説明

液晶表示パネル

【課題】本発明は、屈曲させても特性に影響を与えない液晶表示パネルを提供することを目的としている。
【解決手段】液晶表示パネルは、間隔をあけて対向するように配置された第1及び第2の基板10,12と、第1及び第2の基板10,12を端部で固定するシール14と、第1及び第2の基板10,12の間に封入された液晶16と、を含む。第1の基板10は第1の外面18を有し、第2の基板12は第2の外面20を有し、第1及び第2の外面18,20は相互に反対方向を向く。第1の基板10の第1の外面18は、凹部22を有する。凹部22の内面は、第1の外面18に垂直な平面P上の曲線が平面Pに垂直な方向に移動して描かれる柱面をなす。凹部22は、曲線に沿って第1の外面18の中央方向に近づくほど第1の基板10の厚みが薄くなる部分を有するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、ガラス基板を薄くすれば屈曲させることが可能である(特許文献1及び2参照)。対向する第1及び第2のガラス基板は、対向面の端部同士が強固に固定されている。そのため、第1及び第2のガラス基板を、第1のガラス基板の外面が凸面を形成するとともに第2のガラス基板の外面が凹面を形成するように屈曲させると、第1のガラス基板には引っ張り力が加えられ、第2のガラス基板には圧縮力が加えられる。そして、第2のガラス基板は、圧縮のストレスを逃がすために外方向に突出する凸部を有するようになる。凸部によって、第1及び第2のガラス基板の対向面間の距離が拡がり、液晶表示パネルの特性に影響を与える。
【特許文献1】特開2003−280548号公報
【特許文献2】特開2004−288570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、屈曲させても特性に影響を与えない液晶表示パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る液晶表示パネルは、間隔をあけて対向するように配置された第1及び第2の基板と、前記第1及び第2の基板を端部で固定するシールと、前記第1及び第2の基板の間に封入された液晶と、を含み、前記第1の基板は第1の外面を有し、前記第2の基板は第2の外面を有し、前記第1及び第2の外面は相互に反対方向を向き、前記第1の基板の前記第1の外面は、凹部を有し、前記凹部の内面は、前記第1の外面に垂直な平面上の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなし、前記凹部は、前記曲線に沿って前記第1の外面の中央方向に近づくほど前記第1の基板の厚みが薄くなる部分を有するように形成されていることを特徴とする。本発明によれば、第1の基板が、第1の外面の中央に近づくほど薄くなる部分を有しているので、第1の外面の裏面が凸面になるように屈曲させても、中央部分が薄いため圧縮によるストレスを小さくすることができ、第1及び第2の基板の対向面間の距離の拡がりを抑えることができる。
【0005】
(2)(1)に記載された液晶表示パネルにおいて、前記シールは、前記平面に垂直な方向に沿って延びる部分を有し、前記凹部は、前記シールの前記部分よりも、前記第1の外面の中央側に形成されていることを特徴としてもよい。
【0006】
(3)(1)に記載された液晶表示パネルにおいて、前記第2の基板の前記第2の外面は、第2の凹部を有し、前記第2の凹部の内面は、前記平面上の第2の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなし、前記第2の凹部は、前記第2の曲線に沿って前記第2の外面の中央方向に近づくほど前記第2の基板の厚みが薄くなる部分を有するように形成されていることを特徴としてもよい。
【0007】
(4)(3)に記載された液晶表示パネルにおいて、前記シールは、前記平面に垂直な方向に沿って延びる部分を有し、前記第2の凹部は、前記シールの前記部分よりも、前記第2の外面の中央側に形成されていることを特徴としてもよい。
【0008】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された液晶表示パネルにおいて、前記第1の基板は、前記第1の外面とは反対の第1の内面が凸面をなすように屈曲し、前記第2の基板は、前記第2の外面とは反対の第2の内面が凹面をなすように屈曲し、前記第1及び第2の内面は、それぞれ、前記平面上の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなすことを特徴としてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(基本構造)
図1は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【0011】
液晶表示パネルは、第1及び第2の基板10,12を有する。第1及び第2の基板10,12は光透過性を有する。第1及び第2の基板10,12は、間隔をあけて対向するように配置されている。第1及び第2の基板10,12のそれぞれは、ガラス基板のみ又はガラス基板を含む構造からなり、ガラス基板は屈曲できる程度に薄くなっている。第1及び第2の基板10,12は、ガラス基板の外側に偏光板を含んでもよい。第1及び第2の基板10,12は、例えばエポキシ樹脂からなるシール14によって端部同士が固定されている。第1及び第2の基板10,12の一方は、図示しないTFT(Thin Film Transistor)及び配線等が形成されたTFT基板であり、他方は、図示しない着色層を有するカラーフィルタ基板である。
【0012】
第1及び第2の基板10,12の間に液晶16が封入されている。液晶16を封入した後に第1及び第2の基板10,12を研磨して薄くすれば、第1及び第2の基板10,12の破損を減らすことができる。
【0013】
第1の基板10は第1の外面18を有する。第2の基板12は第2の外面20を有する。第1及び第2の外面18,20は相互に反対方向を向いている。
【0014】
第1の基板10の第1の外面18は、凹部22を有する。凹部22は、エッチング、化学研磨又は機械研磨によって形成することができる。凹部22の内面は、第1の外面18に垂直な平面P(図2)上の曲線(図1又は図2において凹部22の内面を表す曲線)が平面Pに垂直な方向に移動して描かれる柱面をなしている。凹部22の形成によって、第1の基板10は端部が最も厚くなっている。あるいは、第1の基板10は、端部が最も薄くはならないようになっている。
【0015】
なお、数学小辞典(共立出版)には、「柱面」とは、「平面上の曲線Cを定め、C上の各点を通り、この平面に垂直な直線が、Cに沿って移動することによって描かれる曲面」と定義されている。凹部22は、上述した曲線に沿って、第1の外面18の中央方向(曲線の端部から中央方向)に近づくほど第1の基板10の厚みが薄くなる部分を有するように形成されている。曲線は、弧には限定されない。
【0016】
シール14は、平面Pに垂直な方向に沿って延びる部分(図1では奥行き方向に延びる部分)を有している。凹部22(具体的には凹部22の上述した曲線の端部に対応する位置の部分)は、シール14よりも、第1の外面18の中央側に形成されている。あるいは、図1及び図2に示す例とは異なり、凹部22の端部(詳しくは上述した曲線の端部に対応する位置の部分)がシール14と重なる位置にあってもよいし、凹部22の端部がシール14よりも外側にあってもよい。
【0017】
(曲面パネル)
図3は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【0018】
液晶表示パネルは屈曲している。詳しくは、第1の基板10は、第1の外面18とは反対の第1の内面24が凸面をなすように屈曲している。第2の基板12は、第2の外面20とは反対の第2の内面26が凹面をなすように屈曲している。第1及び第2の内面24,26は、それぞれ、平面P(図4)上の曲線(図3又は図4において第1及び第2の内面24,26を表す曲線)が平面Pに垂直な方向に移動して描かれる柱面をなす。
【0019】
本実施の形態によれば、第1の基板10が、第1の外面18の中央に近づくほど薄くなる部分(つまり凹部22)を有しているので、第1の外面18の裏面(第1の内面24)が凸面になるように屈曲させても、中央部分が薄いため圧縮によるストレスを小さくすることができ、第1及び第2の基板10,12の対向面間の距離の拡がりを抑えることができる。
【0020】
(液晶表示装置)
図5及び図6は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを備える液晶表示装置を示す断面図である。
【0021】
図5に示す液晶表示装置は、液晶表示パネルを支持するサポート28を有する。サポート28は、上述した液晶表示パネルを、その両端が接近する方向に押さえて屈曲させる。第1の基板10の第1の外面18に対向してバックライト30が配置されている。これに対して、図6の例では、第2の基板12の第2の外面20に対向してバックライト130が配置されている。なお、サポート128が、液晶表示パネルを、その両端が接近する方向に押さえて屈曲させる。
【0022】
バックライト30,130の位置の違いに伴って、図5及び図6のハウジングは構造が異なっているがその詳細は公知技術を適用した内容である。
【0023】
(液晶表示パネルの変形例)
図7は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの変形例を示す斜視図である。図8は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの変形例を示す断面図である。
【0024】
本変形例では、第2の基板112の第2の外面120は、第2の凹部122を有している。第2の凹部122は、シール14の部分よりも、第2の外面120の中央側に形成されている。第2の凹部122の内面は、平面P(図8)上の第2の曲線(図7又は図8で第2の凹部122の内面を表す曲線)が平面Pに垂直な方向に移動して描かれる柱面をなしている。第2の凹部122は、第2の曲線に沿って第2の外面120の中央方向に近づくほど第2の基板112の厚みが薄くなる部分を有するように形成されている。第2の凹部122については、上述した凹部22の内容を適用することが可能である。また、本変形例についてのその他の内容は、上述した実施の形態の内容を適用することが可能である。
【0025】
(変形例に係る曲面パネル)
図9は、本発明の実施の形態の変形例に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。図10は、本発明の実施の形態の変形例に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【0026】
液晶表示パネルは屈曲している。詳しくは、第1の基板10は、凹部22が形成された第1の外面18とは反対の第1の内面24が凸面をなすように屈曲している。第2の基板112は、第2の外面120とは反対の第2の内面126が凹面をなすように屈曲している。第1及び第2の内面24,126は、それぞれ、平面P上の曲線が平面Pに垂直な方向に移動して描かれる柱面をなす。本変形例でも上述した実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0027】
本発明を適用した液晶表示装置は例えば遊技機に適用することができる。本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施の形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを備える液晶表示装置を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルを備える液晶表示装置を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの変形例を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係る液晶表示パネルを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 第1の基板、12 第2の基板、14 シール、16 液晶、18 第1の外面、20 第2の外面、22 凹部、24 第1の内面、26 第2の内面、28 サポート、30 バックライト、112 第2の基板、120 第2の外面、122 第2の凹部、126 第2の内面、128 サポート、130 バックライト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて対向するように配置された第1及び第2の基板と、
前記第1及び第2の基板を端部で固定するシールと、
前記第1及び第2の基板の間に封入された液晶と、
を含み、
前記第1の基板は第1の外面を有し、前記第2の基板は第2の外面を有し、前記第1及び第2の外面は相互に反対方向を向き、
前記第1の基板の前記第1の外面は、凹部を有し、
前記凹部の内面は、前記第1の外面に垂直な平面上の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなし、
前記凹部は、前記曲線に沿って前記第1の外面の中央方向に近づくほど前記第1の基板の厚みが薄くなる部分を有するように形成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記シールは、前記平面に垂直な方向に沿って延びる部分を有し、
前記凹部は、前記シールの前記部分よりも、前記第1の外面の中央側に形成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項3】
請求項1に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記第2の基板の前記第2の外面は、第2の凹部を有し、
前記第2の凹部の内面は、前記平面上の第2の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなし、
前記第2の凹部は、前記第2の曲線に沿って前記第2の外面の中央方向に近づくほど前記第2の基板の厚みが薄くなる部分を有するように形成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項4】
請求項3に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記シールは、前記平面に垂直な方向に沿って延びる部分を有し、
前記第2の凹部は、前記シールの前記部分よりも、前記第2の外面の中央側に形成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された液晶表示パネルにおいて、
前記第1の基板は、前記第1の外面とは反対の第1の内面が凸面をなすように屈曲し、
前記第2の基板は、前記第2の外面とは反対の第2の内面が凹面をなすように屈曲し、
前記第1及び第2の内面は、それぞれ、前記平面上の曲線が前記平面に垂直な方向に移動して描かれる柱面をなすことを特徴とする液晶表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−97028(P2010−97028A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268334(P2008−268334)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】