減衰器
本発明は防振し、エネルギーを消耗する減衰器に関する。減衰器は、シリンダーと可動体とを備える。可動体の少なくとも一部がシリンダー内に位置され、シリンダー内には少なくとも一つの軸方向に延伸するチャンバーが設けられ、該チャンバー内には粘性減衰液体が注がれ、減衰チャンバーが形成される。可動体は減衰チャンバー内に対応設置されている可動羽根から構成されてなり、可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さがその軸方向のサイズより非常に小さい。該減衰器は減衰特性が柔らかい、構造が簡単、コストが低い、性能が安定、寿命が長いなどメリットを有して、再生が容易で、環境を守る特徴を持つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動制御装置の、減衰器に関し、特に、車両の懸架系の防振器及び建築構造の防振、エネルギーを消耗する減衰器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
減衰器は応用が広い振動制御の基本素子であり、機械や交通工具や橋や建築構造の防振、緩衝、エネルギー消耗に用いられる。
【0003】
常用の減衰器は油圧シリンダー式であり、ピストンが油圧シリンダーに対して軸方向だけに相互運動し、単軸減衰器であると言われ、それは可動体、可動体ロッド、シリンダーとシールから構成される。可動体は一般的に円柱形であり、その上に複数穴を設置あるいはシリンダーとの間に径方向に適当な隙間を有する。可動体は油圧シリンダーを二つの可動体のチャンバーに分けさせて、可動体のチャンバー内に液圧油又は粘度のやや高い粘性液体が注がれ、例えばシリコンオイルである。可動体は油圧シリンダーに対して運動する際には、圧受け側の可動体のチャンバー内に閉じられている液体が押され、圧力が上昇して、可動体の隙間又は穴から他の可動体のチャンバーに流れて、二つの可動体のチャンバーの圧力差により可動体の運動に対して抵抗力が形成され、仕事を行って、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させて、外界エネルギーを吸収する目的を実現する。従って、防振、緩衝、エネルギー消耗例えば、車両懸架系及び建築のエネルギー消耗と防振である場合に広く応用することができる。
【0004】
このような減衰器は数十年の改善により、相当的に完璧になっている。しかし、構造の原因で、以下の欠陥が存在している。即ち、(1)シールとピストンロッド、及びピストンと減衰シリンダーの静止摩擦と摺動摩擦によって、起動の抵抗力が大きいため、小さい振幅がする場合、減衰力が速度との相関性がわりあいに悪く、理論の計算が複雑になり、誤差がわりあいに大きい;(2)必ず確実的なシールを採用するが、シール部品が摩損又は老化し易いため、シールが失効になると、圧力差が生じることができなくなり、減衰性能が急速に失われる;(3)部品の構造が複雑、数量が多く、加工精度の要求がわりあいに厳しいため、コストが高くなる;(4)減衰性能は加工精度、部品の安定性に対してわりあい厳しいため、重要な部品、例えば弁が失効になると、減衰性能が急速に降下又は失効になる;(5)減衰液体が穴を通じてスロットルするときに一部に高圧力を受けて切断され、瞬間に熱が上がって温度がわりあいに高く上がり、長期間には老化になりやすく、減衰器を失効にならせる;(6)減衰液体における堆積物と摩損の顆粒が減衰パラメーターに影響を与え、かつ減衰器の破壊を速めさせる。上記の原因によって、このような減衰器は、高品質のブランド製品の以外に、一般的に寿命がわりあいに短く、さらに低級の自動車減衰器は半年毎に一回交換することがあるため、資源が大量な浪費になり、環境に影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、新型の原理と新型の構造を採用する単軸減衰器を提供することにある。それは減衰特性が柔らかい、構造が簡単、コストが低い、性能が安定、寿命が長いなどのメリットを有し、再生が容易で、環境を守る特徴を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記減衰器はシリンダーと可動体とを備え、可動体の少なくとも一部がシリンダー内に
位置され、シリンダー内には少なくとも一つの軸方向に延伸するチャンバーが設けられ、該チャンバー内には粘性減衰液体が注がれ、減衰チャンバーが形成されて、可動体は減衰チャンバー内に対応設置されている可動羽根から構成されてなり、可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さい。
【0007】
シリンダーの減衰チャンバー内には少なくとも一つの軸方向に延伸する静止羽根が設けられ、減衰チャンバーが複数の互いに連通又は連通せずサブ減衰チャンバーに区分されて、可動羽根はサブ減衰チャンバー内に対応設置され、可動羽根とサブ減衰チャンバーの壁又は可動羽根と静止羽根が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さがその軸方向のサイズより非常に小さい。
【0008】
羽根同士の間の距離を運動中に変わらずに保持させ、また可動体がシリンダーに対して軸方向の相対運動のみを行うため、可動体とシリンダーの間に軸方向のガイド装置が設置される。軸方向のガイド装置は摺動ガイド又は弾性ガイドである。
【0009】
同じの外形サイズでより大きい減衰力を獲得するために、減衰チャンバー又は切断チャンバーは複数を有し、互いに平行配列されて、あるいは同心に配列されて、あるいは複数のチャンバーが同心配列して、その後に平行配列されてなる。また、減衰液体のフローエクサイテーション(flow excitation)を調整するために、羽根に凸凹、貫通孔、リブ又はリングリートを設けることもできる。
【0010】
羽根の形状はパイプ状又は柱状あるいは板状である。その外表面の断面の形状は円、橢円、又は多角形が可能である。その中に、同心の円パイプ又は四角パイプは最も望ましい。
【0011】
本減衰器は必ずシールが必要ではない。もし、減衰器は基本的に鉛垂方向に作動し、減衰チャンバーの開口が上に向かい又は傾斜角度が大きくなければ、シールの必要がない又は防塵シールのみを行う。もし、減衰チャンバーの開口は下に向かい又は傾斜角度がわりあいに大きければ、可動体とシリンダーの間にシール装置が設置される。シール装置は摺動シールが可能、例えば弾性シールリングやO型シールリングを採用するか、それともフレックシブルシール、例えばゴムシールや金属ベローズパイプシールを採用することも可能である。
【0012】
可動体が運動するときに、減衰チャンバーのネット体積(net volume)はそれによって変化する。従って、減衰器の少なくとも一箇所に体積補償装置が設けられる。体積補償装置は減衰チャンバー内に設置され少なくとも一つの弾性補償体である。体積補償装置は減衰チャンバーに連通する体積補償チャンバーを有し、体積補償チャンバー内に一つ又は複数の弾性補償体を設ける。弾性補償体はガス入りのガスバック、又は外表面に気密弾性層が設けられる弾性発泡体である。体積補償装置は弾性ガスバックであるため、その一側が減衰チャンバーに連通し、他側に圧縮ガスが注がれ、又は弾性発泡体を設け、或いは圧縮パネを設ける。
【0013】
減衰器の減衰を調整することが出来るために、減衰液体の液体レベル調整装置と減衰液体の注入穴が設けられる。
【0014】
減衰器の減衰をさらに増大するために、粘性切断減衰器の中に油圧式減衰器を集積することが可能である。即ち、一つの羽根にピストンが設置され、ピストンとその近隣の羽根との間に摺動シールが設けられ、二つのピストンのチャンバーが構成されて、ピストンとその近隣の羽根との間に適当の隙間又は複数のスロットル用穴を設ける。
【0015】
減衰器の両端にはフランジ連結とピン連結が設置され、又はシリンダーと可動体の外表面にはアンカー連結筋金が設置される。
【0016】
粘性減衰液体は磁制御レオペクチック液体、又は電圧制御レオペクチック液体、あるいは粘度がわりあいに高い減衰液体、例えばシリコンオイルやメチルシリコンオイルやポリインソブチレンや常温状態において液体として改質アスファルトである。
【0017】
減衰器が作動するときに、可動体は外部の荷重によりシリンダーに対して軸方向に運動し、可動羽根はシリンダーと静止羽根に対して相対運動して、可動羽根の両側にある切断チャンバー内の粘性液体を切断する。粘性液体の粘性により、可動羽根の運動を抵抗する粘性抵抗力が生じる。該粘性抵抗力は常に運動方向に反対に作用し、且つ運動の速度が速いほど、抵抗力が大きくなる。これによって、外力を消耗して仕事を行い、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させる。
【0018】
油圧減衰器と比べ、本発明に上述した減衰器は穴又は隙間にスロットルされることによる圧力差によって運動抵抗力を生じることはなく、切断チャンバー内の高い粘度の減衰液体が可動羽根に対して発生した粘性力によって運動抵抗力を生じる。従って、減衰チャンバー内の圧力がわりあいに低い。減衰チャンバーの開口が減衰液体の最高位置より高い場合、減衰器はシールの必要がないで、減衰チャンバーの開口が減衰液体の最高位置より低い場合、又は減衰器は防塵の必要があるときにシールをする。ガイド装置も特に精密が必要ではないため、ピストンバーとシリンダーの摩擦力がわりあいに小さい、起動抵抗力がわりあいに小さいで、減衰力と速度は連続で円滑的な指数関数であり、設計のときに精密に計算でき、実際との誤差がわりあいに小さい。本発明に上述した減衰器の構造が簡単で、精密部品がないため、コストが低い、性能が安定、仕事が信頼できる。磨損部品がないため、基本的にメンテナンスが不必要で、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1
減衰器は、図1、2に示す如く、可動体1とシリンダー2とを備え、可動体1の一部が円筒形シリンダー2内に位置され、シリンダー2に対して軸方向に運動することができる。シリンダー内には軸方向に延伸する一つのチャンバーが設けられ、該チャンバー内に粘性減衰液体3が注がれ、常温状態において粘性液体の改質乳化アスファルトである。可動体1は減衰チャンバー内に設置されている円柱形の可動羽根から構成されてなり、この可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの径方向サイズがその軸方向のサイズより非常に小さい。シリンダーの端部にシリンダーヘッド2aが設けられ、シリンダーヘッドと可動羽根が摺動ガイド配合して、シリンダーヘッドの内に摺動シールリング5が嵌入され、可動羽根の端部に摺動ガイドパッド4bが固定され十字状になって、減衰液体の流れが可能である。体積補償体であるガス入りのガスバックは減衰チャンバー内に設置される。可動羽根が外に向かって運動する場合、減衰チャンバーのネット体積が増大し負圧に成って、ガスバック内部の圧力より小さいため、ガスバックが膨張し、補償可動体が減衰チャンバーから退出して空間があけて、減衰液体内部での真空状態を防止する。可動羽根が外に向かって運動する場合、状況が逆であり、ガスバックが圧縮される。
【0020】
減衰器が作動をするときに、可動羽根1はシリンダー2に対して軸方向に運動し、可動羽根1の周辺にある切断チャンバー内の粘性液体を切断する。粘性液体の粘性により、可動羽根の運動を抵抗する粘性抵抗力が生じる。該粘性抵抗力は常に運動方向と反対に作用し、且つ運動の速度が速いほど、抵抗力が大きくなる。これによって、外力を消耗して仕
事を行い、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させる。
【0021】
油圧減衰器と比べ、本発明に上述した減衰器は穴又は隙間にスロットルされることによる圧力差によって運動抵抗力を生じることはなく、切断チャンバー内の高い粘度の減衰液体が可動羽根に対して発生した粘性力によって運動抵抗力を生じる。従って、減衰チャンバー内の圧力がわりあいに低い。可動体とシリンダーの摩擦力が非常に小さい、起動抵抗力が非常に小さく、減衰力と速度は連続で円滑的な指数関数であり、設計のときに精確に計算でき、実際との誤差がわりあいに小さい。本発明に上述した減衰器の構造が簡単、精密部品が不必要で、ロッバスト(robust)が強いため、コストが低い、性能が安定、動作が信頼できる。磨損部品が少ないため、メンテナンスが少ない、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【0022】
実施の形態2
実施の形態1と比べ、図3、4に示す如く、シリンダー2のセンターに円柱形の静止羽根2aが設置され、減衰チャンバーを環形減衰チャンバーにする。これに応じて、可動体1の可動羽根はパイプ状である。可動羽根は減衰チャンバー内に位置し、減衰チャンバーの壁と静止羽根2aが切断チャンバーを構成して、減衰チャンバーと切断チャンバー内にメチルシリコンオイルが注がれる。切断チャンバーの横方向サイズがその軸方向サイズより最も小さいで、減衰チャンバーの下部に環状弾性補償体6bが設けられ、可動体の天井部の減衰チャンバーに弾性補償体6bが設けられる。弾性補償体6bは外部に気密弾性層が設けられる弾性発泡ウレタンである。
【0023】
実施の形態1と比べ、本実施の形態における可動羽根は内外として二つの粘性切断チャンバーを備えて、羽根が運動するときに二つの粘性切断面を有して、粘性抵抗力を増大する。可動羽根の上下に二つの同じガイドパッド4bが設置され、その断面の形状はスプライン状であり、スプライン歯はガイドに用いられ、歯の間にある隙間は減衰液体の流れが可能で、歯の間にあるリングシートは流れた液体に対して適当な抵抗力を生じ、減衰を増大することができる。
【0024】
上述した実施の形態に比べ、シリンダーヘッドに摺動シールを設けず、可撓性気密シールを設置する。可撓性シールはキュアでシリンダーヘッドにあるゴムリングであり、その内側にはキュアされた金属リングを有し、金属リングが可動体と溶着して、シリンダーヘッドがシリンダーとボルト連結し、連結面の間にシールスペーサを設けて、減衰液体が漏れるのを防止する。ゴムは良好の切断弾性を有して、可動体が軸方向の運動をする同時に減衰液体をシールさせることができるため、シール摩擦抵抗力が発生せず、摩損も生じない。ガイド装置はシールの要求を兼ねない、特に精密も不必要で、適当な径方向にある隙間を有するのが可能であるため、摩損により失効にならず、可動体とシリンダーの摩擦が非常に小さく、減衰器の起動抵抗力も非常に小さい。上述した本発明の減衰器は、構造が簡単で、精密部品を必要とせず、ロッバストが強いため、コストが低く、性能が安定しており、仕事が信頼できる。磨損部品がないため、基本的にメンテナンスが不必要で、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【0025】
本シール構造は振幅とストロークがわりあいに小さい状況に適用する。もし、ストロークが大きければ又は振幅が大きければ、金属ベローズパイプでゴムリングを替代することができる。
【0026】
上述シリンダーと可動羽根の断面は同心円で、静止羽根の断面は円である。実際的には、断面形状は、図5、6に示すように、シリンダーと可動羽根の断面は同心六角を採用し、静止羽根の断面は平板であるのも可能であり、あるいは、シリンダーと可動羽根の断面
は同心競走路形の鋼パイプを採用し、静止羽根の断面は平板であるのも可能である。この構造は減衰器の幅を厚さより大きくさせて、壁体の中に隠すようなことである。従って、挟み壁の厚さの制限があるため、本減衰器は特に建築のエネルギーを摩損する減衰器に適用する。
【0027】
実施の形態3
実施の形態2と比べ、図7、8に示す如く、シリンダー2内の減衰チャンバー内の静止羽根は円パイプ形2cであり、可動体1は二つの円パイプ状の可動羽根から構成され、三つの互相的に同心嵌入の切断チャンバーが形成され、減衰チャンバーの下部に環状弾性補償体6bが設けられ、弾性補償体は外部に気密弾性層が設けられる弾性発泡ウレタンである。可動体の天井部に補償チャンバーが設置され、補償チャンバー内に気密弾性膜6cが設けられ、その側に圧縮ガスが注がれ、他側に減衰液体が注がれ、かつ減衰チャンバーに連通して、補償減衰チャンバーの体積を変化させるためである。粘性抵抗力を増大するために、内層可動羽根の端部にも縁巻き式のディスタービングフロー(disturbing flow)のリングシートを設ける。
【0028】
本実施の形態は三つの粘性切断チャンバーを有し、より大きい減衰力を発生することができる。
【0029】
上述シリンダー、可動羽根及び静止羽根の断面は同心円である。実際的には、図9に示すように、断面の形状は同心の四角形も可能である。
【0030】
上述した実施の形態に比べ、シリンダーに可撓性気密シールを設置する。フレックシブルシールはベローのゴムソケット5cであり、その両端にキュアされたフランジを有して、フランジがそれぞれに可動体とシリンダーヘッド2dにボルト連結され、連結面の間にシールスペーサを設けて、減衰液体が漏れるのを防止する。ガイド装置は特に精密が不必要で、適当な径方向にある隙間を有するのが可能であるため、可動体とシリンダーの摩擦も非常に小さく、減衰器の起動抵抗力も非常に小さい。
【0031】
実施の形態4
実施の形態2と比べ、図10、11に示す如く、シリンダー2内の減衰チャンバーは断面を十字形にする静止羽根2eにより四つのサブ減衰チャンバーに分けられて、四つの断面を四角形管にする可動羽根はそれぞれのサブ減衰チャンバー内に位置し、四つの板状の静止羽根2bはそれぞれの可動羽根内に配置される。このように、8つの粘性切断チャンバーが形成され、より大きい減衰力を発生することができる。シリンダーには減衰液体の液面を調整するための注入穴と排出穴が設けられ、かつプラグ(plug)が設置される。
【0032】
図12に示すように、断面を四角管形にする可動羽根内に静止羽根と可動羽根が交錯設置され、複数の平行切断チャンバーが形成されて、構造が簡単で、製造が容易である。
【0033】
本実施の形態は組立による大型減衰器に適用する。並列の減衰チャンバーの群数を増加すると、対応倍数の減衰力を獲得することができる。本実施の形態による減衰チャンバーは開口が上に向かって、減衰液体の液面がシリンダーの上縁の下に位置するため、シールしなくても漏れることはないで、通常通りに作動する。前記シールは主に防塵の目的に用いる。
【0034】
実施の形態5
実施の形態1と比べ、図13に示す如く、減衰チャンバー内の減衰液体は磁制御レオペクチック液体(rheopectic liquid)である。シリンダーと可動羽根は
伝導磁材料で製造され、シリンダーの外壁に電磁コイル8が設けられる。磁界の強さを調整して、磁制御レオペクチック液体の粘度を調整することにより、減衰力の大きさを調整することができる。本実施の形態は、特に、道路状況に応じて減衰を調整する場合の、自動車の懸架系の減衰器として応用される。
【0035】
実施の形態6
実施の形態5と比べ、図14に示す如く、減衰チャンバー内の減衰液体は電圧制御レオペクチック液体である。シリンダーのセンターにある静止羽根に正電極9を設け、シリンダーの内壁に負電極10を設け、正負電極はいずれも減衰器の露出部分と絶縁する。電界の強さを調整して、電圧制御レオペクチック液体の粘度を調整することにより、減衰力の大きさを調整することができる。本実施の形態は、特に、道路状況に応じて減衰を調整する場合の、自動車の懸架系の減衰器として応用される。
【0036】
実施の形態7
実施の形態2と比べ、図15、16に示す如く、静止羽根2aにピストン11が設けられ、静止羽根がその近隣にある可動羽根1との間に摺動シールガイドリング4cが設けられて、二つのピストンチャンバーになる。減衰液体の粘度は普通の油圧式減衰器よりわりあいに高いため、該シールガイドの配合は普通の油圧式減衰器のシールのように精密が不必要で、隙間を有するのが可能である。ピストンが可動羽根との間にも適当の隙間と複数のスロットル用穴を有する。可動羽根は軸方向に運動する場合、二つのピストンチャンバーの圧力差が減衰力になり、可動羽根はその外側の切断チャンバーにおける減衰液体を切断して、粘性運動減衰力が生じる。静止羽根と減衰チャンバー内の粘性液体の粘性切断力は減衰力も発生する。従って、本減衰器は同じ体積内においてより大きい減衰力を発生することができる。
【0037】
可動体がシリンダーとの間にも可撓性気密シール5bが設けられて、ゴムリングの長さが比較的大きいため、そのものはガイドの機能を有して、ガイドパッド4bが必要としない。
【0038】
シリンダー2と可動体1の外表面に、それぞれアンカー鉄筋12が溶着されている。
本減衰器は精密部品が不必要であり、ロッバストが非常に強く、破壊防止と過負荷防止の能力が非常に強く、しかも撓み気密シールとアンカー鉄筋を採用したため、本減衰器は鉄筋コンクリートの構造に予め埋め込むことができる。例えば、ダムの分段堤防の間にある構造の隙間に予め埋め込んで、地震の時には地震のエネルギーを充分に消耗して、堤防の振幅と構造隙間の裂けた程度を減少して、ダムの安全を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1の構造を示す説明図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2の構造を示す説明図である。
【図4】図4は、図3のA−A断面図の一である。
【図5】図5は、図3のA−A断面図の二である。
【図6】図6は、図3のA−A断面図の三である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3の構造を示す説明図である。
【図8】図8は、図7のA−A断面図の一である。
【図9】図9は、図7のA−A断面図の二である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態4の構造を示す説明図である。
【図11】図11は、図10のA−A断面図の一である。
【図12】図12は、図10のA−A断面図の二である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態5の構造を示す説明図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態6の構造を示す説明図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態7の構造を示す説明図である。
【図16】図16は、図15のA−A断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動制御装置の、減衰器に関し、特に、車両の懸架系の防振器及び建築構造の防振、エネルギーを消耗する減衰器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
減衰器は応用が広い振動制御の基本素子であり、機械や交通工具や橋や建築構造の防振、緩衝、エネルギー消耗に用いられる。
【0003】
常用の減衰器は油圧シリンダー式であり、ピストンが油圧シリンダーに対して軸方向だけに相互運動し、単軸減衰器であると言われ、それは可動体、可動体ロッド、シリンダーとシールから構成される。可動体は一般的に円柱形であり、その上に複数穴を設置あるいはシリンダーとの間に径方向に適当な隙間を有する。可動体は油圧シリンダーを二つの可動体のチャンバーに分けさせて、可動体のチャンバー内に液圧油又は粘度のやや高い粘性液体が注がれ、例えばシリコンオイルである。可動体は油圧シリンダーに対して運動する際には、圧受け側の可動体のチャンバー内に閉じられている液体が押され、圧力が上昇して、可動体の隙間又は穴から他の可動体のチャンバーに流れて、二つの可動体のチャンバーの圧力差により可動体の運動に対して抵抗力が形成され、仕事を行って、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させて、外界エネルギーを吸収する目的を実現する。従って、防振、緩衝、エネルギー消耗例えば、車両懸架系及び建築のエネルギー消耗と防振である場合に広く応用することができる。
【0004】
このような減衰器は数十年の改善により、相当的に完璧になっている。しかし、構造の原因で、以下の欠陥が存在している。即ち、(1)シールとピストンロッド、及びピストンと減衰シリンダーの静止摩擦と摺動摩擦によって、起動の抵抗力が大きいため、小さい振幅がする場合、減衰力が速度との相関性がわりあいに悪く、理論の計算が複雑になり、誤差がわりあいに大きい;(2)必ず確実的なシールを採用するが、シール部品が摩損又は老化し易いため、シールが失効になると、圧力差が生じることができなくなり、減衰性能が急速に失われる;(3)部品の構造が複雑、数量が多く、加工精度の要求がわりあいに厳しいため、コストが高くなる;(4)減衰性能は加工精度、部品の安定性に対してわりあい厳しいため、重要な部品、例えば弁が失効になると、減衰性能が急速に降下又は失効になる;(5)減衰液体が穴を通じてスロットルするときに一部に高圧力を受けて切断され、瞬間に熱が上がって温度がわりあいに高く上がり、長期間には老化になりやすく、減衰器を失効にならせる;(6)減衰液体における堆積物と摩損の顆粒が減衰パラメーターに影響を与え、かつ減衰器の破壊を速めさせる。上記の原因によって、このような減衰器は、高品質のブランド製品の以外に、一般的に寿命がわりあいに短く、さらに低級の自動車減衰器は半年毎に一回交換することがあるため、資源が大量な浪費になり、環境に影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、新型の原理と新型の構造を採用する単軸減衰器を提供することにある。それは減衰特性が柔らかい、構造が簡単、コストが低い、性能が安定、寿命が長いなどのメリットを有し、再生が容易で、環境を守る特徴を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記減衰器はシリンダーと可動体とを備え、可動体の少なくとも一部がシリンダー内に
位置され、シリンダー内には少なくとも一つの軸方向に延伸するチャンバーが設けられ、該チャンバー内には粘性減衰液体が注がれ、減衰チャンバーが形成されて、可動体は減衰チャンバー内に対応設置されている可動羽根から構成されてなり、可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さい。
【0007】
シリンダーの減衰チャンバー内には少なくとも一つの軸方向に延伸する静止羽根が設けられ、減衰チャンバーが複数の互いに連通又は連通せずサブ減衰チャンバーに区分されて、可動羽根はサブ減衰チャンバー内に対応設置され、可動羽根とサブ減衰チャンバーの壁又は可動羽根と静止羽根が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さがその軸方向のサイズより非常に小さい。
【0008】
羽根同士の間の距離を運動中に変わらずに保持させ、また可動体がシリンダーに対して軸方向の相対運動のみを行うため、可動体とシリンダーの間に軸方向のガイド装置が設置される。軸方向のガイド装置は摺動ガイド又は弾性ガイドである。
【0009】
同じの外形サイズでより大きい減衰力を獲得するために、減衰チャンバー又は切断チャンバーは複数を有し、互いに平行配列されて、あるいは同心に配列されて、あるいは複数のチャンバーが同心配列して、その後に平行配列されてなる。また、減衰液体のフローエクサイテーション(flow excitation)を調整するために、羽根に凸凹、貫通孔、リブ又はリングリートを設けることもできる。
【0010】
羽根の形状はパイプ状又は柱状あるいは板状である。その外表面の断面の形状は円、橢円、又は多角形が可能である。その中に、同心の円パイプ又は四角パイプは最も望ましい。
【0011】
本減衰器は必ずシールが必要ではない。もし、減衰器は基本的に鉛垂方向に作動し、減衰チャンバーの開口が上に向かい又は傾斜角度が大きくなければ、シールの必要がない又は防塵シールのみを行う。もし、減衰チャンバーの開口は下に向かい又は傾斜角度がわりあいに大きければ、可動体とシリンダーの間にシール装置が設置される。シール装置は摺動シールが可能、例えば弾性シールリングやO型シールリングを採用するか、それともフレックシブルシール、例えばゴムシールや金属ベローズパイプシールを採用することも可能である。
【0012】
可動体が運動するときに、減衰チャンバーのネット体積(net volume)はそれによって変化する。従って、減衰器の少なくとも一箇所に体積補償装置が設けられる。体積補償装置は減衰チャンバー内に設置され少なくとも一つの弾性補償体である。体積補償装置は減衰チャンバーに連通する体積補償チャンバーを有し、体積補償チャンバー内に一つ又は複数の弾性補償体を設ける。弾性補償体はガス入りのガスバック、又は外表面に気密弾性層が設けられる弾性発泡体である。体積補償装置は弾性ガスバックであるため、その一側が減衰チャンバーに連通し、他側に圧縮ガスが注がれ、又は弾性発泡体を設け、或いは圧縮パネを設ける。
【0013】
減衰器の減衰を調整することが出来るために、減衰液体の液体レベル調整装置と減衰液体の注入穴が設けられる。
【0014】
減衰器の減衰をさらに増大するために、粘性切断減衰器の中に油圧式減衰器を集積することが可能である。即ち、一つの羽根にピストンが設置され、ピストンとその近隣の羽根との間に摺動シールが設けられ、二つのピストンのチャンバーが構成されて、ピストンとその近隣の羽根との間に適当の隙間又は複数のスロットル用穴を設ける。
【0015】
減衰器の両端にはフランジ連結とピン連結が設置され、又はシリンダーと可動体の外表面にはアンカー連結筋金が設置される。
【0016】
粘性減衰液体は磁制御レオペクチック液体、又は電圧制御レオペクチック液体、あるいは粘度がわりあいに高い減衰液体、例えばシリコンオイルやメチルシリコンオイルやポリインソブチレンや常温状態において液体として改質アスファルトである。
【0017】
減衰器が作動するときに、可動体は外部の荷重によりシリンダーに対して軸方向に運動し、可動羽根はシリンダーと静止羽根に対して相対運動して、可動羽根の両側にある切断チャンバー内の粘性液体を切断する。粘性液体の粘性により、可動羽根の運動を抵抗する粘性抵抗力が生じる。該粘性抵抗力は常に運動方向に反対に作用し、且つ運動の速度が速いほど、抵抗力が大きくなる。これによって、外力を消耗して仕事を行い、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させる。
【0018】
油圧減衰器と比べ、本発明に上述した減衰器は穴又は隙間にスロットルされることによる圧力差によって運動抵抗力を生じることはなく、切断チャンバー内の高い粘度の減衰液体が可動羽根に対して発生した粘性力によって運動抵抗力を生じる。従って、減衰チャンバー内の圧力がわりあいに低い。減衰チャンバーの開口が減衰液体の最高位置より高い場合、減衰器はシールの必要がないで、減衰チャンバーの開口が減衰液体の最高位置より低い場合、又は減衰器は防塵の必要があるときにシールをする。ガイド装置も特に精密が必要ではないため、ピストンバーとシリンダーの摩擦力がわりあいに小さい、起動抵抗力がわりあいに小さいで、減衰力と速度は連続で円滑的な指数関数であり、設計のときに精密に計算でき、実際との誤差がわりあいに小さい。本発明に上述した減衰器の構造が簡単で、精密部品がないため、コストが低い、性能が安定、仕事が信頼できる。磨損部品がないため、基本的にメンテナンスが不必要で、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1
減衰器は、図1、2に示す如く、可動体1とシリンダー2とを備え、可動体1の一部が円筒形シリンダー2内に位置され、シリンダー2に対して軸方向に運動することができる。シリンダー内には軸方向に延伸する一つのチャンバーが設けられ、該チャンバー内に粘性減衰液体3が注がれ、常温状態において粘性液体の改質乳化アスファルトである。可動体1は減衰チャンバー内に設置されている円柱形の可動羽根から構成されてなり、この可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの径方向サイズがその軸方向のサイズより非常に小さい。シリンダーの端部にシリンダーヘッド2aが設けられ、シリンダーヘッドと可動羽根が摺動ガイド配合して、シリンダーヘッドの内に摺動シールリング5が嵌入され、可動羽根の端部に摺動ガイドパッド4bが固定され十字状になって、減衰液体の流れが可能である。体積補償体であるガス入りのガスバックは減衰チャンバー内に設置される。可動羽根が外に向かって運動する場合、減衰チャンバーのネット体積が増大し負圧に成って、ガスバック内部の圧力より小さいため、ガスバックが膨張し、補償可動体が減衰チャンバーから退出して空間があけて、減衰液体内部での真空状態を防止する。可動羽根が外に向かって運動する場合、状況が逆であり、ガスバックが圧縮される。
【0020】
減衰器が作動をするときに、可動羽根1はシリンダー2に対して軸方向に運動し、可動羽根1の周辺にある切断チャンバー内の粘性液体を切断する。粘性液体の粘性により、可動羽根の運動を抵抗する粘性抵抗力が生じる。該粘性抵抗力は常に運動方向と反対に作用し、且つ運動の速度が速いほど、抵抗力が大きくなる。これによって、外力を消耗して仕
事を行い、機械エネルギーを熱エネルギーに転化させる。
【0021】
油圧減衰器と比べ、本発明に上述した減衰器は穴又は隙間にスロットルされることによる圧力差によって運動抵抗力を生じることはなく、切断チャンバー内の高い粘度の減衰液体が可動羽根に対して発生した粘性力によって運動抵抗力を生じる。従って、減衰チャンバー内の圧力がわりあいに低い。可動体とシリンダーの摩擦力が非常に小さい、起動抵抗力が非常に小さく、減衰力と速度は連続で円滑的な指数関数であり、設計のときに精確に計算でき、実際との誤差がわりあいに小さい。本発明に上述した減衰器の構造が簡単、精密部品が不必要で、ロッバスト(robust)が強いため、コストが低い、性能が安定、動作が信頼できる。磨損部品が少ないため、メンテナンスが少ない、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【0022】
実施の形態2
実施の形態1と比べ、図3、4に示す如く、シリンダー2のセンターに円柱形の静止羽根2aが設置され、減衰チャンバーを環形減衰チャンバーにする。これに応じて、可動体1の可動羽根はパイプ状である。可動羽根は減衰チャンバー内に位置し、減衰チャンバーの壁と静止羽根2aが切断チャンバーを構成して、減衰チャンバーと切断チャンバー内にメチルシリコンオイルが注がれる。切断チャンバーの横方向サイズがその軸方向サイズより最も小さいで、減衰チャンバーの下部に環状弾性補償体6bが設けられ、可動体の天井部の減衰チャンバーに弾性補償体6bが設けられる。弾性補償体6bは外部に気密弾性層が設けられる弾性発泡ウレタンである。
【0023】
実施の形態1と比べ、本実施の形態における可動羽根は内外として二つの粘性切断チャンバーを備えて、羽根が運動するときに二つの粘性切断面を有して、粘性抵抗力を増大する。可動羽根の上下に二つの同じガイドパッド4bが設置され、その断面の形状はスプライン状であり、スプライン歯はガイドに用いられ、歯の間にある隙間は減衰液体の流れが可能で、歯の間にあるリングシートは流れた液体に対して適当な抵抗力を生じ、減衰を増大することができる。
【0024】
上述した実施の形態に比べ、シリンダーヘッドに摺動シールを設けず、可撓性気密シールを設置する。可撓性シールはキュアでシリンダーヘッドにあるゴムリングであり、その内側にはキュアされた金属リングを有し、金属リングが可動体と溶着して、シリンダーヘッドがシリンダーとボルト連結し、連結面の間にシールスペーサを設けて、減衰液体が漏れるのを防止する。ゴムは良好の切断弾性を有して、可動体が軸方向の運動をする同時に減衰液体をシールさせることができるため、シール摩擦抵抗力が発生せず、摩損も生じない。ガイド装置はシールの要求を兼ねない、特に精密も不必要で、適当な径方向にある隙間を有するのが可能であるため、摩損により失効にならず、可動体とシリンダーの摩擦が非常に小さく、減衰器の起動抵抗力も非常に小さい。上述した本発明の減衰器は、構造が簡単で、精密部品を必要とせず、ロッバストが強いため、コストが低く、性能が安定しており、仕事が信頼できる。磨損部品がないため、基本的にメンテナンスが不必要で、寿命が長く、メンテナンス後に引き続き使用が可能で、再生可能の特性を有し、環境を守ることができる。
【0025】
本シール構造は振幅とストロークがわりあいに小さい状況に適用する。もし、ストロークが大きければ又は振幅が大きければ、金属ベローズパイプでゴムリングを替代することができる。
【0026】
上述シリンダーと可動羽根の断面は同心円で、静止羽根の断面は円である。実際的には、断面形状は、図5、6に示すように、シリンダーと可動羽根の断面は同心六角を採用し、静止羽根の断面は平板であるのも可能であり、あるいは、シリンダーと可動羽根の断面
は同心競走路形の鋼パイプを採用し、静止羽根の断面は平板であるのも可能である。この構造は減衰器の幅を厚さより大きくさせて、壁体の中に隠すようなことである。従って、挟み壁の厚さの制限があるため、本減衰器は特に建築のエネルギーを摩損する減衰器に適用する。
【0027】
実施の形態3
実施の形態2と比べ、図7、8に示す如く、シリンダー2内の減衰チャンバー内の静止羽根は円パイプ形2cであり、可動体1は二つの円パイプ状の可動羽根から構成され、三つの互相的に同心嵌入の切断チャンバーが形成され、減衰チャンバーの下部に環状弾性補償体6bが設けられ、弾性補償体は外部に気密弾性層が設けられる弾性発泡ウレタンである。可動体の天井部に補償チャンバーが設置され、補償チャンバー内に気密弾性膜6cが設けられ、その側に圧縮ガスが注がれ、他側に減衰液体が注がれ、かつ減衰チャンバーに連通して、補償減衰チャンバーの体積を変化させるためである。粘性抵抗力を増大するために、内層可動羽根の端部にも縁巻き式のディスタービングフロー(disturbing flow)のリングシートを設ける。
【0028】
本実施の形態は三つの粘性切断チャンバーを有し、より大きい減衰力を発生することができる。
【0029】
上述シリンダー、可動羽根及び静止羽根の断面は同心円である。実際的には、図9に示すように、断面の形状は同心の四角形も可能である。
【0030】
上述した実施の形態に比べ、シリンダーに可撓性気密シールを設置する。フレックシブルシールはベローのゴムソケット5cであり、その両端にキュアされたフランジを有して、フランジがそれぞれに可動体とシリンダーヘッド2dにボルト連結され、連結面の間にシールスペーサを設けて、減衰液体が漏れるのを防止する。ガイド装置は特に精密が不必要で、適当な径方向にある隙間を有するのが可能であるため、可動体とシリンダーの摩擦も非常に小さく、減衰器の起動抵抗力も非常に小さい。
【0031】
実施の形態4
実施の形態2と比べ、図10、11に示す如く、シリンダー2内の減衰チャンバーは断面を十字形にする静止羽根2eにより四つのサブ減衰チャンバーに分けられて、四つの断面を四角形管にする可動羽根はそれぞれのサブ減衰チャンバー内に位置し、四つの板状の静止羽根2bはそれぞれの可動羽根内に配置される。このように、8つの粘性切断チャンバーが形成され、より大きい減衰力を発生することができる。シリンダーには減衰液体の液面を調整するための注入穴と排出穴が設けられ、かつプラグ(plug)が設置される。
【0032】
図12に示すように、断面を四角管形にする可動羽根内に静止羽根と可動羽根が交錯設置され、複数の平行切断チャンバーが形成されて、構造が簡単で、製造が容易である。
【0033】
本実施の形態は組立による大型減衰器に適用する。並列の減衰チャンバーの群数を増加すると、対応倍数の減衰力を獲得することができる。本実施の形態による減衰チャンバーは開口が上に向かって、減衰液体の液面がシリンダーの上縁の下に位置するため、シールしなくても漏れることはないで、通常通りに作動する。前記シールは主に防塵の目的に用いる。
【0034】
実施の形態5
実施の形態1と比べ、図13に示す如く、減衰チャンバー内の減衰液体は磁制御レオペクチック液体(rheopectic liquid)である。シリンダーと可動羽根は
伝導磁材料で製造され、シリンダーの外壁に電磁コイル8が設けられる。磁界の強さを調整して、磁制御レオペクチック液体の粘度を調整することにより、減衰力の大きさを調整することができる。本実施の形態は、特に、道路状況に応じて減衰を調整する場合の、自動車の懸架系の減衰器として応用される。
【0035】
実施の形態6
実施の形態5と比べ、図14に示す如く、減衰チャンバー内の減衰液体は電圧制御レオペクチック液体である。シリンダーのセンターにある静止羽根に正電極9を設け、シリンダーの内壁に負電極10を設け、正負電極はいずれも減衰器の露出部分と絶縁する。電界の強さを調整して、電圧制御レオペクチック液体の粘度を調整することにより、減衰力の大きさを調整することができる。本実施の形態は、特に、道路状況に応じて減衰を調整する場合の、自動車の懸架系の減衰器として応用される。
【0036】
実施の形態7
実施の形態2と比べ、図15、16に示す如く、静止羽根2aにピストン11が設けられ、静止羽根がその近隣にある可動羽根1との間に摺動シールガイドリング4cが設けられて、二つのピストンチャンバーになる。減衰液体の粘度は普通の油圧式減衰器よりわりあいに高いため、該シールガイドの配合は普通の油圧式減衰器のシールのように精密が不必要で、隙間を有するのが可能である。ピストンが可動羽根との間にも適当の隙間と複数のスロットル用穴を有する。可動羽根は軸方向に運動する場合、二つのピストンチャンバーの圧力差が減衰力になり、可動羽根はその外側の切断チャンバーにおける減衰液体を切断して、粘性運動減衰力が生じる。静止羽根と減衰チャンバー内の粘性液体の粘性切断力は減衰力も発生する。従って、本減衰器は同じ体積内においてより大きい減衰力を発生することができる。
【0037】
可動体がシリンダーとの間にも可撓性気密シール5bが設けられて、ゴムリングの長さが比較的大きいため、そのものはガイドの機能を有して、ガイドパッド4bが必要としない。
【0038】
シリンダー2と可動体1の外表面に、それぞれアンカー鉄筋12が溶着されている。
本減衰器は精密部品が不必要であり、ロッバストが非常に強く、破壊防止と過負荷防止の能力が非常に強く、しかも撓み気密シールとアンカー鉄筋を採用したため、本減衰器は鉄筋コンクリートの構造に予め埋め込むことができる。例えば、ダムの分段堤防の間にある構造の隙間に予め埋め込んで、地震の時には地震のエネルギーを充分に消耗して、堤防の振幅と構造隙間の裂けた程度を減少して、ダムの安全を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1の構造を示す説明図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2の構造を示す説明図である。
【図4】図4は、図3のA−A断面図の一である。
【図5】図5は、図3のA−A断面図の二である。
【図6】図6は、図3のA−A断面図の三である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3の構造を示す説明図である。
【図8】図8は、図7のA−A断面図の一である。
【図9】図9は、図7のA−A断面図の二である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態4の構造を示す説明図である。
【図11】図11は、図10のA−A断面図の一である。
【図12】図12は、図10のA−A断面図の二である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態5の構造を示す説明図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態6の構造を示す説明図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態7の構造を示す説明図である。
【図16】図16は、図15のA−A断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーと可動体とを備え、可動体の少なくとも一部がシリンダー内に位置される減衰器において、
シリンダー内には少なくとも軸方向に延伸する一つのチャンバーが設けられ、該チャンバー内には粘性減衰液体が注がれ、減衰チャンバーが形成されて、可動体は減衰チャンバー内に対応設置されている可動羽根から構成されてなり、可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さいことを特徴とする減衰器。
【請求項2】
シリンダーの減衰チャンバー内には少なくとも軸方向に延伸する一つの静止羽根が設けられ、減衰チャンバーが複数の互いに連通又は連通せずサブ減衰チャンバーに区分され、可動羽根はサブ減衰チャンバー内に対応設置され、可動羽根とサブ減衰チャンバーの壁又は可動羽根と静止羽根が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さいことを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項3】
減衰チャンバー又は切断チャンバーは複数組を有し、並列平行に配列されて、あるいは、複数組が同心に配置されて、あるいは複数群の同心チャンバーが平行に配列されてなることを特徴する請求項1又は請求項2に記載の減衰器。
【請求項4】
可動羽根と静止羽根の少なくともいずれかはパイプ状又は柱状あるいは板状であることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項5】
可動羽根と静止羽根の少なくともいずれかに凸凹、貫通孔、リブ又はリングシートを設置することを特徴とする請求項2に記載の減衰器。
【請求項6】
シリンダーと可動体との間に軸方向のガイド装置が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項7】
粘性減衰液体は磁制御レオペクチック液体、又は電圧制御レオペクチック液体、あるいは粘度がわりあい高い減衰液体であることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項8】
シリンダーと可動体との間に摺動シールが設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項9】
シリンダーと可動体との間に弾性気密シールでシール連結して、この弾性気密シールが気密の弾性材料又は金属ベローズパイプから構成されてなり、その両端はシリンダーと可動体にそれぞれ気密連接されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項10】
減衰チャンバー内又は減衰チャンバーに連通する補償チャンバー内に弾性補償体が設置されて、弾性補償体は気密弾性材料からなるガスバック又は金属ベロー構造であり、その中に圧縮ガスが注がれ、又は弾性発泡体あるいはパネが設けられることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項11】
減衰液体の液体レベル調整装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項12】
可動羽根と静止羽根の少なくとも一つの羽根にピストンが設置され、ピストンとその近隣の羽根との間に摺動シール及び適当の隙間又は複数のスロットル用穴が設けられ、二つのピストンのチャンバーが構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項13】
シリンダー又は可動体に電磁コイルが設けられ、シリンダーと羽根は伝導磁材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項14】
最内層の可動羽根と静止羽根は最外層のシリンダーとの間に電極が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項15】
減衰器の両端にはフランジ連結とピン連結が設置され、又はシリンダーと可動体の外表面にはアンカー連結筋金が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項1】
シリンダーと可動体とを備え、可動体の少なくとも一部がシリンダー内に位置される減衰器において、
シリンダー内には少なくとも軸方向に延伸する一つのチャンバーが設けられ、該チャンバー内には粘性減衰液体が注がれ、減衰チャンバーが形成されて、可動体は減衰チャンバー内に対応設置されている可動羽根から構成されてなり、可動羽根と減衰チャンバーの壁が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さいことを特徴とする減衰器。
【請求項2】
シリンダーの減衰チャンバー内には少なくとも軸方向に延伸する一つの静止羽根が設けられ、減衰チャンバーが複数の互いに連通又は連通せずサブ減衰チャンバーに区分され、可動羽根はサブ減衰チャンバー内に対応設置され、可動羽根とサブ減衰チャンバーの壁又は可動羽根と静止羽根が切断チャンバーを構成し、切断チャンバーの厚さが軸方向のサイズより非常に小さいことを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項3】
減衰チャンバー又は切断チャンバーは複数組を有し、並列平行に配列されて、あるいは、複数組が同心に配置されて、あるいは複数群の同心チャンバーが平行に配列されてなることを特徴する請求項1又は請求項2に記載の減衰器。
【請求項4】
可動羽根と静止羽根の少なくともいずれかはパイプ状又は柱状あるいは板状であることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項5】
可動羽根と静止羽根の少なくともいずれかに凸凹、貫通孔、リブ又はリングシートを設置することを特徴とする請求項2に記載の減衰器。
【請求項6】
シリンダーと可動体との間に軸方向のガイド装置が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項7】
粘性減衰液体は磁制御レオペクチック液体、又は電圧制御レオペクチック液体、あるいは粘度がわりあい高い減衰液体であることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項8】
シリンダーと可動体との間に摺動シールが設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項9】
シリンダーと可動体との間に弾性気密シールでシール連結して、この弾性気密シールが気密の弾性材料又は金属ベローズパイプから構成されてなり、その両端はシリンダーと可動体にそれぞれ気密連接されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項10】
減衰チャンバー内又は減衰チャンバーに連通する補償チャンバー内に弾性補償体が設置されて、弾性補償体は気密弾性材料からなるガスバック又は金属ベロー構造であり、その中に圧縮ガスが注がれ、又は弾性発泡体あるいはパネが設けられることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項11】
減衰液体の液体レベル調整装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項12】
可動羽根と静止羽根の少なくとも一つの羽根にピストンが設置され、ピストンとその近隣の羽根との間に摺動シール及び適当の隙間又は複数のスロットル用穴が設けられ、二つのピストンのチャンバーが構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項13】
シリンダー又は可動体に電磁コイルが設けられ、シリンダーと羽根は伝導磁材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項14】
最内層の可動羽根と静止羽根は最外層のシリンダーとの間に電極が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項15】
減衰器の両端にはフランジ連結とピン連結が設置され、又はシリンダーと可動体の外表面にはアンカー連結筋金が設置されることを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−523324(P2008−523324A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544718(P2007−544718)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/CN2005/002099
【国際公開番号】WO2006/060956
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507035123)▲隔▼而固(青島)振動控制有限公司 (4)
【出願人】(307040990)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/CN2005/002099
【国際公開番号】WO2006/060956
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507035123)▲隔▼而固(青島)振動控制有限公司 (4)
【出願人】(307040990)
【Fターム(参考)】
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