説明

液晶表示装置

【課題】高い表示品質が得られ且つ少ない映像信号で動作する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、信号線S1に対応する映像信号の正負極性を走査線Y1のタイミングから順に(++−−)とし、走査線Y1のタイミングでは信号線S1の位置から順に(++−−++…)とし、信号線S1を、走査線Y1に対応する水平走査期間中の第3選択期間T3に選択し、走査線Y3に対応する水平走査期間中の第3選択期間T3に選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、ある走査線に対応する各画素電極に映像信号を書き込む際に、その画素電極の1つ上の画素電極と比較で正負極性が反転させない画素電極に対して先に映像信号を書き込み、正負極性を反転させるべき画素電極に対して後に映像信号を書き込むことで、他の画素電極への書き込み時の電位変動の影響を受けることなく映像信号を書き込む技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、2つ用いた駆動ICのそれぞれに384個の映像信号を出力させる実施例が開示されている。
【特許文献1】特開2005−92176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駆動ICの集積度は年々向上しており、多数の映像信号の出力が可能になっている。600個を超える映像信号の出力が可能な駆動ICもある。そこで、かかる駆動ICを使用して、その数を1個に減らし、液晶表示装置を簡素化したいという要望が高まっている。
【0005】
しかし、特許文献1の実施例に開示された液晶表示装置では、768個の映像信号が必要であり、映像信号の出力数がそのように多い駆動ICを使用した場合、768本の映像信号線が必要で、その占める面積が広くなるので、その駆動ICは使用しにくい。
【0006】
そのため、600個を超える程度の数の映像信号を出力できる駆動ICを使用するのが現実的であり、そうするには、その液晶表示装置を少ない映像信号で動作させる必要がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い表示品質が得られ且つ少ない映像信号で動作する液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、第1の本発明に係る液晶表示装置は、複数の走査線と複数の信号線の各交差部に画素電極が配置された画素表示部と、映像信号を映像信号線を通じて供給する駆動ICと、前記駆動ICからの映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させたときの各グループ毎に、5本の中から選択された信号線を映像信号線に切り替えて接続する信号線駆動回路と、L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を前記信号線を介して書き込む際に、前記各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明に係る液晶表示装置は、複数の走査線と複数の信号線の各交差部に画素電極が配置された画素表示部と、映像信号を映像信号線を通じて供給する駆動ICと、前記駆動ICからの映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させたときの各グループ毎に、5本の中から選択された信号線を映像信号線に切り替えて接続する信号線駆動回路と、L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を前記信号線を介して書き込む際に、前記各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御し、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序を同じに制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0010】
これらの液晶表示装置によれば、このように制御することで、高い表示品質が得られるのみならず、液晶表示装置を少ない映像信号で動作させることができる。
【0011】
また、信号線駆動回路を制御する制御線を5本とすることで、制御線の占める面積が小さくなり、いわゆる額縁領域を狭くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の本発明によれば、L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を信号線を介して書き込む際に、各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御することで、高い表示品質が得られるのみならず、液晶表示装置を少ない映像信号で動作させることができる。
【0013】
第2の本発明によれば、L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を信号線を介して書き込む際に、各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御し、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序を同じに制御することで、高い表示品質が得られるのみならず、液晶表示装置を少ない映像信号で動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る液晶表示装置の一実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
図1の回路ブロック図に示すように、本実施の形態における液晶表示装置は、ガラス製のアレイ基板1上に画素表示部2と、その左右両端に配置された走査線駆動回路3a,3bと、下端に配置された信号線駆動回路4を備え、アレイ基板1の外部に外部駆動回路21と、フレキシブル基板23Aなどに搭載された駆動IC23を備えた構成である。対向基板5がアレイ基板1に対向配置され、両基板1,5に液晶層(図示せず)が挟持されている。
【0016】
画素表示部2では、走査線駆動回路3a,3bからの複数の走査線Y1,Y2,…と、信号線駆動回路4からの複数の信号線S1,S2,…が交差するように配線される。画素表示部2では、さらに補助容量配線CS1,CS2,…が、走査線Y1,Y2,…にそれぞれ沿って配線される。走査線と信号線が交差する各部には薄膜トランジスタ11と、液晶容量12と、補助容量13と、画素電極14とを含む画素が配置される。薄膜トランジスタ11は例えばMOS−TFTであり、そのドレイン端子は画素電極14に接続され、ソース端子は信号線に接続され、ゲート端子は走査線に接続される。液晶容量12は、対向基板5に形成された対向電極51と画素電極14とこれらの電極間の液晶層により構成される。補助容量13は、画素電極14と補助容量配線CS1などとこれらの間に形成された絶縁層など(図示せず)により構成される。
【0017】
ここでは、一例としてXGA型の表示パネル、すなわち1024×3(RGB)×768個の画素が画素表示部2にあることを想定する。信号線は1024×3=3072本、走査線は768本である。
【0018】
走査線駆動回路3a,3bは走査線Y1,…をそれぞれ駆動し、信号線駆動回路4は信号線S1,…をそれぞれ駆動する。
【0019】
外部駆動回路21は、走査線駆動回路3a,3bを制御するための走査線駆動回路制御信号(図示せず)を生成し、この制御信号を駆動IC23を介して走査線駆動回路3a,3bへ伝送する。走査線駆動回路制御信号には、スタートパルス、クロックパルスが含まれる。
【0020】
外部駆動回路21は、信号線駆動回路4を制御するための信号線駆動回路制御信号ASWU1〜ASWU5を生成し、これらの制御信号を駆動IC23を介して信号線駆動回路4へ伝送する。
【0021】
走査線駆動回路制御信号と信号線駆動回路制御信号は、外部駆動回路21内の制御回路22により生成される。
【0022】
外部駆動回路21は、信号線を介して画素電極に書き込むための映像信号D1〜D616を生成し、これらの映像信号を駆動IC23を介して信号線駆動回路4へ伝送する。すなわち、本実施の形態では、映像信号の数は616個に低減されている。
【0023】
駆動IC23には、TAB法によりTCPが実装されている。駆動IC23からの各映像信号線は信号線駆動回路4により信号線に接続される。
【0024】
信号線駆動回路4は、両端の映像信号線以外の映像信号線に関し、以下のように動作する。すなわち、信号線駆動回路4は、映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させたときの各グループ毎に、5本の中から選択された信号線を切り替えて映像信号線に接続するようになっている。
【0025】
本実施の形態では、映像信号線1本につき5本の信号線が切り替わって接続されるので、映像信号線の数は信号線の数の約1/5となる。信号線3072本に対して必要な映像信号線は616本となるので、3072本の信号線があるXGAの表示パネル全体としては、映像信号線の出力端子が少なくとも616個ある駆動IC23を1個だけ用いれば十分となる。
【0026】
仮に映像信号線1本につき4本の信号線を切り替え、映像信号の出力数が616個の駆動ICを使用する場合、1個の駆動ICでは3072/4=768本の映像信号を出力できないので、2個の駆動ICが必要となるのに対し、本実施の形態では、駆動ICの数を1個にすることができる。
【0027】
また、本実施の形態では、映像信号線の数は616本なので、映像信号線の占める面積が小さくなり、いわゆる額縁領域を狭くすることができる。
【0028】
図2の回路ブロック図に示すように、信号線駆動回路4は、映像信号D1を伝送する1本の映像信号線だけに対応したアナログスイッチASW01と、映像信号D616を伝送する1本の映像信号線だけに対応したアナログスイッチASW02と、残りの映像信号D2〜D615を伝送する映像信号線でその2本につき1個ずつ対応したアナログスイッチ基本回路25を備える。すなわち、信号線駆動回路4では、アナログスイッチ基本回路25を614/2=307個備え、これらの映像信号を信号線S2〜S2071から選択したものに切り替えるようになっている。
【0029】
図3の回路図に示すように、例えば映像信号D2,D3が入力されるアナログスイッチ基本回路25では、映像信号D2を伝送してくる映像信号線が5本に分岐される。分岐した映像信号線は、アナログスイッチASW1を介して信号線S2に接続され、アナログスイッチASW2を介して信号線S3に接続され、アナログスイッチASW3を介して信号線S4に接続され、アナログスイッチASW4を介して信号線S5に接続され、アナログスイッチASW5を介して信号線S6に接続される。ここでは、信号線S2〜S6を第1グループと呼ぶものとする。
【0030】
同様に、映像信号D3を伝送してくる映像信号線も5本に分岐され、分岐した各映像信号線は、アナログスイッチASW6を介して信号線S7に接続され、アナログスイッチASW7を介して信号線S8に接続され、アナログスイッチASW8を介して信号線S9に接続され、アナログスイッチASW9を介して信号線S10に接続され、アナログスイッチASW10を介して信号線S11に接続される。信号線S7〜S11を第2グループと呼ぶものとする。
【0031】
アナログスイッチ制御信号ASW1Uを伝送する制御線がアナログスイッチASW4とASW6の各ゲート端子にそれぞれ接続され、アナログスイッチ制御信号ASW2Uの制御線がアナログスイッチASW2とASW8の各ゲート端子にそれぞれ接続され、アナログスイッチ制御信号ASW3Uの制御線がアナログスイッチASW5とASW10の各ゲート端子にそれぞれ接続され、アナログスイッチ制御信号ASW4Uの制御線がアナログスイッチASW3とASW7の各ゲート端子にそれぞれ接続され、アナログスイッチ制御信号ASW5Uの制御線がアナログスイッチASW1とASW9の各ゲート端子にそれぞれ接続される。
【0032】
アナログスイッチASW1〜ASW10は、いずれもpチャネル型のTFTで構成されており、アナログスイッチ制御信号ASW1Uがロー電位となったときにアナログスイッチASW4,ASW6がオンして信号線S5,S7に映像信号が供給される。アナログスイッチ制御信号ASW2Uがロー電位となったときにはアナログスイッチASW2,ASW8がオンして信号線S3,S9に映像信号が供給される。アナログスイッチ制御信号ASW3Uがロー電位となったときにはアナログスイッチASW5,ASW10がオンして信号線S6,S11に映像信号が供給される。アナログスイッチ制御信号ASW4Uがロー電位となったときにはアナログスイッチASW3,ASW7がオンして信号線S4,S8に映像信号が供給される。アナログスイッチ制御信号ASW5Uがロー電位となったときにはアナログスイッチASW1,ASW9がオンして信号線S2,S10に映像信号が供給される。他のアナログスイッチ基本回路もこれと同様の構成である。
【0033】
次に、各信号線の駆動方式について説明する。信号線を選択して駆動する方式では、選択された信号線に映像信号が供給されたときに、自画素―自信号線、自画素―隣接信号線、自信号線―隣接信号線のそれぞれの間のカップリング容量の影響によって、映像信号が伝搬していないフローティング状態にある隣接信号線の電位を変動させてしまうため、信号線毎に画素への書き込み電位に差が生じ、表示ムラが発生するという問題がある。
【0034】
そこで、本実施の形態では、書き込み時にこのような表示ムラを発生させないようにするために、信号線に供給されて画素電極に印加される映像信号の正負極性を利用する。
【0035】
画素電極に印加されたときの映像信号の電圧は、対向電極の電圧より低く又は高くなるように制御される。前者の場合、画素電極に印加される映像信号の正負極性が正であるといい、後者の場合、正負極性が負であるという。以下、正負極性を適宜、極性と略記する。
【0036】
本実施の形態では、映像信号の極性が反転するときには隣接信号線に電位変動の影響を与えるが、映像信号の極性が反転しないときには隣接信号線に電位変動の影響を与えないことに着目し、L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素に映像信号を信号線を介して書き込む際に、映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させた各グループ毎に、L−1行目とL行目とで極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように信号線の選択順序を制御回路22により制御する。
【0037】
すなわち、書き込みを終了したフローティング状態にある信号線が、書き込み中の隣接信号線の電位変動の影響を受けないように、極性が反転せず電位変動が生じない信号線を後に選択するように順序を制御する。
【0038】
以下では、この制御方式について、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものにするとともに、その任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように制御するようにした信号線5選択の2H2V反転駆動方式を例に説明する。
【0039】
図4(a)、(b)は、信号線5選択の2H2V反転駆動方式について、n番目のフレームの各画素における映像信号の極性および信号線の選択順序を示す図である。
【0040】
同図に示すように、n(nは正の整数)番目のフレームについて、映像信号D1が供給される信号線S1の列における各画素電極に印加される映像信号の正負極性は、走査線Y1のタイミングから順に(++−−)となっており、他の走査線のタイミングでも、この規則に従う。つまり、各画素では2水平走査期間毎に極性が反転する。また、信号線S2の列における正負極性は走査線Y1のタイミングから順に(+−−+)、信号線S3047の列における正負極性は走査線Y1のタイミングから順に(−−++)、信号線S3048の列における正負極性は走査線Y1のタイミングから順に(−++−)となっており、いずれも2水平走査期間毎に各画素の極性が反転する。
【0041】
つまり、任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性が互いに異なっている。
【0042】
これにより、信号線と画素電極間のカップリング容量に起因する画素電位変動がキャンセルされるので、縦クロストークの発生を防止することができる。
【0043】
また、同図に示すように、n(nは正の整数)番目のフレームについて、走査線Y1の行における各画素電極に印加される映像信号の正負極性は、信号線S1の位置から順に(++−−++…)となっており、つまり、各画素では2信号線毎に極性が反転する。また、走査線Y2の行における各画素の極性は信号線S1の位置から順に(+−−++−…)となっており、他の走査線Y3,4についても同様であり、いずれも2信号線毎に各画素の極性が反転する。
【0044】
つまり、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性が互いに異なっている。
【0045】
これにより、1水平走査期間の1行中において正極性画素と負極性画素の数がほぼ均等となって偏りがないので、横クロストークの発生を防止することができる。
【0046】
また、各フレームについて正極性画素と負極性画素の数がほぼ均等となって偏りがないので、フリッカが生じることがなく良好な表示品位を得ることができる。
【0047】
また、垂直走査方向における映像信号の正負反転周期が2水平走査期間毎となるので、H/V反転駆動方式に比較して消費電力を抑えることができる。
【0048】
また、本駆動方式では、1水平走査期間を5つの選択期間に分け、各グループで5つのアナログスイッチを順にオンするようにアナログスイッチ制御信号ASW1U〜ASW5Uを制御回路22により生成する。
【0049】
図4(a)に示すように、2行目の走査線Y2における各画素について、1行目の走査線Y1との比較で極性が反転するのは信号線S2,S4,S6などであり、極性が反転しないのは信号線S1,S3,S5などである。そこで、第1グループについては先に信号線S2,S4,S6などを選択してから信号線S3,S5などを選択する。信号線S1については、極性が反転しないので、これを後から選択する。
【0050】
図4(b)に示すように、2行目の走査線Y2における各画素について、1行目の走査線Y1との比較で極性が反転するのは信号線S3048,…,S3068,S3070,S3072であり、極性が反転しないのは信号線S3047,…,S3067,S3069,S3071である。そこで、第2グループについては先に信号線S3048,…,S3068,S3070などを選択してから信号線S3047,…,S3067,S3069,S3071などを選択する。信号線S3072については、極性が反転するので、これを先に選択する。
【0051】
各グループでは、先に選択する信号線が2ないし3本あるが、その中ではどれを先としてもよい。同様に後に選択する複数の信号線についても順序は任意である。
【0052】
信号線S1,S3072については、極性が反転し、これを先に選択すべき場合は、各グループで後に選択する信号線よりも先に選択さえすれば、それはいつでもよい。
【0053】
信号線S1,S3072については、極性が反転せず、これを後に選択すべき場合は、各グループで先に選択する信号線よりも後に選択さえすれば、それはいつでもよい。
【0054】
具体的には、図4(a)に示すように、2行目の走査線Y2については、1水平走査期間を5つに分けたときの第1選択期間に信号線S2,S10,…を選択する。同図では、Y2から右に見た欄とS2から上に見た欄の交差箇所に表記された「−1」を例にすると、このマイナス符号「−」が負極性を表し、絶対値「1」が第1選択期間を表し、このような規則で同図は表記されている。図4(b)も同様である。
【0055】
2行目の走査線Y2については、続いて、第2選択期間に信号線S4,S8,…を選択し、第3選択期間に信号線S1,S6,…を選択し、第4選択期間に信号線S3,S9,…を選択し、第5選択期間に信号線S5,S7,…を選択する。
【0056】
このため、例えば、2行目の走査線Y2については、制御回路22では、図5に示すように、第1選択期間T1にアナログスイッチ制御信号ASW5Uをロー電位(図では○で示す)にし、第2選択期間T2にアナログスイッチ制御信号ASW4Uをロー電位にし、第3選択期間T3にアナログスイッチ制御信号ASW3Uをロー電位にし、第4選択期間T4にアナログスイッチ制御信号ASW2Uをロー電位にし、第5選択期間T5にアナログスイッチ制御信号ASW1Uをロー電位にする。
【0057】
図4に表記した他の走査線Y1,Y3,Y4については、同図に示すような順序で信号線が選択され、そのときのアナログスイッチ制御信号は、図5に示すようなタイミングでロー電位になる。
【0058】
また、図4(a)、(b)に示すように、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序が同じになっている。例えば、信号線S1について、1行目の走査線Y1に対応する水平走査期間中の第3選択期間T3に信号線S1が選択され、3行目の走査線Y3についても第3選択期間T3に信号線S1が選択される。また、信号線S2について、1行目の走査線Y1に対応する水平走査期間中の第5選択期間T5に信号線S2が選択され、3行目の走査線Y3についても第5選択期間T5に信号線S2が選択される。他の信号線や他の行でも同様である。
【0059】
本駆動方式では、水平走査方向に見ると極性および選択順序は20列で一巡し、例えば、図4(a)に示すように、信号線S21の第21列の極性および選択順序は、信号線S1の第1列のものと同じになり、以降、20列ごとに極性および選択順序は最初の20列のものと同じになる。
【0060】
また、本駆動方式では、垂直走査方向に見ると極性および選択順序は4行で一巡し、例えば、走査線Y5の第5行の極性および選択順序は、走査線Y1の第1行のものと同じになり、以降、4行ごとに極性および選択順序は最初の4行のものと同じになる。
【0061】
つまり、本駆動方式では、図6に示すような、極性(符号)および選択順序(絶対値)において同一の分布を示す20列×4列の単位領域が、水平走査方向、垂直走査方向において繰り返し現れるように書き込みがなされる。
【0062】
ここまではn番目のフレームについて説明したが、n+1番目のフレームでは、各画素の極性が同画素のn番目のフレームでの極性に対して反転し、以降同様に、各画素の極性が同画素の直前のフレームでの極性に対して反転していく。
【0063】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、アナログスイッチ基本回路25において、アナログスイッチ制御信号ASW1U〜ASWU5を伝送する制御線を各アナログスイッチASW1〜ASW10に接続したが、接続の態様はこれに限定されず、例えば、図7に示すような接続の態様にしてもよい。この場合、例えば、図5に示したタイミングを採用すると、図8に示すように、極性(符号)および選択順序(絶対値)において同一の分布を示す20列×4列の単位領域が、水平走査方向、垂直走査方向において繰り返し現れるように書き込みがなされる。
【0064】
また、例えば、図3に示すような接続の態様とし、図9に示すタイミングを採用すると、図10に示すように、極性(符号)および選択順序(絶対値)において同一の分布を示す20列×4列の単位領域が、水平走査方向、垂直走査方向において繰り返し現れるように書き込みがなされる。
【0065】
また、例えば、図11(a)〜(j)、図12(a)〜(k)に示す単位領域が、水平走査方向、垂直走査方向において繰り返し現れるように書き込みがなされるように発明を実施してもよい。その際のアナログスイッチ基本回路の内部構成ならびに各アナログスイッチをオンさせるタイミングの図示および説明は冗長となるので省略する。
【0066】
また、例えば、図13、図14に示すように、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序が同じであることを基調としつつ、任意の信号線においては、L−1行目とL+1行目とで選択順序が異なっていてもよい。
【0067】
図13、図14に示すような極性および選択順序の制御は、それぞれ図15、図16に示すようなタイミングでアナログスイッチをオンさせることにより行うことができる。
【0068】
いずれにしても、これまでに言及したいずれかの単位領域の分布が得られると、これ以外の単位領域の分布が得られたときよりも高い表示品質が得られた。
【0069】
例えば、正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択する方式や、2H2V反転駆動方式により、高い表示品質が得られることは知られているが、さらに、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序を同じにすることで、つまり、上記のいずれかの単位領域の分布が得るようにしたことで、そうしない場合に比較して、高い表示品質が得られた。
【0070】
また、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、そのようにしたことで、少ない映像信号で動作することができる。これにより、液晶表示装置を簡素化でき、ひいては、低コスト化が可能となる。
【0071】
つまり、駆動ICを例えば2つも使用して、液晶表示装置が複雑な構成になってしまうのを防止することができる。また、映像信号の出力数が多い駆動ICや、駆動ICを例えば2つも使用して、液晶表示装置のコストが高くなってしまうのを防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、(1)各アナログスイッチをオンさせるタイミングと、(2)アナログスイッチ基本回路の内部構成と、(3)映像信号の極性の3要素のどれか1つが適切でないと、上記の単位領域の分布が得られない。
【0073】
また、本実施の形態では、アナログスイッチ制御信号ASW1U〜ASWU5を伝送する制御線を5本としたので、1制御線で2つのアナログスイッチをオンさせなければならず、(1)タイミング設定が難しく、上記の3要素の適切化を図ることの困難性も高まる。
【0074】
逆に、10本の制御線を使用し、アナログスイッチ基本回路内の10個のアナログスイッチのそれぞれに制御線を割り当てれば、1制御線で1つのアナログスイッチをオンさせることができ、(1)アナログスイッチをオンさせるタイミングの設定は容易であり、上記の3要素の適切化を図ることの困難性も低くなる。しかし、これでは、制御線の占める面積が大きくなり、いわゆる額縁領域を狭くするのが困難になる。
【0075】
また、制御線は、駆動IC内のDC/DCコンバータの出力端子に接続され、簡素化のためには、出力数の多いDC/DCコンバータを使用したいのだが、かかるDC/DCコンバータは、コスト面などの諸事情により使用しにくい。
【0076】
そこで、本実施の形態では、困難性は高いが、制御線を5本とした上で3要素の適切化を図っている。なお、5本は、上記の単位領域の分布が得るのに必要な制御線の最低数であり、4本以下では、上記の単位領域の分布は得られない。つまり、5本では困難性が最も高いのである。
【0077】
したがって、本実施の形態によれば、上記の単位領域の分布を得る困難性が最も高いにも拘わらず、制御線を5本とした上で3要素の適切化を図ったことで、制御線の占める面積が小さくなり、いわゆる額縁領域を狭くすることができる。また、その制御線が接続される駆動IC内のDC/DCコンバータとして、出力数の少ないものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】一実施形態における液晶表示装置の概略的な構成を示す回路ブロック図である。
【図2】上記液晶表示装置における信号線駆動回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図3】上記信号線駆動回路におけるアナログスイッチ基本回路の内部構成を示す回路図である。
【図4】信号線4選択の2H2V反転駆動方式について、n番目のフレームの各画素における映像信号の極性および信号線の選択順序を示す図である。
【図5】各アナログスイッチがオンとなるタイミングを示す図である。
【図6】極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域を示す図である。
【図7】別の信号線駆動回路におけるアナログスイッチ基本回路の内部構成を示す回路図である。
【図8】別の信号線駆動回路を使用したときの極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域を示す図である。
【図9】上記信号線駆動回路を使用して別のタイミングで各アナログスイッチをオンさせるときのタイミングを示す図である。
【図10】上記信号線駆動回路を使用して別のタイミングで各アナログスイッチをオンさせるときの極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域を示す図である。
【図11】極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域についての別の例を示す図である。
【図12】極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域についてのさらに別の例を示す図である。
【図13】極性および選択順序において同一の分布を示す20列×4列の単位領域についてのさらに別の例を示す図である。
【図14】極性および選択順序において同一の分布を示す20列×8列の単位領域についての別の例を示す図である。
【図15】図13の極性および選択順序を得る際に各アナログスイッチをオンさせるタイミングの例を示す図である。
【図16】図14の極性および選択順序を得る際に各アナログスイッチをオンさせるタイミングの例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
ASW01,ASW02,ASW1〜ASW10…アナログスイッチ
D1〜D616…映像信号
S1〜…信号線
T1…第1選択期間
T2…第2選択期間
T3…第3選択期間
T4…第4選択期間
T5…第5選択期間
Y1〜…走査線
1…アレイ基板
ASW1U〜ASW5U…アナログスイッチ制御信号
2…画素表示部
3a,3b…走査線駆動回路
4…信号線駆動回路
5…対向基板
11…薄膜トランジスタ
12…液晶容量
13…補助容量
14…画素電極
21…外部駆動回路
22…制御回路
23…駆動IC
23A…フレキシブル基板
25…アナログスイッチ基本回路
51…対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と複数の信号線の各交差部に画素電極が配置された画素表示部と、
映像信号を映像信号線を通じて供給する駆動ICと、
前記駆動ICからの映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させたときの各グループ毎に、5本の中から選択された信号線を映像信号線に切り替えて接続する信号線駆動回路と、
L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を前記信号線を介して書き込む際に、前記各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御する制御回路と
備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
複数の走査線と複数の信号線の各交差部に画素電極が配置された画素表示部と、
映像信号を映像信号線を通じて供給する駆動ICと、
前記駆動ICからの映像信号線1本毎に信号線を5本ずつ対応させたときの各グループ毎に、5本の中から選択された信号線を映像信号線に切り替えて接続する信号線駆動回路と、
L(Lは1以上の整数)行目の走査線における各画素電極に映像信号を前記信号線を介して書き込む際に、前記各グループのそれぞれについてL−1行目とL行目とで正負極性が反転する映像信号が供給される信号線を先に選択し、L−1行目とL行目とで正負極性が反転しない映像信号が供給される信号線を後に選択するように選択順序を制御し、任意の画素電極に隣接する左右の画素電極に印加される映像信号の正負極性を互いに異なるものとし、前記任意の画素電極に隣接する上下の画素電極に印加される映像信号の正負極性も互いに異なるように極性を制御し、L−1行目とL+1行目とで各信号線の選択順序を同じに制御する制御回路と
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記信号線駆動回路を制御する制御線が5本であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−109652(P2009−109652A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280612(P2007−280612)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】