液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および液滴吐出ヘッドの製造方法
【課題】吐出エネルギーを高めることができ、配線の引き回しや回路接続の自由度も向上する液滴吐出ヘッドを提案すること。
【解決手段】吐出液をそれぞれのノズル孔101から吐出させる複数の加圧室201が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板200を備え、振動板の一方は複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板211とされ、振動板の他方は複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極223を有した個別電極振動板221とされており、キャビテイ基板200に、共通電極振動板211と電極対を形成し複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極312を有した個別電極基板310と、個別電極振動板221と電極対を形成し複数の加圧室に対して共通の共通電極基板320とを、積層した液滴吐出ヘッド。
【解決手段】吐出液をそれぞれのノズル孔101から吐出させる複数の加圧室201が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板200を備え、振動板の一方は複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板211とされ、振動板の他方は複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極223を有した個別電極振動板221とされており、キャビテイ基板200に、共通電極振動板211と電極対を形成し複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極312を有した個別電極基板310と、個別電極振動板221と電極対を形成し複数の加圧室に対して共通の共通電極基板320とを、積層した液滴吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電駆動式の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電駆動式の液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドでは、吐出エネルギーを高めるための提案が従来から行われている。例えば、インクチャンネルの対向する2面にそれぞれ電極付き振動板を備え、電極の静電力に起因する2つの振動板の変形を利用することで、従来より低電圧で同量のインクを吐出をすることが開示されている(特許文献1)。また、底面が振動板になったキャビティ基板と、該振動板にギャップを隔てて対向する個別電極を形成した電極基板とを積層した積層基板2枚を、各振動板が対称位置になるようにキャビティ基板同士で接合したものも開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−309849号公報
【特許文献2】特開2007−107063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の場合、電極間距離が長いため、大量のインクを吐出させるためには印加電圧が大きくなるほか、インク吐出量を高精度に制御することも困難である。
また、特許文献2の場合、電極の引き出し部が電極基板に挟まれた狭領域に向かい合わせで露出する構造となるため、配線の引き回しや引き出し部を利用しての部品実装の点で難点がある。
本発明は上記課題に対応したものであり、吐出エネルギーを高めることができ、しかも配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する液滴吐出ヘッドを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出ヘッドは、吐出液をそれぞれのノズル孔から吐出させる複数の加圧室が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板を備え、前記振動板の一方は前記複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板とされ、前記振動板の他方は前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極振動板とされており、
前記キャビテイ基板に、前記共通電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極基板と、前記個別電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室に対して共通の共通電極基板とを、積層したものである。
これによれば、2組の電極対による加圧手段を備えるので吐出エネルギーを高くでき、吐出液量を増大させることができる。また、個別電極と共通電極が交互に存在する構造となり、共通の開放端部が利用可能となるため、各基板の配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する。
【0006】
また、前記キャビティ基板は、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された加圧室基板と、前記個別電極振動板とが積層されて形成されており、
前記個別電極基板、前記加圧室基板、前記個別電極振動板、および前記共通電極基板の順に積層され、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出しているものである。
これによれば、各基板の配線取り出し部が同じ端部の同じ側の面に存在するので、駆動回路等の実装が容易になる。
【0007】
また、前記個別電極基板は硼珪酸ガラスを、前記加圧室基板と前記共通電極基板は単結晶シリコン基板を、前記共通電極振動板と個別電極振動板は多結晶シリコン膜を、それぞれ基材とするのが好ましい。
最下層となる個別電極基板に強度の高い硼珪酸ガラス基板を用いることで、他のシリコン部材と熱膨張係数差による破壊を防止できる支持基板として作用する。また、加圧室基板と共通電極基板に導電性単結晶シリコンを用いることで、半導体プロセスによる加圧室基板への高精度な加工が可能となり、加圧室基板および共通電極基板自体を共通電極として作用させることができる。さらに、共通電極振動板と個別電極振動板に多結晶シリコン膜を用いたことで、成膜による振動板形成が可能となり、底面に共通電極振動板を形成した加圧室凹部の上面に、振動板を追加することが可能となった。
【0008】
前記共通電極振動板と前記個別電極振動板とを独立して駆動する駆動手段を備えたものである。
なお、前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方を駆動して、または両方を同時に駆動して、吐出液量を調整することができる。さらに、駆動手段は、共通電極振動板と個別電極振動板の一方を駆動した後、予め定めた一定の時間を空けて他方の振動板を駆動させることで、液滴の引きちぎりを可能とし、それによって吐出液量を小さくすることができる。さらに、単一アクチュエータで液滴吐出量を小さくする駆動方法よりも時間を短縮でき、アクチュエータの駆動周波数を向上させることもできる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置は、上記いずれかの液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であり、前述した液滴ヘッドの効果を奏することができる。
【0010】
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、第1の個別電極が形成されたガラス基板と、共通電極振動板となる多結晶シリコン膜が形成され該膜を底面とする加圧室を形成予定のシリコン基板とを、前記第1の個別電極と前記シリコン基板との間に隙間を有して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板をエッチングして前記加圧室を含む吐出液の流路を形成する工程と、 サポートガラス基板にアモルファスシリコン膜と吐出液保護膜とを積層する工程と、
前記サポートガラス基板の前記アモルファスシリコン膜および前記吐出液保護膜を有した面を、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された前記シリコン基板に接合する工程と、
前記サポートガラス基板側からレーザーを照射して、前記アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変質させることで前記サポートガラス基板を剥離する工程と、
前記多結晶シリコン膜の表面の加圧室に対応する部分に第2の個別電極を形成して個別電極振動板を形成する工程と、
前記第2の個別電極に対応する部分に凹部が形成された共通電極基板を、前記第2の個別電極との間に隙間を有して前記個別電極振動板に接合する工程と、
前記加圧室に対応するノズル孔を備えたノズル基板を、前記個別電極基板と、前記共通電極振動板および前記個別電極振動板を有した前記シリコン基板と、前記共通電極基板とが積層された積層体の端面に接合する工程と、を備えたものである。
この製造方法により、吐出エネルギーを高め、しかも配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する液滴吐出ヘッドを得ることが可能となる。
また、前記加圧室を複数とし、前記第1の個別電極、前記第2の個別電極、および前記ノズル孔を、前記加圧室に対応する個数設けることで、高密度の液滴吐出ヘッドが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】液滴吐出ヘッドの構成を示す個別電極長手方向における断面図。
【図2】図1の液滴吐出ヘッドを共通電極基板側から見た平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図。
【図3】個別電極基板の個別電極形成面を示した平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電極の駆動パターンの例示図。
【図5】個別電極基板の製造方法を示す工程図。
【図6a】キャビティ基板のうちの加圧室基板の製造方法を示す工程図。
【図6b】図6aに続く加圧室基板の製造方法を示す工程図。
【図7a】キャビティ基板のうちの個別電極振動板の製造方法を示す工程図。
【図7b】図7aに続く個別電極振動板の製造方法を示す工程図。
【図8】共通電極基板の製造方法を示す工程図。
【図9】共通電極基板およびノズル基板の組み付けを示す工程図。
【図10】実施の形態3に係る液滴吐出装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1(液滴吐出ヘッド)
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す個別電極長手方向における断面図、図2は図1の液滴吐出ヘッドを共通電極基板側から見た平面図であり、図3は図1の液滴吐出ヘッドを個別電極基板側から見た平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図である。この液滴吐出ヘッドは、ノズル基板100、キャビティ基板200、個別電極基板310、共通電極基板320を備えている。そして、個別電極基板310、キャビティ基板200、共通電極基板320の順に積層されており、それらの積層体の端部に積層方向と直交する態様でノズル基板100が配置されている。
【0013】
キャビティ基板200は、共通電極として作用する共通電極振動板211と個別電極として作用する個別電極振動板221とを有し、それらの振動板211、221の間に、複数の加圧室201、各加圧室201に共通のリザーバー203、リザーバー203と加圧室201を連通するオリフィス202が形成されている。加圧室201、リザーバー203、オリフィス202は、シリコン基板8(単結晶シリコン基板)を基材として形成され、共通電極振動板211と個別電極振動板221は多結晶シリコン膜を基材として形成される。共通電極振動板211となる多結晶シリコン膜は、成膜時に導電性を付加することで共通電極として作用する。個別電極振動板221は、導電性を付加しない多結晶シリコン膜に個別電極(第2の個別電極)223として作用する導体(白金やクロムなど)が、各加圧室201に対応して積層されることで個別電極として作用する。
なお、本明細書では、キャビティ基板200のうち、共通電極振動板211、加圧室201、リザーバー203、オリフィス202などが形成された基板を加圧室基板200aと称する(図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)参照)。
加圧室基板200aの個別電極基板310との対向面には絶縁膜213が形成されている。また、加圧室基板200aには電極の引き出し部としての共通電極224が設けられ、この加圧室基板200aに個別電極振動板221が接合されている。また、共通電極振動板211と加圧室基板200との間には吐出液保護膜212が形成されており、吐出液保護膜212には共通電極振動板211と加圧室基板200との導通を取るための開口部214aが設けられている。
【0014】
共通電極基板320は、単結晶シリコン基板などからなり、個別電極振動板221の各個別電極223に対応する部分に凹部321が形成されている。共通電極基板320は、その凹部321において個別電極223との間に絶縁膜322および隙間327を有して、個別電極振動板221と接合されている。そしてこれにより、個別電極振動板221と共通電極基板320との電極対が形成されている。
また、共通電極基板320には、電極の引き出し部としての共通電極323が設けられている。そして、個別電極振動板221と共通電極基板320との間の隙間327は、封止穴324から注入された封止剤326で封止されている。
【0015】
個別電極基板310は、硼珪酸ガラスなどのガラス基板に、加圧室201に対応した複数の凹部311が形成され、その凹部311内にそれぞれITO(Indium Tin Oxide)などの導体からなる個別電極(第1の個別電極)312が形成されている。そして、個別電極基板310は、凹部311において個別電極312と共通電極振動板211との間に隙間317および絶縁膜213を有して、加圧室基板200aの共通電極振動板211形成側面に接合されている。そしてこれにより、個別電極基板310と共通電極振動板211との電極対が形成されている。個別電極基板310と加圧室基板200aとの間の隙間317は、封止穴314から注入された封止剤315で封止されている。
さらに、個別電極基板310には、吐出液供給穴313が設けられており、キャビティ基板200に設けられている吐出液供給穴230とともに、リザーバー203に吐出液を送る供給路を形成している。
【0016】
また、共通電極振動板211と個別電極振動板221の対向面には、流路内にある吐出液からの保護を目的とした吐出液保護膜212、222がそれぞれ形成されている。
一方、個別電極312と共通電極振動板211との間、および個別電極223と共通電極基板320との間に介在する絶縁膜は、対向する電極対の少なくとも一方にあればよいが、これらの両方にそれぞれ設けても良い。
【0017】
ノズル基板100は、単結晶シリコンなどからなり、液滴を噴射する複数のノズル孔101が直線状に形成されており、各ノズル孔101が対応するキャビティ基板200の加圧室201に連通している。
【0018】
図1〜図3から、この液滴吐出ヘッドの構造が容易に理解できるであろう。なお、符号204は個別電極312の個別電極リード部312aの取り出し開口部、符号225は共通電極224の取り出し開口部、符号325は個別電極223の個別電極リード部223aの取り出し開口部、をそれぞれ示している。
また、個別電極基板310の個別電極リード部312aと加圧室基板200aの共通電極224との間、及び個別電極振動板221の個別電極リード部223aと共通電極基板320の共通電極323との間には、それぞれそれらの電極間にパルス電圧を供給する駆動回路(駆動手段)が設けられることになる。その場合にも、本液滴吐出ヘッドの図1に示すような構造により、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出しているため、配線の引き回しや駆動回路等の実装が容易に行える。
【0019】
次に、図1〜図3で説明した液滴吐出ヘッドの動作を説明する。液滴吐出ヘッドにおいて、インクなどの吐出液は、吐出液供給穴313、227を経てリザーバー203に貯えられるとともに、オリフィス202を経由して加圧室201にも貯えられる。
加圧室201を挟んで対向している2組の電極対の少なくとも一方の電極対にパルス電圧を付与し、共通電極振動板211および/または個別電極振動板221を静電引力により対向する電極に当接させ、その後付与されていた電圧を解除すると、共通電極振動板211および/または個別電極振動板221が元の状態に復帰する。その際に、加圧室201内の吐出液が加圧されて、ノズル孔101から液滴が吐出される。
【0020】
図4には、この液滴吐出ヘッドによる電極駆動方法の態様例を示した。図4では3つの液滴吐出パターンを示している。第1の駆動パターンは、2組の電極対のうち、1組の電極対にのみパルス電圧を供給して対応する振動板を動作させ、残りの1組は駆動させないパターンである。この第1の駆動パターンでは通常の吐出エネルギーが得られるため、例えば、通常量の液滴を吐出するのに使用する。第2の駆動パターンは、2組の電極対の両方に同時に同じパルス電圧を供給して、対応するそれぞれの振動板を同時に駆動させるパターンである。この第2の駆動パターンでは大きな吐出エネルギーが得られるため、例えば、大容量の液滴を吐出するのに使用できる。第3の駆動パターンは、2組の電極対の一方にパルス電圧を供給して対応する振動板を動作させて液滴を吐出させた直後に、他方の電極対に上記パルス電圧より短いパルス電圧を供給して対応する振動板を駆動させるパターンである。第3の駆動パターンによれば、吐出液の引きちぎりが可能となり、それによって吐出液の量を少なくすることができ、またアクチュエータの駆動周波数が向上して動作の応答性も改善できる。
【0021】
以上のように、実施の形態1の液滴吐出ヘッドによれば、2組の電極対の制御により、吐出液の吐出量を大、中、小などにダイナミックに制御できる。また、個別電極と共通電極が交互に存在し、各基板の配線取り出し部が同じ端部の同じ側の面に存在するので、駆動回路等の実装が容易であり、配線の引き回しや接続の自由度も向上する。
【0022】
実施の形態2(液滴吐出ヘッドの製造方法)
以下に、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドの製造方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお説明は、(1)個別電極基板310の製造、(2)キャビティ基板200のうちの加圧室基板200aの製造、(3)キャビティ基板200のうちの個別電極振動板の製造、(4)共通電極基板320の製造、(5)共通電極基板320とノズル基板の組み付け、の順に行う。
【0023】
(1)個別電極基板310の製造
個別電極基板310の製造方法の一例を、図5に示す工程図に沿って説明する。
(a)厚み1mmの硼珪酸ガラス基板310(便宜上、個別電極基板と同じ符号とする)に厚み0.1μmのクロム膜330をスパッタで形成した後、フォトリソを利用して、個別電極用の凹部311に対応する部分のクロム膜330を除去する。
(b)フッ酸水溶液で硼珪酸ガラス基板310を0.2μmエッチングして、個別電極形成用の凹部311を形成する。
(c)残っているクロム膜330を除去した後、凹部311が形成された面に厚み0.1μmのITO膜をスパッタで形成する。
(d)フォトリソにてITO膜をパターニングし、凹部311内に個別電極312を形成する。
(e)ブラストにて吐出液供給穴313と封止穴314を形成する。
以上により、個別電極基板310を得ることができる。
【0024】
(2)キャビティ基板200のうちの加圧室基板200aの製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図6a〜図6bに示す工程図に沿って説明する。
(a)厚み725μmの単結晶シリコン基板200a(便宜上、加圧室基板と同じ符号とする)の片面に吐出液保護膜212となる厚み0.1μmの熱酸化膜212を形成する。
(b)共通電極導通部214aとなる部分の熱酸化膜212をフォトリソで開口する。
(c)共通電極振動板211となる厚さ0.1μmの多結晶シリコン層214をCVDで形成する。その際に、微量のボロンを添加して導電性を持たせる。
(d)多結晶シリコン層214の表面に、絶縁膜213となる厚み0.1μmのシリコン酸化膜をCVDで形成する。
(e)以上の処理が施された単結晶シリコン基板200aを、作製済みの個別電極基板310と陽極接合する。
(f)単結晶シリコン基板200aを所望の厚さまで薄板化する。
(g)薄膜化された単結晶シリコン基板200aの表面に、厚み1μmのフォトレジスト層340を形成し、フォトリソで加圧室201となる部分、オリフィス202となる部分、リザーバー203となる部分、個別電極リード部の取り出し開口部204となる部分を開口する。
(h)異方性ドライエッチングでシリコン基板200aを吐出液保護膜212が露出するまでエッチングし、加圧室201、オリフィス202、リザーバー203、個別電極リード部の取り出し開口部204を形成する。
(i)フォトレジスト340を除去し、メタルマスク341を装着してドライエッチングにより、個別電極リード部312aの取り出し部204となる部分の吐出液保護膜212、共通電極振動板214、および絶縁膜213を除去する。
(j)加圧室基板200aからメタルマスク341を取り外して、加圧室基板200aに吐出液供給穴227をピンで開口する。
以上により、個別電極基板310に積層された加圧室基板200aが得られる。
【0025】
(3)キャビティ基板200のうちの個別電極振動板221の製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図7a〜図7bに示す工程図に沿って説明する。
(a)サポートガラス基板350に個別電極振動板221となる厚み0.1μmのアモルファスシリコン層をCVDで形成する。
(b)アモルファスシリコン層の表面に、吐出液保護膜222となる厚み0.1μmのシリコン酸化膜をCVDで成膜する。
(c)キャビティ基板200の共通電極取り出し開口部225に対応する部分をフォトリソで除去し、更にアモルファスシリコン層をドライエッチングで除去する。
(d)吐出液保護膜222の形成側面を作製済みの加圧室基板200aに接着剤で貼付け、サポートガラス基板側からレーザーをスキャン照射して、個別電極振動板221および吐出液保護膜222をサポートガラス基板から剥離する。すなわち、個別電極振動板221および吐出液保護膜222を加圧室基板200aに転写する。この際に、個別電極振動板221はアモルファスシリコン膜から多結晶シリコン膜に変化する。
(e)個別電極振動板221の表面に、メタルマスク351を装着し、白金膜を厚さ0.1μm程度スパッタして、加圧室基板200aの加圧室201に対応する部分に個別電極223を形成し、同時に加圧室基板200aの共通電極224を形成する。
(f)その後、メタルマスク351を取り外す。
以上により、キャビティ基板200を構成する個別電極振動板221が形成できる。
【0026】
(4)共通電極基板320の製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図8に示す工程図に沿って説明する。
(a)厚さ400μmのシリコン基板320(便宜上、共通電極基板と同じ符号とする)に厚み0.1μmの熱酸化膜360を形成し、個別電極223に対応する凹部321となる部分をフォトリソで開口する。
(b)TMAH水溶液(トリアルキル(ヒドロキシアルキル)アンモニウムハイドロキサイド水溶液)で凹部321を0.2μmエッチングにて形成する。
(c)熱酸化膜360を剥離後に、厚み1μmの熱酸化膜361を形成し、個別電極リード部の取り出し開口部325となる部分をフォトリソで開口する。
(d)KOH水溶液(水酸化カリウム水溶液)でエッチングして、個別電極リード部の取り出し開口部325を形成する。
(e)熱酸化膜361を剥離後に、絶縁膜322となる厚み0.1μmの熱酸化膜を形成し、さらに、共通電極323となる部分の絶縁膜322をフォトリソで開口する。
(f)メタルマスク362を装着して、共通電極323となる厚み0.1μmの白金膜を形成する。
(g)ブラストで封止穴324を形成する。
以上により、共通電極基板320が得られる。
【0027】
(5)共通電極基板320およびノズル基板100の組み付け
加圧室基板200aの組み付け手順を、図9に示す工程図に沿って説明する。
(a)作製した共通電極基板320を、作製済みのキャビティ基板200の個別振動板基板221の基材である多結晶シリコン膜に、接着剤で接合する。
(b)封止穴314、324にそれぞれ封止剤を注入し、各隙間317、327を封止した後、ダイサーでチップに個片化する。
(c)ノズル孔101が形成されたノズル基板100を、個別電極基板310、キャビティ基板200、および共通電極基板320が積層された積層体の端面に接着剤で接着する。これにより、ノズル基板100のノズル孔101がキャビティ基板200の加圧室201に連通する。以上で、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドが完成する。
【0028】
実施の形態2による液滴吐出ヘッドの製造方法では、サポートガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜をレーザーを用いて加圧室基板200aに転写する技術(SUFTLA技術)を利用することで、加圧室201の底面を構成する共通電極振動板211に対向する個別電極振動板221を形成することが可能となっている。
なお、加圧室201を複数とし、その加圧室201毎に、個別電極基板310に形成する個別電極312、個別電極振動板221に形成する個別電極223、およびノズル孔を、複数設けることにより、液滴吐出ヘッドの高密度化を実現することができる。
【0029】
実施の形態3
図10は、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドを搭載した実施の形態3に係る液滴吐出装置であるインクジェットプリンターの斜視図である。このインクジェットプリンターは、実施の形態1の液滴吐出ヘッドが有する効果をそのまま奏することができるため、プリンターとしての信頼性、耐久性に優れ、また小型化も図れる。
なお、実施の形態1に示す液滴吐出ヘッドは、吐出液を種々変更することで、インクジェットプリンターの他、液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出などのための各種装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
100:ノズル基板、101:ノズル孔、200:キャビティ基板、200a:加圧室基板、201:加圧室、202:オリフィス、203:リザーバー、204:個別電極リード部312aの取り出し開口部、211:共通電極振動板(ポリシリコン層214)、212:吐出液保護膜、213:絶縁膜、214a:共通電極導通部、221:個別電極振動板(多結晶シリコン膜)、222:吐出液保護膜、223:個別電極(第2の個別電極)、223a:個別電極リード部、224:加圧室基板の共通電極、225:共通電極取り出し開口部、227:吐出液供給穴、310:個別電極基板、311:個別電極用の凹部、312:個別電極(第1の個別電極)、312a:個別電極リード部、313:吐出液供給穴、314:封止用穴、315:封止剤、317:隙間、320:共通電極基板、321:共通電極基板の凹部、322:絶縁膜、323:共通電極基板の共通電極、324:封止用穴、325:個別電極リード部223aの取り出し開口部、326:封止剤、327:隙間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電駆動式の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電駆動式の液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドでは、吐出エネルギーを高めるための提案が従来から行われている。例えば、インクチャンネルの対向する2面にそれぞれ電極付き振動板を備え、電極の静電力に起因する2つの振動板の変形を利用することで、従来より低電圧で同量のインクを吐出をすることが開示されている(特許文献1)。また、底面が振動板になったキャビティ基板と、該振動板にギャップを隔てて対向する個別電極を形成した電極基板とを積層した積層基板2枚を、各振動板が対称位置になるようにキャビティ基板同士で接合したものも開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−309849号公報
【特許文献2】特開2007−107063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の場合、電極間距離が長いため、大量のインクを吐出させるためには印加電圧が大きくなるほか、インク吐出量を高精度に制御することも困難である。
また、特許文献2の場合、電極の引き出し部が電極基板に挟まれた狭領域に向かい合わせで露出する構造となるため、配線の引き回しや引き出し部を利用しての部品実装の点で難点がある。
本発明は上記課題に対応したものであり、吐出エネルギーを高めることができ、しかも配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する液滴吐出ヘッドを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出ヘッドは、吐出液をそれぞれのノズル孔から吐出させる複数の加圧室が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板を備え、前記振動板の一方は前記複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板とされ、前記振動板の他方は前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極振動板とされており、
前記キャビテイ基板に、前記共通電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極基板と、前記個別電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室に対して共通の共通電極基板とを、積層したものである。
これによれば、2組の電極対による加圧手段を備えるので吐出エネルギーを高くでき、吐出液量を増大させることができる。また、個別電極と共通電極が交互に存在する構造となり、共通の開放端部が利用可能となるため、各基板の配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する。
【0006】
また、前記キャビティ基板は、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された加圧室基板と、前記個別電極振動板とが積層されて形成されており、
前記個別電極基板、前記加圧室基板、前記個別電極振動板、および前記共通電極基板の順に積層され、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出しているものである。
これによれば、各基板の配線取り出し部が同じ端部の同じ側の面に存在するので、駆動回路等の実装が容易になる。
【0007】
また、前記個別電極基板は硼珪酸ガラスを、前記加圧室基板と前記共通電極基板は単結晶シリコン基板を、前記共通電極振動板と個別電極振動板は多結晶シリコン膜を、それぞれ基材とするのが好ましい。
最下層となる個別電極基板に強度の高い硼珪酸ガラス基板を用いることで、他のシリコン部材と熱膨張係数差による破壊を防止できる支持基板として作用する。また、加圧室基板と共通電極基板に導電性単結晶シリコンを用いることで、半導体プロセスによる加圧室基板への高精度な加工が可能となり、加圧室基板および共通電極基板自体を共通電極として作用させることができる。さらに、共通電極振動板と個別電極振動板に多結晶シリコン膜を用いたことで、成膜による振動板形成が可能となり、底面に共通電極振動板を形成した加圧室凹部の上面に、振動板を追加することが可能となった。
【0008】
前記共通電極振動板と前記個別電極振動板とを独立して駆動する駆動手段を備えたものである。
なお、前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方を駆動して、または両方を同時に駆動して、吐出液量を調整することができる。さらに、駆動手段は、共通電極振動板と個別電極振動板の一方を駆動した後、予め定めた一定の時間を空けて他方の振動板を駆動させることで、液滴の引きちぎりを可能とし、それによって吐出液量を小さくすることができる。さらに、単一アクチュエータで液滴吐出量を小さくする駆動方法よりも時間を短縮でき、アクチュエータの駆動周波数を向上させることもできる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置は、上記いずれかの液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であり、前述した液滴ヘッドの効果を奏することができる。
【0010】
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、第1の個別電極が形成されたガラス基板と、共通電極振動板となる多結晶シリコン膜が形成され該膜を底面とする加圧室を形成予定のシリコン基板とを、前記第1の個別電極と前記シリコン基板との間に隙間を有して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板をエッチングして前記加圧室を含む吐出液の流路を形成する工程と、 サポートガラス基板にアモルファスシリコン膜と吐出液保護膜とを積層する工程と、
前記サポートガラス基板の前記アモルファスシリコン膜および前記吐出液保護膜を有した面を、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された前記シリコン基板に接合する工程と、
前記サポートガラス基板側からレーザーを照射して、前記アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変質させることで前記サポートガラス基板を剥離する工程と、
前記多結晶シリコン膜の表面の加圧室に対応する部分に第2の個別電極を形成して個別電極振動板を形成する工程と、
前記第2の個別電極に対応する部分に凹部が形成された共通電極基板を、前記第2の個別電極との間に隙間を有して前記個別電極振動板に接合する工程と、
前記加圧室に対応するノズル孔を備えたノズル基板を、前記個別電極基板と、前記共通電極振動板および前記個別電極振動板を有した前記シリコン基板と、前記共通電極基板とが積層された積層体の端面に接合する工程と、を備えたものである。
この製造方法により、吐出エネルギーを高め、しかも配線の引き回しや回路接続の自由度が向上する液滴吐出ヘッドを得ることが可能となる。
また、前記加圧室を複数とし、前記第1の個別電極、前記第2の個別電極、および前記ノズル孔を、前記加圧室に対応する個数設けることで、高密度の液滴吐出ヘッドが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】液滴吐出ヘッドの構成を示す個別電極長手方向における断面図。
【図2】図1の液滴吐出ヘッドを共通電極基板側から見た平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図。
【図3】個別電極基板の個別電極形成面を示した平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電極の駆動パターンの例示図。
【図5】個別電極基板の製造方法を示す工程図。
【図6a】キャビティ基板のうちの加圧室基板の製造方法を示す工程図。
【図6b】図6aに続く加圧室基板の製造方法を示す工程図。
【図7a】キャビティ基板のうちの個別電極振動板の製造方法を示す工程図。
【図7b】図7aに続く個別電極振動板の製造方法を示す工程図。
【図8】共通電極基板の製造方法を示す工程図。
【図9】共通電極基板およびノズル基板の組み付けを示す工程図。
【図10】実施の形態3に係る液滴吐出装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1(液滴吐出ヘッド)
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す個別電極長手方向における断面図、図2は図1の液滴吐出ヘッドを共通電極基板側から見た平面図であり、図3は図1の液滴吐出ヘッドを個別電極基板側から見た平面図であり、ノズル基板およびキャビティ基板との関連も示した説明図である。この液滴吐出ヘッドは、ノズル基板100、キャビティ基板200、個別電極基板310、共通電極基板320を備えている。そして、個別電極基板310、キャビティ基板200、共通電極基板320の順に積層されており、それらの積層体の端部に積層方向と直交する態様でノズル基板100が配置されている。
【0013】
キャビティ基板200は、共通電極として作用する共通電極振動板211と個別電極として作用する個別電極振動板221とを有し、それらの振動板211、221の間に、複数の加圧室201、各加圧室201に共通のリザーバー203、リザーバー203と加圧室201を連通するオリフィス202が形成されている。加圧室201、リザーバー203、オリフィス202は、シリコン基板8(単結晶シリコン基板)を基材として形成され、共通電極振動板211と個別電極振動板221は多結晶シリコン膜を基材として形成される。共通電極振動板211となる多結晶シリコン膜は、成膜時に導電性を付加することで共通電極として作用する。個別電極振動板221は、導電性を付加しない多結晶シリコン膜に個別電極(第2の個別電極)223として作用する導体(白金やクロムなど)が、各加圧室201に対応して積層されることで個別電極として作用する。
なお、本明細書では、キャビティ基板200のうち、共通電極振動板211、加圧室201、リザーバー203、オリフィス202などが形成された基板を加圧室基板200aと称する(図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)参照)。
加圧室基板200aの個別電極基板310との対向面には絶縁膜213が形成されている。また、加圧室基板200aには電極の引き出し部としての共通電極224が設けられ、この加圧室基板200aに個別電極振動板221が接合されている。また、共通電極振動板211と加圧室基板200との間には吐出液保護膜212が形成されており、吐出液保護膜212には共通電極振動板211と加圧室基板200との導通を取るための開口部214aが設けられている。
【0014】
共通電極基板320は、単結晶シリコン基板などからなり、個別電極振動板221の各個別電極223に対応する部分に凹部321が形成されている。共通電極基板320は、その凹部321において個別電極223との間に絶縁膜322および隙間327を有して、個別電極振動板221と接合されている。そしてこれにより、個別電極振動板221と共通電極基板320との電極対が形成されている。
また、共通電極基板320には、電極の引き出し部としての共通電極323が設けられている。そして、個別電極振動板221と共通電極基板320との間の隙間327は、封止穴324から注入された封止剤326で封止されている。
【0015】
個別電極基板310は、硼珪酸ガラスなどのガラス基板に、加圧室201に対応した複数の凹部311が形成され、その凹部311内にそれぞれITO(Indium Tin Oxide)などの導体からなる個別電極(第1の個別電極)312が形成されている。そして、個別電極基板310は、凹部311において個別電極312と共通電極振動板211との間に隙間317および絶縁膜213を有して、加圧室基板200aの共通電極振動板211形成側面に接合されている。そしてこれにより、個別電極基板310と共通電極振動板211との電極対が形成されている。個別電極基板310と加圧室基板200aとの間の隙間317は、封止穴314から注入された封止剤315で封止されている。
さらに、個別電極基板310には、吐出液供給穴313が設けられており、キャビティ基板200に設けられている吐出液供給穴230とともに、リザーバー203に吐出液を送る供給路を形成している。
【0016】
また、共通電極振動板211と個別電極振動板221の対向面には、流路内にある吐出液からの保護を目的とした吐出液保護膜212、222がそれぞれ形成されている。
一方、個別電極312と共通電極振動板211との間、および個別電極223と共通電極基板320との間に介在する絶縁膜は、対向する電極対の少なくとも一方にあればよいが、これらの両方にそれぞれ設けても良い。
【0017】
ノズル基板100は、単結晶シリコンなどからなり、液滴を噴射する複数のノズル孔101が直線状に形成されており、各ノズル孔101が対応するキャビティ基板200の加圧室201に連通している。
【0018】
図1〜図3から、この液滴吐出ヘッドの構造が容易に理解できるであろう。なお、符号204は個別電極312の個別電極リード部312aの取り出し開口部、符号225は共通電極224の取り出し開口部、符号325は個別電極223の個別電極リード部223aの取り出し開口部、をそれぞれ示している。
また、個別電極基板310の個別電極リード部312aと加圧室基板200aの共通電極224との間、及び個別電極振動板221の個別電極リード部223aと共通電極基板320の共通電極323との間には、それぞれそれらの電極間にパルス電圧を供給する駆動回路(駆動手段)が設けられることになる。その場合にも、本液滴吐出ヘッドの図1に示すような構造により、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出しているため、配線の引き回しや駆動回路等の実装が容易に行える。
【0019】
次に、図1〜図3で説明した液滴吐出ヘッドの動作を説明する。液滴吐出ヘッドにおいて、インクなどの吐出液は、吐出液供給穴313、227を経てリザーバー203に貯えられるとともに、オリフィス202を経由して加圧室201にも貯えられる。
加圧室201を挟んで対向している2組の電極対の少なくとも一方の電極対にパルス電圧を付与し、共通電極振動板211および/または個別電極振動板221を静電引力により対向する電極に当接させ、その後付与されていた電圧を解除すると、共通電極振動板211および/または個別電極振動板221が元の状態に復帰する。その際に、加圧室201内の吐出液が加圧されて、ノズル孔101から液滴が吐出される。
【0020】
図4には、この液滴吐出ヘッドによる電極駆動方法の態様例を示した。図4では3つの液滴吐出パターンを示している。第1の駆動パターンは、2組の電極対のうち、1組の電極対にのみパルス電圧を供給して対応する振動板を動作させ、残りの1組は駆動させないパターンである。この第1の駆動パターンでは通常の吐出エネルギーが得られるため、例えば、通常量の液滴を吐出するのに使用する。第2の駆動パターンは、2組の電極対の両方に同時に同じパルス電圧を供給して、対応するそれぞれの振動板を同時に駆動させるパターンである。この第2の駆動パターンでは大きな吐出エネルギーが得られるため、例えば、大容量の液滴を吐出するのに使用できる。第3の駆動パターンは、2組の電極対の一方にパルス電圧を供給して対応する振動板を動作させて液滴を吐出させた直後に、他方の電極対に上記パルス電圧より短いパルス電圧を供給して対応する振動板を駆動させるパターンである。第3の駆動パターンによれば、吐出液の引きちぎりが可能となり、それによって吐出液の量を少なくすることができ、またアクチュエータの駆動周波数が向上して動作の応答性も改善できる。
【0021】
以上のように、実施の形態1の液滴吐出ヘッドによれば、2組の電極対の制御により、吐出液の吐出量を大、中、小などにダイナミックに制御できる。また、個別電極と共通電極が交互に存在し、各基板の配線取り出し部が同じ端部の同じ側の面に存在するので、駆動回路等の実装が容易であり、配線の引き回しや接続の自由度も向上する。
【0022】
実施の形態2(液滴吐出ヘッドの製造方法)
以下に、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドの製造方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお説明は、(1)個別電極基板310の製造、(2)キャビティ基板200のうちの加圧室基板200aの製造、(3)キャビティ基板200のうちの個別電極振動板の製造、(4)共通電極基板320の製造、(5)共通電極基板320とノズル基板の組み付け、の順に行う。
【0023】
(1)個別電極基板310の製造
個別電極基板310の製造方法の一例を、図5に示す工程図に沿って説明する。
(a)厚み1mmの硼珪酸ガラス基板310(便宜上、個別電極基板と同じ符号とする)に厚み0.1μmのクロム膜330をスパッタで形成した後、フォトリソを利用して、個別電極用の凹部311に対応する部分のクロム膜330を除去する。
(b)フッ酸水溶液で硼珪酸ガラス基板310を0.2μmエッチングして、個別電極形成用の凹部311を形成する。
(c)残っているクロム膜330を除去した後、凹部311が形成された面に厚み0.1μmのITO膜をスパッタで形成する。
(d)フォトリソにてITO膜をパターニングし、凹部311内に個別電極312を形成する。
(e)ブラストにて吐出液供給穴313と封止穴314を形成する。
以上により、個別電極基板310を得ることができる。
【0024】
(2)キャビティ基板200のうちの加圧室基板200aの製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図6a〜図6bに示す工程図に沿って説明する。
(a)厚み725μmの単結晶シリコン基板200a(便宜上、加圧室基板と同じ符号とする)の片面に吐出液保護膜212となる厚み0.1μmの熱酸化膜212を形成する。
(b)共通電極導通部214aとなる部分の熱酸化膜212をフォトリソで開口する。
(c)共通電極振動板211となる厚さ0.1μmの多結晶シリコン層214をCVDで形成する。その際に、微量のボロンを添加して導電性を持たせる。
(d)多結晶シリコン層214の表面に、絶縁膜213となる厚み0.1μmのシリコン酸化膜をCVDで形成する。
(e)以上の処理が施された単結晶シリコン基板200aを、作製済みの個別電極基板310と陽極接合する。
(f)単結晶シリコン基板200aを所望の厚さまで薄板化する。
(g)薄膜化された単結晶シリコン基板200aの表面に、厚み1μmのフォトレジスト層340を形成し、フォトリソで加圧室201となる部分、オリフィス202となる部分、リザーバー203となる部分、個別電極リード部の取り出し開口部204となる部分を開口する。
(h)異方性ドライエッチングでシリコン基板200aを吐出液保護膜212が露出するまでエッチングし、加圧室201、オリフィス202、リザーバー203、個別電極リード部の取り出し開口部204を形成する。
(i)フォトレジスト340を除去し、メタルマスク341を装着してドライエッチングにより、個別電極リード部312aの取り出し部204となる部分の吐出液保護膜212、共通電極振動板214、および絶縁膜213を除去する。
(j)加圧室基板200aからメタルマスク341を取り外して、加圧室基板200aに吐出液供給穴227をピンで開口する。
以上により、個別電極基板310に積層された加圧室基板200aが得られる。
【0025】
(3)キャビティ基板200のうちの個別電極振動板221の製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図7a〜図7bに示す工程図に沿って説明する。
(a)サポートガラス基板350に個別電極振動板221となる厚み0.1μmのアモルファスシリコン層をCVDで形成する。
(b)アモルファスシリコン層の表面に、吐出液保護膜222となる厚み0.1μmのシリコン酸化膜をCVDで成膜する。
(c)キャビティ基板200の共通電極取り出し開口部225に対応する部分をフォトリソで除去し、更にアモルファスシリコン層をドライエッチングで除去する。
(d)吐出液保護膜222の形成側面を作製済みの加圧室基板200aに接着剤で貼付け、サポートガラス基板側からレーザーをスキャン照射して、個別電極振動板221および吐出液保護膜222をサポートガラス基板から剥離する。すなわち、個別電極振動板221および吐出液保護膜222を加圧室基板200aに転写する。この際に、個別電極振動板221はアモルファスシリコン膜から多結晶シリコン膜に変化する。
(e)個別電極振動板221の表面に、メタルマスク351を装着し、白金膜を厚さ0.1μm程度スパッタして、加圧室基板200aの加圧室201に対応する部分に個別電極223を形成し、同時に加圧室基板200aの共通電極224を形成する。
(f)その後、メタルマスク351を取り外す。
以上により、キャビティ基板200を構成する個別電極振動板221が形成できる。
【0026】
(4)共通電極基板320の製造
加圧室基板200aの製造方法の一例を、図8に示す工程図に沿って説明する。
(a)厚さ400μmのシリコン基板320(便宜上、共通電極基板と同じ符号とする)に厚み0.1μmの熱酸化膜360を形成し、個別電極223に対応する凹部321となる部分をフォトリソで開口する。
(b)TMAH水溶液(トリアルキル(ヒドロキシアルキル)アンモニウムハイドロキサイド水溶液)で凹部321を0.2μmエッチングにて形成する。
(c)熱酸化膜360を剥離後に、厚み1μmの熱酸化膜361を形成し、個別電極リード部の取り出し開口部325となる部分をフォトリソで開口する。
(d)KOH水溶液(水酸化カリウム水溶液)でエッチングして、個別電極リード部の取り出し開口部325を形成する。
(e)熱酸化膜361を剥離後に、絶縁膜322となる厚み0.1μmの熱酸化膜を形成し、さらに、共通電極323となる部分の絶縁膜322をフォトリソで開口する。
(f)メタルマスク362を装着して、共通電極323となる厚み0.1μmの白金膜を形成する。
(g)ブラストで封止穴324を形成する。
以上により、共通電極基板320が得られる。
【0027】
(5)共通電極基板320およびノズル基板100の組み付け
加圧室基板200aの組み付け手順を、図9に示す工程図に沿って説明する。
(a)作製した共通電極基板320を、作製済みのキャビティ基板200の個別振動板基板221の基材である多結晶シリコン膜に、接着剤で接合する。
(b)封止穴314、324にそれぞれ封止剤を注入し、各隙間317、327を封止した後、ダイサーでチップに個片化する。
(c)ノズル孔101が形成されたノズル基板100を、個別電極基板310、キャビティ基板200、および共通電極基板320が積層された積層体の端面に接着剤で接着する。これにより、ノズル基板100のノズル孔101がキャビティ基板200の加圧室201に連通する。以上で、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドが完成する。
【0028】
実施の形態2による液滴吐出ヘッドの製造方法では、サポートガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜をレーザーを用いて加圧室基板200aに転写する技術(SUFTLA技術)を利用することで、加圧室201の底面を構成する共通電極振動板211に対向する個別電極振動板221を形成することが可能となっている。
なお、加圧室201を複数とし、その加圧室201毎に、個別電極基板310に形成する個別電極312、個別電極振動板221に形成する個別電極223、およびノズル孔を、複数設けることにより、液滴吐出ヘッドの高密度化を実現することができる。
【0029】
実施の形態3
図10は、実施の形態1で説明した液滴吐出ヘッドを搭載した実施の形態3に係る液滴吐出装置であるインクジェットプリンターの斜視図である。このインクジェットプリンターは、実施の形態1の液滴吐出ヘッドが有する効果をそのまま奏することができるため、プリンターとしての信頼性、耐久性に優れ、また小型化も図れる。
なお、実施の形態1に示す液滴吐出ヘッドは、吐出液を種々変更することで、インクジェットプリンターの他、液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出などのための各種装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
100:ノズル基板、101:ノズル孔、200:キャビティ基板、200a:加圧室基板、201:加圧室、202:オリフィス、203:リザーバー、204:個別電極リード部312aの取り出し開口部、211:共通電極振動板(ポリシリコン層214)、212:吐出液保護膜、213:絶縁膜、214a:共通電極導通部、221:個別電極振動板(多結晶シリコン膜)、222:吐出液保護膜、223:個別電極(第2の個別電極)、223a:個別電極リード部、224:加圧室基板の共通電極、225:共通電極取り出し開口部、227:吐出液供給穴、310:個別電極基板、311:個別電極用の凹部、312:個別電極(第1の個別電極)、312a:個別電極リード部、313:吐出液供給穴、314:封止用穴、315:封止剤、317:隙間、320:共通電極基板、321:共通電極基板の凹部、322:絶縁膜、323:共通電極基板の共通電極、324:封止用穴、325:個別電極リード部223aの取り出し開口部、326:封止剤、327:隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出液をそれぞれのノズル孔から吐出させる複数の加圧室が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板を備え、前記振動板の一方は前記複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板とされ、前記振動板の他方は前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極振動板とされており、
前記キャビテイ基板に、前記共通電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極基板と、前記個別電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室に対して共通の共通電極基板とを、積層したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記キャビティ基板は、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された加圧室基板と、前記個別電極振動板とが積層されて形成されており、
前記個別電極基板、前記加圧室基板、前記個別電極振動板、および前記共通電極基板の順に積層され、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出していることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記個別電極基板は硼珪酸ガラスを、前記加圧室基板と前記共通電極基板は単結晶シリコン基板を、前記共通電極振動板と個別電極振動板は多結晶シリコン膜を、それぞれ基材としていることを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記共通電極振動板と前記個別電極振動板とを独立して駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方だけを駆動することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の両方を同時に駆動することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方を駆動した後、時間を空けて他方の振動板を駆動させることを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置。
【請求項9】
第1の個別電極が形成されたガラス基板と、共通電極振動板となる多結晶シリコン膜が形成され該膜を底面とする加圧室を形成予定のシリコン基板とを、前記第1の個別電極と前記シリコン基板との間に隙間を有して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板をエッチングして前記加圧室を含む吐出液の流路を形成する工程と、
サポートガラス基板にアモルファスシリコン膜と吐出液保護膜とを積層する工程と、
前記サポートガラス基板の前記アモルファスシリコン膜および前記吐出液保護膜を有した面を、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された前記シリコン基板に接合する工程と、
前記サポートガラス基板側からレーザーを照射して、前記アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変質させることで前記サポートガラス基板を剥離する工程と、
前記多結晶シリコン膜の表面の前記加圧室に対応する部分に第2の個別電極を形成して個別電極振動板を形成する工程と、
前記第2の個別電極に対応する部分に凹部が形成された共通電極基板を、前記第2の個別電極との間に隙間を有して前記個別電極振動板に接合する工程と、
前記加圧室に対応するノズル孔を備えたノズル基板を、前記個別電極基板と、前記共通電極振動板および前記個別電極振動板を有した前記シリコン基板と、前記共通電極基板とが積層された積層体の端面に接合する工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記加圧室を複数とし、前記第1の個別電極、前記第2の個別電極、および前記ノズル孔を、前記加圧室に対応する個数設けることを特徴とする請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項1】
吐出液をそれぞれのノズル孔から吐出させる複数の加圧室が、対向する振動板の間に形成されたキャビティ基板を備え、前記振動板の一方は前記複数の加圧室に対して共通の共通電極振動板とされ、前記振動板の他方は前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極振動板とされており、
前記キャビテイ基板に、前記共通電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室にそれぞれ対応した個別電極を有した個別電極基板と、前記個別電極振動板と電極対を形成し前記複数の加圧室に対して共通の共通電極基板とを、積層したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記キャビティ基板は、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された加圧室基板と、前記個別電極振動板とが積層されて形成されており、
前記個別電極基板、前記加圧室基板、前記個別電極振動板、および前記共通電極基板の順に積層され、各基板の外部回路との電気的接続部が同じ端部側に引き出されて同じ方向の表面側に露出していることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記個別電極基板は硼珪酸ガラスを、前記加圧室基板と前記共通電極基板は単結晶シリコン基板を、前記共通電極振動板と個別電極振動板は多結晶シリコン膜を、それぞれ基材としていることを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記共通電極振動板と前記個別電極振動板とを独立して駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方だけを駆動することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の両方を同時に駆動することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記共通電極振動板と前記個別電極振動板の一方を駆動した後、時間を空けて他方の振動板を駆動させることを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置。
【請求項9】
第1の個別電極が形成されたガラス基板と、共通電極振動板となる多結晶シリコン膜が形成され該膜を底面とする加圧室を形成予定のシリコン基板とを、前記第1の個別電極と前記シリコン基板との間に隙間を有して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板をエッチングして前記加圧室を含む吐出液の流路を形成する工程と、
サポートガラス基板にアモルファスシリコン膜と吐出液保護膜とを積層する工程と、
前記サポートガラス基板の前記アモルファスシリコン膜および前記吐出液保護膜を有した面を、前記共通電極振動板を底面とする前記加圧室が形成された前記シリコン基板に接合する工程と、
前記サポートガラス基板側からレーザーを照射して、前記アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変質させることで前記サポートガラス基板を剥離する工程と、
前記多結晶シリコン膜の表面の前記加圧室に対応する部分に第2の個別電極を形成して個別電極振動板を形成する工程と、
前記第2の個別電極に対応する部分に凹部が形成された共通電極基板を、前記第2の個別電極との間に隙間を有して前記個別電極振動板に接合する工程と、
前記加圧室に対応するノズル孔を備えたノズル基板を、前記個別電極基板と、前記共通電極振動板および前記個別電極振動板を有した前記シリコン基板と、前記共通電極基板とが積層された積層体の端面に接合する工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記加圧室を複数とし、前記第1の個別電極、前記第2の個別電極、および前記ノズル孔を、前記加圧室に対応する個数設けることを特徴とする請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−158835(P2010−158835A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2424(P2009−2424)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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