説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置において、動画ボケを防ぐ。
【解決手段】画像処理回路は、倍速変換部181と、高階調変換部182と、低階調変換部183と、画像データ切替部184と、階調判定部185と、画像データ記憶部186とを有する。画像データ切替部184は、前半に低階調データを割当てて出力し、後半に高階調データを割当て、階調が低から高に変化させるものとする。なお、前半に高階調データを割当て、後半に低階調データを割当てて、階調を明から暗に変化させることもできる。階調判定部185は、現フレームの階調と、画像データ記憶部186に記憶されている画像データの階調との比較し、現フレームが高い場合、低階調変換部183に対して、前フレームの画像データに基く低階調データの変換を行わせる。画像データ切替部184は、1フレームの前半に前フレームに対応する低階調データを出力し、後半に現フレームの高階調データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に動画ボケを防止する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ等のホールド型表示装置の需要が増加している。この種の表示装置は、CRTのような瞬間的なインパルス型発光ではなく、画像データに基く階調を次の画像データの表示まで保持するものである。そのため、動画像(以下、動画)を表示するとき、網膜に残像を感じ、動画がぼやける、所謂、動画ボケが発生するという問題がある。
【0003】
上記問題に対して、1フレームの画像データから、2つの連続した高階調データ及び低階調データを生成し、フレームレートを2倍に変換し、倍速変換前の1フレーム前半の階調を暗く、後半の階調を明るく表示する、いわゆる明暗方式の液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。これらの液晶表示装置は、倍速変換後の画像データが1フレームごとに明暗を繰り返すため、動画ボケを防ぐことができる。
【0004】
図6は、これらの液晶表示装置において表示される画像データの階調の変化を示す。縦軸は、階調Lを示し、横軸は、時間Tを示す。図7は、入力されたフレームの画像データの階調に対して出力される高階調データ及び低階調データの関係を示す。横軸が入力されるフレームの画像データの階調Inを示し、縦軸が、出力される高階調データ及び低階調データの階調Outを示す。
【0005】
図6に示すように、倍速変換前の1フレーム(1frame)が規則通りに制御されると、「暗・明」の順に階調Lが変化しないように見える部分がある(図6のP1、図7のv1)。これは、倍速変換前の1フレームの画像データの階調がL1、L2間で暗明変化している状態から、階調がL3、L4間で暗明変化する状態へ変化するときに(図6の経過時間T101)、倍速変換前の1フレームの「明」にあたる高階調データの階調L2よりも、倍速変換前の1フレームの「暗」にあたる低階調データの階調L3の方が高いため、暗から明に変化しないように見えることに起因している。従って、これらの液晶表示装置では、動画ボケを確実に防ぐことができない。
【0006】
また、倍速変換前の1フレーム前半の階調を明るく、後半の階調を暗く表示する、いわゆる「明・暗」の順に制御される場合であっても、図8に示すように、階調Lが規則通りに変化しないように見える部分がある(図8のP2、T201)。従って、動画ボケを確実に防ぐことができない。
【特許文献1】特開2005−234552号公報
【特許文献2】特開2004−240317号公報
【特許文献3】特開2006−343707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、動画ボケを防ぐことができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、倍速変換前の1フレームの画像データから、その画像データの示す階調よりも高い階調と低い階調をそれぞれ示す2つの連続した高階調データ及び低階調データを生成し、高階調データと低階調データの平均階調により現フレームの階調を表すと共に、フレームレートを2倍に変換する、いわゆる明暗方式の倍速変換を行う制御手段を備える液晶表示装置において、倍速変換前の画像データのうち、現フレームの階調よりも1フレーム前のフレーム(以下、前フレームという)の画像データを記憶する画像データ記憶部をさらに備え、前記制御手段は、1フレームの前半に低階調データを、後半に高階調データをそれぞれ割当て、倍速変換前における現フレームの階調が前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データの階調より高いとき、前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する低階調データを現フレームの低階調データとするものである。
【0009】
請求項2の発明は、倍速変換前の1フレームの画像データから、その画像データの示す階調よりも高い階調と低い階調をそれぞれ示す2つの連続した高階調データ及び低階調データを生成し、高階調データと低階調データの平均階調により現フレームの階調を表すと共に、フレームレートを2倍に変換する、いわゆる明暗方式の倍速変換を行う制御手段を備える液晶表示装置において、倍速変換前の画像データのうち、現フレームの階調よりも1フレーム前のフレーム(以下、前フレームという)の画像データを記憶する画像データ記憶部をさらに備え、前記制御手段は、1フレームの前半に高階調データを、後半に低階調データをそれぞれ割当て、倍速変換前における現フレームの階調が前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データの階調より低いとき、前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する高階調データを現フレームの高階調データとするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、倍速変換前における現フレームの階調が前フレームの画像データの階調より高いとき、画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する低階調データを現フレームの低階調データとする。そのため、低階調データの階調が、高階調データの階調よりも高くなることを防ぐことができるので、階調の変化を、暗・明の順に規則通りに確実に変化させることができ、動画ボケを防止することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、倍速変換前における現フレームの階調が前フレームの画像データの階調より低いとき、画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する高階調データを現フレームの高階調データとする。そのため、高階調データの階調が、低階調データの階調よりも低くなることを防ぐことができるので、階調の変化を、明・暗の順に規則通りに確実に変化させることができ、動画ボケを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る液晶表示装置の一例として、液晶ディスプレイパネルを用いたテレビジョン(TV)受像機1の概略構成を図1に示す。
【0013】
TV受像機1は、液晶ディスプレイパネル11と、液晶ディスプレイパネル11を駆動する駆動部12と、音声を出力可能なスピーカ13と、TV受像機1の各部の動作を制御する制御部14と、外部のアンテナに接続され、このアンテナにより受信されるTV放送の所望の番組を選局するチューナ15と、TV受像機1の筐体外部に露出するように設けられた端子部16と、装置本体とは別体となるリモコン装置9から送信された操作信号を受信する受信部17等で構成されている。TV受像機1は、制御部14による制御に基づき、例えばチューナ15により選局されたTV放送番組や、端子部16に接続された外部の入力機器から入力される画像・音声等を、液晶ディスプレイパネル11やスピーカ13を介して視聴可能にすることができるように構成されている。端子部16は、例えばDVDレコーダ2等の外部機器に、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブル等を介して接続される。
【0014】
制御部14は、CPU、ROM、RAM、その他の電子部品で構成された画像処理回路18や、音声処理回路19等を備え、チューナ15により選局された番組の映像信号や、例えば端子部16に接続されたDVDレコーダ2から入力された映像信号等に基づいて、駆動部12を制御し、液晶ディスプレイパネル11に画像を表示させる。
【0015】
次に、画像処理回路18の構成について、図2のブロック図を参照して説明する。
画像処理回路18は、画像データのフレームレートを倍速変換する倍速変換部181と、倍速変換前の画像データの示す階調よりも高い階調を示す画像データ(以下、高階調データという)に変換する高階調変換部182と、倍速変換前の画像データの示す階調よりも低い階調を示す画像データ(以下、低階調データという)に変換する低階調変換部183と、出力する画像データを切替える画像データ切替部184と、画像データの階調を比較して高・低を判定する階調判定部185と、倍速変換前の画像データを記憶する画像データ記憶部186とを有する。
【0016】
高階調変換部182、及び低階調変換部183は、液晶ディスプレイパネル11のガンマ特性やルックアップテーブル(LUT)を参照することにより、倍速変換前の画像データの階調を最適な階調に変換する。また、高階調変換部182、及び低階調変換部183は、高階調データと低階調データの平均階調が、倍速変換前の1フレームの画像データの示す階調に一致するように階調の変換を行う。
【0017】
画像データ切替部184は、倍速変換前の1フレームの前半期間に低階調データを割当てて出力し、後半期間に高階調データを割当てて出力するように動作し、画像データの階調が低から高に変化させるものとする。前半期間と後半期間とは期間の長さが等しく、画像データは連続して出力される。なお、画像データ切替部184は、倍速変換前の1フレームの前半期間に高階調データを割当てて出力し、後半期間に低階調データを割当てて出力するように動作し、画像データの階調を明から暗に変化させることもできる。
【0018】
画像データ記憶部186は、倍速変換前の画像データのうち、現フレームよりも1フレーム前のフレーム(以下、前フレームという)の画像データが記憶されている。
【0019】
階調判定部185は、現フレームの画像データの階調が、前フレームの画像データの階調よりも高いか否かの判定を行うものである。具体的には、現フレームの階調と、画像データ記憶部186に記憶されている画像データの階調との比較を行うことにより判定する。
【0020】
判定の結果、現フレームの階調が高い場合、階調判定部185は、低階調変換部183に対して、画像データ記憶部186に記憶されている前フレームの画像データに基く低階調データの変換を行わせる。そのため、このとき、画像データ切替部184は、倍速変換前の1フレームの前半期間に前フレームに対応する低階調データを出力し、後半期間に現フレームの高階調データを出力する。なお、階調判定部185は、高階調変換部182に対して、画像データ記憶部186に記憶されている前フレームの画像データに基く高階調データの変換を行わせることもできる。
【0021】
次に、画像処理回路18によって出力された画像データの階調変化について、図3のグラフを参照して説明する。図3の縦軸は、階調Lを示し、横軸は、時間Tを示す。一点鎖線D1、D2、D3は、それぞれ倍速変換前の1フレーム(1frame)の階調を示す。ここでは、上述したように、倍速変換前の1フレームの前半期間に低階調データが出力され、後半期間に高階調データが出力される。
【0022】
図3に示すように、時間T1まで、1フレームの低階調データの階調がL1であり、高階調データの階調がL2である画像データが出力されている。そして、時間T1において、前フレームF1の画像データの階調D1より、現フレームF2の画像データの階調D2が高くなる。このとき、現フレームF2の前半期間には、前フレームF1に基く低階調データの階調L1が出力され、現フレームF2の後半期間には、現フレームF2に基く高階調データの階調L4が出力される。
【0023】
次に、階調の変換規則について、図4のグラフを参照して説明する。図4は、横軸が入力される画像データの階調Inを示し、縦軸が、変換される階調Outを示す。具体的には、倍速変換前の画像データの階調がI1のとき、高階調変換部182は、高階調データの階調をL2に変換し、低階調変換部183は、低階調データの階調をL1に変換する。また、倍速変換前の画像データの階調がI2のとき、高階調変換部182は、高階調データの階調をL4に変換し、低階調変換部183は、低階調データの階調をL3に変換する。
【0024】
上記図3のフレームF2において、前半が階調L1、後半が階調L4であるため、階調が低から高に変化している。従って、必ず、階調が低から高に変化する。
【0025】
上述したように、本実施形態に係るTV受像機1においては、倍速変換前における現フレームの階調が前フレームの画像データの階調より高いとき、画像データ記憶部186に記憶された前フレームの画像データに対応する低階調データを、現フレームの低階調データとして出力することができる。そのため、低階調データの階調が、高階調データの階調よりも高くなることを防ぐことができるので、階調の変化を、暗・明の順に規則通りに確実に変化させることができ、動画ボケを防止することができる。
【0026】
次に、フレームの階調を明・暗の順に変化させる場合について説明する。ここでは、画像データ切替部184が、倍速変換前の1フレームの前半期間に高階調データを割当てて出力し、後半期間に低階調データを割当てて出力するように動作し、画像データの階調が低から高に変化させるものとする。
【0027】
階調判定部185は、現フレームの階調と、画像データ記憶部186に記憶されている画像データの階調との比較を行い、現フレームの階調の方が低い場合、高階調変換部182に対して、画像データ記憶部186に記憶されている前フレームの画像データに基く高階調データの変換を行わせる。そのため、このとき、画像データ切替部184は、倍速変換前の1フレームの前半期間に前フレームに対応する高階調データを出力し、後半期間に現フレームの低階調データを出力する。
【0028】
次に、画像処理回路18によって出力された画像データの階調変化について、図5のグラフを参照して説明する。図5の縦軸は、階調Lを示し、横軸は、時間Tを示す。一点鎖線D11、D12、D13は、それぞれ倍速変換前の1フレーム(1frame)の階調を示す。ここでは、上述したように、倍速変換前の1フレームの前半期間に高階調データが出力され、後半期間に低階調データが出力される。
【0029】
図5に示すように、時間T11まで、1フレームの高階調データの階調がL4であり、低階調データの階調がL3であるフレームF11の画像データが出力されている。そして、時間T11において、前フレームF11の画像データの階調D11より現フレームF12の画像データの階調D12が低くなる。このとき、現フレームF12の前半期間には、前フレームF11に基く高階調データの階調L4が出力され、現フレームF12の後半期間には、現フレームF12に基く低階調データの階調L1が出力される。従って、必ず、階調が高から低に変化する。
【0030】
上述したように、本実施形態に係るTV受像機1においては、倍速変換前における現フレームの階調が前フレームの画像データの階調より低いとき、画像データ記憶部186に記憶された前フレームの画像データに対応する高階調データを現フレームの高階調データとすることができる。そのため、高階調データの階調が、低階調データの階調よりも低くなることを防ぐことができるので、階調の変化を、明・暗の順に規則通りに確実に変化させることができ、動画ボケを防止することができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の一例として、液晶ディスプレイパネルを用いたTV受像機の概略構成を示すブロック図。
【図2】上記TV受像機の画像処理部のブロック構成図。
【図3】上記TV受像機における階調の変化を示すグラフ。
【図4】上記TV受像機における階調の変換規則を示すグラフ。
【図5】上記TV受像機における階調の変化を示すグラフ。
【図6】従来の液晶ディスプレイパネルを用いたTV受像機の階調の変化を示すグラフ。
【図7】上記TV受像機における階調の変換規則を示すグラフ。
【図8】上記TV受像機の階調の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0033】
1 テレビジョン(TV)受像機
11 液晶ディスプレイパネル
18 画像処理回路
181 倍速変換部
185 階調判定部
186 画像データ記憶部
D1−D3 (倍速変換前の)画像データ
F1、F11 前フレーム
F2、F12 現フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倍速変換前の1フレームの画像データから、その画像データの示す階調よりも高い階調と低い階調をそれぞれ示す2つの連続した高階調データ及び低階調データを生成し、高階調データと低階調データの平均階調により現フレームの階調を表すと共に、フレームレートを2倍に変換する、いわゆる明暗方式の倍速変換を行う制御手段を備える液晶表示装置において、
倍速変換前の画像データのうち、現フレームの階調よりも1フレーム前のフレーム(以下、前フレーム)の画像データを記憶する画像データ記憶部をさらに備え、
前記制御手段は、
1フレームの前半に低階調データを、後半に高階調データをそれぞれ割当て、
倍速変換前における現フレームの階調が前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データの階調より高いとき、前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する低階調データを現フレームの低階調データとすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
倍速変換前の1フレームの画像データから、その画像データの示す階調よりも高い階調と低い階調をそれぞれ示す2つの連続した高階調データ及び低階調データを生成し、高階調データと低階調データの平均階調により現フレームの階調を表すと共に、フレームレートを2倍に変換する、いわゆる明暗方式の倍速変換を行う制御手段を備える液晶表示装置において、
倍速変換前の画像データのうち、現フレームの階調よりも1フレーム前のフレーム(以下、前フレームという)の画像データを記憶する画像データ記憶部をさらに備え、
前記制御手段は、
1フレームの前半に高階調データを、後半に低階調データをそれぞれ割当て、
倍速変換前における現フレームの階調が前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データの階調より低いとき、前記画像データ記憶部に記憶された前フレームの画像データに対応する高階調データを現フレームの高階調データとすることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−162938(P2009−162938A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341101(P2007−341101)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(503193351)株式会社イクス (28)
【Fターム(参考)】