説明

液量表示装置、電気湯沸かし器、液体保存容器、油量計

【課題】 周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識をより一層容易に行うことの可能な液量表示装置を提供する。
【解決手段】 液体を収容する容器1と、容器1内の液量を確認するための液量表示管2と、液量表示管2の一方の側に設けられ、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を励起光として発光する固体光源4と、導光レンズとを有し、液量表示管2には、液面に浮かび、固体光源4からの励起光により蛍光を発光する蛍光体フロート5が配設され、導光レンズは、励起光の一部BM1が蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側から照射し、励起光の他の一部BM2が蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側とは反対の側から照射するように、固体光源4からの励起光を分岐導光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液量表示装置、電気湯沸かし器、液体保存容器、油量計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2には、導水パイプの内部に、蛍光塗料を含んだ蛍光体フロート(浮き子)を設け、容器内の湯量は水位表示窓を通して、暗い場所でも蛍光体フロートの位置によって見分けることができる電気湯沸かし器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−59660号公報
【特許文献2】特開2002−209745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、周囲光による蛍光体の発光は、差程明るいものではなく、特許文献1、特許文献2の電気湯沸かし器では、暗い場所で(周囲が暗い状況下において)蛍光体フロートの位置を明確には視認することができないという問題があった。例えば、高齢者や視力の低下した人にとっては、液量(液面の位置)の認識を容易に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識をより一層容易に行うことの可能な液量表示装置、電気湯沸かし器、液体保存容器、油量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、液体を収容する容器と、該容器内の液量を確認するための液量表示管と、液量表示管の一方の側に設けられ、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を励起光として発光する固体光源と、該固体光源からの励起光を分岐導光する導光レンズとを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体フロートが配設されており、前記導光レンズは、前記固体光源からの励起光の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側から照射し、前記固体光源からの励起光の他の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように、前記固体光源からの励起光を分岐導光することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の液量表示装置において、前記導光レンズは、前記固体光源からの励起光の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側から照射し、前記固体光源からの励起光の他の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように、前記固体光源からの励起光を分岐し、励起光の一部を、蛍光体フロートに向けて蛍光体フロートを液量表示管の一方の側から照射する励起光分岐部と、該励起光分岐部によって分岐された前記固体光源からの励起光の他の一部を前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側に導光する励起光導光部と、該励起光導光部によって前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側に導光された励起光の他の一部を、前記蛍光体フロートに向けて前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように折り返す励起光折返し部とを有していることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする電気湯沸かし器である。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする液体保存容器である。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする油量計である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、液体を収容する容器と、該容器内の液量を確認するための液量表示管と、液量表示管の一方の側に設けられ、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を励起光として発光する固体光源と、該固体光源からの励起光を分岐導光する導光レンズとを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体フロートが配設されており、前記導光レンズは、前記固体光源からの励起光の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側から照射し、前記固体光源からの励起光の他の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように、前記固体光源からの励起光を分岐導光するので、液量表示管の一方の側にのみ固体光源が設けられている場合であっても、前記蛍光体フロートを液量表示管の一方の側からと液量表示管の一方の側とは反対の側からとの両方の側から照射して、前記蛍光体フロートの全面を発光させることができ、これにより、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識をより一層容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項3、4、5記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられているので、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識を従来に比べて容易に行うことことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液量表示装置の一構成例を示す図である。
【図2】本発明の液量表示装置の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の液量表示装置の光学系の構成例を示す図である。
【図4】本発明の液量表示装置の光学系の構成例を示す図である。
【図5】本発明の液量表示装置の光学系の構成例を示す図である。
【図6】図3において連通管を含む液量表示管を取り除いた状態を示す図である。
【図7】図5のB−B線における断面図である。
【図8】導光レンズの励起光分岐部を示す図である。
【図9】導光レンズの励起光折返し部の断面図である。
【図10】本発明の液量表示装置の光学系における固体光源からの励起光の概略光路を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の液量表示装置の一構成例を示す図である。図1を参照すると、本発明の液量表示装置は、液体(例えば水)3を収容する容器1と、該容器1と連通管9により連通し前記容器1内の液量(例えば水位)を確認するための液量表示管2と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を励起光として発光する固体光源4とを有し、前記液量表示管2には、液体3の液面に浮かび、前記固体光源4からの励起光BM1により励起され、前記固体光源4の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体フロート(浮き子)5が配設されている。
【0016】
ここで、液量表示管2は、透明な材料で構成されているのが好ましい。また、図1の例では、液量表示管2には、液量表示管2と容器1との間で液体3の連通を妨げずに蛍光体フロート5を液量表示管2内に保持するためのストッパー8が設けられている。具体的に、このストッパー8は、例えばメッシュ状のもので構成されており、この場合、メッシュの目の粗さは、蛍光体フロート5の径よりも細かいが、固体光源4からの励起光の蛍光体フロート5への光路をできる限り妨げない粗さであるのが好ましい。また、このストッパー8は、例えば、固体光源4からの励起光を透過させる材料(透明材料)で形成されていても良い。
【0017】
また、固体光源4には、紫外光から緑色可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)などが使用可能である。
【0018】
より具体的に、固体光源4には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が380nm〜405nmの近紫外光を発光するLEDやLDを用いることができる。この場合、蛍光体フロート5に含まれる蛍光体としては、波長が約380nm乃至約405nmの紫外光により励起されるものとして、赤色蛍光体としては、CaAlSiN:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等が用いられ、黄色蛍光体には、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等が用いられ、緑色蛍光体には、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+等が用いられ、青色蛍光体には、BaMgAl1017:Eu2+等を用いることができる。
【0019】
また、固体光源4には、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nm程度の青色光を発光するLEDやLDを用いることができる。この場合、蛍光体フロート5に含まれる蛍光体としては、波長が約440nm〜470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体としては、CaAlSiN:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等が用いられ、黄色蛍光体には、YAl12:Ce3+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等が用いられ、緑色蛍光体には、LuAl12:Ce3+、(Lu,Y)Al12:Ce3+、Y(Ga,Al)12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+等を用いることができる。
【0020】
また、蛍光体フロート5は、液量表示管2において液体3の液面に浮かぶように重さが調整されている。蛍光体フロート5に使用される材料としては、液体3の比重よりも小さい比重の材質を選択しても良いし、蛍光体フロート5の内部に適当な容積の空洞を設け、液体3の液面に浮かぶように設計しても良い。蛍光体フロート5は、必ずしも球状である必要はなく、円錐状、円柱状、多角形などの形状をとっても良い。
【0021】
また、液量表示管2内での液面の上下変動に伴う蛍光体フロート5の上下変異を妨げないように、また、液量表示管2が、容器1から外部への液体3の吐出経路を兼ねている場合は、液体3の吐出の妨げにならないように、蛍光体フロート5の外径は、液量表示管2の内径に対して小さいものである必要がある。
【0022】
また、本発明の液量表示装置が電気湯沸かし器や保温容器などに用いられる場合、蛍光体フロート5は、例えば熱湯中で劣化しないことが求められるため、蛍光体が分散される蛍光体フロート5の材料には耐熱性の高い材質が適しており、好ましくは、耐熱性が150℃以上の材料が用いられるのが良い。具体的には、蛍光体が分散される蛍光体フロート5の材料としては、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの材料が好ましい。また、蛍光体フロート5の材料としては、上述した組成の蛍光体粉末をSiO、B、Alなどの成分を含むガラス中に分散したものも使用することができる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体を用いても良い。蛍光体フロート5には蛍光体セラミックスを用いることもできる。
【0023】
このような構成の液量表示装置では、液量表示管2において液体3の表面(液面)に浮かんでいる蛍光体フロート5に、空間的に離れて配置されている固体光源4からの励起光を照射すると、蛍光体フロート5に含まれている蛍光体が固体光源4からの励起光により励起されて発光し(蛍光発光し)、この蛍光体フロート5の発光により、周囲が暗い状況下においても、液量表示管2において液体3の表面(液面)の位置を容易に視認することができ(視認性を高めることができ)、液量(液面の位置)の認識を従来に比べてより一層容易に行うことができる(例えば視力の低下した人でも液量(液面の位置)の認識を容易に行うことができる)。
【0024】
しかし、図1のように液量表示管2の一方の側に(図1の例では、液量表示管2の下側に)固体光源4を配置して蛍光体フロート5を照明する場合、図1の例では、固体光源4からの励起光BM1は蛍光体フロートの外面の下側しか照射しないため、蛍光体フロート5の下半分しか蛍光発光せず、周囲が暗い状況下での視認性向上は不十分である。
【0025】
蛍光体フロート5の全面からの蛍光の発光を得るためには、図2に示すように蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)からの励起光BM1のみならず、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)からの励起光BM2によっても照明することが望ましい。
【0026】
単純には、液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)に固体光源4を配置するだけでなく、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)にも同様の固体光源を配置し、蛍光体フロート5を上下双方の固体光源からの励起光BM1、BM2によって照明すればよい。但し、この場合には、固体光源およびその駆動回路が少なくとも2組必要となり、コスト面、消費電力面で課題が残る。また、通常、電気湯沸かし器では、液量表示管2は液体3の吐出口に接続されており、操作パネルその他の構成物も取り付けられるため、液量表示管2の上方に固体光源を格納する空間を確保することは難しい。
【0027】
そこで、本願の発明者は、液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)の固体光源4だけで(すなわち、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)には固体光源を設けずに)、図2に示すように蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)からの励起光BM1のみならず、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)からの励起光BM2によっても照明する光学系を案出した。
【0028】
図3、図4、図5は、液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)の固体光源4だけで、蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)からの励起光BM1のみならず、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)からの励起光BM2によっても照明する光学系の構成例を示す図であり、図3は斜視図、図4は図3のA方向から見た図(正面図)、図5は側面図である。すなわち、図3には、連通管9を含む液量表示管2と、液量表示管2内に配置された蛍光体フロート(図示せず)を液量表示管2の一方の側(例えば、液量表示管2の下側)からの励起光BM1のみならず、液量表示管2の一方の側とは反対の側(例えば、液量表示管2の上側)からの励起光BM2によっても照明するための導光レンズ10からなる光学系が示されている。また、一般的に液量表示管2は連通管9が接続された側とは反対側の面から観察される。図4は、その観察面側から見た正面図であり、図4において、破線で示された矩形領域11が筐体(図示せず)に設けられた液量観察窓を示している。
【0029】
また、図6には、図3において連通管9を含む液量表示管2を取り除いた状態、すなわち導光レンズ10からなる光学系だけが示されている。また、図7は図5のB−B線における断面図である。また、図8(a)、(b)は導光レンズ10の励起光分岐部23を示す図であり、図8(a)は平面図(上面図)、図8(b)は断面図である。また、図9は導光レンズ10の励起光折返し部25の断面図である。なお、図8(b)、図9の断面図では、図7の断面図において斜線で示した断面のみが拡大されて示されている。
【0030】
図3乃至図9を参照すると、導光レンズ10は、固体光源4からの励起光を分岐導光するものであって、液量表示管2を囲むように配置されている。但し、導光レンズ10には、容器3と液量表示管2とを連通する連通管9を妨げない範囲と、外部筐体(図示せず)に設けられる液量観察窓11からの液量観察を妨げない範囲で、開口部13、14が設けられている。
【0031】
より詳細に、導光レンズ10は、固体光源4からの励起光の一部BM1が蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側から照射し、固体光源4からの励起光の他の一部BM2が蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側とは反対の側から照射するように、固体光源4からの励起光を分岐導光するようになっており、このため、導光レンズ10は、固体光源からの励起光をBM1とBM2とに分岐し、励起光の一部BM1を、蛍光体フロート5に向けて蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側から照射する励起光分岐部23と、該励起光分岐部23によって分岐された固体光源4からの励起光の他の一部BM2を液量表示管2の一方の側とは反対の側に導光する励起光導光部24と、該励起光導光部24によって液量表示管2の一方の側とは反対の側に導光された励起光の他の一部BM2を、蛍光体フロート5に向けて蛍光体フロート5を液量表示管2の一方の側とは反対の側から照射するように折り返す励起光折返し部25とを有している。
【0032】
導光レンズ10は、励起光に対し十分な透過率を持つ材質ならば任意の材質のものを用いることができる。例えば、ポリメチルメタクレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)やシクロオレフィン(COP)などの、一般的に光学用途で用いられる透明な熱可塑性樹脂(射出成形などで製造可能)を用いることができる。ただし、固体光源4として近紫外光を発光するものを用いる場合は、耐UV特性に優れたグレードを選択する必要がある。
【0033】
また、上述したように、励起光分岐部23は、固体光源4からの励起光の一部BM1を、蛍光体フロート5を図2において下側から照射するために液量表示管2内の蛍光体フロート5に直接向かわせ、固体光源4からの励起光の他の一部BM2を、蛍光体フロート5を図2において上側から照射するために励起光導光部24に導く機能を有している。このため、励起光分岐部23は、固体光源4を格納する固体光源格納部26と、固体光源4からの励起光の一部BM1を液量表示管2内の蛍光体フロート5に直接導くように出射するための励起光第一出射面28と、固体光源4からの励起光の他の一部BM2を励起光導光部24に導くための(励起光導光部24に向けて反射するための)略円錐状の励起光第一反射面27、及び、略円錐台状の励起光第二外反射面29、励起光第二内反射面30とにより構成されている。
【0034】
また、励起光導光部24は、液量表示管2と容器1とを連通する連通管9を通すための開口部13と、液量観察窓11からの液量観察を妨げないための開口部14とが設けられている略円筒状の形状を有しており(すなわち、液量表示管2への連通管9と液量表示窓11の為の開口部13、14を除いて、液量表示管2を囲む部分的な略円筒形状となっており)、励起光分岐部23から導かれた光BM2を液量表示管2の上方に導光し励起光折返し部25に到達させる機能を有している。このため、励起光導光部24は、励起光導光外面31と、励起光導光内面32とを有している。
【0035】
また、励起光折返し部25は、励起光導光部24から導かれた光BM2を下方向へ折り返して、液量表示管2内の蛍光体フロート5を上側から照射する機能を有している。このため、励起光折返し部25は、励起光折返し第一反射面33と、励起光折返し第二反射面34と、励起光第二出射面35とを有している。
【0036】
図10はこのような構成の光学系における固体光源4からの励起光BM1、BM2の概略光路を示す図である。なお、図10では、説明を簡単にするために、断面の部分のみが示されている。
【0037】
次に、このような構成の光学系を、図3乃至図10に基づいて、より詳細に説明する。
【0038】
励起光分岐部23において、固体光源格納部26に格納された固体光源4から出射した励起光の他の一部BM2は、入射面41に対向する面に形成された略円錐状の励起光第一反射面27で励起光第二外反射面29の方向に反射される。ここで、励起光第一反射面27は、金属薄膜などを成膜して鏡面反射面を形成しても良いが、励起光第一反射面27の稜線と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ1を45度乃至60度に設定すれば、導光レンズ10による全反射で効率良く光BM2を励起光第二外反射面29に導くことができる。導光レンズ10には、連通管9及び液量観察窓11の為の開口部13、14があり、従って、励起光第二外反射面29のない角度範囲があり、励起光第一反射面27は部分的な円錐形状をなす。励起光第一反射面27が形成されていない入射面に対向する面は、励起光第一出射面28となる。励起光第一出射面28は、液量表示管2の中心軸Zを面法線とする平面でも良いし、液量表示管2の中心軸Z方向に励起光が集光するようなレンズ形状にしても良い。励起光第一出射面28から出射された励起光BM1は、液量表示管2に入射し、液量表示管2内を導光しながら上方に向かい、蛍光体フロート5を下側から照射する(図10を参照)。なお、導光レンズ10の導光効率を考えなければ、蛍光体フロート5を上側から照射する光量(BM2の光量)と、下側から照射する光量(BM1の光量)は、励起光第一反射面27が形成された角度範囲(2×φ1)と、励起光第一出射面28が形成された角度範囲(φ2+φ2’)との比率で略定まる。
【0039】
励起光第二外反射面29に導かれた励起光BM2は、励起光第二外反射面29と励起光第二内反射面30との間で反射により導光されて励起光導光部24に導かれる。励起光第二外反射面29と励起光第二内反射面30は、液量表示管2の中心軸Zを中心とする略部分円錐形状をなす。励起光第二外反射面29と励起光第二内反射面30は、互いに平行であるか、あるいは、励起光第二外反射面29の稜線と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ2を励起光第二内反射面30の稜線と液量表示管2の中心軸Zのなす角θ3よりも大きくとることが望ましい。励起光第二外反射面29及び励起光第二内反射面30は、金属薄膜などを成膜して鏡面反射面を形成しても良いが、励起光第二外反射面29の稜線と液量表示管2の中心軸Zのなす角θ2を略45度に設定すれば、全反射によって励起光BM2を励起光導光部24に導くことができる。
【0040】
また、励起光導光部24を構成する励起光導光外面31と励起光導光内面32は、金属薄膜などを成膜して鏡面反射面を形成しても良いが、互いに平行であるか、あるいは、両面31、32の間隔が励起光折返し部25に向けて広がるように設定されることが望ましい。励起光導光部24に導かれた励起光BM2は、励起光導光外面31と励起光導光内面32との間で反射されて励起光折返し部25に導かれる。
【0041】
励起光折返し部25に導かれた励起光BM2は、励起光折返し第一反射面33と励起光折返し第二反射面34とからなる略山形形状で、折り返され、励起光第二出射面35から略下方に向けて出射されて、蛍光体フロート5を上側から照射する(図10を参照)。
【0042】
励起光折返し第一反射面33と励起光折返し第二反射面34は、金属薄膜などを成膜して鏡面反射面を形成しても良いが、励起光折返し第一反射面33と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ4を略40〜45度に設定し、励起光折返し第二反射面34と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ5を略45〜60度に設定すれば、励起光BM2の多くを全反射によって折り返すことができる。また、励起光第二出射面35は、液量表示管2の中心軸Zを面法線とする平面でも良いし、液量表示管2を広く照明するように励起光BM2が拡散するようなレンズ形状にしても良い。
【0043】
上述したように、導光レンズ10の各反射面等は、金属薄膜や反射フィルムを塗布したものにすることもできるし、あるいは、全反射の条件を満たす角度にして光を全反射させることもできるが、光の導光効率を上げるには、全反射による方が好ましい。
【0044】
次に、本発明の液量表示装置の具体例、比較例を説明する。比較例では、導光レンズ10を設けないものにし、本発明の液量表示装置の具体例では、導光レンズ10を設けた。なお、比較例と具体例とでは、同じ液量表示管2、連通管9、固体光源4を用いた。
【0045】
すなわち、液量表示管2を外径12mm(内径10mm)、長さ130mmのガラス管とし、連通管9を外径12mm(内径10mm)のガラス管とした。そして、液体3の液面が、液量表示管2の底部から80mmの高さにあるとした。
【0046】
比較例では、液量表示管2の底部の下方0.5mmのところに、固体光源4として、幅1.6mm、奥行き1.2mm、高さ1.0mmの面実装LEDを配置した。シミュレーションによれば、面実装LEDからの出射光束を10ルーメンとしたとき、比較例では、液体3の液面に下方から入射する光束は5.4ルーメンであり、液体3の液面に上方から入射する光束は0ルーメンであった。液体3の液面に浮かぶ蛍光体フロート5は、下方からのみ照射され、従って、比較例では、蛍光体フロート5の下半分のみ発光する。実際には、液量表示管2の格納部分壁面からの迷光による上面からの入射もゼロではないが、蛍光体フロート5はほぼ下側からのみ照明されると考えてよい。
【0047】
本発明の液量表示装置の具体例では、比較例に用いられたのと同じ液量表示管2、連通管9、固体光源4に、以下のような導光レンズ10を組み合わせた。
【0048】
すなわち、励起光分岐部23の励起光第一出射面28の外径は、液量表示管2の外径と同じく12mmとした。また、励起光分岐部23の底面から励起光第一出射面28までの厚み(高さ)を5mmとし、励起光分岐部23の底面に内径7mm、深さ1.5mmの円筒状の固体光源格納部26を設けた。また、励起光第一反射面27の稜線が液面表示管2の中心軸Zとなす角θ1を60度とし、液量観察窓11の方向に角度φ2が30度、連通管9の方向に角度φ2’が45度の範囲に半径3.6mmで第一出射面28を形成した。また、励起光第二外反射面29が液面表示管2の中心軸Zとなす角θ2は45度であり、励起光第二内反射面30は励起光第二外反射面29と平行にした。励起光第二外反射面29、励起光第二内反射面30のそれぞれは、励起光第一反射面27から連続して形成される。励起光分岐部23の底面から励起光第二外反射面29と励起光導光外面31との接続部までの高さは10mmである。
【0049】
また、励起光導光部24は、励起光第二外反射面29、励起光第二内反射面30から連続して形成され、その長さは105mm、その略円筒形上の外径は28mm、内径は22mmである。励起光導光外面31と励起光導光内面32は、互いに平行にした。
【0050】
また、励起光折返し部25は、外径28mm、内径14mm、最大高さ6mmの略円筒状である。励起光折返し第一反射面33と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ4は40度、励起光折返し第二反射面34と液量表示管2の中心軸Zとのなす角θ5は55度とした。励起光第二出射面35は、液量表示管2の中心軸Zを面法線とする平面であるが、励起光第二出射面35と励起光折返し部25の内壁との稜線には、所定半径のフィレットがつけてある。
【0051】
また、本発明の液量表示装置の具体例では、励起光分岐部23の固体光源格納部26の入射面41よりも0.5mm下方のところに、固体光源4として、幅1.6mm、奥行き1.2mm、高さ1.0mmの面実装LEDを配置した。なお、液体3の液面が、液量表示管2の底部から80mmの高さにあるとした。
【0052】
シミュレーションによれば、面実装LEDからの出射光束を10ルーメンとしたとき、液体3の液面に下方から入射する光束は3.3ルーメン、液体3の液面に上方から入射する光束は0.3ルーメンであった。液体3の液面に浮かぶ蛍光体フロート5には、下方および上方から励起光BM1、BM2が照射され、従って、蛍光体フロート5の上半分も発光し、暗所での液量表示管2の視認性を十分高めることができる。
【0053】
以上のように、導光レンズ10を用いて、液量表示管2の一方の側(この例では、下側)に設けられた固体光源4からの励起光をBM1とBM2とに分岐し、蛍光体フロート5を下方および上方の両方向から照射することによって、蛍光体フロート5は全面的に発光し、暗所での液量表示管の視認性を十分高めることができる。
【0054】
なお、図1、図2の例では、液量表示管2と容器1との間に連通管9が設けられているが、液量表示管2と容器1との間が連通していれば良く、連通管9は必ずしも設けられていなくともよい(すなわち、液量表示管2と容器1とが直接連通していてもよい)。
【0055】
また、上述の例では、本発明の液量表示装置を電気湯沸かし器(コーヒーメーカー等も含む)に用いる場合について説明したが、本発明の液量表示装置を液体保存容器(例えばテルモスなどの水筒、魔法瓶、電気ケトル等)や油量計(燃料タンクやファンヒーター、石油ストーブなどの油量計)などに用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、電気湯沸かし器、魔法瓶、電気ケトルなどの湯量計として、また、水筒、その他液体保存容器の水量計として、また、ファンヒータ、石油ストーブの灯油タンクの油量計として、また、ガスのフローメーターなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 容器
2 液量表示管
3 液体
4 固体光源
5 蛍光体フロート
8 ストッパー
9 連通管
10 導光レンズ
11 液量観察窓
13、14 開口部
23 励起光分岐部
24 励起光導光部
25 励起光折返し部
26 固体光源格納部
27 励起光第一反射面
28 励起光第一出射面
29 励起光第二外反射面
30 励起光第二内反射面
31 励起光導光外面
32 励起光導光内面
33 励起光折返し第一反射面
34 励起光折返し第二反射面
35 励起光第二出射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器と、該容器内の液量を確認するための液量表示管と、液量表示管の一方の側に設けられ、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を励起光として発光する固体光源と、該固体光源からの励起光を分岐導光する導光レンズとを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体フロートが配設されており、前記導光レンズは、前記固体光源からの励起光の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側から照射し、前記固体光源からの励起光の他の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように、前記固体光源からの励起光を分岐導光することを特徴とする液量表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液量表示装置において、前記導光レンズは、前記固体光源からの励起光の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側から照射し、前記固体光源からの励起光の他の一部が前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように、前記固体光源からの励起光を分岐し、励起光の一部を、蛍光体フロートに向けて蛍光体フロートを液量表示管の一方の側から照射する励起光分岐部と、該励起光分岐部によって分岐された前記固体光源からの励起光の他の一部を前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側に導光する励起光導光部と、該励起光導光部によって前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側に導光された励起光の他の一部を、前記蛍光体フロートに向けて前記蛍光体フロートを前記液量表示管の前記一方の側とは反対の側から照射するように折り返す励起光折返し部とを有していることを特徴とする液量表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする電気湯沸かし器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする液体保存容器。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする油量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−108888(P2013−108888A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255077(P2011−255077)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】