説明

液晶配向膜形成用組成物及び液晶表示装置の製造方法

【課題】液滴吐出法により、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、大型の基板に対しても均質で平坦な液晶配向膜を形成することのできる、液晶配向膜形成用組成物、及びこの組成物を用いた液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】液滴吐出法で液晶配向膜を形成する際に用いられる液晶配向膜形成用組成物である。表面張力が37mN/m以上の第1有機溶剤Aと、表面張力が32mN/m未満の第2有機溶剤Bとを含む混合溶剤と、該混合溶剤に溶解されてなる液晶配向膜形成用材料と、を含有してなる。第1有機溶剤Aおよび第2有機溶剤Bは、それぞれ単一種あるいは複数種の有機溶剤によって構成されている。第1有機溶剤Aは、これを構成する有機溶剤として、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含む。低混合有機溶剤A1は、混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出法で液晶配向膜を形成する際に用いられる液晶配向膜形成用組成物と、これを用いた液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置における液晶配向膜の形成方法としては、フレキソ印刷法やスピンコート法による方法が一般的であった。しかし、フレキソ印刷法では版のメンテナンスが煩雑であり、また、版にインクを行き渡らせるために必要以上のインクを使用することから、インクの無駄が多いといった欠点があった。一方、スピンコート法にあっても、大量のインクを必要とするものの、実際に膜形成に供される材料は投入材料の10%程度であり、残りの90%程度は廃棄されてしまうことから、やはりインクの無駄が多いといった欠点があった。
【0003】
このような背景のもとに、近年では、液晶配向膜の形成方法として、インクジェット法に代表される液滴吐出法を用いることが提案されている。液滴吐出法は、必要な箇所に必要な量のインクを配することができることから、材料(インク)の無駄が少なく、したがって材料コストの点などで有利であり、近年特に注目されている。
この液滴吐出法を用いて液晶配向膜を形成するには、ポリイミドやポリアミック酸等の液晶配向膜形成用材料を適当な溶媒に溶解した溶液(液晶配向膜形成用組成物)を用い、これを液滴吐出法で基板(液晶配向膜形成面)上に吐出し、さらに、例えば80℃程度の温度で乾燥して塗膜とした後、この塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とする。
【0004】
ここで、液滴吐出法(インクジェット法)で液晶配向膜を形成するための液晶配向膜形成用組成物としては、特にその溶媒組成については、フレキソ印刷で主に用いられている、γ−ブチロラクトン(GBL)、ブチルセロソルブ(BC[エチレングリコールモノブチルエーテル])、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して用いるのが普通である(例えば、特許文献1参照)。このような溶媒からなる混合溶媒に対し、固形分(液晶配向膜形成用材料)の濃度を適宜に調整することにより、液滴吐出用の液晶配向膜形成用組成物を形成している。
【特許文献1】特開2003−295195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特に基板として大型のものを用いる場合、インクジェット装置(液滴吐出装置)としては複数の吐出ヘッドを連結したマルチヘッドを用い、それぞれの吐出ヘッドから液晶配向膜形成用組成物を吐出することで液晶配向膜を形成する。
しかしながら、このようなマルチヘッドを用いて大型基板に前記の液晶配向膜形成用組成物を吐出すると、乾燥後に得られる液晶配向膜に、ヘッドの連結部に起因する膜厚ムラ(スジムラ)が生じてしまうことがある。
このような膜厚ムラの発生要因としては、
(1)ヘッド間の時間差(タイムラグ)による乾燥
(2)ヘッド間の吐出量差
(3)液滴の飛行曲がりによる着弾位置ずれ(位置精度)
などが考えられる。
【0006】
そこで、膜厚ムラ(スジムラ)をなくすべく、吐出し塗布することで形成する液晶配向膜形成用組成物の塗布層のレベリングを図るため、乾燥を例えば室温〜60℃程度の低い温度範囲で行い、前記塗布層中の固形分(液晶配向膜形成用材料)の対流時間を長くすることで、固形分を基板上に均一に分布させるといったことが考えられる。
しかしながら、このように低温で乾燥を行うと、乾燥途中で塗布層が雰囲気中の水分を吸収(吸湿)し、固形分(溶質)が部分的に析出することにより、白濁するなどの現象を生じてしまう。このような現象は、吸湿によって塗布層中に水分が混入し、溶媒の溶解能(溶解性)が低下することで起こると考えられる。
そして、このように固形分(溶質)の部分的な析出が起こった塗布層をそのまま乾燥させて液晶配向膜を形成すると、配向膜としての特性が低下し、さらに、透過性が低下することで液晶表示装置の表示性能を低下させてしまう。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液滴吐出法により、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、大型の基板に対しても均質で平坦な液晶配向膜を形成することのできる、液晶配向膜形成用組成物、及びこの組成物を用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶配向膜形成用組成物は、液滴吐出法で液晶配向膜を形成する際に用いられる液晶配向膜形成用組成物であって、表面張力が37mN/m以上の第1有機溶剤Aと、表面張力が32mN/m未満の第2有機溶剤Bとを含む混合溶剤と、該混合溶剤に溶解されてなる液晶配向膜形成用材料と、を含有してなり、前記第1有機溶剤Aおよび前記第2有機溶剤Bは、それぞれ単一種あるいは複数種の有機溶剤によって構成され、前記第1有機溶剤Aは、該第1有機溶剤Aを構成する有機溶剤として、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含み、前記低混合有機溶剤A1は、前記混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%以上であることを特徴としている。
【0009】
なお、本発明において、「水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1」とは、「20℃の水100gに対して、相分離を起こすことなく互いに溶解する(相溶する)20℃の有機溶剤A(A1)の量が、25g以下である有機溶剤A(A1)」を、意味している。すなわち、25gを越えると互いに相分離を起こしてしまう、有機溶剤Aを意味している。
【0010】
この液晶配向膜形成用組成物によれば、第1有機溶剤Aを構成する有機溶剤として、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含み、この低混合有機溶剤A1の、前記混合溶剤全体に占める混合割合を20重量%以上にしているので、乾燥時において、この組成物から形成される塗布層中の混合溶剤の吸湿性が低下し、また、混合溶剤が吸湿しても、一定以上の量の水分は特に低混合有機溶剤A1とは相溶することなく相分離を起こすようになる。したがって、少なくともこの低混合有機溶剤A1の溶解能(溶解性)が吸湿によって著しく低下することがなく、これにより、吸湿に起因して固形分(溶質)が部分的に析出するといったことが抑制される。よって、乾燥を例えば60℃以下の低温で行うことが可能になり、これにより、乾燥時間を長くして塗布層中の固形分(液晶配向膜形成用材料)の対流時間を長くすることが可能になる。
【0011】
また、前記したように一般的に良溶媒であって濡れ性が小さい第1有機溶剤Aと、一般的に貧溶媒であって濡れ性が大きい第2有機溶剤Bとを含有する混合溶剤を用いているので、特に濡れ性が大きい第2有機溶剤Bを用いたことにより、スジムラはもちろん、得られる液晶配向膜がエッジ部分でしみ上がるといった不都合が抑えられ、しかも、濡れ性が小さい第1有機溶剤Aを用いたことで、濡れ拡がりすぎて隣り合う液滴どうしが互いにくっつき、得られる液晶配向膜が所望の厚さで均一に形成されなくなるおそれも軽減される。
したがって、この液晶配向膜形成用組成物によれば、例えば基板として大型のものを用い、液滴吐出装置として吐出ヘッドを複数連結したマルチヘッドを用いた場合でも、固形分((液晶配向膜形成用材料))を基板上に均一に分布させることにより、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、均質で平坦な液晶配向膜を得ることができる。
【0012】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、前記第2有機溶剤Bの、前記混合溶剤全体に占める混合割合が、3重量%以上50重量%以下であるのが好ましい。
濡れ性が大きい第2有機溶剤Bを3重量%以上配合することで、液晶配向膜形成用組成物の基板(液晶配向膜形成面)に対する良好な濡れ性が確保される。また、50重量%以下とすることで、貧溶媒である第2有機溶剤Bが混合溶剤中の過半を占めることがなく、これにより液晶配向膜形成材料に対する混合溶剤の良好な溶解性が確保される。
【0013】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、前記低混合有機溶剤A1は、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンのうちの少なくとも一種を含んでいるが好ましい。
前記の各溶剤は、水100gに対して相分離を起こすことなく互いに溶解する(相溶する)量が、25g以下であり、したがってこれら溶剤を含む混合溶剤の吸湿性を低下させ、また、吸湿した場合にも一定以上の量の水分とは相溶することなく相分離を起こすようになる。
【0014】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、前記第1有機溶剤Aは、前記低混合有機溶剤A1以外の高混合有機溶剤A2として、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノンのうちの少なくとも一種を含んでいるのが好ましい。
前記の各溶剤は、液晶配向膜形成材料に対してより良好な溶解性を有する良溶媒であり、したがってこれらのうちの少なくとも一種を用いることにより、液晶配向膜形成材料に対する混合溶剤のより良好な溶解性が確保される。
【0015】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、前記第2有機溶剤Bは、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの少なくとも一種を含んでいるのが好ましい。
これら各溶剤は、後述する実験結果で確認されたように、液晶配向膜の形成をより良好にすることのできるものとなる。
【0016】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、液晶配向膜形成用材料からなる固形分の濃度が、1重量%以上10重量%以下であって、粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下、表面張力が30mN/m以上45mN/m以下に調整されてなるのが好ましい。
固形分濃度が1重量%未満であると、得られる配向膜の膜厚が薄くなりすぎ、良好な液晶配向膜とならなくなるおそれがあるからであり、固形分濃度が10重量%を超えると、得られる配向膜の膜厚が厚くなりすぎ、やはり良好な液晶配向膜とならなくなるおそれがあるとともに、液晶配向膜形成用組成物の粘性が増大し、液滴吐出法による吐出性が低下するからである。
また、粘度を3mPa・s以上20mPa・s以下に調整することで、流動性が良好となり、したがって液滴吐出法による良好で安定したな吐出性を確保することができる。さらに、表面張力を30mN/m以上45mN/m以下に調整することで、基板表面への濡れ性が良好となり、したがって液滴吐出法によって均一な厚みの液晶配向膜を効率よく形成することができる。
【0017】
また、前記液晶配向膜形成用組成物においては、前記液晶配向膜形成用材料が、以下の式(I)
【化1】

(式中、Pは4価の有機基であり、Qは2価の有機基を表す。)で示される繰り返し単位、および以下の式(II)
【化2】

(式中、Pは4価の有機基であり、Qは2価の有機基を表す。)で示される繰り返し単位から選ばれる、少なくとも一種を有する重合体であるのが好ましい。
【0018】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、前記の液晶配向膜形成用組成物を、液滴吐出法で基板表面に塗布し、液晶配向膜を形成する工程を有することを特徴としている。
この製造方法によれば、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、また、例えば大型の基板に対しても均質で平坦な液晶配向膜を得ることができるので、高品質の液晶表示装置を低コストで効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明の液晶配向膜形成用組成物について説明する。
本発明の液晶配向膜形成用組成物(以下、「本発明組成物」ということがある。)は、液滴吐出装置を用いた液滴吐出法によって液晶配向膜を形成する際に用いられるインクであって、表面張力が37mN/m以上の第1有機溶剤Aと、表面張力が32mN/m未満の第2有機溶剤Bとを含む混合溶剤と、該混合溶剤に溶解されてなる液晶配向膜形成用材料と、を含有してなるものである。
【0020】
前記第1有機溶剤Aおよび前記第2有機溶剤Bは、それぞれ単一種あるいは複数種の有機溶剤によって構成されたものである。そして、前記第1有機溶剤Aを構成する有機溶剤は、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含んでおり、このような低混合有機溶剤A1は、前記混合溶剤全体に占める混合割合が、20重量%以上になっている。
ここで、「水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1」とは、前述したように、「20℃の水100gに対して、相分離を起こすことなく互いに溶解する(相溶する)20℃の有機溶剤A(A1)の量が、25g以下である有機溶剤A(A1)、すなわち、25gを越えると互いに相分離を起こしてしまう、有機溶剤A」を意味している。
【0021】
まず、前記混合溶剤の具体例について説明する。
(混合溶剤)
本発明組成物においては、液晶配向膜形成用材料を溶解する溶媒として、表面張力が37mN/m以上の第1有機溶剤Aと、表面張力が32mN/m未満の第2有機溶剤Bとが用いられ、これらが混合されたことにより、混合溶剤が形成される。
【0022】
第1有機溶剤Aとしては、非プロトン性極性溶剤又はフェノール系溶剤であり、表面張力が37mN/m以上の溶剤の少なくとも一種が選択され、用いられる。非プロトン性極性溶剤としては、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられる。中でも、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、平滑性に優れる高品質な液晶配向膜を効率よく形成できる観点から、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒の使用が好ましい。
【0023】
アミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
【0024】
また、フェノール系溶媒としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール;o−キシレノール、m−キシレノール、p−キシレノール等のキシレノール;フェノール;o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール等のハロゲン化フェノール;等が挙げられる。
【0025】
ただし、本発明においては、このような有機溶剤のうち、特に水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を必須としている。このような低混合有機溶剤A1として具体的には、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)のうちの少なくとも一種が用いられる。これら各溶剤の、20℃における、水100gに対して混合可能な量(水100gに対して相分離を起こすことなく互いに溶解する(相溶する)量)、及び沸点は、以下の通りである。
・炭酸エチレン(エチレンカーボネート)
混合可能な量;21g 沸点;238℃
・炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)
混合可能な量;22g 沸点;242℃
・炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)
混合可能な量; 7g 沸点;240℃
【0026】
このような低混合有機溶剤A1を用いることにより、後述するように本発明組成物は、基板上に吐出され塗布されて塗布層とされた後、乾燥工程において、大気中の水分が吸収されにくくなり、また相分離を起こし易くなることにより、固形分が析出しにくくなる。
また、このような低混合有機溶剤A1は、前記混合溶剤全体に占める混合割合が、20重量%以上となるように配合され、好ましくは50重量%以上配合される。20重量%未満になると、混合溶剤全体での「水と混合可能な量が」が多くなり、吸湿性が高くなることなどで、乾燥工程において固形分を析出し易くなるからである。
【0027】
また、本発明では、このような低混合有機溶剤A1とは別に、第1有機溶剤Aとして、水100gに対して混合可能な量が25gを越える高混合有機溶剤A2を含んでいてもよい。具体的には、高混合有機溶剤A2として、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノンのうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。これらの溶剤は、液晶配向膜形成材料に対してより良好な溶解性を有する良溶媒であり、したがってこれらのうちの少なくとも一種を用いることにより、液晶配向膜形成材料に対する混合溶剤のより良好な溶解性を確保することができる。なお、これら溶剤は、水との相溶性が非常に高く、どのような割合で混ぜても相分離しないものとなっている。
【0028】
ここで、前記したように表面張力が37mN/m以上であって表面張力が比較的大きい第1有機溶剤Aは、液晶配向膜の形成面となる基板表面に対して濡れ性が小さいものとなる。したがって、この第1有機溶剤Aだけしか配合しないと、これのみを配合した組成物は基板表面に対して濡れ性が悪く、十分な成膜ができなくなってしまう。
【0029】
そこで、本発明の組成物においては、前記混合溶剤として、表面張力が32mN/m未満と比較的小さく、したがって濡れ性の良い第2有機溶剤Bを含有したものが用いられている。第2有機溶剤Bとしては、前記したように表面張力が32mN/m未満の溶剤の少なくとも一種が選択され、用いられる。
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等のエステル系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
また、本発明の組成物においては、このような第2有機溶剤Bを構成する有機溶剤として、特にジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの少なくとも一種が好適に用いられる。これら各溶剤は、後述する実験結果で確認されたように、液晶配向膜の形成をより良好にすることができるからである。なお、これら溶剤も、水との相溶性が非常に高く、どのような割合で混ぜても相分離しないものとなっている。
【0031】
また、これらの溶剤は、後述する液晶配向膜形成材料に対しては良好な溶解性を示さず、したがって貧溶媒となるものの、前記したように基板表面に対しての濡れ性が大きいことから、液晶配向膜形成用組成物の濡れ拡がり不足に起因する膜厚ムラ(スジムラ)や、形成した液晶配向膜のエッジ部分におけるしみ上がり(隆起)を防止することに寄与するものとなる。
【0032】
このような第2有機溶剤Bの、前記混合溶剤全体に占める混合割合としては、3重量%以上50重量%以下であるのが好ましい。濡れ性が大きい第2有機溶剤Bを3重量%以上配合することで、液晶配向膜形成用組成物の基板(液晶配向膜形成面)に対する良好な濡れ性を確保することができ、これによりスジムラがなく、均質で平坦な液晶配向膜を形成することが可能となる。また、50重量%以下とすることで、貧溶媒である第2有機溶剤Bが混合溶剤中の過半を占めることがなく、これにより液晶配向膜形成材料に対する混合溶剤の良好な溶解性を確保し、良好な成膜性を得ることができる。
【0033】
なお、このような第1有機溶剤Aと第2有機溶剤Bとを含む混合溶剤は、該混合溶剤に液晶配向膜形成用材を溶解することで得られる本発明組成物(液晶配向膜形成用組成物)の使用形態によって、第1有機溶剤Aと第2有機溶剤Bとの好ましい混合割合が異なる。すなわち、この組成物が用いられる液晶表示装置の表示方式がVA方式である場合には、混合溶剤全体に占める第1有機溶剤A(良溶媒)の混合割合が、50重量%以上70重量%以下とされ、第2有機溶剤B(貧溶媒)の混合割合が、30重量%以上50重量%以下とされる。また、液晶表示装置の表示方式がIPS方式である場合には、混合溶剤全体に占める第1有機溶剤A(良溶媒)の混合割合が、60重量%以上95重量%以下とされ、第2有機溶剤B(貧溶媒)の混合割合が、5重量%以上40重量%以下とされる。
【0034】
また、表示方式がVA方式である場合には、混合溶剤全体に占める前記低混合有機溶剤A1の混合割合は、20重量%以上、100重量%以下の範囲で良好な成膜性が確保される。一方、IPS方式である場合では、良好な成膜性を確保するためには、混合溶剤全体に占める前記低混合有機溶剤A1の混合割合を、20重量%以上、60重量%以下の範囲とするのが好ましい。
【0035】
次に、前記混合溶剤に溶解される、固形分となる液晶配向膜形成用材料について説明する。
(液晶配向膜形成用材料)
本発明組成物に用いられる液晶配向膜形成用材料としては、特に制限されず、従来公知の液晶配向膜形成用材料が使用できる。例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、優れた液晶配向能を有する配向膜を形成できる等の理由から、前記式(I)で示される繰り返し単位、及び前記式(II)で示される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種を有する重合体であるのが好ましい。
【0037】
このような重合体としては、(i)前記式(I)で示される繰り返し単位を有するポリアミック酸、(ii)前記式(II)で示される繰り返し単位を有するイミド化重合体、(iii)前記式(I)で示される繰り返し単位を有するアミック酸プレポリマーと、前記式(II)で示される繰り返し単位を有するイミドプレポリマーとを有してなるブロック共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上を組み合わせて用いる場合には、ポリアミック酸とイミド化重合体とを混合して用いるのが好ましい。
【0038】
(i)ポリアミック酸
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成に用いるテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3'−(テトラヒドロフラン−2',5'−ジオン)、下記式(1)及び(2)で示される化合物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0039】
【化3】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して芳香環を有する2価の有機基を表す。)
【0040】
ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(3)〜(6)で表されるステロイド骨格を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
【化4】

【0042】
ポリアミック酸の合成に用いるジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;
【0043】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族及び脂環式ジアミン;
【0044】
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン等の、分子内に2つの1級アミノ基及び該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;式(7)
【0045】
【化5】

(式中、R10〜R13は、それぞれ独立して炭素数1〜12の炭化水素基を表し、p、rはそれぞれ独立して1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)で示されるジアミノオルガノシロキサン等が挙げられる。これらのジアミンは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
また、本発明組成物にプレチルト角発現性を付与したい場合には、前記式(I)におけるQ及び/又は前記式(II)におけるQの一部又は全部が、下記式(8)及び(9)で表される少なくとも一種の基であることが好ましい。
【0047】
【化6】

(式中、Xは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−又はアリーレン基であり、R14は、炭素数10〜20のアルキル基、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価の有機基又は炭素数6〜20のフッ素原子を有する1価の有機基である。)
【0048】
【化7】

(式中、X、Xはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−又はアリーレン基であり、R15は、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する2価の有機基である。)
【0049】
前記式(8)において、R14で表される炭素数10〜20のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。
【0050】
また、前記式(8)におけるR14、及び前記式(9)におけるR15で表される炭素数4〜40の脂環式骨格を有する有機基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカン等のシクロアルカン由来の脂環式骨格を有する基;コレステロール、コレスタノール等のステロイド骨格を有する基;ノルボルネン、アダマン
タン等の有橋脂環式骨格を有する基等が挙げられる。なお、前記脂環式骨格を有する有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子や、フルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基で置換された基であってもよい。
【0051】
さらに、前記式(8)におけるR14で表される炭素数6〜20のフッ素原子を有する有機基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の炭素数6以上の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数6以上の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基等の炭素数6以上の芳香族炭化水素基等の有機基における水素原子の一部又は全部を、フッ素原子又はトリフルオロメチル基等のフルオロアルキル基で置換した基が挙げられる。
【0052】
また、前記式(8)及び(9)におけるX〜Xのアリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0053】
前記式(8)で表される基を有するジアミンの具体例としては、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、下記式(10)〜(15)で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0054】
【化8】

【0055】
また、前記式(9)で表される基を有するジアミンの具体例としては、下記式(16)〜(18)で表されるジアミンを好ましいものとして挙げることができる。
【0056】
【化9】

【0057】
特定ジアミンの全ジアミン量に対する使用割合は、発現させたいプレチルト角の大きさによっても異なるが、TN型、STN型液晶表示素子の場合には0〜5モル%、垂直配向型液晶表示素子の場合には5〜100モル%が好ましい。
【0058】
ポリアミック酸は、上述したテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、適当な有機溶媒中、通常−20℃〜+150℃、好ましくは0〜100℃で反応させることにより、製造することができる。
【0059】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0060】
ポリアミック酸の合成反応に用いる有機溶媒としては、ポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド等の非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒;等が挙げられる。
【0061】
有機溶媒の使用量(α)は、通常、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0062】
なお、前記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒を、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。
【0063】
ポリアミック酸の貧溶媒としては、前記、液晶配向膜形成用材料の貧溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
ポリアミック酸を含む反応液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することにより、ポリアミック酸を単離することができる。
また、得られたポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回又は数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
【0065】
(ii)イミド化重合体
イミド化重合体は、前記ポリアミック酸を、公知の方法、例えば特開2003−295195号公報に記載された方法により、脱水閉環させることで得ることができる。なお、イミド化重合体は、繰り返し単位の100%が脱水閉環していなくてもよく、全繰り返し単位におけるイミド環を有する繰り返し単位の割合(以下、「イミド化率」ともいう。)が100%未満のものであってもよい。
【0066】
イミド化重合体のイミド化率は特に制限されないが、好ましくは40モル%以上、より好ましくは70モル%以上である。イミド化率が40モル%以上の重合体を用いることにより、残像消去時間の短い液晶配向膜が形成可能な液晶配向膜形成用組成物を得ることができる。
【0067】
本発明で用いる重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向膜形成用組成物の塗布適性等を改善することができる。
【0068】
このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物等を反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物等が挙げられる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン等が挙げられる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
【0069】
(iii)ブロック共重合体
ブロック共重合体は、末端にアミノ基又は酸無水物基を有するアミック酸プレポリマーと、末端に酸無水物基又はアミノ基を有するイミドプレポリマーとをそれぞれ合成し、各プレポリマーの末端のアミノ基と酸無水物基とを結合させることにより、得ることができる。
【0070】
アミック酸プレポリマーは、上述したポリアミック酸の合成方法と同様の方法により合成することができる。また、イミドプレポリマーは、上述したイミド化重合体の合成方法と同様にして合成することができる。なお、末端に有する官能基の選択は、ポリアミック酸合成時のテトラカルボン酸二無水物とジアミンの量を調整することにより行うことができる。
【0071】
本発明組成物には、基板表面に対する接着性を向上させる目的で、前記混合溶剤及び液晶配向膜形成用材料の他に、官能性シラン含有化合物又はエポキシ基含有化合物を含有させてもよい。
【0072】
用いる官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物としては、特に制限なく、従来公知のものを使用することができる。これら官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物の配合割合は、液晶配向膜形成用材料100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
【0073】
本発明組成物は、前記液晶配向膜形成用材料及び所望により官能性シラン含有化合物等を、前記混合溶媒に溶解又は分散、好ましくは溶解させることによって製造することができる。
【0074】
本発明組成物における、前記液晶配向膜形成用材料からなる固形分の濃度については、粘性や表面張力等を考慮して選択されるが、好ましくは1重量%以上10重量%以下の範囲とされる。固形分濃度が1重量%未満であると、得られる配向膜の膜厚が薄くなりすぎ、良好な液晶配向膜とならなくなるおそれがあるからである。また、固形分濃度が10重量%を超えると、得られる配向膜の膜厚が厚くなりすぎ、やはり良好な液晶配向膜とならなくなるおそれがあるとともに、液晶配向膜形成用組成物の粘性が増大し、液滴吐出法による吐出性が低下するからである。
【0075】
本発明組成物の粘度については、特に制限されないものの、3mPa・s以上20mPa・s以下(20℃)の範囲に調整しておくのが好ましい。この範囲に粘度を調整することにより、流動性が良好となり、したがって液滴吐出法による良好で安定したな吐出性を確保することができる。
また、本発明組成物の表面張力については、特に制限されないものの、30mN/m以上45mN/m以下(20℃)の範囲に調整しておくのが好ましい。この範囲に表面張力を調整することにより、基板表面への濡れ性が良好となり、したがって液滴吐出法によって均一な厚みの液晶配向膜を効率よく形成することができる。
【0076】
本発明組成物によれば、第1有機溶剤Aを構成する有機溶剤として、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含み、この低混合有機溶剤A1の、前記混合溶剤全体に占める混合割合を20重量%以上にしているので、乾燥時において、この組成物から形成される塗布層中の混合溶剤の吸湿性が、前記低混合有機溶剤A1の混合割合が20重量%未満の場合に比べて低下する。また、混合溶剤が吸湿しても、低混合有機溶剤A1は、一定以上の量の水分とは相溶することなく相分離を起こすようになる。したがって、少なくともこの低混合有機溶剤A1の、固形分(溶質)に対する溶解能(溶解性)が吸湿によって著しく低下することがなく、これにより、乾燥途中で吸湿に起因して固形分(溶質)が部分的に析出し、白濁するといった不都合が抑制される。よって、乾燥を例えば60℃以下の低温で行うことが可能になり、これにより、乾燥時間を長くして塗布層中の固形分(液晶配向膜形成用材料)の対流時間を長くすることができる。
【0077】
また、前記したように一般的に良溶媒であって濡れ性が小さい第1有機溶剤Aと、一般的に貧溶媒であって濡れ性が大きい第2有機溶剤Bとを含有する混合溶剤を用いているので、特に濡れ性が大きい第2有機溶剤Bを用いたことにより、スジムラはもちろん、得られる液晶配向膜がエッジ部分でしみ上がるといった不都合が抑えられ、しかも、濡れ性が小さい第1有機溶剤Aを用いたことで、濡れ拡がりすぎて隣り合う液滴どうしが互いにくっつき、得られる液晶配向膜が所望の厚さで均一に形成されなくなるおそれも軽減される。
【0078】
したがって、この組成物によれば、例えば基板として大型のものを用い、液滴吐出装置として吐出ヘッドを複数連結したマルチヘッドを用いた場合でも、固形分((液晶配向膜形成用材料))を基板上に均一に分布させることにより、膜厚ムラ(スジムラ)がなく、均質で平坦な液晶配向膜を得ることができる。よって、本発明の液晶配向膜形成用組成物を用いることにより、高品質な液晶表示装置を製造することができる。
【0079】
次に、本発明の液晶配向膜形成用組成物を用いた液晶表示装置の製造方法について説明する。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、前記した本発明組成物を、液滴吐出法で基板表面に塗布し、液晶配向膜を形成する工程を有している。
【0080】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、例えば、図1に示す液晶表示装置の製造ラインを用いて実施することができる。
図1に示すように、液晶表示装置製造ラインIは、各工程においてそれぞれ用いられる洗浄装置1、親液化処理装置2、液滴吐出装置3a、乾燥装置4、焼成装置5、ラビング装置6、液滴吐出装置3b、液滴吐出装置3c、貼り合せ装置7、各装置を接続するベルトコンベアA、ベルトコンベアAを駆動させる駆動装置8、及び液晶表示装置製造ラインI全体の制御を行う制御装置9により構成されている。
【0081】
本発明に用いる液滴吐出装置の例を図2に示す。図2は、インクジェット式の吐出装置3aの構成の概略を示す図である。吐出装置3aとしては、いわゆるインクジェット方式の吐出装置であれば、特に制限されない。例えば、ピエゾ素子を利用する圧縮により、液滴の吐出を行うピエゾ方式の吐出装置や、加熱発泡により気泡を発生し、液滴の吐出を行うサーマル方式の吐出装置等が挙げられる。
【0082】
この吐出装置3aは、基板上に吐出物(本発明組成物)を吐出するインクジェットヘッド22を備えている。このインクジェットヘッド22は、本実施形態では、ヘッド本体24及び吐出物を吐出する多数のノズルが形成されているノズル形成面26を備えた吐出ヘッド(図示せず)を、複数連結してなるマルチヘッドによって構成されている。このマルチヘッドのノズル形成面26のノズルから、基板上に前記した本発明組成物が吐出されるようになっている。
【0083】
また、この吐出装置3aは、基板を載置するテーブル28を備えている。このテーブル28は、所定の方向、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に設置されている。また、テーブル28は、図中矢印で示すようにX軸に沿った方向に移動することにより、ベルトコンベアAにより搬送される基板をテーブル28上に載置して吐出装置3a内に取り込む。
【0084】
また、インクジェットヘッド22には、ノズル形成面26に形成されているノズルから吐出される吐出物を収容しているタンク30が接続されている。すなわち、タンク30とインクジェットヘッド22とは、吐出物を搬送する吐出物搬送管32によって接続されている。
【0085】
この吐出物搬送管32は、吐出物搬送管32の流路内の帯電を防止するための吐出物流路部アース継手32aとヘッド部気泡排除弁32bとを備えている。このヘッド部気泡排除弁32bは、後述する吸引キャップ40により、インクジェットヘッド22内の吐出物を吸引する場合に用いられる。すなわち、吸引キャップ40によりインクジェットヘッド22内の吐出物を吸引するときは、このヘッド部気泡排除弁32bを閉状態にし、タンク30側から吐出物が流入しない状態にする。そして、吸引キャップ40で吸引すると、吸引される吐出物の流速が上がり、インクジェットヘッド22内の気泡が速やかに排出されることになる。
【0086】
吐出装置3aは、タンク30内に収容されている吐出物の収容量、すなわち、タンク30内に収容されている吐出物(本発明組成物)の液面34aの高さを制御するための液面制御センサ36を備えている。この液面制御センサ36は、インクジェットヘッド22が備えるノズル形成面26の先端部27とタンク30内の液面34aとの高さの差h(以下、水頭値という)を所定の範囲内に保つ制御を行う。液面34aの高さを制御することで、タンク30内の吐出物34が所定の範囲内の圧力でインクジェットヘッド22に送られることになる。そして、所定の範囲内の圧力で吐出物34を送ることで、インクジェットヘッド22から安定的に吐出物34を吐出することができる。
【0087】
また、インクジェットヘッド22のノズル形成面26に対向して一定の距離を隔てて、インクジェットヘッド22のノズル内の吐出物を吸引する吸引キャップ40が配置されている。この吸引キャップ40は、図2中に矢印で示すZ軸に沿った方向に移動可能に構成されており、ノズル形成面26に形成された複数のノズルを囲むようにノズル形成面26に密着し、ノズル形成面26との間に密閉空間を形成してノズルを外気から遮断できる構成となっている。
【0088】
なお、吸引キャップ40によるインクジェットヘッド22のノズル内の吐出物の吸引は、インクジェットヘッド22が吐出物34を吐出していない状態、例えば、インクジェットヘッド22が、退避位置等に退避しており、テーブル28が破線で示す位置に退避しているときに行われる。
【0089】
また、この吸引キャップ40の下方には、流路が設けられており、この流路には、吸引バルブ42、吸引異常を検出する吸引圧検出センサ44及びチューブポンプ等からなる吸引ポンプ46が配置されている。また、この吸引ポンプ46等で吸引され、流路を搬送されてきた吐出物34は、廃液タンク48内に収容される。
なお、以下に述べる説明では、液滴吐出装置3b、3cは、吐出する材料が異なる点を除き、吐出装置3aと同じ構成のものを使用している。
【0090】
次に、本発明を、図3に示す液晶表示装置を製造する場合を例にとって詳細に説明する。図3は、本実施形態により製造される液晶表示装置の断面の概略を示す図である。
図3に示す液晶表示装置は、パッシブマトリクス方式の半透過反射型カラー液晶表示装置である。液晶表示装置50は、ガラス、プラスチック等からなる矩形平板形状の下基板52aと、上基板52bとがシール材及びスペーサ(図示せず)を介して対向配置され、この下基板52aと上基板52bとの間に液晶層56が挟持されている。
【0091】
下基板52aと液晶層56との間には、下基板52aの側から複数のセグメント電極58及び液晶配向膜60が形成されている。セグメント電極58は、図3に示すように、ストライプ状に形成されており、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電膜により形成されている。また、液晶配向膜60は、液晶配向膜形成用材料により形成されている。
【0092】
また、上基板52bと液晶層56との間には、上基板52b側から順に、カラーフィルタ62、オーバーコート膜66、コモン電極68及び液晶配向膜70が形成されている。カラーフィルタ62は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色素層62r、62g、62bから構成されており、カラーフィルタ62を構成する各色素層62r、62g、62bの間(境界)には、樹脂ブラックや光の反射率が低いクロム(Cr)等の金属により構成されるブラックマトリクス64が形成されている。なお、カラーフィルタ62を構成する各色素層62r、62g、62bは下基板52aに形成されているセグメント電極58に対向して配置されている。
【0093】
オーバーコート膜66は、各色素層62r、62g、62b間の段差を平坦化すると共に各色素層の表面を保護するものであり、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン酸化膜等の無機膜により形成されている。
コモン電極68は、ITO等の透明導電膜から形成されており、下基板52aに形成されているセグメント電極58と直交する位置にストライプ状に形成されている。
また、液晶配向膜70は、ポリイミド樹脂等により形成されている。
【0094】
図3に示す液晶表示装置は、図4に示すように、(S10)〜(S19)の各ステップを経て製造することができる。以下、各ステップを順に説明する。
【0095】
(S10)
まず、液晶配向膜を形成する基板を用意する。
基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラス等のガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等のプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなる膜、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜等を用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。本実施形態においては、セグメント電極58が形成された下基板52aを用いる。
【0096】
次に、この基板の配向膜を形成する表面を洗浄する(S10)。すなわち、セグメント電極58が形成された下基板52aが、ベルトコンベアAにより洗浄装置1まで搬送され、ベルトコンベアAにより搬送された下基板52aが洗浄装置1内に取り込まれ、アルカリ系洗剤、純水等を用いて下基板52aが洗浄された後、所定の温度及び時間、例えば、80〜90℃で5〜10分間、乾燥処理が行われる。
洗浄及び乾燥が行われた下基板52aは、ベルトコンベアAにより親液化処理装置2まで搬送される。
【0097】
(S11)
次に、洗浄及び乾燥が行われた基板表面が親液化処理される(S11)。すなわち、ベルトコンベアAにより親液化処理装置2まで搬送された基板、例えば、下基板52aが、親液化処理装置2内に取り込まれ、紫外線照射又はプラズマ処理により表面が親液化処理される。親液化処理を施すことにより、液晶配向膜形成用組成物(本発明組成物)のぬれ性がさらに向上し、より均一、平坦でかつ密着性に優れる液晶配向膜を基板上に形成することができる。
【0098】
(S12)
次に、S11において親液化処理された基板上に本発明組成物が塗布される(S12)。すなわち、まず、ベルトコンベアAにより液滴吐出装置3aまで搬送された基板、例えば、下基板52aが、テーブル28に載置されて液滴吐出装置3a内に取り込まれる。液滴吐出装置3a内においては、タンク30内に収容されている本発明組成物がノズル形成面26のノズルを介して吐出され、下基板52a上に本発明組成物が塗布される。これにより、本発明組成物からなる塗布層が形成される。
【0099】
(S13)
次に、基板に塗布された塗布層を仮乾燥(乾燥)する処理が行われる(S13)。すなわち、ベルトコンベアAにより乾燥装置4まで搬送された基板、例えば、下基板52aが乾燥装置4内に取り込まれ仮乾燥が行われる。ここで、本例では、本発明組成物からなる塗布層を乾燥するので、前述したように例えば60℃程度の低温で2分〜3分程度乾燥処理することができる。
このようにして塗布された本発明組成物の仮乾燥が行われた下基板52aは、ベルトコンベアAへと移され、ベルトコンベアAにより焼成装置5へと搬送される。
【0100】
(S14)
次に、仮乾燥が行われた本発明組成物を焼成する処理が行われる(S14)。すなわち、ベルトコンベアAにより焼成装置5まで搬送された基板、例えば、下基板52aが焼成装置5内に取り込まれ、例えば、180〜250℃に焼成する処理がなされる。
【0101】
なお、ポリアミック酸を含有する液晶配向膜形成用組成物(本発明組成物)を使用する場合には、この焼成する処理によって脱水閉環が進行し、よりイミド化された塗膜となる場合がある。
形成される塗膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
以上のようにして、図5に示すように、本発明組成物の塗膜60aが形成された下基板52aを得る。
この下基板52aは、ベルトコンベアAへと移され、ベルトコンベアAによりラビング装置6へと搬送される。
【0102】
(S15)
次に、基板上に形成された本発明組成物の塗膜60aのラビング処理が行われる(S15)。すなわち、ベルトコンベアAによりラビング装置6まで搬送された基板、例えば、下基板52aがラビング装置6内に取り込まれ、例えばナイロン、レーヨン、コットン等の繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、図6に示すように、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜60が形成される。
【0103】
また、本発明組成物により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の液晶配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することもできる。
【0104】
(S16)
液晶配向膜60が形成された下基板52aは、ベルトコンベアAへと移され、ベルトコンベアAにより液滴吐出装置3bまで搬送され、液滴吐出装置3b内に取り込まれる。液滴吐出装置3bにおいては、図7(a)、(b)に示すように、ラビング処理された液晶配向膜60上の液晶表示領域Bを取り囲むように、シール層形成用溶液が塗布される(S16)。図7において、59aは、シール層形成用溶液の塗膜である。なお、図7(a)は工程上面図であり、図7(b)は水平方向から見た工程断面図である。
【0105】
ここで、シール層形成用溶液としては、下基板と上基板とを接合するための接着剤として従来公知のものを使用することができる。例えば、電離放射線硬化性樹脂等を含有する液滴(電離放射線硬化性樹脂組成物)、熱硬化性樹脂等を含有する液滴(熱硬化性樹脂組成物)が挙げられ、作業性に優れることから電離放射線硬化性樹脂組成物の使用が好ましい。熱硬化性樹脂組成物や電離放射線硬化性樹脂組成物としては、特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
【0106】
(S17)
次に、シール層形成用溶液が塗布された基板は、ベルトコンベアAへと移され、ベルトコンベアAにより、液滴吐出装置3cまで搬送された基板が液滴吐出装置3c内に取り込まれる。液滴吐出装置3cにおいては、図8に示すように、前記シール層形成用溶液の塗膜59aで囲まれた液晶層形成領域Aに、液晶材料56が塗布される(S17)。
【0107】
ここで、液晶材料56としては、特に制限されず、従来公知のものが使用できる。
液晶モードとしては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型等が挙げられる。
【0108】
また、液晶材料はスペーサーを含有するものであってもよい。スペーサーは液晶層の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。スペーサーの材料としては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
また、液晶材料とは別個に、液晶材料を塗布する前、あるいは塗布した後にスペーサーを含む機能液を塗布してもよい。
【0109】
(S18)
次に、液晶材料56が塗布された基板は、図9(a)に示すように、貼り合せ装置の真空チャンバー90a内に搬送され、チャンバー9a内を真空にした後、下定盤80a上に吸引固定される。一方、カラーフィルタ62、ブラックマトリクス64、オーバーコート膜66、コモン電極68及び液晶配向膜70(これらの図示は省略されている)が形成された基板(上基板)52bを上定盤80b上に吸引固定し、下基板52aと上基板52bとを貼り合せる(S18)。
【0110】
下基板52aと上基板52bとを貼り合せる際の位置合せは、具体的には、下基板52aと上基板52bに予め設けてあるアラインメントマークをカメラで認識させながら、行うことができる。このとき位置合せ精度を上げるため、下基板52aと上基板52bの間隔を0.2〜0.5mm程度にして位置合せを行うのが好ましい。
【0111】
(S19)
次に、下基板52aと上基板52bとを貼り合せた積層物の硬化処理が行われる。硬化処理は、硬化装置を使用して行われる(S19)。硬化装置としては、電離放射線の照射装置や加熱装置等が挙げられるが、本実施形態では紫外線照射装置82を使用する。すなわち、図9(b)に示すように、紫外線照射装置82により紫外線を照射して、シール層59aを硬化させる。
次いで、チャンバー9a内の減圧を大気圧に開放し、下基板52a及び上基板52bの吸着を開放する。
【0112】
その後は、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致又は直交するように貼り合せる。ここで、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0113】
以上のようにして、図3に示す液晶表示装置を製造することができる。
得られた液晶表示装置は、液滴吐出装置3aにより、本発明組成物が塗布されて形成された液晶配向膜を有しているので、高品質で低コストな液晶表示装置となる。
【0114】
なお、本実施形態においては、S15において、ラビング処理を施す方法により液晶配向膜を形成しているが、例えば、特開2004−163646号公報に開示されている、偏光された放射線を照射する方法等により液晶配向能を施すこともできる。
また、本実施形態においては、S17において、液晶材料を液滴吐出装置3cを使用して塗布することにより液晶層を形成しているが、液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交又は逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶層を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0115】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されないのはもちろんである。
[VA方式用組成物]
まず、液晶表示装置の表示方式がVA方式である場合の、液晶配向膜形成用組成物の実施例について説明する。
【0116】
(実施例1〜6)
第1有機溶媒Aにおける低混合有機溶剤A1として、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)のいずれか一種を用いた。また、実施例2〜6では、第1有機溶媒Aにおける高混合有機溶剤A2として、N−メチル−2−ピロリドンあるいはN,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いた。さらに、第2有機溶媒Bとして、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの一種を用いた。そして、これらを、下記表1に示す割合で混合し、混合溶剤を得た。
(比較例1〜4)
第1有機溶媒Aとして、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)のうちの一種あるいは複数種を用いた。また、第2有機溶媒Bとして、エチレングリコールモノブチルエーテルを用いた。そして、これらを、下記表1に示す割合で混合し、混合溶剤を得た。
【0117】
このようにして得られた混合溶剤(実施例1〜6、比較例1〜4)のそれぞれに、ポリイミド(JSR社製のAL−60601[VA用])を、固形分濃度が3.5重量%となるように溶解し、実施例1〜6及び比較例1〜4の液晶配向膜形成用組成物をそれぞれ作製した。
【0118】
得られた液晶配向膜形成用組成物を、マルチヘッドを備えた液滴吐出装置を用いて、このマルチヘッドからITO基板上へ乾燥膜厚が100nmとなるように塗布し、その後60℃で乾燥を行い、液晶配向膜の成膜を行った。
液晶配向膜形成用組成物からなる塗布層の乾燥中に、該塗布層に固形物(溶質)の析出が生じるか否かを観察し、析出物が観察されなかった場合には○、析出物が僅かに観察された場合には△、析出物が多く観察された場合には×として評価した。また、成膜を良好に行うことができるか否かも確認し、良好に行うことができた場合には○として評価した。
【0119】
【表1】

【0120】
表1に示した結果より、第1有機溶媒Aにおける低混合有機溶剤A1として、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)のいずれか一種を、混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%以上となるように配合した実施例1〜6では、いずれもその乾燥途中において、前記塗布層に固形物(溶質)の析出が認められなかった。また、これら実施例1〜6では、いずれも成膜を良好に行うことができた。
さらに、このようにして得られた液晶配向膜には、マルチヘッドにおけるヘッドの連結部に起因する膜厚ムラ(スジムラ)の発生も認められなかった。
一方、低混合有機溶剤A1の、混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%未満である比較例1〜4では、いずれも前記塗布層に固形物(溶質)の析出が認められた。このような現象は、吸湿によって塗布層中に水分が混入し、混合溶媒の溶解能(溶解性)が低下したことで起きたと考えられる。
【0121】
[IPS方式用組成物]
次に、液晶表示装置の表示方式がIPS方式である場合の、液晶配向膜形成用組成物の実施例について説明する。
【0122】
(実施例1〜6)
第1有機溶媒Aにおける低混合有機溶剤A1として、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)のいずれか一種を用いた。また、第1有機溶媒Aにおける高混合有機溶剤A2として、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノンのうちの一種あるいは複数種を用いた。さらに、第2有機溶媒Bとして、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの一種を用いた。そして、これらを、下記表2に示す割合で混合し、混合溶剤を得た。
(比較例1〜5)
第1有機溶媒Aとして、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)のうちの一種あるいは複数種を用いた。また、第2有機溶媒Bとして、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの一種を用いた。そして、これらを、下記表2に示す割合で混合し、混合溶剤を得た。
【0123】
このようにして得られた混合溶剤(実施例1〜6、比較例1〜5)のそれぞれに、ポリイミド(JSR社製のAL−16470[IPS用])を、固形分濃度が3.5重量%となるように溶解し、実施例1〜6及び比較例1〜5の液晶配向膜形成用組成物をそれぞれ作製した。
【0124】
得られた液晶配向膜形成用組成物を、マルチヘッドを備えた液滴吐出装置を用いて、このマルチヘッドからITO基板上へ乾燥膜厚が100nmとなるように塗布し、その後60℃で乾燥を行い、液晶配向膜の成膜を行った。
液晶配向膜形成用組成物からなる塗布層の乾燥中に、該塗布層に固形物(溶質)の析出が生じるか否かを観察し、析出物が観察されなかった場合には○、析出物が僅かに観察された場合には△、析出物が多く観察された場合には×として評価した。また、成膜を良好に行うことができるか否かも確認し、良好に行うことができた場合には○として評価した。
【0125】
【表2】

【0126】
表2に示した結果より、第1有機溶媒Aにおける低混合有機溶剤A1として、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、炭酸ブチレン(ブチレンカーボネート)のいずれか一種を、混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%以上となるように配合した実施例1〜6では、いずれもその乾燥途中において、前記塗布層に固形物(溶質)の析出が認められなかった。また、これら実施例1〜6では、いずれも成膜を良好に行うことができた。
さらに、このようにして得られた液晶配向膜には、マルチヘッドにおけるヘッドの連結部に起因する膜厚ムラ(スジムラ)の発生も認められなかった。
一方、低混合有機溶剤A1の、混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%未満である比較例1〜5では、いずれも前記塗布層に固形物(溶質)の析出が認められた。このような現象は、吸湿によって塗布層中に水分が混入し、混合溶媒の溶解能(溶解性)が低下したことで起きたと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】実施の形態に係る液晶表示装置製造ラインの一例を示す図である。
【図2】実施の形態に係るインクジェット式吐出装置の概略図である。
【図3】実施の形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す側断面図である。
【図4】実施の形態に係る液晶表示装置の製造方法のフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る液晶表示装置の製造工程説明図である。
【図6】実施の形態に係る液晶表示装置の製造工程説明図である。
【図7】実施の形態に係る液晶表示装置の製造工程説明図である。
【図8】実施の形態に係る液晶表示装置の製造工程説明図である。
【図9】実施の形態に係る液晶表示装置の製造工程説明図である。
【符号の説明】
【0128】
I…液晶表示装置製造ライン、3a、3b、3c…吐出装置、22…インクジェットヘッド、24…ヘッド本体、34…吐出物(液晶配向膜形成用組成物)、50…液晶表示装置、56…液晶層、60,70…液晶配向膜、A…液晶層形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出法で液晶配向膜を形成する際に用いられる液晶配向膜形成用組成物であって、
表面張力が37mN/m以上の第1有機溶剤Aと、表面張力が32mN/m未満の第2有機溶剤Bとを含む混合溶剤と、該混合溶剤に溶解されてなる液晶配向膜形成用材料と、を含有してなり、
前記第1有機溶剤Aおよび前記第2有機溶剤Bは、それぞれ単一種あるいは複数種の有機溶剤によって構成され、
前記第1有機溶剤Aは、該第1有機溶剤Aを構成する有機溶剤として、水100gに対して混合可能な量が25g以下である低混合有機溶剤A1を含み、
前記低混合有機溶剤A1は、前記混合溶剤全体に占める混合割合が20重量%以上であることを特徴とする液晶配向膜形成用組成物。
【請求項2】
前記第2有機溶剤Bの、前記混合溶剤全体に占める混合割合が、3重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項3】
前記低混合有機溶剤A1は、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項4】
前記第1有機溶剤Aは、前記低混合有機溶剤A1以外の高混合有機溶剤A2として、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項3記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項5】
前記第2有機溶剤Bは、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項6】
固形分濃度が1重量%以上10重量%以下であって、粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下、表面張力が30mN/m以上45mN/m以下に調整されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項7】
前記液晶配向膜形成用材料が、以下の式(I)
【化1】

(式中、Pは4価の有機基であり、Qは2価の有機基を表す。)で示される繰り返し単位、および以下の式(II)
【化2】

(式中、Pは4価の有機基であり、Qは2価の有機基を表す。)で示される繰り返し単位から選ばれる、少なくとも一種を有する重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向膜形成用組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向膜形成用組成物を、液滴吐出法で基板表面に塗布し、液晶配向膜を形成する工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258552(P2009−258552A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110239(P2008−110239)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】