説明

清掃部材及び清掃装置、並びにそれを用いた画像形成装置

【課題】被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を長期にわたって良好に除去し得る清掃部材及び清掃装置、並びにそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】円柱体4の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体132が螺旋状に巻き付けられており、帯状体132の表出する幅方向位置において、一端が他端に対して、円柱体134の中心軸から帯状体132表面までの高さが大きい清掃部材30。清掃部材30が、帯状体132が被清掃物9に接触し、前記中心軸を軸として回転することで、被清掃物9の表面を清掃するように構成され、清掃部材132の回転Fにより、定点から見た帯状体132の位置が見掛け上清掃部材30の長手方向に進行する際に、当該進行方向Gの下流側が帯状体132の前記高さが大きい一端、同上流側が小さい他端になるように、清掃部材30がその長手方向の向きが定められ配されている清掃装置、並びにそれを用いた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃部材及びそれを用いた清掃装置、並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置において、像保持体や接触帯電式の帯電器表面は、使用によりトナーや放電生成物、その他の付着物によって汚染されるため、これら付着物を除去するべく、清掃装置が備えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ローラ状で回転自在に支持された弾性部材を帯電ロールなどの帯電用回転体の帯電面に当接して該帯電面をクリーニングする清掃装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−297690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃部材及び清掃装置、並びにそれを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の<1>〜<11>に示す本発明により達成される。
<1> 円柱体の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体が螺旋状に巻き付けられており、該帯状体の表出する幅方向位置において、一端が他端に対して、円柱体の中心軸から前記帯状体表面までの高さが大きいことを特徴とする清掃部材。
【0007】
<2> 前記帯状体の表出する幅方向位置における一端が、隣接する前記帯状体の他端の延長部に重ねられて配置され、当該帯状体の重複した部位が、重複しない前記他端に対して、円柱体の中心軸から前記帯状体表面までの高さが大きいことを特徴とする<1>に記載の清掃部材。
【0008】
<3> 前記帯状体が、隣接する前記帯状体と重なり合わないように巻き付けられてなることを特徴とする<1>に記載の清掃部材。
【0009】
<4> 隣り合う前記帯状体同士が離間していることを特徴とする<3>に記載の清掃部材。
【0010】
<5> 前記帯状体が、前記円柱体の周面に巻き付けられる際に、その幅方向の一端に対して他端側の張力が大きくなるように長手方向に延伸されつつ巻き付けられてなることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の清掃部材。
【0011】
<6> 円柱体の周面に、相互に硬度の異なる帯状体を交互に螺旋状に巻き付けてなることを特徴とする清掃部材。
【0012】
<7> <1>〜<5>のいずれかに記載の清掃部材が、その周面に巻き付けられた前記帯状体が被清掃物に接触し、前記中心軸を軸として回転することで、当該被清掃物の表面を清掃するように構成され、かつ、
前記清掃部材の回転により、定点から見た前記帯状体の位置が見掛け上当該清掃部材の長手方向に進行する際に、当該進行方向の下流側が前記帯状体の前記高さが大きい一端に、同上流側が小さい他端になるように、当該清掃部材がその長手方向の向きが定められて配されていることを特徴とする清掃装置。
【0013】
<8> <6>に記載の清掃部材が、その周面に巻き付けられた前記帯状体が被清掃物に接触し、前記中心軸を軸として回転することで、当該被清掃物の表面を清掃するように構成されてなることを特徴とする清掃装置。
【0014】
<9> 前記被清掃物が、周面を被清掃面とする回転体であり、該回転体の周面に接触して前記清掃部材が従動回転することで清掃するように構成され、かつ、
当該回転体と前記清掃部材との両接触部が、それぞれの1周前の他方に対する接触部と異なる位置になるように両者の外径を異ならせていることを特徴とする<7>または<8>に記載の清掃装置。
【0015】
<10> 少なくとも、表面に形成された静電潜像を保持し得る像保持体と、該像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、を備え、
前記帯電手段が帯電ロールであり、該帯電ロールを被清掃物としてその表面を清掃する<7>〜<9>のいずれかに記載の清掃装置をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【0016】
<11> 少なくとも、回転する像保持体と、該像保持体表面に現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、を備え、
前記像保持体が外周面を像保持面とする回転体であり、該回転体を被清掃物としてその外周面を清掃する<7>〜<9>のいずれかに記載の清掃装置をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【0017】
<12> 前記像保持体が、表面に形成された静電潜像を保持し得る機能を有する静電潜像保持体であり、
前記現像像形成手段が、少なくとも、前記像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給して現像し現像像を得る現像像形成手段と、
からなることを特徴とする<11>に記載の画像形成装置。
【0018】
<13> 前記像保持体が、中間転写体であり、
前記現像像形成手段が、少なくとも、表面に形成された静電潜像を保持し得るとともに回転する静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給して現像し現像像を得る現像手段と、前記現像像を前記中間転写体に転写する中間転写手段と、
からなることを特徴とする<11>に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0019】
<1>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0020】
<2>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、簡易な構成で、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0021】
<3>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたってより良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0022】
<4>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたってより一層良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0023】
<5>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、簡易な構成で、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0024】
<6>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃部材を提供することができる。
【0025】
<7>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃装置を提供することができる。
【0026】
<8>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去し得る清掃装置を提供することができる。
【0027】
<9>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、被清掃物表面の同じ場所ばかりに清掃部材の同一箇所が接触することによる、清掃部材表面の偏った劣化や摩耗を抑制することができる。
【0028】
<10>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、帯電手段としての帯電ロール表面を長期にわたって清浄に保ち得る画像形成装置を提供することができる。
【0029】
<11>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、像保持体表面を長期にわたって清浄に保ち得る画像形成装置を提供することができる。
【0030】
<12>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、静電潜像保持体表面を長期にわたって清浄に保ち得る画像形成装置を提供することができる。
【0031】
<13>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、中間転写体表面を長期にわたって清浄に保ち得る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の清掃部材を適用可能なタンデム型のカラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1のカラープリンタの画像形成部を拡大して示す拡大構成図である。
【図3】図2における帯電ロールの周辺部のみを抜き出して、矢印D方向から見た拡大図である。
【図4】本発明の例示的一態様である第1の実施形態の清掃装置の概略構成図である。
【図5】本発明の例示的一態様である第1の実施形態の清掃部材の図3におけるI−I矢視断面図である。
【図6】円柱体の周面に多孔質弾性材料からなる帯状体を螺旋状に巻き付けている様子を示す斜視図である。
【図7】本発明の例示的一態様である第2の実施形態の清掃部材の断面図である。
【図8】本発明の例示的一態様である第3の実施形態の清掃部材の断面図である。
【図9】本発明の例示的一態様である第4の実施形態の清掃部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の清掃部材及び清掃装置を適用可能な画像形成装置を例示した上で、本発明の清掃装置の実施形態を挙げて詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の清掃部材及び清掃装置を適用可能なタンデム型のカラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。また、図2は、図1のカラープリンタの画像形成部を示す構成図であり、黒色の画像形成ユニットを代表させて示している。
【0035】
本例のカラープリンタは、図1に示すように、パーソナルコンピュータや図示しない画像読取装置等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに応じて、フルカラーやモノクロなどの画像を出力するものである。
【0036】
カラープリンタ本体1の内部には、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)2や図示しない画像読取装置等から送られてくる画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す画像処理部3が配置されているとともに、カラープリンタ全体の動作を制御する制御部4が配置されている。
【0037】
そして、上記の如く画像処理部3で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理部3によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、カラープリンタ本体1の内部に設けられた画像出力部5によってフルカラー画像やモノクロ画像などとして出力される。
【0038】
カラープリンタ本体1の内部には、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成手段)6Y、6M、6C、6Kが、1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット6Yが相対的に高く、4色目の黒(K)の画像形成ユニット6Kが相対的に低くなるように、水平方向に対して予め定められた角度(例えば、約10度)だけ傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。なお、上記画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度は、約10度に限定されるものではなく、これより大きな角度であっても小さな角度であってもよいことは勿論である。
【0039】
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを、予め定められた角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを水平に配置した場合と比較して、画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K間の距離を短く設定することができ、カラープリンタ本体1の配列方向に沿った幅を小さくして小型化が可能となる。
【0040】
これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kは、基本的に、形成する画像の色以外は同様に構成されている。そのため、一部、黒色の画像形成ユニット6Kを代表させて説明する場合がある。なお、各符号の末にY、M、C、Kのアルファベットを付していないものは、4つの画像形成ユニットに共通することを意味する(以下同様)。
【0041】
図1及び図2に示すように、大別して、図示しない駆動手段により矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される感光体ドラム(像保持体、静電潜像保持体)8Kと、この感光体ドラム8Kの表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール(帯電手段)9Kと、感光体ドラム8Kの表面に予め定められた色に対応した画像を露光して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる画像露光装置(静電潜像形成手段)7Kと、感光体ドラム8K表面に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置(現像像形成手段)10Kと、感光体ドラム8Kの表面を清掃するクリーニング装置11Kとから構成されている。
【0042】
感光体ドラム8としては、例えば、直径約30mm程度のドラム状に形成され、表面に有機光導電体(OPC)等からなる感光体層を被覆したものが用いられ、図示しない駆動モータにより矢印A方向に予め定められた速度で回転駆動される。
【0043】
また、帯電ロール9としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂や合成ゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール9の芯金には、予め定められた帯電バイアスが印加される。
【0044】
図1に示すように、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K毎に個別に画像露光装置7Y、7M、7C、7Kが配置されており、各画像露光装置7Y、7M、7C、7Kとしては、LED発光素子を予め定められたピッチ(例えば、600dpi〜1200dpi)で各感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの軸方向に沿って直線状に配列したLED発光素子アレイと、当該LED発光素子アレイの各LED発光素子から出射された光を各感光体ドラム8Y、8M、8C、8K表面にスポット状に結像するロッドレンズアレイとを備えたものが用いられる。また、画像露光装置7Y、7M、7C、7Kは、図1及び図2に示すように、下方から感光体ドラム8Y、8M、8C、8K表面に画像を走査露光するように配置されている。
【0045】
なお、画像露光装置7としてLED発光素子アレイからなるものを用いた場合には、画像露光装置7を大幅に小型化することができるため望ましいが、画像露光装置7としては、LED発光素子アレイからなるものに限らず、レーザービームを各感光体ドラム8の軸方向に沿って偏向走査するものなどを用いてもよい。この場合には、例えば、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに対して1つの画像露光装置が配置される。
【0046】
画像処理部3からは、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに個別に設けられた画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに、各色に対応した画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射された光束は、対応する感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面に走査露光され、各感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面には、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置10Y、10M、10C、10Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0047】
各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K表面に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された被検知媒体としての無端ベルト状の中間転写ベルト(像保持体、中間転写体)12の表面に、4つの一次転写ロール13Y、13M、13C、13Kによって順次多重に一次転写される。
【0048】
中間転写ベルト12は、複数のロールによって張り渡された無端ベルト状部材であって、当該ベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が相対的に低く、且つ上流側が相対的に高くなるように、水平方向に対して画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの配置の傾斜角度と等しい角度だけ傾斜した状態で配置されている。
【0049】
即ち、中間転写ベルト12は、図1に示すように、二次転写部の背面支持ロールとしての機能を兼ね備えた駆動ロール15と、従動ロール14との間に予め定められた張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた駆動モータによって回転駆動される駆動ロール15により、矢印B方向に沿って予め定められた速度で循環駆動される。上記中間転写ベルト12としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムによって無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト12は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに接触するように配置されている。
【0050】
図1に示すように、中間転写ベルト12の走行領域の低位側端部には、中間転写ベルト12表面に多重に一次転写されたトナー像を記録用紙(記録媒体)16表面に一括して二次転写する二次転写手段(本発明においては、単に「転写手段」と称される。)としての二次転写ロール17が、駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12の表面に接触するように配置されている。
【0051】
中間転写ベルト12表面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーが多重転写された積層画像は、図1に示すように、駆動ロール15に中間転写ベルト12を介して接触する二次転写ロール17によって、記録媒体としての記録用紙16上に一括して二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙16は、鉛直方向の上方に位置する定着装置18へと搬送される。上記二次転写ロール17は、駆動ロール15の側方に中間転写ベルト12を介して圧接しており、鉛直方向の下方から上方に沿って搬送される記録用紙16上に、各色のトナー像を一括して二次転写するように構成されている。
【0052】
二次転写ロール17としては、例えば、ステンレス等の金属からなる芯金の外周に、導電剤を添加した合成ゴム材料等の導電性弾性体からなる弾性体層を予め定められた厚さに被覆したものが用いられる。
【0053】
そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙16は、定着手段としての定着装置18の加熱ロール19及び加圧ロール(又は加圧ベルト)20によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール21によってカラープリンタ本体1の上端部に設けられた排出トレイ22上に画像面を下にした状態で排出される。
【0054】
記録用紙16は、図1に示すように、カラープリンタ本体1内の底部に配置された給紙トレイ23から予め定められたサイズ及び材質のものが、給紙ロール24及び用紙分離ロール25により一枚ずつ分離された状態で給紙され、レジストロール26まで一旦搬送されて停止される。そして、上記給紙トレイ23から供給された記録用紙16は、予め定められたタイミングで回転するレジストロール26によって中間転写ベルト12の二次転写位置へと送り出される。
【0055】
記録用紙16としては、普通紙以外にも、表面又は表裏両面にコーティング処理が施されたコート紙等の厚紙や、OHPシートなども供給可能となっており、コート紙からなる記録用紙16には、写真画像なども出力される。
【0056】
その際、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として給紙搬送されて、中間転写ベルト12表面からトナー像が転写されると共に定着され、同じく、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として排出トレイ22上に排出される。ただし、必ずしもこれに限定される訳ではなく、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の一端部を基準として給紙搬送されるように構成してもよい。
【0057】
なお、トナー像の一次転写工程が終了した感光体ドラム8の表面は、図1及び図2に示すように、クリーニング装置11によって残留トナーが除去されて、次の画像形成工程に備える。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト12の表面は、図1に示すように、駆動ロール15の下流側の近傍に設けられたベルトクリーニング装置27によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0058】
さらに、図2に示すように、帯電ロール9を被清掃物とし、その表面に付着したトナーや放電生成物、その他の付着物を除去清掃するための帯電ロールクリーニング装置30が備えられている。
【0059】
帯電ロール9の周辺部のみを抜き出した拡大図を図3に示す。帯電ロールクリーニング装置30は、クリーニングロール(以下、これも符号30で示す。)の周面が帯電ロール9の周面に接触しつつ従動回転することで、帯電ロール9の周面を清掃する装置である。
【0060】
帯電ロール9は感光体ドラム8の矢印A方向への回転に従動して矢印E方向に回転し、その回転に従動してクリーニングロール30が矢印F方向に回転する。
【0061】
なお、本発明において、「清掃部材」とは、被清掃物の表面を拭う表面を有する部材を指し、当該清掃部材を被清掃物の表面に接触させて、従動する場合には回転自在に保持する機構を、自ら回転駆動する場合には回転駆動させる機構を含んだ構成を「清掃装置」として、両者の概念を区別する。
【0062】
以下、クリーニングロール30として、本発明の清掃部材を用いた本発明の清掃装置を適用した実施形態を挙げて、発明を具体的に説明する。
【0063】
[第1の実施形態]
図4に、本発明の例示的一態様である第1の実施形態の清掃装置の概略構成図を示す。図4は、図3における左側から見た図であり、帯電ロール(被清掃物)9及びクリーニングロール(清掃部材)30のみを抜き出したものである。
【0064】
クリーニングロール30は、軸芯(円柱体)134の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体132を螺旋状に巻き付けてなるものであり、この帯状体132による弾性層表面が矢印E方向に回転する帯電ロール9の周面に接触し、矢印F方向に従動回転するように支持される。
【0065】
螺旋状に巻き付けられた帯状体132は、定点(例えば、図4を見たときのそのままの正面の位置)から見たとき、矢印F方向への回転により、見掛け上矢印G方向に進行するように見える向きに巻き付けられている。以降、他の実施形態を含め、この帯状体132の見かけ上の進行方向を「見掛け進行方向G」と表記する。
【0066】
図5に、本実施形態の清掃部材であるクリーニングロール30の図3におけるI−I矢視断面図を示す。螺旋状に巻き付けられた帯状体132は、軸芯134の図面上の上下で半周違いの位置関係であり、帯状体132の幅Wの半分ずつずれた状態となり、1周するとその周回前の帯状体132と隣り合わせの位置に来るようになっている。そして、その隣り合う帯状体132同士は重なり合わないように、かつ、両者が接触して離間しないように(連続するように)巻き付けられている。
【0067】
図5に示されるように、帯状体132は、幅方向位置における厚みに傾斜がある。即ち、帯状体132の幅方向位置における一端の、軸芯134の中心軸Oから帯状体132表面までの高さtTが、他端の同高さtLに対して大きい。
【0068】
そして、クリーニングロール30は、帯電ロール9との関係において、見掛け進行方向Gの下流側が帯状体132の高さtTが大きい一端に、同上流側が高さtLが小さい他端になるように、長手方向の向きが定められて配されている。
【0069】
なお、帯状体132による弾性層表面は、クリーニングロール30単体では、図5に示されるように凹凸があるが、帯電ロール9の周面に接触する際には押圧されて、端部tLを含めて長手方向全体が接触している(図4参照)。これは、他の実施形態においても同様である。
【0070】
以上説明した本実施形態の清掃装置によれば、クリーニングロール30の矢印F方向への回転により、帯状体132が見掛け進行方向Gに進行するので、被清掃物である帯電ロール9の表面に着目すると、帯状体132の見掛け進行方向G下流側の高さtTが大きい一端が先に、同上流側の高さtLが小さい他端が後に接触する。そのように構成されることで、帯状体132の高さtTが大きい部分Tで、帯電ロール9表面のトナーや放電生成物等の付着物を掻き取り、高さtLが小さい部分Lで拭き取り、隣り合う帯状体132同士の境界部Dで汚れを吐き出すことにより、帯電ロール9表面が良好に清浄化される。
【0071】
一般的な清掃ロールを用いて清掃すると、掻き取った付着物がその場にとどまり、汚れの掻き取り能力が低下し、時に汚れの再付着に繋がることから、長期間の使用により帯電ロールの表面に筋状の汚れが残り、安定した帯電状態が得られない場合があった。しかし、本実施形態によれば、螺旋状に巻き付けられた幅方向に高低差のある帯状体132が帯電ロール9表面に接触していることから、その部位によって掻き取り、拭き取り、吐き出しの各作用が役割分担して生ずるため、汚れが留まることが抑制され、筋状の汚れが生じ難く、清掃能力の維持性が高い。
【0072】
帯状体132の見掛け進行方向G下流側の高さtTと、同上流側の高さtLとの関係としては、帯状体132の厚みや材質、硬度、クリーニングロール30全体の外径等により異なるので、一概には言えないが、その比(tT/tL)がおおよそ1.01〜1.25程度の範囲内になるようにすることが好ましく、例えばtLを4mmとした場合、その差(tT−tL)が0.4〜1.0mm程度の範囲内になるようにすることが好ましい。
【0073】
帯状体132として利用可能な多孔質弾性材料としては、各種樹脂材料やエラストマーの発泡体を用いることができるが、適切な弾性力を持たせるためには、ウレタン、各種ゴム材料(ウレタンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム等)、各種エラストマー等を好適なものとして挙げることができる。これらの中でも、ウレタン発泡体、ウレタンゴム発泡体が特に好ましい。
【0074】
帯状体132としての多孔質弾性材料の硬度は、帯状体132の厚みや材質等により一概に言えないが、目安として、70〜200Nの範囲が望ましい。
【0075】
帯状体132としての多孔質弾性材料の密度は、0.024〜0.09g/cm3が望ましい。
【0076】
軸芯134の径としては、クリーニングロール30の外径によって異なるが、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、φ6mm程度が望ましい
【0077】
帯状体132の厚みとしては、軸芯134の径にもよるが、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、3mm程度が望ましい
【0078】
帯状体132の幅としては、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、5〜10mm程度が望ましい。
【0079】
クリーニングロール30の外径としては、特に制限は無いが、帯電ロール9に接触した状態での当該接触部と中心軸との距離を外径とする円周長(以下、「接触部基準円周長」と称する。)の整数倍が、帯電ロール9の円周長と一致しないことが望ましい。クリーニングロール30の接触部基準円周長の整数倍と帯電ロール9の円周長とが一致すると、帯電ロール9とそれに従動して回転するクリーニングロール30は、いつも同じ個所が接触することになり、長期使用によってクリーニングロール30表面の汚染や劣化の偏りが生じやすく、清掃性能に偏りを招来させる場合がある。
【0080】
以上は、本実施形態のようにクリーニングロール30の外径が帯電ロール9よりも小さい場合についてであるが、本発明においては、逆の場合も同様である。すなわち、被清掃物たる回転体よりも清掃部材の外径の方が大きい場合には、被清掃物の円周長の整数倍が、清掃部材の接触部基準円周長と一致しないことが望ましい。
【0081】
これらをまとめると、被清掃物たる回転体と清掃部材との両接触部が、それぞれの1周前の他方に対する接触部と異なる位置になるように両者の外径を異ならせることが望ましい。
【0082】
なお、本発明において「従動」あるいは「従動回転」との語には、字義通り他方に従って動かされる場合の他、駆動装置等の駆動源からの駆動力によって他方と共に動かされるなどにより、接触する他方の表面速度と自らの表面速度が同一線速度になっているような場合も概念に含めるものとする。
【0083】
本実施形態において、帯状体132は、それ自体幅方向厚みが所望の傾斜となっている帯状の多孔質弾性材料を用いて、そのまま軸芯134へ螺旋状に巻き付けてもよいし、目標の厚みよりも厚めの帯状の多孔質弾性材料を用い、張力を掛けて完成時の厚みを調整しつつ巻き付けてもよい。
【0084】
また、図6に示すように、それ自体は幅方向厚みに差が無い(あるいは差が少ない)多孔質弾性材料の帯状体132を用い、その幅方向において、厚めにしたい側の張力Jが低く、薄めにしたい側の張力Hが高くなるように張力に傾斜を付けて、完成時の厚みを調整しつつ巻き付けてもよい。ここで、図6は、軸芯(円柱体)134の周面に多孔質弾性材料からなる帯状体132を螺旋状に巻き付けている様子を示す斜視図である。当該方法によれば、簡便に所望の厚みの幅方向における傾斜を有する帯状体132からなる弾性層を形成することができる。
【0085】
軸芯134と帯状体132との接触面や、帯状体132同士の接触面には、接着剤を介在させて相互間を強固に接着させることで、耐久性の高いクリーニングロール30とすることができる。
【0086】
[第2の実施形態]
図7に、本発明の例示的一態様である第2の実施形態の清掃部材(クリーニングロール230)の断面図を示す。図7は、第1の実施形態における図5と同様、図3におけるクリーニングロール30のI−I矢視断面図と同様の切り口の断面図に相当する。
【0087】
第1の実施形態のクリーニングロール30と同様、クリーニングロール230は、軸芯(円柱体)234の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体232を螺旋状に巻き付けてなるものであり、この帯状体232による弾性層表面が、図1〜図3における帯電ロール9の周面に接触して従動回転するように支持される。本実施形態においては、帯状体232の一端232’が周回前の隣接する帯状体232の端部232”に重ねられて配置されている点が、第1の実施形態と異なる。
【0088】
このように帯状体232は、その巻き付けられ方が第1の実施形態と異なり弾性層の深部においてはその構成が異なっているが、表出する表面形状は、第1の実施形態と同じになっている。すなわち、螺旋状に巻き付けられた帯状体132の表出する形状は、軸芯234の図面上の上下で半周違いの位置関係であり、表出する帯状体232の幅Wの半分ずつずれた状態となり、1周するとその周回前の表出する帯状体232と隣り合わせの位置に来るようになっている。また、帯状体232による弾性層表面の凹凸形状も、第1の実施形態のクリーニングロール30と同様、帯状体232の幅方向位置における一端の、軸芯134の中心軸Oから帯状体132表面までの高さtTが、他端の同高さtLに対して大きい。
【0089】
そして、クリーニングロール230は、図4に示される帯電ロール9との関係において、見掛け進行方向Gの下流側が帯状体232の高さtTが大きい一端に、同上流側が高さtLが小さい他端になるように、長手方向の向きが定められて配される。
【0090】
以上説明した本実施形態の清掃装置によれば、第1の実施形態と同様、クリーニングロール230の矢印F方向への回転(図3及び図4参照)により、帯状体232が見掛け進行方向Gに進行するので、被清掃物である帯電ロール9の表面に着目すると、帯状体232の見掛け進行方向G下流側の高さtTが大きい一端が先に、同上流側の高さtLが小さい他端が後に接触する。そのように構成されることで、帯状体232の高さtTが大きい部分Tで、帯電ロール9表面のトナーや放電生成物等の付着物を掻き取り、高さtLが小さい部分Lで拭き取り、隣り合う帯状体132同士の表出する境界部Dで汚れを吐き出すことにより、帯電ロール9表面が良好に清浄化される。
【0091】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、螺旋状に巻き付けられた幅方向に高低差のある表出する帯状体232が帯電ロール9表面に接触していることから、その部位によって掻き取り、拭き取り、吐き出しの各作用が役割分担して生ずるため、汚れが留まることが抑制され、筋状の汚れが生じ難く、清掃能力の維持性が高い。
【0092】
帯状体232は、それ自体は幅方向厚みに差が無い多孔質弾性材料の帯状体232を用い、巻き付ける際に周回前の帯状体232の上に重ねて巻き付けるようにすれば、帯状体232からなる弾性層は、帯状体232が重ねられた部位において厚みが大きく、重ねられていない表出する部位において厚みが小さくなり、本実施形態のクリーニングロール(清掃部材)230を簡便に製造することができる。このとき、目標の厚みよりも厚めの帯状の多孔質弾性材料を用い、張力を掛けて完成時の厚みを調整しつつ巻き付けても勿論構わない。
【0093】
また、第1の実施形態において図6を用いて説明したように、帯状体232が、軸芯234の周面に巻き付けられる際に、その幅方向の一端に対して他端側の張力が大きくなるように長手方向に延伸しつつ巻き付けることで、重なり合うことによる厚み調整とは別に、さらに幅方向における厚みの傾斜を調整して、帯状体232からなる弾性層を形成することも可能である。
【0094】
軸芯234と帯状体232との接触面や、帯状体232同士の接触面には、接着剤を介在させて相互間を強固に接着させることで、耐久性の高いクリーニングロール230とすることができる。
【0095】
帯状体232の幅としては、重ね合わされて隠れてしまう部分を除く、表出する部分の幅が、第1の実施形態で説明した帯状体132の幅として適切な幅になるようにすることが好ましい。
【0096】
帯状体232の重ね合わされる幅としては、表出する部位に対して、10%〜50%程度とすることが好ましい。重ね合わせる幅が多過ぎても少な過ぎても、幅方向の厚みの傾斜の制御性が低下するため、重ね合わせる意義が小さくなる。
【0097】
その他、各構成部材の材質や性状、形状等については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
[第3の実施形態]
図8に、本発明の例示的一態様である第3の実施形態の清掃部材(クリーニングロール330)の断面図を示す。図8は、第1の実施形態における図5と同様、図3におけるクリーニングロール30のI−I矢視断面図と同様の切り口の断面図に相当する。
【0099】
第1の実施形態のクリーニングロール30と同様、クリーニングロール230は、軸芯(円柱体)334の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体332を螺旋状に巻き付けてなるものであり、この帯状体332による弾性層表面が、図1〜図3における帯電ロール9の周面に接触して従動回転するように支持される。
【0100】
本実施形態において、帯状体332の幅方向位置に応じた厚みは第1の実施形態と同じであり、帯状体332単体のみを幅方向の断面で見れば、第1の実施形態と同一形状である。しかし、本実施形態において、帯状体332は、その隣り合う帯状体332同士が重なり合わないばかりか、両者が離間して巻き付けられている点で、第1の実施形態と異なる。そのため、隣り合う帯状体332同士の境界部Dには、溝336が形成されている。
【0101】
螺旋状に巻き付けられた帯状体332は、軸芯334の図面上の上下で半周違いの位置関係であり、帯状体332の幅Wと溝336の幅Kの合計からなる1周期(W+K)の半分{(W+K)/2}ずつずれた状態となり、1周するとその周回前の帯状体332と隣り合わせで幅Kだけ離間した位置に来るようになっている。帯状体232による弾性層表面の凹凸形状は、第1の実施形態のクリーニングロール30と同様、帯状体332の幅方向位置における一端の、軸芯134の中心軸Oから帯状体132表面までの高さtTが、他端の同高さtLに対して大きい。
【0102】
そして、クリーニングロール330は、図4に示される帯電ロール9との関係において、見掛け進行方向Gの下流側が帯状体332の高さtTが大きい一端に、同上流側が高さtLが小さい他端になるように、長手方向の向きが定められて配される。
【0103】
以上説明した本実施形態の清掃装置によれば、第1の実施形態と同様、クリーニングロール330の矢印F方向への回転(図3及び図4参照)により、帯状体332が見掛け進行方向Gに進行するので、被清掃物である帯電ロール9の表面に着目すると、帯状体332の見掛け進行方向G下流側の高さtTが大きい一端が先に、同上流側の高さtLが小さい他端が後に接触する。そのように構成されることで、帯状体332の高さtTが大きい部分Tで、帯電ロール9表面のトナーや放電生成物等の付着物を掻き取り、高さtLが小さい部分Lで拭き取り、隣り合う帯状体132同士の境界部Dで汚れを吐き出すことにより、帯電ロール9表面が良好に清浄化される。
【0104】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、螺旋状に巻き付けられた幅方向に高低差のある表出する帯状体332が帯電ロール9表面に接触していることから、その部位によって掻き取り、拭き取り、吐き出しの各作用が役割分担して生ずるため、汚れが留まることが抑制され、筋状の汚れが生じ難く、清掃能力の維持性が高い。特に、本実施形態では、帯状体332同士の境界部Dに溝336が形成されているため、汚れを吐き出す作用がより一層効果的に働く。
【0105】
本実施形態における帯状体332は、巻き付ける際に周回前の隣接する帯状体332との間を所定間隔Kだけ離間するように調整することで、第1の実施形態と同様の方法で形成することができる。
【0106】
その他、各構成部材の材質や性状、形状等については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
[第4の実施形態]
図9に、本発明の例示的一態様である第4の実施形態の清掃部材(クリーニングロール430)の断面図を示す。図9は、第1の実施形態における図5と同様、図3におけるクリーニングロール30のI−I矢視断面図と同様の切り口の断面図に相当する。
【0108】
クリーニングロール430は、軸芯(円柱体)434の周面に、弾性材料からなる帯状体432(s,h)を螺旋状に巻き付けてなるものであり、この帯状体432による弾性層表面が、図1〜図3における帯電ロール9の周面に接触して従動回転するように支持される。
【0109】
本実施形態において帯状体は、柔軟性の高い(硬度の低い)帯状体432sと、硬度の高い帯状体432hの2本が交互に螺旋状に巻き付けられてなる。隣り合う帯状体432sと帯状体432hとは重なり合わず、かつ、離間して巻き付けられ、両者間の境界部Dには、溝436が形成されている。
【0110】
帯状体432(s,h)は、軸芯434の図面上の上下で半周違いの位置関係であり、半周で帯状体432sと帯状体432hとが入れ替るだけ位置がずれるように螺旋状に巻き付けられている。
【0111】
帯状体432s及び帯状体432hは、第1〜第3の実施形態とは異なり、その厚みが幅方向で変化が無く、また、帯状体432sと帯状体432hとの間でも相違が無い。
【0112】
以上説明した本実施形態の清掃装置によれば、クリーニングロール430の矢印F方向への回転(図3及び図4参照)により、帯状体432s及び帯状体432hが見掛け進行方向Gに進行し、被清掃物である帯電ロール9の表面に着目すると、帯状体432sと帯状体432hとが交互に接触する。そのように構成されることで、硬度の高い帯状体432hで、帯電ロール9表面のトナーや放電生成物等の付着物を掻き取り、硬度の低い帯状体432sで拭き取り、隣り合う帯状体432sと帯状体432hとの間の境界部Dで汚れを吐き出すことにより、帯電ロール9表面が良好に清浄化される。
【0113】
本実施形態によれば、硬度の異なる帯状体432s及び帯状体432hが帯電ロール9表面に接触していることから、その部位によって掻き取り、拭き取り、吐き出しの各作用が役割分担して生ずるため、汚れが留まることが抑制され、筋状の汚れが生じ難く、清掃能力の維持性が高い。特に、本実施形態では、帯状体432sと帯状体432hとの間の境界部Dに溝436が形成されているため、汚れを吐き出す作用がより一層効果的に働く。
【0114】
なお、本実施形態では、帯状体432sと帯状体432hとの間の境界部D全てに溝436が形成されているが、汚れを吐き出す作用に寄与するのは、見掛け進行方向Gの上流側に硬度の高い帯状体432h、下流側に硬度の低い帯状体432sが並んでいる場合の両者間(例えば、図9における境界部Dの矢印が指している境界)のみであり、その逆の場合(例えば、図9における境界部Dの矢印が指している境界の左右の境界)については、かかる作用は生じない。したがって、汚れを吐き出す作用を高めるために溝436を設けるのは前者のみでよく、後者については接触していても構わない。勿論、帯状体432sと帯状体432hとの間の何れの境界部Dにも溝436が形成されずに、相互に接触する態様であっても、本願発明の効果は奏される。
【0115】
帯状体432s,432hとして利用可能な弾性材料としては、各種樹脂材料やエラストマーを用いることができるが、適切な弾性力を持たせるためには、ウレタン、各種ゴム材料(ウレタンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム等)等を好適なものとして挙げることができる。これらの中でも、ウレタンスポンジ系、ウレタンゴムが特に好ましい。
【0116】
第1〜3の実施形態で好適な多孔質弾性材料として例示した各種発泡体(多孔質体)も好適なものとして利用することができる。特に、硬度の低い帯状体432sについては、硬度の高い帯状体432hで掻き取った汚れを拭き取りつつ保持する観点から、多孔質体を用いることが好ましい。
【0117】
硬度の低い帯状体432sの弾性材料の硬度としては、硬度の高い帯状体432hより、50N以上低くすることが望ましい。
【0118】
硬度の高い帯状体432hの弾性材料の硬度としては、硬度の低い帯状体432sより、50N以上高くすることが望ましい。
【0119】
軸芯434の径としては、クリーニングロール30の外径によって異なるが、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、φ6mm程度が望ましい。
【0120】
帯状体432s,432hの厚みとしては、軸芯134の径にもよるが、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、3mm程度が望ましい。
【0121】
帯状体432s,432hの幅としては、クリーニングロール30の外径がφ12mmの場合、5〜10mm程度が望ましい。
【0122】
以上、本発明について、4つの好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の清掃部材及び清掃装置はこれら実施形態の構成に限定されるものではない。
【0123】
例えば、第1〜3の実施形態では、帯状体表面の傾斜が直線的な例を挙げているが、軸芯(円柱体)の中心軸から帯状体表面までの高さが、幅方向の両端で異なりさえすればよいので、凹状あるいは凸状の曲線形状を描いた傾斜であっても構わない。
【0124】
また、第1〜3の実施形態では、1本の帯状体を螺旋状に巻き付ける態様の例を挙げているが、2本以上の帯状体を同時に巻き付けても構わない。その場合、例えば、第1の実施形態では、巻き付ける複数本の帯状体同士を重なり合わせないように接触させつつ巻きつければよいし、第2の実施形態では、巻き付ける複数本の帯状体同士を幅方向の端部で重ね合わせつつ巻きつければよいし、第3の実施形態では、巻き付ける複数本の帯状体同士を重なり合わせず離間させた状態で巻きつければよい。勿論、巻き付ける際、1周前に巻き付けられた帯状体との関係は、それぞれの態様に合わせる必要がある。
【0125】
上記実施形態の清掃装置では、清掃部材としてのクリーニングロールを被清掃部材である帯電ロールに従動回転させる例を挙げているが、クリーニングロールを積極的に回転駆動させて帯電ロールの周面を摺擦することで清掃する構成であっても構わない。
【0126】
また、上記実施形態の清掃装置では、帯電ロール9が被清掃部材である例を挙げているが、感光体ドラム(像保持体、静電潜像保持体)8を被清掃部材とするクリーニング装置11として、本発明の清掃装置を適用しても構わない。この場合であっても、感光体ドラム8外周面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去することができる。
【0127】
さらに、中間転写ベルト(像保持体、中間転写体)12を被清掃部材とするベルトクリーニング装置27として、本発明の清掃装置を適用しても構わない。この場合であっても、中間転写ベルト12外周面のトナーや放電生成物等の付着物を、長期にわたって良好に除去することができる。
【0128】
なお、中間転写体に適用する場合には、図1における中間転写ベルト12のようなベルト状の物の他、ドラム状の物であっても問題ない。
その他画像形成装置内の各種回転体の表面の清掃にも好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1:カラープリンタ本体(画像形成装置)、 2:パーソナルコンピュータ、 3:画像処理部、 4:制御部、 5:画像出力部、 6:画像形成ユニット、 7:画像露光装置(静電潜像形成手段)、 8:感光体ドラム(像保持体、静電潜像保持体)、 9:帯電ロール(被清掃物)、 10:現像装置(現像像形成手段)、 11:クリーニング装置、 12:中間転写ベルト(像保持体、中間転写体)、 13:一次転写ロール、 14:従動ロール、 15:駆動ロール、 16:記録用紙(記録媒体)、 17:二次転写ロール(転写手段)、 18:定着装置、 19:加熱ロール、 21:排出ロール、 22:排出トレイ、 23:給紙トレイ、 24:給紙ロール、 25:用紙分離ロール、 26:レジストロール、 27:ベルトクリーニング装置、 30:帯電ロールクリーニング装置(清掃装置)・クリーニングロール(清掃部材)、 132,232,332,432:帯状体、 134,234,334,434:軸芯、 230,330,430:クリーニングロール、 336,436:溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱体の周面に、多孔質弾性材料からなる帯状体が螺旋状に巻き付けられており、該帯状体の表出する幅方向位置において、一端が他端に対して、円柱体の中心軸から前記帯状体表面までの高さが大きいことを特徴とする清掃部材。
【請求項2】
前記帯状体の表出する幅方向位置における一端が、隣接する前記帯状体の他端の延長部に重ねられて配置され、当該帯状体の重複した部位が、重複しない前記他端に対して、円柱体の中心軸から前記帯状体表面までの高さが大きいことを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項3】
前記帯状体が、隣接する前記帯状体と重なり合わないように巻き付けられてなることを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項4】
隣り合う前記帯状体同士が離間していることを特徴とする請求項3に記載の清掃部材。
【請求項5】
前記帯状体が、前記円柱体の周面に巻き付けられる際に、その幅方向の一端に対して他端側の張力が大きくなるように長手方向に延伸されつつ巻き付けられてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の清掃部材。
【請求項6】
円柱体の周面に、相互に硬度の異なる帯状体を交互に螺旋状に巻き付けてなることを特徴とする清掃部材。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の清掃部材が、その周面に巻き付けられた前記帯状体が被清掃物に接触し、前記中心軸を軸として回転することで、当該被清掃物の表面を清掃するように構成され、かつ、
前記清掃部材の回転により、定点から見た前記帯状体の位置が見掛け上当該清掃部材の長手方向に進行する際に、当該進行方向の下流側が前記帯状体の前記高さが大きい一端に、同上流側が小さい他端になるように、当該清掃部材がその長手方向の向きが定められて配されていることを特徴とする清掃装置。
【請求項8】
請求項6に記載の清掃部材が、その周面に巻き付けられた前記帯状体が被清掃物に接触し、前記中心軸を軸として回転することで、当該被清掃物の表面を清掃するように構成されてなることを特徴とする清掃装置。
【請求項9】
前記被清掃物が、周面を被清掃面とする回転体であり、該回転体の周面に接触して前記清掃部材が従動回転することで清掃するように構成され、かつ、
当該回転体と前記清掃部材との両接触部が、それぞれの1周前の他方に対する接触部と異なる位置になるように両者の外径を異ならせていることを特徴とする請求項7または8に記載の清掃装置。
【請求項10】
少なくとも、表面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、を備え、
前記帯電手段が帯電ロールであり、該帯電ロールを被清掃物としてその表面を清掃する請求項7〜9のいずれかに記載の清掃装置をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
少なくとも、回転する像保持体と、該像保持体表面に現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、を備え、
前記像保持体が外周面を像保持面とする回転体であり、該回転体を被清掃物としてその外周面を清掃する請求項7〜9のいずれかに記載の清掃装置をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記像保持体が、表面に形成された静電潜像を保持し得る機能を有する静電潜像保持体であり、
前記現像像形成手段が、少なくとも、前記像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給して現像し現像像を得る現像像形成手段と、からなることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記像保持体が、中間転写体であり、
前記現像像形成手段が、少なくとも、表面に形成された静電潜像を保持し得るとともに回転する静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給して現像し現像像を得る現像手段と、前記現像像を前記中間転写体に転写する中間転写手段と、からなることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−68569(P2012−68569A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214997(P2010−214997)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】