説明

混合装置およびその出力流体

【課題】第1の材料と第2の材料とを混合して出力混合物を生成する混合装置の提供。
【解決手段】装置は、第1の材料を収容する第1のチャンバを、ロータとステータとの間に画定される混合チャンバに接続して備えている。ロータがステータ内に配置され、ステータ内において回転軸の周りを回転する。第1のチャンバは、第1の材料を第1のチャンバから混合チャンバへと送るように構成された内部ポンプを収容している。このポンプを、第1の材料が混合チャンバに進入する前に、第1の材料に周方向の速度を付与するように構成することができる。ロータおよびステータのうちの少なくとも1つが複数の貫通孔を有し、これら複数の貫通孔を通過して第2の材料が混合チャンバへと供給される。選択的に第2のチャンバは混合チャンバに接続される。第2のチャンバは、出力材料を混合チャンバから第2のチャンバに運ぶように構成された内部ポンプを収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/862,904号(2006年10月25日出願)、同第60/862,955号(2006年10月25日出願)、および同第60/982,387号(2007年10月24日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、混合装置に向けられており、さらに詳しくは、回転するロータと固定のステータとの間などを含む、表面の間において2つ以上の材料を混合する混合装置に向けられている。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の記述)
図1は、1つ以上のガス状または液状の材料(「注入材料」)を別のガス状または液状の材料(「ホスト材料」)へと拡散させ、あるいは乳化させるための従来技術の装置10について、参照によってその全体が本明細書に援用される特許文献1から再現した一部分のブロック図および部分断面図を提示している。装置10は、ステータ30およびロータ12を収容するように構成された筐体を備えている。ステータ30が、ロータ12を取り囲んでいる。筒状のチャネル32が、ロータ12とステータ30との間に画定されている。概して円筒形のロータ12が、約7.500インチの直径および約6.000インチの長さを有しており、約0.8という直径に対する長さの比をもたらしている。
【0004】
ロータ12は、両端において概して閉じられている中空円筒を含んでいる。ロータ12の第1および第2の端部のそれぞれと、筐体34の一部分との間に、ギャップが存在している。モータ18によって駆動される回転シャフト14が、ロータ12の第2の端部に接続されている。ロータ12の第1の端部は、導入口16に接続されている。第1の注入材料が、導入口16を通り、ロータ12の内部へと通過する。第1の注入材料は、ロータ12の内部から、ロータ12に形成された複数の開口22を通って、チャネル32へと通過する。
【0005】
ステータ30も、外周の周りに形成された開口22を有している。導入口36が、第2の注入材料を、ステータ30と筐体34との間の領域35に通す。第2の注入材料は、領域35を出て、開口22を通ってチャネル32へと通過する。
【0006】
外部のポンプ(図示されていない)が、ホスト材料をただ1つの導入ポート37に送るために使用される。ホスト材料は、ただ1つの導入ポート37を通ってチャネル32を通過し、チャネル32において、開口22を通ってチャネル32に入る第1および第2の注入材料に出会う。ホスト材料が開口22を通過することがないように、注入材料を、それらの供給源において加圧してもよい。
【0007】
導入ポート37は、環状の導入チャネル32のうちの比較的小さな部分(<約5%)にのみ沿って位置するように構成および配置されており、チャネル32の一部分へと向かう軸方向の流れをホスト材料に付与するために、ロータ12の回転軸に実質的に平行である。
【0008】
あいにく、筒状のチャネル32に進入する前に、ホスト材料は、軸方向の流れの方向以外の屈曲した方向(例えば、軸方向の流れに実質的に直交する方向など)に移動し、そして、ロータ12の第1の端部と筐体34との間に形成されるギャップへと移動して、このギャップの間を移動しなければならない(すなわち、ロータ12の端部と筐体34との間の、導入口16に隣接するロータの第1の端部の一部分を移動する)。この軸方向でなくて直角な流れ、ならびにロータ12の第1の端部と筐体34との間のギャップにおけるホスト材料の存在が、望ましくない不必要な摩擦を引き起こす。さらに、ホスト材料の一部が、ロータの第1の端部と筐体との間で渦を巻く渦流に捕らえられる可能性がある。さらには、装置10において、ホスト材料は、筒状のチャネル32の環状の導入口の任意の態様へと進入するために、少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
【0009】
ただ1つの排出口40が、筐体34に形成されている。組み合わされたホスト材料および注入材料が、排出口40を経由してチャネル32を出る。排出口40は、やはり筒状のチャネル32の環状の出口のうちの限られた部分(<約5%)のみに沿って位置しており、この筒状のチャネル32の環状の出口のうちの限られた部分から離れて排出口40へと入る組み合わされた材料の軸方向の流れをもたらし、あるいはそのような流れを可能にするために、ロータ12の回転軸に実質的に平行である。流体を排出口40を通して汲み出すために、外部のポンプ42が使用される。
【0010】
あいにく、チャネル32を出る前に、流出する材料のかなりの部分が、軸方向の流れの方向以外の屈曲した方向(例えば、軸方向の流れに実質的に直交する方向など)に移動しなければならず、そして、ロータ12の第2の端部と筐体34との間に形成されるギャップへと移動し、このギャップの間を移動しなければならない(すなわち、ロータ12の端部と筐体34との間で、シャフト14に隣接するロータの第2の端部の一部分を移動する)。上述のように、この軸方向でない直角な流れ、ならびにロータ12の端部(この場合には、第2の端部)と筐体34との間の別のギャップにおけるホスト材料の存在が、望ましくない不必要なさらなる摩擦を引き起こす。さらに、ホスト材料の一部が、ロータの第2の端部と筐体との間で渦を巻く渦流に捕らえられる可能性がある。さらには、装置10において、流出する組み合わせ後の材料のかなりの部分が、筒状のチャネル32の環状の出口から排出口40に出て行くために、少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
【0011】
当業者にとって明らかであるとおり、導入ポート37は、ホスト材料に軸方向の流れのみを付与する。ロータ21のみが、ホスト材料に周方向の流れを付与する。さらに、排出口40は、流出する材料に軸方向の流れのみを付与または提供する。さらに、周方向の流れの速度ベクトルは、筒状のチャネル32の環状の導入口37に進入後においてのみ、材料に付与され、その後、材料が排出口40へと進入するときに、周方向の流れのベクトルを低下させ、あるいは除去するはずである。したがって、材料がチャネル32を軸方向に通過するときに、材料に対して漸進的な周方向の加速度が必要であり、材料がチャネル32から出るとき、周方向の減速度が必要である。これらの態様が、導入ポート37から排出口40へと材料がとる屈曲した経路と相俟って、経路に実体摩擦および流体抵抗を引き起こし、これに付随して、導入ポート37と排出口40との間の圧力差が大きくなり(例えば、60ガロン/分の流量において、26psi)、これらの要因が複合して、とりわけシステムの全体としての効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,386,751号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の材料と第2の材料とを混合して出力混合物を生成するための混合装置。この装置は、第1の材料を収容する第1のチャンバを、ロータとステータとの間に画定される混合チャンバに接続して備えている。ロータが、ステータ内に配置され、ステータ内において回転軸の周りを回転する。第1のチャンバは、第1の材料を第1のチャンバから混合チャンバに送るように構成された内部ポンプを収容している。このポンプを、第1の材料が混合チャンバに進入する前に、第1の材料に周方向の速度を付与するように構成することができる。ロータおよびステータのうちの少なくとも1つが、複数の貫通孔を有しており、これら複数の貫通孔を通過して、第2の材料が混合チャンバへと供給される。選択的に、第2のチャンバが、混合チャンバに接続される。第2のチャンバが、出力材料を混合チャンバから第2のチャンバへと運ぶように構成された内部ポンプを収容することができる。
【0014】
特定の態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含んでおり、該流体または溶液中の酸素が、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素の量で存在している組成物を提供する。特定の実施形態において、前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液は、動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種を含んでいる。特定の態様において、前記動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種は、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。特定の実施形態においては、前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液が、酸素分子によって安定化された溶媒和電子を含んでいる。特定の態様において、前記溶媒和電子は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。特定の実施形態においては、前記流体または溶液が、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進が、圧力ポットまたは微細気泡で生成されて同等の溶存酸素レベルを有している対照の水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、前記動電学的な酸素富化された水性流体または溶液には、過酸化水素が全く存在していないか、あるいは0.1ppm未満の過酸化水素しか存在していない。特定の態様において、ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進は、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続し、あるいは閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する。
【0015】
さらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含んでいる組成物であって、前記流体または溶液が、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を含んでおり、前記流体または溶液が、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進が、圧力ポットまたは微細気泡で生成されて同等の溶存酸素レベルを有している対照の水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、前記動電学的な酸素富化された水性流体または溶液に、過酸化水素が全く存在していないか、あるいは0.1ppm未満の過酸化水素しか存在していない組成物を提供する。特定の実施形態においては、ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進が、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続し、あるいは閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する。特定の態様において、前記酸素化済みの水性流体または溶液は、酸素分子によって安定化された溶媒和電子を含んでいる。特定の実施形態においては、前記溶媒和電子が、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。
【0016】
さらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、間に混合容積を画定する互いに運動する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを、前記混合容積において該混合容積を通過して流れる前記流体材料の1回の通過の滞留時間が0.06秒超、または0.1秒超であるように供給するステップ、および前記混合容積内を流れている流体材料に、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に溶解させるために適した条件のもとで、酸素(O)を導入し、該流体または溶液を動電学的に変化させるステップ、を含んでいる方法を提供する。特定の態様においては、前記酸素が、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、あるいは400ミリ秒未満で前記材料に注入される。特定の実施形態においては、前記容積に対する表面積の比が、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0017】
またさらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、間に混合容積を画定する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを供給するステップ、および前記混合容積内を流れている材料に、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、あるいは400ミリ秒未満で、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に注入するために適した条件のもとで、酸素を導入するステップ、を含んでいる方法を提供する。特定の態様においては、前記混合容積内を流れる前記材料の滞留時間が、0.06秒超、または0.1秒超である。特定の実施形態においては、前記容積に対する表面積の比が、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0018】
さらなる実施形態は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含んでおり、該装置は、第1の材料の供給源から第1の材料を受け取るように構成されている第1のチャンバ;ステータ;回転軸を有しており、前記ステータの内側に配置され、前記ステータの内側で前記回転軸の周りを回転するように構成されているロータ;前記ロータと前記ステータとの間に画定され、前記第1のチャンバと連通しており、前記第1のチャンバから前記第1の材料を受け取るように構成されている混合チャンバ;前記混合チャンバと連通し、該混合チャンバから出力材料を受け取るように構成されている第2のチャンバ;および前記第1のチャンバの内部に収容され、前記第1の材料を前記第1のチャンバから前記混合チャンバへと送るように構成されている第1の内部ポンプ;を備えており、前記ロータおよびステータの少なくとも一方が、複数の貫通孔を有しており、第2の材料が、前記ロータおよびステータの前記一方に形成された前記複数の貫通孔を介して前記混合チャンバへと供給される方法を提供する。特定の態様においては、前記第1の内部ポンプが、前記第1の材料が前記混合チャンバへと進入する前に、該第1の材料に周方向の速度を付与するように構成される。
【0019】
さらなる実施形態は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含んでおり、該装置が、ステータ;回転軸を有しており、前記ステータの内側に配置されており、前記ステータの内側で前記回転軸の周りを回転するように構成されているロータ;前記ロータと前記ステータとの間に画定され、第1の材料が通過して進入する開いた第1の端部と、出力材料が通過して出る開いた第2の端部とを有している混合チャンバ;前記混合チャンバの前記開いた第1の端部の少なくとも大部分と連通している第1のチャンバ;および前記混合チャンバの前記開いた第2の端部と連通している第2のチャンバ;を備えており、第2の材料が、前記ロータおよび前記ステータの少なくとも一方を通過して前記混合チャンバに進入する方法を提供する。
【0020】
さらなる態様は、上述の方法のいずれかに従って製造された動電学的に変化させた酸素化済みの水性流体または溶液を提供する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成する混合装置であって、
該第1の材料の供給源から該第1の材料を受け取るように構成される第1のチャンバと、
ステータと、
回転軸を有するロータであって、該ロータは、該ステータ内に配置され、かつ、該ステータ内において該回転軸の周りを回転するように構成され、該ロータおよび該ステータのうちの少なくとも1つは、複数の貫通孔を有する、ロータと、
該ロータと該ステータとの間に画定される混合チャンバであって、該混合チャンバは、該第1のチャンバと連通し、かつ、該第1のチャンバから該第1の材料を受け取るように構成され、該第2の材料は、該ロータおよび該ステータのうちの少なくとも1つに形成される複数の貫通孔を経由して該混合チャンバに提供される、混合チャンバと、
該第1のチャンバ内に収容される第1の内部ポンプであって、該第1の材料を該第1のチャンバから該混合チャンバに送るように構成される、第1の内部ポンプと
を備える、混合装置。
(項目2)
前記第1の内部ポンプは、前記第1の材料が前記混合チャンバに進入する前に、該第1の材料に周方向の速度を付与するように構成される、項目1に記載の混合装置。
(項目3)
前記ロータが、前記混合チャンバ内において第1の材料および第2の材料に混合の周方向の速度を付与し、前記第1の内部ポンプによって該第1の材料に付与される該周方向の速度は、該ロータによって付与される該混合の周方向の速度に近い、項目2に記載の混合装置。
(項目4)
前記ロータに接続され、前記回転軸に沿って前記第1のチャンバを貫いて延びる駆動シャフトをさらに備えており、該駆動シャフトは、該回転軸の周りに該ロータを回転させるように構成され、かつ、前記第1の内部ポンプを駆動するように構成される、項目1に記載の混合装置。
(項目5)
前記ロータは、前記駆動シャフトが延びる中空部を画定する側壁を有しており、該側壁は、該中空部と前記混合チャンバとの間に連通をもたらす複数の開口を有し、該駆動シャフトは、該駆動シャフトの該中空部への第1の開口と、第2の開口とを有する内部チャネルを備え、該混合装置は、第2の材料の供給源をさらに備え、該供給源は、前記チャネルの前記第2の開口に接続され、かつ、該第2の材料を該チャネル、該ロータの該中空部、および該ロータの側壁の該複数の開口を通って、該混合チャンバに供給するように構成される、項目4に記載の混合装置。
(項目6)
前記ステータは、複数の貫通孔を備えており、前記混合装置は、
入力ポートを備える筐体であって、該ステータを内部に収容する、筐体と、
該筐体と該ステータとの間に画定されるチャネルであって、該入力ポートは該チャネルと連通し、該ステータの該複数の貫通孔は、前記混合チャンバと該チャネルの間に連通を提供する、チャネルと、
該入力ポートに接続される第3の材料の供給源であって、該第3の材料を、該入力ポート、該チャネル、および該ステータの該複数の貫通孔を通って混合チャンバに供給するように構成される、第3の材料の供給源と
をさらに備える、項目1に記載の混合装置。
(項目7)
前記混合チャンバと連通し、かつ、該混合チャンバから前記出力材料を受け取るように構成される第2のチャンバと、
該第2のチャンバ内に収容される第2の内部ポンプであって、該出力材料を該混合チャンバから該第2のチャンバに運ぶように構成される、第2の内部ポンプと
をさらに備える、項目1に記載の混合装置。
(項目8)
前記混合チャンバと連通し、かつ、該混合チャンバから前記出力材料を受け取るように構成される第2のチャンバと、
前記ロータに接続され、かつ、前記回転軸に沿って前記第1のチャンバ、該ロータ、および該第2のチャンバを通過して延びる駆動シャフトと、
該第2のチャンバ内に収容される第2の内部ポンプであって、該第2の内部ポンプは、該出力材料を該混合チャンバから該第2のチャンバに運ぶように構成され、該駆動シャフトは、該回転軸の周りに該ロータを回転させるように構成され、かつ、該第2の内部ポンプを駆動するように構成される、第2の内部ポンプと
をさらに備える、項目1に記載の混合装置。
(項目9)
前記混合チャンバと連通し、かつ、該混合チャンバから前記出力材料を受け取るように構成される第2のチャンバと、
該第2のチャンバ内に収容される第2の内部ポンプであって、該第2の内部ポンプは、該出力材料を該混合チャンバから該第2のチャンバに運ぶように構成され、かつ、該出力材料が該混合チャンバに進入した後に、該出力材料に周方向の速度を付与するように構成される、第2の内部ポンプと
をさらに備える、項目1に記載の混合装置。
(項目10)
前記ロータおよび前記ステータの両者は、前記回転軸に沿って整列した長手方向軸を有する実質的に円筒形の形状を有しており、前記混合チャンバは、約0.02インチから約0.08インチまでの厚さを有するリング状の断面形状を有する、項目1に記載の混合装置。
(項目11)
前記ロータは、前記回転軸の周りを接線方向成分を有する回転方向に回転し、前記第1のチャンバは、前記第1の材料の供給源から該第1の材料を受け取るように構成される入力ポートを備えており、該入力ポートは、該第1の材料を、該回転方向の該接線方向成分に実質的に等しい方向に移動する該第1のチャンバに、導入するように構成される、項目1に記載の混合装置。
(項目12)
前記第1のチャンバは、前記第1の材料を偏向させ、前記回転方向に流れるように導くように構成される内部形状を有する、項目11に記載の混合装置。
(項目13)
前記混合チャンバと連通し、かつ、該混合チャンバから前記出力材料を受け取るように構成される第2のチャンバをさらに備えており、該第2のチャンバは、該出力材料が通過して前記混合装置から出る出力ポートを備えており、該入力ポートは、該出力材料が、前記回転方向の前記接線方向成分に実質的に等しい方向に移動する該第2のチャンバを出ることができるように構成される、項目11に記載の混合装置。
(項目14)
前記第2のチャンバは、前記出力材料を偏向させ、かつ、前記回転方向に流れるように導くように構成される内部形状を有する、項目13に記載の混合装置。
(項目15)
第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置であって、
ステータと、
回転軸を有するロータであって、該ステータ内に配置され、かつ、該ステータ内において該回転軸の周りを回転するように構成される、ロータと、
該ロータと該ステータとの間に画定される混合チャンバであって、該混合チャンバは、第1の材料が通過して進入する開いた第1の端部と、出力材料が通過して出る開いた第2の端部とを有し、該第2の材料は、該ロータおよび該ステータのうちの少なくとも1つを通過して該混合チャンバに進入する、混合チャンバと、
該混合チャンバの該開いた第1の端部の少なくとも大部分と連通する第1のチャンバと、
該混合チャンバの該開いた第2の端部と連通する第2のチャンバと
を備える、混合装置。
(項目16)
項目15に記載の混合装置によって生成される出力混合物。
(項目17)
前記第2のチャンバが、前記混合チャンバの前記開いた第2の端部の少なくとも大部分と連通する、項目15に記載の混合装置。
(項目18)
前記第1のチャンバ内に収容される第1の内部ポンプであって、該第1の内部ポンプは、前記第1の材料を該第1のチャンバから前記混合チャンバの前記開いた第1の端部に送るように構成され、かつ、該第1の材料が該混合チャンバの該開いた第1の端部に進入する前に、該第1の材料に周方向の速度を付与するように構成される、第1の内部ポンプをさらに備える、項目15に記載の混合装置。
(項目19)
前記第2のチャンバ内に収容される第2の内部ポンプであって、該第2の内部ポンプは、前記出力材料を前記混合チャンバの前記開いた第2の端部から該第2のチャンバに運ぶように構成され、かつ、前記第2の材料が該混合チャンバを出た後において、該第2の材料に周方向の速度を付与するように構成される、第2の内部ポンプをさらに備える、項目18に記載の混合装置。
(項目20)
前記第1のチャンバは、外部ポンプに接続される入力ポートを備えており、該外部ポンプは、前記第1の流体を該第1のチャンバに送るように構成され、該入力ポートは、前記第1の材料を、実質的に前記回転軸の接線方向に移動する該第1のチャンバに導くように配置され、該第1のチャンバは、実質的に該回転軸の接線方向に移動する該第1の材料を、該回転軸の周りの周方向の流れへと偏向させるように構成される内部形状を有する、項目15に記載の混合装置。
(項目21)
バイオリアクタを、項目1および15のいずれか1項に記載の混合装置、または項目1および15のいずれか1項に記載の混合装置を使用してもたらされるガス富化流体との組み合わせにおいて備える、バイオリアクタシステム。
(項目22)
2つの輪郭表面の間に形成される円弧状の混合チャンバ内において、第1の材料と第2の材料とを混合して出力混合物を生成する方法であって、該円弧状の混合チャンバは第1の端部を第2の端部の反対側に有しており、該方法は、
該第1の材料を、該円弧状の混合チャンバの実質的に接線方向である第1の成分と、該第2の端部に向かう方向の第2の成分とを有する流れの方向に、該円弧状の混合チャンバの該第1の端部へと導入することと、
該第2の材料を、該円弧状の混合チャンバの該第1の端部と該円弧状の混合チャンバの該第2の端部との間の、該2つの輪郭表面のうちの少なくとも1つを通って該円弧状の混合チャンバへと導入することと
を含む、方法。
(項目23)
前記混合チャンバの前記第1の端部は、第1のチャンバに接続されており、前記方法は、
前記第1の材料を、前記円弧状の混合チャンバの前記第1の端部へと導く前に、該第1の材料を該第1のチャンバに導入し、該第1のチャンバにおいて該第1の材料に周方向の流れを付与すること
をさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記混合チャンバの前記第1の端部は、第1のチャンバに接続されており、該混合チャンバは、回転する円筒形ロータの外側輪郭表面と静止する円筒形ステータの内側輪郭表面との間に形成され、該ロータは、該ステータ内において回転軸の周りを回転し、該方法は、
前記第1の材料を前記円弧状の混合チャンバの前記第1の端部に導入する前に、該第1の材料を該第1のチャンバに導入し、かつ、該第1のチャンバ内において該第1の材料に実質的に回転軸の周りの周方向の流れを付与することと、
該第2の材料を、複数の貫通孔を有する回転ロータの中空部に導入することであって、該複数の貫通孔のそれぞれは該中空部から該ロータの該外側輪郭表面に延びる、ことと、
該第2の材料を、該回転ロータの該中空部から該複数の貫通孔を通過して該混合チャンバに流すことと、
該第1の材料を、該第1のチャンバから該混合チャンバに流すことと、
該ロータを該ステータに対して回転させることであって、それにより該第1の材料と該第2の材料とを該混合チャンバ内において混合する、ことと
をさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目25)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含む組成物であって、該流体または溶液中の酸素は、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素の量で存在する、組成物。
(項目26)
前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液は、動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種を含んでいる、項目25に記載の組成物。
(項目27)
前記動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種は、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液は、分子酸素によって安定化された溶媒和電子を含む、項目25に記載の組成物。
(項目29)
前記溶媒和電子は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する、項目28に記載の組成物。
(項目30)
前記流体または溶液は、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進は、対照の圧力ポットまたは微細気泡によって生成されて同等の溶存酸素レベルを有する水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、該動電学的な酸素富化水性流体または溶液には、過酸化水素が全く存在しないか、または0.1ppm未満の過酸化水素しか存在しない、項目25〜29のいずれか1項に記載の組成物。
(項目31)
ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進が、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続するか、または閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する、項目30に記載の組成物。
(項目32)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含む組成物であって、該流体または溶液は、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を含んでおり、該流体または溶液は、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進は、対照の圧力ポットまたは微細気泡によって生成されて同等の溶存酸素レベルを有する水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、該動電学的な酸素富化水性流体または溶液には、過酸化水素が全く存在しないか、または0.1ppm未満の過酸化水素しか存在しない、組成物。
(項目33)
ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進は、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続するか、または閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する、項目32に記載の組成物。
(項目34)
前記酸素化済みの水性流体または溶液は、分子酸素によって安定化された溶媒和電子を含む、項目32または33のいずれか1項に記載の組成物。
(項目35)
前記溶媒和電子は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する、項目34に記載の組成物。
(項目36)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、
相対的な運動をし、かつ間に混合容積を画定する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを提供することであって、該混合容積の中を、または該混合容積を通過して流れる該流体材料の1回の通過の滞留時間は、0.06秒超、または0.1秒超である、ことと、
該混合容積内を流れる該流体材料に酸素(O)を導入することであって、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に溶解させるために適した条件の下で行われ、該流体または溶液を動電学的に変化させる、ことと
を含む、方法。
(項目37)
前記酸素は、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満で前記材料に注入される、項目36に記載の方法。
(項目38)
項目36および37のいずれか1項に従って製造された動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液。
(項目39)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、
間に混合容積を画定する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを供給することと、
該混合容積内を流れる材料に酸素を導入することであって、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、あるいは400ミリ秒未満で、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に注入することに適した条件の下で行われる、ことと
を含む、方法。
(項目40)
前記混合容積内を流れる前記材料の滞留時間は、0.06秒超、または0.1秒超である、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記容積に対する表面積の比が、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である、項目37、38、39、および40のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
項目39および40のいずれか1項に従って製造された動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液。
(項目43)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含み、該装置は、
第1の材料の供給源から該第1の材料を受け取るように構成される第1のチャンバと、
ステータと、
回転軸を有するロータであって、該ロータは、該ステータ内に配置され、かつ、該ステータ内において該回転軸の周りを回転するように構成され、該ロータおよび該ステータのうちの少なくとも1つは、複数の貫通孔を有する、ロータと、
該ロータと該ステータとの間に画定される混合チャンバであって、該混合チャンバは、該第1のチャンバと連通し、かつ、該第1のチャンバから該第1の材料を受け取るように構成され、該第2の材料は、該ロータおよび該ステータのうちの1つに形成される該複数の貫通孔を経由して、該混合チャンバに提供される、混合チャンバと、
該混合チャンバと連通し、かつ、該混合チャンバから該出力材料を受け取るように構成される第2のチャンバと、
該第1のチャンバ内に収容され、該第1の材料を該第1のチャンバから該混合チャンバに送るように構成される第1の内部ポンプと
を備える、方法。
(項目44)
動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、
第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含み、該装置は、
ステータと、
回転軸を有するロータであって、該ロータは、該ステータ内に配置され、かつ該ステータ内において該回転軸の周りを回転するように構成される、ロータと、
該ロータと該ステータとの間に画定される混合チャンバであって、該混合チャンバは、該第1の材料が通過して進入する開いた第1の端部と、出力材料が通過して出る開いた第2の端部とを有し、該第2の材料は、該ロータおよび該ステータのうちの少なくとも1つを通過して該混合チャンバに進入する、混合チャンバと、
該混合チャンバの該開いた第1の端部の少なくとも大部分と連通する第1のチャンバと、
該混合チャンバの該開いた第2の端部と連通する第2のチャンバと
を備える、方法。
(項目45)
前記第1の内部ポンプは、前記第1の材料が前記混合チャンバに進入する前に、該第1の材料に周方向の速度を付与するように構成される、項目44に記載の方法。
(項目46)
項目43〜45のいずれか1項に従って製造された動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来技術の混合装置の部分断面部分ブロック図である。
【図2】図2は、混合装置の典型的な実施形態のブロック図である。
【図3】図3は、第1の材料を図2の混合装置へと届けるための典型的なシステムの図である。
【図4】図4は、図2の混合装置の上部の一部分の部分断面図である。
【図5】図5は、図2の混合装置の第1の側部の一部分の断面図である。
【図6】図6は、図2の混合装置の第2の側部の一部分の断面図である。
【図7】図7は、図5の第1の側部と図6の第2の側部との間に位置する図2の混合装置の側部の一部分の断面図である。
【図8】図8は、図2の混合装置のロータおよびステータの斜視図である。
【図9】図9は、図2の混合装置の第1のチャンバの内側の斜視図である。
【図10】図10は、ポンプ410の別の実施形態を備えている図2の混合装置の第1のチャンバの内側の一部分の断面図である。
【図11】図11は、図2の混合装置の第2のチャンバの内側の斜視図である。
【図12】図12は、混合装置の別の実施形態の側部の一部分の断面図である。
【図13】図13は、混合装置の別の実施形態において使用するための筐体の中央部の別の実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、混合装置の別の実施形態において使用するための軸受筐体の別の実施形態の一部分の断面図である。
【図15】図15は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、ロータの貫通孔がステータの開口に接近(しかしながら、整列はしていない)するときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図16】図16は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、ロータの貫通孔がステータの開口に整列するときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図17】図17は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、それまでステータの開口に整列していたロータの貫通孔がもはやステータの開口に整列しないときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図18】図18は、ロータの別の実施形態の側面図である。
【図19】図19は、ロータの回転軸に直角な平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の別の形態を示している。
【図20】図20は、ロータの回転軸を通過しかつロータの回転軸に沿って広がる平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の形態を示している。
【図21】図21は、ロータの回転軸を通過しかつロータの回転軸に沿って広がる平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の別のずらされた形態を示している。
【図22】図22は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図23】図23は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図24】図24は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図25】図25は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図26】図26は、表面の付近に形成される電気二重層(「EDL」)の図である。
【図27】図27は、混合チャンバの内部のモデルの斜視図である。
【図28】図28は、図27のモデルの断面図である。
【図29】図29は、実験設備の図である。
【図30】図30は、図2の混合装置において酸素で処理され、それぞれ華氏65°でキャップされた500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水の溶存酸素レベルを示している。
【図31】図31は、図2の混合装置において酸素で処理され、どちらも華氏39°で冷蔵された500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水の溶存酸素レベルを示している。
【図32】図32は、図2の混合装置において酸素で処理され、華氏55°の平均温度を有する32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存されたGATORADE(登録商標)の溶存酸素レベルを示している。
【図33】図33は、図2の混合装置において酸素で処理された500mlのブラウン平衡塩溶液の溶存酸素の保持を示している。
【図34】図34は、図2の混合装置を使用したさらなる実験を示しており、図2の混合装置において窒素で水を処理することによって水から酸素がスパージされる。
【図35】図35標準温度および圧力での図2の混合装置による水からの酸素のスパージを示している。
【図36】図36は、ナノケージの図である。
【図37】図37は、図2の混合装置によって酸素で処理された水サンプルが生じさせるレイリー散乱効果を示している。
【図38】図38〜41は、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによる西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について試験で陽性を示す一方で、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルが、はるかに低い反応性である旨を示している。
【図39】図38〜41は、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによる西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について試験で陽性を示す一方で、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルが、はるかに低い反応性である旨を示している。
【図40】図38〜41は、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによる西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について試験で陽性を示す一方で、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルが、はるかに低い反応性である旨を示している。
【図41】図38〜41は、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによる西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について試験で陽性を示す一方で、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルが、はるかに低い反応性である旨を示している。
【図42】図42は、本明細書に記載のピロガロール/HRPアッセイを示しており、別のガス(アルゴンおよび窒素)を豊富にした本発明の流体が同じようには反応しなかったことから、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でのピロガロールとの反応に、酸素が必要であることが示されている。
【図43】図43は、過酸化水素の陽性対照が強い反応性を示す一方で、試験した他の流体のいずれもグルタチオンと反応しなかった旨を示している。
【図44】図44は、T7 DNAが、対照(脱イオン水)中で摂氏約50度で確認できる変化を示すのに対し、本発明の酸素富化流体中のDNAは、摂氏約60度まで無傷のままである旨を示している。
【図45A】図45Aおよび45Bは、バイオリアクタシステム3300aの典型的な実施形態の図式的表示を示している。
【図45B】図45Aおよび45Bは、バイオリアクタシステム3300aの典型的な実施形態の図式的表示を示している。
【図46】図46は、図45Aおよび45Bのバイオリアクタシステム3300aの典型的な実施形態の詳細な一部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(概要)
図2は、混合装置100の構成要素のうちのいくつか、ならびにこの装置への/この装置内の/この装置からの流れを示すブロック図を提示している。混合装置100は、2つ以上の入力材料を組み合わせて出力材料102を形成し、出力材料102を、混合装置100から貯蔵容器104へと受け取ることができる。混合装置100は、2つ以上の入力材料を新規な方法で攪拌して、新規な特性を有する出力材料102を生成する。出力材料102として、入力材料のうちの1つの残りの入力材料のうちの少なくとも1つへの懸濁液(例えば、乳濁液)だけでなく、入力材料の新規な組み合わせ(例えば、静電的な組み合わせ)、入力材料間の化学反応からもたらされる化合物、新規な静電特性を有する組み合わせ、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0023】
入力材料は、第1の材料の供給源112によって提供される第1の材料110、第2の材料の供給源122によって提供される第2の材料120、および選択的に第3の材料の供給源132によって提供される第3の材料130を含むことができる。第1の材料110として、水、生理食塩水、化学懸濁液、極性液体、無極性液体、コロイド懸濁液、細胞生育培地、などといった液体を挙げることができる。いくつかの実施形態においては、第1の材料110が、混合装置100へと戻される出力材料102を含んでもよい。第2の材料120は、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、硫黄ガス、亜酸化窒素、一酸化窒素、アルゴン、ヘリウム、臭素、およびこれらの組み合わせ、などのガスで構成でき、あるいはこれらのガスを含むことができる。好ましい実施形態においては、ガスが酸素であり、あるいは酸素を含んでいる。選択的な第3の材料130は、液体またはガスを含むことができる。いくつかの実施形態においては、第3の材料130が、混合装置100へと戻される(例えば、ポンプ210、220、または230のうちの1つ以上へと戻され、さらに/またはチャンバ310および/または330へと戻される)出力材料102であっても、あるいはそのような出力材料102を含んでもよい。
【0024】
選択的に、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130を、それぞれ外部のポンプ210、外部のポンプ220、および外部のポンプ230によって混合装置100へと送り込むことができる。あるいは、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130のうちの1つ以上を、それぞれ圧力下で供給源112、供給源122、および供給源132に貯蔵し、圧力によって混合装置100へと押し出してもよい。本発明は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130をそれぞれの供給源112、供給源122、および供給源132から混合装置100に移動させるために使用される方法によって限定されるわけではない。
【0025】
混合装置100は、混合チャンバ330の側方に位置する第1のチャンバ310および第2のチャンバ320を備えている。3つのチャンバ310、320、および330は、互いに接続されて連続的な容積を形成している。
【0026】
第1の材料110が、第1のチャンバ310へと運ばれ、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと流入する。第1のチャンバ310内の第1の材料110を、内部のポンプ410によって第1のチャンバ310へと送ることができる。第2の材料120が、混合チャンバ330へと運ばれる。選択的に、第3の材料130を、混合チャンバ330へと運ぶことができる。混合チャンバ330内の材料が、混合チャンバ330内で混合され、出力材料102が形成される。次いで、出力材料102は、第2のチャンバ320へと流れ、第2のチャンバ320から混合装置100を出る。混合チャンバ330内の出力材料102を、内部のポンプ420によって第2のチャンバ320へと送ることができる。選択的に、第2のチャンバ320内の出力材料102を、外部のポンプ430(例えば、単独あるいは内部のポンプ410および/または420との組み合わせ)によって第2のチャンバ320から貯蔵容器104へと送ることができる。
【0027】
特定の態様においては、共通の駆動シャフト500が、内部のポンプ410および内部のポンプ420の両方を駆動する。駆動シャフト500は、混合チャンバ330を通過し、混合チャンバ330に第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130を混合するために使用される回転力を提供する。駆動シャフト500は、駆動シャフト500に接続されたモータ510によって駆動される。
【0028】
図3は、第1の材料110を混合装置100へと供給し、出力材料102を混合装置100から取り出すためのシステム512を提示している。システム512においては、出力材料102の貯蔵容器104および第1の材料110の供給源112が、結合されている。外部のポンプ210が、ホースおよびパイプなどといった流体管514によって、一体の貯蔵容器104/供給源112に接続されている。外部のポンプ210が、一体の貯蔵容器104/供給源112から一体の第1の材料110/出力材料102を、流体管514を通って、外部のポンプ210を混合装置100に接続している流体管516へと送る。出力材料102は、流体管518を通って混合装置100を出る。流体管518は、一体の貯蔵容器104/供給源112に接続されており、混合装置100を出る出力材料102を一体の貯蔵容器104/供給源112へと運ぶ。流体管518は、混合装置100内の動作圧力または背圧を確立するバルブ519を含んでいる。
【0029】
図2、4〜10、および11を参照し、混合装置100の実施形態の種々の構成要素のさらに詳しい説明を提示する。混合装置100は、規模の拡大縮小が可能である。したがって、種々の構成要素に関して提示される寸法は、装置の一実施形態を構築するために使用することが可能であり、あるいは選択されるサイズの混合装置を構築するために拡大縮小が可能である。
【0030】
図4に目を向けると、混合装置100は、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320のそれぞれを収容する筐体520を備えている。上述のように、混合装置100は、装置の動作時に回転する駆動シャフト500を備えている。したがって、混合装置100は、振動その他の運動を呈する可能性がある。選択的に、混合装置100を、混合装置100を実質的に静止した位置に保つために、床などの表面へと取り付けることができるベース106に接続することができる。
【0031】
筐体520を、2つ以上の筐体部分から組み立てることができる。例として、筐体520は、第1の機械式密閉筐体524および第2の機械式密閉筐体526が側方に位置する中央部522を含むことができる。軸受筐体530を、第1の機械式密閉筐体524に中央部522の反対側で接続することができる。軸受筐体532を、第2の機械式密閉筐体526に中央部522の反対側で接続することができる。選択的に、筐体部分550を、軸受筐体530に接続することができる。
【0032】
軸受筐体530および532のそれぞれは、軸受アセンブリ540を収容することができる(図5および6を参照)。軸受アセンブリ540は、ペンシルベニア州KulpsvilleのSKF USA Inc,(ウェブサイトは、www.skf.com)が製造している型番「202SZZST」など、この技術分野において知られている任意の適切な軸受アセンブリを備えることができる。
【0033】
隣接する筐体部分の間に、シールを設けることができる。例えば、Oリング560(図5を参照)を、筐体部分550と軸受筐体530との間に配置することができ、Oリング562(図5を参照)を、第1の機械式密閉筐体524と中央部522との間に配置することができ、Oリング564(図6を参照)を、第2の機械式密閉筐体526と中央部522との間に配置することができる。
【0034】
(混合チャンバ330)
次に図7を参照すると、混合チャンバ330が、第1の機械式密閉筐体524と第2の機械式密閉筐体526との間の筐体520の中央部522の内側に配置されている。混合チャンバ330は、混合装置100の2つの構成要素、すなわちロータ600とステータ700との間に形成されている。ロータ600は、概して中空の内側部分610を画定する内表面605と、外表面606とを備えている側壁604を有することができる。側壁604は、約0.20インチ〜約0.75インチの厚さであってよい。いくつかの実施形態においては、側壁604が、約0.25インチの厚さである。しかしながら、混合装置100は、特定の用途に適するように拡大縮小が可能であるため、上記提示の値よりも厚い側壁604または薄い側壁604を有する装置の実施形態も、本発明の教示の範囲に包含される。側壁604は、第1の端部612および第2の端部614、ならびに第1の端部612と第2の端部614との間に形成された複数の貫通孔608を含んでいる。選択的に、側壁604の外表面606が、開口、突起、肌理、などといった別の特徴を備えてもよい。第1の端部612は、カラー618を収容するように構成された軽減部616を有しており、第2の端部614は、カラー622を収容するように構成された軽減部620を有している。
【0035】
ロータ600は、ステータ700の内側に配置されている。ステータ700は、ロータ600が配置される概して中空の内側部分710を画定する内表面705を備えている側壁704を有している。側壁704は、約0.1インチ〜約0.3インチの厚さであってよい。いくつかの実施形態においては、側壁604が、約1.5インチの厚さである。ステータ700は、実質的に静止した位置において、筐体520に回転せぬように接続されることができる。あるいは、ステータ700を、筐体520と一体に形成してもよい。側壁704が、第1の端部712および第2の端部714を有している。選択的に、複数の開口708が、第1の端部712と第2の端部714との間においてステータ700の側壁704に形成される。選択的に、側壁704の内表面705が、貫通孔、突起、肌理、などといった他の特徴を備えてもよい。
【0036】
ロータ600が、回転軸「α」を中心にして、図9の矢印「C3」によって示されている方向に、静止のステータ700に対して回転する。ロータ600およびステータ700のそれぞれは、概して円筒形の形状であってよく、長手軸を有することができる。ロータ600は、外径「D1」を有しており、ステータ700は、内径「D2」を有することができる。直径「D1」は、例えば約0.5インチ〜約24インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、直径「D1」は、約3.04インチである。いくつかの実施形態においては、直径「D1」は、約1.7インチである。直径「D2」は、直径「D1」よりも大きいが、約0.56インチ〜約24.25インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、直径「D2」は、約4インチである。したがって、混合チャンバ330は、約0.02インチから約0.125インチの厚さ(すなわち、直径「D2」と直径「D1」との間の差)のリング状の断面形状を有することができる。特定の実施形態においては、混合チャンバ330は、約0.025インチの厚さである。従来技術の装置10(図1を参照)のロータ12とステータ34との間のチャネル32は、約0.09インチの厚さのリング状の断面形状を有している。したがって、特定の実施形態において、混合チャンバ330の厚さは、従来技術の装置10のチャネル32の約3分の1よりも小さい。
【0037】
ロータ600の長手軸を、ロータ600の回転軸「α」に整列させることができる。ロータ600の長手軸を、ステータ700の長手軸に整列させることができる。ロータ600は、回転軸「α」に沿って約3インチ〜約6インチの長さを有することができる。いくつかの実施形態においては、ロータ600が、回転軸「α」に沿って約5インチの長さを有することができる。ステータ700は、回転軸「α」に沿って約3インチ〜約6インチの長さを有することができる。いくつかの実施形態においては、ステータ700が、回転軸「α」に沿って約5インチの長さを有することができる。
【0038】
ロータ600およびステータ700が、概して円筒形の形状の有するものとして描かれているが、別の形状も使用可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、ロータ600およびステータ700が、円錐形、球形、任意の形状、などであってよい。さらに、ロータ600およびステータ700が、同一の形状である必要はない。例えば、ロータ600が円筒形であって、ステータ700が角胴形であっても、あるいはこの反対であってもよい。
【0039】
図4〜7に示されているステータ700の開口708および貫通孔608は、概して円柱形の形状である。貫通孔608の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であってよい。開口708の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であってよい。ステータ700の開口708の1つ以上が、他の開口708の直径とは異なる直径を有してもよい。例えば、開口708の直径が、ステータ700の第1の端部712からステータ700の第2の端部714へと大きくなっていてもよく、開口708の直径が、ステータ700の第1の端部712からステータ700の第2の端部714へと小さくなっていてもよく、あるいは開口708の直径が、ステータ700において別の態様で様々であってよい。ロータ600の貫通孔608の1つ以上が、残りの貫通孔608の直径と異なる直径を有してもよい。例えば、貫通孔608の直径が、ロータ600の第1の端部612からロータ600の第2の端部614へと大きくなっていてもよく、貫通孔608の直径が、ロータ600の第1の端部612からロータ600の第2の端部614へと小さくなっていてもよく、あるいは貫通孔608の直径が、ロータ600において別の態様で様々であってよい。
【0040】
別の実施形態を参照して後述されるとおり、開口708および貫通孔608は、概して円柱形以外の形状を有してもよく、そのような実施形態も、本発明の技術的範囲に包含される。例えば、貫通孔608が、狭い部位、円弧状の部位、先細りの部位、などを含んでもよい。図7を参照すると、貫通孔608のそれぞれが、外側部分608A、より狭い部分608B、および外側部分608Aとより狭い部分608Bとの間の移行をもたらしている先細りの部分608Cを含んでいる。同様に、開口708も、狭い部位、円弧状の部位、先細りの部位、などを含むことができる。
【0041】
図8が、ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608の適切な配置について、これに限定されるわけではない一例を提示している。ステータ700の開口708を、回転軸「α」に実質的に直角である、実質的に平行な横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」に配置することができる。また、ステータ700の開口708を、回転軸「α」に実質的に平行である、実質的に平行な縦列「SLONG−1」〜「SLONG−7」に配置することができる。換言すると、ステータ700の開口708を、直交する列からなる格子状のパターン(すなわち、横列が縦列に対して実質的に直角)であって、縦列「SLONG−1」〜「SLONG−7」を回転軸「α」に実質的に平行に有している格子状のパターンに配置することができる。
【0042】
ステータ700の開口708と同様に、ロータ600の貫通孔608を、回転軸「α」に実質的に直角である、実質的に平行な横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」に配置することができる。しかしながら、ロータ600の貫通孔608を、直交する列からなる格子状のパターンに配置する代わりに、螺旋状の経路に沿って長手方向に延びる実質的に平行な列「RLONG−1」〜「RLONG−7」に配置することができる。あるいは、ロータ600の貫通孔608を、回転軸「α」に関して平行以外の或る角度で長手方向に延びる実質的に平行な列「RLONG−1」〜「RLONG−7」に配置してもよい。
【0043】
ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608を、ロータ600がステータ700の内側に配置されたときに、横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」がそれぞれ横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」に少なくとも部分的に整列するように、構成することができる。この態様で、ロータ600がステータ700の内側で回転するときに、貫通孔608が開口708のそばを通過する。
【0044】
それぞれの横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」における貫通孔608の横方向の間隔は、その横列のすべての貫通孔608が同時に、ステータ700の横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」のうちの対応する1つの開口708に、少なくとも部分的に整列するような間隔である。縦方向に延びる列「RLONG−1」〜「RLONG−6」を、縦方向に延びるそれぞれの列の最初の横列「RLAT−1」の貫通孔608が、最後の横列「RLAT−6」の貫通孔608がステータ700の対応する最後の横列「SLAT−6」の開口708に部分的に整列し始めるよりも前に、対応する横列「SLAT−1」の開口708を完全に通過するように構成することができる。
【0045】
図8では、6つの横列および6つの縦方向に延びる列がロータ600に関して図示され、6つの横列および7つの縦方向に延びる列がステータ700に関して図示されているが、本発明の教示から離れることなく、ロータ600および/またはステータ700に関して、別の数の横列および/または縦列を使用できることは、当業者にとって明らかである。
【0046】
対応する横列の間で、一度に一致するのが1組の開口だけであることを保証するために、ステータ700のそれぞれの横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」の開口708の数を、所定の数(例えば、1つ、2つ、など)だけ、ロータ600の対応するそれぞれの横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」の貫通孔608の数と相違させることができる。したがって、例えば、横列「RLAT−1」が、ロータ600の外周の周りに等間隔で配置された20個の貫通孔608を有する場合に、横列「SLAT−1」が、ステータ700の外周の周りに等間隔で配置された20個の開口708を有することができる。
【0047】
図7に戻ると、混合チャンバ330が、開いた第1の端部332および開いた第2の端部334を有している。ロータ600の側壁604に形成された貫通孔608が、ロータ600の内側部分610を混合チャンバ330に接続している。
【0048】
ロータ600は、ロータ600の回転軸「α」に整列した駆動シャフト500によって、ステータ700の内側で回転させられる。駆動シャフト500を、ロータ600の第1の端部612および第2の端部614に接続でき、ロータ600の中空の内側部分610を貫いて延ばすことができる。換言すると、駆動シャフト500の一部分720が、ロータ600の中空の内側部分610に配置される。
【0049】
カラー618が、中空の内側部分610に配置される駆動シャフト500の一部分721を受け入れるように構成され、カラー622が、中空の内側部分610に配置される駆動シャフト500の一部分722を受け入れるように構成される。
【0050】
部分721は、約0.5インチ〜約2.5インチの範囲であってよい外径「D3」を有している。いくつかの実施形態においては、外径「D3」が、約0.625インチである。部分722は、直径「D3」と実質的に同様であってよい外径「D4」を有しているが、これは必須ではない。直径「D4」は、約0.375インチ〜約2.5インチの範囲であってよい。
【0051】
ロータ600を、カラー618およびカラー622のそれぞれによって、駆動シャフト500の部分721および部分722に回転しないように取り付けることができる。例として、カラー618および622のそれぞれを、それぞれ軽減部616および620の内側に設置することができる。次いで、一体となったロータ600/カラー618および622を、加熱して膨脹させることができる。次に、駆動シャフト500が、カラー618および622を貫いて挿入され、このアセンブリが冷却される。冷却時の収縮によって、カラー618および622が、それぞれ駆動シャフト500の部位722Aおよび722Bの周囲に締まり、駆動シャフト500がロータ600に対して回転することがないように充分にきつく駆動シャフト500を把持する。カラー618が、部分721および軽減部616のどちらに対しても回転せずに、駆動シャフト500の回転をロータ600の第1の端部612に伝える。カラー622が、部分722および軽減部620のどちらに対しても回転せずに、駆動シャフト500の回転をロータ600の第2の端部614に伝える。駆動シャフト500とロータ600とが、単一のユニットとして共に回転する。
【0052】
駆動シャフト500は、第1の端部724(図5を参照)および第2の端部726(図6を参照)を有することができる。第1の端部724は、約0.5インチ〜約1.75インチの直径「D5」を有することができる。特定の実施形態においては、直径「D5」は、約1.25インチであってよい。第2の端部726は、実質的に直径「D5」と同様の直径「D6」を有することができる。
【0053】
第2の材料120を、回転する駆動シャフト500の第1の端部724および第2の端部726の一方を通って混合チャンバ330へと運ぶことができる。駆動シャフト500の第1の端部724および第2の端部726の他方を、モータ510に接続することができる。図5および6に示した実施形態においては、第2の材料120が、駆動シャフト500の第1の端部724を通って混合チャンバ330へと運ばれ、駆動シャフト500の第2の端部726は、モータ510に接続されている。
【0054】
図5に目を向けると、駆動シャフト500に、第1の端部724からロータ600の内側部分610に位置する部分720へと延びるチャネル728を形成することができる。チャネル728は、第1の端部724に形成された開口730を有している。混合装置100が動作しているとき、第2の材料120が、開口730を通ってチャネル728へと導入される。
【0055】
バルブ732を、駆動シャフト500の第1の端部724に位置するチャネル728の部位の内側に配置することができる。バルブ732は、チャネル728を通っての中空の内側部分610の内部からの第2の材料120の逆方向の流れ、および/またはチャネル728へと入る第2の材料120の順方向の流れを、制限または制御することができる。バルブ732は、逆止弁など、この技術分野において知られている任意のバルブを含むことができる。適切な逆止弁として、ワシントン州Bothellに事務所を有するLee
Company USA(ウェブサイトは、www.theleeco.com)が製造している部品番号「CKFA1876205A」のフリー・フロー・フォワード逆止弁が挙げられる。
【0056】
駆動シャフト500は、チャネル728をロータ600の内側部分610に接続する開口740を、ロータ600の内側部分610に位置させて備えることができる。図5にはただ1つの開口740が示されているが、チャネル728をロータ600の内側部分610に接続するために、複数の開口を使用してもよいことは、当業者にとって明らかである。
【0057】
図2を参照すると、選択的に、外部のポンプ220が、第2の材料120を混合装置100に送ることができる。ポンプ220として、この技術分野において知られている任意の適切なポンプを挙げることができる。これらに限定されるわけではないが、ポンプ220として、ダイアフラムポンプ、化学ポンプ、蠕動ポンプ、重力送りポンプ、ピストンポンプ、歯車ポンプ、および上述の任意のポンプの組み合わせ、など、この技術分野において知られている任意の適切なポンプを挙げることができる。第2の材料120がガスである場合には、このガスを加圧し、供給源122からガスを放出することによって、駆動シャフト500の第1の端部724に形成された開口730へと押し込むことができる。
【0058】
ポンプ220および供給源122は、バルブ732によってチャネル728に接続される。チャネル728内へと運ばれた第2の材料120は、開口740を通ってロータ600の内側部分610へとチャネル728を出る。次いで、第2の材料120は、ロータ600の側壁608に形成された貫通孔608を通って、ロータ600の内側部分610を出る。
【0059】
図5を参照すると、混合装置100は、駆動シャフト500の第1の端部724に接続されたシールアセンブリ750を備えることができる。シールアセンブリ750は、筐体520に画定されたチャンバ752内に保持されている。チャンバ752は、第1の端部754を、第2の端部756からチャンバの向こう側に離れた状態で有している。さらにチャンバ752は、チャンバ752へのアクセスを提供する導入ポート758および排出口759を備えている。チャンバ752は、筐体部分550および軸受筐体530によって画定されることができる。第1の端部754を、筐体部分550に形成でき、第2の端部756を、軸受筐体530に隣接させることができる。導入ポート758を、軸受筐体530に形成でき、排出口759を、筐体部分550に形成することができる。
【0060】
シールアセンブリ750は、第1の固定シール760を、筐体部分550および軸受筐体530内のチャンバ752の第1の端部754に設置して備えている。第1の固定シール760は、駆動シャフト500の第1の端部724の部位762の周囲に広がっている。さらに、シールアセンブリ750は、第2の固定シール766を、軸受筐体530内のチャンバ752の第2の端部756に設置して備えている。第2の固定シール766は、駆動シャフト500の第1の端部724の部位768の周囲に広がっている。
【0061】
シールアセンブリ750は、部位762と部位768との間の駆動シャフト500の第1の端部724に、回転しないように接続された回転アセンブリ770を含んでいる。回転アセンブリ770は、駆動シャフトと共に1つのユニットとして回転する。回転アセンブリ770は、第1のシール772を第2のシール774の反対側に備えている。付勢部材776(例えば、ばね)が、第1のシール772と第2のシール774との間に位置している。付勢部材776が、第1のシール772を第1の固定シール760に向かって付勢し、第2のシール774を第2の固定シール766に向かって付勢する。
【0062】
冷却潤滑剤が、チャンバ752および回転アセンブリ770の周囲に供給される。潤滑剤は、導入ポート758を通ってチャンバ752に進入し、排出口759を通ってチャンバ752から出る。潤滑剤は、軸受筐体530に収容された軸受アセンブリ540を潤滑することができる。チャンバ570を、軸受筐体530と機械式密閉筐体524との間に配置することができる。さらに、軸受筐体530は、潤滑剤を送ることができるチャンバ570に接続された第2の導入ポート759を備えることができる。チャンバ570に送り込まれる潤滑剤は、軸受アセンブリ540を潤滑することができる。シールアセンブリ750は、ロータ600の回転によって引き起こされる、装置のこの部分における摩擦力を、著しくではないかも知れないが、有意に減少させることができ、シール770の寿命を伸ばすことができる。シールは、炭化ケイ素を使用して構成された表面を含むことができる。
【0063】
図9を参照すると、ロータ600が回転軸「α」を中心にして矢印「C1」によって示されている方向に回転するとき、ロータ600は、第2の材料120を混合チャンバ330へと排出する。排出される第2の材料120の泡、液滴、粒子、などが、ロータ600から出るが、この排出される第2の材料120の泡、液滴、粒子、などに、ロータ600によって周方向の速度(矢印「C3」によって示されている方向)が付与される。第2の材料120を、ポンプ220(図2を参照)、回転するロータ600の遠心力、第1の材料110に対する第2の材料120の浮力、およびこれらの組み合わせによって、混合チャンバ330から押し出すことができる。
【0064】
(モータ510)
図6に戻ると、駆動シャフト500の第2の端部726を、継手900によってモータ510の回転スピンドル780に接続することができる。スピンドル780は、約0.25インチ〜約2.5インチの直径「D7」を有するほぼ円形の断面形状を有することができる。特定の実施形態においては、直径「D7」が、約0.25インチ〜約1.5インチであってよい。図6に示した実施形態においては、駆動シャフト500の第1の端部724の直径「D5」は、直径「D7」およびスピンドル780に実質的に等しいが、直径「D5」および直径「D7」の一方が他方よりも大きい実施形態も、本発明の範囲に包含される。
【0065】
図4も参照すると、継手900を覆い、あるいは遮蔽することが望ましいかも知れない。図4および6に示した実施形態においては、駆動部ガード910が、継手900を覆っている。駆動部ガード910は、湾曲部914の側方に1対の実質的に直線状の部位915および916を位置させてなる概してU字形であってよい。駆動部ガード910の実質的に直線状の部位915および916のそれぞれの遠位端が、フランジ918および919をそれぞれ有することができる。駆動部ガード910を、フランジ918および919のそれぞれによって、ベース106に固定することができる。
【0066】
モータ510を、支持部材920によってベース106上に支持することができる。支持部材920を、スピンドル780の付近においてモータ510に接続することができる。図示の実施形態において、支持部材920は、スピンドル780が通過する貫通孔を備えている。支持部材920を、支持部材920を1本以上のボルト940によってモータ510に固定するなど、この技術分野において知られている任意の方法を使用して、モータ510に接続することができる。
【0067】
継手900は、ステータ700の内側でロータ600を回転させるために充分な量のトルクをスピンドル780から駆動シャフト500へと伝達することに適した任意の継手を含むことができる。図4および6に示した実施形態においては、継手900は、ベローズ継手である。ベローズ継手は、スピンドル780と駆動シャフト500との整列がずれている場合に、有益でありうる。さらに、ベローズ継手は、駆動シャフト500に加わる軸方向の力を吸収して、スピンドル780に伝わることがないようにする上で、役立つことができる。適切なベローズ継手として、マサチューセッツ州MarlboroughのRuland Manufacturing Company,Inc.(ウェブサイトは、www.ruland.com)が製造する「BC32−8−8−A」型が挙げられる。
【0068】
モータ510は、毎分約0.1回転(「rpm」)から約7200rpmまででロータ600を回転させることができる。モータ510として、本発明の教示に従ってステータ700の内側においてロータ600を回転させるために適した任意のモータを挙げることができる。これに限定されるわけではないが、適切なモータとして、230/460ボルトおよび毎分3450(「rpm」)で動作する半馬力の電動モータを挙げることができる。適切なモータとして、ウィスコンシン州GraftonのLEESON Electric Corporation(ウェブサイトは、www.leeson.com)が製造する「C4T34NC4C」型が挙げられる。
【0069】
(第1のチャンバ310)
図4および7に目を向けると、第1のチャンバ320が、第1の機械式密閉筐体524とロータ600、およびステータ700のそれぞれの第1の端部612および712との間で、筐体520の中央部522の内側に配置されている。第1のチャンバ310は、環状であってよく、実質的に円形の断面形状を有することができる。第1のチャンバ310および混合チャンバ330が、連続的な容積を形成している。駆動シャフト500の一部分1020が、第1のチャンバ310を貫いて延びている。
【0070】
図4から最もよく見て取ることができるように、第1のチャンバ310は、第1の材料110が混合装置100に通過して入る導入ポート1010を有している。第1の材料110を、外部のポンプ210(図2を参照)によって第1のチャンバ310の中へと送ることができる。外部のポンプ210は、第1のチャンバ310への供給のために充分な速度で第1の材料110を送るために、この技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。
【0071】
導入ポート1010は、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けられている。したがって、第1の材料110は、第1のチャンバ310を貫いて延びている駆動シャフト500の部分1020の接線方向の速度を有しつつ、第1のチャンバ310に進入する。この第1のチャンバ310へと進入する第1の材料110の流れの接線方向が、矢印「T1」によって示されている。図4および7に示した実施形態においては、導入ポート1010を、回転軸「α」からずらすことができる。当業者にとって明らかであるとおり、駆動シャフト500の回転の方向(図9において矢印「C1」によって示されている)は、接線方向の成分を有している。導入ポート1010は、第1の材料110が、駆動シャフト500の回転の方向の接線方向の成分と実質的に同じ方向に移動しつつ、第1のチャンバ310へと進入するように、配置されている。
【0072】
第1の材料110は、第1のチャンバ310に入り、駆動シャフト500の部分1020の周囲で、第1のチャンバ310の内面によって向きを変える。第1のチャンバ310が実質的に円形の断面形状を有している実施形態においては、第1のチャンバ310の内面が、駆動シャフト500の部分1020を中心とする実質的に円形の経路(図9において、矢印「C2」によって示されている)へと第1の材料110を偏向させることができる。そのような実施形態においては、第1の材料110の接線方向の速度が、第1の材料110を、この接線方向の速度によって少なくとも部分的に決定される周方向の速度にて回転軸「α」を中心にして移動させる。
【0073】
ひとたび第1のチャンバ310に入ると、第1の材料110を、第1のチャンバ310の内部に位置するポンプ410によって、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと送ることができる。外部のポンプ210(図2を参照)を備える実施形態においては、この外部のポンプ210を、ポンプ410が第1の材料110を第1のチャンバ310から送り出す速度に比べ、少なくとも同じ速さで第1の材料110を第1のチャンバ310へと送り込むように構成することができる。
【0074】
第1のチャンバ310は、混合チャンバ330の開いた第1の端部332と連通しており、第1のチャンバ310内の第1の材料110が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332へと自由に流入できる。この態様で、第1の材料110が、混合チャンバ330と第1のチャンバ310との間で、いかなる角またはカーブも通過することがない。図示の実施形態においては、第1のチャンバ310が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332の全体と連通している。第1のチャンバ310を、第1の材料110によって完全に満たすことができる。
【0075】
ポンプ410は、第1のチャンバ310を貫いて延びている駆動シャフト500の部分1020によって駆動される。ポンプ410は、静止の筐体(すなわち、筐体520)によって画定されるチャンバ(すなわち、第1のチャンバ310)の内側に回転するポンプ部材2022を収容して有しているこの技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。適切なポンプの例として、これらに限られるわけではないが、プログレッシブ・キャビティ・ポンプなどの容積形ポンプ、シングル・スクリュ・ポンプ(例えば、アルキメデスのスクリュ・ポンプ)、などが挙げられる。
【0076】
図7および9に示されているポンプ410は、一般にシングル・スクリュ・ポンプと称される。この実施形態において、ポンプ部材2022は、駆動シャフト500の部分1020の周囲に配置されたカラー部2030を含んでいる。カラー部2030は、駆動シャフト500の部分1020と一緒に1つのユニットとして回転する。カラー部2030は、1つ以上の流体移動部材2040を含んでいる。図7および9に示した実施形態においては、カラー部2030が、螺旋の経路に沿ってカラー部2030に外接する螺旋形を有するただ1つの流体移動部材2040を含んでいる。
【0077】
図9を参照すると、第1のチャンバ310の内側が図示されている。ポンプ410が、第1のチャンバ310内の第1の材料110に、混合チャンバ330の開いた第1の端部332へと向かう軸方向の流れ(矢印「A1」および矢印「A2」によって示されている)を付与する。ポンプ410によって付与される第1の材料110の軸方向の流れは、従来技術の装置10(図1を参照)の外部のポンプによって得ることができる圧力を超えることができる圧力を有している。
【0078】
さらに、ポンプ410を、混合チャンバ330の開いた第1の端部332に向かって移動する第1の材料110に周方向の流れ(矢印「C2」によって示されている)を付与するように構成することができる。混合チャンバ330への進入前の第1の材料110に付与される周方向の流れは、第1の材料110を、すでに初期の周方向の速度で所望の方向に移動している状態で、混合チャンバ330に進入させる。図1に示した従来技術の装置10では、第1の材料110は、周方向の速度を持たずに従来技術の装置10のチャネル32に進入する。したがって、従来技術の装置10のロータ12は、自身単独で第1の材料110へと周方向の流れを付与しなければならない。第1の材料110が軸方向に移動しているため、従来技術の装置10においては、第1の材料110が、第1の材料110が混合装置100の混合チャンバ330を横切る場合よりも遅い周方向の速度で、ロータ12およびステータ30の間に形成されるチャネル32の少なくとも一部分を横切る。換言すると、第1の材料110の軸方向の速度が従来技術の装置10および混合装置100の両者において同じである場合、第1の材料110が混合チャンバ330の軸方向の長さを横切り終えるまでに完了させることができる回転軸「α」を中心にする回転が、チャネル32の軸方向の長さを横切り終えるまでに完了させることができる回転よりも多い。この追加の回転により、第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料)が、ステータ700の有効内表面706(図7を参照)の大幅に広い部分へと曝される。
【0079】
外部のポンプ210(図2を参照)を含んでいる実施形態においては、外部のポンプ210が本発明の教示による導入ポート1010の向きとの組み合わせにおいて付与する周方向の速度が、それだけで、回転軸「α」を中心とする第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料120)の回転を増加させるために充分であるかも知れない。さらに、いくつかの実施形態においては、ポンプ210によって付与される周方向の速度およびポンプ410によって付与される周方向の速度が組み合わさって、回転軸「α」を中心とする第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料120)の充分な回転数を達成する。当業者であれば理解できるとおり、第1のチャンバ310の断面形状など、他の構造的要素も、ポンプ210、ポンプ410、およびこれらの組み合わせによって付与される周方向の速度に貢献できる。
【0080】
図10に示した別の実施形態においては、ポンプ410が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332に向かって移動する第1の材料110に周方向の流れを付与するように構成された1枚以上の羽根2042を備えることができる。
【0081】
(第2のチャンバ320)
次に、図4および7に目を向けると、第2のチャンバ320が、第2の機械式密閉筐体526とロータ600およびステータ700のそれぞれの第2の端部614および714との間で、筐体520の中央部522の内側に配置されている。第2のチャンバ320は、実質的に第1のチャンバ310と同様であってよい。しかしながら、第2のチャンバ320は、導入ポート1010の代わりに、排出口3010を備えることができる。駆動シャフト500の一部分3020が、第2のチャンバ320を貫いて延びている。
【0082】
第2のチャンバ320および混合チャンバ330が、連続的な容積を形成している。さらに、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320が、連続的な容積を形成している。第1の材料110が、混合装置100を通って、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと流れ、最終的に第2のチャンバ320へと流れる。混合チャンバ330にあるとき、第1の材料110が第2の材料120に混ぜ合わせられ、出力材料102が形成される。出力材料102は、排出口3010を通って混合装置100から出る。選択的に、出力材料102を導入ポート1010へと戻し、追加の量の第2の材料120、第3の材料130、およびこれらの組み合わせと混合してもよい。
【0083】
排出口3010は、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けられ、第1のチャンバ310に形成される導入ポート1010と反対に位置することができる。出力材料102は、ロータ600によって付与された周方向の速度(図9において矢印「C3」によって示されている方向)を有して混合チャンバ330から第2のチャンバ320へと進入する。周方向の速度は、第2のチャンバ320を貫いて延びている駆動シャフト500の部分3020の接線方向である。図4、6、および7に示した実施形態においては、排出口3010を、回転軸「α」からずらすことができる。排出口3010は、駆動シャフト500の回転と実質的に同じ方向(図9において矢印「C1」によって示されている)に移動しつつ第2のチャンバ320に進入する出力材料102が、排出口3010に向かって移動しているように配置される。
【0084】
出力材料102は、第2のチャンバ320に進入し、駆動シャフト500の部分3020の周囲で、第2のチャンバ320の内面によって向きを変える。第2のチャンバ320が実質的に円形の断面形状を有している実施形態においては、第2のチャンバ320の内面が、駆動シャフト500の部分3020を中心とする実質的に円形の経路へと出力材料102を偏向させることができる。
【0085】
図2を参照すると、選択的に、出力材料102を、外部のポンプ430によって第2のチャンバ320の内部から送り出すことができる。外部のポンプ430は、混合装置100の処理能力を制限することがない充分な速度で出力材料102を送るために、この技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。そのような実施形態においては、外部のポンプ430が、出力材料102を第2のチャンバ320から出すときに、出力材料102の少なくとも一部へと接線方向(図4および11において矢印「T2」によって示されている方向)の速度を導入することができる。出力材料102の一部の接線方向の速度が、出力材料102を、この接線方向の速度によって少なくとも部分的に決定される周方向の速度において、回転軸「α」の周りを移動させる。
【0086】
(ポンプ420)
図6および7に目を向けると、第2のチャンバ320の内部に位置するポンプ420が、出力材料102を、第2のチャンバ320から排出口3010へと送ることができ、さらには/あるいは混合チャンバ330から第2のチャンバ320へと送ることができる。外部のポンプ430を備える実施形態においては、この外部のポンプ430を、ポンプ420が出力材料102を排出口3010へと送る速度に比べ、少なくとも同じ速さで出力材料102を第2のチャンバ320から送るように構成することができる。
【0087】
第2のチャンバ320は、混合チャンバ330の開いた第2の端部334と連通しており、混合チャンバ330内の出力材料102が、開いた第2の端部334から第2のチャンバ320へと自由に流入できる。この態様で、出力材料102が、混合チャンバ330と第2のチャンバ320との間で、いかなる角またはカーブも通過することがない。図示の実施形態においては、第2のチャンバ320が、混合チャンバ330の開いた第2の端部334の全体と連通している。第2のチャンバ320を、出力材料102によって完全に満たすことができる。
【0088】
ポンプ420は、第2のチャンバ320を貫いて延びている駆動シャフト500の部分3020によって駆動される。ポンプ420は、ポンプ410と実質的に同一であってよい。ポンプ410としての使用に適するとして上述した任意のポンプを、ポンプ420に使用することができる。ポンプ410が、第1の材料110を混合チャンバ330へと送る一方で、ポンプ420は、出力材料102を混合チャンバ330から送り出す。したがって、ポンプ410およびポンプ420の両者を、同じ方向に作動するように向けることができる。
【0089】
当業者であれば理解できるとおり、第1の材料110は、出力材料102とは異なるであろう。例えば、第1の材料110および出力材料102の一方が、他方よりも粘性に富むかも知れない。したがって、ポンプ410は、ポンプ420と相違してもよい。ポンプ410を、第1の材料110の特性に適合するように構成でき、ポンプ420を、出力材料102の特性に適合するように構成できる。
【0090】
図6および7に示されているポンプ420は、一般にシングル・スクリュ・ポンプと称される。この実施形態において、ポンプ部材4022は、駆動シャフト500の部分3020の周囲に配置されたカラー部4030を含んでいる。カラー部4030は、駆動シャフト500の部分3020と一緒に1つのユニットとして回転する。カラー部4030は、1つ以上の流体移動部材4040を含んでいる。カラー部4030が、螺旋の経路に沿ってカラー部4030に外接する螺旋形を有するただ1つの流体移動部材4040を含んでいる。
【0091】
図11を参照すると、第2のチャンバ320の内側が図示されている。ポンプ420が、第2のチャンバ320内の出力材料102に、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から離れる軸方向の流れ(矢印「A3」および矢印「A4」によって示されている)を付与する。
【0092】
ポンプ420を、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から離れるように移動する出力材料102に周方向の流れ(矢印「C4」によって示されている)を付与するように構成することができる。出力材料102に付与される周方向の流れは、ロータ600によって必要とされる仕事の量を少なくするうえで役立つことができる。さらに、周方向の流れは、出力材料102を排出口3010に向かって導く。
【0093】
別の実施形態においては、ポンプ420が、図10に示したポンプ410と実質的に同じ構成を有することができる。そのような実施形態においては、1枚以上の羽根2042が、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から遠ざかるように移動する出力材料102に、周方向の流れを付与するように構成される。
【0094】
当業者にとって明らかであるとおり、混合装置100の種々のパラメータを、種々の混合特性を得るために変更することができる。変更可能なパラメータの例として、貫通孔608のサイズ、貫通孔608の形状、貫通孔608の配置、貫通孔608の数、開口708のサイズ、開口708の形状、開口708の配置、開口708の数、ロータ600の形状、ステータ700の形状、混合チャンバ330の幅、混合チャンバ330の長さ、駆動シャフト500の回転速度、内部のポンプ410によって付与される軸方向の速度、内部のポンプ410によって付与される周方向の速度、内部のポンプ420によって付与される軸方向の速度、内部のポンプ420によって付与される周方向の速度、ロータ600の外表面606に形成される乱れ(例えば、肌理、突起、凹所、開口、など)の形態、ステータ700の内表面706に形成される乱れ(例えば、肌理、突起、凹所、開口、など)の形態、などが挙げられる。
【0095】
(別の実施形態)
図12を参照すると、混合装置5000が図示されている。混合装置5000は、混合装置100の別の実施形態である。ここで、混合装置5000の構成要素であって、混合装置100の対応する構成要素に実質的に類似する構成要素を指すために、同一の参照番号が使用されている。混合装置100の構成要素と相違している混合装置5000の構成要素のみを、説明することにする。
【0096】
混合装置5000は、ロータ600およびステータ5700を収容するための筐体5500を備えている。ステータ5700を、その第1の端部5712および第2の端部5714によって、筐体5500へと回転せぬように接続することができる。チャンバ5800が、筐体5500と、第1の端部5712および第2の端部5714が側方に位置しているステータ5700の一部分5820との間に画定されている。筐体5500が、チャンバ5800へのアクセスを提供する導入ポート5830を備えている。導入ポート5830を、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けることができるが、これは必須ではない。
【0097】
ステータ5700は、チャンバ5800と混合チャンバ330(ロータ600とステータ5700との間に画定される)とを接続する複数の貫通孔5708を備えている。外部のポンプ230を、第3の材料130(第2の材料120と同一であってよい)を導入ポート5830を介してチャンバ5800へと送り込むために使用することができる。チャンバ5800へと送り込まれた第3の材料130は、ステータ5700に形成された貫通孔5708を介して混合チャンバ330に進入できる。第3の材料130を、ポンプ230、第1の材料110に対する第3の材料130の浮力、およびこれらの組み合わせによって、チャネル5800から押し出すことができる。ロータ600が回転するとき、第3の材料130も、チャネル5800から混合チャンバ330へと引き込まれる。第3の材料130は、ロータ600によって周方向の速度が付与された泡、液滴、粒子、などとして、混合チャンバ330に進入することができる。
【0098】
(別の実施形態)
混合装置100の別の実施形態を、図13に示した中央部5900および図14に示した軸受筐体5920を使用して構築することができる。図13は、内側にステータ700(図7を参照)を有している中央部5900を示している。ここで、中央部5900に関する構成要素であって、混合装置100の対応する構成要素に実質的に類似する構成要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。中央部522の構成要素と相違する中央部5900の構成要素のみを、説明することにする。中央部5900およびステータ700は、どちらも金属(例えば、ステンレス鋼)などの導電性材料から作られている。導入ポート1010および排出口3010は、どちらもプラスチック(例えば、PET、テフロン(登録商標)、ナイロン、PVC、ポリカーボネート、ABS、デルリン、ポリサルフォン、など)などの非導電性材料から作られている。
【0099】
電気接点5910が、中央部5900へと組み合わせられ、中央部5900へと電荷を届けるように構成されている。中央部5900は、電気接点5910へと加えられた電荷をステータ700へと導く。さらなる実施形態においては、中央部5900を、非導電性材料から構成することができる。そのような実施形態においては、電気接点5910が、中央部5900を通過してステータ700へとつながることができる。電気接点5910によってステータ700へと加えられる電荷が、混合チャンバ330内の酸化還元または他の化学反応の促進に役立つことができる。
【0100】
選択的に、絶縁(図示されていない)を、中央部5900を周囲から電気的に絶縁すべく中央部5900の周囲に配置することができる。さらに、絶縁を、中央部5900と中央部5900の側方に位置する第1および第2のメカニカルシール524および526との間に使用して、中央部5900を混合装置の他の構成要素から電気的に絶縁することができる。
【0101】
次に、図14に目を向け、軸受筐体5920を説明する。軸受筐体5920は、駆動シャフト500の部分726の周囲に周状に配置されている。電気接点5922が、軸受筐体5920に接続されている。回転ブラシ接点5924が、駆動シャフト500と電気接点5922との間の電気的な接続をもたらしている。
【0102】
この実施形態において、駆動シャフト500およびロータ600は、どちらも金属(例えば、ステンレス鋼)などの導電性材料から作られている。軸受筐体5920を、導電性または非導電性の材料から構成することができる。電気接点5922および回転ブラシ接点5924によって、駆動シャフト500へと電荷が加えられる。電荷は、駆動シャフト500によってロータ600へと導かれる。
【0103】
図13に示した中央部5900および図14に示した軸受筐体5920を使用して構成された混合装置100のこの別の実施形態を、少なくとも2つの態様で動作させることができる。第1に、電気接点5910および5922を、ステータ700およびロータ600のそれぞれに電荷を供給しないように設定することができる。換言すると、電気接点5910および5922のいずれも、電流源、電圧源などに接続されない。
【0104】
あるいは、電気接点5910および5922を、ステータ700およびロータ600のそれぞれに電荷を供給するように設定することができる。例えば、電気接点5910および5922を、電気接点5910と5922との間に安定または一定の電圧を供給するDC電圧源(図示されていない)に接続することができる。DC電圧源の負の端子を、電気接点5910および5922のどちらかに接続でき、DC電圧源の正の端子を、電気接点5910および5922の他方に接続できる。電気接点5910と5922との間に供給される電圧は、約0.0001ボルト〜約1000ボルトの範囲であってよい。特定の実施形態においては、この電圧が、約1.8ボルト〜約2.7ボルトの範囲であってよい。別の例として、約1%〜約99%のデューティサイクルを有するパルス状のDC電圧を、使用してもよい。
【0105】
混合装置の運転方法の上述の例は、電気接点5910と5922との間にDC電圧を印加しているが、当業者にとって明らかであるとおり、様々な形状および大きさを有する対称なAC電圧または非対称なAC電圧を、電気接点5910と5922との間に印加することができ、そのような実施形態も、本発明の範囲に包含される。
【0106】
(混合チャンバ330内での混合)
上述のように、従来技術の装置10(図1に示されている)においては、第1の材料110が、ロータ12とステータ30との間のチャネル32へと、チャネル32の開いた第2の端部の一部分にのみ沿って位置しているただ1つの限られた入力ポート37を介して進入している。同様に、出力材料102は、チャネル32の開いた第1の端部の一部分にのみ沿って位置しているただ1つの限られた出力ポート40を介して、チャネル32から出ている。この構成が、望ましくない不必要な摩擦を生じさせている。これらただ1つの限られた入力ポート37およびただ1つの限られた出力ポート40を、チャンバ310および320でそれぞれ置き換えることによって、摩擦を低減した。さらに、第1の材料110が、混合チャンバ330に入る前に角を通過することがなく、混合チャンバ330を出る前に角を通過することがない。さらに、チャンバ310および320が、チャネル32に入る前およびチャネル32を出た後の材料の周方向の速度をもたらす。
【0107】
したがって、混合装置100における圧力低下が、大幅に低減されている。図2、4〜9、および11に示した実施形態においては、入力ポート1010と出力ポート3010との間の圧力低下は、混合装置100を毎分約60ガロンの出力材料102を生み出すように構成した場合に、わずかに約12psiである。これは、毎分約60ガロンの出力材料を生み出す場合に、少なくとも26psiであった図1に示した従来技術の装置10に対する改善である。換言すると、混合装置100における圧力低下は、従来技術の装置10が直面する圧力低下の半分よりも少ない。
【0108】
さらなる態様によれば、駆動シャフト500によって駆動されるポンプ410および420を備えることで、従来技術において用いられている外部のポンプに比べて、材料の混合において大幅に効率的であって、必要とするエネルギーが少ない構成がもたらされる。
【0109】
(マイクロキャビテーション)
混合装置100の動作時に、入力材料は、第1の材料110(例えば、流体)および第2の材料120(例えば、ガス)を含むことができる。第1の材料110および第2の材料120が、ロータ600とステータ700との間に形成される混合チャンバ330内で混合される。ステータ700の内側でロータ600が回転することで、混合チャンバ330内で第1の材料110および第2の材料120が攪拌される。ロータ600に形成された貫通孔608および/またはステータ700に形成された開口708が、混合チャンバ330内の第1の材料110および第2の材料120の流れに乱流を付与する。
【0110】
理論に拘束されるわけではないが、第2の材料120の第1の材料110への拡散の効率および持続は、一部にはマイクロキャビテーションによって生じると考えられ、これを図15〜17に関して説明する。材料が滑らかな表面上を流れるときは、常に、移動する流体と静止している表面との間の表面張力ゆえに、かなりの層流が、静止またはきわめてゆっくりと移動する薄い境界層を伴って確立される。貫通孔608および選択的に開口708が、この層流を乱し、第1の材料110の局所的な圧縮および減圧を生じさせ得る。減圧サイクルにおける圧力が充分に低い場合、ボイド(キャビテーション気泡)が材料に形成される。キャビテーション気泡は、局所的な低圧の領域が図15に示されるようにホスト材料および注入材料を引き寄せるため、竜巻のような環流パターン5990を生み出す。キャビテーション気泡が崩壊するときに、きわめて高い圧力が生じる。2つの整列した開口(例えば、開口708のうちの1つと、貫通孔608のうちの1つ)が互いを通り過ぎるとき、振動(衝撃波)が生じ、大きなエネルギーを生成する。キャビテーションおよび振動に関連するエネルギーが、第1の材料110および第2の材料120を、おそらくは分子レベルできわめて高い程度にまで混合させる。
【0111】
ロータ600の接線方向の速度、および1回転につき互いを通過する開口の数が、混合装置100の周波数を決定付けることができる。混合装置100を超音波の周波数範囲において動作させると、多くの用途において有益であり得ることが、明らかになっている。混合装置100を超音波領域の周波数で動作させることで、流体分子の結合角をシフトさせるべく最大の振動衝撃波がもたらされ、結合角のシフトによって、流体分子が、通常であれば保持することができないさらなる量の第2の材料120を運ぶことができるようになると考えられる。混合装置100が拡散装置として使用される場合、混合装置100の動作周波数が、拡散の度合いを左右し、第2の材料120(注入材料)の第1の材料110(ホスト材料)中でのはるかに長い持続をもたらすようにみえる。
【0112】
次に、図18を参照すると、ロータ600の別の実施形態であるロータ6000が提示されている。混合チャンバ330内で第1の材料110に生じるキャビテーションを、混合チャンバ330の長さに沿って異なる周波数で生じるように構成することができる。キャビテーションの周波数を、ロータ600の長さに沿った貫通孔6608の数および/または配置を変えることによって、変化させることができる。貫通孔6608のそれぞれは、貫通孔608(上述)と実質的に同様であってよい。
【0113】
これに限定されるわけではない例として、ロータ6000を、3つの別個の典型的なセクション6100、6200、および6300に分割することができる。貫通孔6608の密度が、セクション6100からセクション6200へと増加しており、セクション6100の穴の数は、セクション6200の穴の数よりも多い。さらに、貫通孔6608の密度は、セクション6200からセクション6300へと増加しており、セクション6200の穴の数は、セクション6300の穴の数よりも多い。セクション6100、6200、および6300のそれぞれが、形成されている貫通孔6608の数の相違のために、それらの特定の領域において異なる周波数で振動を生じさせる。
【0114】
ロータ6000を、所望の数の貫通孔6608を特定の領域に適切に配置して製造することで、混合チャンバ330における振動について、所望の周波数を定めることができる。同様に、キャビテーションの所望の周波数を、所望の数の開口708を内側でロータ600が回転するステータ700上の特定の領域に適切に配置することによって、定めることができる。さらに、混合チャンバ330における振動の所望の(1つ以上の)周波数を、ステータ700に形成される開口708の特定の数および配置ならびにロータ600に形成される貫通孔608の特定の数および配置の両者を、選択することによって達成することができる。
【0115】
図19〜21は、ステータ700に形成される開口708およびロータ600に形成される貫通孔608について、生成されるキャビテーションに関して様々な結果を達成するように構成された種々の構成配置の選択肢を示している。図19は、ロータ600の回転軸「α」を通って引かれるいかなる線(例えば、線7010)とも平行でない軸7000に沿って、開口708および貫通孔608が整列している構成を示している。換言すると、ロータ600が円筒形である場合、軸7000が、ロータ600の中心を通過しない。その結果、混合チャンバ330内の第1の材料110が、開口708および貫通孔608によって生成される圧縮および減圧に対して直角を向かない。代わりに、圧縮および減圧が、混合チャンバ330内の第1の材料110の周方向の流れ(図9の矢印「C3」の方向)に平行な成分を少なくとも有する力のベクトルを有する。
【0116】
開口708および貫通孔608の互いの整列も、混合チャンバ330におけるキャビテーションの生成に影響を及ぼすことができる。図20が、開口708が混合チャンバ330の全体にわたって貫通孔608に一致している実施形態を示している。この実施形態において、ロータ600が回転すると、ロータの貫通孔608がステータ700の開口708に真っ直ぐに整列する。互いに真っ直ぐに整列しているとき、開口708および貫通孔608によって生成される圧縮および減圧の力は、互いに真っ直ぐに整列する。
【0117】
図21に示した実施形態においては、開口708および貫通孔608が、回転軸「α」に沿って或るオフセット量「X」だけずらされている。これに限定されるわけではないが、例として、オフセット量「X」を、開口708のサイズの関数として決定することができる。例えば、オフセット量「X」は、開口708の直径の半分にほぼ等しくてよい。あるいは、オフセット量「X」を、貫通孔608のサイズの関数として決定することができる。例えば、オフセット量「X」は、貫通孔608の直径の半分にほぼ等しくてよい。特徴(例えば、凹所、突起、など)が、貫通孔608および開口708に代え、あるいは貫通孔608および開口708に加えて、ロータ600またはステータ700に備えられる場合には、オフセット量「X」を、そのような特徴のサイズの関数として決定することができる。この態様で、ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608によって引き起こされる圧縮および減圧の力が、わずかにずれて衝突し、混合チャンバ330内に追加の回転およびねじりの力を生じさせる。これらの追加の力が、混合チャンバ330における第2の材料120の第1の材料110への混合(例えば、拡散作用)を増大させる。
【0118】
次に、図22〜25を参照すると、開口708および貫通孔608の適切な断面形状について、これらに限定されるわけではない例が提示されている。開口708および/または貫通孔608の断面形状は、図22に示されるような四角、図23に示されるような円、などであってよい。
【0119】
開口708および/または貫通孔608の様々な断面形状を、ロータ600がステータ700の内側で回転するときの第1の材料110の流れを変えるために、使用することができる。例えば、図24は、狭い部分7020を広い部分7022の反対側に有している涙滴形の断面形状を示している。貫通孔608がこの涙滴形状を有する場合、ロータ600の回転時(概して矢印「F」によって示されている方向)に、混合チャンバ330内の第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130に加わる力が、材料が涙滴の広い部分7022から狭い部分7020へと通過するにつれて増加する。
【0120】
追加の回転力を、開口708および/または貫通孔608を図25に示されるような渦巻き形態を備えて形成することによって、混合チャンバ330へと導入することができる。渦巻き形態を有する開口708および/または貫通孔608へと流入および流出する材料は、渦巻き形態によって引き起こされる回転力に直面する。図22〜25に示した例は、混合装置100において使用することができるいくつかの実施形態について、これらに限られるわけではない例示を提供している。当業者であれば、開口708および/または貫通孔608を、混合チャンバ330内の材料の混合に適した様々な振動および攪拌力を達成するために、多数の態様に構成できるであろう。
【0121】
(二重層効果)
混合装置100を、界面動電効果(後述)をさらに助ける複合混合をもたらす複合の動的乱流を伴う第1の材料110および第2の材料120の複合かつ非線形な流体力学的相互作用によって、出力材料102を生成するように構成することができる。これらの界面動電効果の結果を、出力材料102において、出力材料内で安定化された溶媒和電子の形態など、電荷の再分配および酸化還元反応として観察することができる。
【0122】
表面基のイオン化または解離ならびに/あるいは液体からのイオンの吸着は、液体に接触しているほとんどの固体表面を帯電させる。図26を参照すると、電気二重層(「EDL」)7100が、液体7120に接触している典型的な表面7110の周囲に形成されている。EDL7100において、或る帯電のイオン7122(この場合には、負に帯電したイオン)が、表面7120へと吸着し、典型的にはStern層と称される表面層7124を形成する。表面層7124が、逆の帯電かつ等しい大きさの対イオン7126(この場合には、正に帯電したイオン)を引き付け、これが表面層7124の下方に対イオン層7128を形成し、典型的には拡散層と称される。対イオン層7128は、表面層7124よりもより拡散して分布し、下方の多量の材料7130における両方のイオンの一様かつ等しい分布の上方に位置する。中性水のOHおよびHイオンについて、Gouy−Chapmanモデルが、拡散対イオン層が水へと約1ミクロンにわたって広がることを示唆している。
【0123】
特定の態様によれば、上述の界面動電効果が、帯電した表面7110に隣接する液体7120の移動によって引き起こされる。液体7120(例えば、水、生理食塩水、など)において、表面層7124を形成している吸着イオン7122は、たとえ液体7120が移動している(例えば、矢印「G」によって示される方向に流れている)ときでも表面7120へと固定されているが、せん断面7132が、表面7120から離れて拡散対イオン層7128に存在している。したがって、液体7120が移動するとき、拡散対イオン7126の一部が、表面7120から運び去られる一方で、吸着したイオン7122は、表面7120にとどまる。これが、いわゆる「荷電電流」を生む。
【0124】
混合チャンバ330において、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130に、ステータ700の内表面705および/またはロータ600の外表面606によって生成される電磁界、内表面705と外表面606との間の電圧、ならびに/あるいは第1の材料110に形成された少なくとも1つのEDLによって引き起こされる界面動電効果(例えば、荷電電流)が加わる。少なくとも1つのEDLは、ステータ700の内表面705およびロータ600の外表面606の少なくとも一方によって第1の材料110へと導入することができる。
【0125】
第1の材料110が混合チャンバ330を通って表面の乱れ(例えば、貫通孔608および開口708)に対して移動することで、混合チャンバ330内の第1の材料110にキャビテーションが生じ、これが第2の材料120を第1の材料110へと拡散させることができる。これらのキャビテーションが、第1の材料110および/または第2の材料120のステータ700の内表面705に形成された電気二重層および/またはロータ600の外表面606に形成された電気二重層との接触を増進できる。混合チャンバについて体積に対する表面の比が大きいこと、および混合チャンバにおける全材料の滞留時間が増すことに、平均の気泡サイズがより小さい(したがって、気泡の表面積が大幅に大きい)ことが組み合わさって、EDLの介在による効果が本発明の出力材料へと効果的に付与される。
【0126】
内表面705および外表面606が、ステンレス鋼などの金属材料から作られる実施形態においては、液体7120の移動および/または荷電電流が、内表面705および外表面606においてHO、OH、H、およびOが関係する酸化還元反応を促進する。
【0127】
図27を参照すると、理論に拘束されるわけではないが、内表面705と外表面606との間の混合チャンバ330の部位7140を、1対の平行なプレート7142および7144としてモデル化できると考えられる。第1の材料110が液体である場合、第1の材料110は、導入口「IN」を通って部位7140に進入し、排出口「OUT」を通って部位7140を出る。導入口「IN」および排出口「OUT」が、部位7140への流れおよび部位7140からの流れを制限する。
【0128】
図28を参照すると、平行なプレート7142と7144との間の領域は、大きな表面積−体積の比を有している。したがって、対イオン層7128(および、対イオン7126)のかなりの部分が、第1の材料110がプレート7142と7144との間を移動するときに、移動することができる。移動する対イオン7126の数が、導入口「IN」によって部位7140への進入が許される数、および排出口「OUT」によって部位7140からの流出が許される数を、超える可能性がある。部位7140への第1の材料110の供給および部位7140からの第1の材料110の除去をそれぞれ行う導入口「IN」および排出口「OUT」は、平行なプレート7142および7144よりもはるかに小さい表面積(および、より小さな表面積−体積の比)を有しており、したがって部位7140へと進入する第1の材料110および部位7140を出る第1の材料110において移動している対イオン7126の割合を少なくする。したがって、部位7140への進入および流出は、荷電電流を局所的に増加させる。いずれかの表面上を流れる第1の材料110によって引き起こされるバックグラウンド荷電電流(矢印「BSC」によって示されている)が、混合装置100内に常に存在する一方で、プレート7142および7144が、部位7140において増加の「余分な」荷電電流(矢印「ESC」によって示されている)を導入する。
【0129】
プレート7142および7144に第1の材料110の流れの方向と反対の導電性の戻り電流(矢印「RC」によって示されている)がないと、吸着しているイオン7122と同じ符号を有する余分な電荷7146が、導入口「IN」の付近に蓄積し、対イオン7126と同じ符号を有する余分な電荷7148が、排出口「OUT」の付近に蓄積すると考えられる。このようにして蓄積される電荷7146および7148は、反対であって互いに引き合い、無制限に蓄積することはできないため、蓄積した電荷は、導電手段によって結合しようとする。プレート7142および7144が完璧に電気絶縁性である場合、蓄積した電荷7146および7148は、第1の材料110そのものを通ってのみ移動することができる。導電性の戻り電流(矢印「RC」によって示されている)が、部位7140における余分な荷電電流(矢印「ESC」によって示されている)に実質的に等しい場合、正味の余分な荷電電流がゼロである定常状態が達成され、導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間の静電電位の差が、両者の間に定常状態の電荷の分離を生じさせる。
【0130】
電荷の分離の量、したがって導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間の静電電位の差は、イオン(すなわち、イオン7122および7126)の無い液体によって得ることができる流量に近似する液体の流量を生み出すべく対向する電界(電荷の分離によって生成される)に逆らって電荷を「押す」ためにポンプ(例えば、ロータ600、内部のポンプ410、および/または外部のポンプ210)によって供給される単位電荷当たりの追加のエネルギーに依存する。プレート7142および7144が絶縁体である場合、静電電位の差は、ポンプ(例えば、ロータ600、内部のポンプ410、および/または外部のポンプ210)が生成できるEMFの直接の指標である。この場合、1対のリードを有する電圧計を使用し、一方のリードを導入口「IN」の付近の第1の材料110に配置し、他方のリードを排出口「OUT」の付近の第1の材料110に配置することによって、静電電位の差を測定することができる。
【0131】
絶縁プレート7142および7144では、戻り電流は、第1の材料110を通過するイオンの伝導のみを含む点で、純粋にイオン電流(または、イオンの流れ)である。より導電性である経路を通過する他の導電機構が、導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間に存在する場合には、戻りの電流は、それらのより導電性である経路を使用することができる。例えば、導電性の金属プレート7142および7144が、より導電性である経路を提供できるが、それらのより導電性である経路は、電子電流のみを伝えて、イオン電流を伝えない。
【0132】
当業者であれば理解できるとおり、イオンが保持している電荷を金属中の1つ以上の電子に移し、あるいはこの反対を行うためには、1つ以上の酸化還元反応が、金属の表面において生じなければならず、反応生成物が生じる。第1の材料110が水(HO)であって、第2の材料120が酸素(O)であると仮定すると、負の電荷を導電プレート7142および7144に注入するであろう酸化還元反応の例として、これに限定されるわけではないが、以下の公知の半電池反応が挙げられる。
【0133】
+HO→O+2H+2e
やはり、第1の材料110が水(HO)であって、第2の材料120が酸素(O)であると仮定すると、負の電荷を導電プレート7142および7144から取り出すであろう酸化還元反応の例として、これに限定されるわけではないが、以下の公知の半電池反応が挙げられる。
【0134】
2H+e→H
導電性の金属プレート7142および7144の場合には、戻りの電流の大部分が、電子電流であると考えられる。なぜならば、(酸化還元反応が充分に高速であって、制約要因にならないならば)導電性のプレート7142および7144が、第1の材料110よりも導電性であるからである。導電性の金属プレート7142および7144においては、導入口「IN」と排出口「OUT」との間に蓄積する電荷の分離がより小さく、両者の間に存在する静電電位がはるかに小さい。しかしながら、このことは、EMFがより小さいことを意味しない。
【0135】
上述のように、EMFは、電荷の分離によって生成される反対向きの電界に逆らって第1の材料110の流れを促進するために、ポンプがもたらす単位電荷当たりのエネルギーに関係する。静電電位がより小さいため、ポンプが第1の材料110を流すべく供給する単位電荷当たりのエネルギーが、より少なくてよい。しかしながら、上述の例の酸化還元反応は、必ずしも自然に生じるわけではなく、したがって、ポンプによってもたらすことができる仕事の入力を必要とするかも知れない。したがって、(より小さい静電電位の差に反映されない)EMFの一部を、酸化還元反応を駆動するために必要なエネルギーをもたらすために使用することができる。
【0136】
換言すると、絶縁性のプレート7142および7144において電荷の分離によって生成される反対向きの電界に逆らって押すために、ポンプによってもたらされる圧力差と同じ圧力差を、導電性のプレート7142および7144を通って電荷を「押す」目的ならびに酸化還元反応を駆動する目的の両者に使用することができる。
【0137】
図29を参照すると、本発明の発明者が行った実験のための実験装置が提示されている。実験装置は、それぞれが脱イオン水7153を含んでいる1対の実質的に同一な500mlの標準的な三角フラスコ7150および7152を、間隔を空けて配置して備えている。ゴム栓7154を、それぞれのフラスコ7150および7152の開いた端部に挿入した。栓7154は、それぞれ中空チューブ7156、正電極7158、および負電極7160用である3つの通路を備えている。それぞれのフラスコ7150および7152に関して、空チューブ7156、正電極7158、および負電極7160のそれぞれは、すべてフラスコの外部から栓7154を貫き、フラスコ内の脱イオン水7153へと延びている。正電極7158および負電極7160は、ステンレス鋼から作られている。両方のフラスコ7150および7152の中空チューブ7156は、開いた端部7162を共通の酸素源7164に接続して有している。フラスコ7152に挿入された正電極7158および負電極7160は、それぞれDC電源7168の正の端子および負の端子に接続されている。それぞれのフラスコにおいて、正確に同じスパージャーを使用した。
【0138】
酸素を、約1SCFH〜約1.3SCFH(組み合わせの流量)の流量(Feed)で中空チューブ7156を通って両方のフラスコ7150および7152へと流した。フラスコ7152へと挿入した正電極7158と負電極7160との間に約2.55ボルトの電圧を印加した。この値は、すべての酸素の種に影響を及ぼすために充分な電気化学的電圧の値であると考えられるため、選択された。この電圧を、3〜4時間にわたって連続的に印加し、その間、供給源7164からの酸素を、それぞれのフラスコ7150および7152の脱イオン水7153へとバブリングした。
【0139】
HRPおよびピロガロールでのフラスコ7150内の脱イオン水7153の試験が、本明細書に記載の種々のロータ/ステータの実施形態にて生成される流体の特性に一致するHRP媒介のピロガロール反応活性を与えた。HRPの光学密度は、同等の酸素含有量の圧力ポットまたは微細気泡溶液に比べて約20%高かった。この実験の結果は、混合チャンバ330内での混合が、酸化還元反応を含んでいることを示している。特定の態様によれば、本発明の混合チャンバは、本発明の出力溶液内の酸素豊富な水構造によって安定にされ、あるいはプロセスにおける電気的効果ゆえに存在する何らかの形態の酸素種によって安定にされた追加の電子を含んでいる出力材料をもたらす。
【0140】
さらに、両方のフラスコ7150および7152の脱イオン水7153を、オゾンおよび過酸化水素の両者について、過酸化水素について0.1ppmの感度を有し、オゾンについて0.6ppmの感度を有している業界標準の比色試験アンプルを使用して試験した。どちらの種についても、それらのアンプルの検出限界まで、陽性の徴候は存在しなかった。
【0141】
(滞留時間)
滞留時間は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130が、混合チャンバ330において費やす時間の長さである。混合チャンバ330の長さの混合チャンバ330の直径に対する比が、滞留時間に大きく影響しうる。この比が大きいほど、滞留時間は長くなる。背景技術のくだりで述べたように、従来技術の装置10(図1を参照)のロータ12は、約7.500インチの直径および約6.000インチの長さを有しており、約0.8という直径に対する長さの比をもたらしている。対照的に、特定の実施形態において、混合装置100の混合チャンバ330の長さは、約5インチであり、ロータ600の直径「D1」は、約1.69インチであり、約2.95という直径に対する長さの比をもたらしている。
【0142】
滞留時間は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130が、本明細書において説明した界面動電現象と相互作用できる時間の長さを表わしている。従来技術の装置10が、毎分約60ガロンの出力材料102を生成するように構成され、混合装置100が、毎分約0.5ガロンの出力材料102を生成するように構成され、従来技術の装置10(図1を参照)が、約0.05秒という流体滞留時間を有する一方で、混合装置100の実施形態は、約0.35秒という大幅に長い(約7倍長い)滞留時間を有している。このより長い滞留時間が、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130について、従来技術の装置10において可能であるよりも約7倍も長く、互いの相互作用および混合チャンバ330内の表面606および705(図7を参照)との相互作用を可能にする。
【0143】
下記の表1を参照すると、上述の滞留時間が、最初に各装置について流量(単位は、ガロン/秒)を決定することによって計算されている。この場合、従来技術の装置10が、毎分約60ガロンの出力材料において動作するように構成されている一方で、混合装置100は、毎分約0.5ガロンの出力材料という最適範囲を含むより広い範囲の流量にわたって動作するように構成されている。次いで、流量が、「ガロン/秒」の流量を1ガロンの立方インチ数(すなわち、231立方インチ)で乗算することによって、「立方インチ/秒」へと変換される。次いで、従来技術の装置10のチャネル32の容積(12.876立方インチ)を、装置の流量(231立方インチ/秒)によって除算して、滞留時間(単位は、秒)が得られ、混合装置100の混合チャンバ330の容積(0.673立方インチ)を、装置の流量(1.925立方インチ/秒)によって除算することによって、滞留時間(単位は、秒)が得られる。
【0144】
【表1】

(注入の速度)
混合装置100の特定の態様は、従来技術の装置10(図1を参照)などの従来技術よりも向上した酸素注入速度を提供する。第1の材料110が水であって、第2の材料120が酸素である場合、この両者が、20℃またはその付近で、ただ1回の通過(すなわち、図2の戻りブロックが「いいえ」に設定される)にて混合装置100によって処理され、出力材料102が、約43.8パーツ・パー・ミリオンという溶存酸素レベルを有する。特定の態様において、約43.8ppmの溶存酸素を有する出力材料が、本発明の非加圧(非圧力ポット)法により、本発明の流れによって、約350ミリ秒で生成される。対照的に、第1の材料110(水)および第2の材料120(酸素)の両者が、従来技術の装置10によって、20℃またはその付近で、ただ1回の通過にて処理される場合、出力材料の溶存酸素レベルは、56ミリ秒のただ1回の通過にてわずかに35パーツ・パー・ミリオンにすぎない。
【0145】
(出力材料102)
第1の材料110が液体(例えば、真水、生理食塩水、GATORADE(登録商標)、など)であって、第2の材料120がガス(例えば、酸素、窒素、など)である場合、混合装置100が、第2の材料120を第1の材料110に拡散させることができる。以下において、混合装置100によって処理されることによってもたらされる出力材料102の1つ以上の特性を明らかにするために、出力材料102について行った分析の結果を検討する。
【0146】
第1の材料110が生理食塩水であって、第2の材料120が酸素ガスである場合、実験結果から、生理食塩水中に生成された酸素の泡の大部分が、0.1ミクロン以下のサイズであることが示されている。
【0147】
(溶存酸素レベルの低下)
次に、図30を参照すると、混合装置100において酸素豊富にされて、500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に少なくとも365日にわたって保存された水中のDOレベルが示されている。それぞれの瓶にキャップをし、華氏65度で保存した。図に見ることができるとおり、酸素豊富にした流体のDOレベルが、少なくとも365日にわたってかなり一定のままである。
【0148】
図31を参照すると、混合装置100において酸素豊富にされて、500mlのプラスチック薄肉瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水中のDOレベルが示されている。どちらの瓶も、華氏39度で冷蔵した。やはり、酸素豊富にした流体のDOレベルが、少なくとも365日にわたって安定に保たれ、わずかしか低下していない。
【0149】
次に、図32を参照すると、混合装置100において酸素豊富にされて、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存されたGATORADE(登録商標)中の溶存酸素レベルが示されており、キャップ付けにおける平均温度は華氏55度である。その後に、GATORADE(登録商標)瓶を、キャップ付けと開封との間、華氏38度で冷蔵した。実験の際に、別々のボトルをそれぞれ20、60、および90日で開封し、内部に保存されているGATORADE(登録商標)のDOレベルを測定した。
【0150】
第1のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約56度で、混合装置100において酸素で処理されている。瓶詰め時のGATORADE(登録商標)のDOレベルは、点8104によって示されるとおり、約50ppmであった。第1のボトルをおよそ20日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8106によって示されるとおり約47ppmであった。その後に、第2のボトルを60日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを測定したところ、点8108によって示されるとおり約44ppmであった。最後に、第3のボトルを90日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8110によって示されるとおり40ppmをわずかに下回っていた。
【0151】
第2のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約52度で、混合装置100において酸素で処理されている。このグループの瓶に保存されたGATORADE(登録商標)の初期のDOレベルは、点8112によって示されるとおり45ppmであった。20日目に開かれたボトルのGATORADE(登録商標)は、点8114によって示されるとおり、45ppmよりも少しだけ低いDOレベルを有していた。GATORADE(登録商標)の第2の瓶を60日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、41ppmをわずかに超えるDOレベルを有していた。最後に、GATORADE(登録商標)の第3の瓶を90日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、点8116によって示されるとおり約39ppmのDOレベルを有していた。上述のように、プラスチックおよびガラス瓶での水の試験(図31を参照)に関して、DOレベルが90日の期間にわたって比較的高いレベルを維持し、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存された通常の(処理なしの)GATORADE(登録商標)中に存在するレベルよりも大幅に高いままであることを、見て取ることができる。点8010が、蓋付きPET瓶内の本発明の出力流体に対応するレベルである。
【0152】
図33は、混合装置100において酸素によって処理され、琥珀ガラス瓶において標準温度および圧力に保たれた500mlのブラウン平衡塩溶液のDO保持を示している。処理前の溶液のDOレベルは、5ppmである。混合装置100での処理後に、DOレベルは、約41ppmへと上昇した(点8202として示されている)。処理の1時間後に、DOレベルは、点8204によって示されるとおり約40ppmへと低下した。処理の2時間後に、DOレベルは、点8206によって示されるとおり約36ppmへと低下した。処理の3時間後に、DOレベルは、点8208によって示されるとおり約34ppmへと低下した。処理のおよそ4時間半後に、塩溶液のDOレベルは、30ppmをわずかに超える値へと低下した。最後の測定を、処理の6時間後のわずかに前に行ったところ、DOレベルは約28ppmへと低下していた。このように、図30〜33に示した実験のそれぞれが、DOレベルが長い期間にわたって比較的高いレベルに保たれることを示している。
【0153】
出力材料102を、人間が消費する可能性があるため、混合装置100を構成するために使用される材料は、食品および/または薬品の製造に適していなければならない。これらに限定されるわけではない例として、筐体520、筐体5520、ロータ600、ステータ700、およびステータ5700を、すべてステンレス鋼から製作することができる。
【0154】
(気泡サイズの測定)
混合装置100によって流体内に拡散させたガスの気泡のサイズを割り出すために、実験を行った。実験を、気泡のサイズを直接的に測定するように実行したのではなく、流体内のガスの気泡の大部分の気泡サイズが0.1ミクロンよりも小さいことを確認する実験を行った。換言すると、気泡の大部分のサイズが包含される上側のサイズ閾値を、実験によって割り出した。
【0155】
このサイズ閾値またはサイズ限界を、混合装置100にて流体およびガスを処理することによって形成した出力材料102を、0.22のフィルタおよび0.1ミクロンのフィルタに通すことによって明らかにした。これらの試験の実行において、この場合には流体である或る量の第1の材料110およびこの場合にはガスである或る量の第2の材料120を、混合装置100に通し、或る量の出力材料102(すなわち、ガスを拡散させてなる流体)を生成した。60ミリリットルの出力材料102を、60mlのシリンジに流し込んだ。流体のDOレベルを、Winkler滴定によって測定した。シリンジ内の流体を、0.22ミクロンのフィルタを通して50mlのビーカーへと注入した。フィルタは、MiliporのMillex GP50フィルタからなっていた。次いで、50mlのビーカー内の材料のDOレベルを測定した。実験を3回実行し、下記の表2に示す結果を得た。
【0156】
【表2】

見て取ることができるとおり、シリンジ内で測定したDOレベルと50mlのビーカー内で測定したDOレベルとが、出力材料102を0.22ミクロンのフィルタに通したにもかかわらず、大きくは変化していない。この実験は、出力材料102内の溶存ガスの気泡が、0.22ミクロン以下であるということを意味している。そのようでないならば、0.22ミクロンのフィルタに通された出力材料102のDOレベルに、はるかに大きな減少が存在するはずである。
【0157】
0.22ミクロンのフィルタを0.1ミクロンのフィルタで置き換えて、第2の試験を実行した。この実験においては、混合装置100において生理食塩水を酸素で処理し、出力材料102のサンプルを、フィルタ処理なしの状態で収集した。フィルタ処理なしのサンプルのDOレベルは、44.7ppmであった。出力材料102を、0.1ミクロンのフィルタを使用してフィルタ処理し、2つのさらなるサンプルを収集した。第1のサンプルのDOレベルは、43.4ppmであった。第2のサンプルのDOレベルは、41.4ppmであった。次いで、フィルタを取り除き、最後のサンプルをフィルタ処理なしの出力材料102から得た。最後のサンプルは、45.4ppmのDOレベルを有していた。これらの結果は、Milliporeの0.22ミクロンのフィルタを使用して観察された結果に一致している。これらの結果から、0.1ミクロンのフィルタに通した出力材料102のDOレベルが、わずかにしか減少しておらず、処理後の生理食塩水中の気泡の大部分が0.1ミクロン以下のサイズであるということを示しているという結論が導かれる。
【0158】
この技術分野において理解されるとおり、(界面の)二重層(DL)は、液体内に配置された物体の表面に現れる。この物体は、例えば、固体表面(例えば、ロータおよびステータの表面)、固体粒子、気泡、液滴、または多孔質体の物体であってよい。混合装置100において、気泡の表面が、界面動電二重層効果のために利用することができる混合チャンバ内に存在する全表面積のうちの大きな割合を呈する。したがって、本明細書のどこかで説明される表面積および保持時間の態様に加えて、ミキサ100において生成される気泡のサイズが従来技術の装置10に比べて小さいことも、本明細書に開示の全体的な界面動電効果および出力流体の特性に、少なくとも或る程度は貢献できる。具体的には、好ましい実施形態において、ミキサ100によって示されるとおり、ガスのすべてが、ロータの開口を介して導入される(ステータの開口を通って導入されるガスがない)。ロータは、高速(例えば、3,400rpm)で回転しており、ロータの表面またはその付近に大きなせん断力を生成しているため、回転しているロータの表面の開口を介して導入され、それらに隣接している気泡の気泡サイズは、静止しているステータを介して導入され、静止しているステータの付近にある気泡の気泡サイズに比べ、大幅に小さく(2〜3倍小さく)なると予想される。このように、従来技術の装置10の平均気泡サイズは、ガスの少なくとも半分が静止しているステータの開口から混合チャンバへと導入されるため、大幅に大きくなる可能性がある。球表面の表面積はrによって変化するため、混合装置100の界面動電効果の表面積のうちのそのような気泡の寄与分は、従来技術の拡散装置10のそれに比べて大幅に大きくなりうる。
【0159】
したがって、理論に拘束されるわけではないが、混合装置100の混合チャンバが、(i)従来技術の装置10に比べて大幅に大きい表面−容積の比(従来技術の装置10が、10.9という表面−容積の比を有する一方で、本ミキサ100は、39.4という表面−容積の比を有する)を、(ii)7倍も長い滞留時間とともに有するだけでなく、(iii)電流出力溶液の独自の特性が、混合装置100における大幅に大きな気泡の表面積からの寄与を反映することができる。これらの際立つ態様は、本発明の混合装置100の際立った特徴を反映しており、それぞれ本発明の出力材料/流体の独自の界面動電特性に寄与すると考えられる。
【0160】
(スパージング効果)
図34および35が、混合装置100を通過する流体(例えば、第1の材料110)への混合装置100のスパージング作用を示している。スパージングは、溶液に不活性ガスを「バブリング」することで、溶液から別の溶存ガスを除去することを指す。図34および35に示した例のそれぞれにおいて、第2の材料120は、窒素である。出力材料102中の溶存酸素のレベルを、様々な時点において測定した。図に見て取ることができるとおり、窒素ガスが、混合装置100を通過する流体から酸素をスパージし、流体のDOレベルを或る時間期間にわたって減少させている。
【0161】
混合装置100を使用して水を窒素によってスパージする別の実験の結果が、図34に示されている。2組の実験を実行した。第1の実験は、1SCFH(標準立方フィート/時)というガス流量であり、第2の実験は、0.6SCFHというガス流量である。流体の流量は、約0.5gal/分とした。見て取ることができるとおり、処理の開始時、それぞれの実験のDOレベルは、およそ9ppmであった。わずか1分後に、DOレベルは、5ppmをわずかに上回る値まで低下した。2分間で、DOレベルはほぼ2.5ppmへと低下した。DOレベルは、約6分で、ゼロ(0)をわずかに上回る最小レベルで横ばいになるように見受けられる。このように、窒素が、比較的素早く水から酸素をスパージする。
【0162】
図35は、標準の温度および圧力の8ガロンのタンクの過酸化水素水のスパージングを示している。水中のDOの減少速度が、線8602によって示されている。見て取ることができるとおり、最初に、過酸化水素水は約42ppmというDOレベルを有していた。混合装置100による2分間の処理の後において、窒素が過酸化水素水をスパージすることで、DOレベルが20ppmをわずかに上回る値までに低下していた。6分間で、DOレベルは、40ppm超からわずか6ppmまで低下した。過酸化水素水のDOレベルは、処理の開始から約14分で、ゼロ(0)をわずかに上回る最小値に達した。このように、上述のスパージング実験は、過酸化水素水を混合装置100でかなり短い時間だけ処理することによって、混合装置100が水から酸素を素早くスパージして、酸素を窒素などの別のガスで置換できることを示している。換言すると、DOの減少にもかかわらず、流体内の全ガス分圧がほぼ同じレベルのままであるため、窒素が流体内の酸素を置き換えている。
【0163】
これらの図は、水から酸素をスパージするために窒素を水へと拡散させることができる態様を示している。しかしながら、任意のガスを、任意の選択された流体から選択されたガスをスパージするために使用することができ、選択された流体から選択されたガスをスパージするために使用されるガスを、選択された流体へと拡散させるために使用することができる。例えば、ここに示した原理は、酸素を用いた水または他の流体からの窒素のスパージにも適用可能である。さらに、溶液中に溶存する任意のガスを、溶液からスパージされるガスに取って代わる別のガスを使用して、溶液からスパージすることができる。換言すると、スパージング用のガスと溶存ガスを含んでいる溶液とを、混合装置100によって比較的短い時間だけ処理するだけで、溶存ガスを溶液から迅速かつ効率的に取り除くことができる。
【0164】
(分子の相互作用)
何人かの物理学者が、水の量子的性質を説明し始めている。これまでは、量子的性質は、10−10メートル未満の素粒子に属すると考えられる一方で、我々の日常生活の巨視的世界は、ニュートンの運動の法則に従って挙動する点で、古典的と称されている。巨視的な古典的世界と微視的な量子世界との間が、巨視と微視との間の区別がますます曖昧になっているメゾスコピック領域である。実際、物理学者らは、量子的性質を、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の原子および分子の大きな集まりに発見しており、とくには分子が液相中に密に詰め込まれた場合に発見している。
【0165】
最近では、化学者らが、クラスタからの分子が希釈につれてサイズを増大させるという驚くべき発見を行っている。これらのクラスタは、数マイクロメートルの直径である。サイズの増大は、希釈につれて非線形に生じ、履歴に依存し、古典化学を無視した振る舞いである。実際、この現象について、未だ説明はない。量子的性質に依存する水の不思議さのさらに別の反映も、存在するであろう。
【0166】
1990年代の中頃に、量子物理学者であるdel Giudice and PreparataおよびイタリアのUniversity of Milanの他の同僚が、直径100ナノメートルの量子コヒーレントドメインが、純水において生じうると論じた。彼らは、コヒーレントドメインの水分子の集団振動が、いかにして最終的に大域的な電磁界の変動に対して位相ロックされた状態になるかを示した。この態様で、長く続く安定な振動を、水中に維持することができる。
【0167】
メモリを水に保存できる1つの態様は、水中に溶存する1つ以上の物質(治療薬など)に特有の長く続くコヒーレントな振動を励起することによる。水分子と水中に溶存する物質の分子との間の相互作用が、水の集合構造を変化させ、これが発生する特有のコヒーレント振動を決定すると考えられる。これらの振動が、大域的な場と励起された分子との間の位相結合によって安定化されて維持される場合、たとえ溶存物質が希釈されたときでも、水は、希釈時の他の水に結実することができるコヒーレント振動を、依然として保持することができる。
【0168】
溶存物質がますます大きなクラスタを形成するという発見は、振動が同位相であるときに分子間の引き付けの共鳴を伝達でき、希釈液における凝集につながる水中のコヒーレントな場の存在と両立しうる。分子のクラスタのサイズが大きくなるにつれ、その電磁気的特徴も相応に増幅され、水によって保持されるコヒーレント振動を補強する。
【0169】
検出可能な水の何らかの物理的特性の変化を予想すべきである。残念ながら、そのようなコヒーレント振動を通常の分光法および核磁気共鳴法によって検出しようとするすべての試みは、あいまいな結果しかもたらしていない。これは、溶存分子のクラスタサイズが、分子の濃度にではなく、希釈の正確な履歴に依存するという発見に照らせば、驚くことではない。
【0170】
溶存分子のクラスタサイズの変動および水の詳細な微視的構造にもかかわらず、コヒーレント振動の特異性が依然として存在しうる。通常の検出法は、個々の分子または小さな集合体の微視的粒子の使用に依存するため、成功していない。代わりに、多数の分子におよぶ集合的な全体特性を検出する方法が必要である。いくつかの自明な自薦の可能性は、凝固点および沸点、粘度、密度、拡散性、および磁性の測定である。水の集合的な全体特性の変化を検出するための1つの可能性は、結晶化によるものである。結晶は、分子の巨視的集合から形成される。大域的特性に依存する他の測定と同様に、結晶は、他の方法では検出不能であった個々の分子の微妙な変化を簡単にする。
【0171】
図36を参照すると、ナノスケールのケージ8700を形成している簡単化されたプロトン化水クラスタを示している。プロトン化水クラスタは、典型的には、H(HO)の形態をとる。いくつかのプロトン化水クラスタは、イオン圏などにおいて自然に生じる。特定の理論に拘束されるわけではないが、特定の態様によれば、本発明の出力材料へと付与された酸素および安定化電子を含む構造など、他の種類の水クラスタまたは構造(クラスタ、ナノケージ、など)が可能である。酸素原子8704を、得られる構造8700に捕まえることができる。半拘束ナノケージの化学が、酸素8704および/または安定化電子が長い時間期間にわたって溶存し続けることを可能にする。薬用化合物などの他の原子または分子を、徐放の目的のためにケージに入れることができる。溶液材料および溶存化合物の具体的な化学は、それらの材料の相互作用に依存して決まる。
【0172】
混合装置100によって処理された流体が、クラスタ構造の文脈における流体の分析に矛盾しない種々の構造的特性を呈することが、実験によって示されている。
【0173】
(レイリー効果)
強力な光のビームが、固体または液体粒子あるいはきわめて大きな分子量の分子を含んでいる透明なガス状または液状媒体に通される場合、光が、入射の経路の方向から外れるように散乱される。散乱は、散乱媒体中の密度の変動(すなわち、粒子またはきわめて高分子量の分子の存在)から生じる干渉効果に起因する。2つの種類の光の散乱が存在する。第1の種類の散乱は、散乱光の波長が入射光の波長と相違し、ラマン散乱と呼ばれる。他方の種類の散乱では、散乱光が入射光と同じ波長を有しており、レイリー散乱と呼ばれる。レイリー散乱においては、散乱光の強度が、入射光の強度と減衰定数との積に比例し、減衰定数は、屈折率およびレイリー定数の関数である。レイリー定数は、散乱物質の分子量にいくらか関係する関数であり、したがって散乱光の強度の測定が、分子量についての値をもたらすことができる。この散乱現象が、いくつかの液体クロマトグラフィ検出器において使用されている。
【0174】
混合装置100によって処理された水は、通常の未処理の水と比べたときに、検出可能な構造的相違を有することが実証されている。例えば、処理済みの水が、未処理の水において見られるよりも大きなレイリー散乱を有することが示されている。行った実験において、処理済みおよび未処理の水のサンプルを(それぞれを別個の瓶に封じることによって)用意し、(後に処理済みのサンプルおよび未処理のサンプルを識別するために)符号を付け、分析のために独立の試験所へと送った。試験後の完了後に初めて、符号を読解して、どちらのサンプルが混合装置100によって処理されたものであるかを明らかにした。
【0175】
試験所においては、これら2つのサンプルを、633ナノメートルの波長を有するレーザービームに配置した。流体を、試験前に約1週間にわたってガラス瓶に封じておいた。処理済みのサンプルに関して、サンプルBが、レーザ源に対する位置にかかわらず光を散乱させた。しかしながら、「サンプルA」は、そのようでなかった。瓶を開封してから2〜3時間後に、サンプルBの散乱効果はなくなった。これらの結果は、水が、水に自身の特性を保持させ、時間とともに消滅するメモリを呈することを示唆している。また、これらの結果は、処理済みの水の構造が、未処理の流体の構造と光学的に相違することを示唆している。最後に、これらの結果は、この光学的効果が、DOレベルに直接には関係していないことを示唆している。なぜならば、開始時のDOレベルは45ppmであり、実験の終了時には、約32ppmであったと推定されるからである。
【0176】
(溶媒和電子の生成)
さらなる証拠は、混合装置100内で生じる混合が出力材料102内に溶媒和電子を生じさせていることを示している。この結論は、種々の処理済み溶液のDOレベルの測定に使用される溶存酸素プローブ効果に関して観察される様相からもたらされる。ポーラログラフィの溶存酸素プローブに関して見られる経験から、処理後の流体が電子捕捉効果を呈し、その結果、流体が溶媒和電子を含むと考えられる。
【0177】
溶存酸素(「DO」)のレベルを電気的に測定するために、2つの基本的な技法が存在する。ガルバニック測定法およびポーラログラフ測定である。どちらの技法においても、DOレベルセンサが、どちらもセンサ本体内の電解質に浸漬される2つの電極、すなわち陽極および陰極を備えている。酸素透過膜が、陽極および陰極を試験対象の溶液から隔てている。陰極が、水素電極であって、陽極に対して負の電位を持つ。電解質溶液が、電極対を囲み、膜によって包まれている。酸素がないとき、陰極は、水素によって分極され、電流の流れに抵抗する。酸素が膜を通過するとき、陰極が消極され、電子が消費される。換言すると、酸素が膜を横切って拡散し、プローブの内部の成分と相互作用して、電流を生じさせる。陰極が、以下の式に従って、酸素を水酸基イオンへと電気化学的に還元する:
+2HO+4E=4OH
【0178】
混合装置100によって処理した溶液のDOレベルの測定を試みるとき、溶存酸素メータが、メータが読み取ることができるよりも大きい読み取り値を実際に表示するオーバーフロー状態が、繰り返し経験される。別個独立の手段であるWinkler滴定が、溶液について、プローブが示すよりもはるかに低いDOレベルであることを明らかにする。典型的には、最大の読み取り値が60ppmであるOrion 862などの装置において、メータが、数分間にわたって処理済みの水中に残された場合に、オーバーフローし、高い酸素レベルを表示する。
【0179】
オーバーロードは、流体内の溶存酸素によって引き起こされるのではないため、溶媒和電子が、オーバーロードを引き起こしているに違いないと考えられる。換言すると、溶媒和電子が、処理済みの水と共に膜を超える。これらの電子が、陽極へと引き寄せられ、観察される電流を生じさせる。これらの電子が、溶液内のケージまたはクラスタ機構に捕らえられるとも考えられる。
【0180】
(本発明のプロセスによって本発明の組成物に付与される水和(溶媒和)電子を含んでいる組成物)
本明細書に記載のとおりの特定の実施形態(「二重層」の項目を参照)においては、酸素分子が流体に拡散され、流体に付与された電荷(例えば、水和(溶媒和)電子)を安定させるべく機能することができる本明細書に開示の電気機械プロセスによって、ガス豊富な流体が生成される。理論または機構に拘束されるわけではないが、本発明の特定の実施形態は、第1の材料が本発明のミキサ装置において酸素と混合させられて一体となった出力材料をもたらすときに材料に加えられる電荷(例えば、水和(溶媒和)電子)を含んでいる酸素豊富な流体(出力材料)に関する。特定の態様によれば、これらの水和(溶媒和)電子(本明細書において、「溶媒和電子」とも称する)は、これらの水和(溶媒和)電子によって仲立ちされる検定可能な効果の持続によって証明されるとおり、本発明の溶液において安定化される。特定の実施形態は、水和(溶媒和)電子および/または水−電子構造、クラスタ、などに関係することができる(例えば、Lee and Lee、Bull.Kor.Chem.Soc.2003、v.24,6;802−804;2003を参照)。
【0181】
新規なHRPベースのアッセイ:西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)は、西洋わさびの根(Amoracia rusticana)から分離され、ペルオキシダーゼのフェロプロトポルフィリン基(ヘム基)に属する。HRPは、過酸化水素または他の水素供与体と容易に結合し、ピロガロール基質を酸化させる。さらに、この技術分野において理解されているとおり、HRPは、過酸化水素の不在においてインドール−3−酢酸の自動酸化分解を促進する(例えば、ここでの言及によって全体が本明細書に援用されるHeme Peroxidases、H.Brian Dunford、Wiley−VCH、1999、Chapter 6、pages 112−123(自動酸化が高効率な分岐鎖機構を含む旨を記載している)を参照)。HRP反応を、比活性度がピロガロール単位に関して表現される酵素活性単位にて測定することができる。1ピロガロール単位は、pH6.0で20℃において20秒でピロガロールから1.0mgのプルプロガリンを形成する。このプルプロガリン(20秒)単位が、25℃において毎分約18μM単位に相当する。
【0182】
【化1】

本発明の特定の態様によれば、酸素豊富な本発明の流体(出力材料)が、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でピロガロールと反応するために、本明細書において説明および開示されている。反応は、過酸化水素、超酸化物、または他の反応性の酸素の種が酸素豊富な本発明の流体において検出されていないため、ピロガロールの自動酸化に起因している可能性が最も高い。この反応の程度は、加圧酸素溶液(圧力ポット酸素溶液)のそれよりも高く、過酸化水素のそれよりも低い。
【0183】
具体的には、本出願の出願人が、過酸化水素が存在しない(0.1ppmの感度で何も検出されない)一方で、本発明のガス豊富な流体が、一貫して西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの明らかな自動酸化の促進を特徴とすることができることを明らかにした。すなわち、出願人は、過酸化水素の非存在下でのインドール−3−酢酸の自動酸化分解のHRPによる促進の場合と同様に、過酸化水素の非存在下でのピロガロールの自動酸化分解のHRPによる促進を発見した。特定の態様によれば、この活性の存在およびレベルが、本発明の組成物を従来技術に照らして区別する特徴である。
【0184】
特定の実施形態において、本発明のガス豊富な流体は、HRPの存在および過酸化水素の不在のもとで、約0.5ppmの過酸化水素、約0.8ppmの過酸化水素、約1ppmの過酸化水素、約2ppmの過酸化水素、約3ppmの過酸化水素、約4ppmの過酸化水素、約5ppmの過酸化水素、約6ppmの過酸化水素、約7ppmの過酸化水素、約8ppmの過酸化水素、約9ppmの過酸化水素、約10ppmの過酸化水素、約11ppmの過酸化水素、約12ppmの過酸化水素、約20ppmの過酸化水素、約40ppmの過酸化水素、約50ppmの過酸化水素、あるいはこれらの間の任意の値、またはそれ以上と同等なピロガロール自動酸化速度を(本明細書において「定義」の項で画定される標準条件のもとで)促進する。
【0185】
西洋わさびペルオキシダーゼ酵素が、流体内の分子酸素との反応を促進することによって、ピロガロールの自動酸化を触媒することが知られている(Khajehpourら、PROTEINS:Struct,Funct,Genet.53:656−666(2003))。また、酸素が、その構造がおそらくは内部への酸素のアクセス性を決定する西洋わさびペルオキシダーゼ酵素の疎水ポア領域(Phe68とPhe142との間)を介して、酵素のヘムポケットに結合することも、知られている。機構に拘束されるわけではないが、たんぱく質の表面電荷が、たんぱく質の構造を左右することがたんぱく質の技術分野において知られているため、本発明によるガス豊富な流体に存在する溶媒和電子が、西洋わさびペルオキシダーゼの構造を酸素のアクセス性がより大になるように変えるべく機能することがありうる。その結果、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素の人工のヘムポケットへと酸素のアクセス性が高くなることで、従来技術の酸素処理流体(圧力ポット、微細気泡)に比べて、ピロガロールとの反応性の向上が可能になると考えられる。あるいは、本発明の出力組成物の追加の電子または溶媒和電子は、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの明らかな自動酸化の促進を可能にするために、他の態様で機能することができる。
【0186】
いずれにせよ、特定の態様によれば、本発明の方法および装置を使用した出力材料の生成は、電荷の勾配をもたらす界面二重層、摩擦電気効果によって表面から離れるように電荷(例えば、電子)を引張る表面に対する材料の移動(材料の流れが、溶媒和電子の流れを生み出す)を伴うプロセスを含んでいる。さらに、機構に拘束されるわけではないが、さらなる態様によれば、二原子酸素の軌道構造が、流体材料(水)内の水素結合の構成に電荷のアンバランスを生み出し(例えば、2つの対ではない電子が水の水素結合に影響を及ぼす)、電子がアンバランスな状態で溶媒和および安定化される。
【0187】
本発明の豊富な酸素および二重層効果によって付与される溶媒和電子の組み合わせ、ならびに請求項に記載される装置の構成が、HRPの存在下でのピロガロールの自動酸化を促進し、これは、光学密度によって容易に監視および定量化できる本発明の出力材料組成物の特筆すべき特徴である。典型的には、本発明の酸素豊富な組成物は、同等の溶存酸素濃度を有する加圧(圧力ポット)または微細気泡の対照流体に比べ、標準的なアッセイにおいて約20%も高い光学密度の読み取りをもたらすことを特徴とする。HRPが、自動酸化に追加の酸化能をもたらしていると思われる。
【0188】
(ピロガロール反応性試験)
一定の分量の本発明の酸素豊富な出力材料を、市販の西洋わさびペルオキシダーゼおよびピロガロール・アッセイ(Sigma)を使用することによって、ペルオキシダーゼ活性について試験した。要約すると、ピロガロール原液を、脱イオン水で準備した。ピロガロールは、基質(過酸化水素など)と反応してプルプロガリンおよび水をもたらすため、流体についての西洋わさびペルオキシダーゼ酵素のペルオキシダーゼ活性の指標である。西洋わさびペルオキシダーゼ、ピロガロール、および適切なリン酸カリウムバッファを含む試験流体を、他の流体と比較した。過酸化水素を、陽性対照として使用した。試験した他の流体が、所望の溶存酸素レベルに達するように100psiまで圧力ポットにおいて酸素化および加圧した水である(圧力ポット)一方で、別の流体を、開放ビーカーでエアーストーンによって酸素化した(微細気泡)。試験対象のすべての流体を室温に維持し、約55ppmの溶存酸素レベルを(FOXYプローブで)測定した。水サンプルを、酵素試薬を加えることによって試験した。連続的な分光光度法による速度の測定を、A420nmおよび室温(摂氏25度)において行った。
【0189】
図38〜41に示されるとおり、本発明の酸素豊富な流体が、ピロガロールによって西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について陽性の試験結果を示したのに対し、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルは、はるかに少ない反応性であった。図42に示されるとおり、他のガスを豊富にした本発明の流体が、同じ態様では反応していないことから、酸素が、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でのピロガロールとの反応に必要である。
【0190】
本明細書に記載のとおり、過酸化水素の存在について本発明の酸素豊富な流体のいくつかの化学試験を実行したが、それらの試験のいずれも、(0.1ppmという過酸化水素の感度で)陽性ではなかった。したがって、本出願の新規な酸素豊富流体は、過酸化水素の非存在下で、ペルオキシダーゼによって促進される自動酸化活性をもたらしている。
【0191】
特定の実施形態において、本出願の出願人は、西洋わさびペルオキシダーゼ効果が、それを保存してなる瓶を開けた後も少なくとも7時間まで残ることを確認した。他の実施形態において、本出願の出願人は、西洋わさびペルオキシダーゼ効果が、閉鎖容器での105日間の保存後に、閉鎖容器を開けた後も残っていることを確認した。対照的に、他の実施形態において、本出願の出願人は、単に流体を加圧することによって作り出した同等の溶存酸素レベルを試験したときに、バックグラウンドのHRP効果の低下がすぐに生じ、4時間足らずで劇的に低下することを確認した。
【0192】
(グルタチオンペルオキシダーゼの検討)
本発明の酸素豊富な出力流体材料を、標準的なアッセイ(Sigma)を使用してグルタチオンペルオキシダーゼとの反応性を試験することによって、過酸化水素の存在について試験した。要約すると、グルタチオンペルオキシダーゼ酵素のカクテルを、脱イオン水および適切なバッファで構成した。水サンプルを、酵素試薬を加えることによって試験した。連続的な分光光度法による速度の測定を、A340nmおよび室温(摂氏25度)において行った。試験したサンプルは、1.脱イオン水(陰性対照)、2.低濃度の本発明の酸素豊富流体、3.高濃度の本発明の酸素豊富流体、4.過酸化水素(陽性対照)である。図43に示されるとおり、過酸化水素(陽性対照)が、強力な反応性を示した一方において、試験した他の流体はいずれも、グルタチオンペルオキシダーゼと反応することはなかった。
【0193】
(特異な核酸安定性)
本発明の特定の実施形態は、本発明の組成物のもう1つの特筆すべき特徴を提供する。具体的には、本出願の出願人は、対照流体と比べ、本発明の出力流体に関して核酸の特異な耐熱性が存在することを発見した。例えば、富化されていない脱イオン水に比べて本発明の酸素富化出力材料において測定されるときのT7プロモータープライマー5’−d(TAATACGACTCACTATAGGG)−3’(配列ID番号:1)である。水の温度が上昇するとき、DNAオリゴマー構造が、構造変化を実行する。図44に示されているように、このオリゴについてこの技術分野において認識されている約48℃の溶融温度に一致して、T7 DNAが、対照(脱イオン水)においては摂氏約50度で変性し始めるのに対し、酸素豊富な本発明の流体中のDNAは、摂氏約60度まで変わらないままである。このように、溶媒和電子を含んでいる本発明の酸素富化流体は、対照流体と比べたときに、DNAにより高い耐熱性を与え、光学密度の測定によって容易に監視および定量化できる本発明の出力材料組成物のさらなる特筆すべき特徴を提供する。
【0194】
(本発明の混合装置を備えるバイオリアクタシステム)
ホスト細胞系においてたんぱく質、ポリペプチド、核酸、治療薬、および他の生成物などの目的の生成物を大量に生成することが、分子生物学における進歩に起因して可能である。例えば、組み換えたんぱく質は、ホスト細胞を対象のたんぱく質をコードしている核酸(例えば、DNA)でトランスフェクトすることによって、ホスト細胞系において生成される。次に、ホスト細胞が、組み換えたんぱく質の発現を可能にする条件下で培養される。特定のホスト細胞系を、他の手段によっては生成が非現実的すぎると考えられる大量の組み換えたんぱく質を生成するために使用することができる。
【0195】
さらに、ホスト細胞あり、またはホスト細胞なしの酵素および/または反応発酵が、例えば食品および飲料の製造、廃水の処理、または環境の浄化に利用される。
【0196】
細胞培養プロセスまたは細胞発酵は、典型的には、組み換えたんぱく質を生成するために原核または真核ホスト細胞を使用する。発酵は、典型的には、発酵槽またはタンクバイオリアクタと呼ばれる物理的な容器(例えば、かくはん槽)において実行される。発酵プロセスそのものは、(1)不連続な作業(バッチプロセス)、(2)連続的な作業、または(3)半連続的な作業(流加プロセスなど)、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0197】
医薬品(例えば、生物学的製剤)または他のターゲット生成物の大規模な製造の目的が、改良された製造プロセスおよびコストの削減をもたらすことにあるため、それらのターゲット生成物の生成のための改善されたバイオリアクタ設備、方法、および媒体について、ニーズが存在する。
【0198】
本明細書の開示は、これらに限定されるわけではないが、ガスを豊富に含む水、生理食塩水(例えば、標準生理食塩水)、および細胞培養液などの新規なガス富化流体を説明し、さらにそれらの応用プロセスにおいて使用するための新規な方法ならびに生物学および化学リアクタシステムなどを説明する。
【0199】
本明細書に開示される特定の実施形態は、たんぱく質などのターゲット生成物を生成するためのシステム、媒体、および方法に関する。
【0200】
特定の実施形態において、ターゲット生成物とは、たんぱく質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、炭水化物、ポリマー、ミセル、およびこれらの任意の混合物を指すことができる。
【0201】
ターゲット生成物は、典型的には、化学または生物学リアクタにおいてガス富化流体に組み合わせられるホスト細胞などのビークルによって生成される。リアクタは、連続供給、不連続供給、および/または半連続供給などの標準的なリアクタを含むことができる。さらに、リアクタは、細胞培養容器(プレート、フラスコ、またはタンク、など)、植物、動物、菌類、藻類、または他の生物を含むことができる。例えば、本発明のガス富化流体に組み合わせられる植物は、ターゲット生成物(例えば、天然に生じる植物、または遺伝子操作された植物)の生成において役立つビークルとして機能する植物細胞を含むことができる。
【0202】
特定の実施形態においては、ガス富化流体または溶液(媒体を含む)とともに利用されるビークルが、原核細胞または真核細胞を含むことができる。より具体的には、それらの生細胞として、細菌(例えば、大腸菌、サルモネラ菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、ナイセリア、ノカルジア、マイコプラズマ、など)、菌類(例えば、酵母、かび、キノコ、など)、植物(タバコ、トウモロコシ、大豆、果物、または野菜、など)、動物(哺乳類、昆虫、など)、古細菌(藍藻類)、原生生物、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、ヒーラ細胞、ハイブリドーマ細胞、メイディン−ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞、幹細胞、細胞株(SP2/0およびNSOを含む)、アフリカミドリザル腎臓(Vero)細胞、Spodoptera frugiperda(ヨトウムシ)、Trichoplusia ni(cabbage looper)、および他の細胞を挙げることができる。さらに、ウイルス(バクテリオファージ、バキュロウイルス、牛痘、および他のウイルス)を、本発明のバイオリアクタにおいて使用することができる。
【0203】
バイオリアクタは、エアーリフト・リアクタ、充填床リアクタ、繊維床リアクタ、膜リアクタ、2室リアクタ、攪拌槽リアクタ、中空ファイバリアクタ、あるいは浮遊培養または固定培養に対応するように設計された他のリアクタを含むことができる。
【0204】
組み換えまたはターゲットたんぱく質の製造の場合において、平衡バッチおよび/または供給媒体は、最適な細胞増殖および組み換えたんぱく質の発現を促さなければならない。媒体は、増殖に不可欠な栄養素のみを含んでいる場合に、「最小限」と称される。原核ホスト細胞において、最小限の媒体は、典型的には、炭素、窒素、リン、マグネシウム、ならびに微量の鉄およびカルシウムの源を含む(Gunsalus and Stanter、The Bacteria、V.1、Ch.1、Acad.Press Inc.、N.Y.(1960))。最小限の媒体の大部分は、炭素源としてグルコースを使用し、窒素源としてアンモニアを使用し、リン源としてオルトリン酸塩(例えば、PO)を使用する。媒体の成分を、ターゲットたんぱく質の生成を抑制することなく最適な増殖を促すために、特定の原核生物の成長に応じて変化させることができ、あるいは補うことができる(Thompsonら、Biotech.and Bioeng.27:818−824(1985))。これは、より低コストでのより高水準の生成を可能にする。
【0205】
媒体の化学的な組成に加え、他の要因も、細胞の増殖および/またはターゲットたんぱく質の生成に影響を及ぼし得る。そのような要因として、これらに限定されるわけではないが、pH、時間、培養温度、溶存している酸素または他のガスの量、ならびにそれら溶存ガスの分圧が挙げられる。発酵プロセスにおいて、媒体のpHが、典型的には、アンモニアの消費あるいは例えば酢酸および乳酸などといった特定の代謝産物の微生物による合成ゆえに、変化する。pHの変化は、最適な細胞増殖にとって好ましくない可能性があるため、媒体を特定のpHに保つこと(すなわち、酸または塩基の添加)が必要とされ、あるいは所望されるかも知れない。pHおよび他のプロセスパラメータを、手作業または自動装置によって監視することができる。
【0206】
(本発明のガス富化流体)
流体を他の流体で豊富にすることで、それら2つの流体の物理的および化学的特性に応じて、2つの流体の溶液または懸濁液をもたらすことができる。とくには、液体をガス(例えば、酸素)で豊富にすることは、治療処置を含む特定の用途にとって有益となりうる。本明細書において使用されるとき、「流体」は、本明細書に開示の任意の特定の実施形態のための液体、ガス、蒸気、液体および/またはガスの混合物、液体および/またはガスの溶液、あるいはこれらの任意の組み合わせを広く指すことができる。さらに、特定の実施形態において、「液体」は、純粋な液体を広く指すことができ、あるいはゲル、ゾル、乳濁液、流動体、コロイド、分散液、懸濁液、または混合物、ならびにこれらの任意の組み合わせを指すことができ、これらはいずれも、様々な粘度であってよい。
【0207】
特定の実施形態において、溶存ガスは、酸素を含んでいる。他の特定の実施形態においては、溶存ガスが、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、硫黄ガス、亜酸化窒素、一酸化窒素、アルゴン、液化石油ガス、ヘリウム、天然ガス、などを含んでいる。
【0208】
本発明の実施形態の1つの特段の利点は、ガス富化流体の長期にわたる拡散ガス(とくには、酸素)のレベルに関し、これが細胞または化学リアクタにガスの長期にわたる生物学的利用能を可能にする。本発明のガス富化流体中のガスの長期にわたる生物学的利用能は、ターゲット生成物の生成の増加ならびに/あるいは酵素または他の化学反応の改善を可能にし、これらが、本発明のガス富化流体(酸素を送り込んだ媒体を含む)からの利益である。
【0209】
いくつかの場合には、細胞増殖および/または目的のターゲット生成物の生成を促進するために、生細胞をバイオリアクタまたは発酵チャンバにおいて増殖させることができる。一部の生細胞が、自身の生存および繁殖の維持および促進のために、ガスの混合物を必要とする一方で、細胞の増殖は、酸素などの特定のガスが高すぎる濃度で存在すると妨げられ、あるいは停止する可能性がある。
【0210】
例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類の細胞は、増殖のために酸素を必要とする。しかしながら、酸素などのガスをバイオリアクタの流体へと拡散させるための技術分野の既存の技法は、哺乳類の細胞の培養に有害な影響を有している。例えば、拡散ガスの気泡が培地内で破裂または融合することが、ガス−液体の界面においてきわめて一般的であるが、そのような場合に、細胞が破壊され、あるいは生存できなくされる可能性がある。したがって、本発明は、通常の過程では生じ得なかったと考えられる進歩を呈している。なぜならば、この技術分野におけるこれまでの知見は、本明細書に開示のガス富化媒体の溶存ガスのレベル、とくには溶存酸素のレベルを、有害または不利と予想されると教えているからである。しかしながら、本明細書に記載のとおりのガス富化流体は、細胞増殖の増進(例えば、速度および/または数)、ターゲット生成物の産出(例えば、量)の増加、ターゲット生成物の生成速度の向上、ビークル細胞の生存能力の向上、ターゲット生成物の生成効率の向上、ターゲット生成物の精製の容易化、などで構成されるグループから選択される少なくとも1つの有益な利点を細胞培養に付与する。特定の実施形態において、これらの有益な利点のうちの1つ以上が、細胞そのものを傷つけることなく細胞培養へと伝えられる。
【0211】
他の実施形態においては、一般的な化学および/または酵素反応など、無細胞の反応が、本発明のガス富化流体および方法を利用することができる。そのような反応の例として、これらに限定されるわけではないが、廃水の処理、水の浄化(都市用水の処理、家庭用の飲料水浄化器、水泳プールまたは水槽の清掃、など)、牛乳の均質化、油の水素化、燃料のガス富化、などが挙げられる。
【0212】
さらなる実施形態において、ガス富化流体は、大気圧において少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも35ppm、少なくとも40ppm、少なくとも45ppm、少なくとも50ppm、少なくとも55ppm、少なくとも60ppm、少なくとも65ppm、少なくとも70ppm、少なくとも75ppm、少なくとも80ppm、少なくとも85ppm、少なくとも90ppm、少なくとも100ppm、あるいはこれらの間またはこれらより大きい任意の値の溶存ガス富化レベルを維持する。特定の場合には、ガス富化流体が、自身の豊富な溶存ガスレベル(すなわち、流体中に富化されたガスのレベル)を、大気圧の密封容器において、少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、少なくとも100日、少なくとも110日、少なくとも120日、少なくとも130日、あるいはそれ以上、またはこれらの間の任意の値の期間にわたって維持する。
【0213】
一特定の実施形態においては、ホスト材料が、水または水蒸気を含んでいる。別の特定の実施形態においては、ホスト材料が、廃水、有毒物質、飲料水、牛乳、ジュース、ヨーグルト、ソフトドリンク(とくには、炭酸飲料)、エタノール、メタノール、ポリマー(プラスチックまたはゴム化合物など)、油(食用または食用でない)、乳濁液、懸濁液、水性担体、非水の担体、などといった他の流体(すなわち、ガスまたは液体)を含んでいる。
【0214】
特定の実施形態においては、複数のガスを、ホスト流体における富化またはホスト流体への注入に使用することができる。特定の実施形態においては、オゾンおよび/または酸素を、とくにはとりわけ本明細書において説明されるような音響化学技法とともに使用される場合に、複雑な構造体をより小さな部分構造体へと分解するために使用することができる。
【0215】
特定の実施形態においては、本発明のガス富化流体または他のホスト物質は、当該流体またはホスト物質において富化されたガスに、より類似する特性を有しており、あるいは当該流体(例えば、ガスまたは液体)またはホスト物質そのものにより近い特性を有することができる。
【0216】
特定の実施形態においては、ガス富化流体または溶液が、ガス富化培地を含んでいる。特定の実施形態においては、ガス富化培地が、酸素化または酸素富化培地を含んでいる。特定の実施形態においては、ガス富化流体またはガス富化ホスト物質が、流体またはホスト物質の種々の構成成分のフィルタ処理、分離、改質、または変性などによるさらなる処理を含んでもよい。
【0217】
(パッケージされたガス富化流体)
本明細書に開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法を含む様々な方法によって製造することができる高い溶存または拡散ガス(とくには、酸素)のレベルを有しているガス富化流体に関する。特定の実施形態においては、ガス富化流体を、バイオマス製造設備において製造し、バイオリアクタシステムへと直接適用することができる。あるいは、ガス富化流体をパッケージし、別の場所での使用のために流通させることができる。ガス富化流体がパッケージされる場合には、そのようなパッケージは、ガラスまたはプラスチック容器、可撓ホイルまたはプラスチック袋、密封箱(特に、ろう箱)、などの無菌のパッケージを含むことができる。密封パッケージの場合には、ガス富化流体が、数日、数週間、または数ヵ月にわたって高い溶存または拡散ガスのレベルを維持することができる。特定の実施形態においては、密封容器(すなわち、ガス交換に対して少なくとも準不透過性であるキャップ、カバー、または他の閉包で囲まれている)が、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも8ヵ月、少なくとも10ヵ月、少なくとも12ヵ月、あるいはこれらの間またはそれよりも長い任意の値の間、流体の拡散性を維持する。
【0218】
(生物学または化学リアクタにおけるガス富化流体)
図45Aおよび45Bに示されているように、生物学または化学リアクタシステム3300aを、ターゲット生成物3318の製造を達成するために、従来からの大規模な細胞培養または化学的処理に使用することができる。ターゲット生成物3318として、これらに限定されるわけではないが、たんぱく質、抗体、合成ペプチド、活性医薬品、食品または飲料製品(ワイン、ビール、ソフトドリンク、フルーツまたは野菜ジュースなど)、植物製品(花、綿、タバコ、木材、紙、木材または紙パルプ、など)、エタノール、メタノール、塗料、フルーツまたは野菜あるいはゼリー、ジャム、ソース、ペースト、などのフルーツまたは野菜製品、チーズまたはチーズ製品、ナッツまたはナッツ製品(ピーナッツバター、アーモンドペースト、など)、肉および肉製品、穀物粉またはパン、シリアル、パスタ、などの製品、これらのいずれかのスラリーまたは混合物、ポリマー加工品(プラスチックおよび他のポリマーを含む)、石油製品、などを挙げることができる。
【0219】
特定の実施形態においては、槽状リアクタなどの容器リアクタが使用される場合に、ターゲット生成物が、とくには大腸菌細胞が利用される場合に、封入体内に位置する。ターゲット生成物を、例えば高圧ホモジナイザまたは他の技法を使用することによって封入体を処理することによって得ることができる。
【0220】
リアクタが生物学リアクタシステムである特定の実施形態においては、システム3306が、ターゲット生成物3318を生成するために、培養すべき培養細胞3310の供給源3308、培地3304の供給源3302、バイオリアクタ3306、および収穫/精製システム3316を含んでいる。培養細胞3310は、ターゲット生成物3318を構成するたんぱく質などを生成するように遺伝子的にあらかじめ画定されており、培地3304は、培養細胞3310の増殖のための栄養を提供する種類の無菌の培地を含むことができる。この特定の典型的な実施形態においては、無菌の培地3304が、供給源3302からリアクタ3306の内部チャンバ(「発酵チャンバ」とも称することができる)に導入される。供給源3308から、培養細胞3310が供給され、細胞3310および培地3304が、バイオリアクタ3306の発酵チャンバ内の培養液3312に混合される。
【0221】
リアクタシステム3300aにおいて利用される適切な基本培地3304を、培養細胞3310に最適な栄養および増殖を提供するように調製することができる。培地3304は、好ましくは流体(例えば、液体またはガス)培地であり、より好ましくは、全体としてのバイオリアクタシステム3300aの特性および目的、コスト、培養細胞3310から培養される細胞の種類、所望の生成パラメータ、リアクタ3306において使用される培養および培地管理プロセスの種類、下流の収穫および精製プロセス3316の種類、ならびにターゲット有効薬剤成分3318などといった特定の変数に基づいて選択される液体培地または固体−液体培地である。現在使用されている種々の細胞培地が、本発明による使用またはガス富化に適合できる。
【0222】
特定の実施形態においては、適切な基本培地3304として、これらに限られるわけではないが、血清添加培地、加水分解培地、化学合成培地、既知組成培地、無血清培地、ならびにこれらまたは他の培地の任意の組み合わせを挙げることができる。
【0223】
特定の実施形態においては、ガス富化培地を、トランスフェリン、アルブミン、フェチュイン、たんぱく質加水分解物、もしくは他の添加剤、保存料、栄養素、フィ螺旋断保護剤(Pluronic F68など)、あるいは活性または不活性な剤で補うことができる。
【0224】
さらに、培地を、培養液3312に懸濁しているのではなく、バイオリアクタ3306内の何らかの形式の支持体へと付着している細胞に合わせて、調製することができる。培地3304を使用するすべての実施形態において、培地3304は、培養細胞3310内の個々の細胞種の栄養の必要に合致するように調製され、典型的にはミネラル、塩、および糖を含んでいる。
【0225】
特定の実施形態においては、培地3304および/または培養液3312が、ガス(酸素など)を例えば培地、培養液、またはそれらの成分へと、少なくとも約8ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約100ppm、あるいはこれらの間またはそれ以上の任意の値の濃度で溶存または拡散させるために、本明細書に開示の混合装置100を使用してガス富化される。特定の実施形態においては、ガス富化培地および/または培養液が、約160ppm未満を含んでいる。
【0226】
特定の実施形態においては、典型的な生物学または化学リアクタに、殺菌された原材料(栄養素、反応剤、など)が、空気または特定のガスならびに生物学リアクタのための細胞とともに投入される。発泡防止剤、pH制御剤、および/または他の剤など、他の剤も、混合物へと追加することができる。ターゲット生成物が、典型的には、細胞を分離および/または破壊して生成物を抽出し、生成物を濃縮し、さらに生成物の精製、乾燥、またはさらなる処理を行うことによって、回収される。
【0227】
多種多様なバイオリアクタシステムが、今日では使用されており、そのいずれかを、本発明のガス富化培地とともに使用することができる。例えば、エア−リフト・バイオリアクタが、バクテリア、酵母、および他の菌類において一般的に使用されており、流動床バイオリアクタが、固定されたバクテリア、酵母、および他の菌類、ならびに活性スラッジにおいて一般的に使用されており、マイクロキャリア・バイオリアクタが、固体粒子上に固定された哺乳類細胞において一般的に使用されており、表面組織プロパゲータが、哺乳類細胞、固体表面での組織の成長、および再生医療において一般的に使用されており、膜バイオリアクタ、中空繊維、および回転発酵槽が、バクテリア、酵母、哺乳類細胞、および植物細胞において典型的に使用されており、変形攪拌槽バイオリアクタが、固定されたバクテリア、酵母、および植物細胞において一般的に使用されており、変形充填床バイオリアクタが、固定されたバクテリア、酵母、および他の菌類において一般的に使用されており、タワーおよびループ・バイオリアクタが、バクテリアおよび酵母において一般的に使用されており、真空およびサイクロン・バイオリアクタが、バクテリア、酵母、および他の菌類において一般的に使用されており、光化学バイオリアクタが、光合成細菌、藻類、シアノバクテリア、植物細胞培養、および/またはDNA植物細胞において一般的に使用されている。
【0228】
バクテリア、酵母、植物細胞、哺乳類細胞、および真菌細胞などといった生細胞は、基質(糖、脂肪、およびたんぱく質など)の生物学的酸化における電子受容体として酸素分子を必要とするため、高度に酸素化された細胞培地が、生細胞にとって有益である。標準的な酸化還元反応においては、グルコースが酸化されて、二酸化炭素が作られる一方で、酸素が還元されて、水が作られる。分子酸素が、好気的代謝において基質から放出される電子のすべてを受け取る。したがって、増殖する細胞に生物学的に利用可能な最大量の酸素を提供するために、気泡(気相)から液相への酸素の移動が迅速に生じるように保証する必要がある。酸素が液相に蓄積していないとき、酸素移動の速度は、増殖する細胞による酸素摂取の速度と同じである。
【0229】
微生物の酸素需要量は、QOの単位である標準的な式として確定される。QOは、消費された酸素の質量を、バイオリアクタ内の乾燥バイオマス細胞の単位重量で除算し、時間を乗算したものである。対照的に、酸素の蓄積の速度は、気泡からの酸素供給の正味の速度から、細胞による酸素消費の速度を減算したものに等しい。
【0230】
バイオリアクタの種類の多さに加え、それぞれのバイオリアクタは、海洋型のプロペラ、平羽根タービン、ディスク平羽根タービン、湾曲羽根タービン、傾斜羽根タービン、パドル、およびシュラウド付きタービンなど、特定の種類のインペラーを利用することができる。インペラーまたはタービンは、バイオリアクタにおいて混合の渦パターンまたは一様な混合を生み出すことができる。
【0231】
特定の実施形態において、本発明のガス富化流体は、ガスの漸進的な放出が時間とともに生じるような、ガスの生物学的利用可能性の持続に関係する。この漸進的または「時限」の放出は、培養される細胞などのビークルにとって、とくにはガス富化流体から放出される流体が酸素を含んでいる場合に、有益である。すなわち、細胞3310による発酵または有機化合物の生化学的合成は、典型的には、培養液3312中の拡散または溶存ガスの濃度によって促進され、さらにはバイオリアクタ3306の発酵チャンバにおける温度制御および培地3304と培養細胞3310との混合によって促進される比較的高速な増殖期を含んでいる。特に典型的な実施形態が、図に示されているが、さらなる構成要素または槽を含むことができる。混合を、バイオリアクタ3306内で羽根などを回転させることによって促進でき、とりわけ後述されるように、配管3332、3338、または3334のいずれかから、新鮮な培地3304および/または培地3304の新鮮に再拡散された供給を再導入することによって促進できる。
【0232】
図45Aに示した1つのきわめて典型的な実施形態においては、培養細胞にガス(例えば、酸素)を導入するための培地および/または培養液の富化処理を、システムの様々な地点で行うことができる。例えば、培地のガス富化を、培地3304をシステム3300aへと導入する前に供給源3302において行うことができ、あるいは導入後に、1つ以上の位置「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、またはこれらの組み合わせにおいて行うことができる。供給源3302において導入できるガス富化流体は、バイオリアクタの場所で富化され、あるいは別の場所で富化される。ガス富化流体が、別の場所で富化される場合には、それを適切な容器または配管にて供給源3302へと運ぶことができる。
【0233】
特定の実施形態において、図45Aの位置「A」、「B」、および「C」のそれぞれは、バイオリアクタシステム3300Aにおけるガス富化拡散装置1の導入位置の選択肢を表わしている。導入が地点「A」において生じる場合、培地がタンク3304から3332の3332Aの上部を通って流れ、培地を、位置「A」に位置するガス富化混合/拡散装置100を通って導くことができ、溶存ガスを含んでいる培地3304が、混合/拡散装置100から3332Bを通ってバイオリアクタ3306の発酵チャンバへと進む。
【0234】
図45Bを参照すると、タンク3302からの培地3304を、配管3332Aを通ってポンプ3410に導き、次いでガス富化拡散装置100のホスト材料入力部へと導くことができる。ポンプ3410は、好ましくは可変速ポンプであって、圧力センサ3415によって検出される圧力の読み取りに部分的にもとづいてコントローラ3390によって制御することができる。特定の実施形態は、圧力検出器として手動ゲージを使用し、そこから作業者が、ポンプ3410の速度ならびにシステム3300aまたは3300bの他の構成要素を手動で調節することができるが、コントローラ3390は、好ましくはセンサ3415から電気信号を受信することにより、ポンプ3410の速度を自動的に調節する。本明細書におけるさらなる説明から明らかになるとおり、ポンプ3410の速度は、コントローラ3390内のアルゴリズムにももとづくことができ、そのようなアルゴリズムは、システム3400の他の構成要素(バルブ3420、3421およびセンサ3425など)の状態に部分的に依存して決まる。
【0235】
あるいは、ガス富化混合/拡散装置100を、位置「B」に配置してもよく、培地3304が媒体3310と一緒に処理される。この特定の場合には、細胞3310および培地3304が、従来からの混合ノズルを使用して流れへと混合され、次いで混合/拡散装置100へと導入され、混合/拡散装置100において、有益なガスが培地3304および細胞3310からなる混合液へと注入される。次いで、得られたガス富化培地が、バイオリアクタ3306の発酵槽へと導かれる。
【0236】
図45Aに示されるように、細胞3310を、培地3304に組み合わせることができ、発酵および/またはターゲット生成物の生成の後で、バイオリアクタ3306の内容物を、配管3336を通って収穫/精製段階へと導くことができる。精製後に、ターゲット生成物は、配管3339を通ってターゲット生成物タンク3318へと導かれる。
【0237】
図45Bを参照すると、特定の実施形態においては、ガス富化混合/拡散装置100が、培地3304の流れを配管3426からのガスの流れに組み合わせる。好ましくは、培地3304に組み合わせられるべきガスが、酸素タンク3450から流れ、コントローラ3390によって制御されるバルブ3420によって計量される。
【0238】
特定の実施形態においては、ガス富化混合/拡散装置100が、リアクタ3306によって直接的に発酵槽へと配管3332bによって導かれる。あるいは、ガス富化流体を、配管3332bを通って別の混合へと導くことができる。
【0239】
図45Aを参照すると、バイオリアクタシステム3300aは、バイオリアクタ3306からの培養液の処理を開始する追加のシステム(かん流システムなど)3314を含むことができる。かん流プロセス3314においては、培地3304が、培養細胞3310へと栄養を与えるために培養液3312へと連続的に追加され、次いでこれが、培養液3312の全体へと混ぜ合わせられる。同時に、細胞または他の廃棄物を、典型的には新たな培地3304の追加と同じ速度で、培養液3312から連続的に取り除くことができる。本明細書においてすでに示したように、ガス富化を、位置「D」または「E」あるいは位置「D」および「E」の両方で行ってもよい。
【0240】
かん流システムによれば、細胞の廃棄物および残骸ならびにターゲット生成物を、バイオリアクタ3306の細胞を保持しつつ、取り除くことができる。したがって、かん流システムは、廃棄物の蓄積および栄養素の変動を少なくし、より高い細胞密度および生産性を可能にする。バイオリアクタ内の細胞の保持は、遠心分離、内部または外部のスピンフィルタ、中空ファイバモジュール、クロスフローろ過、深層ろ過、これらの任意の組み合わせ、または他の方法など、様々な方法で達成することができる。他の実施形態においては、廃棄物の蓄積を、グルタミン合成酵素発現系の使用によって制限することができる。
【0241】
図46を参照すると、とくに典型的な実施形態は、図示のとおりに複数のガス供給源3502および3504を使用し、培養液3312へと拡散されるガスの性質を、バイオリアクタ3306内での発酵の段階に応じて変化させることができる。したがって、好ましい実施形態においては、細胞培地が、発酵の増殖段階において酸素富化される。続いて、とくには好気性から嫌気性へと変化するプロセスにおいて、発酵プロセスの別の段階を促進するために、二酸化炭素、亜酸化窒素、または他のガスでの置換を行うことができる。
【0242】
バイオリアクタは、エアーリフト・リアクタ、充填床リアクタ、繊維床リアクタ、膜リアクタ、2室リアクタ、攪拌槽リアクタ、中空ファイバリアクタ、あるいは浮遊または固定の細胞培養に対応するように設計された他のリアクタを含むことができる。
【0243】
一特定の実施形態においては、バイオリアクタ3306が、熱交換および冷却の能力、センサ、コントローラ、ならびに/あるいは発酵チャンバ内の環境状態を監視および制御するための制御システムを備えている連続攪拌槽リアクタである。監視および制御される状態として、ガス(例えば、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、硫黄ガス、一酸化炭素、水素、アルゴン、ヘリウム)、流量、温度、pH、溶存酸素レベル、攪拌速度、循環速度、などを挙げることができる。さらに、バイオリアクタ3306は、ユニットの組み立てまたは分解を必要とせずに清掃および/または殺菌できるその場洗浄(CIP:Cleaning−in−Place)またはその場殺菌(SIP:Sterilization−in−Place)システムをさらに備えることができる。
【0244】
一特定の実施形態において、バイオリアクタ3306は、培地3304を発酵システムに連続的に追加しつつ、これに釣り合うように、ターゲット生成物の抽出のために培養液3312を回収または収穫する連続発酵サイクルを実行する。
【0245】
別の実施形態においては、バイオリアクタ3306が、バッチ発酵サイクル、流加回分発酵サイクル、またはガス富化流体による流加回分発酵サイクルを実行することができる。典型的には、すべての反応剤が同時に投入されるバッチ発酵サイクルは、小規模の作業、または高価な生成物の製造、あるいは連続作業への変換が困難でありうるプロセスに使用される。典型的なプロセスにおいては、培養液の発酵が、完了までの所定の時間にわたって、さらなる培地の追加を伴わずに行われる。濃度が時間とともに変化するが、典型的には、任意の一つの特定の時点においては一様である。攪拌が、別々のフィードラインを混合するように機能し、さらには熱伝達を向上させるように機能する。
【0246】
バッチ発酵においては、典型的には、各バッチの総質量が固定され、各バッチが閉じた系であり、培地のすべての反応剤について、反応または滞留時間が同じである。バッチの排出後に、発酵チャンバが清掃され、別のバッチサイクルのための培地3304において再開される。所望の生成物を収穫された培養液3312の他の成分から分離および精製することは、ターゲット生成物に応じて、リフォールディング、親和性の変更、イオン交換精製、疎水的相互作用の変更、ゲルろ過クロマトグラフィ、限外ろ過、および/または透析ろ過、などといったさらなる処理を含むことができる。
【0247】
流加回分発酵においては、一般的には、培地3304のうちの最初の一部分が発酵チャンバへと加えられ、次いで培養細胞3304が接種される。培地3304を、発酵サイクルの残りの部分において、測定された速度で追加することができる。細胞集団および培養液3312が、一般的には、サイクルの終わりにおいてのみ収穫される。
【0248】
ターゲット生成物の収穫および精製(ステップ3316)の後に、(典型的には、ひとたび培養細胞3310がバイオリアクタ3306内でピーク細胞増殖密度を達成すると)精製された生成物3318(いくつかの場合には、医薬品または有効医薬品成分、すなわちAPI)が得られる。次いで、精製された生成物を所望のとおり処理し、選択的に、医薬品製造プラントまたは他の施設への移動のために、無菌の梱包プロセス3322において適切な容器にパッケージすることができる。次いで、精製された生成物を、疾病の予防、処置、および/または診断などといった任意の所望の目的に使用することができる。
【0249】
(リアクタとしての植物および動物)
さらに、リアクタは、植物または動物生成物あるいは組み換え生成物の生成に使用される植物または動物を含むことができる。特定の実施形態において、植物または動物ターゲット生成物は、天然に生じる生成物(例えば、食物に結実する作物または肉、あるいは綿花などの織物関連の生成物、など)であってよく、あるいはターゲット生成物は、遺伝子操作された生成物(例えば、ヒト成長ホルモンまたはインスリンなどの治療薬、あるいは他の生物学的に有効なたんぱく質およびポリペプチド)であってよい。遺伝子操作または組み替えされた生成物を、遺伝子組み換えまたは遺伝子操作の植物、動物、およびこれらの組み合わせによって生成することができる。
【0250】
(水産養殖)
魚(例えば、ティラピア)を、食用の水産養殖において成長させることができ、ターゲット生成物の生成のための遺伝子組み換えビークルとして成長させることができる。最適なティラピアの成長のための好ましい温度範囲は、82〜86°Fである。成長は、68°Fを下回る温度で大きく衰え、典型的には50°F未満で死に至る。また、約54°Fを下回る温度において、ティラピアの免疫耐性が衰え、バクテリア、菌類、および寄生生物による感染を容易に受ける。
【0251】
20年前、ナイジェリアの水産養殖の研究者が、池水の溶存酸素濃度をティラピアの成長速度に相関付けようと試みた。UN FAOの報告:高い溶存酸素レベル(約7.0ppm)、中程度のDO(約3.5ppm)、および低いDOレベル(2ppm未満)で若いティラピアの成長速度を調べることによって、研究を行った。成長速度を、魚の重量を測定することによって割り出した。研究の終わりにおける最終的な重量の増加は、高DOレベルの魚について19グラム、中程度のDOの魚について5グラム、低DOレベルの魚について1.5gであった。これは、DOレベルに関係して成長速度が74%および92%も低下することを表わしている。したがって、DOレベルが下がると、給餌および排泄物産出も少なくなる。低DOレベルの水のティラピアが、生存に必要な周囲の酸素にアクセスするために水面を割ることが観察された。
【0252】
本発明のガス富化流体は、水中の高い溶存酸素レベルが長い時間期間にわたって維持される酸素化された真水の供給をさらに含んでいる。特定の態様によれば、水産養殖の背景において本発明の拡散装置を使用することで、35ppmを超える溶存酸素レベルを、103°Fの水において水生生物に大きなストレスを加えることなく記録することができる。
【0253】
(植物の成長)
動物の成長の他に、本発明のガス富化流体を、植物の成長および発達に利用することができる。ガス(酸素など)が、成長のためのエネルギーの放出ならびに水およびミネラルの摂取を可能にする植物の根呼吸に必要である。植物の成長が、根領域に高いガス(例えば、酸素および/または窒素)レベルを保つことによって促進されることが、広くかつ明白に証明されている。この点に関し、植物の根系へのガスの送達の増加が、根の活動の促進による収穫の向上の可能性を提供する。同様に、遺伝子組み換え植物の成長の実施形態においては、植物へのガス送達の増加が、ターゲット生成物(治療薬または生物医薬品など)の生成の向上をもたらすことができる。
【0254】
水耕作物が、根領域を濡らす栄養溶液の直接的なガス富化(酸素化)を介して、本発明のガス富化拡散装置から大きな利益を受けることができる生産についての1つの典型的な系を呈する。水耕作物は、典型的には、限られた量の成長培地または根領域において生産され、したがって根領域のガス(例えば、酸素)の不断の交換を必要とする。レタス、ほうれん草、トマト、およびキュウリなどの水耕作物が、ガス富化栄養溶液に直接的かつ大きく応答することが、すでに実証されている。これらの応答のいくつかは、植物の成長の向上、根体積の増加、植物の収量の増加、およびより高品質な生産物である。このように、水耕システムは、本発明のガス富化流体から利益を受けることができる。
【0255】
他の水耕作物も、根領域のガス富化に対して同様の応答を有している。しかしながら、暖かい温度においては、作物の生産は、根領域におけるガス(酸素など)の必要が増すために、低下した。したがって、富化は、根細胞のガス不足の防止、ならびに好ましい成長条件に満たない条件下での成長の促進に有効である。
【0256】
典型的には、高い光レベルに起因する高密度および高速な発達(ならびに、高い根領域の温度)において成長することができる熱帯作物は、より穏やかな温度条件で成長する作物に比べ、何倍も多くのガスを必要とする。したがって、園芸生産の多数の系においてガス富化が必要になる。きわめて限られた国土からの収入および食物のための集約的な園芸作物の生産に大きく依存する人口密度の高い国々は、この技術から大きな利益を受けるであろう。
【0257】
土壌ベースの作付け系も、本発明のガス富化溶液から利益を受けることができる。多数の作物が、滴り、しずく、または畦間かんがいによる供給を受け、ガス豊富なかんがい用水または滴下施肥溶液の使用から、大きな利益を受けることができる可能性がある。そのような作物として、これらに限られるわけではないが、野菜(トマト、レタス、ハーブ、うりなどのサラダ作物)、切り花、装飾花、芝、ブドウ園、果樹園、および長期の植林が挙げられる。酸素などのガスが、植物の健康および成長に直接作用できるが、根領域のガス(例えば、酸素)の生物学的利用可能性を高めることによって間接的に作用することもでき、さらには土壌の微生物の生存を促進することによって植物の健康を改善することもできる。
【0258】
土壌の微生物の生存に関して、微生物の集団が、土壌および有機系におけるミネラルの変換、および植物の疾病の抑制による全体としての植物の健康のために、必須である。これらの微生物は、作物の生産にとって有益であって必須であることも多いが、その集団もガス(例えば、酸素)を必要とし、植物の根細胞のためのガスと競合する可能性がある。したがって、微生物の繁殖を可能にするために植物の根へとガス(例えば、酸素)を供給することは、有機的に成長する作物および標準的な成長条件の両者にとって不可欠である。有機系の成長培地/土壌にガスを高速で供給することは、植物が使用できる栄養素の有機肥料変換およびミネラル化の速度を速め、高収益の有機作物の健康および生産性を高めることができると考えられる。
【0259】
さらに、作物の成長のために利用できる国土は、限られた資源および不適切な土壌の多数の国々において難題を呈している。
【0260】
水耕作物に加えて、本明細書に開示した技法は、種子発芽、種子栽培、細胞移植物の生成、切断からの増殖、芽の生成、家畜飼料の生産、土壌ベースの作付け、芝生産業、観賞植物、および薬用植物に適用可能である。
【0261】
(ガス富化流体を製造するためのシステム)
ここに示されるように、典型的な酸素化システムは、ポンプによって吸い上げられて、配管または他の導管を通って循環させられ、その後に混合/拡散装置へと送達される流体の供給源またはリザーバを備えている。混合/拡散装置は、本明細書においてすでに記載および説明された実施形態を含む種々の実施形態のいずれかであってよい。これらの拡散装置は、流体およびガスの混合に望ましい所望のキャビテーションおよび振動を生成するために筐体内でディスクまたはプレートを回転させる同軸的な円筒形または円錐台形のステータおよびロータ部品を有している拡散装置、Mazzie拡散装置、またはインペラーを使用して、例えばガス状の酸素を流体へと導入することによって、流体中に存在する溶存ガス(例えば、酸素)の量を大きく増加させる。流体の多くは、水性または水ベースであるが、本発明がそれらに限られないことに注意すべきである。
【0262】
拡散装置は、ポンプによる流体の供給を受け、これを例えば供給源からのガス状の酸素と混合し、酸素化された(または、他のガス富化された)液体をリザーバへと戻す。拡散装置は、これらに限定されるわけではないが、マイクロ膜、Mazzieインジェクタ、微細気泡、渦形成、電気分子活性化、または他の方法など、拡散を達成するために考えられるいくつかの実施形態のうちのいずれかを採用することができる。酸素の供給源は、加圧酸素ガスのボンベであってよく、あるいは空気または他の化学成分から酸素ガスを生成するためのシステムであってよい。拡散装置によって生成された酸素化流体は、リザーバへと戻され、溶存ガス量をさらに増加させるために、再びポンプおよび/または拡散装置へと循環させてもよい。あるいは、流体を、酸素化流体の排出口を用いて取り出してもよい。排出口を通って取り出された酸素化流体を、すぐに様々な用途に使用しても、あるいは後の使用のためにパッケージしてもよい。
【0263】
パッケージングの工程は、ガス富化(例えば、酸素化)流体をプラスチック、金属、ガラス、または他の適切な材料で形成された様々な瓶、袋、または他の容器に入れることができる。本発明に従って生成されたガス富化または酸素化流体は、大気条件のもとで比較的長い保管寿命を有しているが、ガス富化流体を気密に封じるパッケージングを使用することによって、保管寿命をさらに延ばすことができる。この態様で、保存中に流体から出ようとする溶存酸素が、ガス富化流体の上方に圧力ヘッドを形成し、溶存酸素または他のガスが流体から出て大気へと戻ることがないようにするうえで役に立つ。本発明の一つの好ましい実施形態においては、ガス富化流体が気密容器にパッケージされ、空き空間が、容器の密封に先立って、1気圧よりも高い圧力で、富化に使用したガスで満たされる。パッケージングの工程を、酸素化溶液を保持する瓶、バッグ、袋、または他の適切な容器を製造するために使用することができる。
【0264】
ここに開示したシステムおよび/または方法によれば、酸素または他のガスを、最小の受動的な損失とともに、高い濃度で、安定的に溶存させることができる。これらのシステムおよび/または方法を、幅広く様々なガスを高い比率で幅広く様々な流体中に溶存させるために、効果的に使用することができる。例えば、あくまでも例として、一般的には約7〜9ppm(パーツ・パー・ミリオン)の溶存酸素レベルを有する室温における脱イオン水が、ここに開示したシステムおよび/または方法を使用して、約8〜70ppmの範囲の溶存酸素レベルを達成できる。特に、典型的な実施形態によれば、酸素化水または生理食塩水を、約30〜60ppmの溶存酸素レベルにおいて生成することができる。
【0265】
(チャイニーズハムスター卵巣細胞の培養)
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、特に完全な生物学的機能の発現のために変換後修飾を必要とする組み換えたんぱく質の発現および生成に頻繁に使用される哺乳類細胞である。
【0266】
特定の態様によれば、CHO細胞の様々な特性を、ガス富化拡散装置100または装置100によって生成されたガス富化培地をCHOバイオリアクタへと取り入れることによって、改善することができる。
【0267】
特定の態様によれば、CHO細胞の培養において、形質転換CHO細胞の長期の成長のために、細胞株特有の無血清培地(例えば、SAFC Biosciences,Inc.からの)など、本発明のガス富化流体または培地を使用することが可能である。さらなる態様によれば、CHO細胞が、流体(培地を含む)のガス富化処理においてガス富化拡散装置を通されることによって害されることがない。
【0268】
インラインバイオリアクタでのCHO細胞の生存を測定する試験を実行した。要約すると、2LのCHO培地および10以上の密度のCHO細胞を含むインラインバイオリアクタを使用した。バイオリアクタ(ガス富化拡散装置を含んでいる)を、約10分間にわたって動作させ、25mLのサンプルを取り出した。細胞を、0.4%のトリパンブルーで染色し、細胞の生存を血球計で評価した。この指標によれば、CHO細胞が、流体(培地を含む)のガス富化処理においてガス富化拡散装置を通されることによって大きく害されることがなかった。
【0269】
以上説明した実施形態は、様々な他の構成要素に収容され、あるいは様々な他の構成要素に接続される様々な構成要素を例示している。そのように例示された構成が、あくまで例示にすぎず、実際に、同じ機能を達成する他の多数の構成が実現可能であることを、理解すべきである。概念的な意味で、同じ機能を達成するための構成要素の任意の配置構成が、所望の機能が達成されるように効果的に「組み合わせ」られる。すなわち、特定の機能を達成するために本明細書において組み合わされる任意の2つの構成要素を、構成および中間要素であるにかかわらず、所望の機能を達成するように互いに「関連付けされている」と見ることができる。同様に、そのように組み合わされた任意の2つの構成要素を、所望の機能を達成するために互いに「作用可能に接続」または「作用可能に連結」されていると見ることもできる。
【0270】
本発明の特定の実施形態を図示および説明したが、本明細書の教示に基づいて、本発明および本発明の幅広い態様から離れることなく変更および変形が可能であり、したがって、そのような変更および変形のすべてが、本発明の真の技術的思想および技術的範囲に含まれるものとして、添付の特許請求の範囲に包含されることは、当業者にとって明らかである。さらに、本発明が、添付の特許請求の範囲によってのみ確定されることを、理解すべきである。一般に、本明細書において使用され、とくには添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主文)において使用される用語が、通常は「排他的でない」用語として意図されていることを、当業者であれば理解できるであろう(例えば、用語「・・・を含んでいる(icluding)」は、「・・・を含んでいるが、それ(それら)に限られない」と解釈すべきであり、用語「・・・を有する(having)」は、「少なくとも・・・を有する」と解釈すべきであり、用語「・・・を含む(icludes)」は、「・・・を含むが、それ(それら)に限られない」と解釈すべきであり、以下同様である)。また、請求項に記載される言及物について、特定の数であることが意図される場合には、そのような意図が請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合には、そのような意図が存在しないことを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、理解の助けとして、以下に添付される特許請求の範囲は、請求項の言及物を紹介するために、「少なくとも1つの・・・(at least one)」または「1つ以上の・・・(one or more)」などといった導入句の使用を含むかも知れない。しかしながら、そのような句を使用せず、請求項の言及物を不定冠詞「a」または「an」によって紹介したからといって、そのような請求項の言及物の紹介を含んでいる特定の請求項を、そのような言及物を1つだけしか含まない発明に限られると解釈してはならない。これは、「1つ以上の・・・」または「少なくとも1つの・・・」という導入句と、「a」または「an」などといった不定冠詞とが、同じ請求項に含まれている場合にも当てはまる(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されなければならない)。同じことが、請求項の言及物を紹介するために使用される定冠詞の使用についても当てはまる。さらに、請求項に導入された言及物について、たとえ特定の数が明示的に記載されていても、そのような記載を、記載の数以上を意味すると典型的には解釈すべきであることを、当業者であれば理解できるであろう(例えば、単に他の修飾句を含まずに「2つの・・・」と記載されている場合、典型的には、「少なくとも2つの・・・」または「2つ以上の・・・」という意味である)。
【0271】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲以外の何物にも限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45A】
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【図45B】
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【図46】
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【公開番号】特開2012−236194(P2012−236194A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−198662(P2012−198662)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2009−534875(P2009−534875)の分割
【原出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(509118444)リバルシオ コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】