説明

減速機構および電動パワーステアリング装置

【課題】小型、安価で耐久性に優れた減速機構を提供すること。
【解決手段】ウォームと噛み合わせるための減速ギヤ31であり、鍛造により成形されている。減速ギヤ31の各歯部32の歯面34が、ウォームホイール歯形形状部35と、ウォームホイール歯形形状部35から窪みウォーム20との噛み合いを避ける凹部36とを有している。凹部36〔図4(a)参照〕は、凹部36を設けない場合〔図4(b)参照〕に、ウォームホイール歯形およびウォーム20の接触線CLとウォーム20の滑り方向S1とのなす角度Bが閾値B1以下となる領域E1に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機構および電動パワーステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウォームホイールを、冷間鍛造工程により形成された芯金と、芯金の外周に固定される合成樹脂製のギヤ部とで構成する電動パワーステアリング装置の減速機構が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−255524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電動パワーステアリング装置の高出力化に伴い、減速機構が大型化しており、車両へのレイアウトが非常に厳しくなってきている。特許文献1のように、ウォームホイールのギヤ部として樹脂を用いた場合、強度を満足するためにウォームホイールが大型になる傾向にある。また、高強度に耐え得る樹脂は高価であり、製造コストが高くなる。
そこで、金属ギヤを用いることが考えられる。しかしながら、例えば、ウォームと減速ギヤとしてのはすば歯車とを噛み合わせた場合には、殆ど点での接触となる。このため、使用初期の摩耗が大きくなる。その結果、バックラッシが増大し、歯打ち音(ラトル音)が大きくなる。
【0005】
一方、円筒形のウォーム(例えば横断面歯形が台形であるJIS3形)と減速ギヤとしての鼓形のウォームホイール(横断面歯形がインボリュートである)とを噛み合わせた場合、両ギヤの接触線とウォームの滑り方向とのなす角度(交差角)が小さい領域において、潤滑油膜が切れ易い。したがって、摩耗や発熱を生じ、長期に使用した場合の耐久性が悪くなる。
【0006】
これを改善するために、接触線を歯たけ方向とすることができる鼓形のウォームを用いることも考えられるが、鼓形のウォームは、加工が複雑であり、製造コストが高い。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、小型、安価で且つ耐久性に優れた減速機構および電動パワーステアリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、ウォーム(20)と、前記ウォームと噛み合う金属製の減速ギヤ(31;131)と、前記ウォームおよび前記減速ギヤの間に介在する潤滑剤と、を備え、前記減速ギヤは、歯面(34;41,51)を含み、前記歯面は、歯幅方向(W1)の少なくとも中央部に形成されたウォームホイール歯形形状部(35;43,53)と、前記ウォームホイール歯形形状部から窪み前記ウォームとの噛み合いを回避する凹部(36;44,54)と、を有している減速機構(19)を提供する。
【0008】
また、請求項2のように、前記凹部は、前記ウォームホイール歯形形状部のウォームホイール歯形がウォームと接触する場合の接触線(CL)と、ウォームの滑り方向(S1)とのなす角度(B)が閾値(B1)以下となる領域(E1)に配置されている場合がある。
請求項3のように、前記凹部は、鍛造により形成されている場合がある。
【0009】
請求項4の発明は、前記減速機構を用いて操舵補助用の電動モータ(18)の回転を減速する電動パワーステアリング装置(1)を提供する。
また、前記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、金属製の減速ギヤを用いるので、小型で高強度である。また、減速ギヤのウォームホイール歯形とウォームとの歯当たりが線接触となるため、初期から良好な接触状態を確保でき、初期摩耗の発生を防止することができる。
一般に、減速ギヤのウォームホイール歯形を例えば円筒形のウォームに噛み合わせる場合、減速ギヤの歯面の歯幅方向の中央部は、ウォームホイール歯形およびウォームの接触線がウォームの滑り方向と一致する領域を含む。本発明では、前記中央部に凹部を設けて、ウォームとの噛み合いを回避するので、耐久性にとって最も厳しくなるおそれのある部分で摩耗を抑制することができ、その結果、減速機構全体としての耐久性を向上することができる。
【0011】
また、減速ギヤを前記構成とすることで、安価な円筒形のウォームを用いることが実質的に可能となり、製造コストを安くすることができる。ひいては、小型、安価で耐久性に優れた減速機構を実現することができる。
また、請求項2の発明によれば、ウォームホイール歯形形状部のウォームホイール歯形およびウォームの接触線とウォームの滑り方向とのなす角度が閾値以下となる領域には、凹部が設けられて、ウォームとの噛み合いが回避される。結果として、凹部を除く噛み合い領域では、前記接触線とウォームの滑り方向とのなす角度が閾値を超えた値となるので、歯面全体として油膜切れを生じ難く、円滑な潤滑を確保することができる。したがって、長期にわたって摩耗を抑制して耐久性を格段に向上することができる。
【0012】
また、ウォームホイール歯形形状部のうち凹部を除く領域では、歯幅方向に関して凹部に近づくほど、前記接触線とウォームの滑り方向とのなす角度が小さくなって油膜切れを生じ易くなる傾向にある。逆に言うと、最も油膜切れを生じ易い領域(歯幅方向に関する凹部の縁部およびその近傍の領域に相当)の最も近くに、潤滑剤が溜まる凹部が存在する。したがって、最も油膜切れを生じ易い領域に対して効果的な潤滑が行えるので、全体としての潤滑効果が高い。しかも、その凹部へは、ウォームホイール歯形形状部から、いわゆる、くさび効果(回転に伴って狭い隙間へ潤滑剤が吸い込まれる現象)によって、潤滑剤が送られ来る傾向にあるので、凹部に潤滑剤を潤沢に保持しておくことができる。この点からも、潤滑効果を高くすることができる。
【0013】
また、請求項3のように、前記凹部が鍛造により形成されている場合には、容易に歯面を形成することができ、製造コストを安くすることができる。
また、請求項4の発明によれば、小型、安価で耐久性に優れた電動パワーステアリング装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態の減速ギヤを含む電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】減速ギヤの概略斜視図である。
【図3】減速ギヤの要部の概略斜視図である。
【図4】(a)は減速ギヤのウォームホイール歯形とウォームの噛み合い状態を示す模式的断面図である。(b)は、凹部を設けない場合の減速ギヤのウォームホイール歯形とウォームの噛み合い状態を示す参考図としての模式的断面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態の減速ギヤの要部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の一実施の形態の減速ギヤを含む電動パワーステアリング装置の模式図である。図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、ステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を操舵する操舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と操舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
【0016】
本実施の形態では、操舵補助機構5がステアリングシャフト6にアシスト力(操舵補助力)を与える例に則して説明する。しかしながら、本発明を、操舵補助機構5が後述するピニオン軸にアシスト力を与える構造に適用することも可能である。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。
【0017】
ステアリングシャフト6の周囲に配置されたトルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に入力された操舵トルクを検出する。トルクセンサ11のトルク検出結果は、操舵補助のためのモータ制御装置としてのECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)12に入力される。また、車速センサ90からの車速検出結果がECU12に入力される。中間軸7は、ステアリングシャフト6と操舵機構4とを連結している。
【0018】
操舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示せず)を介して転舵輪3が連結されている。
ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端(図1では下端)には、ピニオン16が設けられている。
【0019】
ラック軸14は、自動車の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の途中部には、前記ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることで、転舵輪3を転舵することができる。
【0020】
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを操舵機構4に伝達するための伝達機構としての減速機構19とを含む。減速機構19は、駆動ギヤとしてのウォーム20と、このウォーム20と噛み合う減速ギヤ31とを含む。減速機構19は、ギヤハウジング21内に収容されている。ギヤハウジング21内において、ウォーム20と減速ギヤ31との少なくとも噛み合い領域には、グリース等の潤滑剤が充填されており、ウォーム20および減速ギヤ31の歯面間には、潤滑剤が介在している。
【0021】
ウォーム20は、図示しない継手を介して電動モータ18の回転軸(図示せず)に連結されている。ウォーム20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、減速ギヤ31は、ステアリングシャフト6とは一体回転可能に連結されている。
電動モータ18がウォーム20を回転駆動すると、ウォーム20によって減速ギヤ31が回転駆動され、減速ギヤ31およびステアリングシャフト6が一体回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム20を回転駆動することで、転舵輪3が転舵されるようになっている。
【0022】
電動モータ18は、三相ブラシレスモータからなり、モータ制御装置としてのECU12によって制御される。ECU12は、トルクセンサ11からのトルク検出結果、車速センサ90からの車速検出結果等に基づいて電動モータ18を制御する。具体的には、ECU12では、トルクと目標アシスト量との関係を車速毎に記憶したマップを用いて目標アシスト量を決定し、電動モータ18の発生するアシスト力を目標アシスト量に近づけるように制御する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る減速ギヤ31の概略斜視図である。減速ギヤ31は、金属製であり、鍛造により形成されている。減速ギヤ31は中心孔31aを有している。減速ギヤ31は、その外周31bに、進み角A1を有する多数の歯部32を形成している。隣接する歯部32,32間に歯溝33が形成されている。
図3に示すように、減速ギヤ31の各歯部32は、歯面34を有している。歯面34は、基準の歯形形状としてのウォームホイール歯形形状部35と、ウォームホイール歯形形状部35から窪む凹部36とを備えている。凹部36の位置は、歯幅方向W1の中央部に配置されており、凹部36がウォームホイール歯形形状部35から窪むことにより、当該凹部36とウォーム20とが噛み合わないようにされている。凹部36は鍛造により形成されることが、製造コストを安価にするうえで好ましい。
【0024】
具体的には、凹部36は下記の条件を満たす位置に形成されている。図4(b)は歯面34の全体をウォームホイール歯形形状部35とした場合の減速ギヤ31’とウォーム20との噛み合い状態を示す参考図としての模式的断面図である。図4(b)に示すように、ウォームホイール歯形形状部35のウォームホイール歯形がウォーム20と接触する場合の接触線CLが実線で示されている。また、ウォーム20の滑り方向S1が、ウォーム20の中心軸線を中心とする同心円として一点鎖線で示されている。
【0025】
図4(b)において、接触線CLと滑り方向S1とのなす角度Bが、閾値B1以下(B≦B1。閾値B1は、5〜10°の範囲内の値、例えば10°に設定される。)となる領域E1では、潤滑剤による油膜の形成が困難である。その領域E1に、図4(a)に示すように、凹部36を形成し、当該凹部36とウォーム20との噛み合いが回避されるようにした。
【0026】
閾値B1は、図示していないが、ウォームホイール歯形形状にウォームに相当する円筒を線接触させ、その円筒を閾値B1に相当する角度だけ傾斜させて滑らせたときに、ウォームホイール歯形形状における油膜の形成状況を実験的に求めることにより、好ましい値に決定される。
本実施の形態によれば、金属製の減速ギヤ31を用いるので、小型で高強度である。また、減速ギヤ31の歯面34(ウォームホイール歯形形状部)とウォーム20との歯当たりが線接触となるため、初期から良好な接触状態を確保でき、初期摩耗の発生を防止することができる。
【0027】
一般に、減速ギヤのウォームホイール歯形を例えば円筒形のウォーム20に噛み合わせる場合、図4(b)に示すように、減速ギヤ31’の歯面の歯幅方向W1の中央部は、ウォームホイール歯形およびウォーム20の接触線CLがウォーム20の滑り方向S1と一致する領域D1を含む。
本実施の形態では、図4(a)に示すように、歯幅方向W1の前記中央部に凹部36を設けて、ウォーム20との噛み合いを回避するので、耐久性にとって最も厳しくなるおそれのある部分で摩耗を確実に抑制することができ、その結果、減速機構19全体としての耐久性を向上することができる。また、減速ギヤ31を前記構成とすることで、安価な円筒形のウォーム20を用いることが実質的に可能となり、製造コストを安くすることができる。
【0028】
特に、ウォーム20との噛み合いを回避する凹部36〔図4(a)参照〕は、ウォームホイール歯形およびウォーム20の接触線CLとウォーム20の滑り方向S1とのなす角度Bが閾値B1以下となる領域E1〔図4(b)参照〕に設けられている。結果として、凹部36を除く噛み合い領域では、接触線CLとウォーム20の滑り方向S1とのなす角度Bが閾値B1を超えた値(B≧B1)となるので、歯面34全体として油膜切れを生じ難く、円滑な潤滑を確保することができる。したがって、長期にわたって摩耗を抑制して耐久性を格段に向上することができる。
【0029】
また、ウォームホイール歯形形状部35のうち凹部36を除く領域では、歯幅方向W1に関して凹部36に近づくほど、接触線CLとウォーム20の滑り方向S1とのなす角度Bが小さくなって油膜切れを生じ易くなる傾向にある。逆に言うと、最も油膜切れを生じ易い領域〔図4(a)において、歯幅方向W1に関する凹部36の縁部36a,36bおよびその近傍の領域に相当〕の最も近くに、潤滑剤が溜まる凹部36が存在する。したがって、最も油膜切れを生じ易い領域に対して効果的な潤滑が行えるので、全体としての潤滑効果が高い。しかも、ウォームホイール歯形形状部35から凹部36へは、いわゆる、くさび効果(回転に伴って狭い隙間へ潤滑剤が吸い込まれる現象)によって、潤滑剤が送られ来る傾向にあるので、凹部36に潤滑剤を潤沢に保持しておくことができる。この点からも、潤滑効果を高くすることができる。
【0030】
潤滑剤は、使用初期から凹部36に充填しておいてもよいが、そうしておかなくても、前記くさび効果によって、凹部に集められる。ただし、使用初期から凹部36に充填しておけば、使用初期から長期にわたって凹部36に潤滑剤を潤沢に保持しておくことが可能となる点で好ましい。
また、凹部36が鍛造により形成されている場合には、容易に歯面34を形成することができ、製造コストを安くすることができる。したがって、小型、安価で耐久性に優れた減速機構19を実現でき、ひていは、小型、安価で耐久性に優れた電動パワーステアリング装置1を実現することができる。
【0031】
前記実施の形態では、減速ギヤ31の歯面34の全体がウォームホイール歯形を形成していたが、これに限らず、図5に示すように、減速ギヤ131の各歯部132の一対の歯面41,51の一方の歯面41が、基準の歯形形状として、はすば歯形形状をなす主体部42と、歯面41の一部(ウォーム20との歯当たり領域に相当する)に形成された凹部からなるウォームホイール歯形形状部43と、ウォームホイール歯形形状部43から窪む凹部44とを備えていてもよい。
【0032】
同じく、他方の歯面51が、基準の歯形形状として、はすば歯形形状をなす主体部52と、歯面51の一部(ウォーム20との歯当たり領域に相当する)に形成された凹部からなるウォームホイール歯形形状部53と、ウォームホイール歯形形状部53から窪む凹部54とを備えていてもよい。
一方の歯面41のウォームホイール歯形形状部43と他方の歯面51のウォームホイール歯形形状部53は、歯幅方向の略同じ位置に配置されている。これにより、各ウォームホーイル歯形形状部43,53の位置が、減速ギヤ131がウォーム20と噛み合わされたときの実際の歯当たり領域に相当するようにされている。ウォームホイール歯形形状部43,53内の凹部44,54の位置は、図5に示すように歯幅方向W1の中央部に配置されている。
【0033】
図示していないが、各凹部44,54は、図4(a)、(b)で示したものと同じく、ウォームホイール歯形およびウォーム20の接触線CLとウォーム20の滑り方向S1とのなす角度Bが閾値B1以下となる領域に設けられている。
本実施の形態においても、図3の実施の形態と同じ効果を奏することができる。しかも、歯面41,51の基準の歯形形状を、はすば歯形形状としたので、ウォームホイール歯形や凹部を軸方向からの鍛造で非常に形成することができ、より製造し易くなる。
【0034】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1…電動パワーステアリング装置、4…操舵機構、5…操舵補助機構、6…ステアリングシャフト、18…電動モータ、19…減速機構、20…ウォーム、31;131…減速ギヤ、32;132…歯部、33…歯溝、34…歯面、35…ウォームホイール歯形形状部、36…凹部、36a,36b…縁部、41,51…歯面、42,52…主体部、43,53…ウォームホイール歯形形状部、44,54…凹部、B…角度、B1…閾値、CL…接触線、S1…滑り方向、W1…歯幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームと、前記ウォームと噛み合う金属製の減速ギヤと、前記ウォームおよび前記減速ギヤの間に介在する潤滑剤と、を備え、
前記減速ギヤは、歯面を含み、
前記歯面は、歯幅方向の少なくとも中央部に形成されたウォームホイール歯形形状部と、前記ウォームホイール歯形形状部から窪み前記ウォームとの噛み合いを回避する凹部と、を有している減速機構。
【請求項2】
請求項1において、前記凹部は、前記ウォームホイール歯形形状部のウォームホイール歯形がウォームと接触する場合の接触線と、ウォームの滑り方向とのなす角度が閾値以下となる領域に配置されている減速機構。
【請求項3】
請求項1または2において、前記凹部は、鍛造により形成されている減速機構。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の減速機構を用いて操舵補助用の電動モータの回転を減速する電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−163179(P2012−163179A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25316(P2011−25316)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】