説明

混和性ポリマー配合物を含む活性剤放出系、医療機器、及び方法

二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含む活性剤放出系;ここにおいて少なくとも一つの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含んでなる混和性ポリマー配合物を含み;そして更にここにおいて少なくとも一つの活性剤の放出は、支配的に浸透制御下で起こる。

【発明の詳細な説明】
【関連する出願との相互参照】
【0001】
本出願は、本明細書中にその全てが参考文献として援用される、2003年8月13日に出願された米国特許仮出願60/494,979の利益を請求する。
背景
医療機器のポリマー被覆は、活性剤(例えば、治療剤)の患者への放出のための保管場所として役立つことができる。このような多くの適用に対して、ポリマー被覆は、できる限り薄くなくてはならない。活性剤を放出することにおける使用のためのポリマー材料は、更に各種の三次元の形状であることができる。
【0002】
慣用的な活性剤放出系は、亀裂による構造的破損及び機器表面からの離層を含む制約に悩まされている。更に、これらは、使用することができる活性剤の範囲、放出系内に含むことができる活性剤の量の範囲、及び含まれている活性剤がこれらから放出される速度の範囲に関して制約される傾向がある。これは、多くの慣用的系が単一のポリマーを含むために、頻繁におこる。
【0003】
従って、特に一つより多い活性剤が使用される場合、より大きい多用途性及び調整性を伴う活性剤放出系に対する継続する必要性が存在する。
発明の概要
本発明の活性剤放出系は、典型的には二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層(好ましくは、20層まで、そして更に好ましくは数百又は数千の層までさえ)を含み;ここにおいて少なくとも一つの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含む混和性ポリマー配合物を含む。系は、少なくとも一つの活性剤の放出が、浸透制御下で支配的に起こるように設計される。この文脈において、浸透制御に関する“支配的に”は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、そして更に好ましくは少なくとも90%の全活性剤の添加量が、浸透制御によって放出されることを意味する。
【0004】
浸透制御は、典型的には、活性剤が、ミクロン単位の水準(即ち、拡散正味経路が、造形された対象物では、これは約10,000ミクロンまでであることができるが、約1000マイクロメートルより大きくない)の“限界”寸法を有する混和性ポリマー配合剤を通して通過する系から、活性剤を放出することにおいて重要である。多層系において、限界寸法は、活性成分(単数又は複数)の制御された浸透において役割を演じる配合物層又は複数の層の寸法である。更に、活性剤の不均一な組込みによって有害に影響されることなく、所望する機械的特性を与える特定の活性剤のためにポリマーを選択することは、一般的に好ましいことである。
【0005】
本発明は、活性剤の放出を制御することにおいて一般的に良好な多用途性及び調整性を有する活性剤放出系を提供する。典型的には、このような利益は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物の使用からの結果である。これらの放出系は、医療機器、例えば、ステント、ステント移植片、吻合接続器具に所望する場合組み込むことができる。
【0006】
広い範囲の構造を、二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含む活性剤放出系を使用することができ、ここにおいて少なくとも一つの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含む混和性ポリマー配合物を含む。本発明の系は、広い範囲の層(例えば、数十、数百、又は数千でさえ)を含むことができる。特に好ましい系は、2、3、又は4層を含む。
【0007】
二層の系において、内部層は、全ての活性剤を含むことができ、そして外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、両方の層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0008】
三層の系において、内部の二つの層は、全ての活性剤を含むことができ、そして外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、最内部及び最外部層は、全ての活性剤を含むことができ、そして中間層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、全ての三層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0009】
四層の系において、内部の三層は、全ての活性剤を含むことができ、そして外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、二つの中間層の一つは、障壁層として機能することができる。別の方法として、二つの層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、全ての四つの層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0010】
一つの態様において、少なくとも一つの活性剤が、少なくとも一つの混和性ポリマー配合物層内に組込まれる。別の方法として、混和性ポリマー配合物層は、最初に活性剤のための障壁を提供する。即ち、最初に、これはいずれもの活性剤を含有しない。その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、混和性ポリマー配合物層は、内部層(例えば、最内部層)であることができる。
【0011】
本発明の活性剤放出系の各種の層は、単一のポリマーの層を含むことができる。これは、例えば最外部層を形成することができ、そしてこの層中に活性剤が存在しない場合、これは、障壁層を形成する。別の方法として、単一のポリマー層は、活性剤を含むことができ、この場合系は、単一のポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含む。
【0012】
他の態様は、少なくとも二つの層を含むことができ、そのそれぞれは、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を有する。それぞれの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物を含むことができる。
【0013】
ある態様は、ポリマーの非混和性混合物の層を含むことができる。例えば、少なくとも二つの層の一つの態様において、一つの内部層は、その中に組み込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含むことができ、そして系は、非混和性ポリマー混合物層を上部から被覆する障壁層を更に含むことができ、ここにおいて障壁層は、最初に活性成分を含まず、そして更にここにおいて障壁層は、混和性ポリマー配合物を含む。
【0014】
ある態様は、少なくとも一つの活性剤の濃度が層を通して変化するように、少なくとも一つの活性剤の濃度勾配を含むことができる。
ある態様は、濃度勾配が形成されるように、同一のポリマーをそれぞれの層に変化する量で含むことができる。
【0015】
ある態様において、速く放出され、そしてより多い量で存在する(即ち、より大きい添加量)活性剤の溶解度パラメーター及び二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物の体積平均溶解度パラメーター間の差は、他の一つ又はそれより多い活性剤のそれぞれの溶解度パラメーター及び二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物の体積平均溶解度パラメーター間の差より小さい。
【0016】
本発明は、更にこのような活性剤放出系を含む医薬機器(例えば、ステント、ステント移植片、吻合接続器具)を提供する。このような医療機器は、例えば、基質表面、基質表面に付着したポリマーの下部から被覆する層、及びポリマーの下部から被覆する層に付着した活性剤放出系を含む。
【0017】
本発明は、更に二つ又はそれより多い活性剤を患者に放出するための方法を提供する。一つの態様において、放出の方法は:先に記載したとおりの活性剤放出系を用意し、そして活性剤放出系を患者の体液、器官、又は組織と接触させることを含む。
【0018】
本明細書中において、浸透制御の文脈における“支配的に”は、少なくとも一つの活性剤の全添加量の少なくとも50%(好ましくは少なくとも75%、そして更に好ましくは少なくとも90%)が、浸透制御によって放出されることを意味する。好ましくは、全ての活性剤が、浸透制御下で放出される。
【0019】
用語“透過率”は、拡散率掛ける溶解度である。
用語“モル平均溶解度パラメーター”は、相互に混和性である配合成分の溶解度パラメーターの平均を意味し、そしてこれは、混和性ポリマー配合物の連続部分を形成する。これらは、ポリマー配合物に組込まれた活性剤を含まない配合物中のこれらのモルパーセントによって加重される。
【0020】
用語障壁層は、活性成分(単数又は複数)の放出の速度を制御するポリマー層を指す。これは、浸透を防止せず;むしろこれは、浸透の速度を遅め、及び/又は遅れ時間を増加する。これは、典型的には個別の層であり、そして活性剤の広がりを防止する。
【0021】
上記の本発明の概要は、それぞれの開示された態様又は全ての本発明の実施を説明することを意図したものではない。以下の説明は、例示的態様を更に特定的に例示する。本出願を通していくつかの場所で、例の列挙による指針が与えられ、これらの例は、各種の組合せで使用することができる。それぞれの場合、引用された列挙は、代表的な群としてのみ役立ち、そして排他的な列挙として解釈されるべきではない。
【0022】
例示的態様の詳細な説明
本発明は、患者に放出するための二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含む活性剤放出系を提供し、ここにおいて少なくとも一つの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含む混和性ポリマー配合物を含む。放出系は、各種のポリマーを、少なくともこれらの二つが本明細書中で定義するように混和性である限り、含むことができる。
【0023】
混和性ポリマー配合物は、混和性ポリマー配合物が活性剤の放出を制御する限り、本発明の放出系中の二つ又はそれより多い活性剤との組合せで各種の形式で使用することができる。即ち、広い範囲の構造を、二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含む活性剤放出系において使用することができ、ここにおいて少なくとも一つの層は、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含む混和性ポリマー配合物を含む。好ましくは、少なくとも一つの活性剤は、少なくとも一つのポリマー配合物層を通してディソリュート(dissolute)する。
【0024】
本発明の系は、広い範囲の数の層を含むことができる。少なくとも5、10、20、50、100、及び1000又はそれより多い層が可能であることができるが、特に好ましい系は、少なくとも2、3、又は4層を含む。個別の層を肉眼によって識別することは常に容易ではないが、それぞれの層は、例えば活性剤の存在又は非存在、異なったポリマー、異なった活性剤、同じポリマーの異なった比、活性剤の異なった濃度、等によって特徴付けられる、個別の処方によってそれに隣接する層から区別される。
【0025】
本明細書中で、“活性剤放出系”は、例えばステントの表面のような表面への多層系の付着を向上するために使用することができるいずれものプライマー層を除外する。従って、“最内部”層に対して言及された場合、これは、活性剤放出系の最内部層を指す。これは、プライマー層の使用を除外するものではない。
【0026】
二層の系において、内部層は、全ての活性剤を含むことができ、そして外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、両方の層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0027】
三層の系において、内部の二つの層は、全ての活性剤を含むことができ、そして外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、最内部及び最外部層は、全ての活性剤を含むことができ、そして中間層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、全ての三層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0028】
四層の系において、内部の三層は、全ての活性剤を含むことができ、そして最外部層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、二つの中間層の一つは、障壁層として機能することができる。別の方法として、二つの層は、障壁層として機能することができる。別の方法として、全ての四つの層は、一つ又はそれより多い活性剤を含むことができる。
【0029】
一つの態様において、少なくとも一つの活性剤が、少なくとも一つの混和性ポリマー配合物層内に組込まれる。別の方法として、混和性ポリマー配合物層は、最初に活性剤のための障壁を提供することができる。即ち、最初に、これは、いずれもの活性剤を含有しない。好ましくは、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う混和性ポリマー配合物層は、内部層(例えば、最内部層)である。
【0030】
障壁層、即ち、速度制限層である一つ又はそれより多いポリマーの個別の層は、本発明の活性剤放出系内の各種の位置に組込むことができる。好ましくは、本発明の系の少なくとも一つの層、そして更に好ましくは、少なくとも二つの層は、障壁層(例えば、最初にその中に活性剤を含まない層)である。これは、内部層(最内部層ではないが)であることができ、又は外部層(例えば、最外部層)であることができ、好ましくはこれは、最外部層である。三つ又はそれより多い層を有する系内の中間層において、そして活性剤を含有する層間で使用される場合、障壁層は、更に活性剤の広がりを防止する。最初に、障壁層は、活性剤を含まないが、しかし薬剤が系から浸透するに従い、障壁層(単数又は複数)は、一つ又はそれより多い活性剤を含むものである。
【0031】
別の方法として、本発明の放出系の全ての外部層は、これらが活性剤を含むか否かに関わらず、内部層中の活性剤のための障壁として機能することができる。例えば、四層の系において、外側の三つの層は、外部層のそれぞれが少なくとも一つ又はそれより多い活性剤を含有していても、最内部層中の活性成分のための障壁として機能することができる。同様に、二つの最外部層は、二つの最内部層中の活性剤のための障壁として機能することができる、等である。
【0032】
本発明の活性剤放出系の各種の層は、単一のポリマー層を含むことができる。これは、例えば最外部層を形成することができ、そしてこの層に活性剤が存在しない場合、これは障壁層を形成する。別の方法として、単一のポリマー層は、活性剤を含むことができ、この場合、系は、単一のポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含む。
【0033】
一つの好ましい態様において、混和性ポリマー配合物層は、一つ又はそれより多い活性剤を含み、そして系は、混和性ポリマー配合物層を上部から被覆する障壁層を更に含み、ここにおいて障壁層は、最初に活性剤を含まず、そして更にここにおいて障壁層は、単一のポリマー又は混和性ポリマー配合物を含む。この系は、更に障壁層を上部から被覆する層を含むことができ、ここにおいて上部から被覆する層は、少なくとも一つのポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含む。更に、この系は、最初にその中に活性剤を含まない最外部層、即ち、障壁層を更に含む。
【0034】
他の態様は、少なくとも二つの層(好ましくは、少なくとも三つの層)を含むことができ、そのそれぞれは、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤(典型的には、最外部層を除外する)を有する。それぞれの層は、配合物又は二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含むことができ、そして好ましくはこれらのそれぞれは、少なくとも一つの活性剤を含む。
【0035】
一つの好ましい態様において、本発明の系は、少なくとも二つの層を含み、ここにおいて内部層(好ましくは、最内部層)は、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う少なくとも一つのポリマー(好ましくは、これは混和性ポリマー配合物である)を含み、そして系は、内部ポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含み、ここにおいて障壁層は、最初に活性剤を含んでいない。障壁層は、混和性ポリマー配合物を含むことができる。この障壁層は、所望する場合、最外部層であることができる。好ましくは、この系は、少なくとも二つの層を含み、そのそれぞれは、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う少なくとも一つのポリマーを含む。更に、この系は、少なくとも一つのポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含む最外部層を含むことができる。
【0036】
一つの好ましい態様において、本発明の系は、少なくとも二つの層を含み、ここにおいて一つの内部層は、その中に組込まれた活性剤を伴う単一のポリマーを含み、そして系は、単一のポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含み、ここにおいて障壁層は、混和性ポリマー配合物を含んでなる。
【0037】
ある態様は、ポリマーの非混和性混合物の層を含むことができる。例えば、少なくとも二つの層の一つの態様において、一つの内部層は、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含むことができ、そして系は、非混和性ポリマー混合物層を上部から被覆する障壁層を更に含むことができ、ここにおいて障壁層は、最初に活性剤を含まず、そして更にここにおいて障壁層は、混和性ポリマー配合物を含む。好ましくは、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含む内部層は、最内部層である。更に、系は、障壁層を上部から被覆する層を含むことができ、ここにおいて上部から被覆する層は、少なくとも一つのポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含む。
【0038】
少なくとも二つの層のもう一つの例示的態様において、一つの内部層は、その中に組み込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含み、そして系は、最外部の障壁層を更に含み、ここにおいて障壁層は、最初に活性剤を含まず、そして更にここにおいて障壁層は、混和性ポリマー配合物を含む。好ましくは、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含むを含む内部層は、最内部層である。
【0039】
ある態様は、その中に組込まれた活性剤を伴う、又は伴わない単一のポリマー層を含むことができる。例えば、好ましい態様において、本発明の系は、少なくとも二つの層を含み、ここにおいて一つの内部層は、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、単一のポリマーを含み、そして系は、最外部の障壁層を更に含み、ここにおいて障壁層は、最初に活性成分を含まず、そして更にここにおいて障壁層は、混和性ポリマー配合物を含む。好ましくは、単一のポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含む内部層は、最内部層である。
【0040】
ある態様は、少なくとも一つの活性剤の濃度が層を通して変化するような、少なくとも一つの活性成分の濃度勾配を含むことができる。
ある態様は、濃度勾配が形成されるように、同一のポリマーをそれぞれの層に変化する量で含むことができる。
【0041】
活性剤は、少なくとも一つが、支配的に浸透制御下で配合物から放出されるように、混和性ポリマー配合物内に組込まれる。好ましくは、全てが支配的に浸透制御下で放出される。
【0042】
本発明の活性剤放出系において、少なくとも一つの活性剤は、少なくとも一つの混和性ポリマー配合物層を通してディソリュート可能である。即ち、少なくとも一つの活性剤は、少なくとも一つの混和性ポリマー配合物層に組込むことができるか、又はこれが、混和性ポリマー配合物層を通して通過しなければならないように、混和性ポリマー配合物層を下部から被覆する層中にあることができる。溶解は、混和性ポリマー配合物を通る活性剤の浸透によって制御される。即ち、活性剤は、最初混和性ポリマー配合物中に溶解し、そして次いで混和性ポリマー配合物を通して浸透制御下で拡散する。この文脈において、“支配的に”は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、そして更に好ましくは少なくとも90%の少なくとも一つの活性成分の(好ましくは、全ての活性剤の)全添加量が、浸透制御下で放出されることを意味する。
【0043】
少なくとも一つの活性成分が浸透制御下でディソリュートされる場合、活性剤の、混和性ポリマー配合物中の少なくともある程度の溶解度が必要である。分散は、少なくとも一つの活性剤の溶解中に、少なくとも一つの混和性ポリマー配合物層中における多孔性のチャンネリングが、僅かであるか又は起こらず、そして分散領域の大きさが配合物層又は複数の層の限界寸法よりはるかに小さく、そして物理的特性が好ましい機械的性能のために組成物を通して一般的に均質である限り、受容可能である。
【0044】
活性剤が、混和性ポリマー配合物の溶解度を超え、そして不溶性の活性剤の量が浸出限界を超えた場合、活性剤は、支配的に多孔質機構によってディソリュートされることができる。更に、活性剤の不溶性相(例えば、粒子又は粒子の塊)の最大寸法が、混和性ポリマー配合物層又は複数の層の限界寸法と同様な桁である場合、活性剤は多孔質機構によって支配的にディソリュートする。
【0045】
本発明の活性剤放出系が、好ましくはミクロン単位の水準の限界寸法を有するために、十分な量の活性剤を含み、そして多孔質機構による放出を回避することは困難であることができる。
【0046】
浸透制御された放出機構が存在するかどうかは、時間(t)に対する放出される活性剤の量の溶解特性を考察することによって決定することができる。最外部層中の活性剤からの浸透制御された放出において、特性は、t1/2に直接比例する。内部層からの浸透制御された放出において、特性は、tに直接比例する。
【0047】
混和性ポリマー配合物は、これらが、より大きい範囲の活性剤に対して、例えば、非混和性混合物又は単一のポリマーのみを含む慣用的な系より大きい多用途性及び調整性を提供するために、好都合である。即ち、その少なくとも二つが混和性である二つ又はそれより多いポリマーを使用することは、一般的に一つのポリマーのみを伴う放出系より多用途性の活性剤放出系を提供することができる。典型的にはより大きい範囲の種類の活性剤を使用することができる。典型的にはより大きい範囲の量の活性剤を本発明の放出系に組込み、そして放出(好ましくは、支配的に浸透制御下で)することができる。典型的には活性剤に対してより大きい範囲の放出速度を本発明の放出系によって与えることができる。少なくとも部分的には、これは、少なくとも二つの混和性ポリマーを含む混和性ポリマー配合物の使用のためである。ここにおける説明が二つのポリマーについて言及しているが、本発明は、混和性ポリマー配合物が少なくとも二つの混和性ポリマーを含んで形成される限り、二つより多いポリマーを含む系を包含することは理解されるべきである。
【0048】
本発明の混和性ポリマー配合物は、連続した部分を形成するために十分な量の少なくとも二つの混和性ポリマーを有し、これは、活性剤の放出の速度を調整することを援助する。このような連続部分(即ち、連続相)は、顕微鏡的に又は選択的溶媒によるエッチングによって確認することができる。好ましくは、少なくとも二つの混和性ポリマーが、少なくとも50容量パーセントの混和性ポリマー配合物を形成する。少なくとも二つのポリマーのそれぞれは、ポリマーの全重量に基づいて0.1重量%ないし99.9重量%の量で存在する。
【0049】
混和性ポリマー配合物は、更に所望により分散された(即ち、不連続の)非混和性部分を含むこともできる。連続及び分散された部分の両方が存在する場合、活性剤はいずれかの部分に組込むことができる。好ましくは、活性剤は、支配的に浸透制御下の活性剤の放出を与えるために、連続部分に添加される。活性剤を添加するために、活性剤及び活性剤の大部分が添加される混和性ポリマー配合物の部分の溶解度パラメーターは適合される(典型的には約10J1/2/cm3/2より大きくなく、好ましくは約5J1/2/cm3/2より大きくなく、そして好ましくは約3J1/2/cm3/2より大きくない範囲内に)。連続相は、活性剤が添加されているか否かに関わらず活性剤の放出を制御する。
【0050】
混和性ポリマー配合物は、本明細書中で使用される場合、二つ又はそれより多いポリマーの多くの完全な混和性配合物、並びに二つ又はそれより多いポリマーの部分的に混和性配合物を包含する。完全に混和性のポリマー配合物は、理想的には単一のガラス転移温度(Tg)を、好ましくは全濃度範囲にわたる分子水準の混合のために、区分されたポリマーに対してはそれぞれの相で一つ(典型的には硬質相及び軟質相)を有する物である。部分的に混和性のポリマー配合物は、多数のTgを有し、これは、分子水準の混合が、全濃度範囲の一部のみに制約されるために、区分されたポリマーに対しては硬質相及び軟質相の一つ又は両方であることができる。これらの部分的に混和性の配合物は、配合物内の少なくとも二つのポリマーのそれぞれに対する、少なくとも一つのTgの差の絶対値(Tgポリマー1−Tgポリマー2)が、配合の作用によって減少される限り、用語“混和性ポリマー配合物”の範囲内に含まれる。Tgは、機械的特性、熱的特性、電気的特性、等を温度の関数として測定することによって決定することができる。
【0051】
混和性ポリマー配合物は、更にその光学的特性に基づいて決定することもできる。完全に混和性の配合物は、透明である、安定な、そして均質な領域を形成し、一方、非混和性の配合物は、成分が同一の屈折率を有しない限り、光を散乱し、そして視覚的に濁って見える非均質な領域を形成する。更に、非混和性配合物の相が分離した構造は、顕微鏡で直接観察することができる。混和性を検査するために本発明において使用される簡単な方法は、ポリマーを混合し、そして約10マイクロメートルないし約50マイクロメートルの厚さの薄いフィルムを形成することを含む。このようなフィルムが、一般的に、配合する前の個々のポリマーの同じ厚さの曇りのない、そして透明なフィルのように、少なくとも曇りがなく、そして透明である場合、ポリマーは完全に混和性である。
【0052】
ポリマー間の混和性は、これら間の相互作用、並びにこれらの分子構造及び分子量に依存する。ポリマー間の相後作用は、いわゆるFlory−Hugginsパラメーター(χ)によって特徴付けることができる。χがゼロ(0)に近いか又は更に負である場合、ポリマーは非常に混和性である可能性がある。理論的には、χは、ポリマーの溶解度パラメーターから推定することができ、即ち、χは、これら間の差の二乗に比例する。従って、ポリマーの混和性は、概略予測することができる。例えば、二つのポリマー間の溶解度パラメーターが近いほど、二つのポリマーが混和性である可能性が高い。ポリマー間の混和性は、これらの分子量が増加した場合、減少する傾向がある。
【0053】
従って、実験的な決定に加えて、ポリマー間の混和性は、簡単にFlory−Hugginsの相互作用パラメーターに基づいて、更により簡単には成分の溶解度パラメーターに基づいて予測することができる。然しながら、分子量の影響のために、近い溶解度パラメーターは、必ずしも混和性を保証しない。
【0054】
ポリマーの混合物は、混和性であると本明細書中で与えられた定義の一つに合致することのみが必要であることは理解されるべきである。更に、ポリマーの混合物は、活性剤が組込まれた場合、混和性配合物になることができる。
【0055】
混和性ポリマー配合物中のポリマーは、架橋されているか、又はされていないことができる。同様に、配合されたポリマーは、架橋されているか、又はされていないことができる。このような架橋は、当業者によって、配合後に標準的な技術を使用して行うことができる。
【0056】
本発明のある態様は、区分されたポリマーを含む。本明細書中で使用される場合、“区分されたポリマー”は、多数のブロックから構成され、そのそれぞれは、主としてそれ自体から構成される相に分離することができる。本明細書中で使用される場合、ポリマーの“硬質”区分又は“硬質”相は、使用温度で結晶質であるか、又は使用温度より上のガラス転移温度を持つ非晶質(即ち、ガラス質)であるかのいずれかであるものであり、そしてポリマーの“軟質”区分又は“軟質”相は、使用温度より下のガラス転移温度を持つ非晶質(即ち、ゴム質)である物である。本明細書中で、“区分”は、化学式を指し、そして“相”は、形態を指し、これは、主として対応する区分(例えば、硬質区分は、硬質相を形成する)を含むが、しかし他の区分(例えば、硬質相中の軟質区分)をある程度含むことができる。
【0057】
本明細書中で使用される場合、配合物の“硬質”相は、主として区分されたポリマーの硬質区分及び所望によりその中に配合された第2のポリマーの少なくとも一部を含む。同様に、配合物の“軟質”相は、支配的に区分されたポリマーの軟質区分及び所望によりその中に配合された第2のポリマーの少なくとも一部を含む。好ましくは、本発明のポリマーの混和性配合物は、区分されたポリマーの軟質区分を含む。
【0058】
区分されたポリマーの溶解度パラメーターに言及する場合、“区分”が使用され、そして区分されたポリマーのTgに言及する場合、“相”が使用される。従って、典型的には区分されたポリマーに対する計算値である溶解度パラメータは、個々のポリマー分子の硬質及び/又は軟質区分を指し、一方典型的には測定値であるTgは、全体のポリマーの硬質及び/又は軟質相を指す。
【0059】
活性剤は、本発明の系の一つ又はそれより多い層に、これらが混和性ポリマー配合物層であるか、又はポリマーの非混和性混合物の層であるか、一つのみのポリマーを含有する層であるか、或いは一つ又はそれより多い活性剤だけを含有する層であるかを問わずに組込むことができる。
【0060】
ポリマー並びに活性剤の種類及び量は、典型的には混和性ポリマー配合物層又は複数の層の予備選択された限界寸法を通る予備選択された溶解時間を有する系を形成するために選択される。ポリマーのガラス転移温度、膨潤性、及び溶解度パラメーターは、活性剤放出系中の成分の適当な組合せを選択するために、活性剤が混和性ポリマー配合物に組込まれているか又はいないかに関わらず、当業者を導くために使用することができる。溶解度パラメーターは、一般的に、ポリマーの混和性を決定し、そして活性剤の溶解度を、混和性ポリマー配合物のそれと合致させるために有用である。ガラス転移温度及び/又は膨潤性は、一般的に、活性剤の溶解時間(又は速度)を調整するために有用である。これらの概念は、以下で非常に詳細に検討される。
【0061】
単一のポリマー層中の一つ又は二つの活性剤
一つのみのポリマーを含有する層中に一つ又は二つの活性剤が存在する本発明の系の態様においては、薬物添加の既知の理論が適用される。例えば、二つの活性剤が存在する場合、速く放出されるべき活性剤が、ポリマーの溶解度とよりよく合致される物である。
【0062】
混和性ポリマー配合物層中の一つの活性剤
その中に一つの活性剤を含む混和性ポリマー配合物層において、使用される理論は、一般的に、活性剤の分子量及び相対的親水性/疎水性に結びつけられる。次の本出願人の譲渡人の同時系属中の出願中に記載されている理論及び実施例を適用することができる:2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,853、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEM,MEDICAL DEVICE,AND METHODS(米国特許第2004/0086569A1として2004年5月6日に公開);2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,714、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEM INCLUDING A HYDROPHOBIC CELLULOSE DERIVATIVE,MEDICAL DEVICE,AND METHODS(米国特許第2004/0115273A1として2004年6月17日に公開);2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,823、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEM INCLUDING A POLYURETHANE,MEDICAL DEVICE,AND METHODS、(米国特許第2004/0033251A1として2004年2月19日に公開);2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,702、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEM INCLUDING A POLY(ETHYLENE−CO−(METH)ACRYLATE),MEDICAL DEVICE,AND METHODS(米国特許第2004/0047911A1として2004年3月11日に公開);及び2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,713、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEM INCLUDING A HYDROPHILIC POLYMER,MEDICAL DEVICE,AND METHODS(米国特許第2004/0127978A1として2004年7月1日に公開)。
【0063】
本発明の好ましい活性剤放出系において、活性剤は、典型的には、ポリマー配合物の混和性部分の溶解度に適合される。従って、活性剤が親水性である本発明の態様において、好ましくは混和性ポリマー配合物の少なくとも一つの混和性ポリマーは親水性である。活性剤が疎水性である本発明の態様において、好ましくは混和性ポリマー配合物の少なくとも一つの混和性ポリマーは疎水性である。然しながら、必ずしも必要ではなく、そして低分子量の親水性活性剤に対する放出系において親水性ポリマーを有することは、水によるポリマーの膨潤に対する潜在性、及び活性剤の制御された放出の喪失のために、好ましくないことであることができる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、この文脈において(配合物のポリマーの文脈において)、用語“親水性”は、身体の温度(即ち、約37℃)で水によって膨潤された場合、体積で10%より多く、又は重量で少なくとも10%増加するものであることのいずれかが最初に起こるものである物質を指す。本明細書中で使用される場合、この文脈において(配合物のポリマーの文脈において)、用語“疎水性”は、身体の温度(即ち、約37℃)で水によって膨潤された場合、体積で10%より多く、又は重量で10%より多く増加しないものであることのいずれかが最初に起こるものである物質を指す。
【0065】
本明細書中で使用される場合、この文脈において(活性剤の文脈において)、用語“親水性”は、ミリリットル当り200マイクログラムより多い水中の溶解度を有する活性剤を指す。本明細書中で使用される場合、この文脈において(活性剤の文脈において)、用語“疎水性”は、ミリリットル当り200マイクログラムより多くない水中の溶解度を有する活性剤を指す。
【0066】
活性剤の大きさが十分に大きいと、ポリマーを通る拡散が影響される。従って、活性剤は、分子量に基づいて分類することができ、そしてポリマーは、活性剤の分子量の範囲によって選択することができる。
【0067】
本発明のある好ましい活性剤放出系において、活性剤は、約1200g/molより大きい分子量を有する。本発明のある他の好ましい活性剤放出系において、活性剤は、約1200g/molより大きくない(即ち、それより小さいか又は等しい)分子量を有する。なお更に好ましい態様において、約800g/molより大きくない分子量の活性剤が好ましい。
【0068】
一旦、活性剤及び放出のための形式(例えば、時間/速度及び限界寸法)が選択された後、当業者は、本発明の教示を使用して、少なくとも二つのポリマーの適当な組合せを選択することができる。
【0069】
ポリマー並びに活性剤の種類及び量は、典型的には、混和性ポリマー配合物の層又は複数の層の予備選択された限界寸法(x)を通る予備選択された溶解時間(t)を有する系を形成するように選択される。これは、与えられた活性剤に対して、時間で割った二乗された限界寸法(x/t)に直接比例する目標拡散率を得るために、少なくとも二つのポリマーを選択することを含む。
【0070】
所望する活性剤、所望する溶解時間(又は速度)、及び所望する限界寸法に対するポリマーの選択を更に正確にすることにおいて、所望する活性剤に対してポリマーを選択する場合に考慮することができるパラメーターは、ポリマーのガラス転移温度、ポリマーの膨潤性、ポリマーの溶解度パラメーター、及び活性剤の溶解度パラメーターを含む。これらは、活性剤放出系中の成分の適当な組合せを選択するために、活性剤が混和性ポリマー配合物中に組込まれているか又はいないかに関わらず、当業者を導くために使用することができる。
【0071】
浸透制御された放出系の多用途性を向上するために、例えば、好ましくは混和性ポリマー配合物層のためのポリマーは、次の関係の少なくとも一つが真実であるように選択される:(1)活性剤の溶解度パラメータ及び少なくとも一つのポリマーの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約10J1/2/cm3/2より大きくない(好ましくは、約5J1/2/cm3/2より大きくなく、そして更に好ましくは約3J1/2/cm3/2より大きくない);そして(2)少なくとも二つのポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約3J1/2/cm3/2より大きくない(好ましくは、約3J1/2/cm3/2より大きくない)。更に好ましくは、両方の関係は真実である。最も好ましくは、両方の関係は、配合物の全てのポリマーに対して真実である。
【0072】
典型的には、化合物は、例えば、区分されたコポリマー及びブロックコポリマーのようなある種のポリマーは、一つより多い溶解度パラメーターを有することができるが、ただ一つの溶解度パラメーターを有する。溶解度パラメーターは、測定することができ、又はこれらは、Hoy法及びD.W.van Krevelen,Properties of Polymers,3rd Edition,Elsevier,Amsterdam中に開示されているような、Hoftyzer−van Krevelen法(化学基寄与法)を使用して計算された値の平均を使用して計算される。これらの値を計算するために、それぞれの化学物質の体積が必要であり、これは、同じ参考文献中に開示されているFedors法を使用して計算することができる。
【0073】
溶解度パラメーターは、更にコンピューターシミュレーション、例えば分子動態シミレーション及びMonte Carloシミュレーションで計算することもできる。具体的には、分子動態シミュレーションは、Accelrys Materials Studio,Accelrys Inc.,San Diego,CA.により行うことができる。コンピューターシミュレーションは、Flory−Hugginsパラメーターを直接計算するために使用することができる。
【0074】
各種のポリマー及び活性剤に対する溶解度パラメーターの例を、表1に示す。
【0075】
【表1a】

【0076】
【表1b】

【0077】
【表1c】

【0078】
【表1d】

【0079】
活性剤が疎水性である放出系において、分子量に関係なく、ポリマーは、典型的には混和性ポリマー配合物のモル平均溶解度パラメーターが28J1/2/cm3/2より大きくない(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きくない)ように選択される。活性剤が親水性である放出系において、分子量に関係なく、ポリマーは、典型的には混和性ポリマー配合物のモル平均溶解度パラメーターが、21J1/2/cm3/2より大きい(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きい)ように選択される。
【0080】
本明細書中で、“モル平均溶解度パラメーター”は、相互に混和性であり、そして混和性ポリマー配合物の連続部分を形成する配合成分の溶解度パラメーターの平均を意味する。これらは、ポリマー配合物中に組込まれた活性剤を含まない配合物中のこれらのモルパーセントによって加重される。
【0081】
低分子量活性剤に対する浸透制御された溶解時間(速度)の調整性を向上するために、好ましくはポリマーは、少なくとも二つのポリマーの少なくとも一つのTg間の差が、目標拡散率を含む拡散率の範囲に対応するように選択することができる。
【0082】
別の方法として、高分子量活性剤に対する浸透制御された溶解時間(速度)の調整性を向上するために、好ましくはポリマーは、配合物の少なくとも二つのポリマーの膨潤性間の差が、目標拡散率を含む拡散率の範囲に対応するように選択することができる。目標拡散率は、放出に対する予備選択された時間(t)及び層のポリマー組成物の予備選択された限界寸法(x)よって決定され、そしてx/tに対して直接比例である。
【0083】
目標拡散率は、以下の公式(例えば、Kinam Park edited,Controlled Drug Delivery:Challenges and Strategies,Amerikan Chemical Society,Washington,DC,1997を参照されたい)を使用して溶解分析によって容易に測定することができる:
【0084】
【数1】

【0085】
式中、D=拡散係数;M=累積放出;M=活性剤の全添加量;x=限界寸法(例えば、層又は複数の層の厚さ);及びt=溶解時間である。この公式は、活性剤の初期添加量の60重量パーセントまでの溶解中に成立する。更に、配合物試料は、フィルムの形態でなければならない。
【0086】
一般的に、少なくとも一つのポリマーは、目標拡散率より高い活性剤の拡散率を有し、そして少なくとも一つのポリマーは、目標拡散率より低い活性剤の拡散率を有する。ポリマー系の拡散率は、当業者にとって既知の溶解分析によって容易に測定することができる。個々のポリマーのそれぞれからの活性剤の拡散率は、溶解分析によって決定することができるが、しかしそれぞれのポリマーの主たる相の相対的Tg又は膨潤性によって推定することができる。
【0087】
拡散率は、疎水性又は親水性ポリマーのガラス転移温度に対して相関させることができ、これは、低分子量活性剤(例えば、約1200g/molより大きくない分子量を有する物)のための放出系を設計するために使用することができる。別の方法として、拡散係数は、疎水性又は親水性ポリマーの膨潤性に対して相関させることができ、これは、高分子量ポリマー(例えば、約1200g/molより大きい分子量を有する物)のための放出系の設計に使用することができる。これは、使用することができる混和性配合物の範囲が、同様な溶解度の活性剤に対する非常に異なった溶解速度を包含するため、好都合である。
【0088】
ポリマーのガラス転移温度は、公知のパラメーターであり、これは典型的には測定値である。例示的な値は、表1に列挙している。区分されたポリマー(例えば、区分されたポリウレタン)において、Tgは、全体のポリマーの特別な相を指す。典型的には、低分子量活性剤において、混和性である相対的に低い及び高いTgのポリマーを選択することによって、系の溶解動態を調整することができる。これは、小さい分子量の薬剤(例えば、約1200g/molより大きくない)がTgと直接相関する、即ち、ポリマー配合物の自由体積が、温度がTgより上である場合、より大きい傾斜を持つ温度の直線関数である、経路を通って拡散するためである。
【0089】
好ましくは、少なくとも一つの相対的に高いTgを有するポリマーが、少なくとも一つの相対的に低いTgを有するポリマーと組合される。このような高い及び低いTgのポリマーを組合わせることによって、活性剤放出系を、活性剤の所望する溶解時間に調整することができる。
【0090】
ポリマーの水中の膨潤性は、容易に決定することができる。然しながら、膨潤性は、水の組込みから得られ、そして温度の上昇からではないことは理解されるべきである。典型的には、高分子量活性剤において、混和性である相対的に高い及び低い膨潤性ポリマーを選択することによって、系の溶解動態を調整することができる。ポリマーの膨潤性は、比較的高い分子量(例えば、約1200g/molより大きい)の活性剤がポリマーの配合物から拡散するために、水がポリマー配合物中に拡散して、自由体積を増加する必要があるために、これらの系を設計するために使用することができる。
【0091】
好ましくは、相対的に高い膨潤性を有するポリマーが、相対的に低い膨潤性を有するポリマーと組合される。このような高い及び低い膨潤性ポリマーを組合わせることによって、活性剤放出系を、活性剤の所望する溶解時間に対して調整することができる。
【0092】
混和性ポリマー配合物の膨潤性は、更に特定の活性剤のためのポリマーの組合せを決定する因子として使用することもできる。活性剤が1200g/molより大きい分子量を有する放出系において、ポリマーは、これが親水性であるか又は疎水性であるかに関わらず、配合物の膨潤性が10容量%より大きいように選択される。配合物の膨潤性は、その中に組込まれた活性剤を含まずに評価される。
【0093】
一つの態様において、疎水性である活性剤を含み、そして約1200g/molより大きくない(即ち、それより少ないか又は等しい)分子量を有する活性剤放出系(目標拡散率を有する)において、混和性ポリマー配合物は、それぞれが少なくとも一つの溶解度パラメーターを持つ少なくとも二つのポリマーを含み、ここにおいて:活性剤の溶解度パラメーター及び少なくとも一つのポリマーの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約10J1/2/cm3/2より大きくなく、そして少なくとも二つのポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2より大きくなく;少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より高い活性剤の拡散率を有し、そして少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より低い活性剤の拡散率を有し;配合物のモル平均溶解度パラメーターが、28J1/2/cm3/2より大きくなく(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きくない)、そして配合物の膨潤性が10容量%より大きくない。
【0094】
一つの態様において、疎水性である活性剤を含み、そして約1200g/molより大きくない(即ち、それより少ないか又は等しい)分子量を有する活性剤放出系(目標拡散率を有する)において、混和性ポリマー配合物は、少なくとも二つのポリマーを含み、ここにおいて:活性剤の溶解度パラメーター及び少なくとも一つのポリマーの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約10J1/2/cm3/2より大きくなく、そして少なくとも二つのポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2より大きくなく;少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より高い活性剤の拡散率を有し、そして少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より低い活性剤の拡散率を有し;配合物のモル平均溶解度パラメーターが、21J1/2/cm3/2より大きく(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きい);そして配合物の膨潤性が10容量%より大きくない。
【0095】
一つの態様において、疎水性である活性剤を含み、そして約1200g/molより大きい分子量を有する活性剤放出系(目標拡散率を有する)において、混和性ポリマー配合物は、少なくとも二つのポリマーを含み、ここにおいて:活性剤の溶解度パラメーター及び少なくとも一つのポリマーの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約10J1/2/cm3/2より大きくなく、そして少なくとも二つのポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2より大きくなく;少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より高い活性剤の拡散率を有し、そして少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より低い活性剤の拡散率を有し;配合物のモル平均溶解度パラメーターが、28J1/2/cm3/2より大きくなく(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きくない);そして配合物の膨潤性が10容量%より大きい。
【0096】
一つの態様において、疎水性である活性剤を含み、そして約1200g/molより大きい分子量を有する活性剤放出系(目標拡散率を有する)において、混和性ポリマー配合物は、少なくとも二つのポリマーを含み、ここにおいて:活性剤の溶解度パラメーター及び少なくとも一つのポリマーの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約10J1/2/cm3/2より大きくなく、そして少なくとも二つのポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2より大きくなく;少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より高い活性剤の拡散率を有し、そして少なくとも一つのポリマーが、目標拡散率より低い活性剤の拡散率を有し;配合物のモル平均溶解度パラメーターが、21J1/2/cm3/2より大きく(好ましくは、25J1/2/cm3/2より大きい);そして配合物の膨潤性が10容量%より大きい。
【0097】
一つの混和性ポリマー配合物層中の二つ又はそれより多い活性剤
二つ又はそれより多い混和性ポリマーの層の中に、二つ又はそれより多い活性剤が存在する状況において、混和性ポリマー配合物層を含む層中の一つの活性剤に関して先に記載した物と同様な理論を使用することができる。これらの理論は、本出願人の譲渡人の同時系属中の2003年8月13日に出願された米国特許出願番号60/495,022、ACTIVE AGENT DELIVERY SYSTEMS INCLUDING A SINGLE LAYER OF A MISCIBLE POLYMER BLEND,MEDICAL DEVICES,AND METHODSと題する出願中に非常に詳細に記載されている。
【0098】
概要として、二つ又はそれより多い活性剤が、速く放出される活性剤の透過率が、他の一つ又はそれより多い活性剤の透過率より大きいように選択される。この文脈において、活性剤の“透過率”は、その拡散率掛けるその溶解度である。
【0099】
好ましくは、二つ又はそれより多い活性剤が、より速く放出され、そしてより多い量(即ち、より多い添加量)で存在する活性剤の溶解度パラメーター及び少なくとも二つの混和性ポリマーのモル平均溶解度パラメータ間の差が、他の一つ又はそれより多い活性剤のそれぞれの溶解度パラメーター及び少なくとも二つの混和性ポリマーのモル平均溶解度パラメーター間の差より小さいように選択される。
【0100】
このような系において、活性剤が、混和性ポリマー配合物の溶解度の限度であるか又はそれより低いことが好ましい。即ち、活性剤のそれぞれの溶解度パラメーター及び混和性ポリマー配合物の少なくとも一つのポリマーが、添加の水準を最大にし、一方多孔質機構による放出の傾向を減少するために適合される。理論に束縛されることを望むものではないが、この機構のために、本発明の活性剤放出系が有意な調整性の水準を有することが信じられる。
【0101】
活性剤
本明細書中で使用される場合、“活性剤”は、患者(例えば、動物)に局所的又は全身的効果を生じる物である。典型的には、これは、薬理学的に活性な物質である。この用語は、疾病の診断、治癒、緩和、治療、又は予防における、或いは患者の所望する物理的又は精神的展開及び症状の向上における使用を意図するいずれもの物質を包含するために使用される。本明細書中で使用される用語“患者”は、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥、爬虫類、魚、昆虫、クモ、原生生物(例えば、原生動物)、及び原核生物を含むために使用する。好ましくは、患者は、ヒト又は他の哺乳動物である。
【0102】
活性剤は、合成又は天然に存在する物であることができ、そして制約されるものではないが、有機及び無機の化学薬剤、ポリペプチド(これは、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、酵素、ホルモン、等を含むいずれもの長さのL−又はD−アミノ酸のポリマーを包含するために本明細書中で使用される)、ポリヌクレオチド(これは、オリゴヌクレオチド、一本及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖RNA、DNA/RNAキメラ、等を含むいずれもの長さの核酸のポリマーを包含するために本明細書中で使用される)、糖類(例えば、一、二、多糖及びムコ多糖)、ビタミン、ウイルス製剤、並びに他の生体物質、放射性核種、等を含む。例は、ヘパリン、クマジン、プロタミン、及びヒルジンのような抗血栓形成剤及び抗凝結剤;抗生物質のような抗微生物剤;エトポシド、ポドフィロトキシンのような抗悪性腫瘍剤及び抗増殖性剤;アスピリン及びジピリダモールを含む抗血小板剤;メトトレキセート、コルヒチン、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、及びムタマイシン(mutamycin)核酸のような抗有糸分裂剤(細胞毒性剤)及び抗代謝剤;マレイン酸ロシグリタゾンのような抗糖尿病剤;並びに抗炎症剤を含む。本発明中で使用するための抗炎症剤は、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、アクロメタゾン(aclomethasone)、アムシノニド、クレベタゾール(clebethasol)及びクロコルトロンのようなグルココルチコイド、その塩、及びこれらの誘導体を含む。好ましくは、活性剤は、ヘパリンではない。
【0103】
ある好ましい系は、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナル、エトドラク、メクロフェネート、メフェナム酸、ナムブネトン、ピロキシカム、フェニルグタゾン、メロキシカム、デキサメトアゾン、ベタメタゾン、二プロピオン酸、二酢酸ジフロルサゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ガロベタゾール、アムシノミド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、フルオシノミド、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、アザチオプリン、ミノサイクリン、シクロホスファミド、メトトレキセート、シクロスポリン、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アスコマイシン、ベータエストラジオール、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、S−ニトロソグルタチオン、グリオトキシンG、パネポキシドン、シクロエポキシドンテポキサリン、クルクミン、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、ボロン酸ジペプチド、ラクタシスチン、ビスホスホネート、ゾレンドロン酸、エポキソミシン)、アンチセンスc−myc、セロコキシブ、バルデコキシブ、及びこれらの組合せからなる群から選択される活性剤を含む。これらの活性剤は、典型的にはより速く放出される活性剤として選択される。典型的には、これは、これが必要な要求ではないが、更に最初に放出される第1の物でもある。本明細書中で、この活性剤は、第1の活性剤として言及される。
【0104】
ある好ましい系は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、ラパマイシン、ラパログ(例えば、エベロリムス、ABT−578)、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、タクロミルス、ミトラマイシン、ミトブロニトール、チオテパ、トレオスルファン、エストラムスチング、クロルメチン、カルムスチン、ロムスチン、ブスルタン、メファラン、クロラムブシル、イホスファミド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ダウノルビシン、ミトサントロン、ブレオマイシン、セペシタビン、シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、ゲムタビン、5−フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、アムサクリン、ベキサロテン、クリサンタスパーゼ、デカルバシン、ヒドロシカルバミド、ペントスタチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキシプラチン、プロカルバジン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロンA、エポシロンB、エポシロンD、バキシリキシマブ、ダクリズマブ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、メイタンシン、及びこれらの組合せからからなる群から選択される活性剤を含む。これらの活性剤は、典型的には第1の活性剤のそれより遅い速度で、及び/又は例えば、第1の活性剤の放出の開始後に放出されるように選択される。一般的に、概念は、少なくとも二つの活性剤が、時間的に離れて広がることである。
【0105】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、スルファサラジンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0106】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、インドメタシンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0107】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、アスコマイシンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0108】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、レフルノミドであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0109】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、デキサメタゾンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0110】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、ピロキシカムであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0111】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、二プロピオン酸ベクロメタゾンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0112】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、S−ニトロソグルタチオンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0113】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、ロシグリタゾンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0114】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、トログリタゾンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0115】
ある好ましい系において、一つの活性剤は、ピオグリタゾンであり、そして少なくとも一つの活性剤は、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0116】
典型的には、本発明の活性剤放出系内の活性剤の量は、放出される量及びこれが放出される時間によって決定される。更に、例えば基質上に均質なフィルムを形成する組成物の能力を含む他の因子も、存在する活性剤の水準に寄与することができる。
【0117】
好ましくは、それぞれの活性剤は、いずれもの一つの層内に、層の全重量に基づいて、少なくとも約0.1重量パーセント(重量%)、更に好ましくは、少なくとも約1重量%、そしてなお更に好ましくは、少なくとも約5重量%の量で存在する(即ち、組込まれる)。好ましくは、それぞれの活性剤は、いずれもの一つの層が、一つ又はそれより多い単独の活性剤を含むことができるが、層の全重量に基づいて、約80重量%より多くない、更に好ましくは、約50重量%より多くない、そして最も好ましくは、約30重量%より多くない量で層内に存在する。ある好ましい態様において、それぞれの活性剤の量は、混和性ポリマー配合物中のその溶解度の限度であるか、又はそれより低いものである。
【0118】
医療機器及び方法
本発明の活性剤放出系は、基質(例えば、連続又は独立気泡フォーム、織られた又は織られていない材料)、機器(例えば、ステント、ステント移植片、カテーテル、シャント、バルーン等)、フィルム(これは、例えば貼布のような自立型であることができる)、造形された物体(例えば、微小球、ビーズ、ロッド、ファイバー、又は他の造形された物体)、創傷パッキング材料、等上の被覆の形態であることができる。
【0119】
本発明の活性剤系において、活性剤は、“限界”寸法を有する混和性ポリマー配合物を通って通過する。この限界寸法は、活性剤の正味拡散経路沿い、そして造形された物体に対しては約10,000ミクロンであることができるが、好ましくは約1000マイクロメートル(即ち、ミクロン)より大きくない。
【0120】
混和性ポリマー配合物が、被覆又は自立型フィルム(両方とも本明細書中で“フィルム”として総称的に言及される)を形成する態様において、限界寸法はフィルムの厚さであり、そして好ましくは約1000ミクロンより大きくなく、更に好ましくは約500ミクロンより大きくなく、そして最も好ましくは約100ミクロンより大きくない。フィルムは、所望する限り薄い物(例えば、1ナノメートル)であることができるが、しかし好ましくは約10ナノメートルより薄くなく、更に好ましくは約100ナノメートルより薄くない。一般的に、最小のフィルム厚さは、活性剤の要求される投与量を保持するために必要である体積によって決定され、そして典型的には材料を形成するために使用される方法によってのみ制約される。本明細書中の全ての態様において、フィルムの厚さは、一定又は均質でなければならないことはない。更に、フィルムの厚さは、活性剤が放出される時間を調整するために使用することができる。
【0121】
混和性ポリマー配合物が造形された物体(微小球、ビーズ、ロッド、ファイバー、又は他の造形された物体)を形成する態様において、物体の限界寸法(例えば、微小球又はロッドの直径)は、好ましくは約10,000ミクロンより大きくなく、好ましくは約1000ミクロンより大きくなく、なお更に好ましくは、約500ミクロンより大きくなく、そして最も好ましくは約100ミクロンより大きくない。物体は、所望する限り小さい物(例えば、限界寸法において10ナノメートル)であることができる。好ましくは、限界寸法は、約100ミクロンより小さくなく、そして更に好ましくは約500ナノメートルより小さくない。
【0122】
一つの態様において、本発明は、好ましくはポリマーの下部被覆(プライマー)層を伴う、混和性ポリマー配合物を含むポリマーの上部被覆層で上部から被覆された基質表面によって特徴付けられる医療機器を提供する。機器が使用される場合、混和性ポリマー配合物は、患者の体液、器官、又は組織と接触する。
【0123】
本発明は、医療機器の特質によって制約されず;むしろ、いずれもの医療機器は、混和性ポリマー配合物を含むポリマーの被覆層を含むことができる。従って、本明細書中で使用される場合、用語“医療機器”は、一般的にその使用及び操作の通常の過程において、身体の組織、器官又は血液のような流体と接触することができる表面を有するいずれもの機器を指す。医療機器の例は、制約するものではなく、ステント、ステント案内子、吻合接続器具、リード、針、ガイドワイヤー、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成用バルーン、創傷ドレイン、シャント、管、尿道挿入管、ペレット、インプラント、ポンプ、血管移植片、弁、ペースメーカー、等を含む。医療機器は、次いで患者に戻される血液と接触する、例えば人工心肺装置、血液ポンプ、血液センサー、又は血液を運ぶために使用する管、等を含む手術中に使用される機器のような体外機器であることができる。医療機器は、同様に、血管移植片、ステント、ステント移植片、吻合接続器具、電気刺激リード、心臓弁、整形器具、カテーテル、シャント、センサー、髄核のための置換器具、蝸牛又は中耳インプラント、眼内レンズ、等のような移植可能な機器であることができる。移植可能な機器は、薬物注入孔等のような経皮機器を含む。
【0124】
一般的に、本発明の医療機器を製造するために使用される好ましい材料は、医用材料である。“医用材料”は、ヒトの身体中の移植及び/又は体液、組織、器官等への接触を意図し、そして強度、弾力、浸透性及び柔軟性のような、意図する目的のために機能するために要求される物理的特性を有する材料である。特に移植可能な機器において、使用される材料は、好ましくは生体適合性材料、即ち、細胞又は組織に対して過度に毒性ではなく、そして身体に過度の害を起こさない材料である。
【0125】
本発明は、混和性ポリマー配合物が、ポリマーの被覆を形成する態様のための基質表面の特質には制約されない。例えば、基質表面は、セラミック、ガラス、金属、ポリマー、又はこれらのいずれもの組合せから構成されることができる。金属基質表面を有する態様において、金属は、典型的には鉄、ニッケル、金、コバルト、銅、クロム、モリブデン、チタン、タンタル、アルミニウム、銀、白金、炭素、及びこれらの合金である。好ましい金属は、ステンレス鋼、NITINOLのようなニッケルチタン合金、又はNP35Nのようなコバルトクロム合金である。
【0126】
混和性ポリマー配合物を含むポリマーの被覆は、基質表面に、共有又は非共有相互作用のいずれかによって付着することができる。例えば非共有相互作用は、イオン性相互作用、水素結合、双極性相互作用、疎水性相互作用及びファンデルワールス相互作用を含む。
【0127】
好ましくは、基質表面は、いくつかの態様において、基質表面の予備処理が付着を促進するために好ましいことであることができるが、混和性ポリマー配合物被覆の適用に先立って活性化又は官能化されない。例えば、ポリマーの下部被覆層(即ち、プライマー)を、ポリマーの被覆の基質表面への付着を向上するために使用することができる。適したポリマーの下部被覆層は、本出願人の譲渡人の同時系属中の、2002年8月13日に出願された米国特許仮出願60/403,479;2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,701(米国特許第2004/0039437A1号として2004年2月26日に公開);及び2003年8月13日に出願されたPCT国際特許出願PCT/US03/25463(WO2004/014453A1として2004年2月19日に公開)中に開示され、これらの全ては、MEDICAL DEVICE EXHIBITING IMPROVED ADHESION BETWEEN POLYMERIC COATING AND SUBSTRATEと題する。これらの中で開示されている特別に好ましい下部被覆層は、本質的にポリウレタンからなる。このような好ましい下部被覆層は、ポリウレタン以外のポリマーを含有するポリマー配合物を含むが、しかしこれが、排他的にポリウレタンである下部被覆層と比較して、デュロメーター、耐久性、付着特性、構造的一体性及び下部被覆層の弾力に認めうるほどに影響しないような少ない量のみを含有する。
【0128】
ステント又は他の血管装具が患者に移植された場合、再狭窄が、受傷の直後から約4ないし6ヶ月後に始まる期間に中にしばしば観察される。従って、ステントを含む本発明の態様において、企図される一般化された溶解速度は、細胞増殖を少なくするためには、活性剤が、理想的には装具が管腔壁に固定された直後に放出を開始しなければならないような物である。次いで活性剤は、合計約4ないし6ヶ月までディソリュートすることを継続しなければならない。
【0129】
本発明は、ポリマー配合物を基質表面に適用して、被覆を形成するために使用される方法によって制約されない。適した被覆方法の例は、溶液法、粉末被覆、溶融押出、又は蒸着を含む。
【0130】
好ましい方法は、溶液被覆である。溶液被覆法において、溶液法の例は、噴霧被覆、浸漬被覆、及びスピン被覆を含む。溶液法において使用するための典型的な溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、N−メチルピロリドン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、ギ酸、昨酸、及び/又はジクロロメタンを含む。単一の被覆又は多層の薄い被覆を適用することができる。
【0131】
同様に、本発明は、混和性ポリマー配合物を、造形された物体に形成するために使用される方法によって制約されない。このような方法は、造形された物体の種類に依存するものである。適した方法の例は、押出し、成形、微小機械加工、乳剤重合法、エレクトロスプレー法、これらの全てが、MEDICAL DEVICE EXHIBITING IMPROVED ADHESION BETWEEN POLYMERIC COATING AND SUBSTRATEと題する、本出願人の譲渡人の同時系属中の、2002年8月13日に出願された米国特許仮出願60/403,479;2003年8月13日に出願された米国特許出願番号10/640,701(米国特許第2004/0039437A1号として2004年2月26日に公開);及び2003年8月13日に出願されたPCT国際特許出願PCT/US03/25463(WO2004/014453A1として2004年2月19日に公開)中に記載されているリフロー法、等を含む。
【0132】
実施例
本発明の目的及び利益は、以下の実施例によって更に例示されるが、しかしこれらに実施例中に引用される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制約するように解釈されるべきではない。
【0133】
被覆されたステントからの二重活性剤放出の概念を実証するために、ミコフェノール酸(MP又はMPA)、ポドフィロトキシン(Podo)及びエトポシド(EP)を抗増殖剤として選択し、そしてスルファサラジンを抗炎症剤として選択した。これらの活性剤を使用して、三つの二重放出系:(1)ミコフェノール酸/スルファサラジン(SF)、(2)ポドフィロトキシン/スルファサラジン、及び(3)エトポシド/スルファサラジンを開発した。スルファサラジンは、現時点で炎症性腸疾病及び慢性関節リウマチを治療するために使用されている。免疫抑制及びリンパ球及び白血球の機能の修飾作用を含む多くの生物学的効果を有することが見出されている。スルファサラジンは、リンパ球中のIL−2合成及びIL−1産出を阻害する。スルファサラジンは、更にlkBのリン酸化を阻害することによるNF−kBの強力な阻害剤としても作用し、これによって核への転移を防止し、そして付着分子の発現を減少する。他方、ミコフェノール酸は、免疫抑制剤であり、そしてプリン合成の新生経路の阻害剤であり、そしてリンパ球増殖の高度に選択的な阻害剤である。ミコフェノール酸は、更に生理的に達成可能な濃度でSMC及びECをも阻害する。ポドフィロトキシンは、抗有糸分裂性グルコシドであり、細胞分裂下のSMCに効果を有する。エトポシド(EP)は、ポドフィロトキシンの類似体である。これは、細胞分裂のDNA期に作用する。
【0134】
実施例1. ステンレス鋼の冠動脈S7ステント(Medtronic AVEによって製造)を、イソプロパノール(IPA)で30分間超音波的に洗浄し、そして完全に乾燥させた。次いでステントをTECOPLAST(TP)ポリウレタン(Thermedics Polymer)のTHF中の0.25%溶液で、最初のプライマーとして噴霧した。次いでステントを215−220℃で5−15分間熱処理して、金属及びポリマーの中間層間のより良好な付着を作りだした。次に、それぞれのステントを、テトラヒドロフランを溶媒として使用して、TECOPLASTポリウレタン中のミコフェノール酸(Sigma−Aldrich)(25重量%の活性剤の添加)の1%溶液で噴霧した。これは、400マイクログラム(μg)±10%の目標被覆、及び概略4マイクロメートル(μm)の厚さを伴う内部層を表す。次いでステントを45℃で一晩真空乾燥し、そして次いで秤量した。秤量後、TECOPLASTポリウレタン(THF中の1%溶液)の薄い被覆を第1の又は内部層の上に噴霧して、障壁層を形成した。この障壁は、ミコフェノール酸(MA)の放出を更に緩慢にする中間層を形成した。中間の障壁層に対する目標重量は、概略100μg±10%又は1ないし2μmの厚さであった。中間層の障壁を形成した後、ステントを再びオーブン中で45℃で一晩真空乾燥し、そして次いで秤量した。次に、ステントを、THF中のTECOPLAST/PEVAの60/40%配合物(Dupont 40W)中の30%のスルファサラジン(SF、Sigma Aldrichから入手)の1%溶液で噴霧して、最初に、そしてより速い速度で放出されるように設計された炎症性活性剤を含有する外部層を形成した。外部層/被覆に対する目標は、600μg又は概略6μmの厚さであった。ステントを、再びオーブン中で45℃で一晩真空乾燥し、そして秤量して、活性剤の理論的含有率を決定した。
【0135】
この系10の設計は、図1に示され、図中、ステントワイヤー11は、プライマー層12で被覆され、これは、その中にミコフェノール酸を伴うTECOPLASTポリウレタンの内部層13で被覆されている。内部層13の上は、TECOPLASTポリウレタンの障壁層14であり、これは、その中にスルファサラジンを伴うTECOPLAST/PEVA配合物の外部層15で被覆されている。プライマー層12は、例えば約25マイクログラム(μg)ないし約50マイクログラムのプライマーを含むことができる。
【0136】
二重放出のin vitroの溶出動態を、PBS中で、そして37℃で行った。ステントを、ステント放出系上にクリンプし、そして次いで膨張させた。膨張後、ステントの物理的側面を記録してから、3ミリリットル(ml)のPBSを含有するガラス瓶に入れた。ガラス瓶を震盪器に37℃で入れ、そして一定の時間間隔で;全体の溶液(3ml)を取出し、そして新しいPBSで置き換えた。それぞれの二重放出系中のそれぞれの活性剤の量を、UV−Vis分光光度計によって、ミコフェノール酸に対して250ナノメートル(nm)の波長を、そしてスルファサラジンに対して359nmを使用し、そして活性剤混合物の連立方程式を解いて決定した。
【0137】
図2は、中間障壁層が存在しない図1の系のミコフェノール酸及びスルファサラジンの放出動態を示し、一方図3は、中間に速度制限障壁を置くことによって、内部層の活性剤(この場合ミコフェノール酸)の放出動態を有意に緩慢にすることができることを示す。
【0138】
実施例2. 実施例1と同様な手順を使用し、この場合TECOPLAST/PEVAの外部層の配合物をTECOPLAST/TECOPHILICポリウレタン(Thermedics Polymer)で置き換えたことを除き、同様な二重活性剤被覆ステントを製造した。外部層として使用するためのTECOPLAST(TP)及びTECOPHILIC(TpH)ポリウレタンの配合物からのスルファサラジンの放出を、図4に示す。スルファサラジンの放出速度は、配合物中のTECOPHILICポリウレタンのパーセントが増加するに伴い増加した。
【0139】
実施例3. 被覆されたステントを、中間障壁を含まず、そしてその中間層が、80%のTECOPLAST/20%のTECOTHANE 75Dの配合物又は単独のTECOPLASTのみからなり、そして外部層が70%のTECOPLAST/20%のTECOTHANE 75Dの配合物からなる設計を除いて、実施例1及び図1に記載したように製造した。これは、ポリマー配合物を、活性剤の放出特性を変化するために使用することができることを示す。この系の放出特性を、図5に示す。図5において、MA1−2は、試料1及び2からのミコフェノール酸の平均累積放出であり;SF1−2は、試料1及び2からのスルファサラジンの平均累積放出である。試料1及び2において、内部層は、TECOPLASTポリウレタン中の30%のミコフェノール酸を含有し、そして外部層は、70%のTECOPLAST及び30%のTECOTHANE 75Dポリウレタンの配合物中の35%のスルファサラジンを含有する。同様に、MA3−4は、試料3及び4からのミコフェノール酸の平均累積放出であり、そしてSF3−4は、試料3及び4からのスルファサラジンの平均累積放出である。試料1及び2と比較した、これらの試料(3及び4)唯一の差は、内部層が、80%のTECOPLAST及び20%のTECOTHANE 75Dポリウレタンの配合物であることである。
【0140】
実施例4. プライマー処理されたステントを、実施例1のように調製した。次に、それぞれのステントを、THFを溶媒として使用して、TECOPLAST(TP)又はTECOTHANE(TH)ポリウレタン中のポドフィロトキシン(podo、Sigma−Aldrich)(活性剤の10又は20%添加)の1%溶液で噴霧した。これは、400μg±10%及び概略4μmの厚さの目標被覆を持つ内部層を表す。次いでステントを45℃で一晩真空乾燥し、そして次いで秤量した。次に、ステントを、THF中の60/40%のTECOPLAST/PEVA(DuPont 40W)中の30%のスルファサラジン(SF、Sigma−Aldrich)の1%溶液で噴霧して、外部層を形成した。外部層/被覆に対する目標は、600μg±10%又は概略6μmの厚さであった。ステントを、再びオーブン中で45℃で一晩真空乾燥し、そして秤量して、活性剤の理論的含有率を決定した。
【0141】
この系20の設計を図6に示し、図中、ステントワイヤー21は、プライマー層22で被覆され、これは、その中にポドフィロトキシンを伴うTECOPLAST又はTECOTHANEポリウレタンの内部層23で被覆されている。内部層23の上は、その中にスルファサラジンを伴うTECOPLAST/PEVA配合物の外部層25である。プライマー層12は、例えば約25マイクログラム(μg)ないし約50マイクログラムのプライマーを含むことができる。この系からの活性剤の放出特性を、図7に示す。図7において、試料は、試料1のための内部層がTECOPLASTポリウレタン中の約10%のポドフィロトキシンを有し;試料2は、TECOPLASTポリウレタン中の約20%のポドフィロトキシンを有し;試料3は、TECOTHANE 75Dポリウレタン中の約10%のポドフィロトキシンを有し、そして試料4は、TECOTHANE 75D中の概略20%のポドフィロトキシンを有するように製造された。全ての試料において、外部層は、30%のスルファサラジンを伴うTECOPLAST/PEVAの配合物であった。
【0142】
実施例5. プライマー処理されたステントを、実施例1のように調製した。次に、それぞれのステントを、THFを溶媒として使用して、TECOTHANE 75Dポリウレタン中のエトポシド/スルファサラジン(Sigma−Aldrich)(20%のエトポシド(EP)、10%のスルファサラジン(SF)、及び70%のポリマー)の1%溶液で噴霧した。これは、600μg±10%及び概略6μmの厚さの目標被覆を伴う内部層を表す。ステントを、窒素雰囲気下の周囲温度で24時間乾燥し、次いで23℃で一晩真空乾燥し、そして次いで秤量した。
【0143】
次に、ステントを、クロロホルム中のC10及びC19と呼ばれるコポリマーの40/60%(配合物2)、及び20/80%(配合物1)の配合物中の20%のスルファサラジン(Sigma−Aldrich)の1%溶液で噴霧して、外部層を形成した。ポリマーC10は、95%のブチルメタクリレート及び5%の酢酸ビニルを含有するコポリマーである。ポリマーC19は、8%の酢酸ビニル、74%のヘキシルメタクリレート、及び18%のn−ビニルピロリドンを含有するコポリマーである。
【0144】
C10及びC19の両方を、ポリマー化学の当業者にとって既知の、そしてA.Ravve.Principles of Polymer Chemistry,Second Edition.2000.Kluwer Academic/Plenum Publishers,New York.ISBN 0−306−46368−7;H.Allcock and F.Lampe.Contemporary Polymer Chemistry.1981.Prentice−Hall,New Jersey.ISBN 0−13−170258−0.及びA.Tonelli.Polymers from the Inside Out.2001.Wiley−Interscience.ISBN 0−471−38138−1のような参考文献中に詳記されているような方法を使用して調製した。本発明のポリマーを合成するために使用される方法は、ポリマー化学の当業者にとって既知であるが、更なる詳細を、便宜のために本明細書中で提供する。
【0145】
合成の第1工程において、所定の量のn−ブチルメタクリレート(BMA)及び酢酸ビニル(VAc)を機械的攪拌を備えた予備乾燥したガラス反応器中で、反応物に窒素雰囲気を与えながら混合した。次いで混合物を窒素で約5分間スパージした。必要な量のアゾ−ビス−ブチロニトリル(Azo)を混合物に加えた。殆んどの場合、窒素でスパージされたイソプロピルアルコール(IPA)を、混合物に更に加えた。混合物を窒素下で所望する温度に加熱し、そして第2工程の開始まで一定時間撹拌した。
【0146】
合成の第2工程において、Azoフリーラジカル開始剤の第2のアリコート及びIPAを加えてから、モノマー又はコポリマーの第2の送入物を導入した。モノマー及びコポリマーも更に窒素でスパージされた。重合を、所望する温度でモノマーの消費が実質的に停止するまで、可能な場合攪拌を維持しながら継続した。
【0147】
第2工程の終結において、加熱を停止し、そして生成物をアセトンのような適した溶媒と反応器中で混合して、水又はメタノール或いはこれらの混合物のような冷非溶媒中の沈殿によるポリマーの精製を容易にした。次いで沈殿したコポリマーを濾過により単離し、そして減圧下の室温の層流フード中で、一定の乾燥重量が達成されるまで乾燥させた。更なる乾燥を、一定の乾燥重量が達成されるまで減圧下の加熱によって、達成することができる。
【0148】
外部層/被覆に対する目標は、600μg±10%又は概略6μmの厚さであった。ステントを、再び窒素雰囲気下の周囲温度で24時間乾燥し、次いで23℃のオーブン中で一晩真空乾燥し、そして秤量して、活性剤の理論的含有率を決定した。それぞれの二重放出系中のそれぞれの活性剤の量を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、エトポシドに対して284ナノメートル(nm)、そしてスルファサラジンに対して362nmの波長を使用して決定した。
【0149】
この系30の設計を図8に示し、図中、ステントワイヤー31は、プライマー層32で被覆され、これは、その中にエトポシド及びスルファサラジンを伴うTECOTHANEポリウレタンの内部層33で被覆されている。内部層33の上は、その中にスルファサラジンを伴う二つのポリマーC10及びC19間のポリマー配合物の外部層35である。プライマー層32は、例えば約25マイクログラム(μg)ないし約100マイクログラムのプライマーを含むことができる。この系からの活性剤の放出特性を、図9に示す。
【0150】
本明細書中に引用された特許、特許文書、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組込まれたように、その全てが本明細書中に援用される。本発明に対する各種の改変及び変更は、本発明の範囲及び思想から逸脱せずに当業者にとって明白となるものである。本発明が、本明細書中に記述された例示的態様及び実施例によって不当に制約されることを意図せず、そしてこのような実施例および態様が、例のみとして与えられ、本発明の範囲は、本明細書中に記述される特許請求の範囲によってのみ制約されることを意図していることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0151】
本発明は、図面を参照して更に説明されるものである。図1及び図6は、寸法どおりではなく、観念化されており、そして単に例示を意図し、そして非制約的である。
【図1】図1は、ミコフェノール酸及びスルファサラジンを含有し、プライマー層を伴う、三層の活性剤放出系で被覆されたステントの断面図である。
【図2】図2は、障壁層を伴わない図1に示した活性剤放出系からのミコフェノール酸及びスルファサラジンの放出動態のグラフである。
【図3】図3は、図1に示した活性剤放出系からのミコフェノール酸及びスルファサラジンの放出動態のグラフである。
【図4】図4は、TECOPLAST/TECOPHILICポリウレタンの各種の配合物からのスルファサラジンの放出動態のグラフである。
【図5】図5は、本発明の別の活性剤放出系からのミコフェノール酸及びスルファサラジンの放出動態のグラフである。
【図6】図6は、ポドフィロトキシン及びスルファサラジンを含有し、プライマー層を伴う二層活性剤放出系で被覆されたステントの断面図である。
【図7】図7は、図6に示した活性剤放出系からのポドフィロトキシン及びスルファサラジンの放出動態のグラフである。
【図8】図8は、エトポシド(EP)及びスルファサラジンを含有し、プライマー層を伴う二層活性剤放出系で被覆されたステントの断面図である。
【図9】図9は、図8に示した活性剤放出系からのエトポシド及びスルファサラジンの放出動態のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含んでなり;
ここにおいて少なくとも一つの層が、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含んでなる混和性ポリマー配合物を含んでなり;そして
ここにおいて少なくとも一つの活性剤の放出が、支配的に浸透制御下で起こる、活性剤放出系。
【請求項2】
少なくとも一つの活性剤が、前記少なくとも一つの混和性ポリマー配合層内に組込まれた、請求項1に記載の系。
【請求項3】
前記混和性ポリマー配合物が、最初に活性剤のための障壁を提供する、請求項1に記載の系。
【請求項4】
少なくとも一つの活性剤が、少なくとも一つの内部層内に組込まれた、請求項3に記載の系。
【請求項5】
前記障壁層が、三つ又はそれより多い層を含んでなる系内の中間層である、請求項3に記載の系。
【請求項6】
前記障壁層が、前記系の最外部層である、請求項3に記載の系。
【請求項7】
少なくとも100層を含んでなる、請求項1に記載の系。
【請求項8】
前記最外部層が、単一のポリマーを含んでなる、請求項1に記載の系。
【請求項9】
前記混和性ポリマー配合物が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う内部層を形成する、請求項1に記載の系。
【請求項10】
その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、混和性ポリマー配合物を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項9に記載の系。
【請求項11】
前記混和性ポリマー配合物層を上部から被覆する障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層が、最初に活性成分を含まず、そして更にここにおいて前記障壁層が、単一のポリマー又は混和性ポリマー配合物を含んでなる、請求項10に記載の系。
【請求項12】
前記障壁層を上部から被覆する層を更に含んでなり、ここにおいて前記被覆層が少なくとも一つのポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる、請求項11に記載の系。
【請求項13】
最初にその中に活性剤を含んでいない最外部層を更に含んでなる、請求項12に記載の系。
【請求項14】
一つの内部層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、少なくとも一つのポリマー層を含んでなり、そして前記系が前記内部ポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層は、最初に活性剤を含んでいない、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項15】
前記障壁層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、請求項14に記載の系。
【請求項16】
前記内部層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、請求項14に記載の系。
【請求項17】
混和性ポリマー配合物を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項14に記載の系。
【請求項18】
そのそれぞれが、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、少なくとも一つのポリマーを含んでなる、少なくとも二つの内部層を更に含んでなる、請求項14に記載の系。
【請求項19】
少なくとも一つのポリマー及び少なくとも一つの活性剤をその中に含む、最外部層を更に含んでなる、請求項14に記載の系。
【請求項20】
少なくとも三つの層を含んでなる、請求項1に記載の系。
【請求項21】
前記層のそれぞれが、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる、請求項20に記載の系。
【請求項22】
前記層のそれぞれが、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる、請求項1に記載の系。
【請求項23】
少なくとも一つの層が、最初にその中に活性剤を含んでいない、請求項1に記載の系。
【請求項24】
最初にその中に活性剤を含んでいない前記層が、前記最外部層である、請求項23に記載の系。
【請求項25】
少なくとも二つの層が、最初にその中に活性剤を含んでいない、請求項23に記載の系。
【請求項26】
前記最外部層が、最初にその中に活性剤を含んでいない、請求項25に記載の系。
【請求項27】
一つの内部層が、その中に組込まれた活性剤を伴う単一のポリマーを含んでなり、そして前記系が、前記単一のポリマー層を上部から被覆する障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層が、前記混和性ポリマー配合物を含んでなる、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項28】
一つの内部層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含んでなり、そして前記系が、前記非混和性ポリマー混合物の層を上部から被覆する障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層は、最初に活性成分を含まず、そして更にここにおいて前記障壁層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項29】
その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項28に記載の系。
【請求項30】
前記障壁層を上部から被覆する層を更に含んでなり、ここにおいて前記被覆層が、少なくとも一つのポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる、請求項28に記載の系。
【請求項31】
少なくとも一つの活性剤が、最外部層を除くそれぞれの層内に組込まれる、請求項1に記載の系。
【請求項32】
それぞれの層が、二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物を含んでなる、請求項1に記載の系。
【請求項33】
少なくとも一つの活性剤が、それぞれの層内に組み込まれる、請求項32に記載の系。
【請求項34】
内部層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、単一のポリマーを含んでなり、そして前記系が、最外部の障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層が、最初に活性剤を含まず、そして更にここにおいて前記障壁層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項35】
単一のポリマー及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項34に記載の系。
【請求項36】
一つの内部層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物を含んでなり、そして前記系が最外部の障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層が、最初に活性剤を含まず、そして更にここにおいて前記障壁層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項37】
二つ又はそれより多いポリマーの非混和性混合物及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項36に記載の系。
【請求項38】
一つの内部層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う、二つ又はそれより多いポリマーの混和性配合物を含んでなり、そして前記系が、一つの最外部の障壁層を更に含んでなり、ここにおいて前記障壁層が、活性剤を最初に含まず、そして更にここにおいて前記障壁層が、混和性ポリマー配合物を含んでなる、少なくとも二つの層を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項39】
二つ又はそれより多いポリマーの混和性配合物及びその中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を含んでなる前記内部層が、最内部層である、請求項38に記載の系。
【請求項40】
少なくとも一つの活性剤の濃度が、層を通して変化して、濃度勾配を形成する、請求項1に記載の系。
【請求項41】
濃度勾配が形成されるように、それぞれの層で同一のポリマーが、変化する量で使用される、請求項1に記載の系。
【請求項42】
速く放出され、そしてより多い量で存在する活性剤の溶解度パラメーター及び二つ又はそれより多い混和性ポリマーの配合物の体積平均溶解度パラメーター間の差が、他の一つ又はそれより多い他の活性剤のそれぞれの溶解度パラメーター及び二つ又はそれより多い混和性配合物の配合物の体積平均溶解度パラメーター間の差より小さい、請求項1に記載の活性剤放出系。
【請求項43】
第1の活性剤が、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナル(diclofenal)、エトドラク、メクロフェネート(meclofenate)、メフェナム酸、ナムブネトン(nambunetone)、ピロキシカム、フェニルグタゾン(phenylgutazone)、メロキシカム、デキサメトアゾン(dexamethoasone)、ベタメタゾン、二プロピオン酸、二酢酸ジフロルサゾン(diflorsasone)、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ガロベタゾール(galobetasol)、アムシノミド(amcinomide)、二プロピオン酸ベクロメタゾン、フルオシノミド(fluocinomide)、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、アザチオプリン、ミノサイクリン、シクロホスファミド、メトトレキセート、シクロスポリン、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アスコマイシン、ベータエストラジオール、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、S−ニトロソグルタチオン、グリオトキシンG、パネポキシドン(panepoxydone)、シクロエポキシドン(cycloepoxydon)テポキサリン、クルクミン、プロテアソーム阻害剤、アンチセンスc−myc、セロコキシブ(celocoxib)、バルデコキシブ、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項44】
第2の活性剤が、第1の活性剤、又は両方の放出の開始から、第1の活性剤のそれより遅い速度で放出される、請求項43に記載の系。
【請求項45】
第2の活性剤が、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、ラパマイシン、ラパログ(rapalog)、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、タクロミルス(tacromilus)、ミトラマイシン、ミトブロニトール、チオテパ、トレオスルファン、エストラムスチング(estramusting)、クロルメチン、カルムスチン、ロムスチン、ブスルタン(busultan)、メファラン、クロラムブシル、イホスファミド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ダウノルビシン、ミトサントロン、ブレオマイシン、セペシタビン(cepecitabine)、シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、ゲムタビン(Gemtabine)、5−フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、アムサクリン、ベキサロテン、クリサンタスパーゼ(crisantaspase)、デカルバシン(decarbasine)、ヒドロシカルバミド(hydrosycarbamide)、ペントスタチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキシプラチン(oxiplatin)、プロカルバジン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロンA、エポシロンB、エポシロンD、バキシリキシマブ(baxiliximab)、ダクリズマブ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、メイタンシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項44に記載の系。
【請求項46】
少なくとも一つの活性剤が、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項47】
更に一つの活性剤が、スルファサルジン(sulfasalzine)である、請求項46に記載の系。
【請求項48】
更に一つの活性剤が、インドメタシンである、請求項46に記載の系。
【請求項49】
更に一つの活性剤が、アスコマイシンである、請求項46に記載の系。
【請求項50】
更に一つの活性剤が、レフルノミドである、請求項46に記載の系。
【請求項51】
更に一つの活性剤が、デキサメタゾンである、請求項46に記載の系。
【請求項52】
更に一つの活性剤が、ピロキシカムである、請求項46に記載の系。
【請求項53】
更に一つの活性剤が、二プロピオン酸ベクロマタゾンである、請求項46に記載の系。
【請求項54】
更に一つの活性剤が、S−ニトロソグルタチオンである、請求項46に記載の系。
【請求項55】
少なくとも一つの活性剤が、trans−レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、13−cisレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラナイシン(mithranycin)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項56】
更に一つの活性剤が、ロシグリタゾンである、請求項55に記載の系。
【請求項57】
更に一つの活性剤が、トログリタゾンである、請求項55に記載の系。
【請求項58】
更に一つの活性剤が、ピオグリタゾンである、請求項55に記載の系。
【請求項59】
二つ又はそれより多い活性剤;
二つ又はそれより多いポリマーの層;及び
所望による障壁層;
を含んでなり、ここにおいて少なくとも一つの層が、その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含んでなる混和性ポリマー配合物を含んでなり;そして
ここにおいて少なくとも一つの活性剤の放出が、浸透制御下で支配的に起こる、活性剤放出系。
【請求項60】
その中に組込まれた少なくとも一つの活性剤を伴う前記混和性ポリマー配合物の層が、内部層である、請求項59に記載の系。
【請求項61】
前記障壁層が、三つ又はそれより多い層を含んでなる系内の中間層である、請求項59に記載の系。
【請求項62】
前記障壁層が、前記系の最外部層である、請求項59に記載の系。
【請求項63】
請求項1に記載の活性剤放出系を含んでなる、医療機器。
【請求項64】
ステント、ステント移植片、吻合接続器具、リード、針、ガイドワイヤー、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成用バルーン、創傷ドレイン、シャント、管、尿道挿入管、ペレット、インプラント、人工肺、ポンプ、血管移植片、弁、ペースメーカー、整形器具、髄核のための置換器具、及び眼内レンズからなる群から選択される、請求項63に記載の医療機器。
【請求項65】
請求項59に記載の活性剤放出系を含んでなる医療機器。
【請求項66】
ステント、ステント移植片、吻合接続器具、リード、針、導線、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成用バルーン、創傷ドレイン、シャント、管路、尿道挿入管、ペレット、インプラント、人工肺、ポンプ、血管移植片、弁、ペースメーカー、整形器具、髄核のための置換器具、及び眼内レンズからなる群から選択される、請求項65に記載の医療機器。
【請求項67】
請求項1に記載の活性剤放出系を含んでなるステント。
【請求項68】
請求項59に記載の活性剤放出系を含んでなるステント。
【請求項69】
基質表面;
前記基質表面に付着したポリマーの下部から被覆する層;及び
前記ポリマーの下部から被覆する層に付着した活性剤放出系;
を含んでなり;
ここにおいて前記活性剤放出系が:
二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含んでなり;
ここにおいて少なくとも一つの層が、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含んでなる混和性ポリマー配合物を含んでなり;そして
ここにおいて少なくとも一つの活性剤の放出が、浸透制御下で支配的に起こる、医療機器。
【請求項70】
基質表面;
前記基質表面に付着したポリマーの下部から被覆する層;及び
前記ポリマーの下部から被覆する層に付着した活性剤放出系;
を含んでなり;
ここにおいて前記活性剤放出系が:
二つ又はそれより多い活性剤及び二つ又はそれより多いポリマーの層を含んでなり;
ここにおいて少なくとも一つの層が、二つ又はそれより多い混和性ポリマーを含んでなる混和性ポリマー配合物を含んでなり;そして
ここにおいて少なくとも一つの活性剤の放出が、浸透制御下で支配的に起こる、ステント。
【請求項71】
二つ又はそれより多い活性剤を患者に放出するための方法であって:
請求項1に記載の活性剤放出系を用意し;そして
前記活性剤放出系を、患者の体液、器官、又は組織と接触させることを含んでなる、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−502281(P2007−502281A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523307(P2006−523307)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/025923
【国際公開番号】WO2005/018702
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】