説明

液滴噴射装置及び塗布体の製造方法

【課題】液体成分の沈殿及び液体内の気泡による吐出不良の発生を防止することができる液滴噴射装置を提供する。
【解決手段】液体収容部16から供給される液体が通過する内部流路2aを有し、その内部流路2aを通過する液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド2と、液体収容部16と液滴吐出ヘッド2の内部流路2aとを連通する液体供給流路21と、その液体供給流路21中に設けられ、液体収容部16から液滴吐出ヘッド2に液体供給流路21を介して液体を供給する液体供給部17と、液滴吐出ヘッド2の内部流路2aと液体収容部16とを連通する液体戻し流路22と、その液体戻し流路22中に設けられ、液滴吐出ヘッド2の内部流路2aを通過した液体を液滴吐出ヘッド2から液体収容部16に液体戻し流路22を介して戻す液体戻し部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を噴射する液滴噴射装置及びその液滴噴射装置を用いた塗布体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴噴射装置は、通常、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、電子放出表示装置、プラズマ表示装置及び電気泳動表示装置等の様々な表示装置を製造するために用いられている。
【0003】
このような液滴噴射装置は、液体を複数のノズルから微少な液滴としてそれぞれ吐出する液滴吐出ヘッド(例えば、インクジェットヘッド)を備えており、その液滴吐出ヘッドにより塗布対象物である基板に液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を形成し、例えば、カラーフィルタやブラックマトリクス(カラーフィルタの額縁)等の塗布体を製造する(例えば、特許文献1参照)。なお、液体としては、水性インク、油性インク及び紫外線硬化インク等の各種のインクが用いられている。例えば、油性インクは、顔料、溶剤、分散剤、添加剤及び界面活性剤等の各種の成分により構成されている。
【特許文献1】特開2005−262464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のような液滴噴射装置では、インク成分の沈殿が発生したり、インク内に気泡が発生したりすることがある。これらは、液滴吐出ヘッドの吐出性に悪影響を及ぼす。
【0005】
例えば、インク成分の沈殿が発生した場合には、インクの表面張力や粘度が変化し、最適な吐出条件(例えば、駆動電圧やパルス幅等)が変わるため、液滴吐出ヘッドの吐出条件設定を再設定しないと、液滴吐出ヘッドの吐出不良が発生し、ヨレやかすれ等が生じてしまう。特に、インク成分の沈殿が激しい場合には、インクがノズルに詰まり、液滴の不吐出が発生してしまう。
【0006】
また、インク中の溶存気体(溶存ガス)により、インク内に気泡が発生した場合にも、気泡がノズルを塞ぐため、液滴吐出ヘッドの吐出不良が発生し、ヨレやかすれ等が生じてしまう。特に、気泡がインク中に多数存在する場合には、多くの気泡がノズルに溜まり、液滴の不吐出が発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体成分の沈殿及び液体内の気泡による吐出不良の発生を防止することができる液滴噴射装置及び塗布体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、液滴噴射装置において、液体を収容する液体収容部と、液体収容部から供給される液体が通過する内部流路を有し、内部流路を通過する液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、液体収容部と液滴吐出ヘッドの内部流路とを連通し、液体収容部から液滴吐出ヘッドに液体を供給するための液体供給流路と、液体供給流路中に設けられ、液体収容部から液滴吐出ヘッドに液体供給流路を介して液体を供給する液体供給部と、液滴吐出ヘッドの内部流路と液体収容部とを連通し、液滴吐出ヘッドの内部流路を通過した液体を液滴吐出ヘッドから液体収容部に戻すための液体戻し流路と、液体戻し流路中に設けられ、液滴吐出ヘッドの内部流路を通過した液体を液滴吐出ヘッドから液体収容部に液体戻し流路を介して戻す液体戻し部とを備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、塗布体の製造方法において、前述の第1の特徴に係る液滴噴射装置を用いて、塗布対象物に向けて液滴を噴射することである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液体成分の沈殿及び液体内の気泡による吐出不良の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る液滴噴射装置1は、液体であるインクをノズルから液滴として吐出する液滴吐出ヘッド2を用いて基板3にインクを塗布するためのインク塗布ボックス1Aと、そのインク塗布ボックス1Aにインクを供給するためのインク供給ボックス1Bとから構成されている。これらのインク塗布ボックス1A及びインク供給ボックス1Bは、互いに隣接して配置され、共に架台4の上面に固定されている。
【0013】
インク塗布ボックス1Aの内部には、Y軸方向スライド板5、Y軸方向移動テーブル6、X軸方向移動テーブル7及び基板保持テーブル8が積層されている。これらのY軸方向スライド板5、Y軸方向移動テーブル6、X軸方向移動テーブル7及び基板保持テーブル8は平板状に形成されている。
【0014】
Y軸方向スライド板5は架台4の上面に固定されている。Y軸方向スライド板5の上面には、複数のガイド溝5aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝5aには、Y軸方向移動テーブル6の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、Y軸方向移動テーブル6は、Y軸方向に移動可能にY軸方向スライド板5の上面に設けられている。このY軸方向移動テーブル6は、Y軸方向移動モータを用いる駆動機構により各ガイド溝5aに沿ってY軸方向に移動する。
【0015】
Y軸方向移動テーブル6の上面には、複数のガイド溝6aがX軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝6aには、X軸方向移動テーブル7の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、X軸方向移動テーブル7は、X軸方向に移動可能にY軸方向移動テーブル6の上面に設けられている。このX軸方向移動テーブル7は、X軸方向移動モータを用いる駆動機構により各ガイド溝6aに沿ってX軸方向に移動する。
【0016】
X軸方向移動テーブル7の上面には、基板3を保持する基板保持テーブル8が固定されている。この基板保持テーブル8は、基板3を把持する基板把持機構9を備えており、その基板把持機構9により基板保持テーブル8上に基板3を密着固定する。基板把持機構9としては、例えばコの字型の挟み金具等を用いる。なお、基板3の保持手段としては、基板把持機構9にかえて、例えば、基板3を吸着する基板吸着機構を設けるようにしてもよい。基板吸着機構としては、例えばゴム吸盤や吸引ポンプ等を用いる。
【0017】
ここで、基板保持テーブル8のY軸方向への移動量は、Y軸方向エンコーダのパルス信号(位置信号)に基づいて検出され、同様に、基板保持テーブル8のX軸方向への移動量は、X軸方向エンコーダのパルス信号(位置信号)に基づいて検出される。
【0018】
インク塗布ボックス1Aの内部には、一組のコラム(支柱)10が立設されている。これらのコラム10は、Y軸方向スライド板5のガイド溝5aと直交する方向、すなわちX軸方向においてY軸方向スライド板5を挟む位置に設けられている。
【0019】
一組のコラム10には、X軸方向スライド板11が横架されている。X軸方向スライド板11の前面には、ガイド溝11aがX軸方向に沿って設けられている。このガイド溝11aには、複数のインクジェットヘッドユニット12が垂設されたベース板13の背面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、ベース板13はX軸方向に移動可能にX軸方向スライド板11に設けられている。このベース板13、すなわちインクジェットヘッドユニット12は、ヘッドユニット移動モータを用いる駆動機構によりガイド溝11aに沿ってX軸方向に移動する。
【0020】
各インクジェットヘッドユニット12は、それぞれ液滴吐出ヘッド2を具備している。これらの液滴吐出ヘッド2は、各インクジェットヘッドユニット12の先端にそれぞれ着脱可能に設けられている。液滴吐出ヘッド2は、液滴が吐出される複数のノズル(貫通孔)を有するノズルプレート(図示せず)を備えている。この液滴吐出ヘッド2には、インクを貯留するインクバッファタンク等の液体バッファタンク14が設けられている。なお、液体バッファタンク14は、液滴吐出ヘッド2に一体的に設けられており、インクジェットヘッドユニット12に対し液滴吐出ヘッド2と共に着脱される。
【0021】
インクジェットヘッドユニット12には、基板3面に対して垂直方向、すなわちZ軸方向に液滴吐出ヘッド2を移動させるZ軸方向移動機構12aと、液滴吐出ヘッド2をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構12bと、液滴吐出ヘッド2をθ方向に回転させるθ方向回転機構12cとが設けられている。これにより、液滴吐出ヘッド2は、Z軸方向及びY軸方向に移動可能であり、θ軸方向に回転可能である。
【0022】
また、インク塗布ボックス1Aの内部には、液滴吐出ヘッド2のノズルのインク目詰まり等を清掃するためのヘッドメンテユニット15が設けられている。このヘッドメンテユニット15は、インクジェットヘッドユニット12の移動方向の延長線上であって基板3から離隔した位置に配置されている。なお、インクジェットヘッドユニット12がヘッドメンテユニット15に対向する待機位置まで移動すると、ヘッドメンテユニット15は液滴吐出ヘッド2のノズルのインク目詰まり等を自動的に洗浄する。
【0023】
インク供給ボックス1Bの内部には、インクを収容するインクタンク等の液体収容部16と、その液体収容部16から液体バッファタンク14を介して各液滴吐出ヘッド2にインクを供給する液体供給部17と、各液滴吐出ヘッド2に供給されるインクから気泡の発生原因である溶存気体(溶存ガス)を除去する脱気部18と、各液滴吐出ヘッド2から液体収容部16にインクを戻す液体戻し部19とが設けられている。
【0024】
なお、各液体バッファタンク14には、液体収容部16からインクが液体供給部17により供給される。インクとしては、水性インク、油性インク及び紫外線硬化インク等の各種のインクを用いる。例えば、油性インクは、顔料、溶剤、分散剤、添加剤及び界面活性剤等の各種の成分により構成されている。
【0025】
架台4の内部には、液滴噴射装置1の各部を制御するための制御部20及び各種のプログラムを記憶する記憶部(図示せず)等が設けられている。制御部20は、各種のプログラムに基づいて、Y軸方向移動テーブル6の移動制御、X軸方向移動テーブル7の移動制御、ベース板13の移動制御、Z軸方向移動機構12aの駆動制御、Y軸方向移動機構12bの駆動制御及びθ方向回転機構12cの駆動制御等を行う。これにより、基板保持テーブル8上の基板3と、各インクジェットヘッドユニット12の液滴吐出ヘッド2との相対位置を色々と変化させることができる。
【0026】
次いで、液滴噴射装置1のインク循環に関する各部について詳しく説明する。
【0027】
図2に示すように、液滴吐出ヘッド2は、液体収容部16から供給されるインクが通過する内部流路2aを有しており(図3参照)、その内部流路2aを通過するインクを液滴として吐出する。なお、制御部20は、各液滴吐出ヘッド2をそれぞれ駆動制御するヘッド制御部20aと、液体供給部17、脱気部18、液体戻し部19及び複数のバルブ23を駆動制御する液体循環制御部20bとを有している。
【0028】
液体収容部16と各液滴吐出ヘッド2との間には、液体収容部16と各液滴吐出ヘッド2の内部流路2aとを連通する液体供給流路21が設けられている。この液体供給流路21は、液体収容部16から各液滴吐出ヘッド2にインクを供給するための流路である。液体供給流路21としては、例えばチューブ等を用いる。
【0029】
各液滴吐出ヘッド2と液体収容部16との間には、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2aと液体収容部16とを連通する液体戻し流路22が設けられている。この液体戻し流路22は、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2aを通過したインクを各液滴吐出ヘッド2から液体収容部16に戻すための流路である。液体戻し流路22としては、例えばチューブ等を用いる。
【0030】
液体供給流路21中には、液体収容部16側から順番に、脱気部18、液体供給部17、各バルブ23及び各液体バッファタンク14が設けられている。また、液体戻し流路22中には、液体戻し部19が設けられている。
【0031】
脱気部18は、液体供給流路21を流れるインクからインク中の溶存気体を除去する装置である。また、各バルブ23は、各液滴吐出ヘッド2にそれぞれ対応させて設けられている。これらのバルブ23は、通常、開放状態であり、対応する液滴吐出ヘッド2の交換時等に閉められる。
【0032】
液体供給部17は、液体収容部16から各液滴吐出ヘッド2に液体供給流路21を介してインクを供給する装置である。この液体供給部17としては、例えば液体用ポンプ等を用いる。
【0033】
液体戻し部19は、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2aを通過したインクを各液滴吐出ヘッド2から液体収容部16に液体戻し流路22を介して戻すために流路内の液体に流動させたい方向への力を与える装置である。この液体戻し部19としては、例えば液体用ポンプ等を用いる。
【0034】
液体バッファタンク14は、その内部に貯留したインクの液面と液滴吐出ヘッド2のノズル面(ノズルプレートの外面)との水頭差(水頭圧)を利用し、ノズル先端のインクの液面(メニスカス)を調整する。これにより、インクの漏れ出しや吐出不良が防止されている。
【0035】
さらに、液体バッファタンク14は、液体供給流路21を流れるインクから気泡を除去する気泡除去部として機能する。この液体バッファタンク14は、図3に示すように、その内部の内壁面14aに沿ってインクを流し、その内壁面14aに沿って流れたインクを貯留する。このとき、液体供給流路21中に存在する気泡が取り除かれる。特に、液滴吐出ヘッド2の交換等の作業により、液体供給流路21中に侵入した気泡も取り除かれる。
【0036】
次に、このような液滴噴射装置1の液滴噴射処理及び液体循環処理について説明する。液滴噴射装置1の制御部20が各種のプログラムに基づいて液滴噴射処理及び液体循環処理を実行する。
【0037】
液滴噴射処理では、制御部20は、各インクジェットヘッドユニット12を待機位置から基板3に対向する位置まで移動させる。このとき、各インクジェットヘッドユニット12はX軸方向スライド板11のガイド溝11aに案内され、基板3に対向する位置まで移動する。次いで、制御部20は、Y軸方向移動テーブル6及びX軸方向移動テーブル7を駆動制御し、制御部20のヘッド制御部20aは、各インクジェットヘッドユニット12の液滴吐出ヘッド2の吐出動作を駆動制御する。これにより、液滴吐出ヘッド2は、内部流路2a内のインクを液滴として各ノズルからそれぞれ吐出し、Y軸方向に移動する基板3にそれらの液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を順次形成する。
【0038】
液体循環処理では、制御部20の液体循環制御部20bは、図4に示すように、液滴噴射装置1の電源投入中、通常、各バルブ23を閉状態に維持し、液体供給部17及び脱気部18を駆動する(ステップS1)。これにより、液体収容部16内のインクが液体供給流路21を介して脱気部18を通過する。このとき、脱気部18により、液体供給流路21を流れるインクから溶存気体が除去される。溶存気体が除去されたインクは、液体供給流路21を介して各液体バッファタンク14に貯留される。このとき、各液体バッファタンク14により、液体供給流路21中に存在する気泡が取り除かれる。その後、各液体バッファタンク14内のインクは、対応する液滴吐出ヘッド2の吐出動作に応じて、液滴吐出ヘッド2の内部流路2aに供給される。その内部流路2aに供給されたインクは、前述の液滴噴射処理により、液滴吐出ヘッド2の各ノズルから液滴として吐出される。
【0039】
次いで、液体循環制御部20bは、各液滴吐出ヘッド2の吐出動作が所定時間(例えば3分間程度)停止しているか否かを判断し(ステップS2)、その停止に待機する(ステップS2のNO)。例えば、液体循環制御部20bは、基板3の搬送中や段取り替え中等のように、各液滴吐出ヘッド2の吐出動作が休止中であるか否かを判断する。
【0040】
各液滴吐出ヘッド2の吐出動作が所定時間停止していると判断した場合には(ステップS2のYES)、液体戻し部19を駆動し(ステップS3)、ステップS2に処理を戻す。これにより、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2a中のインクが液体戻し流路22を介して液体収容部16に戻る。このようにして、液体収容部16内のインクが液体供給流路21、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2a及び液体戻し流路22を循環するようになる。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、液体戻し流路22及び液体戻し部19を設けることによって、各液滴吐出ヘッド2の内部流路2a内のインクが液体戻し流路22を介して液体収容部16に戻り、液体収容部16内のインクが各液滴吐出ヘッド2の内部流路2a及び液体戻し流路22を循環するようになるので、インク成分の沈殿が防止される。また、液体供給流路21中に脱気部18を設けることによって、液体供給流路21を流れるインクから溶存気体が除去されるので、液体供給流路21中に気泡が発生することが防止される。これらのことから、インク成分の沈殿及びインク内の気泡による吐出不良の発生を防止することができる。
【0042】
さらに、液体供給流路21を流れるインクから気泡を除去する気泡除去部として液体バッファタンク14を液体供給流路21中に設けることによって、液体供給流路21を流れるインクから気泡が取り除かれるので、より確実にインク内の気泡による吐出不良の発生を防止することができる。特に、液滴吐出ヘッド2の交換等の作業により、液体供給流路21中に侵入した気泡も取り除くことができる。
【0043】
また、液体バッファタンク14が、液体供給流路21を流れるインクを内壁面14aに沿って流し、内壁面14aに沿って流れたインクを貯留することによって、簡単な構成により、液体供給流路21を流れるインクから確実に気泡を取り除くことができる。加えて、液体バッファタンク14のインク貯留量を変えることによって、ノズル内のインクの液面を容易に調整することもできる。
【0044】
また、前述の液滴噴射装置1を用いて、塗布対象物である基板3に向けて液滴を噴射することによって、例えばカラーフィルタやブラックマトリクス(カラーフィルタの額縁)等の塗布体が製造されるので、塗布体の製造不良の発生を防止することができ、さらに、信頼性が高い塗布体を得ることができる。
【0045】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0046】
例えば、前述の実施の形態においては、液体供給流路21に液体バッファタンク14を設けているが、これに限るものではなく、例えば、液体供給流路21に液体バッファタンク14を設けないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液滴噴射装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す液滴噴射装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】図2に示す液滴噴射装置の一部分を拡大して示す模式図である。
【図4】図1及び図2に示す液滴吐出装置の液体循環処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1…液滴噴射装置、2…液滴吐出ヘッド、2a…内部流路、3…塗布対象物(基板)、14…気泡除去部(液体バッファタンク)、14a…内壁面、16…液体収容部、17…液体供給部、18…脱気部、19…液体戻し部、21…液体供給流路、22…液体戻し流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部から供給される前記液体が通過する内部流路を有し、前記内部流路を通過する前記液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液体収容部と前記液滴吐出ヘッドの前記内部流路とを連通し、前記液体収容部から前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給するための液体供給流路と、
前記液体供給流路中に設けられ、前記液体収容部から前記液滴吐出ヘッドに前記液体供給流路を介して前記液体を供給する液体供給部と、
前記液滴吐出ヘッドの前記内部流路と前記液体収容部とを連通し、前記液滴吐出ヘッドの前記内部流路を通過した前記液体を前記液滴吐出ヘッドから前記液体収容部に戻すための液体戻し流路と、
前記液体戻し流路中に設けられ、前記液滴吐出ヘッドの前記内部流路を通過した前記液体を前記液滴吐出ヘッドから前記液体収容部に前記液体戻し流路を介して戻す液体戻し部と、
を備えることを特徴とする液滴噴射装置。
【請求項2】
前記液体供給流路中に設けられ、前記液体供給流路を流れる前記液体から溶存気体を除去する脱気部を備えることを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
【請求項3】
前記液体供給流路中に設けられ、前記液体供給流路を流れる前記液体から気泡を除去する気泡除去部を備えることを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
【請求項4】
前記気泡除去部は、前記液体供給流路を流れる前記液体を内壁面に沿って流し、前記内壁面に沿って流れた前記液体を貯留することを特徴とする請求項3記載の液滴噴射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一に記載の液滴噴射装置を用いて、塗布対象物に向けて液滴を噴射することを特徴とする塗布体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−229609(P2007−229609A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53923(P2006−53923)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】