液晶表示装置及びその駆動方法
【課題】 液晶の応答速度を速くして、動きのある映像でもにじみや尾引きを防止し、フィールドシーケンシャルカラー方式における色再現性を向上できる液晶表示装置を低コストで提供する。
【解決手段】 スイッチング素子に接続された画素電極とコモン電極との間に液晶容量が構成され、画素電極と補助電極(又はゲート電極)との間に補助容量が構成されている液晶表示装置に対して、画素電極とコモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、コモン電圧Vcと補助電圧Vaの少なくともいずれか一方を映像信号印加期間と補助信号印加期間とで異ならせる。ソースドライバから補助信号を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧Vlcを液晶容量に印加して液晶の応答速度を速くすることができる。
【解決手段】 スイッチング素子に接続された画素電極とコモン電極との間に液晶容量が構成され、画素電極と補助電極(又はゲート電極)との間に補助容量が構成されている液晶表示装置に対して、画素電極とコモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、コモン電圧Vcと補助電圧Vaの少なくともいずれか一方を映像信号印加期間と補助信号印加期間とで異ならせる。ソースドライバから補助信号を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧Vlcを液晶容量に印加して液晶の応答速度を速くすることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばテレビジョンセット、コンピュータ、ワードプロセッサやOA(Office Automation)機器等に用いられる液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置における等価回路を図13に示す。
【0003】この液晶表示装置は、複数のゲート電極41及び複数のソース電極42が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍には薄膜トランジスター等のスイッチング素子43が設けられている。ゲート電極41及びソース電極42で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極44が設けられ、スイッチング素子43を介してソース電極42と接続されている。この画素電極44はコモン電極45との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量46が構成されている。この液晶容量46に任意の電圧を書き込んで保持することにより、画像表示が行われる。
【0004】このようなアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置について、一般的な駆動電圧波形を図14R>4に示す。
【0005】ゲート電極41に印加されるゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形が1フィールド期間に線順次に印加され、1画面走査される。ソース電極42に印加されるソース電圧Vsとしては、ゲート電極41にオン電圧Vghが入力されている行に相当する映像信号が順次印加される。コモン電極45には、コモン電圧Vcとして±Vcacが印加され、画素電極44には、ゲート電極41にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが画素電圧Vpとして書き込まれる。その結果、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0006】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、一般的な液晶モードとして用いられているTN(ツイスティッドネマティック)型のノーマリーホワイトモードを例として図15に示す。
【0007】ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、通常、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定される。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。従って、液晶印加電圧Vlcに対して、ソース電圧Vsとコモン電圧Vcは下記式に示すように設定される。
【0008】
【数1】
【0009】次に、この液晶パネルにおける透過率の応答について図16に示す。この図において、映像信号を白表示→黒表示→白表示に変化させた場合の透過率変化を実線で示し、映像信号を白表示→中間調表示→白表示に変化させた場合の透過率変化を破線で示している。
【0010】この図に示すように、映像信号を白表示→黒表示→白表示に変化させた場合には、1フィールド期間内で透過率の応答がほぼ完了するものの、映像信号を白表示→中間調表示→白表示に変化させた場合には、1フィールド期間内で透過率が映像信号に相当する透過率まで変化していない。このように、特に印加電圧差が小さい映像信号間では、応答速度が遅い場合がある。
【0011】このような液晶表示装置は、CRT等の表示装置と比べてもコントラスト、明るさ、色再現性等の画質については十分な性能が得られているので、薄型の表示装置として普及している。しかし、動きのある映像を表示させる場合などには、上述のように応答速度が遅いために、映像がにじんだように観察されたり、輪郭が尾を引いているように見えることがあり、これがCRTに代わる表示装置として用いるためには問題となっている。
【0012】ところで、特開昭56−27198号公報には、白黒の液晶パネルと発光色が赤、青、緑に切り換わる光源を組み合わせてカラー表示を得る方式の表示装置が開示されており、この方式はフィールドシーケンシャルカラー方式と呼ばれている。
【0013】このフィールドシーケンシャルカラー方式では、光源の発光色を赤、青、緑に切り換えると同時に、各々の発光色に応じた映像を液晶パネルに順次表示させて駆動するので、カラー映像では、静止画像であっても書き込み毎に映像信号が変化する。従って、液晶パネルの応答が不十分な場合には、連続する色情報が混ざり合って色再現性が低下してしまい、十分な表示性能を得ることが困難である。
【0014】このように、液晶パネルの応答速度が遅いことが表示性能を低下させる原因となっており、これを改善するために以下のような方法が提案されている。
【0015】例えば、特開平4−42211号公報には、映像信号に相当する電圧を書き込む前に、映像信号とは異なる補助信号の電圧を書き込む方法が提案されている。この方法は、映像信号に相当する電圧を印加する前に、この電圧よりも大きい電圧または小さい電圧を液晶層に印加することで、液晶の実効的な応答速度を高速化できることを利用したものであり、動画に対する品位を改善できるとされている。
【0016】或いは、「SID 98 DIGEST P.143 A Novel Wide−Viewing Angle Motion−Picture LCD」には、映像信号に相当する電圧を書き込み走査する前に補助信号の電圧を書き込み走査する方法が提案されている。この方法によれば、既に書き込まれている映像表示を消去することで、動画に対する品位を改善できるとされている。
【0017】さらに、特開平9−138421号公報には、映像信号に相当する電圧を書き込み走査する前に各走査線を一斉に書き込み状態にして、コモン電極のコモン電圧を可変させて供給することにより、補助信号の電圧を書き込む駆動方法が提案されている。
【0018】これらの改善方法を上述のフィールドシーケンシャルカラー方式に適用すれば、色再現性の低下を防止することができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、液晶パネルに対して映像信号に相当する電圧を印加する期間以外に、本来の映像信号ではない補助信号の電圧を印加する期間を設けることで、液晶の高速応答化を図ることが可能である。しかし、液晶の応答速度を効果的に改善するためには、補助信号の電圧値と補助信号を印加する期間を適切に設定することが重要である。
【0020】一般に、液晶層に印加される電圧の変化量が大きい程、大きなエネルギーを液晶分子に作用させて応答速度を速くすることができる。従って、補助信号の電圧値は、映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧値に設定するのが好ましい。さらに、映像信号に相当する電圧に応じて、補助信号も異なった電圧値に設定できるようにするのが好ましい。
【0021】さらに、上述した駆動方法では、補助信号を印加する期間の過渡的な応答を利用して液晶パネルの高速応答化を図るため、補助信号を印加する期間は、適用する液晶パネルの応答特性に最適な値に設定できるようにするのが好ましい。
【0022】しかし、上述の駆動方法では以下のように、動作上の制約があるため、液晶の応答速度を効果的に改善することが困難であった。
【0023】特開平4−42211号公報の方法では、映像信号に相当する電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む前に、映像信号とは異なる補助信号の電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込んでいる。このため、補助信号によって映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧を液晶層に印加するためには、ソース電極に信号電圧を入力するためのソースドライバーの耐圧を増加させる必要があり、製造コストが増大してしまう。さらに、スイッチング素子を介して補助信号を書き込むので、映像信号に相当する電圧を書き込む期間以外の短い期間で補助信号の書き込みを行う必要がある。このため、スイッチング素子のオン性能を飛躍的に改善することが不可欠であり、実用化が困難である。
【0024】或いは、「SID 98 DIGEST P.143 A Novel Wide−Viewing Angle Motion−Picture LCD」の方法では、映像信号に相当する電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む走査と補助信号の電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む走査を繰り返して行っている。この方法でも、補助信号によって映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧を液晶層に印加するためには、ソース電極に信号電圧を入力するためのソースドライバーの耐圧を増加させる必要があり、製造コストが増大してしまう。さらに、補助信号が液晶パネルに印加されている期間は映像信号を表示できないので、画面の明るさが低下するのを防止するためにはこの期間を短く設定する方が好ましく、補助信号が液晶パネルに印加されている期間を液晶の応答に必要な最小限の期間とするのが好ましい。しかし、この駆動方法によって補助信号が液晶パネルに印加されている期間を短縮するためには、補助信号書き込み走査期間を短縮する必要がある。このためには、スイッチング素子のオン性能を改善するためにスイッチング素子の大型化が必要であり、これに伴ってスイッチング素子の欠陥発生率が高くなる等の不具合が生じてコストアップの原因となる。
【0025】さらに、特開平9−138421号公報の方法では、各走査線を一斉に書き込み状態にして補助信号の電圧を印加するので、全画素に対して一定の電圧が補助信号として印加される。しかしながら、実際の映像表示では、映像信号に相当する電圧が各画素で異なるので、各画素に対して映像信号に相当する透過率に達するまでの応答時間を短縮するには、各画素で異なる映像信号に対応した補助信号を設定する必要がある。従って、映像信号に関わらず一定な補助信号では、効果的に応答速度を改善することができない。さらに、補助信号の書き込み時には各ゲート電極が一斉に書き込み状態になってソース電極1本当たりの容量負荷が増大するので、この増大した容量負荷を駆動できるような高性能なソースドライバーが必要となる。
【0026】それに加えて、上述のいずれの駆動方法においても、補助信号の電圧がスイッチング素子を介して印加されるので、補助信号印加時にソースドライバーでの消費電力が増大し、低消費電力であるという液晶表示装置の特徴が損なわれてしまう。
【0027】本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、液晶の応答速度を速くして、動きのある映像でもにじみや尾引きを防止し、フィールドシーケンシャルカラー方式における色再現性を向上でき、さらに、製造コストの低廉化及び低消費電力化を図ることができる液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該補助電極に印加される補助電圧の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっており、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】本発明の液晶表示装置は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該ゲート電極に印加されるゲート電極の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっており、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】本発明の液晶表示装置の駆動方法は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該補助電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加し、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】本発明の液晶表示装置の駆動方法は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該ゲート電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加し、そのことにより上記目的が達成される。
【0032】前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記補助電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加してもよい。
【0033】前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記ゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加してもよい。
【0034】前記画素電極に前記スイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に前記補助信号印加期間を設けて、該画素電極と前記コモン電極との間の電圧を、該書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、前記映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせてもよい。
【0035】前記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定してもよい。
【0036】前記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定してもよい。
【0037】前記画素電極と前記コモン電極との間に、前記映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を、前記補助信号印加期間に印加するのが好ましい。
【0038】前記映像信号印加期間と前記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、前記映像信号印加期間に前記画素電極と前記コモン電極との間に印加してもよい。
【0039】前記1フィールド期間が、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含んでいてもよい。
【0040】以下、本発明の作用について説明する。
【0041】本発明にあっては、コモン電極との間に液晶容量を構成する画素電極が、補助電極との間に補助容量を構成しているか、またはスイッチング素子のゲート電極との間に補助容量を構成している。この液晶表示装置に対して、画素電極とコモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とで、コモン電極及び補助電極の少なくともいずれか一方、または補助電極及びゲート電極の少なくともいずれか一方に、異なる電圧を印加している。従って、従来のように、ソースドライバーから補助信号電圧を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧を液晶層に印加することができる。
【0042】上記補助信号印加期間内に、コモン電極及び補助電極の少なくともいずれか一方、またはコモン電極及びゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加することにより、液晶パネルの応答速度を効果的に速くすることができる。この変化回数は、液晶の応答速度によって適宜設定することができる。
【0043】上記画素電極にスイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に補助信号印加期間を設けて、画素電極とコモン電極との間の電圧を、書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせることにより、前に書き込まれていた映像信号の影響を消すための応答と、それとは反対方向への過渡的な応答を行って、液晶パネルの応答速度をあらゆる映像信号に対して効果的に速くすることができる。
【0044】上記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定すれば、補助信号に相当する画面と映像信号に相当する画面との切り替えを全画面で行うことができるので、例えば画面全体が黒表示状態の場合に光源を消灯させることにより、光の利用効率が向上する。
【0045】或いは、上記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定すれば、画素内の異なる行に対して書き込み期間と補助信号印加期間とを同時期に設定することができる。
【0046】上記補助信号印加期間に画素電極とコモン電極との間に印加される電圧範囲を広げて、映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を印加することにより、液晶の応答速度が効果的に改善される。
【0047】上記映像信号印加期間と上記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、映像信号印加期間に画素電極とコモン電極との間に印加することにより、液晶の応答速度を速くして色情報を混ざらないようにできるので、色再現性の良いカラー表示が可能となる。
【0048】上記1フィールド期間を、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含んで構成すれば、色再現性の良いフルカラー表示が可能となる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0050】(実施形態1)図1は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0051】この液晶表示装置は、複数のゲート電極1及び複数のソース電極2が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子3として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極1及びソース電極2で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極4が設けられ、スイッチング素子3を介してソース電極2と接続されている。この画素電極4はコモン電極5との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量6が構成されている。さらに、画素電極4と補助電極7との間には補助容量8が液晶容量6と並列に形成されている。
【0052】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図2に示す。
【0053】1フィールド期間は、補助信号印加期間と映像信号印加期間とで構成され、補助信号印加期間には画素電極4にスイッチング素子3を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。
【0054】ゲート電極1に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形を線順次に走査する。
【0055】ソース電極2に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極1にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。
【0056】コモン電極5に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。
【0057】補助電極7に印加する補助電圧Vaとしては、書き込み期間を含む補助信号印加期間の前半においてはコモン電圧Vcと同様に±Vcacの電圧を入力し、補助信号印加期間の後半においては書き込み期間のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVa1stシフトさせた電圧を入力する。さらに、映像信号印加期間においては±ΔVa2ndシフトさせた電圧を入力する。
【0058】画素電極4には、ゲート電極1にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電圧Vaの電圧が変化すると同時に補助容量8の影響によって画素電圧Vpも変化する。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0059】
【数2】
【0060】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0061】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図3に示す。なお、液晶モードとしては、TN型で電圧無印加時に透過率が大きいノーマリーホワイトモードを用いている。
【0062】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcgと約1%の透過率が得られる電圧Vlciの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0063】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0064】
【数3】
【0065】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、補助信号印加期間の前半には映像信号に応じたVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加され、補助信号印加期間の後半には映像信号に応じたVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加され、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcgからVlciまでの範囲の電圧が印加される。
【0066】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0067】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図4を用いて説明する。ここでは、白表示の映像信号と中間調の映像信号を交互に表示させる場合の透過率変化を示す。
【0068】この図に示すように、白表示→中間調表示に変化させた場合と中間調表示→白表示に変化させた場合のいずれの場合も、補助信号印加期間の前半中に完全に黒表示まで到達し、補助信号印加期間の後半中に白表示方向への過渡的な応答を示した後、映像信号印加期間に映像信号に応じて白表示及び中間調表示の透過率に変化している。
【0069】このように、黒表示状態で映像信号の書き込みを行えるので、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることはない。さらに、補助信号印加期間の後半において白表示方向への過渡的な応答が加わるので、液晶の応答が遅い中間調表示への映像変化についても、映像信号表示期間中に映像信号に相当する透過率まで変化させることができる。
【0070】本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対しても液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。よって、補助信号印加期間を短くして、映像表示が行われる映像信号印加期間を長くして明るい表示を得ることができる。
【0071】さらに、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間に黒表示とすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、動きのある映像でもにじみや尾引きを防いで明るい表示が得られる。また、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力できるものであればよいので、補助電圧の耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐこともできる。
【0072】本実施形態においては、画面全体が同時に補助信号表示である黒表示から映像信号表示に切り代わるので、画面全体が黒表示である期間に光源を消灯させるように点滅動作させれば、光の利用効率が向上して消費電力も低減できる。
【0073】なお、ΔVpと液晶パネルの応答速度について説明すると、ΔVp2ndを大きく設定した場合、補助信号印加期間の前半における液晶印加電圧の変化が増加して短い期間で黒表示に到達するが、ΔVp2ndが大きすぎると黒表示から映像信号表示への応答が遅くなる。一方、ΔVp1stを大きく設定した場合、補助信号印加期間の後半における液晶印加電圧の変化が増加するので、特に映像信号が白表示に近い場合には、白表示方向への応答が速まって映像信号表示への応答が速くなるが、ΔVp1stが大きすぎると映像信号が黒表示の場合でも白表示方向への応答が生じて映像信号表示への応答が遅くなる。従って、液晶の応答性能を考慮してΔVpを最適化することで、効果的に液晶パネルの高速応答化を図って補助信号印加期間を短くすることができる。
【0074】書き込み期間の設定や補助信号印加期間における補助電圧の変化回数等の設定についても、本実施形態に示したものに限られず、液晶パネルの応答性能に応じて設定することができる。さらに、書き込み期間を補助信号印加期間に設けているが、映像信号印加期間に設けてもよく、また、補助信号印加期間に補助電圧Vaを変化させる代わりにコモン電圧Vcを変化させてもよい。
【0075】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、補助信号印加期間に透過率が100%となるように設定してもよく、この場合には映像信号書き込み期間に光源を消灯するように点滅動作させればよい。
【0076】液晶モードについても、TNモードに限らずに他のモードを用いてもよく、ノーマリーブラックモードとしてもよい。
【0077】(実施形態2)本実施形態では、本発明をフィールドシーケンシャルカラー方式の液晶表示装置に適用した例について説明する。
【0078】図5は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0079】この液晶表示装置は、複数のゲート電極21及び複数のソース電極22が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子23として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極21及びソース電極22で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極24が設けられ、スイッチング素子23を介してソース電極22と接続されている。この画素電極24はコモン電極25との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量26が構成されている。さらに、画素電極24と補助電極27odd、27evenとの間には補助容量28が液晶容量6と並列に形成されている。この液晶表示装置は、補助電極27odd、27evenが1行毎に別々に接続され、異なる信号が入力される以外は実施形態1と同様の構成である。
【0080】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図6に示す。
【0081】1フィールド期間は、赤色成分の表示に相当するサブフィールド期間、緑色成分の表示に相当するサブフィールド期間及び青色成分の表示に相当するサブフィールド期間で構成され、各サブフィールド期間を重ね合わせてフルカラー表示を行う。各サブフィールド期間は補助信号印加期間と映像信号印加とで構成され、映像信号印加期間には画素電極24にスイッチング素子23を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。
【0082】ゲート電極21に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形を線順次に走査する。
【0083】ソース電極22に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極21にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させた電圧を順次印加している。
【0084】コモン電極25に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させている。
【0085】補助電極27odd、27evenに印加される補助電圧Vaodd、Vaevenとしては、映像信号印加期間においてはコモン電圧Vcと同様に±Vcacの電圧を入力し、補助信号印加期間においては書き込み時のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVaシフトさせた電圧を入力する。書き込み時のコモン電圧Vcの極性は1行毎に異なるので、補助電圧Vaodd、Vaevenにおける補助電圧Vaのシフト電圧±ΔVaの極性が異なっている。
【0086】画素電極54には、ゲート電極51にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電圧Vaの電圧が変化すると同時に補助容量58の影響によって画素電圧Vpも変化する。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0087】
【数4】
【0088】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0089】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図7に示す。なお、液晶モードとしては、OCB(Optically Compensated Bend)型でノーマリーホワイトモードを用いている。
【0090】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0091】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0092】
【数5】
【0093】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、補助信号印加期間にはVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加され、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加される。
【0094】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0095】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図8を用いて説明する。この図において、明るい緑表示に相当する映像信号を印加した場合の透過率変化を実線で示し、暗い緑表示に相当する映像信号を印加した場合の透過率変化を点線で示している。
【0096】明るい緑表示を行う場合には、液晶パネルは赤成分を黒表示、緑成分を白表示、青成分を黒表示として繰り返し表示する、一方、暗い緑表示を行う場合には、液晶パネルは赤成分を黒表示、緑成分を中間調表示、青成分を黒表示として繰り返し表示する。
【0097】この図に示すように、明るい緑表示の場合及び暗い緑表示のいずれの場合についても、各サブフィールド期間内で各色の映像信号に相当する透過率になっており、色再現性の良いカラー表示が得られる。
【0098】本実施形態においては、図7に示すように、補助信号印加期間における電圧を映像信号印加期間に比べて低電圧側に設定している。その理由は、本実施形態で用いた液晶モードでは、液晶印加電圧が高電圧側よりも低電圧側で液晶の応答が遅いためであり、補助信号印加期間に低電圧を印加することにより、優先的に低電圧側への液晶の応答を高速化させるためである。
【0099】さらに、本実施形態においては、補助信号印加期間における液晶印加電圧が、全ての映像信号に対して必ずしも一定の透過率となる電圧に設定されていない。従って、緑表示を行う場合の赤色成分及び青色成分のサブフィールド期間のように、黒表示に相当する映像信号の場合には、補助信号印加期間に印加される液晶印加電圧が、白表示に相当する映像信号の場合に比べて高いため、補助信号印加期間後に白表示方向へ変化する量を低減して不必要な液晶の応答を防止し、映像信号に相当する透過率への応答を速くすることができる。
【0100】このように、本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対して液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。液晶の応答が速いので、補助信号印加期間を短くして映像表示が行われる映像信号印加期間を長くすることができ、明るい表示を得ることができる。
【0101】また、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間後に映像信号に相当する透過率にすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、色再現性の良い表示が得られる。
【0102】さらに、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力することができればよく、補助電圧のために耐圧を増加させる必要がないので、コストアップを防ぐこともできる。
【0103】なお、映像信号印加期間や電圧シフト量ΔVpは、本実施形態に示したものに限られず、液晶の応答性能に応じて設定すればよい。また、書き込み期間は補助信号印加期間に設定してもよい。
【0104】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、液晶モードをノーマリブラックモードとし、透過率が最小となる液晶印加電圧よりも低い電圧を補助信号印加期間に印加するように設定してもよい。さらに、液晶モードについても、OCBモードに限らずに他のモードを用いてもよい。
【0105】液晶表示装置の構造についても、本実施形態に限られず、例えば複数の走査線に接続された画素容量に線順次または点順次に書き込まれた映像信号に相当する電圧を、書き込み走査後に全画面の画素電極に一斉に転送するような方式の液晶表示装置であってもよい。
【0106】(実施形態3)図9は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0107】この液晶表示装置は、複数のゲート電極31及び複数のソース電極32が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子33として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極31及びソース電極32で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極34が設けられ、スイッチング素子33を介してソース電極32と接続されている。この画素電極34はコモン電極35との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量36が構成されている。さらに、画素電極34とゲート電極31との間には補助容量38が液晶容量36と並列に形成されている。このようにゲート電極31が補助電極として兼用されているが、専用の補助電極を形成してもよい。
【0108】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図10に示す。
【0109】1フィールド期間は、補助信号印加期間と映像信号印加期間とで構成され、補助信号印加期間には画素電極34にスイッチング素子33を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。本実施形態では、補助信号印加期間と映像信号印加期間のタイミングが各行毎に書き込み期間に応じて設定されている。
【0110】ゲート電極31に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形が入力される書き込み期間と、書き込み期間と同期して補助信号電圧±ΔVが印加される補助信号印加期間を線順次に走査する。ここで、Vgnはn番目のゲート電極の信号を示し、Vgn−1はn−1番目のゲート電極の信号を示す。
【0111】補助信号電圧は、補助信号印加期間における書き込み期間の前後で異ならせる。書き込み期間より後の補助信号印加期間においてはオフ電圧Vglにコモン電圧Vcと同様の±Vcacの電圧を加えた電圧を入力し、映像信号印加期間においては書き込み期間のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVa1stシフトさせた電圧を入力する。さらに、書き込み期間より前の補助信号印加期間においては±ΔVa2ndシフトさせた電圧を入力する。このように、本実施形態では、実施形態1及び実施形態2のように補助電圧が各行に同時に印加されるのではなく、各行毎にオン電圧Vghのパルス波形のタイミングに対応して走査される。
【0112】ソース電極32に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極31にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させた電圧を順次印加している。
【0113】コモン電極35に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させている。
【0114】画素電極34には、ゲート電極31にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電極としてのゲート電極31に補助電圧±ΔVaが印加されると同時に補助容量38の影響によって画素電圧Vpも変化する。ここで、Vpnはn番目のゲート電極との間に補助容量を構成する画素電極の画素電圧を示す。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0115】
【数6】
【0116】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。ここで、Vlcnはn番目のゲート電極との間に補助容量を構成する画素電極とコモン電極との間の液晶容量に印加される電圧を示す。
【0117】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図11に示す。なお、液晶モードとしては、TN型で電圧印加時に透過率が大きくなるノーマリーブラックモードを用いている。
【0118】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0119】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0120】
【数7】
【0121】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、書き込み期間前の補助信号印加期間には映像信号に応じたVlcgからVlciまでの範囲の電圧が印加され、書き込み期間後の補助信号印加期間には映像信号に応じたVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加される。さらに、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加される。
【0122】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0123】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図12を用いて説明する。ここでは、白表示の映像信号と中間調の映像信号を交互に表示させる場合の透過率変化を示す。
【0124】この図に示すように、白表示→中間調表示に変化させた場合と中間調表示→白表示に変化させた場合のいずれの場合も、書き込み期間前の補助信号印加期間に完全に黒表示まで到達し、書き込み期間後の補助信号印加期間に白表示方向への過渡的な応答を示した後、映像信号印加期間に映像信号に応じて白表示及び中間調表示の透過率に変化している。
【0125】このように、黒表示状態で映像信号の書き込みを行えるので、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることはない。さらに、書き込み期間後の補助信号印加期間において白表示方向への過渡的な応答が加わるので、液晶の応答が遅い中間調表示への映像変化についても、映像信号表示期間において映像信号に相当する透過率に速く変化させることができる。
【0126】液晶印加電圧Vlcは、白表示の映像信号の場合には書き込み期間前の補助信号印加期間では図11R>1のVlci、書き込み期間後の補助信号印加期間では図11のVlcc、映像信号印加期間では映像信号に相当するVlcfとなり、中間調表示の映像信号の場合には書き込み期間前の補助信号印加期間では図11のVlch、書き込み期間後の補助信号印加期間では図11のVlcb、映像信号印加期間では映像信号に相当するVlceとなる。従って、このように、本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対して液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。液晶の応答が速いので、補助信号印加期間を短くして映像表示が行われる映像信号印加期間を長くすることができ、明るい表示を得ることができる。
【0127】さらに、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間に黒表示とすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、動きのある映像でもにじみや尾引きを防いで明るい表示が得られる。また、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力できるものであればよいので、補助電圧の耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐこともできる。さらに、本実施形態では書き込み期間を変更することなく補助信号印加期間を任意に設定することができるので、充電能力の高いスイッチング素子が必要になることもない。本発明における補助容量は、液晶容量の保持不足の場合等の電荷漏れを補う効果もある。
【0128】なお、ΔVpと液晶パネルの応答速度について説明すると、ΔVp2ndを大きく設定した場合、書き込み期間前の補助信号印加期間における液晶印加電圧の変化が増加して短い期間で黒表示に到達するが、ΔVp2ndが大きすぎると黒表示から映像信号表示への応答が遅くなる。一方、ΔVp1stを大きく設定した場合、書き込み期間後の補助信号印加期間における液晶印加電圧の変化が増加するので、白表示方向への応答が速まって映像信号表示への応答が速くなるが、ΔVp1stが大きすぎると映像信号が黒表示の場合でも白表示方向への応答が生じて映像信号表示への応答が遅くなる。従って、液晶の応答性能を考慮してΔVpを最適化することで、効果的に液晶パネルの高速応答化を図って補助信号印加期間を短くすることができる。
【0129】書き込み期間の設定や補助信号印加期間における補助電圧の変化回数等の設定についても、本実施形態に示したものに限られず、液晶パネルの応答性能に応じて設定することができる。さらに、書き込み期間の前後に補助信号印加期間を設けているが、書き込み期間の後のみに補助信号印加期間を設ける等としてもよい。
【0130】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、ノーマリホワイトモードを用いて補助信号印加期間に黒表示が得られるように設定してもよい。また、液晶モードについても、TNモードに限らずに他のモードを用いてもよい。
【0131】本実施形態で説明した駆動方法をフィールドシーケンシャルカラー方式に適用する場合には、全行が同時に映像信号印加期間となるように設定すればよい。また、他の方法として、補助信号印加期間となる行が画面をスキャンするのと同時に光源を照射する行をスキャンさせてもよい。
【0132】上記実施形態において、映像信号印加期間と補助信号印加期間とでコモン電圧と補助電圧の両方、またはゲート電圧と補助電圧の両方を異ならせることも可能である。但し、この場合には、映像信号印加期間と補助信号印加期間の電圧変化量を両電圧で異ならせる必要がある。さらに、画素電極と対向電極との形状は、くし歯状とすることも可能である。
【0133】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による場合には、あらゆる映像信号に対して液晶の応答速度を効果的に速くすることができ、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることがないので、動きのある映像でもにじみや尾引きを防止することができる。また、フィールドシーケンシャルカラー方式に適用することにより、色再現性に優れたカラー表示を得ることができる。さらに、映像が表示される期間を長くすることができるので、明るい表示を得ることができる。
【0134】ソースドライバーから補助信号電圧を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧を液晶層に印加することができるので、ソースドライバの耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐことができる。また、補助信号電圧をソースドライバーから供給しないので、低消費電力化を図ることができる。さらに、1水平走査時間が減少するのを防ぐかまたは低減できるので、高性能なスイッチング素子が不要である。従って、優れた表示品位を有する液晶表示装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図2】実施形態1の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図3】実施形態1の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図4】実施形態1の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図5】実施形態2の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図6】実施形態2の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図7】実施形態2の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図8】実施形態2の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図9】実施形態3の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図10】実施形態3の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図11】実施形態3の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図12】実施形態3の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図13】従来の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図14】従来の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図15】従来の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図16】従来の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 ゲート電極
2、22、32、42 ソース電極
3、23、33、43 スイッチング素子
4、24、34、44 画素電極
5、25、35、45 コモン電極
6、26、36、46 液晶容量
7、27 補助電極
8、28、38 補助容量
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばテレビジョンセット、コンピュータ、ワードプロセッサやOA(Office Automation)機器等に用いられる液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置における等価回路を図13に示す。
【0003】この液晶表示装置は、複数のゲート電極41及び複数のソース電極42が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍には薄膜トランジスター等のスイッチング素子43が設けられている。ゲート電極41及びソース電極42で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極44が設けられ、スイッチング素子43を介してソース電極42と接続されている。この画素電極44はコモン電極45との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量46が構成されている。この液晶容量46に任意の電圧を書き込んで保持することにより、画像表示が行われる。
【0004】このようなアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置について、一般的な駆動電圧波形を図14R>4に示す。
【0005】ゲート電極41に印加されるゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形が1フィールド期間に線順次に印加され、1画面走査される。ソース電極42に印加されるソース電圧Vsとしては、ゲート電極41にオン電圧Vghが入力されている行に相当する映像信号が順次印加される。コモン電極45には、コモン電圧Vcとして±Vcacが印加され、画素電極44には、ゲート電極41にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが画素電圧Vpとして書き込まれる。その結果、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0006】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、一般的な液晶モードとして用いられているTN(ツイスティッドネマティック)型のノーマリーホワイトモードを例として図15に示す。
【0007】ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、通常、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定される。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。従って、液晶印加電圧Vlcに対して、ソース電圧Vsとコモン電圧Vcは下記式に示すように設定される。
【0008】
【数1】
【0009】次に、この液晶パネルにおける透過率の応答について図16に示す。この図において、映像信号を白表示→黒表示→白表示に変化させた場合の透過率変化を実線で示し、映像信号を白表示→中間調表示→白表示に変化させた場合の透過率変化を破線で示している。
【0010】この図に示すように、映像信号を白表示→黒表示→白表示に変化させた場合には、1フィールド期間内で透過率の応答がほぼ完了するものの、映像信号を白表示→中間調表示→白表示に変化させた場合には、1フィールド期間内で透過率が映像信号に相当する透過率まで変化していない。このように、特に印加電圧差が小さい映像信号間では、応答速度が遅い場合がある。
【0011】このような液晶表示装置は、CRT等の表示装置と比べてもコントラスト、明るさ、色再現性等の画質については十分な性能が得られているので、薄型の表示装置として普及している。しかし、動きのある映像を表示させる場合などには、上述のように応答速度が遅いために、映像がにじんだように観察されたり、輪郭が尾を引いているように見えることがあり、これがCRTに代わる表示装置として用いるためには問題となっている。
【0012】ところで、特開昭56−27198号公報には、白黒の液晶パネルと発光色が赤、青、緑に切り換わる光源を組み合わせてカラー表示を得る方式の表示装置が開示されており、この方式はフィールドシーケンシャルカラー方式と呼ばれている。
【0013】このフィールドシーケンシャルカラー方式では、光源の発光色を赤、青、緑に切り換えると同時に、各々の発光色に応じた映像を液晶パネルに順次表示させて駆動するので、カラー映像では、静止画像であっても書き込み毎に映像信号が変化する。従って、液晶パネルの応答が不十分な場合には、連続する色情報が混ざり合って色再現性が低下してしまい、十分な表示性能を得ることが困難である。
【0014】このように、液晶パネルの応答速度が遅いことが表示性能を低下させる原因となっており、これを改善するために以下のような方法が提案されている。
【0015】例えば、特開平4−42211号公報には、映像信号に相当する電圧を書き込む前に、映像信号とは異なる補助信号の電圧を書き込む方法が提案されている。この方法は、映像信号に相当する電圧を印加する前に、この電圧よりも大きい電圧または小さい電圧を液晶層に印加することで、液晶の実効的な応答速度を高速化できることを利用したものであり、動画に対する品位を改善できるとされている。
【0016】或いは、「SID 98 DIGEST P.143 A Novel Wide−Viewing Angle Motion−Picture LCD」には、映像信号に相当する電圧を書き込み走査する前に補助信号の電圧を書き込み走査する方法が提案されている。この方法によれば、既に書き込まれている映像表示を消去することで、動画に対する品位を改善できるとされている。
【0017】さらに、特開平9−138421号公報には、映像信号に相当する電圧を書き込み走査する前に各走査線を一斉に書き込み状態にして、コモン電極のコモン電圧を可変させて供給することにより、補助信号の電圧を書き込む駆動方法が提案されている。
【0018】これらの改善方法を上述のフィールドシーケンシャルカラー方式に適用すれば、色再現性の低下を防止することができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、液晶パネルに対して映像信号に相当する電圧を印加する期間以外に、本来の映像信号ではない補助信号の電圧を印加する期間を設けることで、液晶の高速応答化を図ることが可能である。しかし、液晶の応答速度を効果的に改善するためには、補助信号の電圧値と補助信号を印加する期間を適切に設定することが重要である。
【0020】一般に、液晶層に印加される電圧の変化量が大きい程、大きなエネルギーを液晶分子に作用させて応答速度を速くすることができる。従って、補助信号の電圧値は、映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧値に設定するのが好ましい。さらに、映像信号に相当する電圧に応じて、補助信号も異なった電圧値に設定できるようにするのが好ましい。
【0021】さらに、上述した駆動方法では、補助信号を印加する期間の過渡的な応答を利用して液晶パネルの高速応答化を図るため、補助信号を印加する期間は、適用する液晶パネルの応答特性に最適な値に設定できるようにするのが好ましい。
【0022】しかし、上述の駆動方法では以下のように、動作上の制約があるため、液晶の応答速度を効果的に改善することが困難であった。
【0023】特開平4−42211号公報の方法では、映像信号に相当する電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む前に、映像信号とは異なる補助信号の電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込んでいる。このため、補助信号によって映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧を液晶層に印加するためには、ソース電極に信号電圧を入力するためのソースドライバーの耐圧を増加させる必要があり、製造コストが増大してしまう。さらに、スイッチング素子を介して補助信号を書き込むので、映像信号に相当する電圧を書き込む期間以外の短い期間で補助信号の書き込みを行う必要がある。このため、スイッチング素子のオン性能を飛躍的に改善することが不可欠であり、実用化が困難である。
【0024】或いは、「SID 98 DIGEST P.143 A Novel Wide−Viewing Angle Motion−Picture LCD」の方法では、映像信号に相当する電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む走査と補助信号の電圧をソース電極からスイッチング素子を介して画素電極に書き込む走査を繰り返して行っている。この方法でも、補助信号によって映像信号に相当する電圧範囲を越える電圧を液晶層に印加するためには、ソース電極に信号電圧を入力するためのソースドライバーの耐圧を増加させる必要があり、製造コストが増大してしまう。さらに、補助信号が液晶パネルに印加されている期間は映像信号を表示できないので、画面の明るさが低下するのを防止するためにはこの期間を短く設定する方が好ましく、補助信号が液晶パネルに印加されている期間を液晶の応答に必要な最小限の期間とするのが好ましい。しかし、この駆動方法によって補助信号が液晶パネルに印加されている期間を短縮するためには、補助信号書き込み走査期間を短縮する必要がある。このためには、スイッチング素子のオン性能を改善するためにスイッチング素子の大型化が必要であり、これに伴ってスイッチング素子の欠陥発生率が高くなる等の不具合が生じてコストアップの原因となる。
【0025】さらに、特開平9−138421号公報の方法では、各走査線を一斉に書き込み状態にして補助信号の電圧を印加するので、全画素に対して一定の電圧が補助信号として印加される。しかしながら、実際の映像表示では、映像信号に相当する電圧が各画素で異なるので、各画素に対して映像信号に相当する透過率に達するまでの応答時間を短縮するには、各画素で異なる映像信号に対応した補助信号を設定する必要がある。従って、映像信号に関わらず一定な補助信号では、効果的に応答速度を改善することができない。さらに、補助信号の書き込み時には各ゲート電極が一斉に書き込み状態になってソース電極1本当たりの容量負荷が増大するので、この増大した容量負荷を駆動できるような高性能なソースドライバーが必要となる。
【0026】それに加えて、上述のいずれの駆動方法においても、補助信号の電圧がスイッチング素子を介して印加されるので、補助信号印加時にソースドライバーでの消費電力が増大し、低消費電力であるという液晶表示装置の特徴が損なわれてしまう。
【0027】本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、液晶の応答速度を速くして、動きのある映像でもにじみや尾引きを防止し、フィールドシーケンシャルカラー方式における色再現性を向上でき、さらに、製造コストの低廉化及び低消費電力化を図ることができる液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該補助電極に印加される補助電圧の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっており、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】本発明の液晶表示装置は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該ゲート電極に印加されるゲート電極の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっており、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】本発明の液晶表示装置の駆動方法は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該補助電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加し、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】本発明の液晶表示装置の駆動方法は、スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該ゲート電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加し、そのことにより上記目的が達成される。
【0032】前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記補助電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加してもよい。
【0033】前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記ゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加してもよい。
【0034】前記画素電極に前記スイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に前記補助信号印加期間を設けて、該画素電極と前記コモン電極との間の電圧を、該書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、前記映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせてもよい。
【0035】前記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定してもよい。
【0036】前記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定してもよい。
【0037】前記画素電極と前記コモン電極との間に、前記映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を、前記補助信号印加期間に印加するのが好ましい。
【0038】前記映像信号印加期間と前記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、前記映像信号印加期間に前記画素電極と前記コモン電極との間に印加してもよい。
【0039】前記1フィールド期間が、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含んでいてもよい。
【0040】以下、本発明の作用について説明する。
【0041】本発明にあっては、コモン電極との間に液晶容量を構成する画素電極が、補助電極との間に補助容量を構成しているか、またはスイッチング素子のゲート電極との間に補助容量を構成している。この液晶表示装置に対して、画素電極とコモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とで、コモン電極及び補助電極の少なくともいずれか一方、または補助電極及びゲート電極の少なくともいずれか一方に、異なる電圧を印加している。従って、従来のように、ソースドライバーから補助信号電圧を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧を液晶層に印加することができる。
【0042】上記補助信号印加期間内に、コモン電極及び補助電極の少なくともいずれか一方、またはコモン電極及びゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加することにより、液晶パネルの応答速度を効果的に速くすることができる。この変化回数は、液晶の応答速度によって適宜設定することができる。
【0043】上記画素電極にスイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に補助信号印加期間を設けて、画素電極とコモン電極との間の電圧を、書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせることにより、前に書き込まれていた映像信号の影響を消すための応答と、それとは反対方向への過渡的な応答を行って、液晶パネルの応答速度をあらゆる映像信号に対して効果的に速くすることができる。
【0044】上記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定すれば、補助信号に相当する画面と映像信号に相当する画面との切り替えを全画面で行うことができるので、例えば画面全体が黒表示状態の場合に光源を消灯させることにより、光の利用効率が向上する。
【0045】或いは、上記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定すれば、画素内の異なる行に対して書き込み期間と補助信号印加期間とを同時期に設定することができる。
【0046】上記補助信号印加期間に画素電極とコモン電極との間に印加される電圧範囲を広げて、映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を印加することにより、液晶の応答速度が効果的に改善される。
【0047】上記映像信号印加期間と上記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、映像信号印加期間に画素電極とコモン電極との間に印加することにより、液晶の応答速度を速くして色情報を混ざらないようにできるので、色再現性の良いカラー表示が可能となる。
【0048】上記1フィールド期間を、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含んで構成すれば、色再現性の良いフルカラー表示が可能となる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0050】(実施形態1)図1は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0051】この液晶表示装置は、複数のゲート電極1及び複数のソース電極2が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子3として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極1及びソース電極2で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極4が設けられ、スイッチング素子3を介してソース電極2と接続されている。この画素電極4はコモン電極5との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量6が構成されている。さらに、画素電極4と補助電極7との間には補助容量8が液晶容量6と並列に形成されている。
【0052】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図2に示す。
【0053】1フィールド期間は、補助信号印加期間と映像信号印加期間とで構成され、補助信号印加期間には画素電極4にスイッチング素子3を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。
【0054】ゲート電極1に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形を線順次に走査する。
【0055】ソース電極2に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極1にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。
【0056】コモン電極5に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。
【0057】補助電極7に印加する補助電圧Vaとしては、書き込み期間を含む補助信号印加期間の前半においてはコモン電圧Vcと同様に±Vcacの電圧を入力し、補助信号印加期間の後半においては書き込み期間のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVa1stシフトさせた電圧を入力する。さらに、映像信号印加期間においては±ΔVa2ndシフトさせた電圧を入力する。
【0058】画素電極4には、ゲート電極1にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電圧Vaの電圧が変化すると同時に補助容量8の影響によって画素電圧Vpも変化する。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0059】
【数2】
【0060】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0061】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図3に示す。なお、液晶モードとしては、TN型で電圧無印加時に透過率が大きいノーマリーホワイトモードを用いている。
【0062】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcgと約1%の透過率が得られる電圧Vlciの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0063】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0064】
【数3】
【0065】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、補助信号印加期間の前半には映像信号に応じたVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加され、補助信号印加期間の後半には映像信号に応じたVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加され、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcgからVlciまでの範囲の電圧が印加される。
【0066】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0067】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図4を用いて説明する。ここでは、白表示の映像信号と中間調の映像信号を交互に表示させる場合の透過率変化を示す。
【0068】この図に示すように、白表示→中間調表示に変化させた場合と中間調表示→白表示に変化させた場合のいずれの場合も、補助信号印加期間の前半中に完全に黒表示まで到達し、補助信号印加期間の後半中に白表示方向への過渡的な応答を示した後、映像信号印加期間に映像信号に応じて白表示及び中間調表示の透過率に変化している。
【0069】このように、黒表示状態で映像信号の書き込みを行えるので、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることはない。さらに、補助信号印加期間の後半において白表示方向への過渡的な応答が加わるので、液晶の応答が遅い中間調表示への映像変化についても、映像信号表示期間中に映像信号に相当する透過率まで変化させることができる。
【0070】本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対しても液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。よって、補助信号印加期間を短くして、映像表示が行われる映像信号印加期間を長くして明るい表示を得ることができる。
【0071】さらに、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間に黒表示とすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、動きのある映像でもにじみや尾引きを防いで明るい表示が得られる。また、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力できるものであればよいので、補助電圧の耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐこともできる。
【0072】本実施形態においては、画面全体が同時に補助信号表示である黒表示から映像信号表示に切り代わるので、画面全体が黒表示である期間に光源を消灯させるように点滅動作させれば、光の利用効率が向上して消費電力も低減できる。
【0073】なお、ΔVpと液晶パネルの応答速度について説明すると、ΔVp2ndを大きく設定した場合、補助信号印加期間の前半における液晶印加電圧の変化が増加して短い期間で黒表示に到達するが、ΔVp2ndが大きすぎると黒表示から映像信号表示への応答が遅くなる。一方、ΔVp1stを大きく設定した場合、補助信号印加期間の後半における液晶印加電圧の変化が増加するので、特に映像信号が白表示に近い場合には、白表示方向への応答が速まって映像信号表示への応答が速くなるが、ΔVp1stが大きすぎると映像信号が黒表示の場合でも白表示方向への応答が生じて映像信号表示への応答が遅くなる。従って、液晶の応答性能を考慮してΔVpを最適化することで、効果的に液晶パネルの高速応答化を図って補助信号印加期間を短くすることができる。
【0074】書き込み期間の設定や補助信号印加期間における補助電圧の変化回数等の設定についても、本実施形態に示したものに限られず、液晶パネルの応答性能に応じて設定することができる。さらに、書き込み期間を補助信号印加期間に設けているが、映像信号印加期間に設けてもよく、また、補助信号印加期間に補助電圧Vaを変化させる代わりにコモン電圧Vcを変化させてもよい。
【0075】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、補助信号印加期間に透過率が100%となるように設定してもよく、この場合には映像信号書き込み期間に光源を消灯するように点滅動作させればよい。
【0076】液晶モードについても、TNモードに限らずに他のモードを用いてもよく、ノーマリーブラックモードとしてもよい。
【0077】(実施形態2)本実施形態では、本発明をフィールドシーケンシャルカラー方式の液晶表示装置に適用した例について説明する。
【0078】図5は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0079】この液晶表示装置は、複数のゲート電極21及び複数のソース電極22が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子23として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極21及びソース電極22で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極24が設けられ、スイッチング素子23を介してソース電極22と接続されている。この画素電極24はコモン電極25との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量26が構成されている。さらに、画素電極24と補助電極27odd、27evenとの間には補助容量28が液晶容量6と並列に形成されている。この液晶表示装置は、補助電極27odd、27evenが1行毎に別々に接続され、異なる信号が入力される以外は実施形態1と同様の構成である。
【0080】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図6に示す。
【0081】1フィールド期間は、赤色成分の表示に相当するサブフィールド期間、緑色成分の表示に相当するサブフィールド期間及び青色成分の表示に相当するサブフィールド期間で構成され、各サブフィールド期間を重ね合わせてフルカラー表示を行う。各サブフィールド期間は補助信号印加期間と映像信号印加とで構成され、映像信号印加期間には画素電極24にスイッチング素子23を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。
【0082】ゲート電極21に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形を線順次に走査する。
【0083】ソース電極22に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極21にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させた電圧を順次印加している。
【0084】コモン電極25に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させている。
【0085】補助電極27odd、27evenに印加される補助電圧Vaodd、Vaevenとしては、映像信号印加期間においてはコモン電圧Vcと同様に±Vcacの電圧を入力し、補助信号印加期間においては書き込み時のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVaシフトさせた電圧を入力する。書き込み時のコモン電圧Vcの極性は1行毎に異なるので、補助電圧Vaodd、Vaevenにおける補助電圧Vaのシフト電圧±ΔVaの極性が異なっている。
【0086】画素電極54には、ゲート電極51にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電圧Vaの電圧が変化すると同時に補助容量58の影響によって画素電圧Vpも変化する。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0087】
【数4】
【0088】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。
【0089】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図7に示す。なお、液晶モードとしては、OCB(Optically Compensated Bend)型でノーマリーホワイトモードを用いている。
【0090】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0091】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0092】
【数5】
【0093】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、補助信号印加期間にはVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加され、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加される。
【0094】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0095】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図8を用いて説明する。この図において、明るい緑表示に相当する映像信号を印加した場合の透過率変化を実線で示し、暗い緑表示に相当する映像信号を印加した場合の透過率変化を点線で示している。
【0096】明るい緑表示を行う場合には、液晶パネルは赤成分を黒表示、緑成分を白表示、青成分を黒表示として繰り返し表示する、一方、暗い緑表示を行う場合には、液晶パネルは赤成分を黒表示、緑成分を中間調表示、青成分を黒表示として繰り返し表示する。
【0097】この図に示すように、明るい緑表示の場合及び暗い緑表示のいずれの場合についても、各サブフィールド期間内で各色の映像信号に相当する透過率になっており、色再現性の良いカラー表示が得られる。
【0098】本実施形態においては、図7に示すように、補助信号印加期間における電圧を映像信号印加期間に比べて低電圧側に設定している。その理由は、本実施形態で用いた液晶モードでは、液晶印加電圧が高電圧側よりも低電圧側で液晶の応答が遅いためであり、補助信号印加期間に低電圧を印加することにより、優先的に低電圧側への液晶の応答を高速化させるためである。
【0099】さらに、本実施形態においては、補助信号印加期間における液晶印加電圧が、全ての映像信号に対して必ずしも一定の透過率となる電圧に設定されていない。従って、緑表示を行う場合の赤色成分及び青色成分のサブフィールド期間のように、黒表示に相当する映像信号の場合には、補助信号印加期間に印加される液晶印加電圧が、白表示に相当する映像信号の場合に比べて高いため、補助信号印加期間後に白表示方向へ変化する量を低減して不必要な液晶の応答を防止し、映像信号に相当する透過率への応答を速くすることができる。
【0100】このように、本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対して液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。液晶の応答が速いので、補助信号印加期間を短くして映像表示が行われる映像信号印加期間を長くすることができ、明るい表示を得ることができる。
【0101】また、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間後に映像信号に相当する透過率にすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、色再現性の良い表示が得られる。
【0102】さらに、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力することができればよく、補助電圧のために耐圧を増加させる必要がないので、コストアップを防ぐこともできる。
【0103】なお、映像信号印加期間や電圧シフト量ΔVpは、本実施形態に示したものに限られず、液晶の応答性能に応じて設定すればよい。また、書き込み期間は補助信号印加期間に設定してもよい。
【0104】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、液晶モードをノーマリブラックモードとし、透過率が最小となる液晶印加電圧よりも低い電圧を補助信号印加期間に印加するように設定してもよい。さらに、液晶モードについても、OCBモードに限らずに他のモードを用いてもよい。
【0105】液晶表示装置の構造についても、本実施形態に限られず、例えば複数の走査線に接続された画素容量に線順次または点順次に書き込まれた映像信号に相当する電圧を、書き込み走査後に全画面の画素電極に一斉に転送するような方式の液晶表示装置であってもよい。
【0106】(実施形態3)図9は本実施形態の液晶表示装置における等価回路図である。
【0107】この液晶表示装置は、複数のゲート電極31及び複数のソース電極32が互いに交差して設けられ、両電極の交差部近傍にはスイッチング素子33として薄膜トランジスターが設けられている。ゲート電極31及びソース電極32で区切られたマトリクス状の各領域毎に画素電極34が設けられ、スイッチング素子33を介してソース電極32と接続されている。この画素電極34はコモン電極35との間に液晶層(図示せず)を挟んで配置されており、両電極の間に液晶容量36が構成されている。さらに、画素電極34とゲート電極31との間には補助容量38が液晶容量36と並列に形成されている。このようにゲート電極31が補助電極として兼用されているが、専用の補助電極を形成してもよい。
【0108】この液晶表示装置について、駆動電圧波形を図10に示す。
【0109】1フィールド期間は、補助信号印加期間と映像信号印加期間とで構成され、補助信号印加期間には画素電極34にスイッチング素子33を介して映像信号を書き込む書き込み期間が含まれている。本実施形態では、補助信号印加期間と映像信号印加期間のタイミングが各行毎に書き込み期間に応じて設定されている。
【0110】ゲート電極31に印加するゲート電圧Vgとしては、スイッチング素子をオン状態とするオン電圧Vghのパルス波形が入力される書き込み期間と、書き込み期間と同期して補助信号電圧±ΔVが印加される補助信号印加期間を線順次に走査する。ここで、Vgnはn番目のゲート電極の信号を示し、Vgn−1はn−1番目のゲート電極の信号を示す。
【0111】補助信号電圧は、補助信号印加期間における書き込み期間の前後で異ならせる。書き込み期間より後の補助信号印加期間においてはオフ電圧Vglにコモン電圧Vcと同様の±Vcacの電圧を加えた電圧を入力し、映像信号印加期間においては書き込み期間のコモン電圧Vcの極性に応じて±ΔVa1stシフトさせた電圧を入力する。さらに、書き込み期間より前の補助信号印加期間においては±ΔVa2ndシフトさせた電圧を入力する。このように、本実施形態では、実施形態1及び実施形態2のように補助電圧が各行に同時に印加されるのではなく、各行毎にオン電圧Vghのパルス波形のタイミングに対応して走査される。
【0112】ソース電極32に印加するソース電圧Vsとしては、書き込み期間において、ゲート電極31にオン電圧Vghが入力されている行の映像信号に相当する電圧を順次印加する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させた電圧を順次印加している。
【0113】コモン電極35に印加するコモン電圧Vcとしては、極性を反転させた振幅±Vcacの矩形波を入力する。本実施形態では、1水平走査期間及び1サブフィールド期間毎に極性反転させている。
【0114】画素電極34には、ゲート電極31にオン電圧Vghが印加される毎に新たなソース電圧Vsが書き込まれるが、補助電極としてのゲート電極31に補助電圧±ΔVaが印加されると同時に補助容量38の影響によって画素電圧Vpも変化する。ここで、Vpnはn番目のゲート電極との間に補助容量を構成する画素電極の画素電圧を示す。このときの画素電圧Vpの変化量ΔVpは概ね次式に従う。
【0115】
【数6】
【0116】そして、画素電圧Vpとコモン電圧Vcとの差が液晶印加電圧Vlcとして液晶層に印加される。ここで、Vlcnはn番目のゲート電極との間に補助容量を構成する画素電極とコモン電極との間の液晶容量に印加される電圧を示す。
【0117】この液晶層に印加される液晶印加電圧Vlcと透過率の関係について、図11に示す。なお、液晶モードとしては、TN型で電圧印加時に透過率が大きくなるノーマリーブラックモードを用いている。
【0118】ここでは、ソース電圧Vsの出力範囲±Vsmaxは、100%の透過率が得られる電圧Vlcaと約1%の透過率が得られる電圧Vlccの電圧差に設定している。その理由は、ソース電圧Vsの出力範囲を大きくすると耐圧の高いソースドライバーが必要となってコストアップの原因となるので、ソース電圧Vsの出力範囲を実用上十分なコントラストが得られる最小限の範囲とするためである。
【0119】本実施形態において、液晶印加電圧Vlcとソース電圧Vsとコモン電圧Vcと補助電圧Vaの関係は下記式に示すように設定している。
【0120】
【数7】
【0121】従って、ソース電圧Vsが映像信号に相当する範囲であっても、液晶印加電圧Vlcとして、書き込み期間前の補助信号印加期間には映像信号に応じたVlcgからVlciまでの範囲の電圧が印加され、書き込み期間後の補助信号印加期間には映像信号に応じたVlcaからVlccまでの範囲の電圧が印加される。さらに、映像信号印加期間には映像信号に相当するVlcdからVlcfまでの範囲の電圧が印加される。
【0122】このように、映像信号に相当する電圧に対して一定の電圧差ΔVpを加えた液晶印加電圧Vlcを補助信号印加期間に印加することができるので、各映像信号に応じた効果的な補助信号を設定することができる。
【0123】次に、本実施形態における液晶層の透過率変化について図12を用いて説明する。ここでは、白表示の映像信号と中間調の映像信号を交互に表示させる場合の透過率変化を示す。
【0124】この図に示すように、白表示→中間調表示に変化させた場合と中間調表示→白表示に変化させた場合のいずれの場合も、書き込み期間前の補助信号印加期間に完全に黒表示まで到達し、書き込み期間後の補助信号印加期間に白表示方向への過渡的な応答を示した後、映像信号印加期間に映像信号に応じて白表示及び中間調表示の透過率に変化している。
【0125】このように、黒表示状態で映像信号の書き込みを行えるので、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることはない。さらに、書き込み期間後の補助信号印加期間において白表示方向への過渡的な応答が加わるので、液晶の応答が遅い中間調表示への映像変化についても、映像信号表示期間において映像信号に相当する透過率に速く変化させることができる。
【0126】液晶印加電圧Vlcは、白表示の映像信号の場合には書き込み期間前の補助信号印加期間では図11R>1のVlci、書き込み期間後の補助信号印加期間では図11のVlcc、映像信号印加期間では映像信号に相当するVlcfとなり、中間調表示の映像信号の場合には書き込み期間前の補助信号印加期間では図11のVlch、書き込み期間後の補助信号印加期間では図11のVlcb、映像信号印加期間では映像信号に相当するVlceとなる。従って、このように、本実施形態によれば、映像信号印加期間と補助信号印加期間での電圧変化量が映像信号に関わらずに一定であり、あらゆる映像信号に対して液晶の応答時間を効果的に短縮することができる。液晶の応答が速いので、補助信号印加期間を短くして映像表示が行われる映像信号印加期間を長くすることができ、明るい表示を得ることができる。
【0127】さらに、前のフィールドで画素電極に書き込まれた映像信号に関わらず、補助信号印加期間に黒表示とすることができるので、前のフィールドで書き込まれた映像信号の影響を受けることなく、動きのある映像でもにじみや尾引きを防いで明るい表示が得られる。また、ソースドライバーは映像信号に相当する電圧範囲を出力できるものであればよいので、補助電圧の耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐこともできる。さらに、本実施形態では書き込み期間を変更することなく補助信号印加期間を任意に設定することができるので、充電能力の高いスイッチング素子が必要になることもない。本発明における補助容量は、液晶容量の保持不足の場合等の電荷漏れを補う効果もある。
【0128】なお、ΔVpと液晶パネルの応答速度について説明すると、ΔVp2ndを大きく設定した場合、書き込み期間前の補助信号印加期間における液晶印加電圧の変化が増加して短い期間で黒表示に到達するが、ΔVp2ndが大きすぎると黒表示から映像信号表示への応答が遅くなる。一方、ΔVp1stを大きく設定した場合、書き込み期間後の補助信号印加期間における液晶印加電圧の変化が増加するので、白表示方向への応答が速まって映像信号表示への応答が速くなるが、ΔVp1stが大きすぎると映像信号が黒表示の場合でも白表示方向への応答が生じて映像信号表示への応答が遅くなる。従って、液晶の応答性能を考慮してΔVpを最適化することで、効果的に液晶パネルの高速応答化を図って補助信号印加期間を短くすることができる。
【0129】書き込み期間の設定や補助信号印加期間における補助電圧の変化回数等の設定についても、本実施形態に示したものに限られず、液晶パネルの応答性能に応じて設定することができる。さらに、書き込み期間の前後に補助信号印加期間を設けているが、書き込み期間の後のみに補助信号印加期間を設ける等としてもよい。
【0130】コモン電圧Vcと補助電圧Vaとソース電圧Vsの設定についても、本実施形態に限られず、例えば、ノーマリホワイトモードを用いて補助信号印加期間に黒表示が得られるように設定してもよい。また、液晶モードについても、TNモードに限らずに他のモードを用いてもよい。
【0131】本実施形態で説明した駆動方法をフィールドシーケンシャルカラー方式に適用する場合には、全行が同時に映像信号印加期間となるように設定すればよい。また、他の方法として、補助信号印加期間となる行が画面をスキャンするのと同時に光源を照射する行をスキャンさせてもよい。
【0132】上記実施形態において、映像信号印加期間と補助信号印加期間とでコモン電圧と補助電圧の両方、またはゲート電圧と補助電圧の両方を異ならせることも可能である。但し、この場合には、映像信号印加期間と補助信号印加期間の電圧変化量を両電圧で異ならせる必要がある。さらに、画素電極と対向電極との形状は、くし歯状とすることも可能である。
【0133】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による場合には、あらゆる映像信号に対して液晶の応答速度を効果的に速くすることができ、前に書き込まれた映像信号の影響を受けることがないので、動きのある映像でもにじみや尾引きを防止することができる。また、フィールドシーケンシャルカラー方式に適用することにより、色再現性に優れたカラー表示を得ることができる。さらに、映像が表示される期間を長くすることができるので、明るい表示を得ることができる。
【0134】ソースドライバーから補助信号電圧を供給しなくても、映像信号印加期間と補助信号印加期間とで映像信号に応じた異なる電圧を液晶層に印加することができるので、ソースドライバの耐圧を増加させる必要がなく、コストアップを防ぐことができる。また、補助信号電圧をソースドライバーから供給しないので、低消費電力化を図ることができる。さらに、1水平走査時間が減少するのを防ぐかまたは低減できるので、高性能なスイッチング素子が不要である。従って、優れた表示品位を有する液晶表示装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図2】実施形態1の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図3】実施形態1の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図4】実施形態1の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図5】実施形態2の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図6】実施形態2の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図7】実施形態2の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図8】実施形態2の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図9】実施形態3の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図10】実施形態3の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図11】実施形態3の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図12】実施形態3の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【図13】従来の液晶表示装置について説明するための等価回路図である。
【図14】従来の液晶表示装置の駆動方法を説明するための駆動電圧波形図である。
【図15】従来の液晶表示装置における液晶印加電圧Vlcと透過率の関係を示す図である。
【図16】従来の液晶表示装置における透過率の変化を示す図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 ゲート電極
2、22、32、42 ソース電極
3、23、33、43 スイッチング素子
4、24、34、44 画素電極
5、25、35、45 コモン電極
6、26、36、46 液晶容量
7、27 補助電極
8、28、38 補助容量
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該補助電極に印加される補助電圧の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっている液晶表示装置。
【請求項2】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該ゲート電極に印加されるゲート電極の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっている液晶表示装置。
【請求項3】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該補助電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法。
【請求項4】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該ゲート電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法。
【請求項5】 前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記補助電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加する請求項3に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項6】 前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記ゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加する請求項4に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項7】 前記画素電極に前記スイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に前記補助信号印加期間を設けて、該画素電極と前記コモン電極との間の電圧を、該書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、前記映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせる請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項8】 前記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項9】 前記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項10】 前記画素電極と前記コモン電極との間に、前記映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を、前記補助信号印加期間に印加する請求項3乃至請求項9のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項11】 前記映像信号印加期間と前記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、前記映像信号印加期間に前記画素電極と前記コモン電極との間に印加する請求項3乃至請求項10のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項12】 前記1フィールド期間が、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含む請求項3乃至請求項11のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項1】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該補助電極に印加される補助電圧の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっている液晶表示装置。
【請求項2】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧が印加される映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧が印加される補助信号印加期間とを含み、該コモン電極に印加されるコモン電圧と該ゲート電極に印加されるゲート電極の少なくともいずれか一方が、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なっている液晶表示装置。
【請求項3】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介して配置されたコモン電極と、該画素電極との間に補助容量を構成する補助電極とを備えている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該補助電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法。
【請求項4】 スイッチング素子と該スイッチング素子に接続された画素電極がマトリクス状に設けられ、該画素電極に対して液晶層を介してコモン電極が配置され、該画素電極と該スイッチング素子のゲート電極との間に補助容量が構成されている液晶表示装置を駆動する方法であって、該画素電極と該コモン電極との間に映像信号に相当する電圧を印加する映像信号印加期間と、該画素電極と該コモン電極との間に補助信号に相当する電圧を印加する補助信号印加期間とを含み、該コモン電極及び該ゲート電極の少なくともいずれか一方に、該映像信号印加期間と該補助信号印加期間とで異なる電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法。
【請求項5】 前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記補助電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加する請求項3に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項6】 前記補助信号印加期間内に、前記コモン電極及び前記ゲート電極の少なくともいずれか一方に、2以上の状態に変化する電圧を印加する請求項4に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項7】 前記画素電極に前記スイッチング素子を介して映像信号に相当する電圧を書き込む書き込み期間の前と後に前記補助信号印加期間を設けて、該画素電極と前記コモン電極との間の電圧を、該書き込み期間の前の補助信号印加期間と後の補助信号印加期間とで、前記映像信号印加期間に対して逆極性側にシフトさせる請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項8】 前記補助信号印加期間を、全画素に対して同時に設定する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項9】 前記補助信号印加期間を、各画素電極に映像信号に相当する電圧が書き込まれるタイミングに応じて設定する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項10】 前記画素電極と前記コモン電極との間に、前記映像信号印加期間に印加される電圧範囲を越える電圧を、前記補助信号印加期間に印加する請求項3乃至請求項9のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項11】 前記映像信号印加期間と前記補助信号印加期間を含むサブフィールド期間の少なくとも2つ以上で1フィールド期間を構成し、各サブフィールド期間毎に所定の色成分の映像信号に相当する電圧を、前記映像信号印加期間に前記画素電極と前記コモン電極との間に印加する請求項3乃至請求項10のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項12】 前記1フィールド期間が、赤色成分を表示するためのサブフィールド期間と、緑色成分を表示するためのサブフィールド期間と青色成分を表示するためのサブフィールド期間とを含む請求項3乃至請求項11のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図13】
【図14】
【図16】
【図2】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図13】
【図14】
【図16】
【公開番号】特開2000−259130(P2000−259130A)
【公開日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−64084
【出願日】平成11年3月10日(1999.3.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年3月10日(1999.3.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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