説明

液注出容器

【課題】 内容液が残り少なくなり一定量の残量となったときを、笛による音の発生により知ることができるようにしたポンプ付底上げタイプのクリーム状液注出容器を提供する。
【解決手段】 不透明な容器本体と、容器本体の口筒部に取着され、上端にノズルヘッドを取着したポンプと、容器本体の胴周壁内に、上昇可能に嵌挿された摺動底板と、容器本体の下端に取着され笛支持筒を立設した底蓋とからなる液注出容器であって、摺動底板は、下端に底板を連設した筒体を具備し、底板下面に係止片を設け、該係止片に栓体を吊り下げた線材を連設した係止リングを取着し、底蓋は、底板と側周壁とからなり、底板に、笛を支持する笛支持筒を立設し、前記栓体は、笛本体の上端を閉鎖する栓部を有し、笛本体は、下端が大気と連通し、空気の通過によって音を発生するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液注出容器、とくに不透明な容器本体に収納した内容物が一定の残量となったときを確認可能としたポンプ付底上げタイプのクリーム状液注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不透明な容器本体に内容物を収納したポンプ付底上げタイプのクリーム状液注出容器において、摺動底板が一定の上昇位置に達したときに、摺動底板の下面に装着した球体を落下させ、その状態で容器を振ると、球体が容器内面に衝突して音を発生するようにした容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−320886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の容器では、摺動底板の球体保持部が、ポンプのシリンダー下端に圧接したときに、球体が落下するようにしており、そのため、内容液が無くなったときはわかるが、内容液が少なくなり、一定の残量となったときを知ることはできなかった。
そのため、新しい容器を求め、それとの交換を準備しておく時期がわからないという問題が生じるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、遮光のために不透明な容器本体を具えた液注出容器において、内容液の注出時に、内容液が残り少なくなり一定量の残量となったときを、笛による音の発生により知ることができるようにしたポンプ付底上げタイプのクリーム状液注出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、液注出容器として、不透明な容器本体と、容器本体の口筒部に取着され、上端にノズルヘッドを取着したポンプと、容器本体の胴周壁内に、上昇可能に嵌挿された摺動底板と、容器本体の下端に取着され笛支持筒を立設した底蓋とからなる液注出容器であって、摺動底板は、下端に底板を連設した筒体を具備し、底板下面に係止片を設け、該係止片に栓体を吊り下げた線材を連設した係止リングを取着し、底蓋は、底板と側周壁とからなり、底板に、笛を支持する笛支持筒を立設し、前記栓体は、笛本体の上端を閉鎖する栓部を有し、笛本体は、下端が大気と連通し、空気の通過によって音を発生するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
また、栓体の実施例として、栓体が、その栓部底面に空気が流通する小孔を設けていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0006】
摺動底板の底板下面の係止片に、一定の長さを有する線材によって笛支持体を閉鎖する栓体を吊り下げ,底蓋の底板に、下端が外気を連通する笛本体を支持する笛支持体を立設し、摺動底板が一定の上昇位置になったとき、栓体が笛支持体から取外され、音を発生するようにしたので、内容液の残量が一定量になったことを知ることができる。
また、線材の長さを変えることによって、確認しようとする残量を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の液注出容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器本体、Bは上端にノズルヘッドCを取着したポンプ、Dは摺動底板、Eは底蓋である。
容器本体Aは、不透明な合成樹脂で形成され、内容液として遮光が必要なクリーム状液が収納されている。
【0008】
容器本体Aは、口筒部1と肩部2,下端を開放端とした胴周壁3とからなっており、口筒部1には、ねじ4が螺設されている。
胴周壁3下端には、底蓋Eの取付部5が形成されている。
【0009】
ポンプBは、シリンダー10とピストン11を具えており、シリンダー10は、ねじ4に螺合するねじを螺設し、ガイド筒を具えた取付キャップ12によって、容器本体Aの口筒部1に取着されている。
シリンダー10の下端底面には、吸込弁13が設けられており、ピストン11の下端部周面には、ピストン弁14が配設され、ピストン11の上下動に応じて、シリンダー室10aからピストン11内に、開口を通じて内容液を圧入するようになっている。
【0010】
ピストン11のステム15には、ノズル16を設けたノズルヘッドCが取付筒17を介して装着されており、ノズルヘッドCと取付キャップ12との間には、スプリング18が弾装されている。
【0011】
ポンプB、ノズルヘッドCは、ノズルヘッドCを上下動することによってノズル16より内容液を吐出できるものであればよく、その構成は、従来より公知のものを採用することができ、前記のポンプ装置に限定されない。
【0012】
図1.2に示すように、摺動底板Dは、胴周壁3内面に摺動自在に嵌挿されるスカート状の弾性周壁20を連設した環状の傾斜板21と、該傾斜板21の内周縁から垂設され、下端に底板22を連設した筒体23とからなっている。
傾斜板21の傾斜角度は、肩部2の傾斜とほぼ一致しており、筒体23は、ポンプBのシリンダー10下部外周を覆う大きさとなっており、ポンプBの吸上げによって摺動底板Dの上方の内容液は、ほぼ完全に注出される。
【0013】
底板22の下面には、下端に膨出環を設けた係止片24が垂設されており、該係止片24には、下端に円筒状の栓体25を吊り下げた線材26を連設した係止リング27が嵌挿係止されている。
【0014】
栓体25は、円筒体28とその下方を縮径した円筒状の栓部29とからなり、栓部29の底面30には中心に空気が連通する小孔31が穿孔されている。
また、底面30の小孔31に変え、栓体25の周面に空気が連通する通気溝を設けてもよい。
係止リング27、線材26、球状の振り子25は、一体形成されているが、別体として形成、結合してもよい。
【0015】
底蓋Eは、底板35と、該底板35の周縁に立設された側周壁36とから構成され、底板35には、摺動底板Dの底板22を載置する支持筒37と笛保持筒38が立設されている。
支持筒37の外周、該外周と底板35との間には、補強リブ39が設けられている。
【0016】
笛保持筒38は、支持体37内側に立設されており、上方部には段部40が設けられ、その上端は栓体25の栓部29が嵌挿される密閉部41となっている。
笛保持筒38の下方は縮径され、笛42の嵌挿部43となっている。
【0017】
笛42は、段部40に載置されるフランジ部44と、笛本体45とからなっており、笛本体45は、小孔31に連通する空気孔と、リード弁その他公知の音発生機構を具え、空気の通過により音が発生する音発生孔が設けられており、音発生孔は、栓部29によって閉鎖されている。
笛本体45の下端は、笛保持筒38より突出し、大気と連通している。
笛42の音の強さ、音色などは音発生機構を選択することによって適宜に決定できる。
【0018】
次に、本液注出容器の作用効果について説明する。
本発明の液注出容器には、内容物として、クリーム状液が収納され、ノズルヘッドCの押下げ操作により、容器本体A内の内容液がポンプBによって吸上げられ、ノズル16から吐出される。
【0019】
内容液の吸上げに応じて容器本体A内が負圧となり、摺動底板Dが上昇するとともに、底蓋Eの笛本体45の下端から空気孔、栓本体の小孔31を通じて大気が導入される。
摺動底板Dの上昇に応じて、底板22下面の係止片24に係合する係止リング27を通じて線材26が引上げられ、摺動底板Dが一定の位置まで上昇すると、図3に示すように、線材26が引張られ、一定の張力が付与される。
【0020】
さらに上昇すると、図4に示すように、栓体25は、笛支持筒38から取外される。
栓体25の取外しにより、空気は大径の音発生孔を通じて流れ、音が発生し、笛42が鳴ることになる。
その際、取外し時には、空気が急激に流れるので、音の発生は際立ち、明確に認識することができる。
栓体25が取外された後には、空気の流通は、大径の音発生孔を通じて流入され、内容液の吸上げ毎に音が発生し、笛42が鳴る。
【0021】
したがって、内容液が注出され、一定の残量となると笛が鳴るので、一定の残量となったことを確認できる。
また、その後には、注出毎に音が発生し笛が鳴るので、内容液が残り少なくなっていることを確認することができ、次の新しい液注出容器を準備しなければならならいことを知ることができる。
【0022】
確認したい一定量の残量を変えるときには、線材26の長さを調節することによって、適宜変更することができる。
【0023】
前記実施形態では、音発生孔と、空気孔を具えた笛本体54を用いたが、音発生機構によっては、小孔31を通じて流れる場合には、音が発生せず、栓体25を取外すことによって流れる場合には、音が発生するようにできるので、笛本体45内の空気孔はなくてもよい。
【0024】
また、前記実施形態では、栓体に小孔31を設け、摺動底板の上昇に伴う大気の導入を、常時笛本体を通じて行っていたが、別実施例として、栓体の小孔31をなくして、大気の導入を別々に行い、底蓋の笛支持筒の周辺の底板に大気導入孔を穿孔して、栓体による笛支持筒の閉鎖時には、該大気導入孔を通じて空気を導入し、栓体が取外された後には、笛本体を通じて、大気を導入するようにしてもよい。
【0025】
本実施例の場合、栓体が取外されたときに音が発生し、その後もより大径の笛本体を通じて大気が流入されるので、実施形態と同様の作用効果が得られる。
さらに、栓体が取外されたときに、大気導入孔を通じる流路を遮断するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ポンプ付底上げタイプの液注出容器において、摺動底板の一定の上昇に伴い、底蓋の笛支持体を閉鎖する栓体を取外し、音を発生し、笛をならすようにしたので、内容物が、一定の残量以下になったことを知ることができる。
そして、本発明は、内容液の種類にかかわらず、不透明な容器本体を有する液注出容器に利用でき、さらには、半透明な容器の場合にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明液注出容器の一部断面立面図である。
【図2】上昇中の摺動底板と底蓋とを拡大した一部断面立面図である。
【図3】摺動底板が一定位置に上昇したときの一部断面立面図である。
【図4】栓体が笛保持筒から離れたときの一部断面立面図である。
【符号の説明】
【0028】
A 容器本体
B ポンプ
C ノズルヘッド
D 摺動底板
E 底蓋
1 口筒部
2 肩部
3 胴周壁
4 ねじ
5 取付部
10 シリンダー
10a シリンダー室
11 ピストン
12 取付キャップ
13 吸込弁
14 ピストン弁
15 ステム
16 ノズル
17 取付筒
18 スプリング
20 弾性周壁
21 傾斜板
22 底板
23 筒体
24 係止片
25 栓体
26 線材
27 係止リング
28 円筒体
29 栓部
30 底面
31 小孔
35 底板
36 側周壁
37 支持筒
38 笛保持筒
39 補強リブ
40 段部
41 密閉部
42 笛
43 嵌挿部
44 フランジ
45 笛本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明な容器本体と、容器本体の口筒部に取着され、上端にノズルヘッドを取着したポンプと、容器本体の胴周壁内に、上昇可能に嵌挿された摺動底板と、容器本体の下端に取着され笛支持筒を立設した底蓋とからなる液注出容器であって、
摺動底板は、下端に底板を連設した筒体を具備し、底板下面に係止片を設け、該係止片に栓体を吊り下げた線材を連設した係止リングを取着し、
底蓋は、底板と側周壁とからなり、底板に、笛を支持する笛支持筒を立設し、
前記栓体は、笛本体の上端を閉鎖する栓部を有し、
笛本体は、下端が大気と連通し、空気の通過によって音を発生するようにしたことを特徴とする液注出容器。
【請求項2】
栓体は、その栓部底面に空気が流通する小孔を設けていることを特徴とする請求項1記載の液注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−62809(P2007−62809A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252103(P2005−252103)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】