説明

清掃機構、転写帯電器、及び画像形成装置

【課題】放電部材の自動清掃及び手動清掃を行うことができる清掃機構、清掃機構を備える転写帯電器及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】
清掃部材53は、搬送スクリュー531、清掃パッド532及び係合部材534を備える。搬送スクリュー531は、螺旋状の溝部531Aを有し、コロナワイヤ52と平行に配置されている。清掃パッド532は、対向配置された突起532B及びパッド532Cを備える。清掃パッド532は、搬送スクリュー531がモータ56によって回転すると、突起532Bが溝部531Aに係合して移動し、パッド532Cがコロナワイヤ52の表面を清掃する。搬送スクリュー531の先端部には、清掃パッド532に取り付けられた係合部材534と係合する鍔部533Aが形成されている。係合部材534は、先端部534Aが鍔部533Aと係合して、搬送スクリュー531に清掃パッド532を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コロナ放電を行う転写帯電器の放電部材を清掃する清掃機構、清掃機構を備える転写帯電器及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、コロナ放電を行う転写帯電器を用いて、像担持体の表面や中間転写体上のトナー像を帯電させるものがある。転写帯電器は、開放面を有する筐体と、筐体の長手方向に沿って配設された放電部材とを備え、放電部材から電子を放電する。放電部材の一部に汚れが付着すると、汚れの付着箇所から電子が放電され難くなり、像担持体の表面や中間転写体上のトナー像を均一に帯電させることができず、用紙上に形成された画像の画質が劣化する。
【0003】
そこで、画像形成装置には、送りネジ、ホルダ、及びクリーニング部材を有する清掃装置を備え、放電部材の表面を清掃するものがある(特許文献1参照。)。送りネジは、転写帯電器の筐体の長手方向に沿って、回転自在に筐体に支持されている。ホルダは、回転を規制された状態で送りネジに螺合しており、放電部材の表面に圧接するクリーニング部材を保持している。送りネジにモータから回転を供給すると、ホルダに保持されたクリーニング部材が放電部材に圧接しつつ、長手方向に移動し、放電部材を自動で清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−258018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動清掃を行う清掃装置は、通常、所定回数の画像形成処理が終了したタイミングで放電部材を清掃するため、任意のタイミングで、放電部材を手動で清掃することができない。
【0006】
この発明の目的は、転写帯電器の放電部材を自動及び手動で清掃することができる清掃機構、この清掃機構を備えた転写帯電器及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の清掃機構は、清掃パッド、ガイド部材、及び駆動源を備え、筐体に配設された長尺状の放電部材の清掃を行う。清掃パッドは、放電部材の長手方向における一部の範囲である第1端部から第2端部の間で、放電部材の表面に当接する。ガイド部材は、清掃パッドの長手方向の移動をガイドする。ガイド部材は、第1端部側に形成された持ち手を有し、持ち手が筐体から突出した状態で、長手方向に移動自在に筐体に支持される。駆動源は、ガイド部材と連結自在な駆動源であって、ガイド部材に連結した状態で、ガイド部材の長手方向の移動を規制するとともに、長手方向に沿って清掃パッドを移動させる駆動力をガイド部材に供給する。ガイド部材は、第2端部側が前記清掃パッドに係合自在であり、清掃パッドと係合した状態では、駆動源と連結せずに、長手方向に移動自在であり、駆動源に連結した状態では、清掃パッドと係合せずに、駆動力が供給されると清掃パッドを長手方向に沿って移動させる。
【0008】
この構成では、筐体は、長尺状の放電部材が内部に配設されている。ガイド部材は、筐体から持ち手を突出させた状態で、筐体に支持されている。ガイド部材は、清掃パッドを移動させる駆動力を供給する駆動源と連結自在であり、且つ放電部材の表面に当接した清掃パッドと係合自在である。ガイド部材は、駆動源に連結した状態では、清掃パッドと係合しておらず、駆動源から駆動力が供給されると、放電部材の長手方向に沿って清掃パッドを移動させる。また、ガイド部材は、清掃パッドと係合した状態では、駆動源に連結しておらず、ユーザが持ち手を操作することで、長手方向に移動自在である。
【0009】
この構成において、清掃パッドの回転を規制する規制部材をさらに備え、駆動源は、正逆方向の回転を供給するモータを含み、ガイド部材は、螺旋状の溝部を有し、モータの回転が供給される搬送スクリューを含み、清掃パッドは、搬送スクリューの溝部に係合する突出部を有し、突出部が溝部に係合し、且つ規制部材によって回転を規制された状態で、搬送スクリューの回転に伴って長手方向に沿って移動することが好ましい。
【0010】
この構成では、清掃パッドは、規制部材によって回転が規制されているため、モータから回転が搬送スクリューに供給されると、搬送スクリューの螺旋状の溝部に沿って、放電部材の長手方向に移動する。
【0011】
これにより、清掃機構は、簡素な構成で、放電部材の自動清掃を行うことができる。
【0012】
また、ガイド部材は、第2端部側に鍔部を有し、清掃パッドは、鍔部に係合自在な係合部材を有し、長手方向における第2端部から第1端部へ向かう方向にガイド部材を移動させて清掃パッドに圧接させると、係合部材が鍔部に係合する構成であることが好ましい。
【0013】
この構成では、ガイド部材の鍔部が清掃パッドに圧接するようにガイド部材を移動させるだけで、鍔部が清掃パッドの係合部材に係合する。
【0014】
これにより、単純な操作で、ガイド部材に清掃パッドを係合させることができる。
【0015】
この構成において、ガイド部材の第2端部側は、駆動源と連結自在であり、長手方向における第1端部から第2端部へ向かう方向にガイド部材を移動させて駆動源に圧接させると、係合部材が鍔部から離脱する構成であることが好ましい。
【0016】
この構成では、ガイド部材の鍔部側が駆動源に圧接するようにガイド部材を移動させるだけで、鍔部が清掃パッドの係合部材から離脱する。
【0017】
これにより、単純な操作で、ガイド部材から清掃パッドを離脱させるとともに、ガイド部材を駆動源に連結させることができる。
【0018】
この発明の転写帯電器は、長尺状の放電部材、被帯電体に対向配置される開放面を有し、放電部材が配設される筐体、及び上述の清掃機構と、を備える。
【0019】
この構成では、上述の清掃機構を転写帯電器に適用する。
【0020】
これにより、転写帯電器の放電部材の自動清掃及び手動清掃を行うことができる。
【0021】
この発明の電子写真方式の画像形成装置は、上述の転写帯電器を備え、画像データに基づく静電潜像を可視化して形成されたトナー像を担持する像担持体を有し、像担持体上のトナー像を画像形成部材を経て用紙に転写する。被帯電体は、静電潜像が形成される前の像担持体、又は画像形成部材上のトナー像の少なくとも一方である。
【0022】
この構成では、上述の転写帯電器は、電子写真方式の画像形成装置に適用する。転写帯電器は、静電潜像が形成される前の像担持体、中間転写体等の画像形成部材上のトナー像等を帯電させる。
【0023】
これにより、画像形成装置は、像担持体の表面や画像形成部材上のトナー像を均一に帯電させることができ、用紙への画像形成時に良好な画質を得ることができる。
【0024】
この構成においては、転写帯電器が格納された装置筐体を開閉自在にする扉と、扉の開閉を検出する検出手段と、検出手段によって扉が閉鎖されたことを検出すると、清掃パッドを第1端部へ移動させる駆動力を駆動源からガイド部材に供給させる制御部と、をさらに備え、扉は、ガイド部材の移動時に少なくとも開放されることが好ましい。
【0025】
この構成では、例えばガイド部材を用いて手動清掃する時に、転写帯電器が格納された装置筐体の扉が開放される。扉の閉鎖を検出すると、第2端部側に位置する清掃パッドを第1端部へ移動させる。
【0026】
これにより、手動清掃後に、第2端部から第1端部まで清掃パッドを再度移動させて自動清掃を行うことで、確実に放電部材の清掃を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明の清掃機構、清掃機構を備える転写帯電器及び画像形成装置は、放電部材の自動清掃及び手動清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る画像形成装置の概略を示す正面図である。
【図2】同画像形成装置の外観図である。
【図3】同画像形成装置におけるプレ転写チャージャの模式図である。
【図4】(A)は同プレ転写チャージャにおける搬送スクリューと清掃パッドの一部拡大図、(B)は同プレ転写チャージャの断面図である。
【図5】図3のA−A’断面図である。
【図6】同画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】同画像形成装置における制御部の自動清掃処理のフローチャートである。
【図8】(A)は同プレ転写チャージャにおける清掃パッドがホームポジションに位置する状態、(B)は搬送スクリューの受動側軸継手が駆動側軸継手から離脱した状態、(C)は受動側軸継手に清掃パッドが係合した状態を示す。
【図9】(A)は手動清掃時の状態、(B)は受動側軸継手から清掃パッドを取り外した状態、(C)は手動清掃が終了した状態を示す。
【図10】(A)は清掃パッドが搬送スクリューに係合した状態、(B)は清掃パッドが搬送スクリューから抜脱した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、及び画像形成部110を備え、原稿から読み取った画像データを用いて、記録媒体である用紙に電子写真方式による多色又は単色の画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、外部装置から入力される画像データに基づく画像形成処理を行うものであってもよい。
【0030】
画像読取部90は、上面に原稿台92,93を備えている。画像読取部90の上面には、載置トレイ121に載置された原稿を搬送する自動原稿搬送装置120が背面側端部を支軸に開閉自在に装着されている。画像読取部90は、自動原稿搬送装置120の搬送によって原稿台93上を通過する原稿、又はオペレータによる自動原稿搬送装置120の開閉を伴う手動操作によって原稿台92上に載置された原稿から画像データを読み取る。
【0031】
画像形成部110は、露光ユニット1、画像形成ユニット10A〜10D、中間転写ユニット60、二次転写ユニット30、定着ユニット70を備えている。
【0032】
画像形成ユニット10Aは、現像器2A、感光体ドラム(本発明の像担持体に相当する。)3A、クリーナユニット4A、帯電器5Aを備え、ブラック(Bk)の画像を形成する。帯電器5Aは、感光体ドラム3Aの表面を所定の電位に均一に帯電させる。現像器2Aは、露光ユニット1の露光によって感光体ドラム3A上に形成された静電潜像を、Bkのトナー像に顕像化する。クリーナユニット4Aは、感光体ドラム3Aの周面に残留したトナーを回収する。画像形成ユニット10B〜10Dは、画像形成ユニット10Aと同様に構成されており、それぞれシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のトナー像を感光体ドラム3B〜3Dの表面に形成する。
【0033】
露光ユニット1は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射ミラー等の光学系部品を備えたレーザスキャニングユニットである。露光ユニット1は、Bk、C、M、Yのそれぞれの画像データで変調されたレーザ光のそれぞれで画像形成ユニット10A〜10Dの感光体ドラム3A〜3Dの表面を軸方向に沿って露光走査し、静電潜像を形成する。
【0034】
中間転写ユニット60は、中間転写ベルト(本発明の画像形成部材に相当する。)61、駆動ローラ62、従動ローラ63、一次転写ローラ64A〜64D、クリーニングユニット65、プレ転写チャージャ(この発明の転写帯電器に相当する。)7、及び対向ローラ66を有する。中間転写ベルト61は、駆動ローラ62、従動ローラ63、及び対向ローラ66に張架され、画像形成ユニット10D,10C,10B,10Aをこの順に通過する循環経路に沿って移動する。一次転写ローラ64A〜64Dのそれぞれは、中間転写ベルト61を挟んで感光体ドラム3A〜3Dに対向して配置されており、感光体ドラム3A〜3Dの周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト61の表面に一次転写する。
カラー画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Y,M,C,Bkのトナー像が中間転写ベルト61の表面に順次重ね合わせて転写される。モノクロ画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Bkのトナー像のみが中間転写ベルト61の表面に転写される。
【0035】
プレ転写チャージャ7は、コロナ放電器であり、中間転写ベルト61の循環経路に沿う移動方向において、感光体ドラム3Aの下流側で且つ二次転写ユニット30の上流側に配置される。プレ転写チャージャ7は、二次転写に先立って、トナーと同極性の電荷を中間転写ベルト61上のトナー像に付与する。対向ローラ66は、中間転写ベルト61の循環経路に沿う移動方向において、一次転写ローラ64Dの下流側で且つ駆動ローラ62の上流側に配置される。プレ転写チャージャ7と対向ローラ66とは、それぞれ中間転写ベルト61を挟んで対向する位置に配置される。
【0036】
二次転写ユニット30は、二次転写ローラ31及び二次転写ベルト32を備えている。二次転写ベルト32は、複数のローラに張架され、所定の循環経路に沿って移動する。二次転写ローラ31は、二次転写ベルト32及び中間転写ベルト61を挟んで駆動ローラ62に対向するように配置されている。二次転写ユニット30は、中間転写ベルト61の表面のトナー像を、中間転写ベルト61と二次転写ベルト32との間の二次転写位置に搬送された用紙へ二次転写する。二次転写後の中間転写ベルト61の表面に残留したトナーは、クリーニングユニット65によって回収される。
【0037】
定着ユニット70は、二次転写位置を通過してトナー像が転写された用紙を加熱及び加圧する。用紙に転写されたトナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。定着ユニット70を通過した用紙は、画像形成部110の上方に配置された排紙トレイ91に排出される。
【0038】
給紙部80は、給紙カセット81及び手差しトレイ82を備えている。給紙カセット81は、画像形成処理に使用する複数枚の用紙を収納しており、露光ユニット1の下側に設けられている。手差しトレイ82は、画像形成装置100の側面に装備されている。給紙部80は、給紙カセット81又は手差しトレイ82から用紙を1枚ずつ用紙搬送路40に給紙する。用紙搬送路40は、給紙部80から中間転写ベルト61と二次転写ユニット30との間及び定着ユニット70を経由して排紙トレイ91に至る間に形成されている。
【0039】
図2に示すように、画像形成装置100は、操作部210、扉202、及びセンサ201をさらに備える。操作部210は、例えば、画像形成処理に関する各種設定や画像形成処理の開始指示等の操作入力を受け付けて、各種操作信号を制御部200(図6参照。)に出力する。扉202は、画像形成部110の正面側を開閉自在にしている。センサ201は、扉の開閉を検出して、検出信号を制御部200へ出力する。
【0040】
図3に示すように、プレ転写チャージャ7は、筐体51、コロナワイヤ(本発明の放電部材に相当する。)52、清掃部材53、ホームポジション検知センサ54、エンコーダ55、モータ56、ウォームギア57、及び駆動側軸継手58を備える。なお、本発明の放電部材は、コロナワイヤに限らず、針状電極や沿面電極等の長尺状の電極であればよい。
【0041】
筐体51は、直方体形状を呈し、上面に開放面511が形成されている。筐体51は、長手方向が対向ローラ66の軸方向に一致し、開放面511が中間転写ベルト61の表面に対向するように配置される。筐体51は、長手方向にコロナワイヤ52が張架されている。コロナワイヤ52は、タングステンワイヤに金メッキが施された放電ワイヤである。コロナワイヤ52は、直流電源が接続されており、3.5〜8kVの電圧が印加される。好ましくは4.0〜5.5kVの電圧が印加され、この時の電流値が300〜1000μAである。コロナワイヤ52の放電領域は、対向ローラ66の軸方向において、中間転写ベルト61上に転写されるトナー像の形成面を含む領域に一致する。
【0042】
以下、対向ローラ66の軸方向におけるコロナワイヤ52の所定の範囲の両端の位置をそれぞれホームポジション(本発明の第1端部に相当する。)P及びリターンポジション(本発明の第2端部に相当する。)Qとする。ホームポジションPは画像形成装置100の正面側に位置し、リターンポジションQは画像形成装置100の背面側に位置する。
【0043】
清掃部材53は、搬送スクリュー(本発明のガイド部材に相当する。)531、清掃パッド532、受動側軸継手533、係合部材534(図8参照。)、及び持ち手535から構成される。清掃部材53は、持ち手535が筐体51から突出した状態で、筐体51に支持されている。
【0044】
搬送スクリュー531は、螺旋状の溝部531A(図4(A)参照。)が形成された棒であり、コロナワイヤ52と平行に配置されている。搬送スクリュー531は、リターンポジションQ側の先端に受動側軸継手533が取り付けられており、ホームポジションP側の先端に持ち手535が取り付けられている。
【0045】
図4に示すように、清掃パッド532は、台座532A、突起532B及びパッド532Cを備える。台座532Aは、平板を屈曲させたL字状を呈し、搬送スクリュー531を内側面で挟むように搬送スクリュー531の周囲に配置される。台座532Aは、第1面5321が筐体51の内壁と平行で、且つ第2面5322が筐体51の底面と平行になるように配置される。筐体51には、底面と平行な凸部512が内壁に沿って形成されている。台座532Aは、筐体51の内壁と凸部512によって回転が規制される。本発明の規制部材は、台座532A、筐体51の内側面及び凸部512が相当する。
【0046】
台座532Aの第2面5322には、内側面に突起532Bが配置され、外側面にパッド532Cが配置されている。突起532Bとパッド532Cは、台座532Aを挟んで対向配置されている。突起532Bは、搬送スクリュー531の螺旋状に形成された溝部531Aに係合する。パッド532Cは、コロナワイヤ52の表面に当接するように配置されている。
【0047】
台座532Aは、搬送スクリュー531が回転すると、突起532Bが搬送スクリュー531の溝部531Aに沿って移動するとともに、筐体51の内壁と凸部512により回転が規制され、搬送スクリュー531の長手方向に移動する。移動時に、パッド532Cはコロナワイヤ52の表面を清掃する。
【0048】
また、清掃パッド532は、非清掃時において、ホームポジションPに位置する。清掃パッド532は、搬送スクリュー531の正回転に伴って、ホームポジションPからリターンポジションQへ向かう第1方向に移動し、搬送スクリュー531の逆回転に伴って、リターンポジションQからホームポジションPへ向かう第2方向に移動する。
【0049】
受動側軸継手533は、先端部が平板状を呈し、係合部材534に係合自在な鍔部533A(図8参照。)が形成されている。受動側軸継手533は、駆動側軸継手58に連結自在であり、駆動側軸継手58に連結すると、ウォームギア57を介してモータ56の回転が伝達され、駆動側軸継手58から離脱すると、モータ56の回転が伝達されない。受動側軸継手533は、伝達されたモータ56の回転を、搬送スクリュー531に伝達する。
【0050】
係合部材534は、先端部534A(図8参照。)が鍵状を呈し、搬送スクリュー531の長手方向において、先端部534Aが受動側軸継手533側に位置するように、清掃パッド532の台座532Aに取り付けられている。係合部材534は、先端部534Aが受動側軸継手533の鍔部533Aと係合して、受動側軸継手533に清掃パッド532を固定する。
【0051】
図5に示すように、駆動側軸継手58は、円筒形状を呈し、内部の開口581に複数の突起582が形成されている。駆動側軸継手58は、受動側軸継手533の先端部が開口581に嵌入されて、複数の突起582によって受動側軸継手533と連結する。
【0052】
ホームポジション検知センサ54は、清掃パッド532がホームポジションPに位置することを検知する。
【0053】
エンコーダ55は、例えば、平行方向の移動を計測するリニアエンコーダであり、ホームポジションPからの清掃パッド532の移動距離を計測する。
【0054】
モータ56は、正逆回転可能であり、ウォームギア57に正逆方向の回転を供給する。
【0055】
ウォームギア57は、ウォーム571及びウォームホイル572から構成される。ウォーム571は、モータ56からの回転を減速してウォームホイル572に伝達し、ウォームホイル572は、回転軸の向きを90度変更して、回転を駆動側軸継手58に伝達する。ウォームギア57は、モータ56から正回転が供給されると、駆動側軸継手58に正回転を伝達し、モータ56から逆回転が供給されると、駆動側軸継手58に逆回転を伝達する。
【0056】
以上より、清掃パッド532は、モータ56を介して搬送スクリュー531を正回転させると第1方向に移動し、モータ56を介して搬送スクリュー531を逆回転させると第2方向に移動する。
【0057】
図6に示すように、画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、画像形成部110、及び操作部210の他に、制御部200を備える。なお、図6は、センサ201及びモータ56以外の画像形成部110の構成について、記載を省略している。
【0058】
制御部200は、各機能部を制御する。制御部200は、所定回数の画像形成処理毎に清掃モードを実行する。制御部200は、清掃モードの実行時やセンサ201から扉202の閉鎖を示す検出信号の入力時に、モータ(本発明の駆動源に相当する。)56を正逆回転させる駆動信号をモータ56に出力する。
【0059】
まず、自動清掃について図7を参照して説明する。図7に示すように、制御部200は、前回の清掃モードを実行してから所定回数の画像形成処理が終了すると、清掃モードを実行する(S11)。
【0060】
制御部200は、モータ56を介して搬送スクリュー531を正回転させて、ホームポジションPからリターンポジションQに清掃パッド532を移動させる(S12)。制御部200は、清掃パッド532の位置をエンコーダ55によって検知し、清掃パッド532がリターンポジションQに位置しない時には、モータ56を介して搬送スクリュー531を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532をリターンポジションQに移動させる。
【0061】
制御部200は、モータ56を介して搬送スクリュー531を逆回転させて、リターンポジションQからホームポジションPに清掃パッド532を移動させる(S13)。制御部200は、清掃パッド532の位置をホームポジション検知センサ54によって検知し、清掃パッド532がホームポジションPに位置しない時には、モータ56を介して搬送スクリュー531を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532をホームポジションPに移動させる。
【0062】
制御部は、所定回数の間、S12,13の処理を繰り返し行い(S14)、処理を終了する。この所定回数とは、1以上の回数であればよい。
【0063】
以上のように、制御部200は、所定回数の画像形成処理毎に、コロナワイヤ52に付着した汚れを自動で清掃することができる。また、制御部200は、清掃パッド532を移動させる度にホームポジション検知センサ54又はエンコーダ55によって移動後の位置を確認するため、確実に清掃パッド532を移動させることができる。
【0064】
次に、手動清掃について図8〜図9を参照して説明する。
【0065】
まず、清掃パッド532がホームポジションPに位置する状態(図8(A)参照。)において、持ち手535を手動で操作して、第2方向に搬送スクリュー531を移動させて、駆動側軸継手58から受動側軸継手533を離脱させる(図8(B)参照。)。図10(A)に示すように、清掃パッド532の突起532Bは、搬送スクリュー531の溝部531Aに係合している。しかし、突起532Bは、全周が溝部531Aに係合していないため、搬送スクリュー531を第2方向に手動で移動させると、図10(B)に示すように清掃パッド532が変異して、溝部531Aから抜脱することができる。
【0066】
第2方向に搬送スクリュー531をさらに移動させると、受動側軸継手533の鍔部533Aが係合部材534を圧接して、鍔部533Aに係合部材534の先端部534Aが係合し、受動側軸継手533に清掃パッド532が固定される(図8(C)参照。)。
【0067】
この状態で、持ち手535を手動で操作して、搬送スクリュー531を第1方向に移動させると、清掃パッド532によってコロナワイヤ52が清掃される(図9(A)参照。)。第2方向及び第1方向へ搬送スクリュー531を手動で移動させた回数分だけ、コロナワイヤ52が清掃される。
【0068】
第1方向に搬送スクリューをさらに移動させると、受動側軸継手533が駆動側軸継手58を圧接して(図9(B)参照。)、係合部材534が駆動側軸継手58の周縁に接触することで、係合部材534の先端部534Aが受動側軸継手533の鍔部533Aから離脱する(図9(C)参照。)。
【0069】
以上のようにして、搬送スクリュー531に清掃パッド532を固定して、手動でコロナワイヤ52を清掃することができる。また、搬送スクリュー531から清掃パッド532を取り外すことで、コロナワイヤ52の自動清掃の準備をすることができる。
【0070】
また、コロナワイヤ52の手動清掃は、画像形成装置100の扉202を開放して行い、手動清掃が完了すると、扉202を閉鎖する。そこで、制御部200は、画像形成装置100の扉202が閉鎖されたことをセンサ201によって検出すると、手動清掃が完了したとみなして、モータ56を介して搬送スクリュー531を逆回転させて、清掃パッド532をホームポジションPに移動させる(図8(A)参照。)。これにより、手動清掃後に、第2方向に清掃パッド532をさらに移動させて、自動清掃を行うことで、確実にコロナワイヤ52を清掃することができる。
【0071】
なお、帯電器(この発明の転写帯電器に相当する。)5A〜5Dは、プレ転写チャージャ7と同一の構成であってもよい。帯電器5A〜5Dは、それぞれ筐体51の長手方向が感光体ドラム3A〜3Dの軸方向に一致し、開放面511が感光体ドラム3A〜3Dの表面に対向するように配置される。
【0072】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
53…清掃部材
531…搬送スクリュー
533…受動側軸継手
532…清掃パッド
56…モータ
58…駆動側軸継手
P…ホームポジション
Q…リターンポジション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配設された長尺状の放電部材の清掃を行う清掃機構であって、
前記放電部材の長手方向における一部の範囲である第1端部から第2端部の間で、前記放電部材の表面に当接する清掃パッドと、
前記清掃パッドの前記長手方向の移動をガイドするガイド部材であって、前記第1端部側に形成された持ち手を有し、前記持ち手が前記筐体から突出した状態で、前記長手方向に移動自在に前記筐体に支持されるガイド部材と、
前記ガイド部材と連結自在な駆動源であって、前記ガイド部材に連結した状態で、前記ガイド部材の前記長手方向の移動を規制するとともに、前記長手方向に沿って前記清掃パッドを移動させる駆動力を前記ガイド部材に供給する駆動源と、を備え、
前記ガイド部材は、前記第2端部側が前記清掃パッドに係合自在であり、前記清掃パッドと係合した状態では、前記駆動源と連結せずに、前記長手方向に移動自在であり、前記駆動源に連結した状態では、前記清掃パッドと係合せずに、前記駆動力が供給されると前記清掃パッドを前記長手方向に沿って移動させる清掃機構。
【請求項2】
前記清掃パッドの回転を規制する規制部材をさらに備え、
前記駆動源は、正逆方向の回転を供給するモータを含み、
前記ガイド部材は、螺旋状の溝部を有し、前記モータの回転が供給されると回転する搬送スクリューを含み、
前記清掃パッドは、前記搬送スクリューの溝部に係合する突起を有し、前記突起が前記溝部に係合し、且つ前記規制部材によって回転を規制された状態で、前記搬送スクリューの回転に伴って前記長手方向に沿って移動する請求項1に記載の清掃機構。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記第2端部側に鍔部を有し、
前記清掃パッドは、前記鍔部に係合自在な係合部材を有し、
前記長手方向における前記第2端部から前記第1端部へ向かう方向に前記ガイド部材を移動させて前記清掃パッドに圧接させると、前記係合部材が前記鍔部に係合する請求項1又は請求項2に記載の清掃機構。
【請求項4】
前記ガイド部材の前記第2端部側の端部は、前記駆動源と連結自在であり、
前記長手方向における前記第1端部から前記第2端部へ向かう方向に前記ガイド部材を移動させて前記駆動源に圧接させると、前記係合部材が前記鍔部から離脱する請求項3に記載の清掃機構。
【請求項5】
長尺状の放電部材と、
被帯電体に対向配置される開放面を有し、前記放電部材が内部に配設される筐体と、
請求項1〜請求項4の何れかに記載の清掃機構と、を備える転写帯電器。
【請求項6】
画像データに基づく静電潜像を可視化して形成されたトナー像を担持する像担持体を有し、前記像担持体上のトナー像を画像形成部材を経て用紙に転写する電子写真方式の画像形成装置であって、
請求項5に記載の転写帯電器を備え、
前記被帯電体は、前記静電潜像が形成される前の像担持体、又は前記画像形成部材上のトナー像の少なくとも一方である画像形成装置。
【請求項7】
前記転写帯電器が格納された装置筐体を開閉自在にする扉と、
前記扉の開閉を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記扉が閉鎖されたことを検出すると、前記清掃パッドを前記第1端部へ移動させる駆動力を前記駆動源から前記ガイド部材に供給させる制御部と、をさらに備え、
前記扉は、前記ガイド部材の移動時に少なくとも開放される請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−83807(P2013−83807A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223840(P2011−223840)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】