説明

液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法

【課題】適応性の高い制御系によって、所望の画像の輝度、彩度を得る技術を提供する。
【解決手段】赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有するLCDパネル111と、その背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射する各光源121と、を備える。また、各光源121に対応して背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じた検出信号を検出する各々のRGBセンサー122Sを備える。また、各光源121からの光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶するマトリックスメモリーを備える。また、所定条件下における各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶する目標センサー値メモリーを備える。また、各々のRGBセンサー122Sからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、目標センサー値と、クロストークマトリックスとから、各光源121を制御する各光源制御信号を出力する回路部20と、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶を用いた液晶表示装置が種々の産業分野において広範囲に用いられている。このような液晶表示装置では、カラー液晶表示素子、駆動電圧制御回路、表示用光源(光源)、光検知手段、等を備えている(各用語とその機能については特許文献1を参照)。このような液晶表示装置に表示する画像の輝度、彩度を調整する場合には、光源からの光量を光の色毎に光検知手段(センサー)によって検出して、フィードバックループ系によって調整する手法が用いられている(特許文献1を参照)。また、センサーを複数個用いて、複数個のセンサーの各々に、複数個に分割された光源の各々を対応させ、各々のセンサーで各々の光源を制御することもおこなわれている。
【特許文献1】特開平7−294889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各々のセンサーで各々の光源を制御する方式では、周囲の影響、つまり、周囲の光源からのクロストーク、を考慮せず算出していた。そのため光源を制御する制御量に過不足が生じ、その制御量が一定値に収束するまでに時間を要していた。これを解決して収束するまでの時間短縮を行うための手法としては、制御量に対して、修正量を加減算する処理が考えられる。しかし、この修正量は、種々の条件に応じて大きく異なるものであるので、このようにして、修正をおこなう制御系は複雑になるとともに、修正量を装置毎に特化しなければならず、適応性に欠けていた。
【0004】
本発明は上述した課題に鑑み、装置毎の特性の違いによらない適応性の高い制御系によって、所望の画像の輝度、彩度を得る技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液晶表示装置は、赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有する液晶パネルと、前記液晶パネルの背面の全面に渡り光ビームを照射するために、前記背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射する各光源と、前記各光源に対応して各々が配置され、前記背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じた検出信号を検出する各光量検出センサーと、前記各光源からの前記光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶するマトリックスメモリーと、所定条件下における前記各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶する目標センサー値メモリーと、前記各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、前記目標センサー値と、前記クロストークマトリックスとに基づいて、前記各光源を制御する光源制御信号を出力する回路部と、を備える。
【0006】
本発明の液晶表示装置の制御方法は、液晶パネルは、赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有し、前記液晶パネルの背面の全面に渡り光ビームを照射するために配置された各光源が、前記背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射し、前記各光源に対応して各々が配置された各光量検出センサーが、前記背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じたセンサー信号を検出し、マトリックスメモリーが、前記各光源からの前記光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶し、目標センサー値メモリーが、所定条件下における前記各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶し、回路部が、前記各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、前記目標センサー値と、前記クロストークマトリックスとに基づいて、前記各光源を制御する光源制御信号を出力する。
【0007】
本発明の液晶表示装置に関する技術では、各光源からの光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶する。そして、各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、目標センサー値と、クロストークマトリックスとに基づいて、各光源を制御する光源制御信号を出力する。このようにして、ホワイトバランスとユニフォミティーとを確保できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の技術によれば、液晶表示装置に表示される画像の輝度、彩度を、高速に所望のものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施形態の液晶表示装置の技術では、液晶表示装置は、液晶パネルと各光源と各光量検出センサーと回路部とを具備する。回路部は、マトリックスメモリーと目標センサー値メモリーとを有する。そして、液晶パネルは、赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有している。液晶パネルの背面の全面に渡り光ビームを照射するために配置された各光源(例えば、LED)が、背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射する。光源の各々に対応して特定される各々の光量検出センサー(RGBセンサー)が、背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じたセンサー信号を検出する。マトリックスメモリーが、各光源からの光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶する。目標センサー値メモリーが、所定条件下における各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶する。回路部が、各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、目標センサー値と、クロストークマトリックスとに基づいて、各光源を制御する光源制御信号を出力する。
【0010】
(実施形態の液晶表示装置)
以下、図を参照して、実施形態の技術について説明をする。図1は実施形態の液晶表示装置の要部である光学部10を模式的に示す図である。光学部10は、液晶パネルアッシィ(LCD(Liquid Crystal Display)パネルAssy)11とバックライトアッシィ(バックライトAssy)12とを有している。LCDパネルAssy11は、矢印で示す方向に移動して、LCDパネルAssy11とバックライトAssy12とは結合されて、光学部10を構成している。
【0011】
図2は、図1に示す光学部10の断面図を模式的に示す図である。図2(A)に示すようにLCDパネルAssy11は、液晶パネル(LCDパネル)111と光学シート112とを有している。LCDパネル(液晶パネル)111は赤(R(Red))、緑(G(Green))、青(B(Blue))の各色のカラーフィルターを有して形成されている。この各色のカラーフィルターを透過する各色の光の量は後述する回路部によって、各々調整されて、LCDパネル111の画像視認面に所望の画像が表示される。光学シート112は、輝度上昇フィルム(DBEF)、拡散シート、拡散板を有して形成されている。光学シート112のこのような構成は、液晶表示装置においては通常に用いられるものである。また、図2(A)に示すようにバックライトAssy12は、エルイーデーユニット(LED(Light Emitting Diode)ユニット)121と検出センサーユニット122とを有して形成されている。LEDユニット121の光学シート112と対する面には、赤、緑、青の各々の色の光ビームを出射する光源としての複数個のエルイーデー(LED)が配置されている。検出センサーユニット122には、光量検出センサーとして機能するRGBセンサー122Sが配置されている。
【0012】
図2(B)は、図2(A)に示す光学部10の一部を拡大して模式的に示す図である。図2(B)に示すように、LCDパネル111は、微小面積の赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類のカラーフィルターが規則正しく均一に配置されている。LEDユニット121の光学シート112と対する面の表面には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類の色を発光するLEDが規則正しく均一に配置されている。検出センサーユニット122にはアールジービーセンサー(RGBセンサー)122Sが配置されている。RGBセンサー122Sは、LEDユニット121に設けられた孔部からLCDパネル111の背面(画像視認面の反対側の面)に照射される光の量(光量)を検出する。RGBセンサー122Sは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類の色を別々に検出できるようになされている。
【0013】
光源である赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類のLEDは、グループ毎に同時に制御されるようになされている。これらのグループを光源1211、光源1212、光源1213、光源1214、光源1215、光源1216、光源1217、光源1218、光源1219、光源12110、光源12111、光源12112で表す(図4を参照)。
【0014】
図3は、RGBセンサー122Sが、どの様に配置されているかを示す図である。図3は、バックライトAssy12の裏面側(LCDパネルAssy11に対する面とは反対の面)から検出センサーユニット122を見た斜視図である。バックライトAssy12は、この場合には12個のRGBセンサー122Sを備えている。各々のRGBセンサー122Sに、順に以下の符号を付す。1列目は、RGBセンサー122S1、RGBセンサー122S2、RGBセンサー122S3である。2列目は、RGBセンサー122S4、RGBセンサー122S5、RGBセンサー122S6である。3列目は、RGBセンサー122S7、RGBセンサー122S8、RGBセンサー122S9である。4列目は、RGBセンサー122S10、RGBセンサー122S11、RGBセンサー122S12である。
【0015】
破線の部分領域B1は、RGBセンサー122S1によって制御されるLED(光源1211)の範囲である。また、破線の部分領域B2は、RGBセンサー122S2によって制御されるLED(光源1212)の範囲である。また、破線の部分領域B3は、RGBセンサー122S3によって制御されるLED(光源1213)の範囲である。また、破線の部分領域B4は、RGBセンサー122S4によって制御されるLED(光源1214)の範囲である。また、破線の部分領域B5は、RGBセンサー122S5によって制御されるLED(光源1215)の範囲である。また、破線の部分領域B6は、RGBセンサー122S6によって制御されるLED(光源1216)の範囲である。また、破線の部分領域B7は、RGBセンサー122S7によって制御されるLED(光源1217)の範囲である。また、破線の部分領域B8は、RGBセンサー122S8によって制御されるLED(光源1218)の範囲である。また、破線の部分領域B9は、RGBセンサー122S9によって制御されるLED(光源1219)の範囲である。また、破線の部分領域B10は、RGBセンサー122S10によって制御されるLED(光源12110)の範囲である。また、破線の部分領域B11は、RGBセンサー122S11によって制御されるLED(光源12111)の範囲である。また、破線の部分領域B12は、RGBセンサー122S12によって制御されるLED(光源12112)の範囲である。
【0016】
図4は、回路部20と光学部材との関係を示す図である。回路部20は、不揮発性メモリー21、中央演算装置(CPU)22、LEDドライバー23、LCDドライバー24を有している。LCDドライバー24は入力信号に応じて、LCDパネル111のカラーフィルターを制御する。LCDドライバー24とCPU22とは相互に情報をやり取りする。不揮発性メモリー21、CPU22、LEDドライバー23は、光源1211〜光源12112を制御する光源制御回路として機能する。
【0017】
CPU22には、RGBセンサー122S1〜RGBセンサー122S12からの検出信号が入力される。各々のRGBセンサーから、赤、緑、青(R、G、B)に対応した3つの信号が入力されるので、CPU22には36個のセンサー信号が入力される。CPU22は、この36個のセンサー信号と不揮発性メモリーに格納されている36個の制御の目標値(後述する目標センサー値Tsn)と後述する、3個の12行12列のクロストークマトリックスMとに基づいて所定の演算をおこなう。そして、36個の各光源の各々を制御するLED制御信号(光源制御信号)が得られる、これらのLED制御信号はLEDドライバー24に入力され、36個のLED駆動信号が、光源1211〜光源12112に供給される。光源1211〜光源12112の各々は、赤、緑、青の3種類のLED群から形成されているので、例えば、光源1211については、赤、緑、青(R、G、B)の各LEDは、3つのLED駆動信号で駆動されるようになされている。他の光源1212〜光源12112についても、同様にして、その各々が3つのLED駆動信号で駆動される。
【0018】
図4は光源とRGBセンサーとの関係を記載している。すなわち、理想状態では、光源1211からの光のみが、RGBセンサー122S1に入力するとして記載されている。また、他についても、例えば、光源1212からの光のみが、RGBセンサー122S2に入力するとして記載されている。しかしながら、実際には、隣接する光源からの光が本来は検出することを目的としていないRGBセンサーから検出されるのが実情である。例えば、RGBセンサー122S2では、光源1212からの光のみならず、光源1211、光源1213、光源1215などからの光も漏れ込んで検出される(図3を参照)。また、例えば、RGBセンサー122S5では、光源1215からの光のみならず、光源1212、光源1214、光源1216、光源1218などからの光も漏れ込んで検出される(図3を参照)。
【0019】
光源121nからの光のみが、RGBセンサー122Snに漏れ込む場合(n=1〜12)には、制御系は、1入力1出力の制御系であるので、その構成は非常に簡単なものである。しかしながら、クロストークがある場合には、そのような簡単な制御系として構成をする場合には十分な性能を得ることができないこととなる。以下に、このようなクロストークを有する光学系をどのように制御するかについて説明をする。
【0020】
(実施形態の光源の制御方法)
図5に示すCPU22でおこなわれる処理のフローチャートを参照して実施形態の制御方法について説明をする。
ステップST10では、目標となる、RGBセンサーからのセンサー信号の値である目標センサー値Tsnを不揮発性メモリー21より読み出す。ここで、目標センサー値Tsnは、液晶表示装置の製造時の調整完了時の値を保存(セーブ)したものである。
【0021】
ステップST11では、RGBセンサー122S1〜RGBセンサー122S12の各々から、36個の現在の、センサー信号の値である現在センサー値Psnを読み出す。
【0022】
ステップST12では、目標センサー値Tsnと現在センサー値PsnとからLED制御信号(光源制御信号)の値を算出する。ステップST12での演算の内容については、後で詳述する。
【0023】
ステップST13では、LEDドライバー23に対して36個のLED制御信号の値を出力する。
【0024】
ステップST13の処理が完了すると、処理はステップST11へ戻る。
【0025】
以上の演算は、割込処理によりおこなわれ、1回の割込によって、ステップST11〜ステップST13の処理をおこなう。割込の契機としては、所定時間毎に常時割込をおこなうタイマー割込としても良く、画像の輝度を調整するための画像輝度設定釦が操作された場合に割込をおこなうようにしても良い。
【0026】
ステップST12でおこなわれる処理の内容について以下に詳述する。
【0027】
まず、数式1で示されるマトリックスMについて説明をする。このマトリックスMは、例えば、ステップST11において、各々のRGBセンサーから得られた現在センサー値Psnに基づき、回路部20で生成されるものである。
【0028】
【数1】

【0029】
マトリックスMは、赤(赤色)、緑(緑色)、青(青色)の各々について得られるが、以下においては、赤について代表して説明をする。マトリックスMの各要素は以下の意味を有している。なお、各要素の一部についてのみ、その意味の説明をしているが、他の要素も同様な意味を有するものである。マトリックスMをクロストークマトリックスと称する。

(1,1)光源1211の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S1の赤色を検出するセンサーから検出した値。
(2,1)光源1211の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S2の赤色を検出するセンサーから検出した値。
(3,1)光源1211の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S3の赤色を検出するセンサーから検出した値。

(1,2)光源1212の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S1の赤色を検出するセンサーから検出した値。
(2,2)光源1212の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S2の赤色を検出するセンサーから検出した値。
(3,2)光源1212の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S3の赤色を検出するセンサーから検出した値。

(12,12)光源12112の赤色のLEDを点灯させた時のRGBセンサー122S12の赤色を検出するセンサーから検出した値。
【0030】
つまり、マトリックスMの要素(m、n)の各々の値を得るに際しては、以下の操作をする。nを固定して、光源121nのみを点灯し、他の光源は消灯する。そして、mを、m=1〜12まで順に変化させて、RGBセンサー122Smからのセンサー信号をCPU22は、順に検出するようにしている。次に、nの値を変化させて別の値に固定し、上述したようにして、同様に、m=1〜12まで順に変化させて、RGBセンサー122Smからのセンサー信号をCPU22は、順に検出するようにしている。
【0031】
なお、表1に示すマトリックスMは対角要素が1ではない。後の演算を簡単にするために、対角要素を1とするように正規化したものが数式2に示すマトリックスMである。すなわち、点灯位置とセンサー位置が一致する成分が1となるように正規化したのが、数式2で示すマトリックスMである。正規化されたマトリックスを正規化マトリックスMと称する。正規化マトリックスMもクロストークマトリックスの一種である。
【0032】
【数2】

【0033】
クロストークに関する光学部材の温度特性、経年変化が小さく、各光源からの光量の大きさに対するクロストーク量の変化の割合が一定であれば、マトリックスMは以下の特徴を有する。すなわち、各光源からの光量の大きさと、液晶表示装置を動作させる環境温度と、時期によらず、マトリックスの各要素の値は変化することがない。通常の液晶表示装置では略このような条件を満たす。
【0034】
マトリックスMはこのような性質を有するので、マトリックスMを用いる場合には、時期的には、いつの段階で、マトリックスMを得るようにしても良いこととなる。つまり、上述したように、ステップST11で、マトリックスMを得るのではなく、例えば、製造時の調整完了の直後に得る様にしても良い。また、液晶パネルの画像の状態が一定の特殊な状態では、得られる規格化マトリックスMの各要素の値は、等しいものとなる。例えば、液晶パネルの全面の画像において均一なる(ユニフォミティーを有して)ホワイトバランスが得られている状態で得たマトリックスMは、輝度によらず、等しいものとなる。
【0035】
したがって、ホワイトバランスを適正に保った状態で装置を動作させる場合には、一旦、マトリックスMを得た後は、再び、計算をする必要がなく、マトリックスMを記憶するメモリーに記憶しておいて、これを用いることができる。また、液晶表示装置の回路部で演算することなく、液晶表示装置の外部でマトリックスMを演算して、液晶表示装置の回路部20の不揮発メモリー21にこれを記憶するようにしても良い。また、逆マトリックスiMについても同様に、回路部20の不揮発メモリー21にこれを記憶するようにしても良い。
【0036】
すべての光源を点灯したときの各センサーの値を、Dsn(Ds1,Ds2,Ds3………Ds12)とする。Dsnを全光源点灯時センサー値と称する。例えば、Ds1は、RGBセンサー122S1の赤色を検出するセンサーから検出した値である。他も同様に他のRGBセンサーの赤色を検出するセンサーから検出した値であるである。
【0037】
また、ある光源を光らせたときの同一ブロック内のセンサーの測定値をDtn(Dt1,Dt2,Dt3,…..Dt12)とする。Dtnを自己光源点灯時センサー値と称する。例えば、光源1211の赤色のLEDを光らせたときのRGBセンサー122S1の赤色を検出するセンサーから検出した値がDt1である。そうすると数式3に示す関係が成立する。
【0038】
【数3】

【0039】
ここで、正規化マトリックスMの逆行列をマトリックスiMとすると数式4が成立する。
【0040】
【数4】

【0041】
次に、数式4において、全光源点灯時センサー値Dsn(Ds1,Ds2,Ds3………Ds12)を不揮発性メモリー21に保持された目標センサー値Tsnに置き換える。ここで、目標センサー値Tsn(Ts1,Ts2,Ts3………Ts12)は、その検出の時期としては、工場での製造時における全光源を点灯したときの各RGBセンサーからのセンサー信号の値である。例えば、Ts1は製造時における、光源1211〜光源12112のすべてのLEDを光らせたときのRGBセンサー122S1の赤色を検出するセンサーから検出した値である。このときに求まるDtn(Dt1,Dt2,Dt3………Dt12)をTTsn(TTs1, TTs2, TTs3………TTs12)として、TTsnを保存する。TTsnを目標自己光源点灯時センサー値と称する。TTsnは回路部20に配されたメモリーに保存する。
【0042】
ここで、工場での製造時に目標センサー値Tsnを得るに当たって、どのように、全光源を点灯するかについて説明をする。液晶表示装置の製造時に、ホワイトバランスを調整し、画像の全面に渡るユニフォミティーを確保し、輝度を適正に調整する。このようにして得られる各RGBセンサーからのセンサー信号の値が目標センサー値Tsnである。
【0043】
さらに、数式4において、全光源点灯時センサー値Dsn(Ds1,Ds2,Ds3………Ds12)をステップST11で得たセンサー信号の値である現在センサー値Psn(Ps1, Ps2, Ps3………Ps12)に置き換える。例えば、Ps1はステップST11で得た、全光源の赤色のLEDを光らせたときのRGBセンサーの赤色を検出する各センサーから検出した値である。このときに求まるDtn(Dt1,Dt2,Dt3………Dt12)をTPsn(TPs1, TPs2, TPs3………TPs12)として、TPsnを保存する。TPsnを現在自己光源点灯時センサー値と称する。TPsnは回路部20に配されたメモリーに保存する。
【0044】
ステップST11で得た、現在センサー値Psn(Ps1, Ps2, Ps3………Ps12)を目標とする値である目標センサー値Tsn(Ts1,Ts2,Ts3………Ts12)に一致させることを考える。この目的のために、CPU22から出力されるLED制御信号を補正するための係数である、数式5で与えられるFBnを導入する。FBnを補正係数と称する。
【0045】
【数5】

【0046】
数式5は、n番目の光源121nをどの様に制御するかを示すものである。上述したように、この場合のFBnは、光源1211〜光源12112の赤色のLEDを制御するための例で説明をしてきたので、補正係数FBnは赤についての補正係数である。例えば、FB1は、光源1211の赤色のLEDを光らせるLED駆動信号についての補正係数である。他の色である、緑、青についても同様にして補正係数を求めることができる。
【0047】
ここで、数式5の補正係数FBnの意味は以下に示すものである。LED(各光源)の駆動方式がアナログ方式の場合には、現在のLEDに流れている電流の値がAN1nであるとすると、望ましい電流であるAN2nの値は、AN2n=FBn×AN1nで得られる。また、LEDの駆動方式がPWM方式の場合には、パルス幅変調信号が光源制御信号、光源駆動信号として用いられるので、以下のように制御をする。LED(各光源)を駆動する現在のパルス幅がPWM1nであるとすると、望ましいパルス幅であるPWM2nの値は、PWM2n=FBn×PWM1nで得られる。つまり、電流値AN2nまたはパルス幅PWM2nの値で各光源を駆動する場合にクロストークマトリックスを得るとすれば、ホワイトバランスとユニフォミティーとが確保された数式2に近似したものとなる筈である。
【0048】
上述した説明は赤色についてのみ説明をしたが、緑色、青色についても同様の制御をおこなうことができる。
【0049】
(実施形態の光源の制御方法の具体例)
数式6に正規化マトリックスMの具体例を示す。
【0050】
【数6】

数式7に正規化マトリックスの逆行列であるマトリックスiMの具体例を示す。
【0051】
【数7】

数式8に、ある色(例えば、赤)の現在の全光源点灯時センサー値Dsnの具体例を示す。
【0052】
【数8】

数式9に、現在の全光源点灯時センサー値Dsnから現在自己光源点灯時センサー値TPsnを得る具体例を示す。
【0053】
【数9】

数式10に、目標センサー値Tsnの具体例を示す。
【0054】
【数10】

数式11に、目標センサー値Tsnから目標自己光源点灯時センサー値TTsnを得る具体例を示す。
【0055】
【数11】

数式12に、現在自己光源点灯時センサー値TPsnと目標自己光源点灯時センサー値TTsnとからFBnを得る具体例を示す。このようなFBnが、緑色、青色についても得られ、合計として、36個の補正係数が得られる。
【0056】
【数12】

【0057】
そして、具体例では、現在の(構成前の)36個のPWM制御信号(光源制御信号)の各々に対応する補正係数を掛けて、LEDドライバー23に供給する。LEDドライバー23からのPWM駆動信号(光源駆動信号)は、このようにしてパルス幅が補正され、光源1211〜源12112の各々に供給される。そして、例えば、輝度が変更された場合でも、上述した補正係数によって、ホワイトバランスが確保され、ユニフォミティーが良好なる画像が表示される。
【0058】
実施形態の技術によれば、別系統の制御系で制御される隣接する光源からの影響を予め考慮に入れた制御がおこなわれるので、適応性が高く、高速に所望の目標値に収束し、精度も極めて高い制御系を実現できる。すなわち、背景技術として示す従来の手法では、周囲の影響を考慮せずフィードバック量を算出し、発散しないようなあわせこみ係数を掛け合わせて行うフィードバックをおこなっている。このような従来の技術に較べると、適応性、高速性、精度のいずれについても、実施形態の技術は大きな優位性がある。
【0059】
また、実施形態では、ホワイトバランス、画面全体のユニフォミティーを確保した状態で、クロストークマトリックスを得て、このクロストークマトリックスを正規化して以後に用いるようにしている。よって、ホワイトバランス、画面全体のユニフォミティーを損なうことなく、画面の輝度の調整等をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態の液晶表示装置の光学部を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す光学部の断面図を模式的に示す図である。
【図3】RGBセンサーと温度センサーとがどの様に配置されているかを示す図である。
【図4】回路部と光学部材との関係を示す図である。
【図5】回路部でおこなわれる処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
10 光学部、 20 回路部、 21 不揮発性メモリー、 23 LEDドライバー、 24 LCDドライバー、 111 LCDパネル(液晶パネル)、1211〜12112 光源、 122S1〜122S12 RGBセンサー(光量検出センサー)、 B1〜B12 部分領域、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有する液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面の全面に渡り光ビームを照射するために、前記背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射する各光源と、
前記各光源に対応して各々が配置され、前記背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じた検出信号を検出する各光量検出センサーと、
前記各光源からの前記光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶するマトリックスメモリーと、
所定条件下における前記各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶する目標センサー値メモリーと、
前記各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、前記目標センサー値と、前記クロストークマトリックスとに基づいて、前記各光源を制御する各光源制御信号を出力する回路部と、を備える液晶表示装置。
【請求項2】
前記回路部は、
前記クロストークマトリックスを正規化して、逆行列を得て、この逆行列を保存する逆行列メモリーを有する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記マトリックスメモリーは、
前記液晶パネルの全面渡り表示される画像の全面において、均一なるホワイトバランスを得た状態において、前記クロストークマトリックスを記憶する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記各光源制御信号は、
パルス幅変調信号であり、
前記回路部は、
前記現在センサー値と、前記目標センサー値と、前記クロストークマトリックスとから得られる補正係数を現在の前記各光源制御信号に掛けて所望する各制御信号を得る請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
液晶パネルは、赤色、緑色、青色のカラーフィルターを有し、
前記液晶パネルの背面の全面に渡り光ビームを照射するために配置された各光源が、前記背面の各部分領域に対して赤色、緑色、青色の光ビームを出射し、
前記各光源に対応して各々が配置された各光量検出センサーが、前記背面に照射される赤色、緑色、青色の光ビームの各光量に応じたセンサー信号を検出し、
マトリックスメモリーが、前記各光源からの前記光ビームが各センサー信号に与えるクロストークの量をクロストークマトリックスとして記憶し、
目標センサー値メモリーが、所定条件下における前記各光量検出センサーからのセンサー信号である目標センサー値を記憶し、
回路部が、前記各光量検出センサーからの現在のセンサー信号である現在センサー値と、前記目標センサー値と、前記クロストークマトリックスとに基づいて、前記各光源を制御する光源制御信号を出力する、液晶表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−2494(P2010−2494A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159341(P2008−159341)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】