増やすことがなく、また基材と位相差層と着色層とを有するカラーフィルタの厚みを増やすこともなく有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の液晶組成物は、架橋重合可能な分子構造を有する架橋性液晶化合物と、スルフィド基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基の少なくとも1種を有するシランカップリング剤とを組み合わせてなる組成物であり、また上記物質を溶媒に添加した組成物溶液である。
【0018】
<架橋性液晶化合物について>
本発明の液晶組成物に用いられる架橋性液晶化合物としては、架橋性を有するネマチック液晶化合物(架橋性ネマチック液晶化合物)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶化合物としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶化合物として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】

【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
化1に示す一般式(1)において、RおよびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶化合物が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはd=eがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、本発明の液晶組成物に用いるには好ましくない。上記した化1〜化4では架橋性液晶化合物のモノマーを例示したが、架橋性液晶化合物のオリゴマーや架橋性液晶化合物のポリマー等も、従来より用いられているもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に位相差膜のリタデーション量及び配向特性は、架橋性液晶化合物の複屈折Δnと、位相差層の膜厚により決定されるところ、架橋性液晶化合物のΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。かかる複屈折率を達成することで、一般的な塗布装置による液晶組成物の塗工により、波長λの可視光を透過させた場合にλ/4やλ/2などの所望の位相差を得ることのできる位相差層が形成される。
【0024】
液晶組成物に配合される架橋性液晶化合物として、上記した化1、化2、化3、化4では重合性を備える液晶(重合性液晶)のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記した化1、化2、化3、化4などのオリゴマーやポリマーなどといった公知なものを適宜選択して用いることができる。
【0025】
架橋性液晶化合物は、本発明の液晶組成物において、70重量%(対配合物換算値)以上、好ましくは75重量%(対配合物換算値)以上となるように含有されることが好ましい。添加量を70重量%(対配合物換算値)以上とすることにより液晶性が向上し、位相差層における架橋性液晶化合物の配向不良の発生を無視し得る程度に低減することができる。架橋性液晶化合物の添加が70重量%(対配合物換算値)以上では、液晶分子の配向性の観点から特に問題になることはないので、液晶組成物における他の添加剤の配合量とのバランスで、添加量を適宜決定することができる。ただし架橋性液晶化合物に特定の作用を付与し、あるいは本発明の液晶組成物を用いて形成される位相差層に特定の機能を付与するためのさらなる添加剤を添加することが必要な場合には、架橋性液晶化合物の添加量は上述の限りではない。かかる場合には、他の添加剤の添加量を考慮し、適宜、架橋性液晶化合物の添加量を決定してよい。例えば、一般的に以下のカイラル剤を添加して形成される所謂負のCプレートを得る場合などについては、架橋性液晶化合物の添加量が70重量%未満になることを除外するものではない。
【0026】
<カイラル剤について>
本発明において、上記架橋性ネマチック液晶にカイラル剤を添加した、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶も好適に用いることができる。カイラル剤は、液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートを形成する際に用いられる。
【0027】
カイラル剤は光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物が好ましい。カイラル剤は、化1に示す化合物(I)、化2に示す化合物(II)や化3、化4に示す化合物(III)が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。カイラル剤としては下記、化5に示す化合物を例示することができるが、化1に示す化合物(I)、化2に示す化合物(II)や化3、化4に示す化合物(III)と溶液状態或いは溶融状態で相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できるものであれば、化5に示す化合物に限定されない。しかしながら分子の両末端に架橋性官能基を有するものが、耐熱性の良い光学素子を得る上で好ましい。カイラル剤は分子内に光学活性な部位を有する化合物であることが重要である。
【0028】
本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。例えば市販のカイラルネマチック液晶、より具体的にはMerck社製S−811等を用いることができる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招き、また非重合性のカイラル剤の場合には架橋性液晶の硬化性の低下、硬化フィルムの電気的信頼性の低下を招く虞があり、更に光学活性な部位を有するカイラル剤の多量使用はコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、液晶性高分子の配向に螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には化5に記載する一般式(3)〜(5)で表されるような化合物であって、分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。
【0029】
【化5】

【0030】
一般式(3)〜(5)において、R4は水素又はメチル基を示し、Yは下記、化6、化7に示す(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、中でも式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)の何れか一つであることが好ましい。またアルキレン基の繰り返しを示すcとdは、それぞれ個別に2〜12の範囲であることがさらに好ましい。cとdのいずれかまたは両方の値が0又は1である化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、cまたはdの値がともに13以上である化合物は、融点(Tm)が低い。換言すると、cとdの値がともに上記好ましい範囲のカイラル剤を用いると、上記化合物(I)および化合物(II)に例示される架橋性液晶モノマーとの相溶性が十分に得られるという利点がある。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力や最終的に得られる位相差層のコレステリック性を考慮して決められる。具体的な配合量の範囲は、架橋性液晶化合物の種類等により大きく異なるものではあるが、一般に液晶組成物の対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合する。特に好ましいカイラル剤の配合量は、配合物中の含有率が1〜10重量%となる量である。カイラル剤の配合量の割合が対配合物換算値で0.01重量%未満の場合、液晶組成物に十分なコレステリック性を付与できない場合があり、また30重量%を超える場合は、架橋性液晶化合物の配向が阻害され、硬化させる際に硬化速度の低下や架橋密度の低下といった悪影響を及ぼす虞がある。特にカイラル剤の配合量が上記1〜10重量%である場合、負のCプレートの配向性と架橋硬化性をともに十分に高め、位相差層の良好な光学特性を得ることができる。
尚、本発明で用いるカイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではないが、得られる位相差層の熱安定性等を考慮すると、上述した架橋性液晶化合物と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な架橋性カイラル剤を用いることが好ましい。特に、分子の両末端に架橋性官能基があることが、耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。
【0034】
<シランカップリング剤について>
液晶組成物に配合されるシランカップリング剤としては、その分子構造中に官能基として、スルフィド基を有するシランカップリング剤(すなわちスルフィド系シランカップリング剤)、メルカプト基を有するシランカップリング剤(すなわちメルカプト系シランカップリング剤)、アミノ基を有するシランカップリング剤(すなわちアミノ系シランカップリング剤)、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(すなわち(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤)のいずれかを少なくとも1種、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
尚、本明細書において、アミノ系シランカップリング剤をなす「分子構造中に官能基としてアミノ基を有するもの」には、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのほか、「アミノ基が可逆的にマスクされた構造をなした状態にて分子構造中に含有されるもの」も含まれるものとする。ここで「可逆的にマスクされた構造」としては、具体的に、ケチミン構造を挙げることができる。ケチミン構造は、ケトン基を有する化合物におけるそのケトン基と、第1級のアミノ基を有する化合物におけるそのアミノ基とが反応することで形成される構造である。
【0036】
このようなメルカプト系シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−802)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803、東芝シリコーン社製TSL8380)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(Gelest社製SIM6475.0)、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン(Gelest社製SIM6480.0)、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン(Gelest社製SIM6473.0)、S−(オクタノイル)メルカプトプロピルトリエトキシシラン(Gelest社製SIM6704.0)等を挙げることができる。
またスルフィド系シランカップリング剤としては、例えば、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(信越化学社製KBE−846)、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(Gelest社製SIB1824.6)、ビス[m-(2−トリエトキシシリルエチル)トリル]ポリスルフィド(Gelest社製SIB1820.5)等を挙げることができる。
またアミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−602、東芝シリコーン社製TSL8345)、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603、東芝シリコーン社製TSL8340)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE−603、東芝シリコーン社製TSL8331)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE−903)、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−573)等を挙げることができる。
また(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−502、東芝シリコーン社製TSL8375)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503、東芝シリコーン社製TSL8370)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製KBE−502)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE−503)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−5103)、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(Gelest社製SIA0200.0)、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン(Gelest社製6482.0)、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン(Gelest社製6483.0)等を挙げることができる。
シランカップリング剤は異なる2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明において用いるシランカップリング剤としては、アミノ系シランカップリング剤が本発明の所期の目的を達成する上で好ましく、その中でもケチミン構造を有するアミノ系シランカップリング剤(即ち、ケチミン系シランカップリング剤)が用いられることにより、透明性に飛躍的に優れた位相差層を形成できるようになる点で、特に好ましい。
【0037】
上記ケチミン系シランカップリング剤の具体的な例としては、上記した3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)のほか、3−トリメトキシシリル−N−(ジエチル−メチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1エチル−プロピリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1エチル−ペンチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1メチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(2,2’ジメチル−ペンチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1,2メチル−プロピリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(ジプロピル−メチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(シクロペンチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(シクロヘキシリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(2メチルシクロヘキシリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(4メチルシクロヘキシリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(ベンジリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(ヘキシリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(ヘプチリデン)プロピルアミン、6−トリメトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)ヘキシルアミン、10−トリメトキシシリル−N−(1,3メチル-ブチリデン)デシルアミン、10−トリメトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)デシルアミン、トリメトキシシリル−N−(1,3メチル-ブチリデン)メチルアミン、(トリメトキシシリル)エチル−N−(1,3メチル-ブチリデン)ベンジルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1メチル−プロピリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1メチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1ジメチル−ペンチリデン)プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンを例示列挙することができる。
【0038】
スルフィド系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤のいずれか1種又は2種以上を併用する場合、これらの合計の配合物中の含有量が1〜20重量%となるように添加することが好ましく、1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量となるように添加する。1重量%以上添加することによって特に位相差層と基材との密着性を十分なものとすることができる。また添加量を20重量%以下とすることで、シランカップリング剤の添加により位相差層中の液晶化合物の配向不良、あるいは位相差層の電気信頼性の低下を無視できる程度に抑えることができる。
【0039】
またアミノ系シランカップリング剤を単独で含有させる場合、或いはアミノ系シランカップリング剤と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の1種又は2種以上とを併用する場合、これらの合計の配合物中の含有量が0.01〜20重量%となるように添加することが好ましく、特に0.01〜5重量%となるように添加することがより好ましく、0.01〜2重量%添加することがさらに好ましく、0.1〜2重量%添加することがさらに好ましい。0.01重量%以上添加することによって特に位相差層と基材との密着性を十分なものとすることができる。また添加量を20重量%以下とすることで、シランカップリング剤の添加により位相差層中の液晶化合物の配向不良、あるいは位相差層の電気信頼性の低下を無視できる程度に抑えることができる。
【0040】
<光重合開始剤について>
本発明の液晶組成物を紫外線照射にて重合硬化させる場合、光重合開始剤を配合するとよい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントンおよびチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、互いの吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる開始剤を組み合わせるのが良い。
【0041】
光重合開始剤は、液晶の配向を大きく損なわない範囲で添加することが必要であり、液晶組成物の対配合物換算値で0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%となるように添加する。
【0042】
尚、本発明の液晶組成物には光重合開始剤のほか、その目的が損なわれない範囲で重合速度を制御可能に抑制する重合禁止剤を添加してもよく、また紫外線などの電磁波の吸収を補助するための増感剤、界面活性剤を添加することもできる。重合禁止剤の例としては、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチル・パラクレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトールまたはアセトアニジンアセテートなどを用いることができる。
【0043】
<溶媒について>
本発明の液晶組成物は、塗布性を向上させるために上記溶質成分を溶媒に溶解した液晶組成物溶液として用いることができる。溶媒としては上述した架橋性液晶化合物やシランカップリング剤等の溶質成分を溶解することが可能であり、かつ塗布する相手側素材の性能を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。単一種の溶剤を使用しただけでは、架橋性液晶化合物等の溶質成分の溶解性が不充分である場合や、塗布する相手方の素材が侵される虞がある場合等には、2種以上の溶剤を混合使用することにより、これらの不都合を回避することができる。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいものは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。液晶組成物溶液の濃度は、液晶組成物に用いる溶質成分の溶解性や位相差膜の所望する膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲になるように溶媒の量が決定される。
【0044】
本発明の液晶組成物は、液晶表示装置において視野角を調整するための位相差層を形成するために用いることができ、位相差層は例えば液晶表示装置のカラーフィルタに設けることができる。以下、位相差層を設けた本発明のカラーフィルタについて図面に基づいて例示的に説明する。
【0045】
図1は本発明の一実施態様を示すカラーフィルタ1である。カラーフィルタ1を形成するには、まず透明基板2上に配向膜5を設け、次いで、配向膜5上に本発明の液晶組成物溶液を塗布し、該液晶組成物溶液中に含有される架橋性液晶化合物を配向及び硬化させて位相差層3を形成する。さらに位相差層3の上面に、保護層10を設けた後、着色層4を形成する。そしてさらに着色層4の上面にも保護層10を設けた後、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された複数のスペーサー11を任意の間隔で配列させて、本発明のカラーフィルタ1が形成される。尚、図1に示すカラーフィルタ1には着色層4の前後に保護層10を形成したが、本発明において保護層の形成は必ずしも行わなくてよく、図面に示されるどちらか一方、或いは両方を省略することができる。またスペーサー11も省略可能である。
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に着色層と本発明の液晶組成物を用いて形成された位相差層とを備えていることが重要である。これにより、該位相差層が基材表面(即ち透明基板表面、着色層表面あるいは配向膜など)に対し、良好な密着性を発揮するカラーフィルタを提供することができる。
【0046】
<透明基板について>
透明基板2は光透過性を有し、光学的に等方性のものが好ましいが、必要に応じて局所的に光学的異方性または遮光性の領域を設けることもできる。また光透過率はカラーフィルタの用途に応じて適宜選定可能である。具体的には、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材か、次に列挙するような有機基材からなる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。透明基板2の厚さについても、用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
【0047】
<配向膜について>
透明基板2上に本発明の液晶組成物を用いて位相差層3を形成するに先だって、透明基板2上に配向膜5が設けられる。配向膜5は必ずしも必須ではないが、配向膜5を設けることにより液晶化合物の配向方向の制御が容易となるため、配向膜5を設けることが好ましい。配向膜5は透明基板2上にポリイミド等の配向性樹脂を塗布、乾燥させた後、ラビング処理や光配向処理することにより形成することができるが、ラビング処理や光配向処理は必ずしも行わなくても良い。また透明基板2上に酸化ケイ素を斜め蒸着することで配向膜5を形成することもできる。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
【0048】
<位相差層について>
位相差層3は、必要に応じて設けた配向膜5上に本発明の液晶組成物の溶液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥、硬化させることにより形成することができる。
液晶組成物溶液を基材上に塗布する方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法といった塗工方法、あるいはこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
配向膜5上に液晶塗布膜を形成した後、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶化合物に、予め定められた配向性を付与して架橋性液晶の分子を架橋重合させる。
【0049】
特に上記架橋性液晶化合物を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートを形成することができる。この場合、液晶組成物の塗布面には垂直配向膜を予め形成するか、または液晶組成物に垂直配向助剤を混合するとよい。
【0050】
垂直配向助剤の例としては、例えばレシチンや第四級アンモニウム界面活性剤などの垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)、N−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、長鎖アルキルアルコールまたはシランポリマーなどを挙げることができる。
【0051】
また別な配向を示す位相差層として、液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートを形成する場合、架橋性ネマチック液晶としては液晶組成物にさらに上述したカイラル剤を添加してなるコレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を好適に用いることができる。
【0052】
また、液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートを形成する場合、ラビング処理などを施した水平配向膜による配向規制力を架橋性液晶化合物に負荷するか、または空気界面に対する架橋性液晶化合物の表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を添加することで該分子を水平配向させることができる。
【0053】
液晶組成物を塗布した後、加熱して溶媒を除去するが、このときの熱を利用して液晶組成物中の架橋性液晶化合物を一定方向に配向させることが可能である。加熱温度は液晶組成物中に含まれる各素材の違いにより異なるが、通常70〜120℃であり、加熱時間は数分〜30分程度である。例えば、架橋性液晶化合物に垂直配向性を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる架橋性液晶が液晶相となる温度(液晶相転移温度)以上、架橋性液晶が等方相(液体相)となる温度(等方相転移温度)未満にすることで実施できる。
【0054】
また液晶組成物溶液中の溶媒を気化させ、同時に該液晶組成物中に含まれる架橋性液晶化合物を垂直配向させる別な方法としては、特に密閉容器内で圧力約1.5×10-1Torr以下に下げ減圧乾燥処理することにより液晶組成物溶液中の溶媒を気化させる方法がある。
上記減圧乾燥処理において、塗布膜を減圧状態とすることで塗布膜を過冷却状態にすることができ、塗布膜中に含まれる架橋性液晶化合物を垂直配向させることができる。次いで垂直配向した状態を保持したままこの塗布膜を有する基板を室温程度にする。これにより架橋性液晶化合物を、以後の工程で架橋反応させるまで、効率よくホメオトロピック配向させた状態に維持することができる。さらに残存する溶剤を除去するとともに塗布層に含まれる架橋性液晶化合物の配向を確実にするために塗布基板を焼成してもよい。焼成方法は、特に限定されるものではないが、例えばホットプレート上に塗布基板を設置し、70℃〜120℃の温度で、2分間〜30分間焼成することができる。
【0055】
次に液晶組成物に含まれる架橋液晶化合物や光重合開始剤などの感光波長の光を液晶塗布膜に照射することによって、液晶塗布膜中で配向を付与された架橋性液晶化合物同士の重合(架橋重合)を進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物に含まれる架橋性液晶化合物の種類及び添加される光重合開始剤の種類に応じて適宜選択される。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、液晶組成物の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。より具体的には、液晶組成物に含まれる光重合開始剤の吸収波長に応じて適宜選択される。例えば、紫外線などの活性放射線を照射して架橋性液晶化合物を架橋硬化させることができる。紫外線としては、波長200〜500nm程度のものが照射され、紫外線源としては高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。照射光量は架橋性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によっても異なるが、通常、10〜3000mJ/cm2程度である。紫外線照射後、更に加熱処理して光重合では硬化しきれなかった、未反応の架橋性液晶化合物を架橋させ、一定方向に配列した状態で三次元構造に重合させて位相差層3を形成する。紫外線照射後に加熱処理する際の温度、時間は、架橋性液晶の種類や組成に依存するが、通常、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の範囲で行われる。塗布した液晶組成物を架橋、硬化させて得られる位相差層3には所望の位相差量が得られる限りその厚みに特に制限はないが、生産性等を考慮して通常、0.5〜10μm程度が好ましい。
【0056】
<着色層について>
次いで着色層4について説明する。着色層4は、透明基板2上に所定波長領域の可視光を遮光するブラックマトリクス6を形成し、次いで所定波長領域の可視光を透過する着色画素である赤(R)のサブ画素7、緑(G)のサブ画素8、青(B)のサブ画素9を順次設けて形成される。
ブラックマトリクス6は、着色画素である赤(R)のサブ画素7、緑(G)のサブ画素8、青(B)のサブ画素9(以下、単に「着色画素7、8、9」ともいう)同士の重なり合いを防止するとともに、着色画素間の隙間を埋めて、近接する着色画素間からの光の漏れ(漏れ光)を抑制する等の働きを有する。したがって、ブラックマトリクス6は、透明基板2上において着色画素7、8、9の配置が予定される位置に対応する領域を、各着色画素毎に平面視上区画化するように形成される。そして、着色画素7、8、9は、それぞれ、ブラックマトリクス6により区画化された領域を平面視上被覆するようにして配置される。
ブラックマトリクス6は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に透明基板2面上にパターニングすることにより形成することができる。また、ブラックマトリクス6は、インクジェット方式等により、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
【0057】
上記ブラックマトリクス6に次いで形成される着色画素7、8、9は、赤色、緑色、青色各々について各色の波長帯の光を透過させる着色画素を所定のパターンに配置して形成される。着色画素を構成する赤(R)のサブ画素7、緑(G)のサブ画素8、青(B)のサブ画素9の配置形態としては、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型等種々な配置パターンを選択することができる。より具体的には、各色の着色画素7、8、9毎に、着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液の塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、所定形状にパターニングすることで形成することができる。また別の方法としては、着色画素7、8、9毎に、インクジェット方式等により、着色材料分散液を所定形状に塗布することによっても形成することができる。加えて、これら赤(R)のサブ画素7、緑(G)のサブ画素8、青(B)のサブ画素9に代えて、各色の補色の波長帯の光を透過させる着色画素を用いることも可能である。
尚、本発明における着色層4は、上述で例示した3色のサブ画素を備える場合に限定されるものではない。本発明における着色層は、例えば4色以上の着色画素を用いて構成されていてもよいし、あるいは単色または2色備えて構成されてもよい。またこれにあわせて、ブラックマトリクス6を省略することも可能である。
【0058】
また必要に応じ着色層4を形成する前に保護層10を設けることができる。保護層10は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料、または多官能エポキシを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂塗料を基材の表面に塗布し、さらにこれを乾燥および硬化させて形成することができる。保護層の硬化には、透明樹脂材料の性質に応じて例えばUV光を照射するなどの方法を採ることができる。
【0059】
着色層4あるいは保護層10の上面に、さらにスペーサー11を設けてカラーフィルタ1が得られる。スペーサー11は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなる光硬化性の感光性塗料を、位相差層3、着色層4または保護層10の上に塗布してこれを乾燥させ、さらにスペーサー11の形成予定位置に対応したマスクパターンを介して該塗料を露光硬化させた後、未硬化部分をエッチング除去し、さらに全体を焼成することにより形成される。
【0060】
図2は本発明のカラーフィルタ1の異なる態様を示すものである。図2のカラーフィルタ1は透明基板2の上にブラックマトリクス6を形成した後、赤(R)のサブ画素7、緑(G)のサブ画素8、青(B)のサブ画素9を順次設けて着色層4を形成し、この着色層4表面に必要に応じて配向膜5を設けた後、液晶組成物により位相差層3設け、その表面に必要に応じ、更に保護層10、スペーサー11を順次設けて構成されている。
【0061】
本発明のカラーフィルタは、上記カラーフィルタ1或いは2の実施態様から明らかなように、透明基板、位相差層、着色層の順に構成されていてもよいし、あるいは透明基板、位相差層、着色層の順に構成されていてもよい。本発明において、透明基板2、着色層4、または配向膜5などの表面に本発明の液晶組成物を直接塗布して該組成物中の架橋性液晶化合物を配向させ固定化し位相差層3を形成することにより、いわゆるインセル型の位相差層3を形成することが重要である。これにより、シート状に外部成形した位相差フィルムを接着剤などにより透明基板に貼り付ける従来の方式に比べ、カラーフィルタ1の全体を薄型化し、また該接着剤による光の散乱が防止できるとともに、位相差層3が透明基板2で保護されることからその耐熱性の向上や吸湿変形の抑制などの効果を得ることができる。
【0062】
<密着性の評価について>
基材と位相差層との密着性を向上させることのできる本発明においては、本発明の液晶組成物を用いて基材表面に位相差層を形成したときに、加速寿命試験後の該位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下であることが特に好ましい。評価基準が1以下の位相差層であれば、該位相差層を液晶表示装置等に用いた際に、基材との密着性が高く長期間に亘り十分な密着信頼性が得られるからである。したがって本発明のカラーフィルタ1では1以下であることが好ましい。
【0063】
加熱寿命試験には、タバイ製加速寿命試験機EHS−411Mを用い、100℃、100%RHで1時間行うものとする。具体的な剥離試験は、加速寿命試験後に温度23±2℃、湿度50±5%程度の環境下、位相差層3を塗工形成したサンプル基板に対して、格子状に、各方向に対して1mm間隔で6回カットを行い、5×5個の格子目を設ける。次に、幅25mm、幅25mmあたりの付着力10±1Nを有するテープを約75mm用い、テープの長手方向が格子の何れかの辺に平行となるように格子上に貼り付け、指でこすり付ける。そして、テープの端をつまみ上げ、テープの非粘着面と基材面とが約60°となる角度で、0.5〜1秒かけて引き剥がした後の格子の状態を以下の6段階で評価する。
【0064】
評価基準0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない状態。
評価基準1:クロスカット部分において塗膜に小さなはがれが観察されるが、クロスカット部分で影響を受けているのは、5%以下の状態。
評価基準2:カットの縁に沿って、及び/又はクロスカット部分においてはがれが観察される。クロスカット部分で影響を受けているのは明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
評価基準3:カットの縁に沿って、部分的又は全面的に著しいはがれが観察され、及び/又は数か所の格子の目において、部分的又は全面的にはがれ生じている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
評価基準4:カットの縁に沿って、部分的又は全面的に著しいはがれが観察され、及び/又は数か所の格子の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
評価基準5:分類4にも分類できないはがれ程度のいずれか(格子の目の全面が剥離している状態を含む)。
【0065】
温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層3の剥離強度を、JISK5600−5−6の評価基準で1以下とするためには、
(1)位相差層を、98.9〜70重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)のスルフィド系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成して形成する、
(2)位相差層を、98.9〜70重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)のメルカプト系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成して形成する、
(3)位相差層を、99.89〜70重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び0.01〜20重量%(対配合物換算値)のアミノ系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成して形成する、
(4)位相差層を、98.9〜70重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成して形成する、
(5)位相差層を、99.89〜70重量%(対配合物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及びアミノ系シランカップリング剤、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、及び(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれたシランカップリング剤の2種以上合計で0.01〜20重量%(対配合物換算値)とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成して形成する、
等の方法が挙げられる。
【0066】
本発明のカラーフィルタは液晶表示装置の表示側基板として用いることができる。図3に示す液晶表示装置12は、観察者側(図中上方に相当)に設置される表示側基板13に本発明のカラーフィルタ1を用い、表示側基板13と液晶駆動側基板14とがスペーサー11(一部省略)を介して対向しており、両者の間に駆動用液晶材料15を封入して液晶セル16が構成されている。ここで、位相差層3はカラーフィルタ1の透明基板2と、液晶駆動側基板14を構成する透明基板31との間に挟まれるよう配置され、いわゆるインセル型をなす。また透明基板2の着色層4とは反対側面には、透明導電膜21及び正のAプレート22が順に積層された機能層20が形成されている。そして表示側基板13の外側面には直線偏光板23が、液晶駆動側基板14の外側面には直線偏光板32が積層されている。
【0067】
液晶表示装置12がIPSモードの場合には、表示側基板13の直線偏光板23と、液晶駆動側基板14の直線偏光板32とは、互いの透過軸が直交するように配されている。
【0068】
液晶駆動側基板14は、透明基板31のインセル側(駆動用液晶材料15の封入される側)に駆動用回路33と、これにより電圧の負荷量を制御される駆動用電極34とが設けられている。
【0069】
尚、上述する液晶表示装置12は、本発明の一実施態様にすぎず、かかる構成により本発明の液晶表示装置が限定されるものではない。本発明の液晶表示装置は、少なくとも、本発明のカラーフィルタを表示側基板とし、該表示側基板と液晶駆動側基板とがスペーサーを介して対面し、両者の間に駆動用の液晶材料が封入されて構成されていることが重要である。かかる構成によれば、本発明の液晶組成物を用いて形成された位相差層が、基板間に存在する、いわゆるインセル型として実施されるため有利である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
下記化8に示す化合物(a)〜(d)を用い、下記組成の組成物Aを調製した。組成物Aは、特表2004−524385号公報の記載に準じ、以下に掲げる材料を混合することにより調製した。尚、以下に示す組成物Aにおける各物質の重量比は、組成物Aの総重量に対する各物質の重量比である。
【0071】
【化8】

【0072】
組成物A
化合物(a) 32.67重量%
化合物(b) 18.67重量%
化合物(c) 21.00重量%
化合物(d) 21.00重量%
ドデカノール 1.02重量%
BHT 0.04重量%
イルガキュアー907 5.60重量%
【0073】
次に、上記組成物Aに対して、シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−802)を1.0重量%(対配合物換算値)添加した後、濃度20%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解して本発明の液晶組成物溶液を得た。
次に透明基板として100×100mm、厚み0.9mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を用意した。
上記ガラス基板をスピンコーター(ミカサ社製 商品名1H−360S)にセットし、上記液晶組成物をガラス基板上にスピンコーティングした後、減圧乾燥した。次いで超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「商品名TOSCURE 751」)により、波長365nmの紫外線を20mW/cm2で10秒照射して架橋性液晶化合物を架橋させ、次いで230℃のオーブンを用いて30分焼成して膜厚1.0μmの位相差層を有する本発明のカラーフィルタを形成した。
【0074】
(評価1)
位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態は、波長589nmの光が位相差層を透過する際に生じる位相差を、次のように測定することによって評価した。なお、位相差の測定には、大塚電子社製のRETS−1250AVを用いた。
【0075】
図4に示すように、位相差は位相差層の表面上に互いに直交するx軸とy軸をとるとともにx軸とy軸に対して垂直なz軸を想定した。そして、z軸方向およびz軸に対してx軸方向及びy軸方向に傾斜する方向について光学素子の位相差を測定した。
【0076】
位相差の測定結果を図5に示す。x軸方向に傾斜する方向について測定された場合、y軸方向に傾斜する方向について測定された場合、いずれの場合でも光学素子に生じる位相差は、z軸を基準として対称性を示しており、これにより、光学素子の位相差層に含まれる架橋性液晶化合物がホメオトロピック配向していることが確認された。
【0077】
(評価2)
得られた位相差層の、温度100℃、湿度100%、で1時間の加速寿命試験後の基材面に対する密着性を、JISK5600−5−6に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。
【0078】
(評価3)
得られた位相差層の透明性を下記の方法により評価した。即ち、光学素子に形成された位相差層の透明性の評価を、位相差層の厚さ方向のヘイズを測定することによって行った。位相差層のヘイズの測定は、JIS K 7136に準じて測定した。なお、位相差層のヘイズの測定にあたり、測定機として、日本電色工業社製「NDH−2000」を用いた。その結果、実施例1のヘイズは1.3%であった。尚、評価1〜3の結果は、表1にまとめて示す。
【0079】
実施例2
シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803)を1.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0080】
実施例3
シランカップリング剤としてビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学社製KBE−846)を1.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0081】
実施例4
シランカップリング剤としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603)を0.01重量%(対配合物換算値)用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0082】
実施例5
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)を0.01重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0083】
実施例6
シランカップリング剤として3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)を0.01重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0084】
実施例7
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603)を5.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0085】
実施例8
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)を10.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0086】
実施例9
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製KBE−502)を1.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0087】
実施例10
シランカップリング剤としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603)を20.0重量%(対配合物換算値)用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0088】
実施例11
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)を20.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0089】
実施例12
シランカップリング剤として3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)を20.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0090】
実施例13
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)を1.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0091】
実施例14
シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−802)を10.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0092】
実施例15
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製KBE−502)を20.0重量%用いた以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0093】
実施例16
下記着色レジストを用いて、ガラス基板と位相差層との間に着色層を形成した以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。着色層は、上記洗浄し清浄としたガラス基板表面に、下記に示す赤色の着色レジストをスピンコート法で塗布し、90℃、3分間の条件でプリベークし、アライメント露光(100mJ/cm2)した後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚2.0μmの赤色単色の着色層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層の着色層に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0094】
赤色(R)着色画素用フォトレジスト組成
・赤顔料・・・・・5.0重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製、クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・1.0重量部
(C.I.PY139(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・多官能アクリレートモノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー・・・・・5.0重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・開始剤1・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア907)
・開始剤2・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0095】
実施例17
シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803)を1.0重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0096】
実施例18
シランカップリング剤としてビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学社製KBE−846)を1.0重量%用いた以外は実施例16同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0097】
実施例19
シランカップリング剤として N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603)を0.01重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0098】
実施例20
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)を0.01重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0099】
実施例21
シランカップリング剤として3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)を0.01重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0100】
実施例22
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製KBE−502)を1.0重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0101】
実施例23
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)を1.0重量%用いた以外は実施例16と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向していることが確認された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で1(カットの交差点における小さなはがれが存在するが、影響を受けているのは5%以下)であった。すなわち位相差層のガラス基板に対する密着性は、良好な結果が得られたものといえる。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0102】
比較例1
シランカップリング剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0103】
比較例2
シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−403)を1.0重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面剥離している状態)であり、スルフィド基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基のいずれも有さないシランカップリング剤を用いた場合には実施例と比較して剥離強度が明らかに劣っていた。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0104】
比較例3
シランカップリング剤として2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−303)を5.0重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面剥離している状態)であり、スルフィド基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基のいずれも有さないシランカップリング剤を用いた場合には剥離強度が実施例と比較して明らかに劣っていた。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0105】
比較例4
シランカップリング剤として3−クロロプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−703)を10.0重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面剥離している状態)であり、スルフィド基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基のいずれも有さないシランカップリング剤を用いた場合には剥離強度が実施例と比較して明らかに劣っていた。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0106】
比較例5
シランカップリング剤としてビニルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−1003)を20.0重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面剥離している状態)であり、スルフィド基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基のいずれも有さないシランカップリング剤を用いた場合には剥離強度が実施例と比較して明らかに劣っていた。また上記評価3に準じて、実施例1と同様にヘイズ値を測定した。評価3の結果とあわせて評価結果は表1にまとめて示す。
【0107】
比較例6
実施例16で用いたと同様の着色レジストを用いて、ガラス基板上に着色層を製膜した以外は比較例1と同様にして位相差層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0108】
比較例7
実施例16で用いたと同様の着色レジストを用いて、ガラス基板上に着色層を製膜した以外は比較例2と同様にして位相差層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0109】
比較例8
実施例16で用いたと同様の着色レジストを用いて、ガラス基板上に着色層を製膜した以外は比較例3と同様にして位相差層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0110】
比較例9
実施例16で用いたと同様の着色レジストを用いて、ガラス基板上に着色層を製膜した以外は比較例4と同様にして位相差層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0111】
比較例10
実施例16で用いたと同様の着色レジストを用いて、ガラス基板上に着色層を製膜した以外は比較例5と同様にして位相差層を形成した。得られた位相差層を構成する架橋性液晶化合物の配向状態を評価1に準じて評価した。その結果、いずれの測定方向からの傾斜測定でも、z軸を基準として対称性を示し、位相差層がホメオトロピック配向している事が示された(図示せず)。
また、得られた位相差層の基材面への密着性を評価2に準じて評価したところ、評価基準で5(格子が全面が剥離している状態)であった。評価1及び2の結果は表1にまとめて示す。
【0112】
(表1)

【0113】
表1に示すとおり、実施例1〜23ではいずれも、基材面への密着性が良好であり、本発明において所期の目的が達成されていることが確認された。一方、比較例1〜10では、いずれも基材面への密着性が不良であり、このことから、位相差層を作成する液晶組成物中に存在するスルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、または(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤が、該位相差層の基材面への密着性向上に寄与していることが裏付けられた。
【0114】
また本発明を達成するための研究において、驚くべきことに、ケチミン系シランカップリング剤を含有する液晶組成物を用いて形成された位相差層を備えるカ実施例6及び12は非常にヘイズが低いということが見出された。
【0115】
ヘイズは、一般的に位相差層の透明性を示す指標として理解される。ヘイズのみがカラーフィルタの性能を決定するための指標ではないが、ヘイズが低い位相差層を備えるカラーフィルタを用いた表示装置では、高品質な画像を提供可能である。
【0116】
上記実施例および比較例において示されたヘイズの傾向は以下のとおりである。即ち、比較例1のヘイズと比較して、比較例2〜5のヘイズは明らかに高かった。これは、比較例2〜5では、位相差層を形成するために用いられる液晶組成物にシランカップリング剤という新たな添加物が含まれていることが要因の1つと考えられる。これに対し、実施例6及び実施例12を除く他の実施例においても、ヘイズは比較例1に比べて高い値を示し、比較例2〜5と同様に、液晶組成物中のシランカップリング剤の存在がヘイズを高めていることが示唆された。ただし、比較例2〜5に比べると、これらの実施例のヘイズは低い傾向にあった。以上のことから、本発明の好ましい傾向として、本発明のカラーフィルタであれば、本発明において特定されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤が添加された液晶組成物を用いて形成される位相差層を備えるカラーフィルタと比較して、ヘイズを低く抑える効果があることが示唆された。
【0117】
そしてさらに、実施例6及び実施例12では、比較例2〜5及び他の実施例との比較において、著しくヘイズが低いことが示された。またさらに驚くべきことには、シランカップリング剤を添加しない比較例1よりも、実施例6及び実施例12におけるヘイズの方が
明らに低い値を示した。
【0118】
ケチミン系シランカップリング剤の存在に起因すると思われる、ヘイズの低下のメカニズムは未だ明らかではない。しかしながら、本発明者らは、架橋性液晶組成物にさらにシランカップリング剤を添加すると、一般的に相溶性の悪さが認められるが、ケチミン系シランカップリング剤を添加する場合には、非常に良好な相溶性が示されるということを確認している。そして上述するケチミン系シランカップリング剤の存在に起因すると思われるヘイズの低下効果は、この良好な相溶性が大きく関与するものと推察される。
【0119】
以上のとおり、本発明は位相差層の基材面に対する密着性向上という所期の目的を達成している。とりわけケチミン系シランカップリング剤を用いる本発明では、上記密着性向上という課題を解決し、且つ、ヘイズを低い値に抑えることができるという観点から、特に良好に本発明の所期の目的を達成することができ望ましいということが示された。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明のカラーフィルタの一実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの他の実施例を示す縦断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置の一例を示す縦断面図である。
【図4】サンプルの位相差測定方向を示した図である。
【図5】実施例1の位相差層の測定角と位相差との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0121】
1 カラーフィルタ
2 透明基板
3 位相差層
4 着色層
12 液晶表示装置
13 表示側基板
14 液晶駆動側基板
15 駆動用液晶材料
16 液晶セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の架橋性液晶化合物と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた少なくとも1種とを含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
前記架橋性液晶化合物の少なくとも1種が、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の1種又は2種以上を、合計で1〜20重量%(対配合物換算値)含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
アミノ系シランカップリング剤を0.01〜20重量%(対配合物換算値)含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項5】
シランカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤と、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤の1種又は2種以上とを、合計で0.01〜20重量%(対配合物換算値)含有する請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項6】
前記アミノ系シランカップリング剤は、分子構造中にケチミン構造を有するケチミン系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液晶組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の液晶組成物であって、該液晶組成物を基材表面に塗付し、光硬化及び焼成することにより塗膜を形成し、次いで前記塗膜を温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験を行ったときに、前記塗膜の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下を示すことを特徴とする液晶組成物。
【請求項8】
透明基板上に、位相差層と着色層とが設けられ、前記位相差層が請求項1乃至7のいずれかに記載の液晶組成物中に含有される架橋性液晶化合物を配向させた状態で架橋重合させて形成されたものであることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項9】
位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の前記スルフィド系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項10】
位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の前記メルカプト系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である前記請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項11】
位相差層が、少なくとも99.89〜70重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び0.01〜20重量%(対配合物換算値)の前記アミノ系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下であることを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項12】
位相差層が、少なくとも98.9〜70重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤及び1〜20重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項13】
位相差層が、少なくとも99.89〜70重量%(対配合物換算値)の前記(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対配合物換算値)の光重合開始剤と、前記スルフィド系シランカップリング剤、前記メルカプト系シランカップリング剤、前記アミノ系シランカップリング剤、及び前記(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤より選ばれた2種以上のシランカップリング剤0.01〜20重量%(対配合物換算値)とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験後の位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項14】
位相差層がホメオトロピック配向していることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項15】
表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記請求項8乃至14のいずれかに記載のカラーフィルタであることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−20904(P2008−20904A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156250(P2007−156250)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】