説明

液晶組成物および液晶表示素子

【課題】ネマチック相、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性を有する液晶組成物と、この組成物を含有する液晶表示素子の提供。
【解決手段】第1成分として式(1)の化合物および第2成分として基(2)の部分構造を有する化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有するネマチック相を有する液晶組成物。


例えば、RおよびRは水素、フッ素又は炭素数1〜12のアルキル;R、R、R、R及びRは炭素数1〜12のアルキル;環A及び環Bは1,4−シクロへキシレン又は1,4−フェニレン;Z及びZは独立して単結合またはエチレン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてAM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。この組成物はネマチック相および正の誘電率異方性を有する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
【0003】
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
【0004】

【0005】
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、液晶表示素子の寿命に関する。これらの安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。
【0006】
従来の組成物は、下記の特許文献1から6に開示されている。
【特許文献1】特開昭55−023169号公報
【特許文献2】特開昭59−216876号公報
【特許文献3】特開昭60−067587号公報
【特許文献4】特開平9−291282号公報
【特許文献5】米国公開2003−0127627A公報
【特許文献6】特開2002−256267号公報
【0007】
望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、などである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。他の目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。他の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。本発明の側面は、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性などを有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子を提供することである。
【0009】
本願の第1成分は、小さな粘度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性を有する化合物として、主にPM用として広く使用されてきた。しかし、紫外線に対する安定性が著しく低い、主として電圧保持率の低下のため、これまでAM用には使用することができなかった。そこで、本発明では第1成分の紫外線に対する安定性を低下させることなく、上記特性を満足させるAM用液晶組成物を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1成分に光安定剤として第2成分を添加することにより、第1成分の紫外線に対する安定性の低下を抑制する効果を見出した。
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第2成分として基(2)の部分構造を有する化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0011】

【0012】
ここで、RおよびRは水素、フッ素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜12のアルコキシであり;Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;環Aおよび環Bは独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して単結合またはエチレンであり;nおよびmは独立して0、1または2であり、nとmの和は1、2、3、または4である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、複数の特性を充足する。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有する。本発明の素子は、この組成物を含有する。この組成物の多くは、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性などを有し、短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物または液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物を意味する。この有用な化合物は1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を含有し、棒状(rod like)の分子構造を有する。光学活性な化合物は組成物に添加されることがある。この化合物が液晶性化合物であったとしても、ここでは添加物として分類される。式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。式(1)で表される化合物の群も「化合物(1)」と略すことがある。他の式で表される化合物についても同様である。
【0015】
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。「第1成分の割合」は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)を意味する。第2成分の割合などにおいても同様である。組成物に混合される添加物の割合は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)を意味する。
【0016】
「第1成分の割合」は、第1成分が1つの化合物である場合、その化合物の割合を意味する。第1成分が2つ以上の化合物である場合、第1成分を構成する化合物の合計の割合を意味する。「第2成分の割合」、「式(1−2)で表される化合物の割合」などの意味も同様である。
【0017】
「第1成分として式(1)で表される少なくとも1つの化合物」とは、第1成分は化合物(1)だけから選択されることを意味し、そして、第1成分には、化合物(1)以外の化合物を第1成分としないことを意味する。第1成分がその他の化合物から選択される場合についても同様であり、第2成分などについても同様である。
【0018】
「式(1)で表される化合物」とは、化合物(1)が1つである場合、その化合物を指す。化合物(1)が2つ以上である場合、2つ以上の化合物(1)の総てを指す。他の式についても同様である。
【0019】
本発明の詳細は、下記の項のとおりである。
1. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第2成分として基(2)の部分構造を有する化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0020】

【0021】
ここで、RおよびRは水素、フッ素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜12のアルコキシであり;Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;環Aおよび環Bは独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して単結合またはエチレンであり;nおよびmは独立して0、1または2であり、nとmの和は1、2、3、または4である。
【0022】
2. 第一成分として、式(1)においてRおよびRの一方がフッ素である化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1に記載の液晶組成物。
【0023】

【0024】
ここで、Rは水素または基Jであり、少なくとも1つのRは基Jであり;Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;;R12およびR13は独立して水素または炭素数1〜5のアルキルであり;環Aは1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、エチレンまたはエステルであり;sは1から20の整数であり;oは1または2である。
【0025】

【0026】
3. 第1成分が式(1−1)から式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項1または2に記載の液晶組成物。
【0027】

ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
【0028】
4. 第1成分が式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0029】
5. 第1成分が式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0030】
6. 第1成分が式(1−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0031】
7. 第1成分が式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0032】
8. 第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物および式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0033】
9. 第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物および式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0034】
10. 第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項3に記載の液晶組成物。
【0035】
11. 項2記載の式(2−1)および式(2−2)において、Rが水素であり、R、R、RおよびRがメチルであることを特徴とする項2から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0036】
12. 液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から40重量%の範囲であり、そして第2成分の割合が0.001重量%から5重量%の範囲である項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0037】
13. 第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0038】

【0039】
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;R10およびR11は独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;環Cは1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;環Dおよび環Eは独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;環Fは1,4−シクロへシレン、1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、エチレンまたはエステルであり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;Yはフッ素、塩素またはトリフルオロメトキシであり;pは1、2または3であり;qは0または1である。
【0040】
14. 液晶組成物の全重量に基づいて、第3成分の割合が90重量%以下である項13に記載の液晶組成物。
【0041】
15. ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、波長589nmにおける光学異方性(25℃)が0.08以上であり、そして周波数1kHzにおける誘電率異方性(25℃)が2以上である項1から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0042】
16. 項1から15のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0043】
本発明は、次の項も含む。1)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、2)酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などの添加物をさらに含有する上記の組成物。3)上記の組成物を含有するAM素子、4)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子、5)上記の組成物を含有する透過型の素子、6)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、7)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0044】
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、成分化合物の合成法を説明する。第七に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
【0045】
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物はその他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2−1)、化合物(2−2)および化合物(3)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、光学活性な化合物、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。
【0046】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類である。
【0047】

【0048】
上記表2に示されるように、化合物(1)は紫外線に対する安定性が低い。しかし、化合物(2−1)または化合物(2−2)を添加することにより紫外線に対する安定性を向上させることが可能となる。
【0049】
本発明で用いられる第2成分は、従来から知られているヒンダードアミン系光安定剤(以下HALS)を用いるのが好適である。一般的に用いられる光安定剤としては、HALSの他に紫外線吸収剤等があるが、これらは安定化機構が異なっている。紫外線吸収剤が文字通り紫外線を吸収して安定化するのに対し、HALSは紫外線により発生するラジカルを捕捉して連鎖反応を阻止するのをはじめとして、ハイドロパーオキサイドの分解など複雑な安定化機構を有しており、多機能な安定剤として用いられている。
【0050】
本発明においては、HALSがピリミジン環を有する組成物の紫外線に対する安定化に極めて効果的であることを見出した。本発明で使用されるHALSの一部は商業的に入手することができる。具体例を挙げればチバスペシャリティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社製TINUVIN-770などが好適に用いることができる。ただし、分子量が大きくなると液晶に対する溶解性が低下し分散し難くなるため、分子量は小さい方が好ましい。使用するHALSの分子量は、添加する液晶により適宜選択することが好ましい。
【0051】
なお、HALSの塩基性により、NH型、NR型、NOR型などに分類され、どれを用いてもよいが、好ましくはNH型である。2種類以上のHALSを組み合わせたり、紫外線吸収剤を併用してもかまわない。また、ヒンダードアミン部位の割合が多いほど紫外線に対する安定効果は高まるので、その他の特性を損なわない範囲内でこの割合を増やすことが好ましい。
【0052】
成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は光学異方性を上げ、そして誘電率異方性を上げる。化合物(2−1)および化合物(2−2)は紫外線に対する安定性を向上させる。化合物(3)は上限温度を上げ、下限温度を下げ、そして粘度を下げる。シアノ化合物は、熱および紫外線に対する安定性が低いため、成分化合物として好ましくない。
【0053】
第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第1成分の好ましい割合は、光学異方性を上げ、そして誘電率異方性を上げるために5重量%以上であり、下限温度を下げるために40重量%以下である。さらに好ましい割合は10重量%から35重量%の範囲である。特に好ましい割合は10重量%から30重量%の範囲である。
【0054】
第2成分の好ましい割合は、紫外線照射後の電圧保持率の低下を抑えるために0.001重量%以上であり、そして上限温度を上げるまたは下限温度を下げるために5重量%以下である。さらに好ましい割合は0.005重量%から2重量%の範囲である。特に好ましい割合は0.01重量%から0.5重量%の範囲である。
【0055】
第3成分は、特に小さな粘度を有する組成物の調製に適している。この成分の好ましい割合は90重量%以下である。さらに好ましい割合は85重量%以下である。特に好ましい割合は80重量%以下である。
【0056】
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。RおよびRは独立して水素、フッ素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜12のアルコキシである。好ましいRおよびRはそれぞれ、紫外線または熱に対する安定性などを上げるために、炭素数1〜10の直鎖アルキルである。Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシである。好ましいRは水素である。R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。好ましいR、R、RおよびRはそれぞれ、炭素数1〜10の直鎖アルキルである。Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルである。好ましいRは炭素数1〜10の直鎖アルキルである。R10およびR11は独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニルまたは炭素数1〜12のアルコキシである。好ましいR10およびR11はそれぞれ、炭素数1〜10の直鎖アルキルである。R12およびR13は独立して水素または炭素数1〜5のアルキルである。好ましいR12およびR13はそれぞれ、水素である。
【0057】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
【0058】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
【0059】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシまたはエトキシである。
【0060】
環Aおよび環Bは独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Aおよび環Bはそれぞれ、光学異方性を上げるためおよび下限温度を下げるために1,4−フェニレンである。環Cは1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Cは上限温度を上げるためおよび下限温度を下げるために1,4−シクロへキシレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。環Dおよび環Eは独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンである。好ましい環Dおよび環Eはそれぞれ、上限温度を上げるためおよび下限温度を下げるために1,4−シクロへキシレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。環Fは1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Fは上限温度を上げるためおよび下限温度を下げるために1,4−シクロへキシレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。
【0061】
およびZは独立して単結合またはエチレン(−CHCH−)である。好ましいZおよびZは粘度を下げるために単結合である。
は単結合、エチレンまたはエステルである。好ましいZは粘度を下げるために単結合である。
【0062】
およびXは独立して水素またはフッ素である。好ましいXおよびXはそれぞれ、誘電率異方性を上げるためおよび下限温度を下げるためにフッ素である。
【0063】
Yはフッ素、塩素またはトリフルオロメトキシである。好ましいYは、誘電率異方性を上げるためにフッ素である。
【0064】
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、Rは、炭素数1〜12を有する直鎖のアルキルである。Rは、炭素数1〜12を有する直鎖のアルキルまたは炭素数2〜12を有する直鎖のアルケニルである。紫外線または熱に対する安定性などを上げるために、アルケニルよりもアルキルが好ましい。好ましいRは、炭素数1〜10の直鎖アルキルである。これらの化合物において1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。成分化合物の化学式において、Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(1−1)のRがエチルであり、化合物(1−2)のRがエチルであるケースがある。化合物(1−1)のRがエチルであり、化合物(1−2)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、Rなどにも適用される。
【0065】
好ましい化合物(1)は化合物(1−1)〜化合物(1−4)である。さらに好ましい化合物(1)は下限温度を下げるために化合物(1−1)、(1−2)および(1−4)である。好ましい化合物(2−1)は化合物(2−1−1)〜化合物(2−1−5)である。さらに好ましい化合物(2−1)は紫外線または熱に対する安定性などをさらに上げるために化合物(2−1−1)および(2−1−2)である。好ましい化合物(2−2)は化合物(2−2−1)〜化合物(2−2−16)である。さらに好ましい化合物(2−2)は紫外線または熱に対する安定性などをさらに上げるために化合物(2−2−3)〜化合物(2−2−5)および化合物(2−2−10)〜化合物(2−2−14)である。好ましい化合物(3−1)は化合物(3−1−1)〜化合物(3−1−7)である。さらに好ましい化合物(3−1)は粘度を下げるために化合物(3−1−1)および化合物(3−1−3)〜化合物(3−1−5)である。好ましい化合物(3−2)は化合物(3−2−1)〜化合物(3−2−4)である。さらに好ましい化合物(3−2)は、粘度を下げるために化合物(3−2−1)〜化合物(3−2−3)である。特に好ましい化合物(3−2)は化合物(3−2−1)である。
【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】
第六に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1−1)は、特開昭59−216876号公報に記載された方法で合成する。化合物(2−1−1)は旭電化工業株式会社より入手可能である。化合物(3−1−1)は、特開昭57−2226号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−2−1)は、特公平4−30382号公報に記載された方法で合成する。
【0073】
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。式(5)のnが1である化合物は、市販されている。この化合物は、例えばアルドリッチ(Aldrich)社から販売されている。nが7である化合物(5)などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成する。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
【0074】
第七に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。このような添加物は、光学活性な化合物、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。このような化合物の例は、化合物(4−1)〜(4−4)である。光学活性な化合物の好ましい割合は5重量%以下である。さらに好ましい割合は0.01重量%から2重量%の範囲である。
【0075】

【0076】
GH(Guest host)モードの素子に適合させるためにアゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に混合される。色素の好ましい割合は、0.01%から10%の範囲である。大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が組成物に混合される。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように600ppm以下である。さらに好ましい割合は、100ppmから300ppmである。
【0077】

【0078】
酸化防止剤の好ましい例は、nが1〜9の整数である化合物(5)などである。化合物(5)において、好ましいnは、1、3、5、7、または9である。さらに好ましいnは1または7である。nが1である化合物(5)は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。nが7である化合物(5)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。
【0079】
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。紫外線吸収剤の好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように10000ppm以下である。さらに好ましい割合は100ppmから10000ppmの範囲である。
【0080】
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、−10℃以下の下限温度、70℃以上の上限温度、そして0.08〜0.20の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、0.08〜0.25の光学異方性を有する組成物、さらには0.12〜0.30の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
【0081】
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。TNまたはOCBモードを有する素子への使用は特に好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【実施例】
【0082】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。
表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0083】

【0084】
組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよいのである。
【0085】
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0086】
母液晶の組成は下記のとおりである。
【0087】

【0088】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0089】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0090】
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0091】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型回転粘度計を用いた。
【0092】
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995)に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmである素子に試料を入れた。TN素子に16ボルトから19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0093】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0094】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0095】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が約0.45 / Δn (μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0096】
電圧保持率(VHR−1;25℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0097】
電圧保持率(VHR−2;80℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0098】
電圧保持率(VHR−3;25℃;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。大きなVHR−3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmである。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmである。VHR−3の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。VHR−3は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0099】
電圧保持率(VHR−4;25℃;%):試料を注入したTN素子を80℃の恒温槽内で500時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。大きなVHR−4を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。VHR−4の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。
【0100】
応答時間(τ;25℃で測定;ミリ秒):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立下がり時間(τf:fall time)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立上がり時間と立下り時間との和である。
【0101】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0102】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【0103】
比較例1
この組成物において、紫外線に対する安定性は低い。
3−PyBB−F (1−1) 9%
4−PyBB−F (1−1) 9%
5−PyBB−F (1−1) 9%
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 8%
3−HH−O1 (−) 25%
5−HH−O1 (−) 15%
3−HB−O2 (−) 15%
3−HHEBH−3 (−) 5%
3−HHEBH−5 (−) 5%
このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=86.8℃;Δn=0.128;Δε=4.6;Vth=2.13V;γ1=99.2mPa・s;VHR−1=99.0%;VHR−2=98.3%;VHR−3=84.6%.
【0104】
比較例2
この組成物において、紫外線に対する安定性は低い。
3−PyBB−F (1−1) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.3℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.5mPa・s;Vth=1.91V;VHR−1=99.2%;VHR−2=98.3%;VHR−3=85.2%.
【0105】
実施例1
3−PyBB−F (1−1) 9%
4−PyBB−F (1−1) 9%
5−PyBB−F (1−1) 9%
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 8%
3−HH−O1 (−) 25%
5−HH−O1 (−) 15%
3−HB−O2 (−) 15%
3−HHEBH−3 (−) 5%
3−HHEBH−5 (−) 5%
上記組成物に化合物(2−1−1)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=86.6℃;Δn=0.128;Δε=4.6;Vth=2.14V;γ1=99.3mPa・s;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.3%;VHR−3=97.9%.
【0106】
実施例2
3−PyBB−F (1−1) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−1−1)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=99.0%;VHR−3=98.0%.
【0107】
実施例3
5−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−1−2)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=99.3℃;Δn=0.104;Δε=5.8;γ1=221.4mPa・s;Vth=1.87V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.9%;VHR−3=97.9%.
【0108】
実施例4
5−PyBB(F,F)−F (1−3) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−1−3)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=93.1℃;Δn=0.098;Δε=6.9;γ1=227.3mPa・s;Vth=1.79V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.8%;VHR−3=97.8%.
【0109】
実施例5
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−1−4)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=90.8℃;Δn=0.097;Δε=8.4;γ1=227.3mPa・s;Vth=1.74V;VHR−1=99.2%;VHR−2=98.7%;VHR−3=97.8%.
【0110】
実施例6
3−PyBB−F (1−1) 7%
5−PyBB−F (1−1) 7%
3−PyBB(F)−F (1−2) 7%
5−PyBB(F)−F (1−2) 7%
3−HB−CL (3−1−1) 18%
3−HBB−F (3−1−3) 7%
5−HBB−F (3−1−3) 7%
3−HBB(F,F)−F (3−1−4) 20%
5−HBB(F,F)−F (3−1−4) 20%
上記組成物に化合物(2−1−5)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=81.5℃;Δn=0.168;Δε=9.2;γ1=237.8mPa・s;Vth=1.63V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.9%;VHR−3=97.7%.
【0111】
実施例7
3−PyBB−F (1−1) 5%
5−PyBB−F (1−1) 5%
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 15%
4−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 5%
5−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 11%
V−HHB−1 (3−2−1) 15%
V2−HHB−1 (3−2−1) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2−3) 9%
2−BB(F)B−5 (3−2−3) 12%
3−BB(F)B−5 (3−2−3) 15%
5−HBB(F)B−3 (3−2−4) 3%
上記組成物に化合物(2−2−1)を0.05%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=120.3℃;Δn=0.222;Δε=13.5;γ1=288.4mPa・s;Vth=1.35V;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.8%;VHR−3=97.4%.
【0112】
実施例8
3−PyBB−F (1−1) 5%
4−PyBB−F (1−1) 5%
5−PyBB−F (1−1) 5%
3−PyBB(F)−F (1−2) 5%
5−PyBB(F)−F (1−2) 5%
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 5%
5−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 5%
3−HB−CL (3−1−1) 20%
2−BB(F)B(F,F)−F (3−1−5) 5%
3−BB(F)B(F,F)−F (3−1−5) 10%
3−HHEB(F,F)−F (3−1−6) 10%
3−HHBB(F,F)−F (3−1−7) 3%
3−HHB−1 (3−2−1) 7%
3−HBB−2 (3−2−2) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2−3) 5%
上記組成物に化合物(2−2−2)を0.05%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=88.4℃;Δn=0.180;Δε=12.4;γ1=249.4mPa・s;Vth=1.36V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.9%;VHR−3=97.7%.
【0113】
実施例9
3−PyBB−F (1−1) 5%
4−PyBB−F (1−1) 5%
5−PyBB−F (1−1) 5%
3−PyBB(F)−F (1−2) 5%
5−PyBB(F)−F (1−2) 5%
3−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 5%
5−PyB(F)B(F,F)−F (1−4) 5%
3−HB−CL (3−1−1) 20%
2−BB(F)B(F,F)−F (3−1−5) 5%
3−BB(F)B(F,F)−F (3−1−5) 10%
3−HHEB(F,F)−F (3−1−6) 10%
3−HHBB(F,F)−F (3−1−7) 3%
3−HHB−1 (3−2−1) 4%
3−HBB−2 (3−2−2) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2−3) 5%
VFF−HHB−1 (−) 3%
上記組成物に化合物(2−2−3)を0.2%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=87.7℃;Δn=0.180;Δε=12.4;γ1=249.1mPa・s;Vth=1.37V;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.8%;VHR−3=97.8%.
【0114】
実施例10
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−4)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.2%;VHR−2=99.0%;VHR−3=98.1%.
【0115】
実施例11
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−5)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=98.9%;VHR−3=98.0%.
【0116】
実施例12
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−6)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=99.0%;VHR−3=98.1%.
【0117】
実施例13
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−7)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.1%;VHR−2=99.0%;VHR−3=97.8%.
【0118】
実施例14
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−8)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.2%;VHR−2=98.8%;VHR−3=98.0%.
【0119】
実施例15
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−9)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.1%;VHR−2=99.0%;VHR−3=97.9%.
【0120】
実施例16
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−10)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.2%;VHR−2=99.0%;VHR−3=98.2%.
【0121】
実施例17
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−11)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.4%;VHR−2=99.1%;VHR−3=98.2%.
【0122】
実施例18
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−12)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=99.0%;VHR−3=98.0%.
【0123】
実施例19
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−13)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.9%;VHR−3=97.9%.
【0124】
実施例20
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−14)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=99.1%;VHR−3=98.1%.
【0125】
実施例21
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−15)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.2%;VHR−2=98.9%;VHR−3=97.8%.
【0126】
実施例22
3−PyBB(F)−F (1−2) 15%
2−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
3−H2HB(F)−F (3−1−2) 17%
5−H2HB(F)−F (3−1−2) 34%
上記組成物に化合物(2−2−16)を0.025%添加した。このときの組成物の特性は次のとおりである。 NI=104.5℃;Δn=0.104;Δε=5.5;γ1=202.6mPa・s;Vth=1.92V;VHR−1=99.3%;VHR−2=99.0%;VHR−3=97.9%.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第2成分として基(2)の部分構造を有する化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、RおよびRは水素、フッ素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜12のアルコキシであり;Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;環Aおよび環Bは独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して単結合またはエチレンであり;nおよびmは独立して0、1または2であり、nとmの和は1、2、3、または4である。
【請求項2】
第一成分として、式(1)においてRおよびRの一方がフッ素である化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1に記載の液晶組成物。

ここで、Rは水素または基Jであり、少なくとも1つのRは基Jであり;Rは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;R、R、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;;R12およびR13は独立して水素または炭素数1〜5のアルキルであり;環Aは1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、エチレンまたはエステルであり;sは1から20の整数であり;oは1または2である。

【請求項3】
第1成分が式(1−1)から式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1または2に記載の液晶組成物。

ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
【請求項4】
第1成分が式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項5】
第1成分が式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項6】
第1成分が式(1−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項7】
第1成分が式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項8】
第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物および式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項9】
第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物および式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項10】
第1成分が、式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(1−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項11】
請求項2記載の式(2−1)および式(2−2)において、Rが水素であり、R、R、RおよびRがメチルであることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項12】
液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から40重量%の範囲であり、そして第2成分の割合が0.001重量%から5重量%の範囲である請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項13】
第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;R10およびR11は独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;環Cは1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;環Dおよび環Eは独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;環Fは1,4−シクロへシレン、1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、エチレンまたはエステルであり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;Yはフッ素、塩素またはトリフルオロメトキシであり;pは1、2または3であり;qは0または1である。
【請求項14】
液晶組成物の全重量に基づいて、第3成分の割合が90重量%以下である請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項15】
ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、波長589nmにおける光学異方性(25℃)が0.08以上であり、そして周波数1kHzにおける誘電率異方性(25℃)が2以上である請求項1から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2007−137921(P2007−137921A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329542(P2005−329542)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】