液晶装置及び電子機器
【課題】従来の液晶装置では、表示品位を向上させることが困難である。
【解決手段】液晶装置は、液晶を駆動するための第1電極及び第2電極と、1フレーム期間を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、階調に応じて液晶を駆動するパネル制御回路105と、を有している。駆動電圧は、第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、第2期間に割り当てられる第2駆動電圧とを含んでいる。第1駆動電圧は、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧は、第1電位が第2電位よりも低い。1フレーム期間において、第1電位の平均値である第1平均値と第2電位の平均値である第2平均値との間に、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定された補正値が階調ごとに設けられている。
【解決手段】液晶装置は、液晶を駆動するための第1電極及び第2電極と、1フレーム期間を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、階調に応じて液晶を駆動するパネル制御回路105と、を有している。駆動電圧は、第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、第2期間に割り当てられる第2駆動電圧とを含んでいる。第1駆動電圧は、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧は、第1電位が第2電位よりも低い。1フレーム期間において、第1電位の平均値である第1平均値と第2電位の平均値である第2平均値との間に、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定された補正値が階調ごとに設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置などの液晶装置の駆動方法の1つとして、反転駆動が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−55662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、反転駆動では、1つの画像が表示される期間(1フレーム期間)が、正極駆動電圧で駆動する期間(以下、正極期間と呼ぶ)と、負極駆動電圧で駆動する期間(以下、負極期間と呼ぶ)とに区分され得る。
上記特許文献1に記載された反転駆動では、トランジスター素子(薄膜トランジスター)のフィールドスルーやオフリーク電流などの特性に起因する電荷の蓄積を軽減することができる。これにより、フリッカーの発生を軽減することができる。特許文献1によれば、信号線に供給するデータにおいて、正極期間における電位と負極期間における電位との平均値を階調ごとに補正することによって、トランジスター素子の特性に起因する電荷の蓄積が軽減され得る。しかしながら、特許文献1には、どのようにしてその補正値を決定するのかということが開示されていない。
【0005】
補正値を決定する方法としては、トランジスター素子のフィールドスルーやオフリーク電流を実験的に把握する方法が考えられる。把握された特性に基づいて、補正値が決定され得る。これにより、トランジスター素子の特性に起因する電荷の蓄積を軽減することができる。
しかしながら、電荷の蓄積が発生する要因は、トランジスター素子の特性に限られない。例えば、液晶を駆動するための電界を形成する画素電極と共通電極との間に介在する構成要素の非対称性も、電荷の蓄積の発生要因の1つと考えられる。そして、この電荷の蓄積は、液晶の焼き付きの要因の1つとなる。
【0006】
正極期間と負極期間とでは、画素電極及び共通電極の間に形成される電界の向きが互いに逆向きになる。
画素電極と共通電極との間に電気力線を想定したときに、電気力線は、画素電極から液晶を経由して共通電極に至る。この電気力線の経路において、例えば、画素電極と液晶との間に有機膜が介在し、液晶と共通電極との間に有機膜及び無機膜が介在している構成では、正極期間と負極期間とで電気力線が経由する構成要素が非対称となる。つまり、電気力線が画素電極を起点として共通電極に至る向きでは、電気力線は、有機膜、液晶、有機膜及び無機膜をこの順に経由する。他方で、電気力線が共通電極を起点として画素電極に至る向きでは、電気力線は、無機膜、有機膜、液晶及び有機膜をこの順に経由する。
【0007】
電気力線が経由する構成要素の順序に非対称性が生じると、これらの構成要素間に電荷が蓄積しやすくなることがあると考えられる。このため、蓄積した電荷に起因して焼き付きが発生することがあると考えられる。
つまり、従来の液晶装置では、表示品位を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0009】
[適用例1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在する液晶と、前記第1基板及び前記液晶の間に介在する第1電極と、前記液晶を駆動するための電界を前記第1電極との間に発生させる第2電極と、1フレーム期間の少なくとも一部を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、前記2つの期間のそれぞれにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、前記液晶の駆動を前記階調に応じて制御する駆動回路と、を有し、前記駆動電圧は、前記第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、前記第2期間に割り当てられる第2駆動電圧と、を含み、前記第1駆動電圧は、前記第1電極の電位である第1電位が、前記第2電極の電位である第2電位よりも高く、前記第2駆動電圧は、前記第1電位が前記第2電位よりも低く設定されており、前記第1電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第1平均値と、前記第2電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第2平均値と、が所定の値の分だけ異なっており、該所定の値は前記階調によって異なる値に設定されている、ことを特徴とする液晶装置。
【0010】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、液晶と、第1電極と、第2電極と、駆動回路と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。液晶は、第1基板及び第2基板の間に介在している。第1電極は、第1基板及び液晶の間に介在している。第2電極は、第1電極との間に、液晶を駆動するための電界を発生させる。
駆動回路は、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、液晶の駆動を階調に応じて制御する。この液晶装置では、1フレーム期間の少なくとも一部が、第1期間及び第2期間の2つの期間に分割される。そして、駆動回路は、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、液晶の駆動を制御する。
【0011】
駆動電圧は、第1駆動電圧と、第2駆動電圧と、を含んでいる。第1駆動電圧は、第1期間に割り当てられる。第2駆動電圧は、第2期間に割り当てられる。第1駆動電圧では、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧では、第1電位が第2電位よりも低い。
この液晶装置では、第1期間における第1電位と、第2期間における第1電位との平均値は、第1平均値と呼ばれる。また、第1期間における第2電位と、第2期間における第2電位との平均値は、第2平均値と呼ばれる。
【0012】
この液晶装置では、第1平均値と第2平均値とが所定の値の分だけ異なっている。この所定の値は、階調によって異なる値に設定されている。この所定の値は、例えば、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定され得る。この場合、さらに、所定の値としては、例えば、フリッカーの時間的な変化を軽減する値が採用され得る。
フリッカーの時間的な変化が軽減するということは、電荷の蓄積を抑えやすくすることができるということを意味する。電荷の蓄積を抑えやすくすることができれば、焼き付きの発生を抑えやすくすることができる。
このため、この液晶装置では、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。この結果、表示品位を向上させやすくすることができる。
【0013】
[適用例2]上記の液晶装置であって、前記所定の値は、前記第2平均値から前記第1平均値を減じたときの値を差として、前記フリッカーの程度が最小となる前記差の初期値に、前記フリッカーの程度が最小となる前記差の時間的な変化を緩和する値である緩和値を、加算した値に設定されている、ことを特徴とする液晶装置。
【0014】
この適用例では、第2平均値から第1平均値を減じたときの値を差としたときに、フリッカーの程度が最小となる差の時間的な変化が、緩和値によって緩和される。これにより、電荷の蓄積を緩和しやすくすることができる。このため、焼き付きの発生を緩和しやすくすることができる。
【0015】
[適用例3]上記の液晶装置であって、前記緩和値の絶対値は、前記階調が高くなるほど大きくなっている、ことを特徴とする液晶装置。
【0016】
この適用例では、緩和値の絶対値は、階調が高くなるほど大きくなる。これにより、電荷の蓄積量が階調の高さに応じて多くなる場合において、電荷の軽減量を階調の高さに応じて多くすることができる。この結果、複数の階調にわたって焼き付きの発生を緩和しやすくすることができる。
【0017】
[適用例4]上記の液晶装置であって、複数の画素と、前記画素ごとに設けられた前記第1電極と、前記複数の画素に共通して機能する前記第2電極と、を有し、前記第2平均値を前記第1平均値に対してずらすことによって、前記所定の値が設けられている、ことを特徴とする液晶装置。
【0018】
この適用例の液晶装置は、複数の画素を有している。第1電極は、画素ごとに設けられている。第2電極は、複数の画素に共通して機能する。そして、所定の値は、第2平均値を第1平均値に対してずらすことによって、設けられている。これにより、第1平均値と第2平均値とを所定の値の分だけ異ならせることができる。
【0019】
[適用例5]上記の液晶装置であって、前記第1基板と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、前記第1電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、ことを特徴とする液晶装置。
【0020】
この適用例の液晶装置は、無機膜と、有機膜と、を有している。第2電極は、第1基板と第1電極との間に介在している。無機膜は、第2電極と第1電極との間に介在している。有機膜は、第1電極と液晶との間に介在している。この構成により、液晶を駆動するための電界に、第1基板の面に沿った電界成分を発生させることができる。これにより、液晶分子を第1基板の面に沿って駆動することができる。
【0021】
[適用例6]上記の液晶装置であって、前記液晶と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、前記第2電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、ことを特徴とする液晶装置。
【0022】
この適用例の液晶装置は、無機膜と、有機膜と、を有している。第2電極は、液晶と第1電極との間に介在している。無機膜は、第2電極と第1電極との間に介在している。有機膜は、第2電極と液晶との間に介在している。この構成により、液晶を駆動するための電界に、第1基板の面に沿った電界成分を発生させることができる。これにより、液晶分子を第1基板の面に沿って駆動することができる。
【0023】
[適用例7]上記の液晶装置を表示部として有することを特徴とする電子機器。
【0024】
この適用例の電子機器は、表示部としての液晶装置が、第1基板と、第2基板と、液晶と、第1電極と、第2電極と、駆動回路と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。液晶は、第1基板及び第2基板の間に介在している。第1電極は、第1基板及び液晶の間に介在している。第2電極は、第1電極との間に、液晶を駆動するための電界を発生させる。
駆動回路は、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、液晶の駆動を階調に応じて制御する。この液晶装置では、1フレーム期間の少なくとも一部が、第1期間及び第2期間の2つの期間に分割される。そして、駆動回路は、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、液晶の駆動を制御する。
【0025】
駆動電圧は、第1駆動電圧と、第2駆動電圧と、を含んでいる。第1駆動電圧は、第1期間に割り当てられる。第2駆動電圧は、第2期間に割り当てられる。第1駆動電圧では、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧では、第1電位が第2電位よりも低い。
この液晶装置では、第1期間における第1電位と、第2期間における第1電位との平均値は、第1平均値と呼ばれる。また、第1期間における第2電位と、第2期間における第2電位との平均値は、第2平均値と呼ばれる。
【0026】
この液晶装置では、第1平均値と第2平均値とが所定の値の分だけ異なっている。この所定の値は、階調によって異なる値に設定されている。この所定の値は、例えば、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定され得る。この場合、さらに、所定の値としては、例えば、フリッカーの時間的な変化を軽減する値が採用され得る。
フリッカーの時間的な変化が軽減するということは、電荷の蓄積を抑えやすくすることができるということを意味する。電荷の蓄積を抑えやすくすることができれば、焼き付きの発生を抑えやすくすることができる。
このため、この液晶装置では、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。
この適用例の電子機器は、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる液晶装置を表示部として有している。従って、この電子機器では、表示部における表示品位を向上させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における表示装置の主要構成を示す分解斜視図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】本実施形態における複数の画素の一部を示す平面図。
【図4】図3中のC−C線における断面図。
【図5】本実施形態における走査線及び信号線並びにTFT素子を示す平面図。
【図6】本実施形態における共通電極を示す平面図。
【図7】本実施形態における画素電極を示す平面図。
【図8】本実施形態における液晶パネルの等価回路図。
【図9】本実施形態における表示装置の主要構成を示すブロック図。
【図10】本実施形態における表示パネルの偏光状態を説明する図。
【図11】本実施形態における表示パネルの駆動電圧と透過率とを示す図。
【図12】本実施形態における共通電位の変化の一例を示す図。
【図13】本実施形態におけるデータ電位の変化の一例を示す図。
【図14】本実施形態における表示パネルの駆動電圧と緩和値との一例を示す図。
【図15】本実施形態における表示パネルのフリッカーの時間的変化を説明する図。
【図16】本実施形態における表示パネルに緩和値を適用したときのフリッカーの時間的変化を説明する図。
【図17】本実施形態におけるパネル制御回路の主要構成を示すブロック図。
【図18】本実施形態における表示装置が適用された電子機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態について、液晶装置を利用した表示装置を例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態における表示装置1は、図1に示すように、表示パネル3と、照明装置5と、制御部6と、を有している。
【0029】
表示パネル3には、複数の画素7が設定されている。複数の画素7は、表示領域8内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。
ここで、本実施形態では、画素7は、図3に示すように、長辺と短辺とを有する四辺形を呈している。X方向は、画素7の短辺が延在する方向である。また、Y方向は、X方向とは直交(交差)する方向である。本実施形態では、Y方向は、画素7の長辺が延在する方向でもある。
【0030】
図1に示す表示装置1は、照明装置5から表示パネル3に入射された光を、表示パネル3に設定されている複数の画素7から選択的に表示面9を介して表示パネル3の外に射出することで、表示面9に画像を表示することができる。なお、表示領域8とは、画像が表示され得る領域である。図1では、構成をわかりやすく示すため、画素7が誇張され、且つ画素7の個数が減じられている。
【0031】
表示パネル3は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、液晶パネル11と、偏光板13a及び13bとを有している。
液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板17と、液晶19と、シール材21と、を有している。
素子基板15には、表示面9側すなわち液晶19側に、複数の画素7のそれぞれに対応して、後述するスイッチング素子などが設けられている。
【0032】
対向基板17は、素子基板15よりも表示面9側で素子基板15に対向し、且つ素子基板15との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板17には、表示パネル3における表示面9の裏面に相当する面である底面23側すなわち液晶19側に、後述する位相差膜などが設けられている。
【0033】
液晶19は、素子基板15及び対向基板17の間に介在しており、表示パネル3の周縁よりも内側で表示領域8を囲むシール材21によって、素子基板15及び対向基板17の間に封止されている。なお、本実施形態では、液晶19の駆動方式として、FFS(Fringe Field Switching)型の駆動方式が採用されている。
【0034】
偏光板13aは、素子基板15よりも底面23側、すなわち液晶19側とは反対側に設けられている。偏光板13bは、対向基板17よりも表示面9側、すなわち液晶19側とは反対側に設けられている。表示装置1では、偏光板13a及び13bは、偏光板13aにおける光の透過軸の方向と、偏光板13bにおける光の透過軸の方向とが、互いに直交する方向に設定されている。偏光板13a及び13bは、それぞれ、透過軸の方向に偏光軸を有する光を透過させることができる。
【0035】
なお、偏光板13aと素子基板15との間や、偏光板13bと対向基板17との間に、光学補償フィルムを設けた構成も採用され得る。光学補償フィルムを設けることで、液晶19を表示面9の法線方向から見たときや、法線方向から傾斜した方向から見たときなどの液晶19の位相差を補償することができる。これにより、光漏れを低減することができ、コントラストの向上が図られる。
【0036】
照明装置5は、表示パネル3の底面23側に設けられており、導光板31と、光源33とを有している。導光板31は、図2で見て表示パネル3の下側に設けられており、表示パネル3の底面23に対向する光射出面35bを有している。
光源33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や冷陰極管などが採用され、図2で見て導光板31の側面35aの左方に設けられている。
【0037】
光源33からの光は、導光板31の側面35aに入射される。導光板31に入射された光は、導光板31の中で反射を繰り返しながら光射出面35bから射出される。光射出面35bから射出された光は、表示パネル3の底面23から、偏光板13aを介して表示パネル3に入射される。なお、導光板31には、必要に応じて、光射出面35bに拡散板が設けられ、底面35cに反射板が設けられる。
【0038】
表示パネル3に設定されている複数の画素7は、それぞれ、表示面9から射出する光の色が、図3に示すように、赤系(R)、緑系(G)及び青系(B)のうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素7は、Rの光を射出する画素7Rと、Gの光を射出する画素7Gと、Bの光を射出する画素7Bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素7という表記と、画素7R、7G及び7Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0039】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光は、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光は、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光は、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0040】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素7が、1つの画素列41を構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素7が、1つの画素行42を構成している。1つの画素列41内の各画素7は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素7RがY方向に配列した画素列41Rと、複数の画素7GがY方向に配列した画素列41Gと、複数の画素7BがY方向に配列した画素列41Bとを有している。そして、マトリクスMでは、画素列41R、画素列41G及び画素列41Bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列41という表記と、画素列41R、画素列41G及び画素列41Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0041】
ここで、液晶パネル11の素子基板15及び対向基板17のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
素子基板15は、図3中のC−C線における断面図である図4に示すように、第1基板51と、素子層52とを有している。
第1基板51は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた第1面51aと、底面23側に向けられた第2面51bとを有している。
【0042】
素子層52は、第1基板51の第1面51aに設けられている。素子層52には、ゲート絶縁膜53と、絶縁膜55と、絶縁膜59と、配向膜63と、が含まれている。また、素子層52には、画素7ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子65と、共通電極69と、画素電極71と、が含まれている。
【0043】
ゲート絶縁膜53は、第1基板51の第1面51aに設けられている。ゲート絶縁膜53の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、ゲート絶縁膜53の材料として、酸化シリコンが採用されている。
絶縁膜55は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられている。絶縁膜55の表示面9側には、画素7ごとに共通電極69が設けられている。絶縁膜55の材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜55の材料として、アクリル系の樹脂が採用されている。
【0044】
絶縁膜59は、絶縁膜55の表示面9側に設けられている。絶縁膜59は、共通電極69を表示面9側から覆っている。絶縁膜59の材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などの光透過性を有する材料が採用され得る。また、絶縁膜59の材料としては、例えば、窒化シリコンや酸化シリコンなどの無機材料も採用され得る。本実施形態では、絶縁膜59の材料として、窒化シリコンが採用されている。
絶縁膜59の表示面9側には、画素電極71が設けられている。配向膜63は、絶縁膜59の表示面9側に設けられている。画素電極71は、配向膜63によって表示面9側から覆われている。配向膜63の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜63の材料として、ポリイミドが採用されている。なお、配向膜63には、配向処理が施されている。
【0045】
TFT素子65と、共通電極69と、画素電極71とは、それぞれ、各画素7に対応して設けられている。
TFT素子65は、ゲート電極72と、半導体層73と、ソース電極74と、ドレイン電極75とを有している。ゲート電極72は、第1基板51の第1面51aに設けられており、ゲート絶縁膜53によって表示面9側から覆われている。ゲート電極72の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。
半導体層73は、例えばアモルファスシリコンで構成されており、ゲート絶縁膜53を挟んでゲート電極72に対向する位置に設けられている。
【0046】
ソース電極74は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。ドレイン電極75は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。ソース電極74やドレイン電極75の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロム、アルミニウムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。本実施形態では、ソース電極74やドレイン電極75の材料として、アルミニウム合金が採用されている。
上記の構成を有するTFT素子65は、半導体層73がゲート電極72と、ソース電極74及びドレイン電極75との間に位置する所謂ボトムゲート型である。
上記の構成を有するTFT素子65は、絶縁膜55によって表示面9側から覆われている。
【0047】
共通電極69は、絶縁膜55の表示面9側に設けられている。共通電極69は、平面視で各画素7の領域に重なっている。共通電極69の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、共通電極69の材料として、ITOが採用されている。
【0048】
画素電極71は、絶縁膜59の表示面9側に設けられており、表示面9側から配向膜63によって覆われている。画素電極71は、平面視で各画素7の領域に重なっている。画素電極71の材料としては、例えばITOやインジウム亜鉛酸化物などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、画素電極71の材料として、ITOが採用されている。
ここで、画素電極71は、絶縁膜55及び絶縁膜59に設けられたコンタクトホール78を介してドレイン電極75につながっている。
【0049】
対向基板17は、第2基板81と、対向層82とを有している。第2基板81は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた外向面83aと、底面23側に向けられた対向面83bとを有している。
対向層82は、第2基板81の対向面83bに設けられている。対向層82には、光吸収層85と、カラーフィルター87と、オーバーコート層91と、配向膜93と、が含まれている。
【0050】
光吸収層85は、第2基板81の対向面83bに設けられており、領域86にわたっている。光吸収層85は、平面視で格子状に設けられており、各画素7を区画している。表示装置1では、各画素7は、光吸収層85によって囲まれた領域であると定義され得る。光吸収層85の材料としては、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などが採用され得る。
【0051】
カラーフィルター87は、各画素7に対応して設けられている。カラーフィルター87は、第2基板81の対向面83b側に設けられており、光吸収層85によって囲まれた各領域、すなわち各画素7の領域を底面23側から覆っている。
ここで、カラーフィルター87は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルター87は、画素7R、画素7G及び画素7Bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素7Rに対応するカラーフィルター87は、Rの光を透過させることができる。画素7Gに対応するカラーフィルター87はGの光を透過させ、画素7Bに対応するカラーフィルター87はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルター87に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルター87R、87G及び87Bという表記が用いられる。
【0052】
オーバーコート層91は、光吸収層85及びカラーフィルター87の底面23側に設けられている。オーバーコート層91は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、光吸収層85及びカラーフィルター87を底面23側から覆っている。
配向膜93は、オーバーコート層91の底面23側に設けられている。配向膜93は、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料で構成されており、オーバーコート層91を底面23側から覆っている。配向膜93には、底面23側に配向処理が施されている。
【0053】
素子基板15及び対向基板17の間に介在する液晶19は、配向膜63と配向膜93との間に介在している。液晶パネル11では、各画素7において、液晶19がL1なる厚みに設定されている。
液晶19は、入射した光を変調することができる。本実施形態では、液晶19は、入射した光に位相差を付与することができる。これは、液晶19のリタデーション(複屈折率と厚みL1との積)の設定により実現され得る。
本実施形態では、入射した光に1/2波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0054】
ここで、X方向に隣り合う画素7間において、ゲート電極72同士は、平面図である図5に示すように、走査線Tによって接続されている。また、Y方向に隣り合う画素7間において、ソース電極74同士は、信号線Sによって接続されている。
走査線Tは、画素行42(図3)ごとに設けられており、X方向に沿って延びている。信号線Sは、画素列41(図3)ごとに設けられており、Y方向に沿って延びている。
【0055】
走査線Tと信号線Sとは、図5に示すように、互いに交差している。各画素7は、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して設定されている。
表示領域8(図1)内では、各走査線T及び各信号線Sは、図5に示すように、それぞれ、領域86内に設けられている。
【0056】
各画素7には、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して、TFT素子65が対応付けられている。
各TFT素子65は、領域86内に位置している。また、各TFT素子65に対応するコンタクトホール78も、領域86内に位置している。別の観点から、各画素7に対応する各TFT素子65及び各コンタクトホール78は、画素7の領域外に位置している。
【0057】
各共通電極69は、平面図である図6に示すように、各画素7の領域から領域86内に及んでいる。
本実施形態では、各共通電極69は、Y方向に隣り合う2つの走査線Tと、X方向に隣り合う2つの信号線Sとによって囲まれた領域内に設けられている。各共通電極69は、周縁部が領域86内に及んでいる。別の観点から、各共通電極69は、各画素7の領域内にわたって設けられている。
なお、X方向に隣り合う画素7間において、共通電極69同士は、共通線95によって接続されている。図6では、構成をわかりやすく示すため、共通電極69及び共通線95にハッチングが施されている。
【0058】
各画素電極71は、平面図である図7に示すように、各画素7の領域から領域86内に及んでおり、複数のスリット部97を有している。図7では、構成をわかりやすく示すため、画素電極71にハッチングが施されている。
複数のスリット部97は、Y方向に所定間隔で並んでいる。各スリット部97は、Y方向とは交差する方向に沿って延びている。なお、各スリット部97が延びる方向は、X方向から傾斜している。
【0059】
本実施形態では、各画素電極71は、Y方向に隣り合う2つの走査線Tと、X方向に隣り合う2つの信号線Sとによって囲まれた領域内に設けられている。各画素電極71は、周縁部が領域86内に及んでいる。別の観点から、各画素電極71は、各画素7の領域内にわたって設けられている。
なお、図4における素子基板15の断面は、図7中のD−D線における断面に相当している。
【0060】
ここで、液晶パネル11には、図8に示すように、走査線駆動回路101と、信号線駆動回路103と、が設けられている。
n本(nは、1以上の整数)の走査線Tは、走査線駆動回路101につながっている。また、m本(mは、1以上の整数)の信号線Sは、信号線駆動回路103につながっている。
なお、以下においてn本の走査線Tが個々に識別される場合に、走査線T(i)という表記が用いられる。iは、1以上且つn以下の整数である。また、m本の信号線Sが個々に識別される場合に、信号線S(j)という表記が用いられる。jは、1以上且つm以下の整数である。
【0061】
走査線駆動回路101には、走査信号PLSが入力される。走査線駆動回路101は、入力された走査信号PLSに基づいて、走査線T(i)ごとに、選択信号p(i)を出力する。
信号線駆動回路103には、画素行42単位の画像データDATAが入力される。信号線駆動回路103は、入力された画像データDATAを、信号線S(j)ごとにデータ信号d(j)として出力する。
共通線95には、共通信号Vcが入力される。
【0062】
制御部6は、図9に示すように、パネル制御回路105と、光源制御部107と、を有している。
パネル制御回路105は、走査線駆動回路101に走査信号PLSを出力し、信号線駆動回路103に画像データDATAを出力し、共通線95に共通信号Vcを出力する。
光源制御部107は、光源33への電力の供給と、電力の遮断とを制御する。
【0063】
液晶パネル11では、共通電極69と画素電極71との間に電圧を印加すると、共通電極69と画素電極71との間に電界が発生する。この電界によって液晶19の配向状態を変化させることができる。
液晶パネル11では、共通電極69の電位である共通電位Vcomと、画素電極71の電位であるデータ電位Vdataとの差によって、共通電極69と画素電極71との間の電界の発生や向きが制御される。
表示装置1では、照明装置5から表示パネル3に光を照射した状態で、液晶19の配向状態を画素7ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶19の配向状態は、共通電位Vcomとデータ電位Vdataとの差(以下、駆動電圧と呼ぶ)によって変化し得る。
【0064】
配向膜63及び配向膜93のそれぞれには、配向処理が施されている。配向処理が施された配向膜63及び配向膜93によって、液晶19の初期的な配向状態が規制される。
表示装置1では、駆動電圧が0Vのときに、液晶19がオフ状態にある。このとき、液晶19の配向方向121は、液晶19がオフ状態のときの偏光状態を示す図である図10(a)に示すように、偏光板13aの透過軸123aに沿った方向に設定されている。
表示装置1では、底面23側から偏光板13aを経て入射された入射光は、偏光板13aの透過軸123aに沿った偏光軸を有する直線偏光125として液晶19に入射される。
【0065】
液晶19に入射された直線偏光125は、偏光軸が液晶19の配向方向121に沿っている。このため、液晶19に入射された直線偏光125は、偏光状態が維持されたまま直線偏光125として偏光板13bに入射される。
偏光板13bに入射された直線偏光125は、偏光軸が偏光板13bの透過軸123bに対して直交しているため、偏光板13bによって吸収される。
このように、表示装置1では、液晶19がオフ状態にあるときには、照明装置5からの光が表示パネル3によって遮断される。照明装置5からの光が表示パネル3によって遮断される状態は、黒表示と呼ばれる。本実施形態では、液晶19がオフ状態にあるときに黒表示が行われる所謂ノーマリーブラックの表示モードが採用されている。
【0066】
他方で、共通電位Vcomとデータ電位Vdataとの間に電位差が生じると、液晶19がオフ状態からオン状態に変化する。このとき、液晶19の配向方向121は、図10(b)に示すように、平面視で反時計方向に回転する。
表示装置1では、図10(b)に示すように、液晶19の配向方向121が偏光板13aの透過軸123aに対して45度の傾きを有する状態において、液晶19に入射された直線偏光125は、液晶19によって1/2波長の位相差が与えられる。このため、液晶19に入射された直線偏光125は、直線偏光125の偏光軸とは直交する偏光軸を有する直線偏光127として偏光板13bに入射される。
【0067】
偏光板13bに入射された直線偏光127は、偏光軸が偏光板13bの透過軸123bの方向に沿っているため、偏光板13bを透過する。
このように、表示装置1では、液晶19がオン状態にあるときには、照明装置5からの光が表示パネル3を透過し得る。照明装置5からの光が表示パネル3透過する状態は、白表示と呼ばれる。
【0068】
なお、図10(a)及び図10(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向が偏光板13aの透過軸123aに沿った方向を示し、Y'方向が偏光板13bの透過軸123bに沿った方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0069】
表示装置1では、白表示において、X'方向に対する液晶19の配向方向121の傾きを制御することによって、偏光板13bを透過する光の量を変化させることができる。これにより、表示パネル3から射出される光の輝度を画素7ごとに変化させることができる。この結果、表示装置1では、表示における階調表現が実現され得る。
表示装置1では、表示パネル3を透過する光の透過率は、図11に示すように、駆動電圧の大きさに応じて高くなる。このため、表示装置1では、駆動電圧の大きさを制御することによって、表示における階調表現が実現され得る。
【0070】
ところで、本実施形態では、駆動電圧として、正極駆動電圧と負極駆動電圧とがある。正極駆動電圧は、データ電位Vdataが共通電位Vcomよりも高い場合の駆動電圧である。負極駆動電圧は、データ電位Vdataが共通電位Vcomよりも低い場合の駆動電圧である。
そして、本実施形態では、液晶19の駆動として反転駆動が採用されている。反転駆動では、1つの画像が表示される期間(1フレーム期間)が、正極駆動電圧で駆動する期間(以下、正極期間と呼ぶ)と、負極駆動電圧で駆動する期間(以下、負極期間と呼ぶ)とに区分され得る。
【0071】
本実施形態では、共通電位Vcomは、図12に示すように、正極期間と負極期間とで互いに異なる電位に設定されている。
正極期間では、共通電位Vcomは、電位Vnに保たれる。負極期間では、共通電位Vcomは、電位Vpに保たれる。共通電位Vcomは、電位が電位Vnと電位Vpとの間で交互に変化する。つまり、共通電位Vcomは、平均値である平均共通電位Vavを中心に、電位Vnと電位Vpとの間を交番的に変化する。
【0072】
また、本実施形態では、データ電位Vdataも、図13に示すように、1フレーム期間において、正極期間と負極期間とで互いに異なる電位に設定されている。
正極期間では、データ電位Vdataは、電位Vdpに保たれる。負極期間では、データ電位Vdataは、電位Vdnに保たれる。データ電位Vdataは、電位が電位Vdpと電位Vdnとの間で交互に変化する。つまり、データ電位Vdataは、各フレーム期間における平均値である平均データ電位Vdavを中心に、電位Vdpと電位Vdnとの間を交番的に変化する。
【0073】
本実施形態では、複数の階調の中に、1つのフレーム期間において、正極駆動電圧の絶対値と、負極駆動電圧の絶対値とが互いに異なる値に設定されている階調が含まれている。これは、1つのフレーム期間において、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとを互いに異なる値に設定することによって実現され得る。このことは、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとの間に、補正値が設けられているともみなされ得る。
本実施形態では、図14に示すように、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に、駆動電圧ごとに差(緩和値)が設けられている。本実施形態では、平均データ電位Vdavを固定値として、平均共通電位Vavをずらすことによって、駆動電圧ごとに差が設けられている。
図14では、駆動電圧が閾値Vthよりも高い領域において、平均共通電位Vavを平均データ電位Vdavよりも高い値にずらす例が示されている。
【0074】
図14に示す緩和値は、表示パネル3のフリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定されている。
本実施形態では、図14に示す緩和値は、表示パネル3において、フリッカーの時間的な増大を緩和する値に設定されている。これは、表示パネル3において、階調ごとに(駆動電圧ごとに)フリッカーの時間的な増大が最小になる緩和値を実験的に測定することによって実現され得る。
表示パネル3のフリッカーの特性調査には、マルチメディアディスプレイテスタ3298F(横河電機株式会社製)を使用した。
【0075】
本発明者は、フリッカーの程度が時間的に増大することがあるという知見を得た。これは、上述した反転駆動で表示パネル3に表示をさせ続けたときに、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、フリッカーの程度が最小になる差が、経過時間によって差の初期値から変化することがあるという知見に基づく。
例えば、所定の駆動電圧V1で液晶19を駆動させたときに、フリッカーの程度が最小になる差は、図15に示すように、経過時間に応じて、マイナス方向に拡大していく。
なお、フリッカーの程度が最小になる差の初期値は、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、初期的にフリッカーの程度が最小になる差である。初期的にフリッカーの程度が最小になる差は、階調ごとに設定しても、ある階調における差を他の階調に適用してもよい。初期的にフリッカーの程度が最小になる差は、階調によっては、0になることがある。
【0076】
このことは、経過時間に応じて、平均共通電位Vavを平均データ電位Vdavよりも低い値にずらすと、フリッカーの時間的な増大が緩和することを意味する。換言すれば、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間にずらし量を設けない場合には、フリッカーの程度が時間的に増大していくことを意味する。
【0077】
これは、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間にずらし量を設けずに、上述した反転駆動で表示パネル3に表示をさせ続けると、経過時間にともなって電荷が蓄積していくことに起因すると考えられる。
経過時間にともなう電荷の蓄積は、液晶19の焼き付きの原因の1つになり得る。液晶19の焼き付きは、ある画像を他の画像に切り替えたときに、切り替える前の画像が残る現象である。経過時間にともなって電荷が蓄積していくと、画素電極71と共通電極69との間に駆動電圧を印加しても、液晶19の駆動量がこの駆動電圧に見合う駆動量に満たなくなることがある。このことが、焼き付きの原因の1つであると考えられる。
【0078】
これに対し、本発明者は、図14に示す緩和値を、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に補正値として設けることによって、フリッカーの時間的な増大を緩和できるという知見を得た。
駆動電圧V1における緩和値Vh1を補正値として平均共通電位Vavに加算したとき、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、フリッカーの程度が最小になる差は、図16に実線で示すように、時間的な変化が低く抑えられる。このことは、経過時間にともなう電荷の蓄積を低く抑えられることを意味する。この結果、液晶19の焼き付きを低く抑えやすくすることができる。なお、図16において、破線は、緩和値Vh1を加算していない場合の変化を示している。
そして、本実施形態では、緩和値は、図14に示すように、駆動電圧ごとに(階調ごとに)設定されている。
【0079】
液晶19の駆動においては、図9に示すパネル制御回路105が、図14に示す緩和値に基づいて、共通線95に共通信号Vcを出力することによって、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に、駆動電圧ごとに差が設けられる。
パネル制御回路105は、図17に示すように、コントローラー131と、メモリー部133と、D/Aコンバーター(以下、DACと呼ぶ)135と、を有している。
コントローラー131には、階調データGDTが入力される。階調データGDTは、表示における階調を指示するデータである。
【0080】
メモリー部133には、平均共通電位Vavの階調ごとの緩和値を示す情報が格納されている。
コントローラー131は、入力された階調データGDTに基づいて、メモリー部133から、階調データGDTに対応する緩和値の情報を読み込む。そして、コントローラー131は、読み込んだ緩和値の情報に基づいて、平均共通電位Vavに緩和値を補正値として加算した共通信号Vcを生成し、生成した共通信号VcをDAC135を介して共通線95に出力する。
上記の方法により、1つのフレーム期間において、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとの間に、駆動電圧ごとに緩和値を補正値として設けることができる。
【0081】
表示装置1において、画素電極71が第1電極に対応し、共通電極69が第2電極に対応し、パネル制御回路105が駆動回路に対応している。また、正極期間が第1期間に対応し、負極期間が第2期間に対応している。また、正極駆動電圧が第1駆動電圧に対応し、負極駆動電圧が第2駆動電圧に対応し、データ電位Vdataが第1電位に対応し、共通電位Vcomが第2電位に対応し、平均データ電位Vdavが第1平均値に対応し、平均共通電位Vavが第2平均値に対応している。
【0082】
本実施形態では、1フレーム期間が正極期間と負極期間とに区分されている。正極期間では、液晶19は、正極駆動電圧で駆動される。負極期間では、液晶19は、負極駆動電圧で駆動される。このため、正極期間と負極期間とで、液晶19を駆動するための電界の向きが互いに逆向きになる。これにより、電荷の蓄積を解消しやすくすることができる。この結果、液晶パネル11における焼き付きやフリッカーなどの発生を低く抑えやすくすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、複数の階調の中に、1つのフレーム期間において、正極駆動電圧の絶対値と、負極駆動電圧の絶対値とが互いに異なる値に設定されている階調が含まれている。これは、1つのフレーム期間において、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に差(緩和値)を設けることによって実現され得る。そして、この緩和値は、表示パネル3のフリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定されている。これにより、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を採用することによって、表示における焼き付きの発生を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間の緩和値は、フリッカーの時間的変化が最小になる値に設定されている。これにより、表示における焼き付きを最小にすることができる。
また、本実施形態では、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値が、実験的な測定に基づいて設定されている。これは、階調ごとに(駆動電圧ごとに)フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を実験的な測定によって設定することによって実現されている。
【0085】
フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値は、例えば液晶パネル11の機種ごとに異なることがある。液晶パネル11では、画素電極71、共通電極69、絶縁膜59などが機種ごとに異なることがある。画素電極71、共通電極69、絶縁膜59などの構成要素において、例えば、寸法、形状、材料などが機種ごとに異なると、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値が異なる場合が考えられる。
このような場合であっても、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を機種ごとに実験的な測定によって設定することによって、機種ごとに適した緩和値を設定することができる。
【0086】
また、本実施形態では、平均データ電位Vdavを固定値として、平均共通電位Vavをずらすことによって、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に緩和値が設けられている。これにより、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に緩和値を補正値として設けることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、液晶パネル11の構成として、図4に示すように、共通電極69よりも表示面9側に画素電極71を配置する構成が採用されている。しかしながら、液晶パネル11の構成は、これに限定されない。液晶パネル11の構成としては、共通電極69よりも底面23側に画素電極71を配置する構成も採用され得る。
また、本実施形態では、画素電極71にスリット部97(図7)を設けた構成が採用されているが、スリット部97を設ける電極は、画素電極71に限定されない。画素電極71のスリット部97を省略し、且つ共通電極69にスリット部97を設けた構成も採用され得る。
また、図4に示す液晶パネル11の構成において、画素電極71の機能と、共通電極69の機能とを互いに入れ替えてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、液晶19の駆動方式としてFFS型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶19の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、VA(Vertical Alignment)型等の種々の方式も採用され得る。
【0089】
また、本実施形態では、照明装置5からの光を表示パネル3の底面23側から表示面9側に透過させることによって表示を行う透過型の表示パネル3が例示されているが、表示パネル3は、透過型に限定されない。表示パネル3としては、表示面9側から入射した光を表示面9側に反射させることによって表示を行う反射型も採用され得る。また、表示パネル3としては、透過型と反射型とを複合した半透過反射型も採用され得る。
【0090】
上述した表示装置1は、例えば、図18に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示部510に表示装置1が適用されているので、表示部510における焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。この結果、この電子機器500では、表示部510における表示品位を向上させやすくすることができる。
【0091】
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピューター、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。また、表示装置1や、表示パネル3、液晶パネル11は、それぞれ、プロジェクター等の投写型表示装置にライトバルブとしても適用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1…表示装置、3…表示パネル、5…照明装置、6…制御部、7…画素、8…表示領域、9…表示面、11…液晶パネル、13a,13b…偏光板、15…素子基板、17…対向基板、19…液晶、23…底面、51…第1基板、51a…第1面、51b…第2面、52…素子層、53…ゲート絶縁膜、55…絶縁膜、59…絶縁膜、63…配向膜、69…共通電極、71…画素電極、81…第2基板、82…対向層、83a…外向面、83b…対向面、93…配向膜、95…共通線、101…走査線駆動回路、103…信号線駆動回路、105…パネル制御回路、131…コントローラー、133…メモリー部、135…DAC、500…電子機器、510…表示部、511…操作ボタン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置などの液晶装置の駆動方法の1つとして、反転駆動が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−55662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、反転駆動では、1つの画像が表示される期間(1フレーム期間)が、正極駆動電圧で駆動する期間(以下、正極期間と呼ぶ)と、負極駆動電圧で駆動する期間(以下、負極期間と呼ぶ)とに区分され得る。
上記特許文献1に記載された反転駆動では、トランジスター素子(薄膜トランジスター)のフィールドスルーやオフリーク電流などの特性に起因する電荷の蓄積を軽減することができる。これにより、フリッカーの発生を軽減することができる。特許文献1によれば、信号線に供給するデータにおいて、正極期間における電位と負極期間における電位との平均値を階調ごとに補正することによって、トランジスター素子の特性に起因する電荷の蓄積が軽減され得る。しかしながら、特許文献1には、どのようにしてその補正値を決定するのかということが開示されていない。
【0005】
補正値を決定する方法としては、トランジスター素子のフィールドスルーやオフリーク電流を実験的に把握する方法が考えられる。把握された特性に基づいて、補正値が決定され得る。これにより、トランジスター素子の特性に起因する電荷の蓄積を軽減することができる。
しかしながら、電荷の蓄積が発生する要因は、トランジスター素子の特性に限られない。例えば、液晶を駆動するための電界を形成する画素電極と共通電極との間に介在する構成要素の非対称性も、電荷の蓄積の発生要因の1つと考えられる。そして、この電荷の蓄積は、液晶の焼き付きの要因の1つとなる。
【0006】
正極期間と負極期間とでは、画素電極及び共通電極の間に形成される電界の向きが互いに逆向きになる。
画素電極と共通電極との間に電気力線を想定したときに、電気力線は、画素電極から液晶を経由して共通電極に至る。この電気力線の経路において、例えば、画素電極と液晶との間に有機膜が介在し、液晶と共通電極との間に有機膜及び無機膜が介在している構成では、正極期間と負極期間とで電気力線が経由する構成要素が非対称となる。つまり、電気力線が画素電極を起点として共通電極に至る向きでは、電気力線は、有機膜、液晶、有機膜及び無機膜をこの順に経由する。他方で、電気力線が共通電極を起点として画素電極に至る向きでは、電気力線は、無機膜、有機膜、液晶及び有機膜をこの順に経由する。
【0007】
電気力線が経由する構成要素の順序に非対称性が生じると、これらの構成要素間に電荷が蓄積しやすくなることがあると考えられる。このため、蓄積した電荷に起因して焼き付きが発生することがあると考えられる。
つまり、従来の液晶装置では、表示品位を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0009】
[適用例1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在する液晶と、前記第1基板及び前記液晶の間に介在する第1電極と、前記液晶を駆動するための電界を前記第1電極との間に発生させる第2電極と、1フレーム期間の少なくとも一部を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、前記2つの期間のそれぞれにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、前記液晶の駆動を前記階調に応じて制御する駆動回路と、を有し、前記駆動電圧は、前記第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、前記第2期間に割り当てられる第2駆動電圧と、を含み、前記第1駆動電圧は、前記第1電極の電位である第1電位が、前記第2電極の電位である第2電位よりも高く、前記第2駆動電圧は、前記第1電位が前記第2電位よりも低く設定されており、前記第1電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第1平均値と、前記第2電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第2平均値と、が所定の値の分だけ異なっており、該所定の値は前記階調によって異なる値に設定されている、ことを特徴とする液晶装置。
【0010】
この適用例の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、液晶と、第1電極と、第2電極と、駆動回路と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。液晶は、第1基板及び第2基板の間に介在している。第1電極は、第1基板及び液晶の間に介在している。第2電極は、第1電極との間に、液晶を駆動するための電界を発生させる。
駆動回路は、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、液晶の駆動を階調に応じて制御する。この液晶装置では、1フレーム期間の少なくとも一部が、第1期間及び第2期間の2つの期間に分割される。そして、駆動回路は、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、液晶の駆動を制御する。
【0011】
駆動電圧は、第1駆動電圧と、第2駆動電圧と、を含んでいる。第1駆動電圧は、第1期間に割り当てられる。第2駆動電圧は、第2期間に割り当てられる。第1駆動電圧では、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧では、第1電位が第2電位よりも低い。
この液晶装置では、第1期間における第1電位と、第2期間における第1電位との平均値は、第1平均値と呼ばれる。また、第1期間における第2電位と、第2期間における第2電位との平均値は、第2平均値と呼ばれる。
【0012】
この液晶装置では、第1平均値と第2平均値とが所定の値の分だけ異なっている。この所定の値は、階調によって異なる値に設定されている。この所定の値は、例えば、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定され得る。この場合、さらに、所定の値としては、例えば、フリッカーの時間的な変化を軽減する値が採用され得る。
フリッカーの時間的な変化が軽減するということは、電荷の蓄積を抑えやすくすることができるということを意味する。電荷の蓄積を抑えやすくすることができれば、焼き付きの発生を抑えやすくすることができる。
このため、この液晶装置では、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。この結果、表示品位を向上させやすくすることができる。
【0013】
[適用例2]上記の液晶装置であって、前記所定の値は、前記第2平均値から前記第1平均値を減じたときの値を差として、前記フリッカーの程度が最小となる前記差の初期値に、前記フリッカーの程度が最小となる前記差の時間的な変化を緩和する値である緩和値を、加算した値に設定されている、ことを特徴とする液晶装置。
【0014】
この適用例では、第2平均値から第1平均値を減じたときの値を差としたときに、フリッカーの程度が最小となる差の時間的な変化が、緩和値によって緩和される。これにより、電荷の蓄積を緩和しやすくすることができる。このため、焼き付きの発生を緩和しやすくすることができる。
【0015】
[適用例3]上記の液晶装置であって、前記緩和値の絶対値は、前記階調が高くなるほど大きくなっている、ことを特徴とする液晶装置。
【0016】
この適用例では、緩和値の絶対値は、階調が高くなるほど大きくなる。これにより、電荷の蓄積量が階調の高さに応じて多くなる場合において、電荷の軽減量を階調の高さに応じて多くすることができる。この結果、複数の階調にわたって焼き付きの発生を緩和しやすくすることができる。
【0017】
[適用例4]上記の液晶装置であって、複数の画素と、前記画素ごとに設けられた前記第1電極と、前記複数の画素に共通して機能する前記第2電極と、を有し、前記第2平均値を前記第1平均値に対してずらすことによって、前記所定の値が設けられている、ことを特徴とする液晶装置。
【0018】
この適用例の液晶装置は、複数の画素を有している。第1電極は、画素ごとに設けられている。第2電極は、複数の画素に共通して機能する。そして、所定の値は、第2平均値を第1平均値に対してずらすことによって、設けられている。これにより、第1平均値と第2平均値とを所定の値の分だけ異ならせることができる。
【0019】
[適用例5]上記の液晶装置であって、前記第1基板と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、前記第1電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、ことを特徴とする液晶装置。
【0020】
この適用例の液晶装置は、無機膜と、有機膜と、を有している。第2電極は、第1基板と第1電極との間に介在している。無機膜は、第2電極と第1電極との間に介在している。有機膜は、第1電極と液晶との間に介在している。この構成により、液晶を駆動するための電界に、第1基板の面に沿った電界成分を発生させることができる。これにより、液晶分子を第1基板の面に沿って駆動することができる。
【0021】
[適用例6]上記の液晶装置であって、前記液晶と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、前記第2電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、ことを特徴とする液晶装置。
【0022】
この適用例の液晶装置は、無機膜と、有機膜と、を有している。第2電極は、液晶と第1電極との間に介在している。無機膜は、第2電極と第1電極との間に介在している。有機膜は、第2電極と液晶との間に介在している。この構成により、液晶を駆動するための電界に、第1基板の面に沿った電界成分を発生させることができる。これにより、液晶分子を第1基板の面に沿って駆動することができる。
【0023】
[適用例7]上記の液晶装置を表示部として有することを特徴とする電子機器。
【0024】
この適用例の電子機器は、表示部としての液晶装置が、第1基板と、第2基板と、液晶と、第1電極と、第2電極と、駆動回路と、を有している。
第2基板は、第1基板に対向している。液晶は、第1基板及び第2基板の間に介在している。第1電極は、第1基板及び液晶の間に介在している。第2電極は、第1電極との間に、液晶を駆動するための電界を発生させる。
駆動回路は、第1電極と第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、液晶の駆動を階調に応じて制御する。この液晶装置では、1フレーム期間の少なくとも一部が、第1期間及び第2期間の2つの期間に分割される。そして、駆動回路は、第1期間及び第2期間のそれぞれにおいて、液晶の駆動を制御する。
【0025】
駆動電圧は、第1駆動電圧と、第2駆動電圧と、を含んでいる。第1駆動電圧は、第1期間に割り当てられる。第2駆動電圧は、第2期間に割り当てられる。第1駆動電圧では、第1電極の電位である第1電位が、第2電極の電位である第2電位よりも高い。第2駆動電圧では、第1電位が第2電位よりも低い。
この液晶装置では、第1期間における第1電位と、第2期間における第1電位との平均値は、第1平均値と呼ばれる。また、第1期間における第2電位と、第2期間における第2電位との平均値は、第2平均値と呼ばれる。
【0026】
この液晶装置では、第1平均値と第2平均値とが所定の値の分だけ異なっている。この所定の値は、階調によって異なる値に設定されている。この所定の値は、例えば、フリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定され得る。この場合、さらに、所定の値としては、例えば、フリッカーの時間的な変化を軽減する値が採用され得る。
フリッカーの時間的な変化が軽減するということは、電荷の蓄積を抑えやすくすることができるということを意味する。電荷の蓄積を抑えやすくすることができれば、焼き付きの発生を抑えやすくすることができる。
このため、この液晶装置では、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。
この適用例の電子機器は、焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる液晶装置を表示部として有している。従って、この電子機器では、表示部における表示品位を向上させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における表示装置の主要構成を示す分解斜視図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】本実施形態における複数の画素の一部を示す平面図。
【図4】図3中のC−C線における断面図。
【図5】本実施形態における走査線及び信号線並びにTFT素子を示す平面図。
【図6】本実施形態における共通電極を示す平面図。
【図7】本実施形態における画素電極を示す平面図。
【図8】本実施形態における液晶パネルの等価回路図。
【図9】本実施形態における表示装置の主要構成を示すブロック図。
【図10】本実施形態における表示パネルの偏光状態を説明する図。
【図11】本実施形態における表示パネルの駆動電圧と透過率とを示す図。
【図12】本実施形態における共通電位の変化の一例を示す図。
【図13】本実施形態におけるデータ電位の変化の一例を示す図。
【図14】本実施形態における表示パネルの駆動電圧と緩和値との一例を示す図。
【図15】本実施形態における表示パネルのフリッカーの時間的変化を説明する図。
【図16】本実施形態における表示パネルに緩和値を適用したときのフリッカーの時間的変化を説明する図。
【図17】本実施形態におけるパネル制御回路の主要構成を示すブロック図。
【図18】本実施形態における表示装置が適用された電子機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態について、液晶装置を利用した表示装置を例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態における表示装置1は、図1に示すように、表示パネル3と、照明装置5と、制御部6と、を有している。
【0029】
表示パネル3には、複数の画素7が設定されている。複数の画素7は、表示領域8内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。
ここで、本実施形態では、画素7は、図3に示すように、長辺と短辺とを有する四辺形を呈している。X方向は、画素7の短辺が延在する方向である。また、Y方向は、X方向とは直交(交差)する方向である。本実施形態では、Y方向は、画素7の長辺が延在する方向でもある。
【0030】
図1に示す表示装置1は、照明装置5から表示パネル3に入射された光を、表示パネル3に設定されている複数の画素7から選択的に表示面9を介して表示パネル3の外に射出することで、表示面9に画像を表示することができる。なお、表示領域8とは、画像が表示され得る領域である。図1では、構成をわかりやすく示すため、画素7が誇張され、且つ画素7の個数が減じられている。
【0031】
表示パネル3は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、液晶パネル11と、偏光板13a及び13bとを有している。
液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板17と、液晶19と、シール材21と、を有している。
素子基板15には、表示面9側すなわち液晶19側に、複数の画素7のそれぞれに対応して、後述するスイッチング素子などが設けられている。
【0032】
対向基板17は、素子基板15よりも表示面9側で素子基板15に対向し、且つ素子基板15との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板17には、表示パネル3における表示面9の裏面に相当する面である底面23側すなわち液晶19側に、後述する位相差膜などが設けられている。
【0033】
液晶19は、素子基板15及び対向基板17の間に介在しており、表示パネル3の周縁よりも内側で表示領域8を囲むシール材21によって、素子基板15及び対向基板17の間に封止されている。なお、本実施形態では、液晶19の駆動方式として、FFS(Fringe Field Switching)型の駆動方式が採用されている。
【0034】
偏光板13aは、素子基板15よりも底面23側、すなわち液晶19側とは反対側に設けられている。偏光板13bは、対向基板17よりも表示面9側、すなわち液晶19側とは反対側に設けられている。表示装置1では、偏光板13a及び13bは、偏光板13aにおける光の透過軸の方向と、偏光板13bにおける光の透過軸の方向とが、互いに直交する方向に設定されている。偏光板13a及び13bは、それぞれ、透過軸の方向に偏光軸を有する光を透過させることができる。
【0035】
なお、偏光板13aと素子基板15との間や、偏光板13bと対向基板17との間に、光学補償フィルムを設けた構成も採用され得る。光学補償フィルムを設けることで、液晶19を表示面9の法線方向から見たときや、法線方向から傾斜した方向から見たときなどの液晶19の位相差を補償することができる。これにより、光漏れを低減することができ、コントラストの向上が図られる。
【0036】
照明装置5は、表示パネル3の底面23側に設けられており、導光板31と、光源33とを有している。導光板31は、図2で見て表示パネル3の下側に設けられており、表示パネル3の底面23に対向する光射出面35bを有している。
光源33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や冷陰極管などが採用され、図2で見て導光板31の側面35aの左方に設けられている。
【0037】
光源33からの光は、導光板31の側面35aに入射される。導光板31に入射された光は、導光板31の中で反射を繰り返しながら光射出面35bから射出される。光射出面35bから射出された光は、表示パネル3の底面23から、偏光板13aを介して表示パネル3に入射される。なお、導光板31には、必要に応じて、光射出面35bに拡散板が設けられ、底面35cに反射板が設けられる。
【0038】
表示パネル3に設定されている複数の画素7は、それぞれ、表示面9から射出する光の色が、図3に示すように、赤系(R)、緑系(G)及び青系(B)のうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素7は、Rの光を射出する画素7Rと、Gの光を射出する画素7Gと、Bの光を射出する画素7Bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素7という表記と、画素7R、7G及び7Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0039】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光は、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光は、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光は、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0040】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素7が、1つの画素列41を構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素7が、1つの画素行42を構成している。1つの画素列41内の各画素7は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素7RがY方向に配列した画素列41Rと、複数の画素7GがY方向に配列した画素列41Gと、複数の画素7BがY方向に配列した画素列41Bとを有している。そして、マトリクスMでは、画素列41R、画素列41G及び画素列41Bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列41という表記と、画素列41R、画素列41G及び画素列41Bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0041】
ここで、液晶パネル11の素子基板15及び対向基板17のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
素子基板15は、図3中のC−C線における断面図である図4に示すように、第1基板51と、素子層52とを有している。
第1基板51は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた第1面51aと、底面23側に向けられた第2面51bとを有している。
【0042】
素子層52は、第1基板51の第1面51aに設けられている。素子層52には、ゲート絶縁膜53と、絶縁膜55と、絶縁膜59と、配向膜63と、が含まれている。また、素子層52には、画素7ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子65と、共通電極69と、画素電極71と、が含まれている。
【0043】
ゲート絶縁膜53は、第1基板51の第1面51aに設けられている。ゲート絶縁膜53の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、ゲート絶縁膜53の材料として、酸化シリコンが採用されている。
絶縁膜55は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられている。絶縁膜55の表示面9側には、画素7ごとに共通電極69が設けられている。絶縁膜55の材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、絶縁膜55の材料として、アクリル系の樹脂が採用されている。
【0044】
絶縁膜59は、絶縁膜55の表示面9側に設けられている。絶縁膜59は、共通電極69を表示面9側から覆っている。絶縁膜59の材料としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などの光透過性を有する材料が採用され得る。また、絶縁膜59の材料としては、例えば、窒化シリコンや酸化シリコンなどの無機材料も採用され得る。本実施形態では、絶縁膜59の材料として、窒化シリコンが採用されている。
絶縁膜59の表示面9側には、画素電極71が設けられている。配向膜63は、絶縁膜59の表示面9側に設けられている。画素電極71は、配向膜63によって表示面9側から覆われている。配向膜63の材料としては、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、配向膜63の材料として、ポリイミドが採用されている。なお、配向膜63には、配向処理が施されている。
【0045】
TFT素子65と、共通電極69と、画素電極71とは、それぞれ、各画素7に対応して設けられている。
TFT素子65は、ゲート電極72と、半導体層73と、ソース電極74と、ドレイン電極75とを有している。ゲート電極72は、第1基板51の第1面51aに設けられており、ゲート絶縁膜53によって表示面9側から覆われている。ゲート電極72の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。
半導体層73は、例えばアモルファスシリコンで構成されており、ゲート絶縁膜53を挟んでゲート電極72に対向する位置に設けられている。
【0046】
ソース電極74は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。ドレイン電極75は、ゲート絶縁膜53の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。ソース電極74やドレイン電極75の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロム、アルミニウムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。本実施形態では、ソース電極74やドレイン電極75の材料として、アルミニウム合金が採用されている。
上記の構成を有するTFT素子65は、半導体層73がゲート電極72と、ソース電極74及びドレイン電極75との間に位置する所謂ボトムゲート型である。
上記の構成を有するTFT素子65は、絶縁膜55によって表示面9側から覆われている。
【0047】
共通電極69は、絶縁膜55の表示面9側に設けられている。共通電極69は、平面視で各画素7の領域に重なっている。共通電極69の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、共通電極69の材料として、ITOが採用されている。
【0048】
画素電極71は、絶縁膜59の表示面9側に設けられており、表示面9側から配向膜63によって覆われている。画素電極71は、平面視で各画素7の領域に重なっている。画素電極71の材料としては、例えばITOやインジウム亜鉛酸化物などの光透過性を有する材料が採用され得る。本実施形態では、画素電極71の材料として、ITOが採用されている。
ここで、画素電極71は、絶縁膜55及び絶縁膜59に設けられたコンタクトホール78を介してドレイン電極75につながっている。
【0049】
対向基板17は、第2基板81と、対向層82とを有している。第2基板81は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた外向面83aと、底面23側に向けられた対向面83bとを有している。
対向層82は、第2基板81の対向面83bに設けられている。対向層82には、光吸収層85と、カラーフィルター87と、オーバーコート層91と、配向膜93と、が含まれている。
【0050】
光吸収層85は、第2基板81の対向面83bに設けられており、領域86にわたっている。光吸収層85は、平面視で格子状に設けられており、各画素7を区画している。表示装置1では、各画素7は、光吸収層85によって囲まれた領域であると定義され得る。光吸収層85の材料としては、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などが採用され得る。
【0051】
カラーフィルター87は、各画素7に対応して設けられている。カラーフィルター87は、第2基板81の対向面83b側に設けられており、光吸収層85によって囲まれた各領域、すなわち各画素7の領域を底面23側から覆っている。
ここで、カラーフィルター87は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルター87は、画素7R、画素7G及び画素7Bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素7Rに対応するカラーフィルター87は、Rの光を透過させることができる。画素7Gに対応するカラーフィルター87はGの光を透過させ、画素7Bに対応するカラーフィルター87はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルター87に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルター87R、87G及び87Bという表記が用いられる。
【0052】
オーバーコート層91は、光吸収層85及びカラーフィルター87の底面23側に設けられている。オーバーコート層91は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、光吸収層85及びカラーフィルター87を底面23側から覆っている。
配向膜93は、オーバーコート層91の底面23側に設けられている。配向膜93は、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料で構成されており、オーバーコート層91を底面23側から覆っている。配向膜93には、底面23側に配向処理が施されている。
【0053】
素子基板15及び対向基板17の間に介在する液晶19は、配向膜63と配向膜93との間に介在している。液晶パネル11では、各画素7において、液晶19がL1なる厚みに設定されている。
液晶19は、入射した光を変調することができる。本実施形態では、液晶19は、入射した光に位相差を付与することができる。これは、液晶19のリタデーション(複屈折率と厚みL1との積)の設定により実現され得る。
本実施形態では、入射した光に1/2波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0054】
ここで、X方向に隣り合う画素7間において、ゲート電極72同士は、平面図である図5に示すように、走査線Tによって接続されている。また、Y方向に隣り合う画素7間において、ソース電極74同士は、信号線Sによって接続されている。
走査線Tは、画素行42(図3)ごとに設けられており、X方向に沿って延びている。信号線Sは、画素列41(図3)ごとに設けられており、Y方向に沿って延びている。
【0055】
走査線Tと信号線Sとは、図5に示すように、互いに交差している。各画素7は、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して設定されている。
表示領域8(図1)内では、各走査線T及び各信号線Sは、図5に示すように、それぞれ、領域86内に設けられている。
【0056】
各画素7には、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して、TFT素子65が対応付けられている。
各TFT素子65は、領域86内に位置している。また、各TFT素子65に対応するコンタクトホール78も、領域86内に位置している。別の観点から、各画素7に対応する各TFT素子65及び各コンタクトホール78は、画素7の領域外に位置している。
【0057】
各共通電極69は、平面図である図6に示すように、各画素7の領域から領域86内に及んでいる。
本実施形態では、各共通電極69は、Y方向に隣り合う2つの走査線Tと、X方向に隣り合う2つの信号線Sとによって囲まれた領域内に設けられている。各共通電極69は、周縁部が領域86内に及んでいる。別の観点から、各共通電極69は、各画素7の領域内にわたって設けられている。
なお、X方向に隣り合う画素7間において、共通電極69同士は、共通線95によって接続されている。図6では、構成をわかりやすく示すため、共通電極69及び共通線95にハッチングが施されている。
【0058】
各画素電極71は、平面図である図7に示すように、各画素7の領域から領域86内に及んでおり、複数のスリット部97を有している。図7では、構成をわかりやすく示すため、画素電極71にハッチングが施されている。
複数のスリット部97は、Y方向に所定間隔で並んでいる。各スリット部97は、Y方向とは交差する方向に沿って延びている。なお、各スリット部97が延びる方向は、X方向から傾斜している。
【0059】
本実施形態では、各画素電極71は、Y方向に隣り合う2つの走査線Tと、X方向に隣り合う2つの信号線Sとによって囲まれた領域内に設けられている。各画素電極71は、周縁部が領域86内に及んでいる。別の観点から、各画素電極71は、各画素7の領域内にわたって設けられている。
なお、図4における素子基板15の断面は、図7中のD−D線における断面に相当している。
【0060】
ここで、液晶パネル11には、図8に示すように、走査線駆動回路101と、信号線駆動回路103と、が設けられている。
n本(nは、1以上の整数)の走査線Tは、走査線駆動回路101につながっている。また、m本(mは、1以上の整数)の信号線Sは、信号線駆動回路103につながっている。
なお、以下においてn本の走査線Tが個々に識別される場合に、走査線T(i)という表記が用いられる。iは、1以上且つn以下の整数である。また、m本の信号線Sが個々に識別される場合に、信号線S(j)という表記が用いられる。jは、1以上且つm以下の整数である。
【0061】
走査線駆動回路101には、走査信号PLSが入力される。走査線駆動回路101は、入力された走査信号PLSに基づいて、走査線T(i)ごとに、選択信号p(i)を出力する。
信号線駆動回路103には、画素行42単位の画像データDATAが入力される。信号線駆動回路103は、入力された画像データDATAを、信号線S(j)ごとにデータ信号d(j)として出力する。
共通線95には、共通信号Vcが入力される。
【0062】
制御部6は、図9に示すように、パネル制御回路105と、光源制御部107と、を有している。
パネル制御回路105は、走査線駆動回路101に走査信号PLSを出力し、信号線駆動回路103に画像データDATAを出力し、共通線95に共通信号Vcを出力する。
光源制御部107は、光源33への電力の供給と、電力の遮断とを制御する。
【0063】
液晶パネル11では、共通電極69と画素電極71との間に電圧を印加すると、共通電極69と画素電極71との間に電界が発生する。この電界によって液晶19の配向状態を変化させることができる。
液晶パネル11では、共通電極69の電位である共通電位Vcomと、画素電極71の電位であるデータ電位Vdataとの差によって、共通電極69と画素電極71との間の電界の発生や向きが制御される。
表示装置1では、照明装置5から表示パネル3に光を照射した状態で、液晶19の配向状態を画素7ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶19の配向状態は、共通電位Vcomとデータ電位Vdataとの差(以下、駆動電圧と呼ぶ)によって変化し得る。
【0064】
配向膜63及び配向膜93のそれぞれには、配向処理が施されている。配向処理が施された配向膜63及び配向膜93によって、液晶19の初期的な配向状態が規制される。
表示装置1では、駆動電圧が0Vのときに、液晶19がオフ状態にある。このとき、液晶19の配向方向121は、液晶19がオフ状態のときの偏光状態を示す図である図10(a)に示すように、偏光板13aの透過軸123aに沿った方向に設定されている。
表示装置1では、底面23側から偏光板13aを経て入射された入射光は、偏光板13aの透過軸123aに沿った偏光軸を有する直線偏光125として液晶19に入射される。
【0065】
液晶19に入射された直線偏光125は、偏光軸が液晶19の配向方向121に沿っている。このため、液晶19に入射された直線偏光125は、偏光状態が維持されたまま直線偏光125として偏光板13bに入射される。
偏光板13bに入射された直線偏光125は、偏光軸が偏光板13bの透過軸123bに対して直交しているため、偏光板13bによって吸収される。
このように、表示装置1では、液晶19がオフ状態にあるときには、照明装置5からの光が表示パネル3によって遮断される。照明装置5からの光が表示パネル3によって遮断される状態は、黒表示と呼ばれる。本実施形態では、液晶19がオフ状態にあるときに黒表示が行われる所謂ノーマリーブラックの表示モードが採用されている。
【0066】
他方で、共通電位Vcomとデータ電位Vdataとの間に電位差が生じると、液晶19がオフ状態からオン状態に変化する。このとき、液晶19の配向方向121は、図10(b)に示すように、平面視で反時計方向に回転する。
表示装置1では、図10(b)に示すように、液晶19の配向方向121が偏光板13aの透過軸123aに対して45度の傾きを有する状態において、液晶19に入射された直線偏光125は、液晶19によって1/2波長の位相差が与えられる。このため、液晶19に入射された直線偏光125は、直線偏光125の偏光軸とは直交する偏光軸を有する直線偏光127として偏光板13bに入射される。
【0067】
偏光板13bに入射された直線偏光127は、偏光軸が偏光板13bの透過軸123bの方向に沿っているため、偏光板13bを透過する。
このように、表示装置1では、液晶19がオン状態にあるときには、照明装置5からの光が表示パネル3を透過し得る。照明装置5からの光が表示パネル3透過する状態は、白表示と呼ばれる。
【0068】
なお、図10(a)及び図10(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向が偏光板13aの透過軸123aに沿った方向を示し、Y'方向が偏光板13bの透過軸123bに沿った方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0069】
表示装置1では、白表示において、X'方向に対する液晶19の配向方向121の傾きを制御することによって、偏光板13bを透過する光の量を変化させることができる。これにより、表示パネル3から射出される光の輝度を画素7ごとに変化させることができる。この結果、表示装置1では、表示における階調表現が実現され得る。
表示装置1では、表示パネル3を透過する光の透過率は、図11に示すように、駆動電圧の大きさに応じて高くなる。このため、表示装置1では、駆動電圧の大きさを制御することによって、表示における階調表現が実現され得る。
【0070】
ところで、本実施形態では、駆動電圧として、正極駆動電圧と負極駆動電圧とがある。正極駆動電圧は、データ電位Vdataが共通電位Vcomよりも高い場合の駆動電圧である。負極駆動電圧は、データ電位Vdataが共通電位Vcomよりも低い場合の駆動電圧である。
そして、本実施形態では、液晶19の駆動として反転駆動が採用されている。反転駆動では、1つの画像が表示される期間(1フレーム期間)が、正極駆動電圧で駆動する期間(以下、正極期間と呼ぶ)と、負極駆動電圧で駆動する期間(以下、負極期間と呼ぶ)とに区分され得る。
【0071】
本実施形態では、共通電位Vcomは、図12に示すように、正極期間と負極期間とで互いに異なる電位に設定されている。
正極期間では、共通電位Vcomは、電位Vnに保たれる。負極期間では、共通電位Vcomは、電位Vpに保たれる。共通電位Vcomは、電位が電位Vnと電位Vpとの間で交互に変化する。つまり、共通電位Vcomは、平均値である平均共通電位Vavを中心に、電位Vnと電位Vpとの間を交番的に変化する。
【0072】
また、本実施形態では、データ電位Vdataも、図13に示すように、1フレーム期間において、正極期間と負極期間とで互いに異なる電位に設定されている。
正極期間では、データ電位Vdataは、電位Vdpに保たれる。負極期間では、データ電位Vdataは、電位Vdnに保たれる。データ電位Vdataは、電位が電位Vdpと電位Vdnとの間で交互に変化する。つまり、データ電位Vdataは、各フレーム期間における平均値である平均データ電位Vdavを中心に、電位Vdpと電位Vdnとの間を交番的に変化する。
【0073】
本実施形態では、複数の階調の中に、1つのフレーム期間において、正極駆動電圧の絶対値と、負極駆動電圧の絶対値とが互いに異なる値に設定されている階調が含まれている。これは、1つのフレーム期間において、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとを互いに異なる値に設定することによって実現され得る。このことは、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとの間に、補正値が設けられているともみなされ得る。
本実施形態では、図14に示すように、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に、駆動電圧ごとに差(緩和値)が設けられている。本実施形態では、平均データ電位Vdavを固定値として、平均共通電位Vavをずらすことによって、駆動電圧ごとに差が設けられている。
図14では、駆動電圧が閾値Vthよりも高い領域において、平均共通電位Vavを平均データ電位Vdavよりも高い値にずらす例が示されている。
【0074】
図14に示す緩和値は、表示パネル3のフリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定されている。
本実施形態では、図14に示す緩和値は、表示パネル3において、フリッカーの時間的な増大を緩和する値に設定されている。これは、表示パネル3において、階調ごとに(駆動電圧ごとに)フリッカーの時間的な増大が最小になる緩和値を実験的に測定することによって実現され得る。
表示パネル3のフリッカーの特性調査には、マルチメディアディスプレイテスタ3298F(横河電機株式会社製)を使用した。
【0075】
本発明者は、フリッカーの程度が時間的に増大することがあるという知見を得た。これは、上述した反転駆動で表示パネル3に表示をさせ続けたときに、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、フリッカーの程度が最小になる差が、経過時間によって差の初期値から変化することがあるという知見に基づく。
例えば、所定の駆動電圧V1で液晶19を駆動させたときに、フリッカーの程度が最小になる差は、図15に示すように、経過時間に応じて、マイナス方向に拡大していく。
なお、フリッカーの程度が最小になる差の初期値は、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、初期的にフリッカーの程度が最小になる差である。初期的にフリッカーの程度が最小になる差は、階調ごとに設定しても、ある階調における差を他の階調に適用してもよい。初期的にフリッカーの程度が最小になる差は、階調によっては、0になることがある。
【0076】
このことは、経過時間に応じて、平均共通電位Vavを平均データ電位Vdavよりも低い値にずらすと、フリッカーの時間的な増大が緩和することを意味する。換言すれば、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間にずらし量を設けない場合には、フリッカーの程度が時間的に増大していくことを意味する。
【0077】
これは、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間にずらし量を設けずに、上述した反転駆動で表示パネル3に表示をさせ続けると、経過時間にともなって電荷が蓄積していくことに起因すると考えられる。
経過時間にともなう電荷の蓄積は、液晶19の焼き付きの原因の1つになり得る。液晶19の焼き付きは、ある画像を他の画像に切り替えたときに、切り替える前の画像が残る現象である。経過時間にともなって電荷が蓄積していくと、画素電極71と共通電極69との間に駆動電圧を印加しても、液晶19の駆動量がこの駆動電圧に見合う駆動量に満たなくなることがある。このことが、焼き付きの原因の1つであると考えられる。
【0078】
これに対し、本発明者は、図14に示す緩和値を、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に補正値として設けることによって、フリッカーの時間的な増大を緩和できるという知見を得た。
駆動電圧V1における緩和値Vh1を補正値として平均共通電位Vavに加算したとき、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの差において、フリッカーの程度が最小になる差は、図16に実線で示すように、時間的な変化が低く抑えられる。このことは、経過時間にともなう電荷の蓄積を低く抑えられることを意味する。この結果、液晶19の焼き付きを低く抑えやすくすることができる。なお、図16において、破線は、緩和値Vh1を加算していない場合の変化を示している。
そして、本実施形態では、緩和値は、図14に示すように、駆動電圧ごとに(階調ごとに)設定されている。
【0079】
液晶19の駆動においては、図9に示すパネル制御回路105が、図14に示す緩和値に基づいて、共通線95に共通信号Vcを出力することによって、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に、駆動電圧ごとに差が設けられる。
パネル制御回路105は、図17に示すように、コントローラー131と、メモリー部133と、D/Aコンバーター(以下、DACと呼ぶ)135と、を有している。
コントローラー131には、階調データGDTが入力される。階調データGDTは、表示における階調を指示するデータである。
【0080】
メモリー部133には、平均共通電位Vavの階調ごとの緩和値を示す情報が格納されている。
コントローラー131は、入力された階調データGDTに基づいて、メモリー部133から、階調データGDTに対応する緩和値の情報を読み込む。そして、コントローラー131は、読み込んだ緩和値の情報に基づいて、平均共通電位Vavに緩和値を補正値として加算した共通信号Vcを生成し、生成した共通信号VcをDAC135を介して共通線95に出力する。
上記の方法により、1つのフレーム期間において、平均共通電位Vavと、平均データ電位Vdavとの間に、駆動電圧ごとに緩和値を補正値として設けることができる。
【0081】
表示装置1において、画素電極71が第1電極に対応し、共通電極69が第2電極に対応し、パネル制御回路105が駆動回路に対応している。また、正極期間が第1期間に対応し、負極期間が第2期間に対応している。また、正極駆動電圧が第1駆動電圧に対応し、負極駆動電圧が第2駆動電圧に対応し、データ電位Vdataが第1電位に対応し、共通電位Vcomが第2電位に対応し、平均データ電位Vdavが第1平均値に対応し、平均共通電位Vavが第2平均値に対応している。
【0082】
本実施形態では、1フレーム期間が正極期間と負極期間とに区分されている。正極期間では、液晶19は、正極駆動電圧で駆動される。負極期間では、液晶19は、負極駆動電圧で駆動される。このため、正極期間と負極期間とで、液晶19を駆動するための電界の向きが互いに逆向きになる。これにより、電荷の蓄積を解消しやすくすることができる。この結果、液晶パネル11における焼き付きやフリッカーなどの発生を低く抑えやすくすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、複数の階調の中に、1つのフレーム期間において、正極駆動電圧の絶対値と、負極駆動電圧の絶対値とが互いに異なる値に設定されている階調が含まれている。これは、1つのフレーム期間において、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に差(緩和値)を設けることによって実現され得る。そして、この緩和値は、表示パネル3のフリッカーの時間的変化の特性に基づいて設定されている。これにより、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を採用することによって、表示における焼き付きの発生を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間の緩和値は、フリッカーの時間的変化が最小になる値に設定されている。これにより、表示における焼き付きを最小にすることができる。
また、本実施形態では、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値が、実験的な測定に基づいて設定されている。これは、階調ごとに(駆動電圧ごとに)フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を実験的な測定によって設定することによって実現されている。
【0085】
フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値は、例えば液晶パネル11の機種ごとに異なることがある。液晶パネル11では、画素電極71、共通電極69、絶縁膜59などが機種ごとに異なることがある。画素電極71、共通電極69、絶縁膜59などの構成要素において、例えば、寸法、形状、材料などが機種ごとに異なると、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値が異なる場合が考えられる。
このような場合であっても、フリッカーの時間的な増大を緩和する緩和値を機種ごとに実験的な測定によって設定することによって、機種ごとに適した緩和値を設定することができる。
【0086】
また、本実施形態では、平均データ電位Vdavを固定値として、平均共通電位Vavをずらすことによって、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に緩和値が設けられている。これにより、平均データ電位Vdavと平均共通電位Vavとの間に緩和値を補正値として設けることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、液晶パネル11の構成として、図4に示すように、共通電極69よりも表示面9側に画素電極71を配置する構成が採用されている。しかしながら、液晶パネル11の構成は、これに限定されない。液晶パネル11の構成としては、共通電極69よりも底面23側に画素電極71を配置する構成も採用され得る。
また、本実施形態では、画素電極71にスリット部97(図7)を設けた構成が採用されているが、スリット部97を設ける電極は、画素電極71に限定されない。画素電極71のスリット部97を省略し、且つ共通電極69にスリット部97を設けた構成も採用され得る。
また、図4に示す液晶パネル11の構成において、画素電極71の機能と、共通電極69の機能とを互いに入れ替えてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、液晶19の駆動方式としてFFS型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶19の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、VA(Vertical Alignment)型等の種々の方式も採用され得る。
【0089】
また、本実施形態では、照明装置5からの光を表示パネル3の底面23側から表示面9側に透過させることによって表示を行う透過型の表示パネル3が例示されているが、表示パネル3は、透過型に限定されない。表示パネル3としては、表示面9側から入射した光を表示面9側に反射させることによって表示を行う反射型も採用され得る。また、表示パネル3としては、透過型と反射型とを複合した半透過反射型も採用され得る。
【0090】
上述した表示装置1は、例えば、図18に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示部510に表示装置1が適用されているので、表示部510における焼き付きの発生を軽減しやすくすることができる。この結果、この電子機器500では、表示部510における表示品位を向上させやすくすることができる。
【0091】
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピューター、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。また、表示装置1や、表示パネル3、液晶パネル11は、それぞれ、プロジェクター等の投写型表示装置にライトバルブとしても適用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1…表示装置、3…表示パネル、5…照明装置、6…制御部、7…画素、8…表示領域、9…表示面、11…液晶パネル、13a,13b…偏光板、15…素子基板、17…対向基板、19…液晶、23…底面、51…第1基板、51a…第1面、51b…第2面、52…素子層、53…ゲート絶縁膜、55…絶縁膜、59…絶縁膜、63…配向膜、69…共通電極、71…画素電極、81…第2基板、82…対向層、83a…外向面、83b…対向面、93…配向膜、95…共通線、101…走査線駆動回路、103…信号線駆動回路、105…パネル制御回路、131…コントローラー、133…メモリー部、135…DAC、500…電子機器、510…表示部、511…操作ボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在する液晶と、
前記第1基板及び前記液晶の間に介在する第1電極と、
前記液晶を駆動するための電界を前記第1電極との間に発生させる第2電極と、
1フレーム期間の少なくとも一部を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、前記2つの期間のそれぞれにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、前記液晶の駆動を前記階調に応じて制御する駆動回路と、
を有し、
前記駆動電圧は、
前記第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、
前記第2期間に割り当てられる第2駆動電圧と、を含み、
前記第1駆動電圧は、前記第1電極の電位である第1電位が、前記第2電極の電位である第2電位よりも高く、
前記第2駆動電圧は、前記第1電位が前記第2電位よりも低く設定されており、
前記第1電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第1平均値と、前記第2電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第2平均値と、が所定の値の分だけ異なっており、該所定の値は前記階調によって異なる値に設定されている、 ことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記所定の値は、前記第2平均値から前記第1平均値を減じたときの値を差として、
フリッカーの程度が最小となる前記差の初期値に、
前記フリッカーの程度が最小となる前記差の時間的な変化を緩和する値である緩和値を、加算した値に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記緩和値の絶対値は、前記階調が高くなるほど大きくなっている、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
複数の画素と、
前記画素ごとに設けられた前記第1電極と、
前記複数の画素に共通して機能する前記第2電極と、を有し、
前記第2平均値を前記第1平均値に対してずらすことによって、前記所定の値が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第1基板と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、
前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、
前記第1電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記液晶と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、
前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、
前記第2電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部として有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在する液晶と、
前記第1基板及び前記液晶の間に介在する第1電極と、
前記液晶を駆動するための電界を前記第1電極との間に発生させる第2電極と、
1フレーム期間の少なくとも一部を第1期間及び第2期間の2つの期間に分割し、前記2つの期間のそれぞれにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間に印加する駆動電圧を階調に応じて制御することで、前記液晶の駆動を前記階調に応じて制御する駆動回路と、
を有し、
前記駆動電圧は、
前記第1期間に割り当てられる第1駆動電圧と、
前記第2期間に割り当てられる第2駆動電圧と、を含み、
前記第1駆動電圧は、前記第1電極の電位である第1電位が、前記第2電極の電位である第2電位よりも高く、
前記第2駆動電圧は、前記第1電位が前記第2電位よりも低く設定されており、
前記第1電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第1平均値と、前記第2電位の前記第1期間及び前記第2期間における平均値である第2平均値と、が所定の値の分だけ異なっており、該所定の値は前記階調によって異なる値に設定されている、 ことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記所定の値は、前記第2平均値から前記第1平均値を減じたときの値を差として、
フリッカーの程度が最小となる前記差の初期値に、
前記フリッカーの程度が最小となる前記差の時間的な変化を緩和する値である緩和値を、加算した値に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記緩和値の絶対値は、前記階調が高くなるほど大きくなっている、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
複数の画素と、
前記画素ごとに設けられた前記第1電極と、
前記複数の画素に共通して機能する前記第2電極と、を有し、
前記第2平均値を前記第1平均値に対してずらすことによって、前記所定の値が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第1基板と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、
前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、
前記第1電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記液晶と前記第1電極との間に介在する前記第2電極と、
前記第2電極と前記第1電極との間に介在する無機膜と、
前記第2電極と前記液晶との間に介在する有機膜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部として有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−185922(P2010−185922A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28238(P2009−28238)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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