説明

液相酸化湿式脱硫装置

【課題】新たな設備や複数のポンプの設置が不要であり、優れた脱気機能を実現することが可能な液相酸化湿式脱硫装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、コークス炉ガス中の被酸化物を吸収液で吸収除去する吸収塔102と、吸収塔から供給された吸収液中に含まれる被酸化物を酸化し、吸収液を再生させて排出する酸化塔104と、を備える液相酸化湿式脱硫装置10において、上記の酸化塔104には、吸収液の供給から排出に至る吸収液の流動経路上に、酸化塔104の底部から立設され吸収液中に含まれる気泡を浮上させる堰板136と、下端が底部から離隔するように設けられ吸収液中に含まれる気泡を浮上させる仕切板138とが、少なくとも1枚ずつ交互に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相酸化湿式脱硫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭を乾留してコークスを製造する際に生成するコークス炉ガスを脱硫するために用いられる脱硫装置は、主に、コークス炉ガス中の被酸化物を吸収液で吸収除去する吸収塔と、吸収塔から送出された被酸化物を吸収した吸収液に空気を吹き込んで被酸化物を酸化する酸化塔という2つの塔を備える。酸化塔から吸収液を抜き出して循環させるために、酸化塔に直結された循環ポンプが用いられるが、被酸化物の酸化のために吹き込まれる空気の気泡が吸収液中に残存していると、気泡が循環ポンプに巻き込まれ、循環ポンプのキャビテーションが発生する可能性がある。この循環ポンプのキャビテーションを防止するために、酸化塔内で発生する気泡の脱気が重要となる。
【0003】
この酸化塔での気泡の脱気処理に関して、酸化塔に循環ポンプを直結させるのではなく、酸化塔と循環ポンプの間に脱気を専らとする脱気槽を設けて、循環ポンプへの気泡の巻き込みを防止する方法(例えば、特許文献1参照。)や、酸化塔内の構造を変更することにより脱気性能を向上させる方法(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平3−42011号公報
【特許文献2】特公昭58−49590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、脱気槽を設置するスペースが新たに必要となるという問題があり、上記の特許文献2に記載の方法では、複数のポンプを必要とするために、経済的ではないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、新たな設備や複数のポンプの設置が不要であり、優れた脱気機能を実現することが可能な、新規かつ改良された液相酸化湿式脱硫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、合泡を促進させ浮上しやすくするための部材を酸化塔内に設置することで、優れた脱気機能を実現することが可能であることに想到した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
【0009】
(1)コークス炉ガス中の被酸化物を吸収液で吸収除去する吸収塔と、前記吸収塔から供給された前記吸収液中に含まれる被酸化物を酸化し、前記吸収液を再生させて排出する酸化塔と、を備える液相酸化湿式脱硫装置であって、前記酸化塔では、前記吸収液の供給から排出に至る前記吸収液の流動経路上に、前記酸化塔の底部から立設され前記吸収液中に含まれる気泡を浮上させる堰板と、下端が前記底部から離隔するように設けられ前記吸収液中に含まれる気泡を浮上させる仕切板とが、少なくとも1枚ずつ交互に設けられることを特徴とする、液相酸化湿式脱硫装置。
(2)前記酸化塔の内部は、前記酸化塔よりも高さが低く上端が開口部となっており、前記吸収塔から前記吸収液が供給される内塔と、前記内塔の外側に位置し、前記開口部から溢れ出た前記吸収液が流入する外塔と、から構成される二重殻構造であり、前記堰板および前記仕切板は、前記外塔における前記吸収液の流動経路上に設けられることを特徴とする、(1)に記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(3)前記開口部から溢れ出た前記吸収液は、落差を有して前記外塔へと流入することを特徴とする、(2)に記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(4)前記堰板および前記仕切板は、前記酸化塔の中心軸から放射状に配置されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(5)前記酸化塔は、前記吸収液を酸化する酸化用空気を噴出する気液混合装置を更に備えることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(6)前記酸化塔は、再生された前記吸収液を吸引して前記吸収塔へと循環させる循環ポンプを更に備えることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(7)前記吸収塔と前記酸化塔とは、一体に形成されることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(8)前記堰板の上端は、前記仕切板の下端よりも上に位置することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(9)前記堰板の上端は、前記仕切板の下端よりも下に位置することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
(10)前記堰板の上端は、前記仕切板の下端と同じ高さに位置することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新たな設備や複数のポンプの設置が不要であり、優れた脱気機能を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
以下に、図1〜図4を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置10を詳細に説明する。
【0013】
(液相酸化湿式脱硫装置10の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置を説明するための説明図である。図1に示したように、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置10は、例えば、吸収塔102と、酸化塔104と、吸収塔102および酸化塔104を連通する連通管106と、を備える。
【0014】
吸収塔102は、被処理ガスである原料コークス炉ガス108中の被酸化物を吸収液(酸化後吸収液112)により吸収除去する。被酸化物を吸収した吸収液(未酸化吸収液110)は、吸収塔102の下部から後述する酸化塔104に自然流入する。ここで、原料コークス炉ガス108中の被酸化物は、例えば、硫化水素やシアン化水素等であり、吸収液とは、硫化水素やシアン化水素等の被酸化物と接触して、これらの被酸化物を吸収するものである。また、上記の未酸化吸収液とは、上記の吸収液に吸収された被酸化物が未だ酸化されていない状態にある吸収液をいう。
【0015】
吸収塔102には、その塔上部に吸収液の散布ノズルが設けられ、塔下部には、散布ノズルから散布されて被酸化物を吸収した吸収液が一時的に溜まる吸収塔下部液溜が形成されている。また、散布ノズルと吸収塔下部液溜との間には、適当な充填材が充填され、ガス導入口から導入された原料コークス炉ガス108と向流接触させるための接触部が設けられている。さらに、吸収塔102の塔頂部には、原料コークス炉ガス108から被酸化物が除去されることで生成される精製コークス炉ガス126を排出する排出口が設置されている。
【0016】
酸化塔104は、吸収塔102から供給された被酸化物を吸収した吸収液(未酸化吸収液110)に空気を吹き込んで、硫化水素やシアン化水素といった被酸化物を酸化することで酸化後吸収液112として吸収液を再生させるとともに、未反応の空気による気泡を吸収液から除去する。酸化塔104の下部には、複数の空気吹き込みノズル等からなる気液混合装置114が設けられる。本実施形態に係る酸化塔104に設けられる気液混合装置114は、特に規定されるものではないが、例えば、特開昭62−192490号公報等に記載の気液混合装置を使用することが可能である。なお、図1では、気液混合装置114は1つだけ記載されているが、図示の例に規制されるわけではなく、酸化塔104に複数の気液混合装置114を設けても良い。ここで、上記の酸化後吸収液とは、吸収液に吸収されている被酸化物が、気液混合装置114から吹き込まれた空気により酸化された状態にある吸収液をいう。
【0017】
また、酸化塔104には、被酸化物が酸化された吸収液を循環させるための循環ポンプ120が設けられている。循環ポンプ120は、酸化塔104から気泡の取り除かれた酸化後吸収液112を吸引し、吸収塔102の塔上部の散布ノズルへと循環させるとともに、酸化後吸収液112の一部を気液混合用吸収液122として気液混合装置114へと供給する。
【0018】
気液混合装置114では、ブロワー116から供給される酸化用空気118と、循環ポンプ120から供給される気液混合用吸収液122とが混合され、酸化塔104中に噴出される。噴出された酸化用空気118は、吸収塔102から自然流入した未酸化吸収液110中の被酸化物を酸化して、未酸化吸収液110を酸化後吸収液112とする。
【0019】
酸化塔104の底部付近には、気液混合装置114から噴出された酸化用空気118により生じる気泡を取り除くための堰板136と仕切板138とが設けられる。これらの堰板136および仕切板138については、以下で詳細に説明する。
【0020】
酸化後吸収液112から分離された気泡は、酸化塔廃ガス124となり、酸化塔104の塔頂部より排出され、廃棄ガス処理へと送られる。
【0021】
連通管106は、吸収塔102の塔底部と酸化塔104の塔底部とを連通する配管であり、吸収塔102において硫化水素等の被酸化物を吸収した未酸化吸収液110が、酸化塔104へと自然流入するための流路となる。
【0022】
続いて、図2および図3を参照しながら、本実施形態に係る酸化塔104に設けられた堰板136および仕切板138について、詳細に説明する。なお、図2では、本実施形態に係る酸化塔104が略円柱形状を有している場合について説明するが、本実施形態に係る酸化塔104の形状は略円柱形状に限定されるわけではない。
【0023】
酸化塔104内で空気を投入し吸収液に吸収された被酸化物の酸化反応を行う場合、気液混合装置114の形状によらず、未反応の空気(空気中の酸素)による気泡の除去は不可避となる。酸化塔104の水深が低いほど、気泡が上昇しなければならない浮上高さは低くなるため、理論上は無限大の表面積を有する酸化塔で酸化反応を実施すれば、即時に脱気(気泡の除去)も可能となる。しかしながら、このような無限大の表面積を有する酸化塔は、設置不可能であることから、脱気処理について何らかの対策を講じる必要がある。
【0024】
吸収液の流れ向きと気泡の流れ向きとは同じ向きであるため、連続的に吸収液を処理する場合においては、注意を要する。すなわち、間欠的に処理するのであれば、適度な静置時間を確保することで、自然に脱気することが可能であるが、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置10のように、連続的に吸収液を処理しなければならず、経済性を含め物理的に許容される設置面積が存在する場合には、脱気のメカニズムを考慮した構造を検討する必要がある。そこで、本実施形態に係る酸化塔では、以下に説明するような堰板136および仕切板138を設け、吸収液の脱気を行う。
【0025】
図2は、本実施形態に係る酸化塔104の塔底部を上面から見た場合の説明図であり、本実施形態に係る堰板136および仕切板138を説明するための説明図である。図3は、図2における吸収液流入口130から吸収液流出口132に至る流路を展開して示した説明図であり、本実施形態に係る堰板136および仕切板138を説明するための説明図である。
【0026】
図2に示したように、本実施形態に係る酸化塔104は例えば略円柱形状を有しており、酸化塔104の塔底部付近には、吸収塔104塔底と連通管106を介して接続されている吸収液流入口130と、循環ポンプ120と接続されている吸収液流出口132とが形成されている。また、酸化塔104の塔底部には、酸化塔104の中心軸から酸化塔104の外周に向かって放射状に(すなわち、酸化塔104の径方向に)、隔壁134と、2枚の堰板136と、2枚の仕切板138とが設けられており、堰板136と仕切板138とは、交互に並んでいる。また、酸化塔104には、被酸化物を酸化するための酸化用空気を噴出する気液混合装置114(図示せず。)が、酸化塔104の接線方向に対して所定の角度を有するように、1つまたは複数配置されている。
【0027】
吸収塔102から連通管106を介して流入してきた未酸化吸収液110は、吸収液流入口130から酸化塔104に流入し、図2に(1)〜(7)で示した流路を経由して吸収液流出口132から循環ポンプ120へと流出する。図2に示したように、上面から見た酸化塔104における吸収液の流れは、吸収液の流入方向や気液混合装置114により噴出される気液混合用吸収液の流れによって、酸化塔104の円周に沿った流れとなっており、堰板136および仕切板138は、吸収液の流れにほぼ直交するように、酸化塔104の塔底部に設けられる。
【0028】
本実施形態に係る酸化塔104に設けられる堰板136は、図3に示したように、酸化塔104の底部から塔頂部に向かって立設されており、堰板136の高さは、隔壁134の高さCよりも低くなっている。また、互いに隣接する堰板136の間には、複数の仕切板138が、当該仕切板138の下端が酸化塔104の底部と離隔するように設けられている。このように堰板136および仕切板138を設けることにより、堰板136の上部および仕切板138の下部に、流路開口部140が生じることとなる。
【0029】
なお、堰板136の上端は、仕切板138の下端よりも高い位置にあってもよく、仕切板138の下端よりも更に低い位置にあってもよい。また、堰板136の上端は、仕切板138の下端と同じ高さに位置していてもよい。
【0030】
堰板136は、酸化塔104における吸収液の流れおよび気泡の流れを、積極的に上向きにして合泡させるための板である。図3において例えばaで表した区間では、堰板136を設けることで、気泡浮上距離は、酸化塔104の底部からの液面高さCではなく、流路開口部140の高さであるBとなる。つまり、高さBとは、堰板136の上端から液面までの距離である。堰板136を設けることで、気泡浮上距離を短くすることが可能となり、気泡を効率よく除くことが可能となる。
【0031】
仕切板138は、堰板136によって浮上した気泡をさらに合泡させ、より確実に分離するための板である。仕切板138によって吸収液の流れは下向きとなるため、吸収液の流れが気泡の流れに及ぼす影響を小さくすることが可能となるだけでなく、仕切板138に気泡が接触することで、更に仕切板138に沿って気泡がそのまま上昇し易くする効果がある。
【0032】
このように、堰板136および仕切板138を吸収液の流動経路上に交互に設置することで、吸収液流入口130から酸化塔104に流入した吸収液は、上下方向に蛇行しながら吸収液流出口132へと流れることとなる。
【0033】
続いて、図4を参照しながら、本実施形態に係る酸化塔104での吸収液の流れおよび気泡の流れについて、詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る酸化塔に設けられた堰板および仕切板を説明するための説明図である。
【0034】
仕切板138の下部に位置する流路開口部140を流れる吸収液および気泡は、図4のaの区間において、堰板136により、上向きの流れとなる。上向きの流れとなった吸収液は、区間bに設けられた仕切板138によって、下向きの流れとなるが、気泡の流れは、仕切板138によって、上述のように更に上昇することとなる。これにより、気泡が効果的に除去される。また、上昇しきらなかった気泡は、吸収液と共に、仕切板138の下部に位置する流路開口部140により、区間aへと流れていくが、堰板136により、吸収液と気泡とは、再び上向きの流れとなる。上向きの流れとなった気泡は、仕切板138により、上記と同様にして、仕切板138に沿って上昇し、効果的に除去されることとなる。
【0035】
このように、堰板136と仕切板138とを組み合わせて酸化塔104の塔底部に設置することにより、気泡の大きさが大きくなるだけでなく気泡が上昇する必要のある距離も短くなり、より多くの気泡を効果的に脱気することが可能となる。
【0036】
なお、上記の説明においては、3枚の堰板136および2枚の仕切板138が設置された場合について説明したが、本実施形態に係る堰板136および仕切板138の枚数は上記の枚数に限定されるわけではなく、酸化塔104の大きさや処理する吸収液の量等に応じて、酸化塔104の塔底部付近にそれぞれ少なくとも1枚ずつ設けられればよい。
【0037】
(液相酸化湿式脱硫装置10の動作)
以上、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置10の構成について説明したが、続いて、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置10の動作について、詳細に説明する。
【0038】
吸収塔102に導入された原料コークス炉ガス108は、酸化塔104から循環ポンプ120により循環された酸化後吸収液112と向流接触することで、ガス中の硫化水素やシアン化水素といった被酸化物が吸収除去され、吸収塔102の塔頂部から、精製コークス炉ガス126として系外に排出される。
【0039】
被酸化物を吸収した未酸化吸収液110は、吸収塔102の塔底部に接続された連通管106を通って、酸化塔104に自然流入する。酸化塔104に自然流入した未酸化吸収液110中の被酸化物は、気液混合装置114から噴出された酸化用空気118によって酸化され、酸化後吸収液112となる。また、被酸化物の酸化に用いられなかった酸化用空気118は、気泡となって、吸収液中に存在することとなる。
【0040】
吸収液中に存在する気泡は、酸化塔104の塔底部付近に設けられた堰板136により上向きの流れとなり、近傍の気泡と合泡しながら吸収液の液面付近へと移動する。更に、気泡は、仕切板138に沿って上昇することにより吸収液の液面近傍へと移動し、吸収液中から取り除かれることとなる。
【0041】
気泡の除去された(脱気された)酸化後吸収液112は、循環ポンプ120により吸引され、吸収塔102の塔頂部に設けられた散布ノズルにより、吸収塔102内に散布される。また、吸収液から除去された気泡は、酸化塔廃ガス124として、廃棄ガス処理へと送られる。
【0042】
(第2の実施形態)
続いて、図5〜図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20を詳細に説明する。
【0043】
(液相酸化湿式脱硫装置20の構成)
図5は、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置を説明するための説明図である。図5に示したように、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20は、例えば、吸収塔202と、酸化塔204と、吸収塔202および酸化塔204を連通する連通管206と、を備える。
【0044】
吸収塔202は、被処理ガスである原料コークス炉ガス212中の被酸化物を吸収液(酸化後吸収液216)により吸収除去する。被酸化物を吸収した吸収液(未酸化吸収液214)は、吸収塔202の下部から後述する酸化塔204に自然流入する。
【0045】
吸収塔202には、その塔上部に吸収液の散布ノズルが設けられ、塔下部には、散布ノズルから散布されて被酸化物を吸収した吸収液が一時的に溜まる吸収塔下部液溜が形成されている。また、散布ノズルと吸収塔下部液溜との間には、適当な充填材が充填され、ガス導入口から導入された原料コークス炉ガス212と向流接触させるための接触部が設けられている。さらに、吸収塔202の塔頂部には、原料コークス炉ガス212から被酸化物が除去されることで生成される精製コークス炉ガス232を排出する排出口が設置されている。
【0046】
酸化塔204は、吸収塔202から供給された被酸化物を吸収した吸収液(未酸化吸収液214)に空気を吹き込んで、硫化水素やシアン化水素といった被酸化物を酸化することで吸収液を再生させるとともに、未反応の空気に起因する気泡を吸収液から除去する。本実施形態に係る酸化塔204は、二重殻構造となっており、吸収塔202から自然流入した吸収液を酸化する酸化部である内塔208と、気泡を浮上分離させる浮上分離部である外塔210との二重構造となっている。
【0047】
内塔208は、吸収塔202から自然流入した未酸化吸収液214に含まれる被酸化物を、後述する気液混合装置218から吹き込まれる空気により酸化し、酸化後吸収液216とする。酸化後吸収液216は吸収塔202の塔頂部に設けられた散布ノズルにより吸収塔202内に散布するために再利用される。内塔208には、連通管206が直接接続されており、吸収塔202の塔底部から自然流出した未酸化吸収液214は、直接酸化塔204の内塔208へと自然流入する。
【0048】
内塔208の高さは、酸化塔204の高さよりも低くなっており、内塔208の上端は、開口部となっている。また、この開口部の一角には切欠き部(図示せず。)が形成されている。吸収塔202から自然流入した未酸化吸収液214は、酸化されながら内塔208に溜まっていき、流入した未酸化吸収液214の容量が内塔208の容積よりも大きくなったとき、内塔208の上端に形成された開口部から溢れ出し、滝のように落下して外塔210へと流入することとなる。
【0049】
内塔208の下部には、1つまたは複数の空気吹き込みノズル等からなる気液混合装置218が設けられる。本実施形態に係る内塔208に設けられる気液混合装置218は、特に規定されるものではないが、例えば、特開昭62−192490号公報等に記載の気液混合装置を使用することが可能である。なお、図5では、気液混合装置218は1つだけ記載されているが、図示の例に規制されるわけではなく、内塔208に複数の気液混合装置218を設けても良い。
【0050】
気液混合装置218では、ブロワー220から供給される酸化用空気222と、循環ポンプ226から供給される気液混合用吸収液228とが混合され、内塔208中に噴出される。噴出された空気は、吸収塔202から自然流入した未酸化吸収液214中の被酸化物を酸化して、未酸化吸収液214を酸化後吸収液216とする。気液混合装置218から噴出された空気の一部は、未酸化吸収液214の酸化に用いられずに、気泡として酸化後吸収液216中に残存することとなる。気泡の一部は、酸化塔廃ガス230として、内塔208の上端から放散される。
【0051】
気泡を含む酸化後吸収液216は、内塔208の上端から溢れ出て、内塔208の外周に位置する外塔210へと流れ出す。外塔210は、内塔208から流入する酸化後吸収液216中に含まれる気泡を、浮上分離させる。
【0052】
酸化後吸収液216の流入の際、内塔208の上端と外塔210の液面との間には落差があるため、外塔210に溜まっている酸化後吸収液216中には、内塔208からの酸化後吸収液216の流入に伴う対流が生じることとなる。この対流により、酸化後吸収液216中に存在する気泡が液面まで浮上することとなり、酸化後吸収液216から効率良く気泡を除去することが可能となる。
【0053】
また、外塔210には、被酸化物が酸化された吸収液を循環させるための循環ポンプ226が設けられている。循環ポンプ226は、外塔210から気泡の取り除かれた酸化後吸収液216を吸引し、吸収塔202の塔上部の散布ノズルへと循環させるとともに、酸化後吸収液216の一部を気液混合用吸収液228として気液混合装置218へと供給する。循環ポンプ226は、外塔210の酸化後吸収液216の液面の高さが、内塔208の上端の高さよりも低くなるように、外塔210から酸化後吸収液216を吸引する。
【0054】
外塔210の底部近傍には、気液混合装置218から噴出された空気により生じる気泡を取り除くための堰板240と仕切板242とが設けられる。これらの堰板240および仕切板242については、以下で詳細に説明する。
【0055】
外塔210において酸化後吸収液216から分離された気泡は、酸化塔廃ガス230となり、酸化塔204の塔頂部より排出され、廃棄ガス処理へと送られる。
【0056】
連通管206は、吸収塔202の塔底部と酸化塔204の内塔208の塔底部とを連通する配管であり、吸収塔202において硫化水素等の被酸化物を吸収した未酸化吸収液214が、内塔208へと自然流入するための流路となる。
【0057】
続いて、図6を参照しながら、本実施形態に係る酸化塔204における吸収液の流れと気泡の流れとを、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る酸化塔204における吸収液および気泡の流れを説明するための説明図である。
【0058】
原料コークス炉ガス212に含まれる被酸化物を吸収した未酸化吸収液214は、吸収塔202から連通管206を通って酸化塔204中の内塔208へと自然流入する。自然流入した未酸化吸収液214は、内塔208の上端に向かって流れながら、気液混合装置218から噴出される空気により酸化され、酸化後吸収液216となる。未酸化吸収液214中の被酸化物の酸化に用いられなかった空気は、気泡となって、内塔208の上端に向かって浮上する。
【0059】
内塔208の上端まで達した酸化後吸収液216は、上端の一角に設けられた切欠き部(図示せず。)から溢れ出し、外塔210へと落下する。酸化後吸収液216中に含まれる気泡の一部は、酸化塔廃ガスとして、酸化塔204の塔頂部から排出されるとともに、気泡の一部は、酸化後吸収液216と共に外塔210へと流入する。
【0060】
内塔208の切欠き部より溢れ出し外塔210に流入した酸化後吸収液216は、外塔210の外周に沿って流れながら、外塔210の塔底部付近に設けられた吸収液排出口234より排出される。また、酸化後吸収液216中の気泡は、後述する堰板240および仕切板242により液面近傍まで浮上し、酸化後吸収液216から除去されて酸化塔廃ガス230として系外に排出される。
【0061】
続いて、図7および図8を参照しながら、本実施形態に係る外塔210に設けられる堰板240および仕切板242について、詳細に説明する。なお、図7では、本実施形態に係る酸化塔204が略円柱形状を有している場合について説明するが、本実施形態に係る酸化塔204の形状は略円柱形状に限定されるわけではない。
【0062】
図7は、本実施形態に係る酸化塔204の塔底部を上面から見た場合の説明図であり、本実施形態に係る堰板240および仕切板242を説明するための説明図である。図8は、図7における内塔208から吸収液流出口234に至る流路を展開して示した説明図であり、本実施形態に係る堰板240および仕切板242を説明するための説明図である。
【0063】
図7に示したように、本実施形態に係る酸化塔204は、略円柱形状を有しており、二重殻構造となっている。酸化塔204の内側(中心軸寄り)には、内塔208が位置しており、酸化塔204の外壁側には、外塔210が位置している。内塔208には、連通管206が接続されており、内塔208の内部には、内塔208の接線方向に対して所定の角度を有するように1つまたは複数の気液混合装置218が設けられている。
【0064】
外塔210には、隔壁238と、3枚の堰板240と、2枚の仕切板242とが、酸化塔204の中心軸から酸化塔204の外周に向かって放射状に(酸化塔204の径方向に)設けられており、堰板240と仕切板242とは、外塔210における吸収液の流動経路上に交互に並んでいる。
【0065】
吸収塔202から連通管206を介して流入してきた未酸化吸収液214は、内塔208に流入し、図7に(1)〜(7)で示した流路を経由して吸収液流出口234から循環ポンプ226へと流出する。連通管206から内塔208に供給された吸収液は、内塔208への流入方向、流入速度や、気液混合装置218により噴出される気液混合用吸収液の流れによって、内塔208内で内塔208の円周に沿った流れとなっており、吸収液中に存在する気泡219も、吸収液と共に内塔208の円周に沿って流れることとなる。内塔208の切欠き部(図示せず。)から溢れ出て外塔210に流入した吸収液(1)は、外塔210においても、外塔210の円周に沿った流れ(2)〜(7)となる。本実施形態に係る堰板240および仕切板242は、吸収液の流れにほぼ直交するように、外塔210の塔底部付近に設けられる。
【0066】
本実施形態に係る外塔210に設けられる堰板240は、図8に示したように、外塔210の底部から塔頂部に向かって立設されており、堰板240の高さは、隔壁238の高さCよりも低くなっている。また、互いに隣接する堰板240の間には、複数の仕切板242が、当該仕切板242の下端が外塔210の底部と離隔するように設けられている。このように堰板240および仕切板242を設けることにより、堰板240の上部および仕切板242の下部に、流路開口部244が生じることとなる。
【0067】
なお、堰板240の上端は、仕切板242の下端よりも高い位置にあってもよく、仕切板242の下端よりも更に低い位置にあってもよい。また、堰板240の上端は、仕切板242の下端と同じ高さに位置してもよい。
【0068】
堰板240は、外塔210における吸収液の流れおよび気泡の流れを、積極的に上向きにして合泡させるための板である。図8において例えばaで表した区間では、堰板240を設けることで、気泡浮上距離は、外塔210の底部からの液面高さCではなく、流路開口部244の高さであるBとなる。つまり、高さBとは、堰板240の上端から液面までの距離である。堰板240を設けることで、気泡浮上距離を短くすることが可能となり、気泡を効率よく脱気することが可能となる。
【0069】
仕切板242は、堰板240によって浮上した気泡を更に合泡させ、より確実に分離するための板である。仕切板242によって吸収液の流れは下向きとなるため、吸収液の流れが気泡の流れに及ぼす影響を小さくすることが可能となるだけでなく、仕切板242に気泡が接触することで、更に仕切板242に沿って気泡がそのまま上昇し易くする効果がある。
【0070】
このように、堰板240および仕切板242を交互に設置することで、内塔208から外塔210へ落下しながら流入した吸収液は、上下方向に蛇行しながら吸収液流出口234へと流れることとなり、吸収液中から気泡が除去される。また、堰板240と仕切板242とを組み合わせて外塔210の塔底部に設置することにより、気泡の大きさが大きくなるだけでなく気泡が上昇する必要のある距離も短くなり、より多くの気泡を効果的に脱気することが可能となる。
【0071】
なお、上記の説明においては、3枚の堰板240および2枚の仕切板242が設置された場合について説明したが、本実施形態に係る堰板240および仕切板242の枚数は上記の枚数に限定されるわけではなく、酸化塔204の大きさや処理する吸収液の量等に応じて、外塔210の塔底部近傍にそれぞれ少なくとも1枚ずつ設けられればよい。また、堰板240および仕切板242は、放射状(すなわち、酸化塔204の径方向)以外の取り付け方法であっても良い。
【0072】
(液相酸化湿式脱硫装置20の動作)
以上、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20の構成について説明したが、続いて、本実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20の動作について、詳細に説明する。
【0073】
吸収塔202に導入された原料コークス炉ガス212は、酸化塔204から循環ポンプ226により循環された酸化後吸収液216と向流接触することで、ガス中の硫化水素やシアン化水素といった被酸化物が吸収除去され、吸収塔202の塔頂部から、精製コークス炉ガス232として系外に排出される。
【0074】
被酸化物を吸収した未酸化吸収液214は、吸収塔202の塔底部に接続された連通管206を通って、酸化塔204内の内塔208に自然流入する。自然流入した未酸化吸収液214中の被酸化物は、気液混合装置218から噴出された酸化用空気222によって酸化され、酸化後吸収液216となる。また、被酸化物の酸化に用いられなかった酸化用空気222は、気泡となって、吸収液中に存在することとなる。
【0075】
吸収塔202からの未酸化吸収液214の流入に伴い、内塔208中の吸収液の液面は上昇していき、内塔208の上端に設けられた切欠き部から外塔210へと溢れ出ることとなる。内塔208の上端と外塔210における液面の高さとの落差により、外塔210に溜まった酸化後吸収液216中には、対流が生じることとなる。この落差に起因する対流により、酸化後吸収液216中の気泡は、液面へと浮上することとなる。
【0076】
さらに、吸収液中に存在する気泡は、外塔210の塔底部付近に設けられた堰板240により上向きの流れとなり、吸収液の液面付近へと移動する。更に、気泡は、仕切板242に沿って上昇することにより吸収液の液面近傍へと移動し、吸収液中から取り除かれることとなる。
【0077】
気泡の除去された酸化後吸収液216は、循環ポンプ226により吸引され、吸収塔202の塔頂部に設けられた散布ノズルにより、吸収塔202内に散布される。また、吸収液から除去された気泡は、酸化塔廃ガス230として、廃棄ガス処理へと送られる。
【0078】
(液相酸化湿式脱硫装置20の第1変形例)
続いて、図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置の第1変形例を詳細に説明する。図9は、第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置の第1変形例を説明するための説明図である。
【0079】
図5に示した本発明の第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20は、吸収塔202と酸化塔204とが別体に構成されていたが、例えば図9に示したように、吸収塔と酸化塔とは一体形成されていてもよい。
【0080】
本変形例に係る液相酸化湿式脱硫装置30は、図9に示したように、例えば、吸収塔302と、酸化塔304と、吸収塔302と酸化塔304とを連通連結する連通管306と、を備える。
【0081】
吸収塔302は、原料コークス炉ガス312中に含まれる被酸化物を酸化後吸収液316により吸収して、精製コークス炉ガス332を生成する。吸収塔302の下部には、酸化塔304が一体形成されている。
【0082】
酸化塔304は、第2の実施形態に係る酸化塔204と同様に、内塔308および外塔310からなる二重殻構造となっており、吸収塔302の底部から酸化塔304の内塔308に向かって、略鉛直方向に連通管306が設けられる。
【0083】
気液混合装置318、ブロワー320および循環ポンプ326については、本発明の第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置20における気液混合装置218、ブロワー220および循環ポンプ226と、それぞれほぼ同一の構成を有し、同様の効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0084】
液相酸化湿式脱硫装置30をかかる構成としても、酸化塔304の外塔310において、効率良く酸化後吸収液316から気泡を除去することが可能となる。また、吸収塔302と酸化塔304とを一体形成することで、コークス炉ガスの精製設備全体の設置に要する敷地面積を少なくでき、かつ、設備全体の流路構成を簡略化できるといった利点がある。
【0085】

[試験例]
続いて、本発明に係る液相酸化湿式脱硫装置の実機試験例を示しながら、本発明に係る液相酸化湿式脱硫装置について説明する。なお、以下に示す試験例は、本発明に係る脱硫装置を説明するための一例であって、本発明が以下の例に限定されるわけではない。
【0086】
上記の図5に示した液相酸化湿式脱硫装置について、実機運転試験を行なった。試験条件は、内径6.2m、高さ39mの実機吸収塔の下部から、硫化水素6g/Nmを含有するコークス炉ガスを、原料コークス炉ガスとして80000Nm/hで導入した。また、実機吸収塔の頂部より酸化後吸収液を1750m/hで散布し、コークス炉ガスと向流接触させ、コークス炉ガス中の硫化水素を吸収させた。
【0087】
硫化水素が吸収され、硫化水素の含有量が0.15〜0.2g/Nm3となったコークス炉ガスを次工程に排送し、実機吸収塔の塔底から連通管で吸収液を実機内塔に自然流出させた。
【0088】
直径7.4m、高さ7.5mの実機内塔では、底部からブロワーによって1800Nm/hの空気を気液混合装置により液中に吹き込んで吸収液を酸化再生させ、内塔より外塔に連続的にオーバーフローさせた。また、外塔には、堰板および仕切板を合計6枚設置し、吸収液の脱気を行なった。
【0089】
この実機試験では、外塔に接続された循環ポンプにおけるキャビテーションは認められず、脱気が有効に行なわれていたことが判明した。
【0090】
このように、本発明に係る液相酸化湿式脱硫装置では、コークス炉ガス中の被酸化物を吸収する吸収液中に含まれる気泡を効果的に除去することが可能であり、また、吸収塔および酸化塔以外の新たな設備を設けることなく、1つのポンプにより吸収液を循環させることができる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上記の本発明の第1の実施形態において、吸収塔102と酸化塔104とが別体に設けられる場合について説明したが、吸収塔102および酸化塔104は、一体形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置を説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る酸化塔を説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係る酸化塔に設けられた堰板および仕切板を説明するための説明図である。
【図4】同実施形態に係る酸化塔に設けられた堰板および仕切板を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置を説明するための説明図である。
【図6】同実施形態に係る酸化塔における吸収液および気泡の流れを説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係る酸化塔を説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係る酸化塔に設けられた堰板および仕切板を説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る液相酸化湿式脱硫装置の第1変形例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0094】
10,20,30 液相酸化湿式脱硫装置
102,202,302 吸収塔
104,204,304 酸化塔
106,206,310 連通管
108,212,312 原料コークス炉ガス
110,214,314 未酸化吸収液
112,216,316 酸化後吸収液
114,218,318 気液混合装置
116,220,320 ブロワー
118,222,322 酸化用空気
120,226,326 循環ポンプ
122,228,328 気液混合用吸収液
124,230,330 酸化塔廃ガス
126,232,332 精製コークス炉ガス
130 吸収液流入口
132,234 吸収液流出口
134,238 隔壁
136,240 堰板
138,242 仕切板
140,244 流路開口部
208,306 内塔
210,308 外塔
219 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉ガス中の被酸化物を吸収液で吸収除去する吸収塔と、
前記吸収塔から供給された前記吸収液中に含まれる被酸化物を酸化し、前記吸収液を再生させて排出する酸化塔と、
を備える液相酸化湿式脱硫装置であって、
前記酸化塔では、
前記吸収液の供給から排出に至る前記吸収液の流動経路上に、前記酸化塔の底部から立設され前記吸収液中に含まれる気泡を浮上させる堰板と、下端が前記底部から離隔するように設けられ前記吸収液中に含まれる気泡を浮上させる仕切板とが、少なくとも1枚ずつ交互に設けられる
ことを特徴とする、液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項2】
前記酸化塔の内部は、
前記酸化塔よりも高さが低く上端が開口部となっており、前記吸収塔から前記吸収液が供給される内塔と、
前記内塔の外側に位置し、前記開口部から溢れ出た前記吸収液が流入する外塔と、
から構成される二重殻構造であり、
前記堰板および前記仕切板は、前記外塔における前記吸収液の流動経路上に設けられる
ことを特徴とする、請求項1に記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項3】
前記開口部から溢れ出た前記吸収液は、落差を有して前記外塔へと流入することを特徴とする、請求項2に記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項4】
前記堰板および前記仕切板は、前記酸化塔の中心軸から放射状に配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項5】
前記酸化塔は、前記吸収液を酸化する酸化用空気を噴出する気液混合装置を更に備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項6】
前記酸化塔は、再生された前記吸収液を吸引して前記吸収塔へと循環させる循環ポンプを更に備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項7】
前記吸収塔と前記酸化塔とは、一体に形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項8】
前記堰板の上端は、前記仕切板の下端よりも上に位置することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項9】
前記堰板の上端は、前記仕切板の下端よりも下に位置することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。
【請求項10】
前記堰板の上端は、前記仕切板の下端と同じ高さに位置することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の液相酸化湿式脱硫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−114233(P2009−114233A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285531(P2007−285531)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】