説明

減速機

【課題】部品寸法選別や組み立て検査を行うことなく、公転ギアの貫通孔と貫通ピンとが当接する部分に生じるバックラッシュの発生を抑制もしくは回避可能な減速機を提供する。
【解決手段】リングギアに噛合しながら公転する公転ギアに貫通孔を設けておき、円環形状のリング部材が外側に設けられた貫通ピンを貫通孔に挿入する。また、リング部材は、弾性部材を介して貫通ピンに取り付けられている。こうすると、貫通孔とリング部材(および貫通ピン)とは干渉せず、干渉によって減速機がロック状態となることがなく、その分貫通孔と貫通ピンとのクリアランスを小さく設定することができる。その結果、貫通孔と貫通ピンとの間のバックラッシュの発生を抑制もしくは回避することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された回転速度を減じて出力する減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
モーターなどの動力源から得られる動力は、そのまま使用するには回転速度が高すぎた
り力が不足したりすることが多い。そこで、減速機を用いて適した回転速度まで減速させ
て、必要な回転数と必要なトルクを発生させることが、通常よく実施されている。
【0003】
大きな減速比が得られる減速機として、次のようなものが提案されている。すなわち、
リングギアの内側に、リングギアよりも少し小さく、且つリングギアよりも歯数が少ない
(例えば歯数が1つ少ない)公転ギアを設けておく。公転ギアの中心位置には、公転ギア
に対して回転可能な状態で円形カムが設けられている。円形カムからは、リングギアの中
心軸上の位置に第1回転軸が立設されており、第1回転軸によってリングギアの中心軸周
りに円形カムを回転させると、公転ギアはリングギアに噛合しながらリングギアの中心軸
周りに公転する。このような構成では、公転ギアがリングギアの中心軸周りを一回公転す
る間に、公転の方向とは逆方向にリングギアとの歯数差分だけ自転するようになっている
。従って、公転ギアの自転の動きを取り出すことで、入力の回転(第1回転軸の回転)を
大きく減速させることができる。
【0004】
公転ギアの自転の動きは、公転ギアに設けられた貫通孔と、貫通孔に挿入された貫通ピ
ンとによって取り出される。貫通孔と貫通ピンとの間にはクリアランスが設けられており
、このクリアランスによって公転ギアの公転の動きを吸収しつつ、公転ギアが自転する動
きを貫通ピンで取り出す。こうして貫通ピンで取り出した公転ギアの自転の動きは、貫通
ピンが連結された第2回転軸から外部に出力される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−240852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に記載の減速機には、バックラッシュが発生し易いという
問題があった。すなわち、第1回転軸の入力が第2回転軸から出力されるまでの間には、
リングギアと公転ギアとが噛み合う部分で生じる通常のバックラッシュに加えて、公転ギ
アの貫通孔と貫通ピンとが当接する部分で生じるバックラッシュも存在する。後者のバッ
クラッシュは、特許文献1の動作原理の減速機において、製造誤差に起因して生じるバッ
クラッシュであり、その分だけ全体として大きなバックラッシュが発生し易くなる。その
結果、第1回転軸の入力に対して出力トルクが得られない期間が発生したり、あるいは、
第2回転軸に大きながたつきが発生するといった問題が生じていた。このため、組み立て
後にバックラッシュの大きさを検査し、問題があれば減速機を分解して、ある部品を寸法
がわずかに違う部品に変更し、再度組み立てなおしてバックラッシュの大きさを検査する
。この作業を繰り返して、所定の大きさ以下のバックラッシュの減速機を得る。もしくは
、全ての部品の寸法をあらかじめ測定して選別し、組み立て時に貫通孔と貫通ピンとの間
の隙間が発生しないように組み合わせた部品で組み立てを行っており、組立作業に非常に
時間がかかっていた。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになさ
れたものであり、製造誤差を含んだ部品を用いても、部品寸法選別や組み立て検査を行う
ことなく、公転ギアの貫通孔と貫通ピンとが当接する部分にバックラッシュが発生するこ
とを抑制もしくは回避可能な減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の減速機は次の構成を採用し
た。すなわち、
内周に複数のギア歯が形成されたリングギアと、
外周に複数のギア歯が形成され、前記リングギアと噛合する公転ギアと、
前記公転ギアの中心位置に、該公転ギアに対して回転可能に設けられた円形カムと、
前記円形カムに設けられ、前記リングギアの中心軸上に位置し、該中心軸周りに該円形
カムを回転させて前記公転ギアを該中心軸周りに公転させる第1回転軸と、
円環形状のリング部材が設けられ、前記公転ギアに形成された貫通孔に挿入されて該リ
ング部材を介して該貫通孔に当接する貫通ピンと、
前記リングギアの中心軸上に設けられて前記貫通ピンと連結され、前記公転ギアの自転
による回転を出力する第2回転軸と
を備え、
前記リング部材は、弾性部材を介して前記貫通ピンに取り付けられた部材であることを
要旨とする。
【0009】
このような構成を有する本発明の減速機においては、リングギアと公転ギアとが噛合し
ており、公転ギアの中心位置には円形カムが回転可能に設けられている。また、円形カム
には、リングギアの中心軸上に第1回転軸が設けられている。従って、第1回転軸を回転
させると、円形カムがリングギアの中心軸周りに回転し、これに伴って公転ギアがリング
ギアと噛合しながら中心軸周りに公転する。詳細には後述するが、公転ギアは公転しなが
ら公転の方向とは逆方向に少しずつ(リングギアと公転ギアとの歯数差に相当する角度だ
け)自転するようになっており、この公転ギアの自転の動きは、公転ギアの貫通孔に挿入
された貫通ピンに伝達される。こうして貫通ピンに伝達された公転ギアの自転は、入力の
回転に対して減速されており、減速された回転が貫通ピンと連結する第2回転軸から出力
される。また、本発明の減速機では、貫通ピンは、貫通ピンに設けられたリング部材を介
して貫通孔と当接しており、リング部材は、弾性部材を介して貫通ピンに取り付けられて
いる。
【0010】
一般に、貫通孔や貫通ピンの製造時に製造誤差が混入することは避けられないので、貫
通孔と貫通ピンとの当接部分が近付き過ぎてしまうことが起こり得る。このような場合で
も、本発明の減速機では、貫通ピンとリング部材との間に弾性部材が介在しているので、
貫通孔と貫通ピンとの距離が近付き過ぎた場合でも、弾性部材が圧縮変形するので貫通孔
とリング部材とは干渉しない。このため、単に貫通孔と貫通ピンとのクリアランスを小さ
めに設定するだけで、貫通孔と貫通ピンとの間のバックラッシュの発生を抑制もしくは回
避することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の減速機においては、中空の円管形状に形成した弾性部材を貫通
ピンの周囲の複数箇所に設けておき、これら弾性部材を介してリング部材を貫通ピンに取
り付けることとしてもよい。
【0012】
こうすれば、貫通ピンがリング部材を介して貫通孔に当接する箇所で、貫通ピンと貫通
孔との距離が近付きすぎた場合でも、中空の円環形状に形成された弾性部材が変形する。
その結果、貫通孔を大きめに製造したり、貫通ピンを小さめに製造したりしなくてもよい
ので、貫通孔と貫通ピンとの間のバックラッシュの発生を抑制もしくは回避することがで
きる。また、バックラッシュの発生を抑制もしくは回避するために、貫通孔に形成された
公転ギアや貫通ピンを、大きさによって選別して組み付けなくてもよい。加えて、弾性部
材は円管形状に形成されているので、貫通ピンおよびリング部材の間で転がることができ
る。また、弾性部材が転がることで、リング部材も貫通ピンに対して容易に回転可能とな
る。その結果、リング部材と貫通ピンとの間、および貫通孔とリング部材との間に生ずる
摩擦抵抗を低減することができるので、摩擦損失や摩耗の発生を抑制することが可能とな
る。
【0013】
また、上述した本発明の減速機は、大きな減速比を実現することができ、さらに貫通孔
と貫通ピンとの間のバックラッシュの発生を抑制もしくは回避することで出力の遅れや第
2回転軸のガタつきをおさえることができるので、ロボットハンドやロボットに組み込ん
で使用される減速機として特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例の減速機の外観図である。
【図2】本実施例の減速機の内部構造を示す分解斜視図である。
【図3】本実施例の減速機の動作理由を示した説明図である。
【図4】公転ギアの自転を貫通ピンによって取り出す様子を示した説明図である。
【図5】貫通ピンおよび貫通孔に対して、軸受体を組み付ける様子を示した説明図である。
【図6】本実施例の軸受体の構造を示した説明図である。
【図7】ある貫通ピンの中心軸を通る断面を取ることによって、貫通孔に軸受体が組み付けられている様子を示した説明図である。
【図8】本実施例の減速機が、軸受体によって貫通孔と貫通ピンとの間の隙間を解消するメカニズムを示した説明図である。
【図9】第1変形例の減速機において貫通孔に軸受体が設けられる様子を示した説明図である。
【図10】第2変形例の軸受体の構造を示した分解斜視図である。
【図11】第3変形例の軸受体が貫通ピンに組み付けられる様子を示した説明図である。
【図12】本実施例の減速機をロボットハンドの関節部分などに組み込んだ様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.本実施例の減速機の構成:
B.軸受体によって貫通孔と貫通ピンとの間の隙間を解消するメカニズム:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
C−3.第3変形例:
D.適用例:
【0016】
A.本実施例の減速機の構成 :
図1は、本実施例の減速機10の外観図である。図示されるように、本実施例の減速機
10には、円柱形の本体部40の下面側に入力軸20(第1回転軸)が設けられており、
本体部40の上面側に出力軸30(第2回転軸)が設けられている。本体部40を固定し
た状態で入力軸20を回転させると、その回転が本体部40内の機構によって減速されて
、上蓋板104もしくは上蓋板104の中心に固定された出力軸30から出力される。
【0017】
図2は、本実施例の減速機10の内部構造を示した分解斜視図である。図示されている
ように、本実施例の減速機10では、本体部40の外周を構成する円筒形の部材の内周(
以降、内周側とも言う)に複数のギア歯が形成されて、リングギア100を構成している
。また、リングギア100の内側には、リングギア100よりも少し小さく、外周(以降
、外周側とも言う)に複数のギア歯が形成された公転ギア110が設けられている。公転
ギア110の中央には軸孔112が設けられており、この軸孔112には入力軸20に設
けられた偏心カム130(円形カム)がベアリング116を介して回転可能に嵌め込まれ
る。尚、図示した本実施例の減速機10では、リングギア100の内側に2つの公転ギア
110が設けられているが、この理由については後述する。
【0018】
また、公転ギア110には、公転ギア110の中央から見て同心円上の4か所に貫通孔
114が設けられており、それぞれの貫通孔114には、公転ギア110の自転の動きを
取り出すための貫通ピン120が挿入される。貫通ピン120によって公転ギア110の
自転の動きを取り出す方法については後述する。これら貫通ピン120は、上端部が本体
部40の上面を構成する上蓋板104に取り付けられるとともに、下端部が本体部40の
仮面を構成する下蓋板102に取り付けられる。そして、上蓋板104および下蓋板10
2から突き出た貫通ピン120の端部にナット106が取り付けられることにより、貫通
ピン120が上蓋板104および下蓋板102に固定される。
【0019】
また、本実施例の減速機10では、4本の貫通ピン120の上端側および下端側から円
環形状の軸受体140が装着される。このような軸受体140を設けておく理由について
は後述する。
【0020】
図3は、本実施例の減速機10の動作理由を示した説明図である。図2を用いて前述し
たように、リングギア100の内側には、リングギア100よりも小さな公転ギア110
が設けられており、リングギア100と公転ギア110とは噛合している。従って、公転
ギア110は、リングギア100の中心位置に対して偏心した状態となっている。また、
公転ギア110の中心には軸孔112が設けられており、この軸孔112にはベアリング
116(図2を参照)を介して偏心カム130が嵌め込まれている。このため、入力軸2
0を回転させると偏心カム130が回転して、入力軸20(およびリングギア100の中
心軸)を中心とする公転運動を公転ギア110に生じさせる。尚、本明細書中で「公転」
とは、ある点の周りを物体が周回する動きのことを表している。
【0021】
また、公転ギア110と偏心カム130との間はベアリング116によって回転可能と
なっているが、公転ギア110とリングギア100とはギア歯によって噛合している。こ
のため公転ギア110は、リングギア100のギア歯との噛合によって自転を行いながら
、入力軸20(およびリングギア100の中心軸)を中心とする公転を行うこととなる。
尚、本明細書中で「自転」とは、ある物体の内部の点(例えば中心や重心)を通る軸を中
心軸として回転する動きのことを表している。例えば、本実施例の場合では、公転ギア1
10の中心(図示せず)を通る軸を中心軸として回転する動きのことを表している。
【0022】
図3(a)には、偏心カム130が図面上で上側に偏心しており、従って、公転ギア1
10が図面上の上側でリングギア100と噛み合っている状態が示されている。尚、図3
では、公転ギア110が回転する様子が把握できるように、公転ギア110の側面に矢印
が表示されている。この矢印は、図3(a)の状態では図面上で真上を指している。
【0023】
図3(a)に示した状態から、入力軸20を時計回り方向に45度だけ回転させると、
偏心カム130の働きによって、公転ギア110も時計回り方向に45度だけ公転する。
また、公転ギア110は、リングギア100に噛合しているからギア歯の数に相当する角
度だけ反時計回り方向に自転する。その結果、公転ギア110は、図3(b)に示すよう
な状態となる。図3(a)と図3(b)とを比較すれば明らかなように、偏心カム130
が時計回り方向に45度回転したことに伴って、公転ギア110も時計回り方向に45度
だけ公転し、図面上では右上側に偏心した位置に移動している。また、公転ギア110に
描かれた矢印の向きは、図3(a)と同様にほぼ図面上の真上を指している。これは、公
転ギア110を時計回り方向に公転させたときに、リングギア100との噛合によって公
転ギア110に生じた反時計回り方向の自転が、時計回り方向の公転をほぼ打ち消したた
めと考えることができる。
【0024】
図3(b)に示した状態から、入力軸20を時計回り方向に更に45度だけ回転させる
と、公転ギア110は図3(c)に示した位置まで移動する。この状態は、図3(a)に
示した状態に対して、公転ギア110が時計回り方向に90度だけ公転した状態である。
また、公転ギア110が、リングギア100と噛み合いながらこの位置まで公転すること
に伴って、公転ギア110はギア歯の数に相当する角度だけ、反時計回り方向に自転して
いる。また、公転ギア110に設けられた矢印の向きは、図3(b)と同様に、依然とし
てほぼ図面上の真上を指した状態となっている。
【0025】
図3(c)に示した状態から、入力軸20を更に時計回り方向に回転させていくと、公
転ギア110は、図3(d)に示した状態、図3(e)に示した状態、図3(f)に示し
た状態、図3(h)に示した状態へと移動していき、入力軸20をちょうど一回転させる
と、図3(i)に示した状態となる。また、公転ギア110に表示された矢印の向きは、
図3(a)と比較すると、公転ギア110とリングギア100との歯数の差の分だけ、反
時計回り方向に回転している。例えば、公転ギア110の歯数がリングギア100の歯数
よりも1だけ少ない場合、公転ギア110に生じる時計回り方向の公転と反時計回り方向
の自転とは、ほぼ打ち消し合う大きさになっているものの、厳密には、一回分の公転につ
き、ギア歯一枚分だけ自転の角度の方が大きくなる。これは、公転ギア110のギア歯の
数が、リングギア100のギア歯の数よりも一歯だけ少なく形成されている結果、公転ギ
ア110がリングギア100と噛み合いながら時計回り方向に一回公転するためには、公
転ギア110は反時計回り方向に一回と、更に一歯分だけ余分に自転しなければならない
ためである。
【0026】
このように、本実施例の減速機10では、入力軸20を一回転させると、公転ギア11
0が、リングギア100とのギア歯の数の差に相当する歯数分だけ、逆方向に自転するこ
ととなる。例えば、リングギア100の歯数を50枚、公転ギア110の歯数を49枚と
すると、入力軸20を一回転させる毎に、公転ギア110が50分の1回転(従って36
0度/50=7.2度)だけ、逆方向に自転する。
【0027】
また、入力軸20を回転させたときの公転ギア110の動きは次のように考えることも
できる。先ず、入力軸20を回転させると、偏心カム130によって公転ギア110は、
入力軸20(およびリングギア100の中心軸)を中心とする公転を行う。一方で、公転
ギア110はリングギア100と噛み合っているので、公転ギア110はリングギア10
0の上を転がりながら自転することとなる。
【0028】
ここで、公転ギア110はリングギア100よりも少しだけ小さく形成されている。従
って、公転ギア110は、実際にはほとんど回転(正確には自転)しなくても、少しだけ
平行移動するだけでリングギア100の上を転がることができる。たとえば、図3(a)
に示す状態と、図3(b)に示す状態とでは、公転ギア110がほとんど回転することな
く、少しだけ右下方向に移動しているに過ぎない。それにも拘わらず、リングギア100
に対して公転ギア110が噛み合う位置は、リングギア100の中心位置から45度だけ
移動している。すなわち、リングギア100の上を公転ギア110が転がっている。また
、図3(b)に示す状態と図3(c)に示す状態とについても同様に、公転ギア110は
ほとんど回転することなく、ほぼ下方向の少しだけ右寄りに移動しているに過ぎない。そ
れにも拘わらず、リングギア100に対して公転ギア110が噛み合う位置は、更に45
度だけ移動している。すなわち、リングギア100の上を公転ギア110が転がっている

【0029】
このように、公転ギア110をリングギア100に対して少しだけ小さく形成しておけ
ば、公転ギア110を振れ回るように移動(揺動)させるだけで、ほとんど自転させるこ
となく、リングギア100の上で公転ギア110を転がすことができる。そして、公転ギ
ア110が元の位置まで(たとえば図3(a)または図3(i)に示す位置まで)戻って
くるまでの間には、リングギア100と公転ギア110との歯数の差に相当する角度の自
転しか生じない。
【0030】
尚、上述したように入力軸20を一回転させると、公転ギア110は一回揺動する。こ
のことは、入力軸20を高速で回転させると公転ギア110が激しく揺動することを示し
ており、これに伴う振動の発生が懸念される。しかし、前述したように、本実施例の減速
機10には公転ギア110が2つ設けられており(図2を参照)、これらの公転ギア11
0は、互いが半周期ずつずれて公転するようになっている。このため、一方の公転ギア1
10の揺動によって生じる振動が、他方の公転ギア110の揺動による振動で打ち消され
ることとなって、減速機10全体としては振動の発生を回避することが可能となっている

【0031】
上述したように、本実施例の公転ギア110を公転させても、実際には公転ギア110
は少しずつ自転しながらリングギア100の内側を僅かに揺動しているに過ぎない。この
ように考えれば、公転ギア110の自転を貫通ピン120によって取り出せることも了解
できる。すなわち、図2に示したように、本実施例の公転ギア110には一例として4つ
の貫通孔114が設けられており、これら貫通孔114にはそれぞれ貫通ピン120が挿
入されている。ここで、貫通孔114の大きさを貫通ピン120の直径に対してある程度
大きめに設定しておけば、公転ギア110がリングギア100内を揺動する動きを、貫通
孔114と貫通ピン120との間のクリアランスによって吸収して、公転ギア110の自
転のみを取り出すことができる。以下、この点について説明する。
【0032】
図4は、公転ギア110の自転を貫通ピン120によって取り出す様子を示した説明図
である。先ず、貫通孔114の大きさについて説明する。貫通孔114は、図4(a)に
示すように、公転ギア110の中心位置とリングギア100の中心位置とを一致させたと
きに、貫通ピン120の位置に重ねて、貫通ピン120よりも半径aだけ大きな孔に形成
する。ここで「a」とは、リングギア100の中心位置に対する公転ギア110の偏心量
である。
【0033】
このように貫通孔114を形成した公転ギア110を、偏心カム130によって図面上
で上側に偏心させる。すると、公転ギア110は長さaだけ上方向に偏心するので、図4
(b)に示したように、貫通孔114の下側が貫通ピン120の外周とが当接した状態と
なる。
【0034】
また、公転ギア110が、偏心カム130によって図面上で右側に偏心させられると、
図4(c)に示した様に、貫通孔114の左側が貫通ピン120と当接する。同様に、公
転ギア110が図面上で下側に偏心すると、図4(d)に示す様に貫通孔114の上側が
貫通ピン120と当接し、図面上で左側に偏心すると、図4(e)に示すように貫通孔1
14の右側で、貫通孔114と貫通ピン120とが当接する。
【0035】
このように、本実施例の減速機10では、貫通孔114の大きさを貫通ピン120に対
して偏心量aに相当する分だけ大きくしておくことで、公転ギア110がリングギア10
0内で揺動する動きを吸収することができる。尚、「貫通孔114の大きさを貫通ピン1
20に対して偏心量aに相当する分だけ大きくする」とは、貫通孔114の半径を貫通ピ
ン120の半径よりも偏心量aの分だけ大きくするとも言い換えることができ、また貫通
孔114の直径を貫通ピン120の直径よりも偏心量aの2倍(2a)の分だけ大きくす
るとも言い換えることができる。その一方で、公転ギア110が自転すると、貫通孔11
4の位置が移動するから、この動きは貫通ピン120に伝達される。このため、公転ギア
110の自転の動きだけ取り出すことができる。
【0036】
こうして取り出された公転ギア110の自転は、貫通ピン120が取り付けられた上蓋
板104および下蓋板102(図2を参照)に伝達される。その結果、上蓋板104に固
定された出力軸30から公転ギア110の自転が減速機10の外部に出力される。
【0037】
ここで、図4(b)〜図4(e)を見れば明らかなように、公転ギア110がリングギ
ア100の内側を揺動している間は、貫通孔114と貫通ピン120とは、常に一箇所で
当接しており、しかも当接箇所は常に移動している。従って、どこか一箇所でも貫通孔1
14と貫通ピン120とのクリアランスが小さすぎる箇所が存在すると、その箇所で貫通
孔114と貫通ピン120とが干渉して減速機10がロック状態となる。貫通孔114や
貫通ピン120の製造時に多少の製造誤差が発生することは避けられないから、このよう
な事態を回避するためには、貫通孔114と貫通ピン120との間のクリアランスを余裕
を持って大きめに形成しておく必要がある。
【0038】
このため、本実施例のような動作原理の減速機10では、貫通孔114と貫通ピン12
0との間に隙間が生じ、この隙間の分だけ貫通孔114と貫通ピン120との間のトルク
伝達が遅れて出力トルクが得られない期間が生じたり、あるいは入力軸20が止まってい
るのに出力軸30がガタつくといった不都合が生じる。そこで、本実施例の減速機10で
は、貫通孔114と貫通ピン120との間に軸受体140を介在させる構造を採用するこ
とにより、この様な不都合を抑制もしくは回避している。
【0039】
B.軸受体によって貫通孔と貫通ピンとの間の隙間を解消するメカニズム :
図5は、貫通孔114および貫通ピン120に対して軸受体140を組み付ける様子を
示した説明図である。図5では、下側の公転ギア110に対する軸受体140などは既に
組み付けられており、上側の公転ギア110に対して、軸受体140やワッシャー150
、上蓋板104などを組み付ける様子が示されている。尚、以下では、上側の公転ギア1
10に対して、軸受体140などを組み付ける方法について説明するが、下側の公転ギア
110に対して軸受体140などを組み付ける場合も、同様な方法によって組み付けるこ
とができる。
【0040】
図示されるように本実施例の減速機10では、公転ギア110に4つの貫通孔114が
設けられており、それぞれの貫通孔114に貫通ピン120が挿入される。この貫通ピン
120に対して、1つずつワッシャー150が嵌め込まれ、その上から軸受体140が嵌
め込まれる。軸受体140は円環形状の部品であり、外径が貫通孔114の内径よりも長
さ2a(aは公転ギア110の偏心量)の分だけ小さく形成されている。軸受体140の
詳細な構造については後述する。
【0041】
図5に示すように下側の公転ギア110に軸受体140などを組み付けた状態で、貫通
ピン120にワッシャー150を嵌め込むと、貫通ピン120に沿ってワッシャー150
が滑り落ち、下側の公転ギア110の軸受体140と当接して停止する。そして、ワッシ
ャー150の上から軸受体140を嵌め込むと、軸受体140がワッシャー150と当接
して停止する。この状態で、軸受体140は、貫通孔114が開口する公転ギア110の
端面に対して軸受体140の両端が面位置となるように位置決めされる。
【0042】
こうして4本の貫通ピン120のそれぞれに対して軸受体140を嵌め込んだら、貫通
ピン120の上端部を上蓋板104の貫通孔に取り付ける。その後、上蓋板104から突
き出ている貫通ピン120に対してナット106を取り付ければ、減速機10の組み立て
が完成する。
【0043】
図6は、本実施例の軸受体140の構造を示した分解斜視図である。図6に示されるよ
うに、本実施例の軸受体140は、略円環形状の外側リング142(リング部材)や、中
空のパイプ形状に形成された弾性パイプ144(弾性部材)などから構成される。尚、本
実施例の外側リング142は、剛性の高い材料によって形成され、弾性パイプ144は、
バネ用鋼材(例えば、ステンレスバネ鋼やベリリウム銅など)によって形成される。
【0044】
外側リング142の内周には、図面上方から下方に向かって略半円弧形状の保持溝14
2gが形成されている。保持溝142gは、弾性パイプ144の本数(本実施例では10
本)と同じ数だけ形成されており、溝どうしの間隔が等間隔となるように配置されている
。これら保持溝142gに対して弾性パイプ144を嵌め込むと、弾性パイプ144は自
身の中心軸周りに回転可能な状態で保持される。尚、図6には示されていないが、保持溝
142gは外側リング142の下面側までは到達しておらず、保持溝142gの下端部は
閉じた状態となっている。このため、保持溝142gに嵌め込まれた弾性パイプ144は
、外側リング142から抜け落ちないようになっている。
【0045】
このような本実施例の軸受体140は、外側リング142の保持溝142gに弾性パイ
プ144を嵌め込んだ状態で、軸受体140の内径が貫通ピン120の外径と同じになる
ように形成されている。このため、軸受体140を貫通ピン120に嵌め込むと、軸受体
140が弾性パイプ144を介して貫通ピン120の外周と当接する。上述したように、
弾性パイプ144は自身の中心軸周りに回転可能に保持されるので、軸受体140は、弾
性パイプ144を介して貫通ピン120の中心軸周りに回転可能に装着されることとなる

【0046】
図7は、ある貫通ピン120の中心軸を通る断面を取ることによって、貫通孔114お
よび貫通ピン120に軸受体140が組み付けられている様子を示した説明図である。図
示されているように、軸受体140は、弾性パイプ144を介して貫通ピン120に嵌め
込まれている。また、貫通ピン120は貫通孔114に対して偏心していることから、軸
受体140も貫通孔114に対して偏心している。ここで、上述したように、本実施例の
軸受体140の外径は、貫通孔114の内径よりも長さ2aだけ小さく形成されている(
図5を参照)。長さaの値は、公転ギア110の偏心量(すなわち、貫通孔114に対す
る軸受体140の偏心量)に相当するので、軸受体140が貫通孔114に対して偏心す
ることで、軸受体140と貫通孔114とが当接した状態となっている。
【0047】
尚、本実施例では軸受体140の外径は、貫通孔114の内径よりも長さ2aだけ小さ
く形成されるようにしているが、公転ギア110の偏心量の製造誤差が見込まれる場合に
は、軸受体140の外径を、貫通孔114の内径よりも、長さ2aと偏心量とを合わせた
分だけ小さく形成してもよい。
【0048】
図8は、本実施例の減速機10が、軸受体140によって貫通孔114と貫通ピン12
0との間の隙間を解消するメカニズムを示した説明図である。前述したように、貫通ピン
120および軸受体140は貫通孔114に対して偏心しており、軸受体140と貫通孔
114とは一箇所で接している。しかし、公転ギア110が公転すると、貫通孔114の
中で貫通ピン120および軸受体140が移動する。そして、貫通孔114には製造誤差
が存在するから、貫通孔114の中で貫通ピン120が移動したときに、貫通孔114と
貫通ピン120との間の距離が縮まることが起こり得る。
【0049】
ここで、本実施例では、弾性パイプ144が中空のパイプ形状に形成されており、しか
もバネ用鋼材で形成されている。このため、貫通孔114と貫通ピン120との間の距離
が縮まると、図8に示すように、弾性パイプ144が圧縮変形する。その結果、貫通孔1
14と軸受体140とが干渉して、減速機10がロック状態となることを回避することが
できる。
【0050】
また、仮にロック状態になってしまうと減速機10が動作しなくなるだけでなく、減速
機10に損傷を与えるので、減速機10がロック状態になることは是が非でも回避しなけ
ればならない。しかし、貫通孔114や貫通ピン120の製造時には必ず製造誤差が混入
する。従って、ばらつきの中央値よりも小さめに製造された貫通孔114と、ばらつきの
中央値よりも大きめに製造された貫通ピン120とが組み合わされた場合でもロック状態
とならないようにしようとすると、貫通孔114の中央値を少し大きめに製造し、貫通ピ
ン120の中央値を少し小さめに製造しておく必要が生じる。その結果、貫通孔114と
貫通ピン120との間には必ずバックラッシュが発生する状態となる。特に、貫通孔11
4が中央値よりも大きめに製造され、貫通ピン120が中央値よりも小さめに製造されて
いた場合には、大きなバックラッシュが発生する。もちろん、貫通孔114および貫通ピ
ン120の大きさを計測して、貫通孔114および貫通ピン120を予め選別しておき、
大きめに製造された貫通孔114には大きめの貫通ピン120を組み合わせ、小さめに製
造された貫通孔114には小さめの貫通ピン120を組み合わせるようにすれば、こうし
た問題を抑制することができる。しかし、貫通孔114および貫通ピン120を選別して
組み合わせるためには、大きな労力が必要となり、製造コストも大幅に増加する。
【0051】
これに対して本実施例の減速機10では、減速機10がロック状態となることを回避す
ることがないので、貫通孔114と貫通ピン120との間のクリアランスを余裕をもって
大きめに形成しておかなくてもよく、その分クリアランスを小さく設定することができる
。その結果、貫通孔114と貫通ピン120との間のバックラッシュの発生を抑制もしく
は回避することができるので、バックラッシュによってトルク伝達が遅れて出力トルクが
得られない期間が生じたり、あるいは出力軸30がガタついてしまうことを抑制可能とな
る。また、貫通孔114や貫通ピン120の選別のように手間のかかる作業を行わなくて
もよい。
【0052】
更に、図6を用いて上述したように、本実施例の軸受体140は、貫通ピン120の中
心軸周りに回転可能な状態で装着される。このため、貫通ピン120が貫通孔114の中
を移動する際には、軸受体140が貫通孔114の内周上を転がりながら移動する。また
、軸受体140と貫通ピン120との間でも、弾性パイプ144が転がりながら移動する
。その結果、貫通孔114と軸受体140との間、および軸受体140と貫通ピン120
との間に生ずる摩擦抵抗を低減することができるので、摩擦損失や摩耗の発生を抑制する
ことができる。
【0053】
以上では、製造公差によって貫通孔114の位置ズレが生じた場合を例にとって説明し
たが、この他にも、製造公差によって貫通ピン120の位置ズレが生じたり、あるいは貫
通孔114の内周(あるいは貫通ピン120の外周)を完全な円形に形成できなかった場
合にも、貫通孔114と貫通ピン120との間隔が縮まることが起こり得る。このような
場合でも、上述したように貫通孔114と貫通ピン120との間で弾性パイプ144が圧
縮されるので、減速機10がロック状態となることがなく、貫通孔114と貫通ピン12
0との隙間を狭めることが可能である。
【0054】
C.変形例 :
上述した実施例には、いくつかの変形例が考えられる。以下では、これらの変形例につ
いて簡単に説明する。尚、以下に説明する変形例において、上述した実施例と同様の構成
部分については、実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
C−1.第1変形例 :
上述した実施例の減速機10では、製造誤差の影響で貫通孔114と貫通ピン120と
の隙間が狭まった場合でも、軸受体140の弾性パイプ144が圧縮されるように変形し
て、減速機10がロック状態となることを回避するものと説明した。上述したように、ロ
ック状態を回避することができるだけでも、貫通孔114と貫通ピン120との隙間を狭
めることができる。しかし、これだけに留まらず、製造誤差の影響で貫通孔114と貫通
ピン120との間の隙間が広がった場合には、弾性パイプ144の変形によってその隙間
を埋めるようにしてもよい。
【0056】
図9は、第1変形例の減速機10において軸受体140が貫通孔114に設けられる様
子を示した説明図である。図9に示した減速機10では、貫通孔114の大きさが、図7
に示した貫通孔114の大きさよりも少し小さく形成されている。このような貫通孔11
4に貫通ピン120を挿入し、貫通ピン120に対して軸受体140を嵌め込むと、図9
の左側に示すように、貫通ピン120によって弾性パイプ144が少し圧縮された状態と
なる。尚、図9では貫通孔114を少し小さめに形成した場合を例示したが、この他にも
、たとえば軸受体140の外側リング142の厚みを少し厚めに形成することにより、弾
性パイプ144が少し圧縮された状態にすることが可能である。また、このように圧縮さ
れた弾性パイプ144は、未だ弾性限界には達しておらず、まだ圧縮される余裕のある状
態となっている。
【0057】
このような第1変形例の減速機10では、貫通孔114や貫通ピン120の製造誤差に
よって貫通孔114と貫通ピン120との間の隙間が広がると、図9の右側に示されるよ
うに、予め圧縮された弾性パイプ144が元の形状に戻ろうとする。これにより、軸受体
140と貫通ピン120とは常に当接した状態に維持されるので、貫通孔114と貫通ピ
ン120との間に隙間が発生することを防止することが可能となる。もちろん、貫通孔1
14と貫通ピン120との間には弾性パイプ144が介在しているので、貫通孔114や
貫通ピン120の製造誤差によって減速機10がロック状態となることもない。
【0058】
C−2.第2変形例 :
上述した実施例および第1変形例の減速機10では、軸受体140の外側リング142
の内周に保持溝142gを形成しておき、保持溝142gに弾性パイプ144を嵌め込む
ことで弾性パイプ144を組み付けるものと説明した。しかし、図10に示すように、外
側リング142の内周に外側リング142とは別部材のリテーナーを設けておき、このリ
テーナーに対して弾性パイプ144を組み付けることとしてもよい。こうすれば、たとえ
ば、外側リング142を耐摩耗性に優れた材料で形成することで、外側リング142の摩
耗を抑制することが可能となる。
【0059】
C−3.第3変形例 :
上述した実施例および変形例の減速機10では、弾性パイプ144は軸受体140側に
組み付けるものと説明した。しかし、図11に示すように、弾性パイプ144は、貫通ピ
ン120に組み付けることとしてもよい。こうすれば、外側リング142に保持溝を形成
したり(図6を参照)、あるいは外側リング142の厚みを薄くして、外側リング142
の内周にリテーナーを設けたり(図10を参照)する必要がないので、その分、外側リン
グ142の強度を高めることができる。また、貫通ピン120の直径は、保持溝120g
の深さに対して十分な大きさを有しているので、貫通ピン120に保持溝142gを設け
ることとしても、貫通ピン120の強度がそれほど低下することもない。
【0060】
D.適用例 :
上述したように、本実施例の減速機10は、大きな減速比を実現することができ、且つ
出力の遅れや出力軸30のガタつきを防止することができる。このため、本実施例の減速
機10は、ロボットハンドの関節などのように、精密な動作が要求される部分に取り付け
られる減速機として特に適している。
【0061】
図13は、本実施例の減速機10をロボットハンドの関節部分などに組み込んだ様子を
示した説明図である。図13(a)に示したロボットハンド200には、2本の向かい合
う指202の3カ所に関節が設けられており、この関節部分に減速機10が組み込まれて
いる。また、図13(b)に示したロボット500には、ロボットのアーム部分とロボッ
トハンド200との接続部やアーム部分の肘の部分、あるいはアーム部分の付け根の部分
などに、減速機10が組み込まれている。このため、減速機10が組み込まれた関節部分
の出力の遅れや出力軸30のガタつきが防止されて、関節の動きを滑らかにすることが可
能である。
【0062】
以上、本実施例の減速機について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…減速機、 20…入力軸、 30…出力軸、
40…本体部、 100…リングギア、 102…下蓋板、
104…上蓋板、 106…ナット、 110…公転ギア、
112…軸孔、 114…貫通孔、 116…ベアリング、
120…貫通ピン、 120g…保持溝、 130…偏心カム、
140…軸受体、 142…外側リング、 142g…保持溝、
144…弾性パイプ、 146…リテーナー、 146g…保持溝、
150…ワッシャー、 200…ロボットハンド、 202…指
500…ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周に複数のギア歯が形成されたリングギアと、
外周に複数のギア歯が形成され、前記リングギアと噛合する公転ギアと、
前記公転ギアの中心位置に、該公転ギアに対して回転可能に設けられた円形カムと、
前記円形カムに設けられ、前記リングギアの中心軸上に位置し、該中心軸周りに該円形
カムを回転させて前記公転ギアを該中心軸周りに公転させる第1回転軸と、
円環形状のリング部材が設けられ、前記公転ギアに形成された貫通孔に挿入されて該リ
ング部材を介して該貫通孔に当接する貫通ピンと、
前記リングギアの中心軸上に設けられて前記貫通ピンと連結され、前記公転ギアの自転
による回転を出力する第2回転軸と
を備え、
前記リング部材は、弾性部材を介して前記貫通ピンに取り付けられた部材である減速機

【請求項2】
請求項1に記載の減速機であって、
前記弾性部材は、中空の円管形状に形成された部材であり、
前記リング部材は、前記貫通ピンの周囲の複数箇所に設けられた前記弾性部材を介して
、該貫通ピンに取り付けられた部材である減速機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の減速機を有するロボットハンド。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の減速機を有するロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−197875(P2012−197875A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62537(P2011−62537)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】