説明

液漏れ検出シール及び液漏れ検出装置

【課題】簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる漏水検出シール及び漏水検出装置を得る。
【解決手段】第1配管と第2配管との結合部に水漏れが発生し、管継手の内部に水が溜まった場合には、漏水検出シール18の透明フィルム34が水に浸される。このため、透明フィルム34の貫通孔36を塞いでいる水溶性樹脂38が溶け、透明フィルム34の外部から水が貫通孔36を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水に触れ、模様が変化し、この検知シート30の変化を管継手16の窓部16Dから目視により確認できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を液体が流れる管体の結合部に用いられる液漏れ検出シール及び液漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管継手の外周をカバー体で被覆して密閉し、さらに、カバー体の内部から外部に渡って液体を浸透させて流す浸透部材が設けられる構成が記載されている。そして、カバー体の外部へ突出した浸透部材の内部には、浸透部材を通して流れ出た液体と反応して色で表示する表示手段が設けられており、この表示手段の色を目視することで管継手からの液漏れを発見することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−183849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、透明なプラスチックからなる液受け管内に白色のファイバーロッドからなる吸収部材を挿入し、同吸収部材の上端にリトマス粉末からなる反応剤を封止した水溶性のカプセルを取り付けている。また、同カプセルの上面に硬めのファイバーロッドからなる浸透部材液受け管の上端開口から突出するように取り付けて表示部材を構造し、前記カバー体に複数形成された小孔のうち下方に位置する小孔に表示部材の浸透部材上端を浸透部材と当接させて装着している。このため、構造が複雑となり、継手へ容易に取付けることができない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる液漏れ検出シール及び液漏れ検出装置を得ることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明の液漏れ検出シールは、漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートと、前記検知シートの周囲を前記変化を目視可能に覆うと共に、前記液体によって溶ける液溶性部位を少なくとも一部に備えた検知シート被覆部材と、を有する。
【0007】
請求項1記載の液漏れ検出シールでは、漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が、検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを検知シート被覆部材によって防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、液体が漏れ出した場合には、検知シート被覆部材の少なくとも一部に設けた液溶性部位が、漏れ出した液体によって溶かされ、液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を目視することができる。また、検知シートの周囲を検知シート被覆部材で覆うため構造も簡単である。
【0008】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の液漏れ検出シールにおいて、前記検知シート被覆部材は前記検知シートの周囲を覆う透明フィルムを備え、前記液溶性部位は前記検知シート被覆部材に形成された貫通孔と、該貫通孔を塞ぐと共に前記液体によって溶ける液溶性部材と、を有する。
【0009】
請求項2記載の液漏れ検出シールでは、漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、液体が漏れ出した場合には、検知シート被覆部材に形成した貫通孔を塞ぐ液溶性部材が、漏れ出した液体によって溶かされ、貫通孔から流れ込んだ液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を透明フィルムを介して目視することができる。また、検知シートの周囲を透明フィルムで覆うため構造も簡単である。
【0010】
請求項3に記載の発明は請求項1に記載の液漏れ検出シールにおいて、前記検知シート被覆部材は、前記検知シートの周囲を覆うと共に前記液体によって溶ける液溶性部材を有する。
【0011】
請求項3記載の液漏れ検出シールでは、漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、液体が漏れ出した場合には、検知シートの周囲を覆う液溶性部材が漏れ出した液体によって溶かされ、液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を目視することができる。また、検知シートの周囲を液溶性部材で覆うため構造が簡単である。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の液漏れ検出シールにおいて、前記液溶性部材は水溶性樹脂である。
【0013】
請求項4記載の液漏れ検出シールでは、液溶性部材が水溶性樹脂であるため、湿気によって検知シートが反応することを確実に防ぐことができると共に漏水を確実に検出できる。
【0014】
請求項5記載の液漏れ検出装置は、漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートと、前記検知シートの周囲を前記変化を目視可能に覆うと共に、前記液体によって溶ける液溶性部位を少なくとも一部に備えた検知シート被覆部材と、を有する液漏れ検出シールと、前記液漏れ検出シールが設けられた管継手と、を備えている。
【0015】
請求項5記載の液漏れ検出装置では、管継手から漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が、検知シートを目視可能な検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを検知シート被覆部材によって防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、管継手から液体が漏れ出した場合には、検知シート被覆部材の少なくとも一部に設けた液溶性部位が、漏れ出した液体によって溶かされ、液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を目視することができる。また、検知シートの周囲を検知シート被覆部材で覆うため構造も簡単である。
【0016】
請求項6記載の発明は請求項5に記載の液漏れ検出装置において、前記検知シート被覆部材は前記検知シートの周囲を覆う透明フィルムを備え、前記液溶性部位は前記検知シート被覆部材に形成された貫通孔と、該貫通孔を塞ぐと共に前記液体によって溶ける液溶性部材と、を有する。
【0017】
請求項6記載の液漏れ検出装置では、管継手から漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、管継手から液体が漏れ出した場合には、検知シート被覆部材に形成した貫通孔を塞ぐ液溶性部材が、漏れ出した液体によって溶かされ、貫通孔から流れ込んだ液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を透明フィルムを介して目視することができる。また、検知シートの周囲を透明フィルムで覆うため構造も簡単である。
【0018】
請求項7記載の発明は請求項5に記載の液漏れ検出装置において、前記検知シート被覆部材は、前記検知シートの周囲を覆うと共に前記液体によって溶ける液溶性部材を有する。
【0019】
請求項7記載の液漏れ検出装置では、管継手から漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートの周囲が検知シート被覆部材で覆われている。このため、湿気によって検知シートが反応することを防ぐことができる。この結果、検知シートが誤検知するのを防止できる。一方、液体が漏れ出した場合には、検知シートの周囲を覆う液溶性部材が漏れ出した液体によって溶かされ、液体が検知シートに触れることで、検知シートの色または模様の少なくとも一方が変化し、この変化を目視することができる。また、検知シートの周囲を液溶性部材で覆うため構造が簡単である。
【0020】
請求項8記載は請求項5〜7の何れか1項に記載の液漏れ検出装置において、前記管継手は内部に設けた前記液漏れ検出シールを目視可能な透明な部位を有する。
【0021】
請求項8記載の液漏れ検出装置では、管継手の内部に液漏れ検出シールを設けた場合に、管継手の透明な部位を通して、液漏れ検出シールの色または模様の少なくとも一方の変化を容易に確認することができる。このため、管継手を分解しなくても、液漏れ検出シールの変化を確認できる。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項6〜8の何れか1項に記載の液漏れ検出装置において、前記液溶性部材は水溶性樹脂である。
【0023】
請求項9記載の液漏れ検出装置では、液溶性部材が水溶性樹脂であるため、湿気によって検知シートが反応することを確実に防ぐことができると共に漏水を確実に検出できる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように請求項1に記載の本発明の液漏れ検出シールは、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0025】
請求項2に記載の本発明の液漏れ検出シールは、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0026】
請求項3に記載の本発明の液漏れ検出シールは、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0027】
請求項4に記載の本発明の液漏れ検出シールは、湿気によって検知シートが反応することを確実に防ぐことができると共に漏水を確実に検出できる。
【0028】
請求項5に記載の本発明の液漏れ検出装置は、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0029】
請求項6に記載の本発明の液漏れ検出装置は、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0030】
請求項7に記載の本発明の液漏れ検出装置は、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できる。
【0031】
請求項8に記載の本発明の液漏れ検出装置は、管継手を分解しなくても、液漏れ検出シールの変化を確認できる。
【0032】
請求項9に記載の本発明の液漏れ検出装置は、湿気によって検知シートが反応することを確実に防ぐことができると共に漏水を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置の液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置の液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第1施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図6】本発明の第1施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面である。
【図7】本発明の第1施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第1施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図10】本発明の第2施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面である。
【図11】本発明の第2施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図12】本発明の第2施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第3施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図14】本発明の第3施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図15】本発明の第3施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図16】本発明の第3施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図17】本発明の第4施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図18】本発明の第4施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図19】本発明の第4施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図20】本発明の第4施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図21】本発明の第5施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図22】本発明の第5施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図23】本発明の第5施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図24】本発明の第5施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図25】本発明の第6施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図26】本発明の第6施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図27】本発明の第6施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図28】本発明の第6施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図29】本発明の第7施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図30】本発明の第7施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図31】本発明の第7施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図32】本発明の第7施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図33】本発明の第8実施形態に係る液漏れ検出装置を示す平面図である。
【図34】本発明の第8実施形態に係る液漏れ検出装置を示す断面図である。
【図35】本発明の第8施形態に係る液漏れ検出シールを示す平面図である。
【図36】本発明の第8施形態に係る液漏れ検出シールを示す断面図である。
【図37】本発明の第8施形態に係る台紙を示す平面図である。
【図38】本発明の第8施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図39】本発明の第8施形態に係る液漏れ検出シールの液漏れ検出状態を示す断面図である。
【図40】本発明の第8施形態に係る台紙の液漏れ検出状態を示す平面図である。
【図41】本発明の第8施形態における他の例を示す平面図である。
【図42】本発明の第8施形態における他の例の液漏れ検出状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置を示す平面図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る液漏れ検出装置を示す断面図である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の液漏れ検出装置の一例としての漏水検出装置10は、第1配管12と第2配管14との結合部に配置したプッシュロック等の管継手16と、液漏れ検出シールの一例としての漏水検出シール18とを備えている。なお、第1配管12と第2配管14は金属管や塩ビ管等の配管となっている。
【0036】
図2に示すように、管継手16は第2配管14の端部14Aに取付けられており、管継手16の底部16Aに形成された貫通孔20に第2配管14が貫通されている。また、管継手16の開口端16Bは、第2配管14の端部14Aを越えて延設されている。
【0037】
管継手16の開口端16Bに挿入された第1配管12の端部12Aは、第2配管14の端部14Aと管継手16の筒部16Cとの間に挿入されている。また、第1配管12の端部12Aと第2配管14の端部14Aとの間には止水手段の一例としての2本のOリング22が配置されている。なお、図2では、管継手16を簡略化して示しており、第1配管12の端部12Aが抜けるのを防止するためのストップリング等の他の部材は図示を省略している。
【0038】
漏水検出シール18は、第1配管12の端部12Aにおける先端近傍の外周部に取付けらている。また、管継手16の筒部16Cにおける底部16Aの近傍には、透明な部位としての窓部16Dが形成されている。この窓部16Dは漏水検出シール18の外周方向に形成されており、管継手16の外側から窓部16Dを通して漏水検出シール18が目視できるようになっている。
【0039】
従って、図3及び図4に示すように、第1配管12と第2配管14との結合部から液体の一例として水Wが管継手16の内部に漏れ出した場合には、管継手16の外側から、窓部16Dを通して漏水検出シール18の変化を目視できるようになっている。
【0040】
次に、漏水検出シール18について説明する。
図5及び図6に示すように、漏水検出シール18はフィルム状とされた検知シート30を備えている。この検知シート30は、水Wに触れると色または模様の少なくとも一方が変化するようになっている。例えば、検知シート30は水性インクでドット処理されており、水に触れると模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。なお、検知シート30として感水紙を使用することもできる。
【0041】
検知シート30の下面30Aは検知シート被覆部材の一部を構成する粘着材32の上面32Aに固定されている。なお、粘着材32は検知シート30より大きく、粘着材32の外周部32Bが検知シート30の外周部から所定幅L1突出している。また、粘着材32は第1配管12の端部12Aの外周面に接着されるようになっている。
【0042】
また、検知シート30の下面30Aを除く上面30B、短い側面30C、30D及び長い側面30E、30Fは、検知シート被覆部材の一部を構成する透明フィルム34で覆われている。即ち、検知シート30は下面30Aが粘着材32で覆われており、下面30Aを除く他の全ての部位が透明フィルム34で覆われている。
【0043】
透明フィルム34の長い側面34C、34Dには、長手方向に所定の間隔で複数の液溶性部位としての貫通孔36が形成されている。また、これらの貫通孔36は透明フィルム34の外部と、検知シート30が設けられた透明フィルム34の内部とを連結している。
【0044】
各貫通孔36はそれぞれ液体としての水によって溶ける検知シート被覆部材の一部を構成すると共に液溶性部材の一例としての水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔36を塞ぐ状態を維持するが、水に浸されると溶けて貫通孔36が貫通するようになっている。
【0045】
なお、水溶性樹脂38としては、親水性樹脂もしくはシール性があって水に溶ける素材がよい。例えば、ポリビニルアルコール(フィルム状のものでは三菱化学・日本合成化学製のハイセロン、変性したポリ酢酸ビニル(クレラ製のボバール、エクセバール)や、アルキル基を持つ水溶性ポリシラン等がある。また、水溶性樹脂38以外の液溶性部材としては、でんぷん(糊)、オブラート(ゼラチン)、寒天、カラギーナ等がある。
【0046】
従って、透明フィルム34が水に浸されると、貫通孔36を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図7及び図8に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔36を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0047】
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1配管12と第2配管14との結合部に配置した管継手16の窓部16Dから管継手16の内部に設けた漏水検出シール18が目視できるようになっている。また、図5及び図6に示すように、漏水検出シール18の検知シート30は下面30Aが粘着材32で覆われており、下面30Aを除く他の全ての部位が透明フィルム34で覆われている。また、透明フィルム34の貫通孔36は水溶性樹脂38で塞がれており、この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔36を塞ぐ状態を維持する。このため、第1配管12と第2配管14との結合部に水漏れが発生しない場合には、湿気によって検知シート30の模様が変化することがないし、検知シート30の模様を管継手16の窓部16Dから目視により確認できる。
【0048】
一方、図3及び図4に示すように、第1配管12と第2配管14との結合部に水漏れが発生し、管継手16の内部に水Wが溜まった場合には、透明フィルム34が水Wに浸される。このため、貫通孔36を塞いでいる水溶性樹脂38が溶け、図7及び図8に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔36を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化し(無くなり着色される)、この検知シート30の変化を管継手16の窓部16Dから目視により確認できる。
【0049】
従って、本実施形態の漏水検出シール18及び漏水検出装置10では、簡単な構造で湿気による誤検知を防止できると共に、漏水検出装置10の内部に設けた漏水検出シール18の漏水による変化を容易に確認できる。
【0050】
また、本実施形態では、管継手16の透明な部位としての窓部16Dから漏水検出シール18の漏水による変化を確認できる。このため、管継手16を分解しなくても、漏水検出シール18の変化を確認できる。また、管継手16の施工時の差し込み不足、異物の挟み込み、配管(パイプ)の異常による微小な漏水を検知し、重大な漏水事故を未然にくい止めることができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図9〜図12に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図9及び図10に示すように、本実施形態では、漏水検出シール18の透明フィルム34における検知シート30の上面30Bを覆う上壁部34Eに複数の液溶性部位としての貫通孔40が形成されている。また、これらの貫通孔40は透明フィルム34の外部と、検知シート30が設けられた透明フィルム34の内部とを連結している。
【0053】
各貫通孔40はそれぞれ水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔40を塞ぐ状態を維持するが、水Wに浸されると溶けて貫通孔40が貫通するようになっている。
【0054】
従って、透明フィルム34が水に浸されると、貫通孔40を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図11及び図12に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔40を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0055】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図13〜図16に基づいて説明する。
なお、第1、2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図13及び図14に示すように、本実施形態では、透明フィルム34の長側面34C、34Dに複数の貫通孔36が形成されており、透明フィルム34の上壁部34Eに複数の貫通孔40が形成されている。また、各貫通孔36、40はそれぞれ水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔36、40を塞ぐ状態を維持するが、水に浸されると溶けて貫通孔36、40が貫通するようになっている。
【0058】
従って、透明フィルム34が水に浸されると、貫通孔36、40を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図15及び図16に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔36、40を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0059】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図17〜図20に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図17及び図18に示すように、本実施形態では、粘着材32の上面32Aに検知シート被覆部材の一部を構成する台紙44が設けられており、この台紙44は粘着材32と同じ大きさで上面44Aの中央に検知シート30が固定されている。
【0062】
台紙44には、長手方向に所定の間隔で複数の液溶性部位としての貫通孔46が形成されている。また、これらの貫通孔46は台紙44の外部と、検知シート30が設けられた透明フィルム34の内部とを連結している。また、各貫通孔46はそれぞれ水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔46を塞ぐ状態を維持するが、水に浸されると溶けて貫通孔46が貫通するようになっている。
【0063】
従って、台紙44が水に浸されると、貫通孔46を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図19及び図20に示すように、台紙44の外部から水Wが貫通孔46を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0064】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0065】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図21〜図24に基づいて説明する。
なお、第2、4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図21及び図22に示すように、本実施形態では、漏水検出シール18の透明フィルム34の上壁部34Eに複数の貫通孔40が形成されていると共に、台紙44に長手方向に所定の間隔で複数の貫通孔46が形成されている。また、これらの貫通孔40、46は透明フィルム34の外部と、検知シート30が設けられた透明フィルム34の内部とを連結している。
【0067】
各貫通孔40、46はそれぞれ水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔40、46を塞ぐ状態を維持するが、水Wに浸されると溶けて貫通孔40、46が貫通するようになっている。
【0068】
従って、透明フィルム34が水に浸されると、貫通孔40、46を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図23及び図24に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔40、46を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0069】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0070】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を図25〜図28に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図25及び図26に示すように、本実施形態では、漏水検出シール18の透明フィルム34の上壁部34Eに複数の貫通孔40が形成されており、これらの貫通孔40は透明フィルム34の外部と、検知シート30が設けられた透明フィルム34の内部とを連結している。
【0072】
また、透明フィルム34における粘着材32に接着された下面34Fを除く外周部は、水溶性樹脂38で覆われており、この水溶性樹脂38は貫通孔40を塞いでいる。また、水溶性樹脂38は湿気では溶けず貫通孔40を塞ぐ状態を維持するが、水に浸されると溶けて、貫通孔40が貫通するようになっている。
【0073】
従って、透明フィルム34が水に浸されると、水溶性樹脂38が溶ける。このため、図27及び図28に示すように、透明フィルム34の外部から水Wが貫通孔40を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0074】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0075】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態を図29〜図32に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0076】
図29及び図30に示すように、本実施形態では、漏水検出シール18の検知シート30における粘着材32に接着された下面30Aを除く外周部は、水溶性樹脂38で覆われている。また、水溶性樹脂38は湿気では溶けず検知シート30を覆う状態を維持するが、水に浸されると溶けて検知シート30が露出するようになっている。
【0077】
従って、漏水検出シール18が水に浸されると、水溶性樹脂38が溶ける。このため、図31及び図32に示すように、水溶性樹脂38で覆われていた検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0078】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0079】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態を図33〜図40に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図33及び図34に示すように、本実施形態では、第1配管12と第2配管14とを接合した後に、第1配管12と第2配管14と結合部50に漏水検出シール18を貼り付ける構成になっている。
【0081】
図35及び図36に示すように、本実施形態の漏水検出シール18は、検知シート30における粘着材32に接着された下面30Aを除く外周部は、透明フィルム34で被われている。
【0082】
図36及び図37に示すように、粘着材32には複数の液溶性部位としての貫通孔52が形成されており、また、これらの貫通孔52は漏水検出シール18の外部と、検知シート30が設けられた漏水検出シール18の内部とを連結している。
【0083】
各貫通孔52はそれぞれ水溶性樹脂38で塞がれている。この水溶性樹脂38は湿気では貫通孔52を塞ぐ状態を維持するが、水に浸されると溶けて貫通孔52が貫通するようになっている。
【0084】
従って、第1配管12と第2配管14と結合部50から水が漏れると、この水によって、貫通孔52を塞いでいる水溶性樹脂38が溶ける。このため、図34及び図38〜図40に示すように、粘着材32の下面側から水Wが貫通孔52を通って透明フィルム34の内部に浸入する。この結果、透明フィルム34の内部の検知シート30が水Wに触れ、模様(ドット)が変化する(無くなり着色される)ようになっている。
【0085】
よって、本実施形態においても第1実施形態と同様な作用及び効果が得られる。
【0086】
なお、本実施形態の漏水検出シール18は図41及び図42に示すように、異種管変換継手60にも適用可能である。
【0087】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では水溶性樹脂38を使用したが、第1配管12と第2配管14から漏れる液体が水以外の場合には、この液体によって溶ける液溶性部材を使用する。
【符号の説明】
【0088】
10 漏水検出装置(液漏れ検出装置)
12 配管
14 配管
16 管継手
16D 管継手の窓部(管継手の透明な部位)
18 漏水検出シール(液漏れ検出シール)
30 検知シート
32 粘着材(検知シート被覆部材)
34 透明フィルム(検知シート被覆部材)
36 貫通孔(液溶性部位)
38 水溶性樹脂(検知シート被覆部材、液溶性部位、液溶性部材)
40 貫通孔(液溶性部位)
46 貫通孔(液溶性部位)
44 台紙(検知シート被覆部材)
46 貫通孔(液溶性部位)
52 貫通孔(液溶性部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートと、
前記検知シートの周囲を前記変化を目視可能に覆うと共に、前記液体によって溶ける液溶性部位を少なくとも一部に備えた検知シート被覆部材と、
を有する液漏れ検出シール。
【請求項2】
前記検知シート被覆部材は前記検知シートの周囲を覆う透明フィルムを備え、前記液溶性部位は前記検知シート被覆部材に形成された貫通孔と、該貫通孔を塞ぐと共に前記液体によって溶ける液溶性部材と、を有する請求項1に記載の液漏れ検出シール。
【請求項3】
前記検知シート被覆部材は、前記検知シートの周囲を覆うと共に前記液体によって溶ける液溶性部材を有する請求項1に記載の液漏れ検出シール。
【請求項4】
前記液溶性部材は水溶性樹脂である請求項2または請求項3に記載の液漏れ検出シール。
【請求項5】
漏れ出した液体に触れると色または模様の少なくとも一方が変化する検知シートと、前記検知シートの周囲を前記変化を目視可能に覆うと共に、前記液体によって溶ける液溶性部位を少なくとも一部に備えた検知シート被覆部材と、を有する液漏れ検出シールと、
前記液漏れ検出シールが設けられた管継手と、
を備えた液漏れ検出装置。
【請求項6】
前記検知シート被覆部材は前記検知シートの周囲を覆う透明フィルムを備え、前記液溶性部位は前記検知シート被覆部材に形成された貫通孔と、該貫通孔を塞ぐと共に前記液体によって溶ける液溶性部材と、を有する請求項5に記載の液漏れ検出装置。
【請求項7】
前記検知シート被覆部材は、前記検知シートの周囲を覆うと共に前記液体によって溶ける液溶性部材を有する請求項5に記載の液漏れ検出装置。
【請求項8】
前記管継手は内部に設けた前記液漏れ検出シールを目視可能な透明な部位を有する請求項5〜7の何れか1項に記載の液漏れ検出装置。
【請求項9】
前記液溶性部材は水溶性樹脂である請求項6〜8の何れか1項に記載の液漏れ検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate


【公開番号】特開2011−215076(P2011−215076A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85219(P2010−85219)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】