説明

液滴吐出装置

【課題】ノズルの目詰まりを防止するインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】液体を吐出する吐出手段と、調湿材を用いて前記吐出手段の近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する液滴吐出装置である。調湿材を液滴吐出面内に配置し、又は調湿材を内壁に有する囲い部材やハウジング21で吐出手段を囲う。或いは、調湿材を内壁に有する筐体で装置全体を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関し、特にノズルの目詰まりの発生を抑えた液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノズル、スリット、多孔質フィルム等により形成されるノズルから液体を吐出するインクジェット方式は、小型で安価である等の理由から多くのプリンター等に用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによる液体の沸騰現象を利用し、液体を吐出する熱インクジェット方式は高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
【0003】
上記液体がインクの場合、一般的に、溶媒主成分が水である水性インク、又は、溶媒主成分が有機溶媒である油性インクなどが知られている。この水性インク溶媒として用いられる水は、蒸気圧が大きいため、経時とともに蒸発し、インク中の色材が固化するという不具合が生じることが知られている。
【0004】
また、インクジェット方式は、硬化性樹脂を吐出して、回路パターンやカラーフィルターの形成を行うことにも適用できる。この場合、乾燥によって硬化性樹脂を含む液体の粘度が高くなり、吐出に不具合が発生する場合がある。
【0005】
このように、インクジェット方式において、インクジェットの吐出安定性は外部環境から影響を受けやすく、経時でノズルの目詰まりを発生させやすい。
【0006】
この不具合に対しては、給送手段と前記画像形成手段の間に蒸気を発生する蒸気発生手段を配置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法では、新たに蒸気発生手段を設置しなければならず、また蒸気発生手段によって画像形成手段近傍の湿度を制御することも困難な操作である。
【0007】
画像形成手段近傍の外部環境を制御する他の方法として、例えば、印字前の記録用紙に液体を塗布しておき、印字に際して加熱乾燥することで、記録用紙に塗布した液体が気化し、その影響でヘッド付近の湿度が高くなるという方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この方法では、記録用紙に液体を塗布するため、画質に直接影響を及ぼしてしまい、且つ、頻繁に印字しないとノズルの目詰まりを防ぐことができない。
【0008】
更に、ヘッド近傍の雰囲気を包囲する雰囲気制御ボックスを備え、雰囲気制御ボックス内に調温調湿した気体を送風する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法では、送風する気体を調温調湿しなければならず、また気体を吹き付ける位置によってはインクの吐出に影響を及ぼす場合があるため、装置の設計も困難性を伴う。
【特許文献1】特開2000−255053号公報
【特許文献2】特開2003−165203号公報
【特許文献3】特開2004−243164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、長期間保持した場合にもインクタンク内の液体特性が安定し、その結果、ノズルの目詰まりを防止する液滴吐出装置を提供することにある

【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明の構成を満たすことにより長期間保持した場合にもインクタンク内の液体特性が安定し、その結果、目詰まりの発生を抑制するという結論に至った。即ち、本発明は以下の通りである。
【0011】
<1> 液体を吐出する吐出手段と、調湿材を用いて前記吐出手段の近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する液滴吐出装置である。
【0012】
<2> 液体を吐出するための複数のノズルを有する液滴吐出面を備えた液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出面に設けられた調湿材を用いて前記ノズルの近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する前記<1>に記載の液滴吐出装置である。
【0013】
<3> 前記湿度調節手段として、内壁に前記調湿材を有する囲い部材を前記液滴吐出面に設けて、前記ノズルの近傍の湿度を調節することを特徴とする前記<2>に記載の液滴吐出装置である。
【0014】
<4> 液体を吐出するための複数のノズルを有する液滴吐出面を備えた液滴吐出ヘッドと、少なくとも前記液滴吐出ヘッドを囲うように前記調湿材を内壁に有するハウジングを設けて前記液滴吐出ヘッドの近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有することを特徴とする前記<1>記載の液滴吐出装置である。
【0015】
<5> 前記湿度調節手段として、液滴吐出装置の筐体内壁に前記調湿材を備えて、液滴吐出装置内の湿度を調節することを特徴とする前記<1>に記載の液滴吐出装置である。
【0016】
<6> 前記調湿材が、無機多孔質材及び高分子調湿材からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>乃至<5>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0017】
<7> 前記調湿材は、湿度に応じて水分を保持及び放出することを特徴とする前記<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0018】
<8> 廃インクタンクと、
前記廃インクタンクと連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、を更に備えることを特徴とする前記<1>乃至<7>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0019】
<9> 保湿性溶媒を収納する湿度補助用水溶液タンクと、
前記湿度補助用水溶液タンクと連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、を更に備えることを特徴とする前記<1>乃至<8>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0020】
<10> 加湿器と、
前記加湿器と連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、
を更に備えることを特徴とする前記<1>乃至<9>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0021】
<11> 前記液体がインクであり、前記吐出手段によって画像を形成することを特徴とする前記<1>乃至<10>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【0022】
<12> 前記液体が樹脂を含む液体であり、前記吐出手段によって樹脂形成物を成形することを特徴とする前記<1>乃至<10>のいずれか1項に記載の液滴吐出装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、期間保持した場合にもインクタンク内の液体特性が安定し、その結果、ノズルの目詰まりを防止する液滴吐出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の液滴吐出装置は、液体を吐出する吐出手段と、調湿材を用いて前記吐出手段の近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する。前記液体がインクであるインクジェット記録装置であっても、樹脂を含む液体を吐出し樹脂形成物を成形する形成装置であってもよい。
以下、図面を参照しながら本発明の液滴吐出装置の好適な実施形態について詳細に説明するが、第1実施態様から第9実施態様では、液体としてインクを用いるインクジェット記録装置について説明する。
なお、図中、実質的に同様の機能を有する部材については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1は本実施形態のインクジェット記録装置の好適な一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。図2は、図1のインクジェット記録装置(以下、記録装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。図3は本実施形態に係る記録ヘッド3のノズル面側の構成を示す概略図である。
【0026】
まず、図1及び図2を参照しながら、記録装置の構成及びその吐出動作について説明する。
本実施形態の記録装置100は、図1及び図2に示すように、記録装置100は、主として、外部カバー6と、普通紙などの記録媒体1を所定量載置可能なトレイ7と、記録媒体1を記録装置100内部に1枚毎に搬送するための搬送ローラ(搬送手段)2と、記録媒体1の面にインク及び液体組成物を吐出して画像を形成する画像形成部8(画像形成手段)とそれぞれのサブインクタンク5へインク及び処理液を補給するメインインクタンク4とから構成されている。
【0027】
搬送ローラ2は記録装置100内に回転可能に配設された一対のローラで構成された紙送り機構であり、トレイ7にセットされた記録媒体1を挟持するとともに、所定量の記録媒体1を所定のタイミングで1枚毎に装置100内部に搬送する。
【0028】
画像形成部8は記録媒体1の面上にインクによる画像を形成する。画像形成部8は、主として記録ヘッド3と、サブインクタンク5と、給電信号ケーブル9と、キャリッジ10と、ガイドロッド11と、タイミングベルト12と、駆動プーリ13と、メンテナンスユニット14とから構成されている。
【0029】
サブインクタンク5はそれぞれ異なる色のインク又は液体組成物が吐出可能に格納されたインクタンク51、52、53、54、55を有している。これらには、例えば、インクジェット用インクとして、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、及び、処理液が納められている。無論、処理液を用いない場合、又は、処理液が色材を含有する場合は、処理液用のインクタンクを設ける必要はない。
【0030】
サブインクタンク5には、それぞれ排気孔56と補給孔57とが設けられている。そして、記録ヘッド3が待機位置(もしくは補給位置)に移動したとき、排気孔56及び補給孔57に補給装置15の排気用ピン151及び補給用ピン152がそれぞれ挿入されることで、サブインクタンク5と補給装置15とが連結可能となっている。また、補給装置15はメインインクタンク4と補給管16を介して連結されており、補給装置15によりメインインクタンク4から補給孔57を通じてサブインクタンク5へとインク又は処理液を補給する。
ここで、メインインクタンク4も、同様にそれぞれ異なる色のインク及び処理液が納めされたメインインクタンク41、42、43、44、45を有している。そして、これらには、例えば、第1の液体として、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)が、第2の液体として処理液が満たされ、それぞれが記録装置100に脱着可能に格納されている。
【0031】
さらに、図2に示すように、記録ヘッド3には給電信号ケーブル9とサブインクタンク5が接続されており、給電信号ケーブル9から外部の画像記録情報が記録ヘッド3に入力されると、記録ヘッド3はこの画像記録情報に基づき各インクタンクから所定量のインクを吸引して記録媒体の面上に吐出する。なお、給電信号ケーブル9は画像記録情報の他に記録ヘッド3を駆動するために必要な電力を記録ヘッド3に供給する役割も担っている。
【0032】
また、この記録ヘッド3はキャリッジ10上に配置されて保持されており、キャリッジ10はガイドロッド11、駆動プーリ13に接続されたタイミングベルト12が接続されている。このような構成により、記録ヘッド3はガイドロッド11に沿うようにして、記録媒体1の面と平行でありかつ記録媒体1の搬送方向X(副走査方向)に対して垂直な方向Y(主走査方向)にも移動可能となる。
【0033】
記録装置100には、画像記録情報に基づいて記録ヘッド3の駆動タイミングとキャリッジ10の駆動タイミングとを調製する制御手段(図示せず)が備えられている。これにより、搬送方向Xにそって、所定の速度で搬送される記録媒体1の面の所定領域に画像記録情報に基づく画像を連続的に形成することができる。
【0034】
本実施形態に係る記録ヘッド3には、インク吐出口であるノズル17(吐出手段、図3参照。)と、液路及びこの液路の一部に設けられるエネルギー作用部(図示せず)と、該作用部にあるインクに作用させる液滴形成エネルギーを発生するエネルギー発生手段[図示せず)と、を備えている。
【0035】
前記エネルギー発生手段としては、電気機械変換体を用いたピエゾインクジェット記録方式、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、該発熱による作用で液滴を吐出させるエネルギー発生手段を用いた記録方法、あるいは発熱抵抗体を有する発熱素子等の電気熱変換体によって液体を加熱して液体を吐出させる熱インクジェット記録方式等がある。
【0036】
本実施形態のインクジェット記録装置は、滲み及び色間滲みの改善効果という観点から、熱インクジェット記録方式、又は、ピエゾインクジェット記録方式を採用することが好ましい。この原因は明らかとはなっていないが、熱インクジェット記録方式の場合、吐出時にインクが加熱され、低粘度となっているが、記録媒体上でインクの温度が低下するため、粘度が急激に大きくなる。このため、滲み及び色間滲みに改善効果があると考えられる。一方、ピエゾインクジェット方式の場合、高粘度の液体を吐出することが可能であり、高粘度の液体は記録媒体上での紙表面方向への広がりを抑制することが可能となるため、滲み、及び、色間滲みに改善効果があるものと推測している。
【0037】
メンテナンスユニット14は、チューブを介して減圧装置(図示せず)に接続されている。更にこのメンテナンスユニット14は、記録ヘッド3のノズル部分に接続されており、記録ヘッド3のノズル内を減圧状態にすることにより記録ヘッド3のノズルからインクを吸引する機能を有している。このメンテナンスユニット14を設けておくことにより、必要に応じて記録装置100が作動中にノズル17に付着した余分なインクを除去したり、作動停止状態のときにノズルからのインクの蒸発を抑制したりすることができる。
【0038】
次に、図2の記録ヘッド3についてノズル面(液滴吐出面)側から観察した図3を参照しながら、湿度調節手段について説明する。
記録ヘッド3にはノズル17が配置され、ノズル17からインクが吐出する。図3では、ノズル17が直線的に1列配置されているが、ノズル17の配置方法については特に制限されず、例えば、ノズル列を複数列平行に配置し、各ノズル列のノズル17を半ピッチずらした配列にして、記録媒体1上に形成される液滴の密度を上げるようにしてもよい。
【0039】
本実施態様では、湿度調節手段として、調湿材をノズル17(吐出手段)の近傍に設置して、前記吐出手段の近傍の湿度を調節する。調湿材の配置方法については特に制限されない。例えば、図3(A)に示すように、直線的に配置されたノズル17を囲うように調湿材18をノズル面(液滴吐出面)に配置したり、図3(B)に示すように、ノズル面(液滴吐出面)のノズル17近傍に間隔を置いて調湿材18を配置したりしてもよい。
【0040】
ここで、上記調湿材とは、湿度を調節することのできる材質で形成されているものをいい、例えば、ある一定の湿度になるまでは空気中からの水分を保持し、一定以下の湿度になると保持した水分を放出する材料である。このような調湿材として、無機系の多孔質材料や高分子の調湿材料等がある。
【0041】
無機系の多孔質材料において、細孔のサイズは、平均半径が0.5〜40nmであることが好ましく、1.5〜15nmであることがより好ましく、2.0〜5.0nmであることが更に好ましい。細孔半径が上記範囲にある場合、適正湿度以上に湿度が上昇した時には空気中の水分を細孔に保持し、適正湿度以下に低下した時には保持していた水分を放出するため、湿度を一定に保つことができるため好適である。
【0042】
図4を参照しながら、多孔質材料における水蒸気の吸着の様子を説明する。
図4(B)に示すように、平均径が1000×10−8cm程度の大きな孔を有する多孔質材料では、孔の表面に、分子間力及び静電気力により結合している多分子吸着水膜が生成しているが、孔の径が大きいために水蒸気の殆どを捕捉することができない。
しかし、図4(A)に示す細孔半径が0.5〜40nm程度の多孔質材料では、孔の表面に、前記多分子吸着水膜が生成していることに加え、多分子吸着水膜の間に毛管凝縮水が付着しているため、水蒸気を効果的に捕捉している。
【0043】
この毛管凝縮水の付着が、毛細管状の細孔への凝縮によって起きると仮定すれば、比蒸気圧と細孔径との間には、下記式(1)で表されるKelvinの式が成立する。
【0044】
InP/P=−2γVcosθ/rRT ・・・式(1)
【0045】
式(1)中、Pは水蒸気の分圧を表し、Pは飽和水蒸気圧を表し、γは液体の表面張力を表し、Vは液体の分子容を表し、θは接触角を表し、rは細孔半径を表し、Rは気体定数を表し、Tは絶対温度を表す。
【0046】
下記表1では、20℃における、毛管凝縮が完了する細孔半径r(Å)と湿度(RH%)との関係を示す(出典:建築知識(1998年9月号)調湿のメカニズムより)。
【0047】
【表1】

【0048】
表1に示すように、例えば、50Å(5nm)の細孔半径を有する多孔質材料の場合、湿度が80RH%であれば、毛管凝縮が完了し、多分子吸着水膜の間に毛管凝縮水が充填される。つまり、50Å(5nm)の細孔半径を有する多孔質材料では,80RH%よりも低い湿度において多分子吸着水膜が形成し,つづいて粒子間毛管凝縮が80RH%の湿度付近で起こり、液架橋を形成して水蒸気付着量は増大する。したがって、80RH%以上の湿度では、空気中の水蒸気を吸着させるが、80RH%未満の湿度では、水蒸気の分圧に従い吸着していた水蒸気を放出させる。
【0049】
一方、細孔径が大きい場合、細孔内への吸着及び毛管凝縮の完了はかなり高湿度であり、細孔表面には多分子吸着水膜しか形成されない。このため、殆どの部分では液架橋が形生成できず、水蒸気の付着量の増加が認められない。
【0050】
表1から示されるように、毛管凝縮によって吸着した水蒸気を利用して調湿の効果を得るには、実用上、0.5〜40nmの細孔半径を有する無機の多孔質材料を適用することが好ましく、1.5nm以上(湿度は約40RH%)15nm以下(湿度は約92RH%)であることがより好ましく、更に好ましくは、2.0nm以上(湿度は約60RH%)5nm以下(湿度は約80RH%)の場合である。
【0051】
無機多孔質材としては、上記細孔サイズを満たすものであれば、材質は特に制限されないが、例えば、木炭や竹炭、活性炭、珪藻土、またアルミナケイ酸塩やアルミナリン酸塩のようなゼオライト型化合物とその一部を金属置換したもの、さらに非晶質性シリカ・アルミナゲルであるアロフェンやイモゴライト、またカオリンやカネマイト等の粘度鉱物やそれらを人工ゼオライト化したものなどを挙げることができる。これらをそのまま用いても良く、またパルプや樹脂、あるいは石灰・石膏・セメントなどを用いて成型したものを用いても良い。
【0052】
高分子調湿材としては、例えば、ポリアクリル酸塩またはポリアクリル酸塩−ポリビニルアルコール共重合体を含んでなる吸水性高分子とポリビニルアルコールまたはポリイソプロピルアクリルアミドである水溶性高分子との組み合わせからなるもので、例えば特開2005−270958号公報に記載の高分子調湿材などは特に有効と考えられる。
【0053】
また、無機系の多孔質材料の表面には、適宜、高分子ポリマー等を含む調湿膜をコーティングしてもよい。このような高分子ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールや、分子構造に−OH基や−COOH、−N<(−NH、−NHφ、−Nφ)、>CO、−O−等の基を持っている等の他、脂肪酸塩、グリセリン脂肪酸、ソルビタン脂肪酸、ショ糖脂肪酸、及び、カルボキシメチルセルロース系、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、水溶性酢酸セルロース、及び天然高分子系ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物などを挙げることができる。
このような調湿膜をコーティングすると、無機多孔質材料そのものの調湿能力よりも調湿能力が高くなり、吸収し放出する水分量を多くすることができる。
【0054】
調湿材の一例として、木炭の表面に調湿膜を備えたRHC調湿材(ハイウッド株式会社製)について説明する。RHC調湿材は、空気中の湿度が80%を越えると吸湿し、湿度80%以下になると吸った湿気を急激に放出する調湿性能を有する。木炭製品に比較して約10数倍の調湿制御能力を有している。
このような調湿材18をノズル近傍に備えることで、ノズル17近傍の湿度は一定に保たれ、外気の乾燥によるノズル17の目詰まりを防ぐことができる。
【0055】
図5は、記録ヘッド3付近を拡大した斜視図である。ノズル17近傍に配置した調湿材18による調湿効果を更に高めるよう、図5(A)に示すように、ノズル面を囲い込むように、記録ヘッド3から壁材19を環囲した囲い部材を設けてもよい。壁材19を配する場合には、記録媒体1が通過できるように壁材19を配する。
壁材19の内壁の少なくとも一部には上記調湿材18を備える。少なくとも内壁に前記調湿材18を有すれば、壁材19の内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、壁材19が調湿材18で形成されていてもよい。なお、図3に示すようにノズル面に調湿材18を設置した場合には、壁材19に調湿材18を設けなくても本発明の態様に該当する。
更に調湿効果を高めるよう、図5(B)に示すように、記録媒体1の搬送を阻害しない程度に記録媒体1に接するブラシ20を、壁材19の先端に設けてもよい。
【0056】
次に、本発明にサブインクタンク5に充填するインク及び処理液(記録液)について説明する。
記録ヘッドのノズルから吐出されるインクとしては、少なくとも色材、水溶性溶媒、及び水を含む。インクの色材を凝集させる作用を有する処理液としては、少なくとも凝集剤を含む。処理液に色材を含有させてインク(例えばイエローインク)として用いてもよい。
【0057】
色材は、染料、顔料どちらでも構わないが、特に顔料が好ましい。これは、染料に比べて顔料の方が、第2の液体との混合時に凝集が生じやすいためであると考えている。顔料の中でも、顔料が高分子分散剤により分散されている顔料、自己分散可能な顔料、樹脂により被覆された顔料が好ましい。
【0058】
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用しても良い。また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することも可能である。更には、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0059】
顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal 400R,Regal 330R,Regal 660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1, Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
シアン色にはC.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
マゼンタ色は、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−184,−202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
黄色は、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−155,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本発明において使用される水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で安定に分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−250、Cab−o−jet−260、Cab−o−jet−270、Cab−o−jet−300、IJX−444、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0064】
色材であって、自己分散顔料であるものとしては、その表面に官能基にカルボン酸基を含有する色材であることが好ましい。カルボン酸はその解離度が小さいため、酸解離定数pKaが4.5以下である有機酸によりカルボン酸の解離を抑制することができ、凝集が促進されるためであると推測している。
【0065】
色材が、その表面にスルホン酸基を有する色材である場合、色材の他にカルボン酸基を有する高分子化合物(カルボン酸基を有する樹脂)を添加することが好ましい。その表面にスルホン酸基を有する色材は、凝集し難いため、光学濃度、滲み、色間滲みが改善されない傾向にある。一方、カルボン酸基を有する高分子化合物を添加させた場合、二液が混合されたときに、高分子化合物の不溶化が生じる。この際、顔料が高分子化合物に取り込まれて凝集するため、光学濃度、滲み、色間滲みが改善すると推測している。
【0066】
更に、色材として樹脂により被覆された顔料等を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
【0067】
一方、本発明において使用される染料としては、水溶性染料、分散染料のいずれでも構わない。水溶性染料の具体例としては、C.I.Direct Black−2,−4,−9,−11,−17,−19,−22,−32,−80,−151,−154,−168,−171,−194,−195、C.I.Direct Blue−1,−2,−6,−8,−22,−34,−70,−71,−76,−78,−86,−112,−142,−165,−199,−200,−201,−202,−203,−207,−218,−236,−287,−307,C.I.Direct Red−1,−2,−4,−8,−9,−11,−13,−15,−20,−28,−31,−33,−37,−39,−51,−59,−62,−63,−73,−75,−80,−81,−83,−87,−90,−94,−95,−99,−101,−110,−189,−227、C.I.Direct Yellow−1,−2,−4,−8,−11,−12,−26,−27,−28,−33,−34,−41,−44,−48,−58,−86,−87,−88,−132,−135,−142,−144,−173、C.I.Food Black−1,−2、C.I.Acid Black−1,−2,−7,−16,−24,−26,−28,−31,−48,−52,−63,−107,−112,−118,−119,−121,−156,−172,−194,−208、C.I.Acid Blue−1,−7,−9,−15,−22,−23,−27,−29,−40,−43,−55,−59,−62,−78,−80,−81,−83,−90,−102,−104,−111,−185,−249,−254、C.I.Acid Red−1,−4,−8,−13,−14,−15,−18,−21,−26,−35,−37,−52,−110,−144,−180,−249,−257,−289、C.I.Acid Yellow−1,−3,−4,−7,−11,−12,−13,−14,−18,−19,−23,−25,−34,−38,−41,−42,−44,−53,−55,−61,−71,−76,−78,−79,−122などが挙げられる。
【0068】
分散染料の具体例としては、C.I.Disperse Yellow‐3、‐5、‐7、‐8、‐42、‐54、‐64、‐79、‐82、‐83、‐93、‐100、‐119、‐122、‐126、‐160、‐184:1、‐186、‐198、‐204、‐224、C.I.Disperse Orange‐13、‐29、‐31:1、‐33、‐49、‐54、‐66、‐73、‐119、‐163、C.I.Disperse Red‐1、‐4、‐11、‐17、‐19、‐54、‐60、‐72、‐73、‐86、‐92、‐93、‐126、‐127、‐135、‐145、‐154、‐164、‐167:1、‐177、‐181、‐207、‐239、‐240、‐258、‐278、‐283、‐311、‐343、‐348、‐356、‐362、C.I.Disperse Violet‐33、C.I.Disperse Blue‐14、‐26、‐56、‐60、‐73、‐87、‐128、‐143、‐154、‐165、‐165:1、‐176、‐183、‐185、‐201、‐214、‐224、‐257、‐287、‐354、‐365、‐368、C.I.Disperse Green‐6:1、‐9などが挙げられる。
【0069】
本発明に用いられる色材は、インク全質量に対し0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下の範囲で使用される。液体中の色材量が0.1質量%未満の場合には、十分な光学濃度が得られない場合があり、色材量が20質量%よりも多い場合には、液体の噴射特性が不安定となる場合がある。
【0070】
インクには、顔料を分散させるために高分子分散剤を使用することもできる。一方、水に自己分散可能な顔料を用いた場合でも、高分子分散剤を併用することもできる。なお、本発明において、色材(顔料)を分散させるために用いられる高分子物質を高分子分散剤と称する。
ここで用いられる高分子物質としては、水溶性高分子物質、及び、エマルジョン、自己分散微粒子などの水不溶性高分子物質のいずれもが使用でき、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物いずれであっても構わない。例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が使用できる。
【0071】
具体的には、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0072】
上記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独若しくは複数を共重合して得られる共重合体が高分子分散剤として使用される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0073】
高分子分散剤は、インクに対して0.1〜3質量%の範囲で添加されることが好適である。この添加量が3質量%を超える場合には、インク粘度が高くなり、インクの噴射特性が不安定となる場合がある。一方、添加量が0.1質量%未満の場合には、顔料の分散安定性が低下する場合がある。高分子分散剤としての添加量としてより好ましくは0.15〜2.5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0074】
インクに含まれる水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることも出来る。
【0075】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用することが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量としては、1〜60質量%、好ましくは、5〜40質量%で使用される。インク中の水溶性有機溶媒量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、インク粘度が大きくなり、インクの噴射特性が不安定になる場合がある。
【0076】
インクには、界面活性剤を含ましても構わない。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等を使用することが出来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれを使用しても構わない。また、上記高分子分散剤を界面活性剤として使用することもできる。
【0077】
これらの中でも、顔料の分散安定性という観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。また、浸透性制御の観点より、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が特に好ましい。
【0078】
界面活性剤の添加量は、インクに対して10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%の範囲で使用される。添加量が10質量%以上の場合には、光学濃度、及び、顔料インクの保存安定性が悪化する場合がある。
【0079】
インクには、その他、インク吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0080】
前記処理液としては、インク中の顔料を凝集させる成分を含むものであれば構わない。具体的には、例えば、アニオン性基を有する顔料を含有するインクに対しては、処理液中に多価金属塩又はカチオン性有機化合物等を含有させても構わない。本発明において有効に用いられる多価金属塩としては、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の塩等が挙げられる。
【0081】
具体例としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0082】
一方、カチオン性化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩等が挙げられる。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩、ポリアミン等が挙げられ、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
【0083】
好ましい電解質としては、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸スズ、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム、モノアリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体等が挙げられる。
【0084】
一方、表面にカチオン性基を有する顔料を含有するインクに対しては、処理液中にアニオン性化合物等を含有させても構わない。本発明において有効に用いられるアニオン化合物としては、有機カルボン酸又は有機スルホン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。具体的には、有機カルボン酸としては、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等が挙げられ、これらの基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。また、有機スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の化合物が挙げられ、これら基本構造を複数有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。
【0085】
処理液には、上記化合物を単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、処理液中の上記化合物含有量としては、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%で使用される。
処理液には、インクと同様に界面活性剤を含ましても構わない。この界面活性剤については、上述したものと同様なものが挙げられる。
【0086】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のインクジェット記録装置では、湿度調節手段として、内壁に前記調湿材を有するハウジング21を少なくとも液滴吐出ヘッドを囲うように設けて液滴吐出ヘッド近傍の湿度を調節する。その結果、液滴吐出ヘッドの液滴吐出面(ノズル面)に設けられたノズル17近傍の湿度を調節できる。このとき、ハウジング21は、液滴吐出面のノズル17(吐出手段)を内部に包含するように設けると、ノズル17近傍の湿度を調節するのに好適である。
【0087】
図6は、本実施形態に係る記録ヘッド3付近を拡大した斜視図である。本実施形態では、サブインクタンク5と記録ヘッド3とをハウジング21で覆う。ハウジング21は、少なくとも内壁に前記調湿材を有すれば、内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、ハウジング21が調湿材18で形成されていてもよい。
このとき、図6(A)に示すように、ハウジング21によってノズル17近傍の湿度を保たせるために、ノズル面とノズル面に対向する搬送面とで構成される空間の湿度を一定にするよう、ノズル面を内部に包含するようにハウジング21を設置する。また、図6(B)に示すように、記録媒体1の搬送を阻害しない程度に記録媒体1に接するブラシ20を、ハウジング21の先端に設けてもよい。
【0088】
ハウジング21を設置する以外は、第2実施態様のインクジェット記録装置の構成は第1実施態様と同様であるため、その他の構成について説明を省略する。
【0089】
〔第3実施形態〕
第3実施形態のインクジェット記録装置では、湿度調節手段として、内壁に前記調湿材を有する筐体を、装置全体を覆うように設けて、装置内の湿度、特にノズル17(吐出手段)の近傍の湿度を調節する。
【0090】
第3実施形態では、図7に示すように、インクジェット記録装置全体を筐体22で覆う。筐体22は、少なくともその内壁に前記調湿材18を有する。内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、筐体22が調湿材18で形成されていてもよい。内壁に調湿材18を備える筐体22で装置全体を覆うことで、装置内の湿度が調節され、その結果ノズル17近傍の湿度も調節される。
【0091】
筐体22を設置する以外は、第3実施態様のインクジェット記録装置の構成は第1実施態様と同様であるため、その他の構成について説明を省略する。
【0092】
なお、第1実施態様から第3実施態様については、それぞれの構成を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
〔第4実施形態〕
図8は第4実施形態のインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図である。図9は、図8のインクジェット記録装置(以下、記録装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。本実施形態の記録装置101は、前述の本発明のインクジェット記録方法に基づいて作動し画像を形成する構成を有している。
【0094】
図8及び図9に示す記録装置101は、記録ヘッド3の幅が記録媒体1幅と同じ又はそれ以上(FWA(Full Width Array))であり、キャリッジ機構を持たず、副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)の紙送り機構(本実施形態では搬送ローラ2を示しているが、例えばベルト式の紙送り機構でもよい)で構成されている(以下、FWA型のインクジェット記録ヘッド(FWAヘッド)を用いるインクジェット記録装置をFWA型記録装置と称する場合がある。)。
【0095】
また、図10に示すように、インクタンク51〜55を副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)に順次配列させるのと同様に、各色(処理液も含む)を吐出するノズル群も副走査方向に配列させている。ノズル列は主走査方向に延びる。
【0096】
これ以外の構成は、図1及び図2に示す記録装置100と同様なので説明を省略する。なお、図中、記録ヘッド3は移動しないので、サブインクタンク5は補給装置15と常時連結した構成を示しているが、インク補給時に補給装置15と連結する構成でもよい。
【0097】
図8及び図9に示す記録装置101では、記録媒体1の幅方向(主走査方向)の印字を記録ヘッド3により一括で行なうため、キャリッジ機構を持つ方式に比べ、装置の構成が簡易であり、印字速度も速くなる。
【0098】
第4実施形態における吐出手段及び調湿手段について、更に説明する。
図10は、図9の記録ヘッド3についてノズル面側から観察した概略図である。
インクタンク51〜55に対応して、それぞれノズル17a〜17eが直線的に平行に配置される。本実施態様では、湿度調節手段として、調湿材18をノズル17(吐出手段)の近傍に設置して、吐出手段の近傍の湿度を調節する。調湿材18の配置方法については特に制限されず、例えば、図10(A)に示すように、記録ヘッド3のノズル面(液滴吐出面)周囲を囲うように調湿材18を配置したり、図10(B)に示すように、ノズル17近傍に間隔を置いて調湿材18を配置したり、図10(C)に示すように、直線的に配置されたノズル17列に平行するように調湿材18を配置したりすることができる。
【0099】
図11は、記録ヘッド3周辺を拡大した斜視図である。ノズル17近傍に配置した調湿材18の調湿効果を更に高めるよう、図11(A)に示すように、ノズル面を囲い込むように、記録ヘッド3から壁材19を環囲した囲い部材を設けてもよい。壁材19を配する場合には、記録媒体1が通過できるように壁材19を配する。
壁材19の内壁の少なくとも一部には上記調湿材18を備える。少なくとも内壁に前記調湿材18を有すれば、壁材19の内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、壁材19が調湿材18で形成されていてもよい。なお、図10に示すようにノズル面に調湿材18を設置した場合には、壁材19に調湿材18を設けなくても本発明の態様に該当する。
更に調湿効果を高めるために、図11(B)に示すように、記録媒体1の搬送を阻害しない程度に記録媒体1に接するブラシ20を、壁材19の先端に設けてもよい。
【0100】
〔第5実施形態〕
第5実施形態のインクジェット記録装置では、FWA型記録装置に、湿度調節手段として、内壁に調湿材18を有するハウジング21を、ノズル17(吐出手段)を囲うように設けて、吐出手段の近傍の湿度を調節する。
【0101】
図12は、本実施形態に係る記録ヘッド3周辺を拡大した斜視図である。本実施形態では、サブインクタンク5と記録ヘッド3とをハウジング21で覆う。ハウジング21は、少なくとも内壁に調湿材18を有すれば、内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、ハウジング21が調湿材18で形成されていてもよい。
このとき、図12(A)に示すように、ハウジング21によってノズル17近傍の湿度を保たせるために、ノズル面とノズル面に対向する搬送面とで構成される空間の湿度を一定にするよう、ノズル面を内部に包含するようにハウジング21を設置する。また、図12(B)に示すように、記録媒体1の搬送を阻害しない程度に記録媒体1に接するブラシ20を、ハウジング21の先端に設けてもよい。
【0102】
ハウジング21を設置する以外は、本実施態様のインクジェット記録装置の構成は第4実施態様と同様であるため、その他の構成について説明を省略する。
【0103】
〔第6実施形態〕
第6実施形態のインクジェット記録装置では、FWA型記録装置に、内壁に調湿材18を有する筐体を、装置全体を覆うように設けて、装置内の湿度、特にノズル17(吐出手段)の近傍の湿度を調節する。
【0104】
第6実施形態では、図13に示すように、インクジェット記録装置全体を筐体22で覆う。筐体22は、少なくともその内壁に前記調湿材18を有すれば、内壁全面が調湿材18で被覆されていてもよいし、間隔を置いて調湿材18が貼付されていてもよい。さらに、筐体22が調湿材18で形成されていてもよい。
【0105】
筐体22を設置する以外は、第4実施態様のインクジェット記録装置の構成は第1実施態様と同様であるため、その他の構成について説明を省略する。
【0106】
なお、第4実施態様から第6実施態様については、それぞれの構成を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
〔第7実施形態〕
第7実施形態では、前記第1実施形態〜第6実施形態の構成に加えて、廃インクタンク23と連通し、前記調湿材18に水分を補給するための水分供給手段24を有する。廃インクタンク23に溜められた廃インクの水分を利用して、調湿材18に水分を補給する。
図14に、第7実施形態のインクジェット記録装置の模式図を示す。水分供給手段24には、調湿材18に補給する水分を調節できるよう、弁25を設けてもよい。弁25の開閉は手動で行ってもよいし、ノズル(吐出手段)17近傍の湿度を検出する湿度検出手段としての湿度センサ26を設け、この湿度センサ26による検出結果に応じて前記弁25が開閉するように制御する制御部(図示せず)を設けてもよい。即ち、制御部によって、ノズル(吐出手段)17近傍の湿度が所定値よりも低くなると弁25が開き、所定値よりも高くなると弁25が閉まるように制御される。
【0108】
水分供給手段24が連通する連通口は、調湿材18に水分を補給することができれば、その設置位置は特に制限されない。例えば、ノズル(吐出手段)17の対向位置に連通口を設けてもよいし、記録媒体1の搬送で発生する空気流によって廃インクの水分を調湿材18に補給するよう、図14(A)に示すように、ノズル(吐出手段)17よりも記録媒体1の搬送上流側に連通口を設けてもよい。
【0109】
前記第2、第3、第5及び第6実施態様に示すように、ハウジング21や筐体22を備える場合には、図14(B)のように、ハウジング21や筐体22の壁の一部に連通口を設けてもよい。
調湿材18への水分の補給が効果的に行われるよう、連通口を調湿材近傍に配置することは好ましい態様である。
【0110】
また、蒸発した廃インクの水分を強制的に供給するよう水分供給手段24にファン(図示せず)を設けてもよい。ファンの駆動は、前記弁25の開閉を制御する制御部と共通させて、弁25が開くときにはファンを駆動させ、弁25が閉じるときにはファンを停止するようにしてもよいし、前記弁25の開閉を制御する制御部とは別に、ファンの駆動を制御する制御部を備えてもよい。
【0111】
〔第8実施形態〕
第8実施形態では、前記第1実施形態〜第6実施形態の構成に加えて、保湿性溶媒を含む水溶液を収納する湿度補助用水溶液タンクを設け、湿度補助用水溶液タンクと連通し調湿材に水分を補給する水分供給手段を備える。空気中の水分だけでは湿度をコントロールできない時に、湿度補助用水溶液タンクに溜められた湿度補助用水溶液の水分を利用して、調湿材に水分を補給する。
【0112】
保湿性溶媒としては、多価アルコール類が好ましい。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられ、グリセリンが特に好ましい。
湿度補助用水溶液中の保湿性溶媒の含有量としては、5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは、30〜70質量%である。湿度補助用水溶液中の保湿性溶媒量が5質量%よりも少ない場合には、湿度補助用水溶液の蒸発が過多となり消費が速くなってしまい、逆に、70質量%よりも多い場合には、湿度補助用水溶液自身の保湿力が強くなり、吐出手段の周辺への水分補給が充分でなくなる場合が生じる。
また、湿度補助用水溶液には、防カビ剤や殺菌剤を添加しても良い。
【0113】
なお、第8実施態様のインクジェット記録装置は、第7実施態様のインクジェット記録装置の廃インクタンク23を湿度補助用水溶液タンクに変えるだけで、連通の方法等は第7実施態様と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
〔第9実施形態〕
第9実施形態では、前記第1実施形態〜第6実施形態の構成に加えて、加湿器を設け、該加湿器と連通し、調湿材に水分を補充するための水分供給手段を有する。加湿器から発生した蒸気を利用して、調湿材に水分を補給する。
【0115】
なお、第9実施態様のインクジェット記録装置は、第7実施態様のインクジェット記録装置の廃インクタンク23を加湿器に変えるだけで、連通の方法等は第7実施態様と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
〔樹脂形成物を成形する形成装置〕
第1実施形態から第9実施形態は、サブインクタンク5にインクを充填し、記録ヘッド3のノズル17からインクを吐出して、搬送された記録媒体1に画像を形成する画像形成装置(画像記録装置)である。しかし、第1実施形態から第9実施形態に説明した画像記録装置は、サブインクタンク5に樹脂を含む液体を充填し、与えられた情報に従って、樹脂を含む液体を記録ヘッド3のノズル17から吐出させて、吐出した樹脂が固化することにより、目的の形状を有する樹脂形成物を成形する形成装置であってもよい。
【0117】
サブインクタンク5に充填する液体が異なるだけで、装置の構造としては、第1実施形態から第9実施形態のインクジェット記録装置と同様であるため、各構成の説明を省略する。
【0118】
このような形成装置は、基板上に直接回路パターンを形成する直接回路描画法に用いる液滴吐出装置、カラーフィルター製造のための液滴吐出装置、さらに面発光型発光素子用等の光学部材作製のための液滴吐出装置など、種々の用途に用いることができる。
したがって、第1実施形態から第9実施形態で説明した記録媒体1は、記録用紙に限られるわけではなく、中間転写体やガラス基板、プラスチック基板など様々な記録媒体が用いられ得る。
【0119】
形成装置のサブインクタンク5に充填する液体としては、例えば前記カラーフィルター製造のためには、インクタンクには着色剤により所定の色に着色された硬化性の光学樹脂を含有する。硬化性光学樹脂としては、例えば紫外線硬化型エポキシ系光学樹脂、紫外線硬化型アクリレート光学樹脂、各種熱硬化型光学樹脂等を採用することができる。
【0120】
例えば前記面発光型発光素子用の光学部材作製のためには、光学部材が、例えば熱または光等のエネルギーを付加することによって硬化可能な液体材料(例えば紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂の前駆体)を硬化させることにより形成されるため、サブインクタンク5には、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂や、熱硬化型樹脂としての熱硬化型のポリイミド系樹脂等が貯留される。
【0121】
このように、ノズルから吐出する液体は硬化性の樹脂を含むため、ノズルの目詰まりを防ぐことが重要である。第1実施形態から第9実施形態の形成装置では、ノズル近傍での湿度を一定に保つことができるため、乾燥時においても樹脂を含む液体の粘度が高くなりすぎるのを防ぐことができ、ノズルの目詰まりを防止できる。
本発明の形成装置は、電気配線基板作製技術、カラーフィルター、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置作製技術などの分野で用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第1実施形態のインクジェット記録装置の外観の構成を示す斜視図。
【図2】図1のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図。
【図3】図2の記録ヘッド3におけるノズル面側の構成を示す概略図。図3(A)は、調湿材の配置の一例を示し、図3(B)は、調湿材の配置の他の一例を示す。
【図4】多孔質材料における水が吸着する様子を説明する図。図4(A)は、細孔が適度に小さい場合であり、図4(B)は細孔が大きい場合を示す。
【図5】図2の記録ヘッド3付近を拡大した斜視図。図5(A)は、ノズル面を囲い込む壁材19を環囲した様子を示す図であり、図5(B)は、壁材19の先端にブラシ20を設けた様子を示す図である。
【図6】第2実施態様のインクジェット記録装置における記録ヘッド3付近を拡大した斜視図。図6(A)はハウジング21を設けた様子を示す図であり、図6(B)はハウジング21の先端にブラシ20を設けた様子を示す図である。
【図7】第3実施形態のインクジェット記録装置の構成を示す斜視図。
【図8】第4実施形態のインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図。
【図9】図7のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図。
【図10】図9の記録ヘッド3におけるノズル面側の構成を示す概略図。図10(A)は、調湿材の配置の一例を示し、図10(B)は、調湿材の配置の他の一例を示し、図10(C)は、調湿材の配置の更に他の一例を示す。
【図11】図9の記録ヘッド3付近を拡大した斜視図。図11(A)は、ノズル面を囲い込む壁材19を環囲した様子を示す図であり、図11(B)は、壁材19の先端にブラシ20を設けた様子を示す図である。
【図12】第5実施態様のインクジェット記録装置における記録ヘッド3付近を拡大した斜視図。図12(A)はハウジング21を設けた様子を示す図であり、図12(B)はハウジング21の先端にブラシ20を設けた様子を示す図である。
【図13】第6実施形態のインクジェット記録装置の構成を示す斜視図。
【図14】第6実施形態のインクジェット記録装置の構成を示す模式図。図14(A)は、ノズル17の対向位置に連通口を設けた様子を示す図であり、図14(B)は、ハウジング21に連通口を設けた様子を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
1 記録媒体
2 搬送ローラ
3 記録ヘッド
4 メインインクタンク
5 サブインクタンク
6 外部カバー
7 トレイ
8 画像形成部
9 給電信号ケーブル
10 キャリッジ
11 ガイドロッド
12 タイミングベルト
13 駆動プーリ
14 メンテナンスユニット
17 ノズル
18 調湿材
21 ハウジング
22 筐体
23 廃インクタンク、湿度補助用水溶液タンク、加湿器
24 水分供給手段
100 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出手段と、調湿材を用いて前記吐出手段の近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する液滴吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出するための複数のノズルを有する液滴吐出面を備えた液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出面に設けられた調湿材を用いて前記ノズルの近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有する請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記湿度調節手段として、内壁に前記調湿材を有する囲い部材を前記液滴吐出面に設けて、前記ノズルの近傍の湿度を調節することを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
液体を吐出するための複数のノズルを有する液滴吐出面を備えた液滴吐出ヘッドと、少なくとも前記液滴吐出ヘッドを囲うように前記調湿材を内壁に有するハウジングを設けて前記液滴吐出ヘッドの近傍の湿度を調節する湿度調節手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記湿度調節手段として、液滴吐出装置の筐体内壁に前記調湿材を備えて、液滴吐出装置内の湿度を調節することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記調湿材が、無機多孔質材及び高分子調湿材からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記調湿材は、湿度に応じて水分を保持及び放出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
廃インクタンクと、
前記廃インクタンクと連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
保湿性溶媒を収納する湿度補助用水溶液タンクと、
前記湿度補助用水溶液タンクと連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
加湿器と、
前記加湿器と連通し、前記調湿材料に水分を補給するための水分供給手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記液体がインクであり、前記吐出手段によって画像を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記液体が樹脂を含む液体であり、前記吐出手段によって樹脂形成物を成形することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−175605(P2007−175605A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376229(P2005−376229)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】