説明

液晶表示パネル及びその製造方法

【課題】本発明は、引っ張り応力に耐えられる液晶表示パネルを提供することを目的としている。
【解決手段】液晶表示パネルは、間隔をあけて対向する第1のガラス基板10及び第2のガラス基板20と、第1及び第2のガラス基板10,12の相互に反対を向く外面にそれぞれ周縁部を避けて設けられた偏光板14と、第1及び第2のガラス基板10,12の少なくとも一方の外面の周縁部に設けられた耐水バリア膜22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、その脆弱性から、湾曲させた状態で維持することが難しい。つまり、ガラスの周縁部に微細な傷があるときに、ガラスを湾曲させると傷を拡げる方向に引っ張り応力が生じ、その傷から水分が浸透して分子(SiO)の結合を切断し、これにより傷が拡大してしまう。そこで、引っ張り応力が生じていても傷の拡大を抑えることが要望されている。
【0003】
なお、特許文献1には、防湿効果を有する接着剤を塗布することが開示されているが、防湿性では効果が不十分である。
【特許文献1】特開平6−144875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、引っ張り応力に耐えられる液晶表示パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る液晶表示パネルは、間隔をあけて対向する第1のガラス基板及び第2のガラス基板と、前記第1及び第2のガラス基板の相互に反対を向く外面にそれぞれ周縁部を避けて設けられた偏光板と、前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部に設けられた耐水バリア膜と、を有することを特徴とする。本発明によれば、耐水バリア膜によって水分の浸透を阻止するので、分子(SiO)の結合状態を維持し、傷の拡大を防止し、これにより、引っ張り応力に耐えることが可能になる。
【0006】
(2)(1)に記載された液晶表示パネルにおいて、前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部に設けられたフレキシブル配線基板をさらに有することを特徴としてもよい。
【0007】
(3)(2)に記載された液晶表示パネルにおいて、前記耐水バリア膜は、前記第1及び第2のガラス基板の両方の前記周縁部の、前記フレキシブル配線基板との取り付け部を除く全領域に設けられていることを特徴としてもよい。
【0008】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された液晶表示パネルにおいて、前記耐水バリア膜は、ポリクロロパラキシリレンからなることを特徴としてもよい。
【0009】
(5)本発明に係る液晶表示パネルの製造方法は、保護シートで覆われた偏光板が相互に反対を向く外面に周縁部を避けてそれぞれ設けられた第1及び第2のガラス基板を用意する工程と、前記第1及び第2のガラス基板並びに前記保護シートで覆われた前記偏光板に対して耐水バリア膜を形成する工程と、前記保護シートを前記偏光板から剥離する工程と、を含むことを特徴とする。本発明によれば、耐水バリア膜によって水分の浸透を阻止するので、分子(SiO)の結合状態を維持し、傷の拡大を防止し、これにより、引っ張り応力に耐えることが可能になる。
【0010】
(6)(5)に記載された液晶表示パネルの製造方法において、前記第1及び第2のガラス基板を用意する工程で、前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部にはフレキシブル配線基板が設けられており、前記耐水バリア膜を成膜する工程で、前記耐水バリア膜を、前記第1及び第2のガラス基板の両方の前記周縁部の、前記フレキシブル配線基板との取り付け部を除く全領域に形成することを特徴としてもよい。
【0011】
(7)(5)又は(6)に記載された液晶表示パネルの製造方法において、前記耐水バリア膜を、ポリクロロパラキシリレンから形成することを特徴としてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。図2は、図1に示す第1及び第2のガラス基板等のII-II線断面図である。
【0014】
図1に示すように、第1及び第2のガラス基板10,12を用意する。第1及び第2のガラス基板10,12には、図示しない液晶が挟まれており、図示しないシール材にて封止されている。液晶の駆動方式は、IPS(In Plane Switching)方式、TN(Twisted Nematic)方式又はVA(Virtical Alignment)方式などいずれであってもよく、方式に応じた電極及び配線が第1及び第2のガラス基板10,12の少なくとも一方に形成される。
【0015】
第1及び第2のガラス基板10,12には、それぞれ、相互に反対を向く外面に周縁部を避けて偏光板14が設けられている。詳しくは、偏光板14は、第1又は第2のガラス基板10,12の端面も避けている。偏光板14(詳しくはその第1又は第2のガラス基板10,12とは反対を向く面)は、保護シート16で覆われている。
【0016】
図3に示すように、第1及び第2のガラス基板10,12の少なくとも一方(例えば第1のガラス基板10)の外面の周縁部に、フレキシブル配線基板18を取り付ける。フレキシブル配線基板18は、図示しない配線パターンが形成されており、第1のガラス基板10に形成された図示しない端子に電気的に接続される。さらに、フレキシブル配線基板18には、回路基板20が取り付けられていてもよい。
【0017】
図4に示すように、第1及び第2のガラス基板10,12と、保護シート16で覆われた偏光板14(図2参照)とに対して、耐水バリア膜22(図5参照)の形成を行う。耐水バリア膜22は、水分子を透過しない膜であり、例えばポリクロロパラキシリレンから形成することができる。耐水バリア膜22の形成は、CVDによって行うことができる。
【0018】
図5に示すように、耐水バリア膜22を、第1及び第2のガラス基板10,12の両方の周縁部の、フレキシブル配線基板18との取り付け部を除く全領域に形成する。耐水バリア膜22は、第1及び第2のガラス基板10,12の端面にも形成される。また、耐水バリア膜22は、保護シート16上、フレキシブル配線基板18上、回路基板20(図3参照)上にも形成される。
【0019】
図6に示すように、保護シート16(図5参照)を偏光板14から剥離する。保護シート16の剥離により偏光板14が露出する。保護シート16上の耐水バリア膜22も、保護シート16とともに除去されるが、第1及び第2のガラス基板10,12の両方の周縁部の、フレキシブル配線基板18との取り付け部を除く全領域に、耐水バリア膜22が残る。つまり、第1及び第2のガラス基板10,12は、端部が耐水バリア膜22で覆われている。また、耐水バリア膜22は、保護シート16上、フレキシブル配線基板18上、回路基板20(図3参照)上に残される。
【0020】
本実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法は、公知の液晶表示パネルの製造方法の内容を含む。
【0021】
以上のプロセスを含む方法で製造された液晶表示パネルは、間隔をあけて対向する第1のガラス基板10及び第2のガラス基板12を含む。第1及び第2のガラス基板10,12の間に液晶が封入されている。第1及び第2のガラス基板10,12の相互に反対を向く外面にそれぞれ周縁部を避けて偏光板14が設けられている。第1及び第2のガラス基板10,12の少なくとも一方の外面の周縁部に耐水バリア膜22が設けられている。耐水バリア膜22は、第1及び第2のガラス基板10,12の両方の周縁部の、フレキシブル配線基板18との取り付け部を除く全領域に設けられている。耐水バリア膜22は、ポリクロロパラキシリレンからなる。第1及び第2のガラス基板10,12の少なくとも一方の外面の周縁部には、フレキシブル配線基板18が設けられている。
【0022】
本実施の形態に係る液晶表示パネルによれば、耐水バリア膜22によって水分の浸透を阻止するので、分子(SiO)の結合状態を維持し、傷が形成されていたとしてもその拡大が防止される。本実施の形態に係る液晶表示パネルのその他の詳細は、公知の液晶表示パネルの内容が該当する。
【0023】
図7は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの使用状態を説明する図である。本実施の形態に係る液晶表示パネルは、上記特徴を有しているので、図7に示すように、第1及び第2の基板を湾曲させても、引っ張り応力に耐えることができ、クラックが発生しにくくなっている。
【0024】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施の形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。
【図2】図1に示す第1及び第2のガラス基板等のII-II線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの使用状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
10 第1のガラス基板、12 第2のガラス基板、14 偏光板、16 保護シート、18 フレキシブル配線基板、20 回路基板、22 耐水バリア膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて対向する第1のガラス基板及び第2のガラス基板と、
前記第1及び第2のガラス基板の相互に反対を向く外面にそれぞれ周縁部を避けて設けられた偏光板と、
前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部に設けられた耐水バリア膜と、
を有することを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部に設けられたフレキシブル配線基板をさらに有することを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項3】
請求項2に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記耐水バリア膜は、前記第1及び第2のガラス基板の両方の前記周縁部の、前記フレキシブル配線基板との取り付け部を除く全領域に設けられていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記耐水バリア膜は、ポリクロロパラキシリレンからなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】
保護シートで覆われた偏光板が相互に反対を向く外面に周縁部を避けてそれぞれ設けられた第1及び第2のガラス基板を用意する工程と、
前記第1及び第2のガラス基板並びに前記保護シートで覆われた前記偏光板に対して耐水バリア膜を形成する工程と、
前記保護シートを前記偏光板から剥離する工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された液晶表示パネルの製造方法において、
前記第1及び第2のガラス基板を用意する工程で、前記第1及び第2のガラス基板の少なくとも一方の前記外面の前記周縁部にはフレキシブル配線基板が設けられており、
前記耐水バリア膜を成膜する工程で、前記耐水バリア膜を、前記第1及び第2のガラス基板の両方の前記周縁部の、前記フレキシブル配線基板との取り付け部を除く全領域に形成することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された液晶表示パネルの製造方法において、
前記耐水バリア膜を、ポリクロロパラキシリレンから形成することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−97031(P2010−97031A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268345(P2008−268345)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】