説明

液晶表示装置

【課題】 信号配線の一部を時分割に駆動して信号配線数を減少させて一方基板の周縁部内で信号配線を形成する領域を小さくし、コモン配線の配線抵抗を低下させるとともに、周縁部の大きさの低下を図った液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 液晶表示装置の複数の信号配線を複数N個のスイッチング配線SW1〜SW3と複数P個の駆動配線L1〜L4とから構成し、前記駆動配線L1〜L4のそれぞれについて、P個のスイッチング素子tr1〜tr4を介して前記複数の信号入力端子のうちのP個(例えばta1〜ta4)に接続し、前記N個のスイッチング配線SW1〜SW3をそれぞれ異なる駆動配線L1〜L4に接続されているP個のスイッチング素子の入力端子(ゲート電極)に接続し、図示しない外部の制御回路からの信号により駆動回路を介して前記スイッチング素子を制御するとともに前記P個の駆動配線に駆動信号を供給するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に液晶表示パネルの表示部の周囲に走査信号又は映像信号が入力される複数の信号入力端子が形成され、これらの信号入力端子のそれぞれが時分割に複数の信号配線に接続されるようにして信号配線数を減少させ、それによって液晶表示パネルの一方基板の周縁部内で複数の信号配線を形成する領域を小さくして周縁部内での残余の領域を拡大することにより残余の領域に形成されるコモン配線の配線抵抗を低下させるとともに、周縁部の大きさの低下を図った液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、各種電子機器の表示装置として使用されているが、近年、電子機器の構成の小型化が要求されており、そのため表示装置として使用される液晶表示装置についても、構成の小型化が要求されている。一般的に、液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を介在させて構成される液晶表示パネルと、該液晶表示パネルを駆動するための駆動回路である駆動用IC(Integrated Circuit:集積回路)とを備えて構成される。このような液晶表示装置においては、たとえば、液晶表示パネルを構成している一対の基板のうちの一方基板上に駆動用ICを直接配置するいわゆるCOG(Chip On Glass)方式を採用することによって、構成の小型化を図っている。
【0003】
COG方式の液晶表示装置では、液晶表示パネルを構成する一対の矩形基板のうちの一方基板として他方基板よりも大きい基板を使用して液晶表示パネルを構成し、一方基板上で他方基板が重なり合う部分(表示部)の周辺、すなわち一方基板上の周縁部に駆動用ICを配置している。そして、一方基板上には、表示部に所定の駆動信号を供給するための複数の信号入力端子を形成するとともに、各信号入力端子に供給する駆動信号を生成して出力する駆動用ICの複数の信号出力端子と複数の信号入力端子とを接続するための複数の信号配線を形成している。
【0004】
複数の信号入力端子は、表示部内の信号配線を表示部の外側まで延ばすことによって形成されており、矩形状の表示部の辺に対して平行に配列されている。たとえばアクティブマトリクス型の液晶表示装置の場合は、走査信号入力端子と、表示信号入力端子と、共通電極駆動信号入力端子との3種類の信号入力端子を形成する必要がある。したがって、アクティブマトリクス型液晶表示装置では、たとえば、矩形状の表示部の特定の一辺に対して平行に複数の走査信号入力端子が形成され、前記特定の一辺に隣接する一辺に対して平行に複数の表示信号入力端子が形成され、走査線信号配線と表示信号配線とが格子状に形成される。さらに走査信号入力端子列または表示信号入力端子列の端に共通電極駆動信号入力端子が形成される。
【0005】
図3は、COG方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置31の従来例を示す平面図である。液晶表示装置31は、一方基板32と該一方基板32よりも小さい他方基板33とを重ね合わせ、2つの基板32、33が重なり合う部分に液晶層を介在させて表示部が形成された液晶表示パネル34と、液晶表示パネル34を駆動する駆動信号を生成して出力するとともに、一方基板32上に配置される3つの駆動用IC35、36、37とを備えて構成される。
【0006】
液晶表示パネル34は、小さい他方基板33を大きい一方基板32の一辺側に偏らせるとともに、該一辺のほぼ中間位置に配置して構成されており、これによって一方基板32上には表示部の周囲に3つの周縁部A11、A12、A13が存在している。この液晶表示パネル34では、対向する2つの周縁部A11,A12に、表示部から引き出されて形成された複数の走査信号入力端子taが表示部の周辺(他方基板33の辺)に沿って配列されており、残りの1つの周縁部A13に、表示部から引き出されて形成された複数の表示信号入力端子tbが、表示部の周辺に沿って配列されている。
【0007】
駆動用ICとしては、走査信号を生成して出力する2つの走査駆動用IC36,37と、表示信号を生成して出力する1つの表示駆動用IC35とが配置されている。3つの駆動用IC35〜37は、一方基板32上の表示信号入力端子列が形成されている周縁部A13に配置されている。このように1つの周縁部A13にすべての駆動用IC35〜37を配置することによって、一方基板32の幅方向の長さを短くして、液晶表示装置31の構成の小型化を図ることができる。
【0008】
また、他方基板33に形成されている共通電極にコモン駆動信号を供給するコモン駆動信号入力端子tcは、走査信号入力端子taが形成されている周縁部A11,A12の外周側に位置している。また、駆動用IC35〜37が配置されている周縁部A13には、図示しない外部の制御回路から供給されるコモン駆動信号が入力されるコモン端子tdが形成されている。
【0009】
表示駆動用IC35は表示信号入力端子列に対向する位置に配置されているので、表示駆動用IC35の出力端子と表示信号入力端子tbとを接続する信号配線は、図3の領域R11内で、直線的に形成されている。一方、走査駆動用IC36、37は走査信号入力端子列に対向する位置には配置されていないので、走査駆動用IC36、37の出力端子と走査信号入力端子taとを接続する信号配線は、走査信号入力端子列の一方端側から、走査信号入力端子taが形成されている周縁部A11、A12を引き回されて形成されている。すなわち、信号配線は、まず走査駆動用IC36、37の出力端子から、走査信号入力端子taが形成されている周縁部A11、A12の一方端部まで形成され(図3の領域R12L、R12R参照)、それから周縁部A11、A12を引き回されて各走査信号入力端子taまで形成されている(図3の領域R13L、R13R参照)。
【0010】
また、コモン駆動信号入力端子tcとコモン端子tdとを接続するコモン配線38は、まずコモン端子tdから走査信号入力端子taが形成されている周縁部A11、A12の一方端部まで形成され、それから領域R13L、R13Rの外側の領域を引き回されて周縁部A11、A12の他方端部のコモン駆動信号入力端子tcまで形成されている。
【0011】
このように、液晶表示パネル34を構成する一方基板32上の1つの周縁部A13に、複数個の駆動用IC35〜37を配置した液晶表示装置31は、たとえば特許文献1に記載されている。
【0012】
図4は、走査信号入力端子taが形成されている周縁部A12における信号配線の形状を示す拡大平面図である。なお、図3において、他方基板33の左側に位置する周縁部A11における信号配線と、他方基板33の右側に位置する周縁部A12における信号配線とは、左右対称であるので、周縁部A12における信号配線について説明する。また、図4では、5個の走査信号入力端子ta1〜ta5(総称するときは参照符号taを用いる)に接続される信号配線s1〜s5(総称するときは参照符号sを用いる)について説明する。
【0013】
まず、走査信号入力端子列の他端側に位置する走査信号入力端子ta1に接続される配線部分s1について説明する。走査信号入力端子列の一方端側から走査信号入力端子taまでの配線部分s1は、走査信号入力端子列の一方端側から他方端側に向かって、該走査信号入力端子の配列方向に対して平行に延びる第1直線部分sa1と、配列方向に対して所定の角度をもって延びる第2直線部分sb1とを接続して構成されている。第2直線部分sb1における所定の角度は、第1直線部分sa1の先端と接続すべき走査信号入力端子ta1とを接続できる角度に設定されている。また第2直線部分sb1の幅は、第1直線部分sa1の幅よりも大きく形成されている。他の配線部分s2〜s5についても、配線部分s1と同様の形状である。これらの配線部分s1〜s5は、薄膜形成技術を利用して同一層で同時形成することができる。
【0014】
コモン配線38は、走査信号入力端子列の一方端側から他方端側に向かって走査信号入力端子tcの配列方向d1に平行に延びる直線部分38aと、走査信号入力端子列の他方端側の領域に形成される略直角三角形状の接続部分38bとで構成されている。コモン配線38も、上記の配線部分s1〜s5と同様に、薄膜形成技術を利用して同一層で同時形成することができる。
【0015】
走査信号入力端子列の一方端側から信号入力端子までの配線部分s1は、第1直線部分sa1と、第1直線部分sa1よりも幅が広い第2直線部分sb1とを接続して構成されているので、走査信号入力端子直前では配線抵抗が小さくなり、走査信号入力端子tc1の直前での走査信号の電圧降下が防止される。同様に、走査信号入力端子列の一方端側からコモン駆動信号入力端子tc1までのコモン配線38は、直線部分38aと、略直角三角形状の幅広部分38bとを接続して構成されているので、コモン駆動信号入力端子直前では配線抵抗が小さくなり、コモン駆動信号入力端子直前でのコモン駆動信号の電圧降下が防止される。このように、表示部に適正な走査信号およびコモン駆動信号を供給することができるので、液晶表示装置31の表示品位の劣化を防止することができる。
【特許文献1】特開2003−241217号公報(特許請求の範囲、段落[0028]〜[0036]、図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
液晶表示装置31においては、より高精細な画像表示ができることが課題の1つである。高精細な画像表示を実現するためには、表示部の表示ライン数を増やすとともに、1表示ラインの画素数を増やす必要がある。表示ライン数や画素数を増やすためには、走査信号入力端子taや表示信号入力端子tbの数を増やす必要がある。走査信号入力端子taの数が増えると、走査駆動用IC36、37と走査信号入力端子taとを接続する信号配線の数も増えることになり、走査信号入力端子taが形成されている周縁部A11、A12において、信号配線を形成するための領域の幅が大きくなり、コモン配線38を形成するための領域が狭くなってしまう。
【0017】
また、液晶表示装置31においては、搭載される電子機器の小型化に伴って、より構成の小型化を図ることも課題の1つである。構成の小型化を実現するための手段の1つは、一方基板32を小さくすることである。しかし、一方基板32を小さくすると、表示部の周囲の周縁部A11、A12が小さくなる。また、信号配線の本数は決まっており、例えば、図5に従来の液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMと信号配線s1〜sMの接続関係を示すが、信号配線s1〜sMは液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMと1:1に対応しており、この場合、図6に示したように、1フィールド期間内に液晶表示装置31に入力された入力信号、例えばa〜lは、それぞれ液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMに個別に入力されるようになっている。したがって、信号配線の幅と信号配線間の間隔とを狭めるのは限界があるので、周縁部A11、A12内で複数の信号配線を形成するための領域は、極端に小さくすることができず、一方、基板32を小さくすると、コモン配線38を形成するための領域が小さくなってしまう。
【0018】
このようにコモン配線38を形成するための領域が小さくなると、コモン配線38における直線部分の幅が小さくなり、その結果直線部分での配線抵抗が大きくなり、直線部分におけるコモン駆動信号の電圧降下量が大きくなる。そのため、適正なコモン駆動信号をコモン駆動信号入力端子tcに供給することができなくなり、液晶表示装置31の表示品位が劣化するという問題がある。
【0019】
本願の発明者は、このような従来技術における問題点を解決すべく種々検討を重ねた結果、従来技術の問題点は複数の信号配線の数と液晶表示パネルの表示部における複数の信号入力端子との数が等しいことから生じていることから、複数の信号配線を時分割で利用すれば信号配線の数を減らすことができると考え、本発明を完成するに至ったのである。
【0020】
すなわち、本発明は、液晶表示パネルの複数の信号入力端子に接続される複数の信号配線を共用して時分割して駆動することにより信号配線の数を減らすことを目的とする。またそれによって液晶表示パネルの一方基板の周縁部内で複数の信号配線を形成する領域を小さくして周縁部内での残余の領域を拡大することによりコモン配線を太くすることによって配線抵抗を低下させるとともに、周縁部の大きさの低下を図った液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る液晶表示装置の発明は、一方基板と該一方基板よりも小さい他方基板とを重ね合わせ、2つの基板が重なり合う部分に液晶層を介在させて表示部が形成された液晶表示パネルと、前記表示部の周囲に形成された走査信号又は映像信号が入力される複数の信号入力端子と、を備えた液晶表示パネルにおいて、前記一方基板上に、外部からの制御信号を処理して前記液晶表示パネルを駆動するための駆動信号及びスイッチング信号を生成する駆動回路、及び前記駆動回路からの駆動信号及びスイッチング信号がそれぞれ送出される複数の駆動配線及び複数のスイッチング配線を設け、前記複数の駆動配線及び複数のスイッチング配線の数の和は前記複数の信号入力端子の数よりも小さくし、前記複数の信号入力端子のそれぞれをスイッチング素子を介して前記複数の駆動配線に接続し、前記複数の駆動配線を前記スイッチング素子により前記スイッチング信号に同期して時分割に前記複数の信号入力端子に切換接続するようにしたことを特徴とする。
【0022】
この場合、前記時分割して駆動する複数の信号配線は、液晶表示パネルの映像信号線及び走査信号線のいずれに接続されるものであってもよいが、映像信号線に供給される信号はアナログ階調信号であるとともに時分割する際の切換周波数が高くなるため、走査信号線に接続される信号配線に適用した方がよい。
【0023】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記複数の駆動配線の数をP個とし、前記複数のスイッチング配線の数をN個としたとき、前記複数の信号入力端子のそれぞれをP個毎にスイッチング素子を介してそれぞれ異なる駆動配線に接続し、N個の前記スイッチング配線のそれぞれをそれぞれ異なる駆動配線に接続されているP個のスイッチング素子の入力端子に接続し、前記駆動回路から前記N個のスイッチング配線を介して前記スイッチング素子を制御するとともに前記P個の駆動配線に駆動信号を供給することにより、前記複数の信号入力端子に時分割に駆動信号を供給するようにしたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の液晶表示装置において、前記P個毎にスイッチング素子を介してそれぞれ異なる駆動配線に接続されている前記複数の信号入力端子は、互いに隣接していることを特徴とする。
【0025】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項2に記載の液晶表示装置において、前記スイッチング素子が薄膜トランジスタ(TFT)であることを特徴とする。
【0026】
また、請求項5に係る発明は、前記請求項2に記載の液晶表示装置において、前記複数の信号入力端子数をMとしたとき、前記NとPがM/N≦Pとなるように選択されていることを特徴とする。
【0027】
この場合、M/N=Pであれば、それぞれの駆動配線に接続されるスイッチング素子の数(すなわち入力端子の数)は全て均しいが、M/N<Pであればそれぞれの駆動配線に接続されるスイッチング素子の数が異なる場合が生じる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上記のような構成を備えることにより、以下のような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、複数の駆動配線を時分割に液晶表示パネルの表示部の周囲に形成されている複数の信号入力端子に切換接続するようにしため、駆動配線及びスイッチング配線からなる信号配線の数を前記信号入力端子の数よりも減少させることができるので、複数の信号配線を形成する領域を小さくすることができる。またそれによって周縁部内での残余の領域を拡大することにより残余の領域に形成されるコモン配線の配線抵抗を低下させるとともに、周縁部の大きさの低下を図ることができるようになる。
【0029】
また、請求項2の発明によれば、簡単な構成により駆動配線及びスイッチング配線からなる信号配線の数を減らして時分割して駆動することができるようになる。
【0030】
また、請求項3の発明によれば、複数のスイッチング素子の配置が簡単になり、回路構成を複雑化せずに複数の信号配線の数を減らすことができるようになる。
【0031】
また、請求項4の発明によれば、液晶表示パネル駆動用のTFTの形成と同時にスイッチング素子としての薄膜トランジスタも形成できるので、製造に際する工数を低下させることができる。
【0032】
さらに、請求項5の発明によれば、駆動配線及びスイッチング配線からなる信号配線の数を前記信号入力端子の数よりも減少させることができ、スペースの利用効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図1及び図2を参照して本発明の実施例を説明するが、液晶表示パネル全体の基本的構成は、図3及び図4に示した従来例のものと同様であるので、必要に応じて図3及び図4を参照して説明する。なお、図1は実施例の液晶表示装置の複数の信号入力端子と各信号配線の接続関係を示す回路図であり、図2は図1の各信号配線に入力された入力信号と液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMに印加される信号の関係を示すタイミングチャートである。
【0034】
本実施例の液晶表示装置は、図1に示すように、複数の信号配線は、例えば3個のスイッチング配線SW1〜SW3と、4個の駆動配線L1〜L4とからなっている。そして、液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMのうち、隣接する4個の信号入力端子ta1〜ta4のそれぞれがスイッチング素子であるTFTtr1〜tr4を介して各駆動配線L1〜L4に接続されており、また、TFTtr1〜tr4の入力端子(ゲート電極)は全てスイッチング配線SW1に接続されている。同様に、液晶表示パネルの他の信号入力端子ta5〜taMもそれぞれ隣接する4個ごとにTFTを介して駆動配線L1〜L4に接続され、これらのTFTの入力端子はスイッチング配線SW2又はSW3に接続されている。
【0035】
このTFTtr1〜trMは、アクティブマトリクス型液晶表示パネルにおける各画素の駆動用TFTとして低温ポリシリコン(Low Temperature p−Si : LTPS)TFTが採用されるようになってきていることから、各画素の駆動用TFTの形成時にスイッチング配線や駆動配線とともに同時に形成することができる。
【0036】
この場合、例えばスイッチング配線SW1に信号が加えられてTFTtr1〜tr4がオンになると、信号入力端子ta1〜ta4はそれぞれ駆動配線L1〜L4に接続されて、それぞれの信号入力端子ta1〜ta4には駆動ラインL1〜L4からの入力信号が印加される。その間、他の信号入力端子ta5〜taMには、スイッチング配線SW2及びSW3には信号が印加されていないためにTFTtr5〜trMがオフとなっているので、何も信号が印加されない。
【0037】
一方、スイッチング配線SW2に信号が加えられてスイッチング配線SW1に加えられていた信号が消失すると、TFTtr5〜tr8がオンになるとともに残余のTFTtr1〜tr4及びtr9〜trMがオフ状態となるので、隣接する4個の信号入力端子ta5〜ta8のそれぞれが各駆動配線L1〜L4に接続されるから、4個の信号入力端子ta5〜ta8にはそれぞれ各駆動配線L1〜L4からの入力信号が印加され、残余の入力端子ta1〜ta4及びta9〜taMには何も信号が印加されないようになる。
【0038】
同様に、スイッチング配線SW3に信号が入力されてスイッチング配線SW1及びSW2に信号が印加されない場合は、4個の信号入力端子ta9〜taMに各駆動配線L1〜L4からの入力信号が印加され、残余の信号入力端子ta1〜ta8には何も信号が印加されないようになる。
【0039】
ここで、図2のタイミングチャートを用いて各信号配線に入力された入力信号と液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜taMに印加される信号の関係を説明する。図示しない外部の制御装置から1フィールド期間に例えばa〜lの制御信号が入力されると、液晶表示パネルの一方基板上に設けられている走査駆動IC37(図3参照)は、スイッチング配線SW1〜SW3及び駆動配線L1〜L4に、図2に示したようなタイミングの制御信号を生成する。
【0040】
すなわち、駆動配線L1には駆動信号a、e及びiを、駆動配線L2には駆動信号b、f及びjを、駆動配線L3には駆動信号c、g及びkを、駆動配線L4には駆動信号d、h及びlを出力し、また、スイッチング配線SW1には制御信号a〜dが入力されている間のみ出力を発生させ、スイッチング配線SW2には制御信号e〜hが入力されている間のみ出力を発生させ、スイッチング配線SW3には制御信号g〜lが入力されている間のみ出力を発生させる。
【0041】
そうすると、スイッチング配線SW1にスイッチング信号が加えられてTFTtr1〜tr4がオンになると、液晶表示パネルの信号入力端子ta1〜ta4はそれぞれ駆動配線L1〜L4に接続されて、それぞれの信号入力端子ta1〜ta4には駆動ラインL1〜L4からの駆動信号が印加されるから、信号入力端子ta1には駆動信号aが、信号入力端子ta2には駆動信号bが、信号入力端子ta3には駆動信号cが、信号入力端子ta4には駆動信号dが、それぞれ印加されることになる。
【0042】
同様にしてスイッチング配線SW2及びSW3に順次出力が加えられると、液晶表示パネルの信号入力端子ta5〜taMにはそれぞれ対応する駆動信号e〜lが印加されるようになる。
【0043】
そうすると、本実施例では、液晶表示パネルの表示部の周囲に形成された走査信号又は映像信号が入力される複数の信号入力端子ta1〜taMには、例えばM=12の例では、スイッチング配線SW1〜SW3の3個及び駆動配線L1〜L4の4個、計7個の信号配線で正常に駆動信号を印加することができるようになる。
【0044】
この場合、スイッチング配線の数をN、駆動配線の数をPとし、液晶表示パネルの信号入力端子の数をMとすると、M/N≦Pの関係が生じていれば無駄なく信号配線を配置することができるようになり、信号配線の数=N+P<Mの関係を満たすようになる。
【0045】
例えば、現在携帯電話によく用いられるQ−VGAタイプの液晶表示パネルの場合は320ドット×240ドットであるから、例えば、スイッチング配線の数N=2とすれば走査信号線に対応する320ドット側(M=320)を時分割で駆動するためには駆動配線の数P=160、信号配線の数=N+P=162となり、同様にスイッチング配線の数N=8とすれば駆動配線の数P=40、信号配線の数=N+P=48となり、スイッチング配線の数の増大とともに大幅に駆動配線数は減少し、結果としてスイッチング配線及び駆動配線からなる信号配線の数も大幅に減少させることができる。
【0046】
したがって、この信号配線数の減少分をコモン配線を太くすることと周縁部を狭くすることとの間で適宜に割り振ることにより所望の特性の液晶表示装置を得ることができる。
【0047】
なお、時分割して駆動する複数の駆動配線は、液晶表示パネルの映像信号線及び走査信号線のいずれに接続されるものであってもよいが、映像信号線に供給される信号はアナログ階調信号であるとともに時分割する際の切換周波数が高くなるため、切換の際にノイズが階調信号に乗ることによって表示画質が低下する恐れが大きいので、デジタル信号が供給されている走査信号線に接続される信号配線に適用した方がよい。
【0048】
また、入力端子の数Mにおいて、例えば図1に示したta1とtaMが、必ずしも表示に利用されるものではなく、所謂ダミーとして用いられるものであってもよい。
【0049】
また、図3の従来例で示すように基板上に載置される駆動用ICは、3つに限定されるものではなく、1つの走査駆動用ICと1つの表示駆動用ICの、計2つのICからなるものでもよい。また1つのICで走査信号及び表示信号を生成して出力するものでもよい。更には図3の従来例では表示部の周囲に3つの周縁部A11、A12、A13が存在し、対向する2つの周縁部A11、A12に走査信号入力端子taが配列されているが、A11或はA12側だけに配列されててもよく、またA11とA12の面積が等しく形成されている必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例の液晶表示装置の信号入力端子と各信号配線の接続関係を示す回路図である。
【図2】図1の各信号配線に入力された入力信号と液晶表示パネルの信号入力端子に印加される信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図3】COG方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置の従来例を示す平面図である。
【図4】走査信号入力端子taが形成されている周縁部A12における信号配線の形状を示す拡大平面図である。
【図5】従来の液晶表示パネルの信号入力端子と信号配線の接続関係を示す図である。
【図6】従来の液晶表示装置に入力された入力信号と液晶表示パネルの信号入力端子に印加される信号の関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
32 一方基板
34 液晶表示パネル
35,36,37 駆動用IC
38 コモン配線
SW1〜SW3 スイッチング配線
L1〜L4 駆動配線
tr1〜trM TFT
A11、A12、A13 周縁部
td コモン端子
tc コモン駆動信号入力端子
ta1〜taM 信号入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方基板と該一方基板よりも小さい他方基板とを重ね合わせ、2つの基板が重なり合う部分に液晶層を介在させて表示部が形成された液晶表示パネルと、
前記表示部の周囲に形成された走査信号又は映像信号が入力される複数の信号入力端子と、
を備えた液晶表示パネルにおいて、
前記一方基板上に、外部からの制御信号を処理して前記液晶表示パネルを駆動するための駆動信号及びスイッチング信号を生成する駆動回路、及び前記駆動回路からの駆動信号及びスイッチング信号がそれぞれ送出される複数の駆動配線及び複数のスイッチング配線を設け、
前記複数の駆動配線及び複数のスイッチング配線の数の和は前記複数の信号入力端子の数よりも小さくし、
前記複数の信号入力端子のそれぞれをスイッチング素子を介して前記複数の駆動配線に接続し、
前記複数の駆動配線を前記スイッチング素子により前記スイッチング信号に同期して時分割に前記複数の信号入力端子に切換接続するようにしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数の駆動配線の数をP個とし、前記複数のスイッチング配線の数をN個としたとき、
前記複数の信号入力端子のそれぞれをP個毎にスイッチング素子を介してそれぞれ異なる駆動配線に接続し、
N個の前記スイッチング配線のそれぞれをそれぞれ異なる駆動配線に接続されているP個のスイッチング素子の入力端子に接続し、
前記駆動回路から前記N個のスイッチング配線を介して前記スイッチング素子を制御するとともに前記P個の駆動配線に駆動信号を供給することにより、前記複数の信号入力端子に時分割に駆動信号を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記P個毎にスイッチング素子を介してそれぞれ異なる駆動配線に接続されている前記複数の信号入力端子は、互いに隣接していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の信号入力端子数をMとしたとき、前記NとPがM/N≦Pとなるように選択されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−98880(P2006−98880A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286357(P2004−286357)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】