液漏れ防止ポンプディスペンサ
【課題】本発明は例えばシャンプー、リンス等の据置タイプの容器に用いられるポンプディスペンサに関し、容器を誤って倒した場合に、シリンダ内の液の漏出及び容器体内の液の外気導入用透孔からの漏出を両方防止し、またステムに付着した中味をしごき落とし、使用時にステムが美しい状態にする技術に関する。
【解決の手段】ステムに面したカラーリング部に突起を設け、更に外気導入用透孔部にスリット或いはメッシュ部を設けたポンプディスペンサ。
【解決の手段】ステムに面したカラーリング部に突起を設け、更に外気導入用透孔部にスリット或いはメッシュ部を設けたポンプディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばシャンプー、リンス等の据置タイプの容器に用いられるポンプディスペンサに関し、ロック時及び吸入完了時に容器を誤って倒した場合、シリンダ内の液の漏出によってステムへ付着した中味が使用時に外観を損ねることを防ぐ技術及びカラーリングとステムの隙間から中味が漏出するのを防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体注出ポンプとしては、例えば図1に示す如き押し下げヘッド式のものが知られている。
【0003】
これらのポンプを作動させるにあたっては外気から容器内へ外気を導入する必要がある。そのため、シリンダ上部に外気導入用の透孔31が設けられており、透孔31とシリンダ内の流通が可能なように隙間をあけて作られている。
【0004】
また、シリンダ30には上記容器を誤って倒した場合に、シリンダ内の液が漏出するのを防ぐために突条66と突条67との密接部分でシールされているため、シリンダ内の液が漏出するのを防止出来しているが、図1に示す如く、外気導入用の透孔31を介して容器体内外は常時連通しており、従って、容器体内の液が透孔31を通りカラーリング50とステム21との間を介して外部へ漏出するという不都合が生じる。
【0005】
更に、流通時のようにポンプがロックされている状態で転倒した場合、透孔31を通じて漏れ出た中味がステム21に付着する。そして、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステム21中味が付着しているために、消費者に中味が漏れている印象を強くし著しく商品価値を損ねる原因となっている。
【0006】
そこで、特開平8−337263号公報(特許文献1)のようにポンプ室内に一本の弁軸を設け、弁軸にシール座と呼ばれるシール部分を設けることでロック時のステムとカラーリングの隙間からの液漏れを防ぐ方法が開示されている。
【0007】
更に特開平9−12051号公報(特許文献2)のように、ピストン上端縁がシリンダ上部に形成された外気導入用透孔に連通する環状の隙間下端開口を閉塞する如く構成し、液漏れを防ぐポンプが開示されている。
【0008】
しかし、特許文献1の方法では、ヘッドを押し下げロックした状態で容器を倒した場合に透孔からシリンダ内への中味への漏出が起こり、ステムへの中味への付着は避けられず透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つ効果は十分ではない上に、弁軸への加工等が容易ではないという問題があった。
【0009】
また、特許文献2では、押し下げヘッドを下げロックした状態では、ピストンの位置が下がるため、外気導入用透孔からシリンダ内へつながる流路をピストンで防ぐことができないために、外気導入孔から液の流入を防ぐことができず、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つ効果はなかった。
【0010】
このように、特別な部材を追加することなく、カラーリングとステムの隙間から中味の漏出を防止する機能とステムの外観をきれいに保つ機能を併せ持つポンプディスペンサは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−337263号公報
【特許文献2】特開平9−12051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は特別な部材を追加することなく、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観を損なうことなくきれいに保つとともに、外気導入用の透孔を介して容器体内の液がカラーリングとステムの隙間から外部へ漏出することを防ぐことも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、カラーリング部の内側にステムに接するように一連の円周状に突起を設ける。更に透孔部をスリット或いはメッシュ構造とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構造をとることでポンプがロックされている状態で転倒した場合に、中味がステムに付着するのを防ぐとともに、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つことができると共に、中味が透孔を通じてシリンダ内へ漏出しカラーリングとステムの間隙を通じて外部へ漏出することを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のポンプディスペンサの断面図である。
【図2】本発明のポンプディスペンサの断面図である。
【図3】本発明のポンプディスペンサのカラーリング付近の断面図である。
【図4】本発明のポンプディスペンサのカラーリングの断面の拡大図である。
【図5】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の正面図である。
【図6】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の正面拡大図である。
【図7】本発明のポンプディスペンサ転倒時の断面図である。
【図8】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の断面拡大図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサの透孔部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポンプディスペンサは、カラーリングのステムに面した部分、つまりカラーリングの内側に一連の円周状に突起を設けることでステムとカラーリングの隙間を無くしているがゆえに、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着したとしても、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムに付着した中味をカラーリングから外へ出すことを防ぎ、ステムの外観をきれいに保つことができるとともに、同時にポンプ本体内部の液がカラーリングとステムの隙間から外部へ漏出することも防止する。
また、同時に外気導入用の透孔をスリット状又はメッシュ状とし、その幅や径を表面張力により中味が漏れることのない大きさにすることで透孔からシリンダ内への液の進入を防ぎ中味がステムへ付着することを防止することができる。
本発明のポンプディスペンサは、このような作用が発揮できるようにカラーリングに面した部分の突起の大きさや形状、透孔に設けるメッシュの大きさやスリットの間隔を定めることで特徴を有する。以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は本発明の一実施形態であるポンプディスペンサ1の断面図、図3は本発明のポンプディスペンサ1のカラーリング付近の断面図、図4は本発明のポンプディスペンサ1のカラーリング50の断面図、図5は本発明のポンプディスペンサ1の透孔31部分の正面拡大図、図6は透孔31部分の正面拡大図である。図7は透孔31部分の拡大断面図である。
このポンプディスペンサ1はシリンダ30と装着キャップ60、カラーリング50、ステム21を主要部材として備えている。
【0018】
ポンプディスペンサ1はシリンダ30内壁とピストン23との間に空間を設けて、透孔31とシリンダ30内とが連通するように構成している。
本発明のポンプディスペンサ1は液の注出により容器体内が負圧化することによって、カラーリング50内側とステム21との隙間からシリンダ内に外気が導入される。外気は次に透孔31を介して容器内に導入されることで、液の抽出を行っている。
【0019】
図4はカラーリング50の拡大断面図であるが、ステム21に接するように突起部52が設けられている。
この突起部はカラーリング内側に円周状に途切れることなく連続して設けられている。突起部の断面形状はステムと面する部分を上底とした台型状となっているが、台型状に限定されず、半円状或いは弁のような形状でも良い。また、突起の数は複数設けても構わない。
【0020】
図5は傾斜部33に設けられた外気導入用の透孔31の正面図であり、図6は透孔部分の拡大図である。
透孔31は直線状のスリット32が5本設けられている。このスリット32の幅Aは表面張力で液体の漏れを防ぐことが可能な幅であれば良く0.5〜1.0mm程度が好ましい。また、スリット32の本数は特に限定されないが、3〜6本程度が好ましい。
また、図5で透孔31は5本のスリット32から構成されているものが1つ設けられているが、透孔31を複数設けても良い。ただし、透孔31の数を増やすことは、転倒時に常に中味に晒される透孔が増えることとなるため、透孔31は1つが好ましい。
【0021】
図7のa)はポンプが転倒した状態を表しているが、本発明のポンプディスペンサ1において、流通時等の非使用時にヘッド本体10を押し下げてヘッドに設けたネジ14とカラーリング50外周に周設したネジ51によって係止させておく場合には、カラーリング50とステム21に面した部分は、ステム21と接するように設けられた突起部52によりシールされており、液体の漏出を防ぐことができる。
また、透孔31はスリット状となっており表面張力の働きによって中味がシリンダ内へ漏出することを防ぐことで、結果としてステム21への中味の付着を防止する。
このようにカラーリング50の突起部52とスリット部32の2つの働きにより転倒時の中味の漏出を防止することが可能となっている。
【0022】
図7のb)は転倒したポンプを立ててヘッド本体10を押し上げた状態である。スリット状の透孔31の働きによって中味漏れを防ぐが、スリットの表面張力を超えるような過度の大きな衝撃を受けた場合は、シリンダ30内壁とピストン23との間の空間に中味が漏出し、ステム21に付着するおそれがあるが、仮に付着したとしてもカラーリング50の突起部52によりステムに付着した中味は掻き落され、カラーリング50とステム21から中味が漏出することもなく、ステム21は美しい外観を保ったまま上昇する。
【0023】
カラーリング50に設けた突起部52によりステムに付着された中味は掻き落とされ、掻き落とされた中身はシリンダ内に滞留することになるが、ピストン23を上下する際の圧力により透孔31から再度容器2へと戻る。
図8は本発明のポンプディスペンサの透孔部分の断面拡大図であり、透孔31に設けられたスリット部32は、シリンダ内の中味が容易に容器2へとスムーズに戻ることができ、かつ容器体内からシリンダ内へ入りづらいように、スリット部の断面は容器体内へ向かった逆テーパー状が好ましいが、特に断面形状は限定されない。
【実施例2】
【0024】
図9は本発明の第2の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21と接するように設けられた突起部52の別の実施形態が記載されている。
突起部52の断面はステム21に向かった部分を頂点とした半円状となっている。突起は液体をしごくためステム21と接していれば良い。
【実施例3】
【0025】
図10は本発明の第3の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21と接する突起部52が弁状に設けられた事例である。
【実施例4】
【0026】
図11は本発明の第4の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21に接するように設けられた突起部52の別の実施形態が記載されている。
図4と同様に突起部の断面形状はステムと面する部分を上底とした台型状となっているが、突起部を複数設けていることが特徴である。
突起部の数はヘッド本体を押し下げるのを妨げない範囲で増やすことが可能である。
【実施例5】
【0027】
図12は本発明の第5の実施形態に係るポンプディスペンサの傾斜部33に設けられた外気導入用の透孔31の別の実施形態が記載されている。この透孔31はメッシュ部35から形成されている。
メッシュ部35のメッシュの大きさは転倒時に表面張力によって中味の漏出を防ぐことができる程度の大きさであることが必要であり、大き過ぎると効果を発しない。
好適なのは0.5〜1.0mm程度である。
メッシュはシリンダ30と一体成形で作成しても良いし、別途作成したメッシュを嵌め込んでも良い。別途メッシュを作成する場合にメッシュの織り方には特に規制はなく、平織りでも綾織りでも差し支えない。
【0028】
尚、本発明の各部材は主として合成樹脂を使用して形成され、必要に応じてエラストマー,金属等を適宜選択使用して形成する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によると、従来のポンプと部品点数や構造を極々一部変えるだけで、カラーリングの外観を美しく保つことができる上、転倒による中味の漏出をも防止することができるポンプを製造が容易で安価に提供できるという利点を兼ね備えるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 ポンプディスペンサ
2 容器
3 中味
10 ヘッド本体
13 ノズル部
21 ステム
23 ピストン
30 シリンダ
31 外気導入用透孔
32 スリット部
33 傾斜部
35 メッシュ部
40 コイルスプリング
50 カラーリング
52 突起部
60 装着キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばシャンプー、リンス等の据置タイプの容器に用いられるポンプディスペンサに関し、ロック時及び吸入完了時に容器を誤って倒した場合、シリンダ内の液の漏出によってステムへ付着した中味が使用時に外観を損ねることを防ぐ技術及びカラーリングとステムの隙間から中味が漏出するのを防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体注出ポンプとしては、例えば図1に示す如き押し下げヘッド式のものが知られている。
【0003】
これらのポンプを作動させるにあたっては外気から容器内へ外気を導入する必要がある。そのため、シリンダ上部に外気導入用の透孔31が設けられており、透孔31とシリンダ内の流通が可能なように隙間をあけて作られている。
【0004】
また、シリンダ30には上記容器を誤って倒した場合に、シリンダ内の液が漏出するのを防ぐために突条66と突条67との密接部分でシールされているため、シリンダ内の液が漏出するのを防止出来しているが、図1に示す如く、外気導入用の透孔31を介して容器体内外は常時連通しており、従って、容器体内の液が透孔31を通りカラーリング50とステム21との間を介して外部へ漏出するという不都合が生じる。
【0005】
更に、流通時のようにポンプがロックされている状態で転倒した場合、透孔31を通じて漏れ出た中味がステム21に付着する。そして、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステム21中味が付着しているために、消費者に中味が漏れている印象を強くし著しく商品価値を損ねる原因となっている。
【0006】
そこで、特開平8−337263号公報(特許文献1)のようにポンプ室内に一本の弁軸を設け、弁軸にシール座と呼ばれるシール部分を設けることでロック時のステムとカラーリングの隙間からの液漏れを防ぐ方法が開示されている。
【0007】
更に特開平9−12051号公報(特許文献2)のように、ピストン上端縁がシリンダ上部に形成された外気導入用透孔に連通する環状の隙間下端開口を閉塞する如く構成し、液漏れを防ぐポンプが開示されている。
【0008】
しかし、特許文献1の方法では、ヘッドを押し下げロックした状態で容器を倒した場合に透孔からシリンダ内への中味への漏出が起こり、ステムへの中味への付着は避けられず透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つ効果は十分ではない上に、弁軸への加工等が容易ではないという問題があった。
【0009】
また、特許文献2では、押し下げヘッドを下げロックした状態では、ピストンの位置が下がるため、外気導入用透孔からシリンダ内へつながる流路をピストンで防ぐことができないために、外気導入孔から液の流入を防ぐことができず、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つ効果はなかった。
【0010】
このように、特別な部材を追加することなく、カラーリングとステムの隙間から中味の漏出を防止する機能とステムの外観をきれいに保つ機能を併せ持つポンプディスペンサは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−337263号公報
【特許文献2】特開平9−12051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は特別な部材を追加することなく、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着し、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観を損なうことなくきれいに保つとともに、外気導入用の透孔を介して容器体内の液がカラーリングとステムの隙間から外部へ漏出することを防ぐことも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、カラーリング部の内側にステムに接するように一連の円周状に突起を設ける。更に透孔部をスリット或いはメッシュ構造とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構造をとることでポンプがロックされている状態で転倒した場合に、中味がステムに付着するのを防ぐとともに、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムの外観をきれいに保つことができると共に、中味が透孔を通じてシリンダ内へ漏出しカラーリングとステムの間隙を通じて外部へ漏出することを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のポンプディスペンサの断面図である。
【図2】本発明のポンプディスペンサの断面図である。
【図3】本発明のポンプディスペンサのカラーリング付近の断面図である。
【図4】本発明のポンプディスペンサのカラーリングの断面の拡大図である。
【図5】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の正面図である。
【図6】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の正面拡大図である。
【図7】本発明のポンプディスペンサ転倒時の断面図である。
【図8】本発明のポンプディスペンサの透孔部分の断面拡大図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング部分の断面の拡大図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係るポンプディスペンサの透孔部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポンプディスペンサは、カラーリングのステムに面した部分、つまりカラーリングの内側に一連の円周状に突起を設けることでステムとカラーリングの隙間を無くしているがゆえに、透孔を通じてシリンダ内へ漏れ出た中味がステムに付着したとしても、実際に使用する時点で作動部材が上昇した時にステムに付着した中味をカラーリングから外へ出すことを防ぎ、ステムの外観をきれいに保つことができるとともに、同時にポンプ本体内部の液がカラーリングとステムの隙間から外部へ漏出することも防止する。
また、同時に外気導入用の透孔をスリット状又はメッシュ状とし、その幅や径を表面張力により中味が漏れることのない大きさにすることで透孔からシリンダ内への液の進入を防ぎ中味がステムへ付着することを防止することができる。
本発明のポンプディスペンサは、このような作用が発揮できるようにカラーリングに面した部分の突起の大きさや形状、透孔に設けるメッシュの大きさやスリットの間隔を定めることで特徴を有する。以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は本発明の一実施形態であるポンプディスペンサ1の断面図、図3は本発明のポンプディスペンサ1のカラーリング付近の断面図、図4は本発明のポンプディスペンサ1のカラーリング50の断面図、図5は本発明のポンプディスペンサ1の透孔31部分の正面拡大図、図6は透孔31部分の正面拡大図である。図7は透孔31部分の拡大断面図である。
このポンプディスペンサ1はシリンダ30と装着キャップ60、カラーリング50、ステム21を主要部材として備えている。
【0018】
ポンプディスペンサ1はシリンダ30内壁とピストン23との間に空間を設けて、透孔31とシリンダ30内とが連通するように構成している。
本発明のポンプディスペンサ1は液の注出により容器体内が負圧化することによって、カラーリング50内側とステム21との隙間からシリンダ内に外気が導入される。外気は次に透孔31を介して容器内に導入されることで、液の抽出を行っている。
【0019】
図4はカラーリング50の拡大断面図であるが、ステム21に接するように突起部52が設けられている。
この突起部はカラーリング内側に円周状に途切れることなく連続して設けられている。突起部の断面形状はステムと面する部分を上底とした台型状となっているが、台型状に限定されず、半円状或いは弁のような形状でも良い。また、突起の数は複数設けても構わない。
【0020】
図5は傾斜部33に設けられた外気導入用の透孔31の正面図であり、図6は透孔部分の拡大図である。
透孔31は直線状のスリット32が5本設けられている。このスリット32の幅Aは表面張力で液体の漏れを防ぐことが可能な幅であれば良く0.5〜1.0mm程度が好ましい。また、スリット32の本数は特に限定されないが、3〜6本程度が好ましい。
また、図5で透孔31は5本のスリット32から構成されているものが1つ設けられているが、透孔31を複数設けても良い。ただし、透孔31の数を増やすことは、転倒時に常に中味に晒される透孔が増えることとなるため、透孔31は1つが好ましい。
【0021】
図7のa)はポンプが転倒した状態を表しているが、本発明のポンプディスペンサ1において、流通時等の非使用時にヘッド本体10を押し下げてヘッドに設けたネジ14とカラーリング50外周に周設したネジ51によって係止させておく場合には、カラーリング50とステム21に面した部分は、ステム21と接するように設けられた突起部52によりシールされており、液体の漏出を防ぐことができる。
また、透孔31はスリット状となっており表面張力の働きによって中味がシリンダ内へ漏出することを防ぐことで、結果としてステム21への中味の付着を防止する。
このようにカラーリング50の突起部52とスリット部32の2つの働きにより転倒時の中味の漏出を防止することが可能となっている。
【0022】
図7のb)は転倒したポンプを立ててヘッド本体10を押し上げた状態である。スリット状の透孔31の働きによって中味漏れを防ぐが、スリットの表面張力を超えるような過度の大きな衝撃を受けた場合は、シリンダ30内壁とピストン23との間の空間に中味が漏出し、ステム21に付着するおそれがあるが、仮に付着したとしてもカラーリング50の突起部52によりステムに付着した中味は掻き落され、カラーリング50とステム21から中味が漏出することもなく、ステム21は美しい外観を保ったまま上昇する。
【0023】
カラーリング50に設けた突起部52によりステムに付着された中味は掻き落とされ、掻き落とされた中身はシリンダ内に滞留することになるが、ピストン23を上下する際の圧力により透孔31から再度容器2へと戻る。
図8は本発明のポンプディスペンサの透孔部分の断面拡大図であり、透孔31に設けられたスリット部32は、シリンダ内の中味が容易に容器2へとスムーズに戻ることができ、かつ容器体内からシリンダ内へ入りづらいように、スリット部の断面は容器体内へ向かった逆テーパー状が好ましいが、特に断面形状は限定されない。
【実施例2】
【0024】
図9は本発明の第2の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21と接するように設けられた突起部52の別の実施形態が記載されている。
突起部52の断面はステム21に向かった部分を頂点とした半円状となっている。突起は液体をしごくためステム21と接していれば良い。
【実施例3】
【0025】
図10は本発明の第3の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21と接する突起部52が弁状に設けられた事例である。
【実施例4】
【0026】
図11は本発明の第4の実施形態に係るポンプディスペンサのカラーリング50部分の断面の拡大図である。カラーリング50内側円筒部のステム21に面した部分に、液体をしごくためにステム21に接するように設けられた突起部52の別の実施形態が記載されている。
図4と同様に突起部の断面形状はステムと面する部分を上底とした台型状となっているが、突起部を複数設けていることが特徴である。
突起部の数はヘッド本体を押し下げるのを妨げない範囲で増やすことが可能である。
【実施例5】
【0027】
図12は本発明の第5の実施形態に係るポンプディスペンサの傾斜部33に設けられた外気導入用の透孔31の別の実施形態が記載されている。この透孔31はメッシュ部35から形成されている。
メッシュ部35のメッシュの大きさは転倒時に表面張力によって中味の漏出を防ぐことができる程度の大きさであることが必要であり、大き過ぎると効果を発しない。
好適なのは0.5〜1.0mm程度である。
メッシュはシリンダ30と一体成形で作成しても良いし、別途作成したメッシュを嵌め込んでも良い。別途メッシュを作成する場合にメッシュの織り方には特に規制はなく、平織りでも綾織りでも差し支えない。
【0028】
尚、本発明の各部材は主として合成樹脂を使用して形成され、必要に応じてエラストマー,金属等を適宜選択使用して形成する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によると、従来のポンプと部品点数や構造を極々一部変えるだけで、カラーリングの外観を美しく保つことができる上、転倒による中味の漏出をも防止することができるポンプを製造が容易で安価に提供できるという利点を兼ね備えるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 ポンプディスペンサ
2 容器
3 中味
10 ヘッド本体
13 ノズル部
21 ステム
23 ピストン
30 シリンダ
31 外気導入用透孔
32 スリット部
33 傾斜部
35 メッシュ部
40 コイルスプリング
50 カラーリング
52 突起部
60 装着キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し下げヘッド式の液体抽出ポンプにおいて、カラーリング部の内側に一連の円周状に突起を設けることを特徴とするポンプ容器。
【請求項2】
外気導入孔をスリット状あるいはメッシュ状とした請求項1記載のポンプ容器。
【請求項3】
カラーリング部の内側に一連の円周状に突起を複数設けることを特徴とする請求項1〜2記載のポンプ容器。
【請求項1】
押し下げヘッド式の液体抽出ポンプにおいて、カラーリング部の内側に一連の円周状に突起を設けることを特徴とするポンプ容器。
【請求項2】
外気導入孔をスリット状あるいはメッシュ状とした請求項1記載のポンプ容器。
【請求項3】
カラーリング部の内側に一連の円周状に突起を複数設けることを特徴とする請求項1〜2記載のポンプ容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−235190(P2010−235190A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87876(P2009−87876)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】
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