説明

混成ハプティック機器

【課題】ノブ、当該ノブを支持し、結合して共に当該シャフトを支持する基部を回転させるシャフトからなる器具内における回転制御のためのシステム及び方法。
【解決手段】基部に動作上結合するセンサを、ノブ操作の態様、すなわち位置、速度、加速度、トルク、回転速度、回転時間、又はこれらの組み合わせに関する情報を検出するよう構成する。機械的ハプティック・アセンブリは、動作上、基部とシャフトとの間に結合され、基部に対するノブの動きに応答して機械系ハプティック効果を提供する。プログラム可能な電子系アクチュエータは、動作上、ノブに結合され、電子系のハプティックな力学的フィードバックを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願明細書は、2006年6月2日付け出願米国特許明細第60/810455号、発明者名クリストフ・ラムステイン、グレッグ・タシュリアン、及びダニー・A・グラント、発明の名称「混成ハプティック機器」に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本主題は、一般的にハプティックな力学的フィードバックを提供する入力機器に関する。より具体的には、一以上の実施形態は、機械的に生成されたハプティック効果を、ユーザ・インタフェース機器においてプログラム可能なハプティック効果及び/又は電子的に生成される音と結合することに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の機械的機器制御としては、スイッチ、ノブ、レバー等が挙げられる。過去、例えば、ラジオ又はオーディオアンプ等の機器への電気的入力を制御するためにポテンシオメータに結合するシャフトを回転させるノブ、自動車内のファン制御又は暖房/空調制御に結合するシャフトを回転させるノブ、自動車内の通気口の開閉を制御するレバーのように、基本的にこのような制御は本来機械的なものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの伝統的な機械的機能が電子的なものに置き換えられるにつれ、電子制御の操作はユーザにとって直感的ではなくなってきた。例えば、クリック・ストップ又は「デテント」、若しくは他の機械的抵抗感がないと、伝統的な機械制御機器に対する電子的な代替物の操作や、そうした機器から類似の経験を得ることすら困難である場合がある。
【0005】
回転入力制御機器等のプログラム可能なハプティック機器は、ユーザへの力学的フィードバックを生成して伝達することができるので、プログラム可能なハプティック機器は伝統的な機械式の機器制御の操作を模倣する場合がある。しかしながら、他の観点においては、ある種のプログラム可能なハプティック機器では、通常の機械式機器の触覚的な反応の特徴を欠いている場合がある。例えば、ある種のプログラム可能なハプティック機器では、機械系のハプティック効果に付随した高品質な感触や高水準のリアリズムを電子的に再生成する点で不足している場合がある。
【0006】
加えて、ある種の純粋なプログラム可能ハプティック機器は、単純な機械的類似のハプティック効果を生成するために非常な処理能力を要する複雑な位置検出システムを利用する場合がある。このような純粋なプログラム可能ハプティック機器は比較的高価であり、当該機器を移動してハプティック効果を実感する間にさらに遅延を発生する、かなりのサンプリング速度を要する場合がある。さらに、純粋なプログラム可能ハプティック機器は、電源供給のない期間は機械的類似のハプティック効果を提供しない場合がある。
【0007】
従って、ユーザが操作する機器に機械的及び電子的に有効なハプティック効果を提供する、費用効果の高い機器及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態は、豊かなハプティック経験を提供するために、プログラム可能ハプティックにより機械的に生成された力学的特性、及び/又はユーザ・インタフェースにおいて電子的に生成された音声を組み合わせる方法及びシステムに関する。
【0009】
一実施形態によれば、回転可能ノブ、当該ノブを支持してシャフトを支持する基部と共に回転するように結合するシャフトを含む回転制御機器が、システムから形成される。基部と動作上結合するセンサが、位置、速度、加速度、トルク、回転速度、回転周期、又はこれらの組み合わせを含む、ノブの操作の態様を検出するように構成される。機械的ハプティック・アセンブリは、基部に対するノブ回転に応答するデテント又はハードストップ等の、触知できる複数の機械的ハプティック効果の感触を提供するために、基部とシャフトとの間に動作上結合する。ノブと動作上結合したアクチュエータは、当該ノブにおいて力学的フィードバックを提供する。一実施形態によれば、ノブはさらに機械的ハプティック・アセンブリ及びプログラム可能な回転モジュールの両者を互いに同期して回転させるように、これらと結合する。
【0010】
一実施形態は、回転入力制御機器及び結合された機械的ハプティック/アセンブリを相互に同期して回転するステップを含む回転入力制御機器と相互作用する方法に関する。方法は、回転入力機器において当該回転入力機器の操作の態様を検出するステップと、検出された回転入力機器の操作の態様に応答するコントローラとして動作するマイクロプロセッサに当該回転入力機器から信号を送信するステップも含む。方法は、さらに、当該回転入力制御機器に動作上結合したアクチュエータからの機械的ハプティック効果及びプログラム可能な効果を感触化するステップを含む。これらの効果は回転に応答する。
【0011】
一実施形態において、慣性型アクチュエータとのエンコーダ又はポテンシオメータの組み合わせを用いて、プログラム可能なハプティック効果が生成される。この実施形態において、機械的感触はエンコーダにより生成され、プログラム可能ハプティックは、ホスト・プログラムに応答する偏心回転質量(ERM)又はリニア共振アクチュエータ(LRA)等の慣性アクチュエータに、コントローラからコマンドを送信することにより生成される。例えば、ユーザが信藤の機器を回転しているときに、機械系ハプティック効果が存在する場合には、現状の効果を増大させるために当該ノブに電子系ハプティック効果を出力してもよい。一実施形態において、慣性アクチュエータは、ユーザがリスト上の最後のアイテムに至るか、又はプログラムされていてもいなくても回転の限界設定を超えてノブを回転したときに、連続的な振動を生成するように構成してもよい。
【0012】
一実施形態において、エンコーダ又はポテンシオメータは、機械的デテント・アセンブリ及びプログラム可能なバリアを生成するための手段と共に利用される。一実施形態において、例えばImmersion Corp社製PR−100型制動アクチュエータを用いる。別の実施形態において、制動機構は、係止又は開放してプログラム可能なバリアを生成又は解除するピンを備えてもよい。一実施形態において、ピンは二つ以上の開放状態位置を有してもよく、連続的に制御してもよい。加えて、バリアを生成するために用いられるピンが一つ以上あってもよい。プログラム可能なバリアが所望されるときには、スロット内にピンを係止させてハードストップを生成するコマンド信号が与えられる。摩擦面を係止させるブレーキパッド等の他の機械的配置をスロットの替わりに用いてもよい。
【発明の効果】
【0013】
記載された任意又は全ての実施形態において、ハプティック機器は音声変換基又はスピーカを備えてもよい。音声変換器は機械的アセンブリ及び/又はプログラム可能なハプティック効果により生成される感覚を補完するために用いてもよい。このようにして、マルチモーダルなユーザの経験を生成することができる。例えば、ユーザに対してデテントが爽快な感触である印象を与えることが所望される場合には、当該機器がデテントへ回転する際に鋭い又は高い周波数の音声を出力することが可能である。本発明の別の実施形態は、混成ハプティック機器により生成される音声信号をリアルタイムに取り込むためのマイクロホンの使用を取り入れている。この実施形態においては、音声信号を修飾又はフィルタリングし、次いで音声変換器又はスピーカにより修飾された音声を再生することが可能である。例えば、当該機器のユーザの経験全体を変化させるために、音声を増幅し、又は音声のピッチを変化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は本明細書に取り入れられてその一部を構成し、一以上の実施形態を示し、詳細な記載と共に本願明細書に記載の主題の原理及び実装の説明に供する。
【0015】
図中、
【図1】図1は、一実施形態に係る、ユーザの経験へのマルチモーダルな寄与を示すブロック図を示し、
【図2】図2は、一実施形態に係る、回転入力制御機器の分解図を示し、
【図3】図3は、一実施形態に係る、プログラム可能な回転モジュールのブロック図を示し、
【図4】図4は、一実施形態に係る、回転入力制御機器の機械的デテント・アセンブリの上面図を示し、
【図5】図5は、一実施形態に係る、回転入力制御機器のハードストップ・アセンブリの上面図を示し、
【図6】図6は、一実施形態に係る、プログラム可能なハプティック効果を提供するためのサブシステムのブロック図を示し、
【図7】図7Aから図7Hは、一以上の実施形態に利用可能な、プログラム可能なハプティック効果特性の例を示し、
【図8】図8は、一実施形態に係る、一形態の機械的ハプティック・アセンブリを取り入れている回転入力制御機器の上面図を示し、
【図9】図9は、一実施形態に係る、ハードストップ・アセンブリを取り入れている回転入力制御機器の上面図を示し、
【図10】図10は、一実施形態に係る、回転入力制御機器と相互作用するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
混成ハプティック機器等の回転入力制御機器の文脈において、実施形態を本願明細書に記載する。混成ハプティック機器は、機械的に生成されるハプティック及び電子的に生成されるハプティックを出力するように構成される。さらに、混成ハプティック機器は、生成されるハプティックと組み合わせて機械的及び電子的音声の両者を生成してもよい。当業者であれば、以下の本発明の詳細な記載は例示のみであり、いかなる制限をも意図していないことを理解するだろう。本発明の他の実施形態は、本開示の利益を有する当業者には直ちにこれら自身が示唆を与えるであろう。添付図面に示す本発明の実装に対しては詳細に参照する。同一又は同様のものを参照するために、図面及び以下の詳細な記載を通じて、同じ参照符号が用いられる。
【0017】
本願明細書に記載の主題に従った、構成要素、システム、デバイス、方法ステップ、及び/又はデータ構造は、様々な種類のオペレーティング・システム、コンピューティング・プラットフォーム、コンピュータ・プログラム、及び/又は汎用機器を用いて製造、動作、及び/又は実装されてもよい。加えて、当業者であれば、ハードウェア組み込みデバイス、現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、特定アプリケーション向け集積回路(ASIC)、又は同様のもの等の、一般用途の性質が低いデバイスもまた本願明細書に記載の発明の概念の範囲及び精神を外れることなく使用してもよいことを認識するだろう。発明を含む方法がコンピュータ、デバイス、又は機械に実装され、指示のように方法が機械読み取り可能に保存される場合、それらは、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能な読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ、フラッシュ・メモリ、ジャンプ・ドライブ、及び同様のもの)、磁気保存媒体(例えば、テープ、磁気ディスク・ドライブ、及び同様のもの)、光学保存媒体(例えば、CD−ROM、DVD−ROM、紙カード及び紙テープ、及び同様のもの)及び他の公知形式のプログラムメモリ等、有形の媒体に保存されてもよいが、これらに限定しない。
【0018】
明確さのために、本願明細書記載の実装のルーチン的な特徴の全ては図示記載を行わない。もちろん、実際のいずれの実装開発においても、アプリケーションとの適合性及び実務に関連する制約等の、開発者が特定する目標を達成するために数多くの実装に特異的な決定が行われなければならず、これらの特定の目標は実装ごとに及び開発者ごとに多様であることは考慮すべきであろう。さらに、このような開発努力は、複雑かつ時間のかかるものである場合があるが、それにも関わらず、本開示の利益を有する当技術分野の通常技能を有する者にとっては、エンジニアリングのルーチン的な業務でありうる。
【0019】
図1に、一実施形態に係る、ユーザの経験へのマルチモーダルな寄与を表す一般的なブロック図を示す。具体的には、図1に、インタフェース・デバイス部1及びユーザ経験部3を示す。インタフェース・デバイス部1は、ユーザが操作するオブジェクト並びに当該オブジェクトに結合された構成要素を表し、これらはハプティック効果の生成と同様に検出及び処理が可能である。ユーザ部3は、ユーザがオブジェクトの動作を操作すること、並びにユーザが音声及び/又はハプティック効果とインタフェース機器部からのフィードバックを知覚して受け取ることが可能であることを表す。
【0020】
図1に示すように、インタフェース機器1は、心地よく効果的なハプティック経験をユーザに提供する、多様な知覚的特徴を生成することが可能である。一実施形態において、インタフェース機器1は、機械的ハプティック効果2及び機械的な音声の特徴4を、ユーザ3に提供する。加えて、インタフェース機器はプログラム可能なハプティック効果6並びに電子的に再生成された音声の特徴8を、ユーザ3に提供する。例えば、一実施形態において、システムは、ユーザ3へのプログラム可能なハプティック効果6を伴う機械的ハプティック効果2を選択的に取り入れ、適宜音声4(例えば、クリック又は他の制御類似の音声)及び/又は電子的に生成される音声8(例えば、クリック、ブザー音、トーン音)を備える。具体的なシステムは本願明細書に記載する。
【0021】
図2は、一実施形態に係る入力制御機器の展開図である。具体的には、入力制御機器8は機械的ハプティック・アセンブリ並びに電子的ハプティック・アセンブリを備え、機器8は機械系並びに電子系ハプティック効果を提供することができる。図2に関して記載の制御機器は例示のみであり、これに限定するものではないことに注意すべきである。
【0022】
一実施形態において、制御機器8は取り付け面10に結合される。取り付け面は制御パネル、ダッシュボード、車のコンソール、マウス、ジョイスティック、工業機器、医療機器又は任意の消費者向け電子機器上の面でもよい。取り付け面は取り付け構造の一部でもよく、これにより取り付け構造の全体が上述のような受け入れ面の中に取り付けられる。一実施形態において、機器8は、機器8が回転されたときに機械的ハプティック効果を出力できるような機械的アセンブリ30を備える。機械的アセンブリ30は、カラー36並びに内部スリーブ34を含み、これらは両方ともY軸回りに回転可能である。一実施形態において、図2に示すように、機器8は内部スリーブ34上に適合して内部スリーブに沿って回転するノブ20を備える。機器8は、内部スリーブ34の内部又は取り付け面10の下方のいずれかに位置決めされるプログラム可能な回転モジュール12を備える。図2に示すように、プログラム可能な回転モジュール12は、ノブ20の受け入れシャフト18に適合するY軸に沿って延長するシャフト14を備える。
【0023】
図2に示すように、ノブ20は一般的にシリンダ状の物体である。他の実施形態において、ノブ20は、円すい形状、球形、楕円形、ダイアル、立方体形状、棒状、他を含む様々なデザインを有していてもよく、これらに限定しない。他の実施形態において、ノブ20は、凹凸、直線、みぞ又は他のグリップ、あるいは平らな突起又は周囲表面からの外縁部材を含む一以上の模様を、周囲の表面上に有していてもよく、これらに限定しない。これらのような形状及び模様により、ユーザは容易にノブ20を握るか又は触れて、所望の量の回転を行うことができる。
【0024】
図3は、一実施形態に係り用いられるプログラム可能な回転モジュールを示す。一実施形態において、プログラム可能な回転モジュール12は、米国カリフォルニア州サンノゼ、Immersion Corporation社製PR−1000、PR−3000、又はPR−5000型Touchsense(商標)モジュールでもよい。しかしながら、他の適切なプログラム可能な回転モジュールを機器8と共に用いてもよく、本願明細書に記載の機器に限定しない。
【0025】
図3に示すように、プログラム可能な回転モジュール12は、端面から突出するシャフト14を有する本体を備える。一実施形態において、シャフト14及び本体は、シャフト14がY軸に沿って位置決めされる方向となる(図2)。シャフト14は、プログラム可能な回転モジュール12を、一実施形態の取り付け面10並びにノブ20に固定可能とする、ねじ切り部16を備える。しかしながら、プログラム可能な回転モジュール12は、これを取り付け面10並びにノブ20に固定可能とする他の固定構造を有してもよいことに注意すべきである。図3に示す一実施形態において、シャフト14は、ノブ20の受け入れ部18に鍵結合可能となるように、適宜、端部で鍵固定される。
【0026】
図3に示すように、プログラム可能な回転モジュール12は、一以上のセンサ24、一以上のアクチュエータ22及びプログラム可能な回転モジュール12をコントローラ28に接続するI/Oインタフェース26を備える。一実施形態において、一以上のセンサはコントローラ28に対して、ノブ20の位置、速度、加速度、直線的な力及び又はトルク情報を測定しエンコードする。プログラム可能な回転モジュール12内のアクチュエータ22は、コントローラ28から適切なハプティック信号を受信する際に、機器8にハプティック効果を出力するよう構成される。このようなハプティック効果は、様々な回転抵抗、回転バイアス、並びにノブ20の回転を初期化及び/又は停止することを含むが、これらに限定しない。以下により詳細を記載するように、一実施形態において、プログラム可能な回転モジュール12は、コントローラ28から受信した信号に基づいて、回転、ブレーキ、又はデテント及び/又はハードストップをセットしうるマルチフェーズ・モータとして動作する。I/Oインタフェース26は、プログラム可能な回転モジュール12とコントローラ28との間で容易にデータ通信を行えるように構成され、これにより当該データ通信は有線使用又は無線技法を介して送信及び/又は受信される。具体的には、センサ24により測定されたセンサ・データはI/Oインタフェース26を介してコントローラ28に送信され、コントローラ28からアクチュエータ22に送られたアクチュエータ・コマンドはインタフェース26を通過する。
【0027】
図4は、一実施形態に係る、機械的ハプティック・アセンブリ100のカラーのA−A線に沿った断面図を示す。具体的には、図4は、一実施形態における機械的デテント構成を有するカラー136を表す。一実施形態において、内部スリーブ134は、ノブ20が回転されたときに、カラー136内で一以上の物理的アクチュエータ機構と接触して機械的ハプティック効果を生成する、一以上の物理的形状を備える。一実施形態において、物理的形状はカラー136の内部表面104上に位置し、物理的アクチュエータ機構は内部スリーブ134又はノブ20に位置する(図2)。一実施形態において、内部スリーブ134は用いられず、これによりノブ20はカラー136に接触し、物理的形状又は物理的アクチュエータ機構はノブ20の一部の上に位置する。
【0028】
図4に示す一実施形態において、カラー136は外部表面102及び内部表面104を備える。加えて、内部スリーブ134はカラー136の内部表面104に接触し、これにより内部スリーブ134はY軸回りにカラー135に対して回転可能である。図4に示すように、カラー136は、外部表面102と内部表面104との間に一以上の通路106を備える。一実施形態において、通路106内のバネ負荷機構108はボール40に接触し、これによりバネ108はY軸中心に向かってボール40を付勢する。このボール40及びバネ負荷機構108は物理的アクチュエータ機構の例示のみであるが、物理的アクチュエータ機構は任意の他の適切な構成の種類でもよい。
【0029】
図4に示す実施形態において、内部スリーブ134での物理的形状は図4の参照番号138aから138hとして示すノッチである。図4に示す実施形態において、ノッチ138a〜138hは内部スリーブ134の外部表面の切り欠きであり、ノブ20並びに内部スリーブ134がY軸回りに回転される際に、バイアスされたボール40がノッチ138a〜138hに進入し脱出するように、放射状に位置決めされる。すなわち、ノッチ138のそれぞれがバイアスされたボール40を超えて回転すると、機械的ハプティック効果がユーザに感じられる。図4に示すノッチ138a〜138hの形状及び構成は、ノブ20においてデテント類似のハプティック効果を機械的に生成する。一実施形態において、以下により詳細を記載するように、他の機械系ハプティック効果を生成するために物理的特徴を構成してもよい。
【0030】
デテントは、粗い又は細かい増分又は選択を明示するために用いられてもよく、文脈を反映した要求に適合する大きさ、形状及び数にカスタマイズされてもよい。一実施形態において、物理的形状としてのノッチに替えて、へこみ又は凹部が内部スリーブ134に形成される。一実施形態において、突起が物理的特徴となるように、内部スリーブ134からカラー136の内部表面104に向かって突起が突き出す。
【0031】
内部スリーブ134の外部表面上の物理的特徴により形成されるデテント位置は、ラジオ局、テレビ局、又はボリューム等のセッティングを示してもよい。デテント固有の機械的感触は、がたがたでもよく、でこぼこでもよく、固有の機械的音声はかちかちでも、かちっとしたもの等でもよい。ノブ20の機械的感触は、慣性、摩擦、デテント数、デテントの堅さ、デテントを形成する物理的特徴の形状、物理的特徴の寸法、デテントの幅、デテント中心の位置、運動範囲、バリア範囲(例えば、開始及び停止)、構成要素の重量及び機器8に存在する摩擦力を備える機器8の物理的特性に依存する場合があるが、これらに限定しない。
【0032】
一実施形態において、機械的ハプティック・アセンブリ30は、回転モジュール12内のセンサ24を補うか又は置き換えるポテンシオメータを内部に取り入れて備える。ポテンシオメータは、ノブ20の動きを、回転方向及び/又は横方向で検出し、位置、速度及び加速語に関する情報をコントローラに提供する。このようなポテンシオメータ機器は、例えばmPanasonic Corporation社製パーツ番号EVQ−WFP 00415B型として入手可能である。
【0033】
図5は、一実施形態に係るハードストップ・アセンブリを示す上面図である。ハードストップはユーザの運動を制限し、例えば、最初と最後のアイテム、最小と最大、又は領域の端(例えば、ラジオバンド)等を表示するために有用である。図5は、ハードストップ246aハプティック効果が現れる物理的特徴、並びにデテント・ハプティック効果246b〜246gが表れる物理的特徴を備える、機械的ハプティック・アセンブリ230を示す。図5に示すように、内部スリーブ210はY軸回りに回転可能であり、カラー230の内部表面212の直径よりも小さな直径を有する。加えて、デテントの特徴246b〜246gは内部スリーブ210の表面に沿っている。図5において、ハードストップの特徴246aは、スリーブ210の外部表面から突出し、ノブがハードストップに回転されるときにボール40と接触するように示されている。従って、ハードストップ246aは、ノブ20のさらなる回転に対して強い抵抗を発生し、これによりユーザにハードストップに達したことが示される。図5に示すように、ハードストップの特徴246aは内部表面212の進路全体にわたって突出する必要はないことに注意すべきである。特徴246aは進路の一部のみに突出することで、ノブ20に十分なトルクを加えることにより乗り越え可能な、ユーザにいくらかの抵抗を示すソフトストップであってもよい。一実施形態において、一つ以上のハードストップ、ソフトストップ又は組み合わせがY軸に対して任意の角度で構成され設置される。
【0034】
一実施形態において、機器8は電子系ハプティック効果を完全に切断することが可能であり、これにより、ノブ20が操作されるときにユーザにより感知される機械系ハプティック効果のみが可能になる。このような実施形態において、コントローラ28は、回転モジュール12がシャフトをY軸回りに自由に回転できるように指示する。しかしながら、機器8は、ユーザがノブ20を操作しているときに機械的ハプティック効果を感知できないように、機械系ハプティック効果を選択的に無効化するよう構成してもよい。このような実施形態において、カラー136は電子・機械スイッチを備え、これがいったん有効化されると、機械的アクチュエータ機構は内部スリーブ134又はノブ20にもはや接触しなくなる。一実施形態において、カラー136は通路106内に磁石140を備える。いったん磁石140が励磁されると、磁力によりバネ108及びボール40は磁石140に引きつけられ、これにより通路106内に移動して内部スリーブ134を離れる。従って、ボール40はもはや内部スリーブ134に接触せず、内部スリーブ134及びノブ20は機械系ハプティック効果を全く生じずにY軸回りに回転可能となる。磁石140を伴う構成は一例のみであり、ノブ20への機械系ハプティック効果を無効化するための任意の他の適切なデザインが実装されてもよいことに注意すべきである。
【0035】
一実施形態において、カラー136はマウント面10から取り外し可能であり、機器8に他のカラー136を取り付けることができ、容易に組み立てることが可能である。例えば、図4に示すカラー136は、他のパーツ又は構成要素を用いる必要なく、異なるアプリケーションのために図5のカラー236と容易に置き換えうる。
【0036】
図6は、一実施形態に係る機器を利用するシステムの様々な構成要素を示すブロック図である。この実施形態において、センサ24は、光学的シャフト・エンコーダ、ホール効果センサ、ポテンシオメータ及び電気活性ポリマーを含むがこれらに限定しない、当業に公知の種々のセンサ機器の一つでもよい。センサ24はユーザの操作の態様に関する情報を提供し、これにより当該情報は、ノブ20の回転、ノブ20への又はこれによるトルク、ノブ20により達する回転位置、ノブ20が回転される時刻、並びに速度及び加速度情報を含むが、これらに限定しない。センサ24は、I/O通信ブロック26を介して、これらのいくつか又は全部を含む出力信号をコントローラ28に送信する
【0037】
アクチュエータ22及び音声変換器48はコントローラ28からの出力信号を受信し、対応するハプティック及び音声効果を生成する。音声変換器48はスピーカ又は他の音声あるいは音を発生する機器を用いて実装されてもよい。アクチュエータ22は、モータ、電磁ブレーキ、偏芯回転質量アクチュエータ(ERM)、電気活性ポリマー、リニア共振アクチュエータ、磁気粒子ブレーキ、又は磁性コア、コイル又は磁化ターゲットを利用する磁気流動性・電気流動性ブレーキを含むがこれらに限定しない、当業に公知の数々のアクチュエータの任意のものでよい。これらのアクチュエータ22は、慣性機構、ダイレクトドライブ機構、又は振動機構から動力を供給されてもよい。
【0038】
コントローラ28はプログラム可能なハプティック又は音声効果のアプリケーションを制御する。具体的には、コントローラ28は、センサ24からセンサ情報を受信し、検出された位置及びコントローラ28により実行されるホスト・アプリケーション・プログラムからの命令に基づいて、選択されたハプティック効果をユーザに出力するためにプログラム可能な回転モジュール12に信号を出力する。コントローラ28は、センサ24により受信される信号に含まれる情報に応答する場合があるプログラム可能な回転モジュール12に、適宜デジタル・オーディオ・コンポーネントを出力する。
【0039】
コントローラ28は、例えば、アクチュエータへの所望のハプティック効果を生成するための必要に応じて、入力、アルゴリズム実行及び出力生成の処理が可能なデジタル・ローカル・プロセッサ等、一以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。一実施形態において、コントローラ28は、適切なハプティック信号を機器8内のアクチュエータ22に出力するために、アプリケーション・プログラム上で実行するソフトウェア・コードを処理し、ソフトウェア・プログラムの文脈においてセンサ信号を利用する、ローカル又はリモート・ホスト・コンピュータでもよい。
【0040】
一実施形態によれば、コントローラ28は、メモリに保存されるテーブル内でユーザの操作の態様を参照し、ハプティック・コンポーネント及び/又は音声コンポーネントを有する信号をアクチュエータ及び/又は音声変換器48に出力する。一実施形態において、コントローラ28は、ハプティック/コンポーネント及び/又は音声コンポーネントを生成するために、アルゴリズム又はアルゴリズムの組み合わせを用い、並びにメモリ内に保存されるテーブルを参照する。
【0041】
コントローラ28は、プログラム可能なハプティック効果及び音声効果が回転制御機器8(図2)の機械的感触を補完するように、機械的ハプティック効果に関する情報をアルゴリズム及び/又はテーブルに分解してもよい。具体的には、コントローラ28は、機械的ハプティック・アセンブリからのセンサ情報を利用し、この情報内を分解するこのようなハプティック・アセンブリ情報は、機械的デテント数、デテント幅、デテント中心の位置、運動範囲、特定のデテント形状、存在する摩擦力、音声が発生する形状内の場所等を含んでもよい。
【0042】
一実施形態において、コントローラ28は、ノブ20が機械的ハプティック・アセンブリ内のデテントに位置決めされる間に出力信号を生成する。一実施形態において、コントローラ28から送信される出力信号は、少なくとも部分的に、ノブ20階値決めされる特定のデテントに対して応答性でもよい。従って、機器8は、ノブ20の特定の位置に対応するハプティック効果を出力することが可能であり、これにより、当該位置は、機械的及び電子的ハプティック・アセンブリ内での検出能を提供しうる。例えば、デテントが低速なフロントガラス・ワイパーのセッティングを示す場合には、出力信号はより小さな又はより低速な振動及びより小さな音量を表してもよい。デテントがより高速なフロントガラス・ワイパーのセッティングを示す場合には、出力信号はより高速な又はより大きな振動及びより大きな音を表してもよい。
【0043】
上述のように、本願明細書に記載の機器8は機械系ハプティック効果並びにプログラム可能な電子系ハプティック効果を提供するよう構成される。具体的には、プログラム可能な電子系ハプティック効果は、機械系ハプティック・アセンブリからの機械系ハプティックを増大するための、プログラム可能な回転モジュール12により供給される。一実施形態において、プログラム可能な回転モジュール12は、詳細を後述するように、機械系ハプティック効果にプログラム可能な電子系力学特性を上書きする、
【0044】
例えば、プログラム可能な回転モジュール12は、機械系ハプティック効果に加えて、抵抗又はアクティブ・フィードバックを出力する。「抵抗性」フィードバック・ハプティック効果は、ユーザがノブ20を移動することにより、無限大の値にまで必要な力の量を増加させる。例えば、プログラム可能な摩擦又はダンピング効果が、ノブ20の移動しやすさを増大又は低下するために用いられてもよい。「アクティブ」フィードバック・ハプティック効果は、ユーザがノブを移動するために必要な力の量を減少させる。プログラム可能なハプティック効果は、機器へのトルクを動的に供給することにより、ユーザがノブを回転する際の補助としてもよい。ある種のハプティック効果モジュールを用いて、コントローラ28の制御にあるハプティック効果として、ノブ20を回転させることも可能である。
【0045】
プログラム可能なハプティック効果は、過渡的な(一時的な)効果も提供してよい。例えば、回転モジュール12により出力される振動は、機械系ハプティック効果への入口、これからの出口、又は所与の位置を提示してもよい。同様に、プログラム可能な音声効果は音声変換器又は同等のものを提示するための他の機器により再生してもよい。音声は種々の道具の性質をシミュレートするために用いてもよい(例えば、アルミニウム、プラスチック)。
【0046】
図7Aから図7Hのそれぞれは、一以上の多様な実施形態と共に用いうる、プログラム可能なハプティック効果特性を例示する図である。図7Aから図7Hにおいて、ノブ20は、左に示されるノブ20に対応して、右にハプティック効果特性を表している。以下のハプティック効果特性は単に例示のみであり、機器8は、特に記載のない他のハプティック効果特性を出力するように構成してもよいことに注意すべきである。機器8は、本願明細書に基づく二以上のハプティック効果の組み合わせを出力してもよいことに注意すべきである。
【0047】
図7Aは、一実施形態に係るプログラム可能なデテント効果を示す。図7Aに示すように、プログラム可能なデテントA〜Eは、デテントの感触及び機能を模倣してもよい。プログラム可能なデテントは、既存の機械系デテントを補完するか、又はさらに既存の機械系デテントを細分するために追加されてもよい。それぞれの電子系デテントにおいてノブ20に印加される抵抗力の強度、幅、又は全体の感触は、機械的ハプティック・アセンブリによりノブに印加される力と実質的に同様であるようプログラムされてもよい。一実施形態において、それぞれの電子系デテントにおいてノブ20に印加される抵抗力の強度、幅、又は全体の感触は、電子系デテントと機械系デテントを区別するために、機械的ハプティック・アセンブリによりノブに加えられる力より大きくプログラムされてよく、小さくプログラムされてもよい。
【0048】
図7Bは、一実施形態に係る、プログラム可能なハードストップ力学特性(プログラム可能なバリアとしても参照される)を示す。プログラム可能なハードストップは、機械的ハードストップの感触及び機能を模倣するために用いられてもよく、機器8のアプリケーションに基づいて、機器8により選択的に出力されてもよい。プログラム可能なハードストップは、一以上の機械的ハードストップを有する既存の機械的ハプティック・アセンブリを補完するために用いられてもよい。以下に記載するように、プログラム可能なハードストップは、機械的ハプティック・アセンブリ内に構成されるハードストップを選択的に生成するために用いられてもよい・
【0049】
図7Cは、一実施形態に係る、プログラム可能な丘陵効果(hill effect)を示す。丘陵とは、幅広いデテントの平坦な様式である。丘陵効果は、メニューが回り込む特徴、並びに彼又は彼女が最後のメニュー・アイテムから最初のメニュー・アイテムに移動したことをユーザに知らせる。丘陵効果は、サブメニューからメインメニューに戻ることを示すために用いてもよく、又は境界をまたぐことを合図で知らせるために用いてもよい。丘陵効果は、ノブ20の位置が検出されることに基づいてコントローラ28からの対応する出力信号を受信する際に、アクチュエータ22により出力されてもよい。
【0050】
図7Dは、一実施形態に係る、プログラム可能な混合効果を示す。混合効果は、バリア及びデテント等の、二以上の効果を含む。混合効果は、設計者が操作ステップに対して触覚的な感触を緊密にマッチさせる手助けとなり、これはユーザビリティを向上しうる。図7Dに示す例に対しては、混合効果はカーステレオにおけるフェード制御に適切であり、より深い中心のデテント(「B」で示す)を伴う小さなデテント(「A」及び「C」で示す)及び両端のバリアを備えている。一実施形態において、より深い中心のデテントBは、回転モジュールのみにより出力され、その一方でより小さいデテントA、Cは機械的ハプティック・アセンブリにより出力される。一実施形態において、全てのデテントA〜Cは回転モジュール12により出力される。混合効果特性は、検出されたノブ20の位置に基づいて、コントローラ28から対応する出力信号を受信する際にアクチュエータ22により出力されてもよい。
【0051】
図7Eは、一実施形態に係る、プログラム可能なバネ効果のハプティック特性を示す。バネ効果の力学特性は、速度を調節するためのシャトル・コントロールに用いられるものと同様の、良好なデフォルトに戻る位置決めを提供する。バネ効果特性により、プログラム可能な回転モジュール12はノブ20内に仮想的なバネを設置することが可能であり、これによりプログラム可能な回転モジュール12はノブ20の回転の際に仮想的なバネの力を出力する。図7Eに示す例において、回転モジュール12はコントローラによりプログラムされ、ノブ20上の位置Aに仮想的なバネを設置する。しかしながら、回転モジュール12は、ノブ20の移動経路上のどこにでも一以上の仮想的なバネを設置するようにプログラムされてもよいことに注意すべきである。ノブ20が、図7Eにおける位置Aに向かって回転されていることを検出されると、位置信号がコントローラ28に送信され、これにより適切な出力ハプティック信号が回転モジュール12に転送され、アクチュエータ22にノブ20に対するゆるやかな抵抗力を生成させる。ノブ20の移動が位置Aに近づくにつれて、ユーザがもはやノブ20を回転することができなくなるように、ノブ20に加わる抵抗力は無限に近くなる。ユーザがノブ20を開放すると、アクチュエータ22により働いていた力により、ノブ20はそのデフォルト位置(「C」で示す)に引き戻される。これに対して、アクチュエータ22により働いていたバネの力は、上述とは反対の作用を行い、ノブ20が図7Eに示す位置Bに向かって移動されるようになる。ユーザがいったんノブ20を開放すると、アクチュエータ22はノブ20をデフォルト位置Cに引き戻すようになる。
【0052】
図7Fは、一実施形態に係る、ダンパ効果の力学特性を示す。ダンパ効果は、コントローラの速度を増加又は減少する力である。ダンパ効果は、引きずる感覚又は重量感を生成し、高級なオーディオ機器にみられるような高品質なコントロールの感触を模倣するために用いられてもよい。ダンパ効果は、音楽トラック、メニュー・アイテム、ビデオ・フレーム又はデータ・スタック中を移動するために用いられるジョグ・コントロールを模倣するためにも用いられてもよい。ダンピングの力は、ノブを低速化するために用いてもよく、ノブがメニュー・リスト上の最後の選択肢の近くにあることをユーザに知らせるフィードバックを提供するために用いてもよい。コントローラ28は、ノブ20が回転される際に検出された速度及び/又は加速度情報を受信し、これによりコントローラ28は、検出された情報に基づいてノブ20へのダンピング・ハプティック効果を出力するために、適切な出力信号をアクチュエータ22に提供する。
【0053】
図7Gは、一実施形態に係る、一定の力学効果特性を示す。一定の力学効果は、ノブ20の即時的な位置とは独立した一定の力である。換言すれば、アクチュエータにより加えられる力は、ノブ20がある位置に向かって又はこれから離れて回転される際に、ダンピングの力学効果のバネの力のようには必ずしも変化しない。しかしながら、一実施形態において、一定の力学効果は、ノブ20が指定された位置に到達していることに基づいて、又はノブ20がグラフィカル・ユーザ・インタフェース上で特定のアイテム又は機能を選択する時に、発動され、アクチュエータ22により出力されてもよい。一定の力学特性は、重力、摩擦又はモーメント等の動力学を模倣するために、機器8により用いられてもよい。コントローラ28は、ノブ20が指定されて位置にあることを検出されるとき、又はメニュー上の特定のアイテム又は他の構成要素がユーザにより選択されるときに、アクチュエータ22に一定の力の出力信号を送信する。
【0054】
図7Hは、一実施形態に係る、周期的な力学効果の特性を示す。周期的な力学効果は、一定期間の間に続く振動であり、ここに振動は正弦波、矩形波、又は三角波の特徴を有する。一実施形態において、振動の波の特徴はランダムに生成される。周期的な力学特性の信号は、ノブ20がある位置にコントローラ28が到達したという検出された位置情報を受信する際に、又は特定の状況に遭遇するときに、コントローラ28により出力されてもよい。
【0055】
図8は、一実施形態に係る、機械的ハプティックを取り入れている回転入力制御機器の上面図である。図8の機器300は、グラフィカル・ユーザ・インタフェース・スクリーン304並びにメニュー・アイテム選択機器352を有する筐体302を備えるメディア機器であるメニュー・アイテム選択機器352は、この例においてはノブ352として示されるが、選択機器352は物理的なノブ20以外の任意のデザインを有していてもよい。図8に示す制御機器300は、ユーザがメディア機器300内の利用可能な8個の音楽トラックAからHの一つに対してノブ352を位置決めしたことを提示するために、機械的デテント338aから338fを備える。加えて、プログラム可能な電子系ハプティックは、特定の選択されたトラックに関して時計回り又は反時計回りのいずれかにノブ52を回転するときに、ユーザに追加のハプティック効果を提供してもよい
【0056】
別の例において、図8に、位置インジケータ「B」の方向を指しているポジショナ354を示す。ノブ352が回転すると、機器300内のセンサがノブ352の回転位置の変化を検出する。コントローラ28は、当該位置情報が提供され、当該受信された情報並びにコントローラ28が動作しているソフトウェア・プログラムに基づいて、機器300内のアクチュエータに対応する有効な信号を出力する。一実施形態において、有効な信号により、アクチュエータはユーザがノブ352を隣接する位置(図8の「A」又は「C」)に向かって回転するために要する量の力を増加させる。有効な信号により、音声変換器は、ノブ352が一つのデテントから別のものに回転されることに対応する音声効果をユーザに再生する。一実施形態において、センサは、ノブ352が回転されるトルク又は速度を検出してもよい。コントローラ28及びアクチュエータ22は、ノブ352が回転される際に、ノブ352がユーザに対して適切なハプティック効果を出力するように、順番にノブ352に可変の抵抗を提供してもよい。
【0057】
図9は、一実施形態に係る、ハードストップ・アセンブリを取り入れている回転入力制御機器の上面図である。図9に示す回転入力制御機器400は、ユーザ・インタフェースに対応する機械系デテント数を分離するために、プログラム可能なハードストップ460a及び460dが生成されるアプリケーションを表している。例えば、ユーザ・インタフェースがメニューを有するディスプレイ・スクリーン458である場合を考える。スクリーン458は4個のメニュー・アイテム60a、60b、60c、60d及び4個のメニュー・アイテムに対応する利用可能な機械的デテント4個の枠となるように用いられるプログラム可能なハードストップ460a、460dを表示する。プログラム可能なハードストップ460a、460dにより、ユーザは、スクリーン458を見ることなしにメニューの上部及び底部を感知することができる。換言すれば、上記記載のメディア・プレイヤのアプリケーションにおいて、ノブ454に利用可能な機械系デテントは4個以上であるが、機器400内の回転モジュールはアイテム数(例えば、音楽トラック)に基づく電子系ハードストップを出力するようにプログラムされてもよい。
【0058】
メニューの上部及び/又は底部又は各デテントに達したときに、聴覚音声が生成されてもよい。例えば、「上」「中」「下」及び「オフ」等、いくつかの又は全てのデテントに伴う音声を合成するボイス・シンセサイザにより音声効果が出力されてもよい。あるいは、プログラム可能なデテントが4個のメニュー・アイテム460a、460b、460c、460dに対応するために用いられる間に、メニューの上部及び底部を示すために機械的ハードストップが用いられてもよい。
【0059】
図10は、一実施形態に係る、回転入力制御機器と相互作用する方法のためのフロー図である。ブロック500において、ユーザは回転入力制御機器の回転ノブを回転するか又は直線的に動かし、これにより結合された機械的ハプティック・アセンブリがノブに同期して回転される。ユーザがノブを回転することに応答して、機械的なハプティック・アセンブリは機械的なハプティック効果を生成する(502)。ノブが回転されるにつれ、機械的なハプティック・アセンブリ及び/又は回転モジュール内の一以上のセンサはノブの動きを測定する(504)。一以上のセンサはノブの操作に応答してコントローラに信号を送信する(506)。コントローラは、センサにより提供される信号並びにコントローラ内で動作しているアプリケーション・プログラムに応答し、ハプティック信号を機器に出力する。アクチュエータは、コントローラからのハプティック信号を受信すると、ノブにハプティック効果を発生する(508)。適宜、方法は、さらにノブに結合した音声変換器からプログラム可能な音声効果を発生するステップを含んでもよい(510)。
【0060】
本願明細書に記載の主題は、回転コントロールが用いられる多くの手法に実装されてもよい。例を挙げるとすれば、ステレオの音量、気候コントロールすなわち温度、霜取り設定、ファン設定、ミラー、座席調節、フロントガラス・ワイパー速度、アラーム設定、時計、及び全地球測位システムのインタフェースのナビゲートを調節するために回転コントロールが用いられる、自動車内のコントロールパネルである。回転コントロールの他の例には、自動販売機、オーディオ/ビデオ機器、カメラ等が挙げられる。コンピュータ、プロセッサ、又は他のコンピュータ機器を上記記載の機器と接続し、これによりコンピュータは機器からの信号を受信し、ユーザにハプティック感覚を提供する機器への信号を出力するソフトウェア・プログラムを動作させてもよいことに注意すべきである。
【0061】
本発明は、従来技術に対して種々の利点を提供する。リアルな機械的デテントは、電子的に再生成を要するものよりも高品質な感触と高水準のリアリティを構築して生成する。プログラム可能なハプティック効果はダイナミックであり、機械的アセンブリを再加工する必要なく、迅速な変更が可能である。これは既存の機械的デテント・アセンブリを変更、微調整及び補完するために用いてもよく、所望のハプティック効果の提供において設計者には多くの用途が可能になる。さらに、本願明細書に記載の主題は、機械的デテント又は機械的ハードストップを参照位置として利用することにより、位置検出を単純化している。このような参照位置は、必要なサンプリング速度を最小化する場合もある。セットされる参照位置を、ハプティック効果を音声効果と同期する助けとしてもよい。さらに、本願明細書に記載の機器は、電源が投入されないときでも、デフォルトの感触を常に有している。
【0062】
本発明の実施形態及び応用を図示し記載してきたが、本開示の利益を有する当業者であれば、本願明細書の発明の概念から離れることなく上述以上により多くの変形が可能であることは明白であろう。従って、本発明は添付の特許請求の範囲の主旨のみにより限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフト;
前記シャフトに結合されるマニピュランダム;
前記マニピュランダムに結合され、回転に応答して一以上の機械的ハプティック効果を生成するよう構成される機械的ハプティック・アセンブリ;
前記マニピュランダムの操作の態様を測定し、発生する操作情報を出力するように構成されるセンサ;及び、
プログラム可能なハプティック効果を提供するために前記操作に動作可能に結合して信号に応答するアクチュエータを含む、
回転入力制御機器。
【請求項2】
さらに、音声変換器を含み、
前記制御機器は、前記操作の態様に応答して前記音声変換器に音声信号を出力するように構成される、
請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項3】
前記機械的ハプティック・アセンブリは複数の機械的デテントを備える、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項4】
前記機械的ハプティック・アセンブリは機械的ハードストップを備える、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項5】
さらに、前記デテント内の位置で前記ハプティック出力信号を生成するよう構成されるコントローラを含む、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項6】
前記操作の態様は前記マニピュランダムが回転する速度を含む、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項7】
前記操作の態様は機械的デテントの少なくとも一部分の半径方向位置の検出を含む、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項8】
前記コントローラは、前記マニピュランダムがデテントの残り又は好適な位置にある間に、前記ハプティック出力信号を生成するよう構成される、請求項5に記載の回転入力制御機器。
【請求項9】
前記コントローラは、前記マニピュランダム・アセンブリがデテントに捕捉され、前記間にプランダムが捕捉される特定のデテントに対して前記ハプティック出力信号が少なくとも一部において応答性である間に、前記ハプティック出力信号を生成するよう構成される、請求項5に記載の回転入力制御機器。
【請求項10】
前記ハプティック効果は抵抗性の力学的フィードバックである、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項11】
前記ハプティック効果は介助性の力学的フィードバックである、請求項1に記載の回転入力制御機器。
【請求項12】
前記ハプティック信号は少なくとも一つのハードストップの生成を提供する、請求項5に記載の回転入力制御機器。
【請求項13】
前記ハプティック信号は、所与の時間におけるユーザ・インタフェースの状態に従って、機械的デテントを分離するためのハードストップの生成を提供する、請求項5に記載の回転入力制御機器。
【請求項14】
前記コントローラは、前記マニピュランダムのデテント進入に応答して音声信号を音声変換器に出力するように構成される、
請求項5に記載の回転入力制御機器。
【請求項15】
ノブ及び結合した機械的ハプティック・アセンブリを相互に同期して回転するステップと、
前記回転に応答して前記機械的ハプティック・アセンブリから機械的ハプティック効果を生成するステップと、
前記回転入力制御機器の操作の態様をセンサによりセンシングするステップと、
前記センシングされた前記回転入力制御機器の操作の態様に応答するコントローラへ前記回転入力制御機器から信号を送信するステップと、
前記回転入力制御機器に操作可能に結合したアクチュエータからプログラム可能なハプティック効果を生成するステップと、を含む、
回転入力制御機器と相互作用する方法。
【請求項16】
さらに、前記回転入力制御機器に操作可能に結合した音声変換器からプログラム可能な音声効果を生成するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記機械的ハプティック・アセンブリの回転により機械的デテントを生成するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ハプティック・アセンブリは前記回転に伴うハードストップを生成するよう構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記操作の態様は前記マニピュランダムが到達する回転位置を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記操作の態様は前記マニピュランダムが回転する速度を含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−540399(P2009−540399A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513310(P2009−513310)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/013023
【国際公開番号】WO2007/143140
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(500390995)イマージョン コーポレーション (65)
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
【Fターム(参考)】