説明

清掃装置、帯電ユニット、像保持体ユニット及び画像形成装置

【課題】帯電装置のグリッド電極が有するメッシュ部と、清掃装置の支持部材との接触圧を低減する
【解決手段】帯電装置22のグリッド電極223を清掃する清掃装置34は、グリッド電極223と対向する面に清掃パッド344bを有し、グリッド電極223上を移動する際、この清掃パッド344bにより押圧しながらグリッド電極223の表面を清掃する。清掃装置34はまた、グリッド電極223を裏面から抱え込むように配置された支持部材345を有し、この支持部材345は清掃パッド344bにより押圧されるグリッド電極223の側端部を支持する。このグリッド電極223の側端部を支持する面は、グリッド電極223側に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、帯電ユニット、像保持体ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の帯電器を清掃するための手段が開発されている。例えば、特許文献1に記載の帯電器の清掃装置では、清掃装置の清掃部材が帯電器のグリッドに押し当てられ、グリッドと像保持体とが接した状態で、当該グリッドの清掃が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−267401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、帯電装置のグリッド電極が有するメッシュ部と、清掃装置の支持部材との接触圧を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る清掃装置は、帯電装置の板状のグリッド電極の長手方向に沿って移動させられる装置本体と、前記装置本体に配置され、前記装置本体が移動させられる際に、前記グリッド電極の第1面を押圧しながら清掃する清掃手段と、前記装置本体に設けられ、前記清掃手段によって押圧される前記グリッド電極の前記第1面の反対面である第2面に接して支持する支持面を有する支持手段であって、前記支持面が、前記グリッド電極のメッシュ部とリブ部とに接する支持手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る清掃装置は、請求項1に記載の構成において、前記支持面は、前記清掃手段によって押圧されていない状態の前記グリッド電極の幅方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る清掃装置は、請求項2に記載の構成において、前記支持面の傾斜の角度は、前記支持面のうち前記グリッド電極の前記メッシュ部と接する部分に加えられる接触圧の方が、前記支持面のうち前記グリッド電極の前記リブ部と接する部分に加えられる接触圧よりも小さくなるように設定されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る帯電ユニットは、ユニット本体と、前記ユニット本体内に配置される、請求項1乃至3のいずれかに記載の清掃装置と、前記ユニット本体の長手方向に沿って配置され、前記清掃装置の清掃手段により清掃されるグリッド電極と、前記ユニット本体の長手方向に沿って配置され、前記グリッド電極を介して像保持手段に対して電荷を放出する放電手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る像保持体ユニットは、請求項4に記載の帯電ユニットと、前記帯電ユニットの放電手段によって電荷が供給され、像を保持する像保持手段と、前記像保持手段の表面を清掃するクリーニング装置とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項5に記載の像保持体ユニットと、前記像保持体ユニットの像保持手段の表面を露光して潜像を形成する露光装置と、前記露光装置により前記像保持手段の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、前記現像装置により前記像保持手段の表面に形成された像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により前記記録媒体に転写された像を当該記録媒体に定着させる定着装置とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、清掃装置の支持部材の支持面が、帯電装置のグリッド電極のメッシュ部とのみ接する構成と比較して、メッシュ部と支持部材との接触圧を低減することができる。
請求項2に係る発明によれば、支持面が、清掃手段によって押圧されていない状態のグリッド電極の幅方向に対して傾斜していない構成と比較して、メッシュ部と支持部材との接触圧をより低減することができる。
請求項3に係る発明によれば、支持部材の支持面の傾斜角度が、支持面のうちグリッド電極のメッシュ部と接する部分に加えられる接触圧の方が、グリッド電極のリブ部と接する部分に加えられる接触圧よりも大きいか又は等しくなるように設定された場合と比較して、削れカスの発生を抑制することができる。
請求項4乃至6に係る発明によれば、清掃装置の支持部材の支持面が、帯電装置のグリッド電極のメッシュ部とのみ接する構成と比較して、帯電装置のグリッド電極と清掃装置の支持部材との接触圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。
【図2】画像形成部2の構成を示す図である。
【図3】感光体ドラム21とその周辺の装置を拡大して示す図である。
【図4】グリッド電極223の一例を示す図である。
【図5】像保持体ユニットUの一例を示す斜視図である。
【図6】クリーニング機構Cの一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示される清掃装置34を拡大して示す図である。
【図8】清掃装置34と帯電装置22との関係を示す説明図である。
【図9】清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【図10】比較例としての清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【図11】清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【図12】清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【図13】清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【図14】清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。同図に示されるように、画像形成装置100は、制御部1と、画像形成部2と、操作部3と、通信部4と、記憶部5とを備える。
【0014】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やメモリを備える。制御部1の演算装置は、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置100の各部を制御する。画像形成部2は、色材としてトナーを用いて記録媒体に画像を形成する。記録媒体は、例えば記録用紙であるが、OHPシート等のプラスチック製のシートや、その他の素材のシートであってもよい。画像形成部2は、面積階調方式を採用した画像形成手段であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて、電子写真プロセスにより画像を形成する。
【0015】
操作部3は、ボタン等の操作手段を備え、ユーザの操作に応じてその操作内容を表す操作情報を制御部1に供給する。通信部4は、外部装置との間でデータを送受信するためのインタフェースを備える。記憶部5は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を備え、例えば、画像を形成するための画像データを記憶する。
【0016】
図2は、画像形成部2の構成を示す図である。
同図において、符号の末尾に付されたアルファベットは、当該符号が付された要素が取り扱うトナーの色を示している。符号の末尾のアルファベットのみが異なる要素同士は、取り扱うトナーの色は異なるが、構成は同一である。以下の説明において、これらの要素について特に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省いて説明する。
【0017】
同図において、画像形成装置100内を搬送される記録用紙は、破線の矢印C方向に搬送され、この記録用紙に画像が形成される。
感光体ドラム21は、表面に光導電膜を積層した円筒状の部材である。感光体ドラム21は、表面に形成された静電潜像を保持する。感光体ドラム21は、中間転写ベルト26と接触状態にあるときに、中間転写ベルト26の移動に伴って、円筒の中心を軸として図中の矢印Aの方向に回転する。
この感光体ドラム21は、本発明に係る「像保持手段」の一例である。
【0018】
帯電装置22は、例えばスコロトロン帯電器であり、感光体ドラム21の光導電膜を決められた電位に帯電させる。露光装置23は、帯電装置22により帯電させられた感光体ドラム21を露光して、露光光に応じた潜像を形成する。現像装置24は、Y,M,C,Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの磁性体とを含む現像剤を有している。現像装置24は、感光体ドラム21に形成された潜像にトナーを付着させて現像し、トナー像を形成する。クリーニング装置25は、感光体ドラム21上に付着した残留トナーを除去する。
【0019】
中間転写ベルト26は、無端のベルト状の部材であり、回転ロール27、一次転写ロール28及びバックアップロール29と接触しながら図中の矢印Bの方向に回転する。回転ロール27は、中間転写ベルト26の移動を支持する円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転する。一次転写ロール28は、中間転写ベルト26を挟んで感光体ドラム21と対向する円筒状の部材である。一次転写ロール28は、感光体ドラム21との間に電位差を生じさせて感光体ドラム21表面のトナーを中間転写ベルト26表面に転写する。
【0020】
二次転写ロール30は、現像装置24による現像によって得られた画像を記録用紙に転写する。二次転写ロール30は、中間転写ベルト26を挟んでバックアップロール29と対向する円筒状の部材であり、バックアップロール29との間に電位差を生じさせて、中間転写ベルト26表面のトナーを記録用紙の表面に転写する。搬送ロール31は、図示せぬ駆動装置により駆動させられ、図2に示す破線の矢印C方向に記録用紙を搬送する円筒状の部材である。搬送ロール31は、記録用紙が或る決められた搬送速度で搬送されるように回転させられる。
この二次転写ロール30は、本発明に係る「転写手段」の一例である。
【0021】
定着装置32は、定着ロール321と加圧ロール322とを備えている。定着装置32は、画像が転写されて搬送されてくる記録用紙に対し、定着ロール321と加圧ロール322とにより挟まれた領域Nにて熱と圧力とを加える定着処理を施し、画像を記録用紙に定着させる。
【0022】
図3は、感光体ドラム21とその周辺の装置を拡大して示す図である。
同図において、帯電装置22は、帯電容器221と、2本の放電ワイヤ222と、グリッド電極223とを備える。帯電容器221は、感光体ドラム21の上方に非接触で配置され、感光体ドラム21の軸方向に延びる。また、帯電容器221は、放電を遮断する素材により形成され、感光体ドラム21側に開口する略E字状の断面を有する。
なお、帯電容器221は、2本の放電ワイヤ222を収容するために略E字状の断面を有するように形成されているが、例えば、1本の放電ワイヤ222のみを収容する場合には、略U字状の断面を有するように形成されてもよい。
【0023】
放電ワイヤ222は、帯電容器221の長さ方向に沿って配置される帯電用の線材である。放電ワイヤ222は、帯電容器221の長手方向両端に配置された絶縁部材(図示せず)間に、少なくとも一方側に張力付勢用の弾性ばね(図示せず)を介在させて、張力のかかった状態で架け渡される。また、放電ワイヤ222には、放電用バイアス電源(図示せず)が接続される。放電ワイヤ222は、感光体ドラム21に対して電荷を供給する。
【0024】
放電ワイヤ222は、例えば、タングステン、カーボンタングステン、金メッキタングステン等からなる。そのワイヤ径は、例えば、30μmから40μmであり、その引っ張り力は、例えば、30〜80gf(0.29〜0.78N)である。なお、放電ワイヤ222の本数は、1本でも3本以上でもよい。また、放電電極として、放電ワイヤ222に代えて、鋸歯状電極や針状電極を用いてもよい。
この放電ワイヤ222は、本発明に係る「放電手段」の一例である。
【0025】
グリッド電極223は、感光体ドラム21に対して離間するように帯電容器221の開口部に配置される板状の部材である。グリッド電極223は、その長手方向の両端が、帯電容器221の長手方向両端に配置された端部材(図示せず)に取り付けられる。グリッド電極223は、放電ワイヤ222から付与される電荷量を規制して、感光体ドラム21の表面の帯電電位を制御する。グリッド電極223は、例えば、タングステン、カーボンタングステン、金メッキタングステン等からなり、その幅は例えば30mmである。
【0026】
図4は、グリッド電極223の一例を示す図である。同図に示されるように、グリッド電極223は、金属プレート部2231と、メッシュ部2232と、リブ部2233とを有する。金属プレート部2231は、帯電容器221の長手方向両端に配置された端部材(図示せず)に取り付けられる部分である。メッシュ部2232は、六角形状の開口パターンが繰り返す形状を有する。リブ部2233は、グリッド電極223の長手方向の両側端部に延びるように形成され、その幅は例えば1mmである。
なお、メッシュ部2232の開口形状は、四角、円、楕円等であってもよい。
【0027】
図3に示される現像装置24は、現像容器241内に、現像ロール242と、攪拌搬送部材243と、現像剤補給ロール244と、規制部材245とを有する。現像ロール242は、その表面にトナーを保持して、感光体ドラム21と対向する現像領域まで搬送する。攪拌搬送部材243は、現像容器241内のトナーを攪拌、搬送する。現像剤補給ロール244は、攪拌搬送部材243により攪拌、搬送されたトナーを現像ロール242の表面に供給する。規制部材245は、現像ロール242上に保持されたトナーの層厚を規制する。
【0028】
図3に示されるクリーニング装置25は、クリーニングブレード252を有する。また、クリーニング容器251内に、クリーニングブラシ253と、搬送部材254とを有する。クリーニングブレード252は、感光体ドラム21上の残留物を、その表面に先端を圧接させることにより掻き取る。クリーニングブラシ253は、感光体ドラム21上の残留物を掻き落とす。搬送部材254は、クリーニングブレード252及びクリーニングブラシ253により掻き落とされた残留物を、クリーニング容器251の外部に搬送する。
【0029】
以上説明した図3に示される感光体ドラム21、帯電装置22及びクリーニング装置25は、像保持体ユニットUとして一ユニット化される(図3、二点鎖線参照)。図5は、像保持体ユニットUの一例を示す斜視図である。同図に示される像保持体ユニットUは、感光体ドラム21、帯電装置22及びクリーニング装置25に加えて、帯電装置22を清掃するためのクリーニング機構Cを備える。
図6は、クリーニング機構Cの一例を示す斜視図である。同図に示されるように、クリーニング機構Cは、クリーナシャフト33と、清掃装置34とを備える。
【0030】
クリーナシャフト33は、棒状の部材であり、その表面に螺旋状の溝が形成されている。クリーナシャフト33は、その長手方向の両端が、帯電容器221の長手方向両端に配置された端部材に取り付けられる(図5参照)。また、クリーナシャフト33は、正逆方向に自在に回転するモータ(図示せず)に接続され、このモータからの駆動力を受けて回転する。
【0031】
図7は、図6に示される清掃装置34を拡大して示す図である。また、図8は、清掃装置34と帯電装置22との関係を示す説明図である。これらの図に示される清掃装置34は、帯電容器221の長手方向に沿って摺れながら移動可能な略逆U字形状の支持枠341を有する。支持枠341には、取付孔342が設けられ、この取付孔342に挿入された止め具により清掃受け部材343と連結される。清掃受け部材343の上面には、清掃パッド344aが取り付けられ、その下面には清掃パッド344bが取り付けられる。清掃パッド344aは、放電ワイヤ222と接し、放電ワイヤ222に付着した放電生成物を除去する。一方、清掃パッド344bは、グリッド電極223と接し、グリッド電極223に付着した放電生成物を除去する。
【0032】
清掃パッド344a及び344bは、例えば、多孔質で柔軟性を有する弾性基材上に、不織布を接着し、さらにその上に粉体層を形成して構成される。ここで、弾性基材とは、例えば、スポンジ、フェルト、発泡樹脂等である。不織布とは、繊維を接着したもの、又は、からめたものである。粉体層とは、例えば、アルミナ、カーボンランダム、ダイヤモンド等の研磨機能を持つ研磨剤を接着剤に混入してなる層である。
なお、清掃パッド344a及び344bは、植毛した刷毛状部材であってもよい。
この清掃パッド344bは、本発明に係る「清掃手段」の一例である。
【0033】
清掃受け部材343にはまた、それぞれ板状の部材である一対の支持部材345が設けられる。支持部材345は、グリッド電極223をその下面から抱え込むように配置される。この支持部材345は、グリッド電極223が清掃パッド344bにより上面から押圧され清掃される際に、グリッド電極223が感光体ドラム21と接触するのを防止するために配置される。また、支持部材345においてグリッド電極223と接する支持面345aは、清掃パッド344b側に傾斜するように形成される。その傾斜角度は、例えば、清掃パッド344bによって押圧されていない状態のグリッド電極223の幅方向(図4の紙面左右方向)に対して10°である。
この支持部材345は、本発明に係る「支持手段」の一例である。
【0034】
支持枠341にはまた、それぞれ板状の部材である一対の突出腕346が設けられる。この一対の突出腕346は、帯電容器221の頂部に形成された長手方向に沿って延びる案内溝から突出し、摺れながら移動可能なように形成される。突出腕346の先端側には、駆動伝達筒347が設けられる。駆動伝達筒347は、筒状の部材であり、その内部に螺旋状の溝が形成される。駆動伝達筒347には、クリーナシャフト33がねじ込まれ、クリーナシャフト33がモータ(図示せず)からの駆動力を受けて回転すると、清掃装置34はクリーナシャフト33の軸方向(すなわち、帯電容器221の長手方向)に移動する。
突出腕346の両側には、それぞれ板状の部材である一対の案内板348が突き出るように配置される。この一対の案内板348は、支持枠341の頂部と離間するように配置され、その間隙には、帯電容器221の頂部が摺れながら自在に移動可能なように配置される。
【0035】
支持枠341にはまた、その側壁に一対の揺動軸349が設けられる。この一対の揺動軸349は、支持枠341内においてそれぞれ揺動アーム350に連結され、この揺動アーム350の下面には清掃パッド(図示せず)が取り付けられる。この清掃パッド構成は、清掃パッド344a及び344bのそれと同様である。揺動アーム350は、付勢ばね351により下方に付勢され、その結果、この清掃パッドは放電ワイヤ222を上方から押圧しつつ、放電ワイヤ222に付着した放電生成物を除去する。
なお、上記で説明した構成要素のうち、支持枠341、清掃受け部材343及び突出腕346からなる組立体は、本発明に係る「装置本体」の一例である。また、上記で説明した構成のうち、帯電装置22とクリーニング機構Cとからなる組立体は、本発明に係る「帯電ユニット」の一例である。
【0036】
図9は、清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。同図に示される例は、グリッド電極223が清掃装置34により清掃されている状態を示している。より具体的には、グリッド電極223の側端部の下面が支持部材345(特に、支持面345a)により支持され、グリッド電極223の上面が清掃パッド344bにより押圧、清掃されている状態を示している。この状態においてグリッド電極223は、通常平坦であるところ、清掃パッド344bにより押圧されることにより、図示せぬ感光体ドラム21側に湾曲する。この際、支持面345aは上述のように傾斜するように形成されているため、グリッド電極223のメッシュ部2232とリブ部2233は、いずれも支持面345aと接することになる。
【0037】
図10は、比較例としての清掃受け部材343とグリッド電極223との関係を示す説明図である。同図に示される清掃受け部材343は、支持面345a´が平坦に形成されており、傾斜していない点において図9に示される例と相違している。この例もまた、グリッド電極223が清掃装置34により清掃されている状態を示しているが、支持面345a´が傾斜していないため、清掃パッド344bにより押圧され湾曲するグリッド電極223は、支持部材345と点Pでのみ接することになる。この場合、図9に示される例と比較して、グリッド電極223と支持部材345との接触領域が狭いため、点Pに加わる接触圧は、図9の例と比較して大きくなる。
【0038】
支持部材345がグリッド部材223のメッシュ部2232と接した状態で移動した場合、その接触領域において削れカスが発生してしまう。これは、グリッド電極223のメッシュ部2232が、上述のように、六角形状の開口パターンが繰り返す形状を有しているからである。その削れカスが感光体ドラム21上に落下し、現像装置24内に取り込まれると、色筋や白筋等の画像欠陥が生じてしまう。上述の例では、図10に示される例の方が支持部材345の一点に加わる接触圧が大きくなるため、図9に示される例と比較して削りカスの発生量が多くなり、その結果、画像欠陥が生じる可能性が高くなる。
【0039】
削れカスの発生を抑える方法として、支持部材345をメッシュ部2232と接しないように構成することが考えられる。例えば、図11に示されるように、支持部材345の突出する長さを、図9の例と比較して短くしたり、図12に示されるように、グリッド電極223のリブ部2233の幅を図9の例と比較して広く構成することが考えられる。しかし、図11に示されるように支持部材345を構成した場合、支持部材345とグリッド電極223とが接する面積が図9の例と比較して狭くなってしまうため、図9の例と比較してグリッド電極223を安定的に支持することができない。また、図12に示されるようにグリッド電極223のリブ部2233を構成した場合、グリッド電極223のうちメッシュ部2232が占める面積が図9の例と比較して小さくなってしまう。この場合、図9の例と比較して帯電効率が落ちてしまうという問題がある。また、帯電効率を低下させないためにメッシュ部2232の面積を、図9の例と同等に確保しようとすると、図9の例と比較して帯電装置22の形状が大きくなってしまうという問題がある。
【0040】
以上の理由から、削れカスの発生を抑えるためには、支持部材345をメッシュ部2232と接しないように構成することよりも、支持部材345をメッシュ部2232とリブ部2233の両方と接するように構成することにより、支持部材345とメッシュ部2232との接点に加わる接触圧を低減させることが有効であると考えられる。
【0041】
なお、支持部材345の支持面345aの傾斜角度は、清掃パッド344bにより押圧され湾曲するグリッド電極223の曲率に応じて設定されてよい。例えば、図13に示されるように、グリッド電極223の湾曲が大きい場合には、支持面345aの傾斜角度を、図9の例と比較して大きくしてもよい。この際、グリッド電極223を構成する部材のうちメッシュ部2232の方がリブ部2233よりも削れカスを発生させやすい形状を有することから、図13に示されるように、支持面345aのうちメッシュ部2232と接する部分に加わる接触圧の方が、リブ部2233と接する部分に加わる接触圧よりも小さくなるように、支持面345aの傾斜角度を設定してもよい。
【0042】
また、支持部材345は、図9に示されるような傾斜した支持面345aではなく、図14に示されるような階段状の支持面345a´´を有してもよい。この際、支持面345a´´のうちメッシュ部2232と接する部分については、面取りをしてもよい。また、階段の段数は、3段以上であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…制御部、2…画像形成部、3…操作部、4…通信部、5…記憶部、21…感光体ドラム、22…帯電装置、23…露光装置、24…現像装置、25…クリーニング装置、26…中間転写ベルト、27…回転ロール、28…一次転写ロール、29…バックアップロール、30…二次転写ロール、31…搬送ロール、32…定着装置、33…クリーナシャフト、34…清掃装置、100…画像形成装置、221…帯電容器、222…放電ワイヤ、223…グリッド電極、241…現像容器、242…現像ロール、243…攪拌搬送部材、244…現像剤補給ロール、245…規制部材、251…クリーニング容器、252…クリーニングブレード、253…クリーニングブラシ、254…搬送部材、321…定着ロール、322…加圧ロール、341…支持枠、342…取付孔、343…清掃受け部材、344a、344b…清掃パッド、345…支持部材、345a、345a´、345a´´…支持面、346…突出腕、347…駆動伝達筒、348…案内板、349…揺動軸、350…揺動アーム、351…付勢ばね、2231…金属プレート部、2232…メッシュ部、2233…リブ部、C…クリーニング機構、U…像保持体ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電装置の板状のグリッド電極の長手方向に沿って移動させられる装置本体と、
前記装置本体に配置され、前記装置本体が移動させられる際に、前記グリッド電極の第1面を押圧しながら清掃する清掃手段と、
前記装置本体に設けられ、前記清掃手段によって押圧される前記グリッド電極の前記第1面の反対面である第2面に接して支持する支持面を有する支持手段であって、前記支持面が、前記グリッド電極のメッシュ部とリブ部とに接する支持手段と
を具備することを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記支持面は、前記清掃手段によって押圧されていない状態の前記グリッド電極の幅方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記支持面の傾斜の角度は、前記支持面のうち前記グリッド電極の前記メッシュ部と接する部分に加えられる接触圧の方が、前記支持面のうち前記グリッド電極の前記リブ部と接する部分に加えられる接触圧よりも小さくなるように設定されることを特徴とする請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
ユニット本体と、
前記ユニット本体内に配置される、請求項1乃至3のいずれかに記載の清掃装置と、
前記ユニット本体の長手方向に沿って配置され、前記清掃装置の清掃手段により清掃されるグリッド電極と、
前記ユニット本体の長手方向に沿って配置され、前記グリッド電極を介して像保持手段に対して電荷を放出する放電手段と
を具備することを特徴とする帯電ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の帯電ユニットと、
前記帯電ユニットの放電手段によって電荷が供給され、像を保持する像保持手段と、
前記像保持手段の表面を清掃するクリーニング装置と
を具備することを特徴とする像保持体ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の像保持体ユニットと、
前記像保持体ユニットの像保持手段の表面を露光して潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置により前記像保持手段の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、
前記現像装置により前記像保持手段の表面に形成された像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により前記記録媒体に転写された像を当該記録媒体に定着させる定着装置と
を具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−185371(P2012−185371A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49109(P2011−49109)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】