説明

渦電流センサのプローブ

【課題】例えば、渦電流センサのプローブを設置した金型の設置孔が熱により縮径するなど、コイルを格納するケースに該コイルの検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難いプローブの構造を提案する。
【解決手段】コイルケース25で覆われたコイル22を備え、金型10に設けられた設置孔12に挿設されて該金型10のキャビティ11に充填される溶湯の流れを検出するために用いられる渦電流センサのプローブ20であって、前記コイルケース25のうち、前記金型10のキャビティ11に露出する部分がセラミック材料で構成され、前記設置孔12と対峙する部分を、溶湯に対して低反応であり、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流センサのプローブの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渦電流効果を利用して、金属で構成された測定対象までの変位を測定する渦電流センサが知られている。
渦電流センサのプローブには、通常、コイルと、セラミックスや合成樹脂等の非金属で成り該コイルを格納するカバーとが具備される。前記コイルには高周波電流が流れており、渦電流センサのプローブの周囲には高周波の磁界が生じている。この磁界の中に金属が近づくと、コイルで発生する交流磁界により該金属内に渦電流が流れる。渦電流の強さはコイルと測定対象までの距離に依存し、渦電流の強度によってコイルのインダクタンスが変化する。渦電流センサは、このインダクタンスの変化に因るコイルに流れる電流の周波数の変化を検出して、測定対象までの変位を求めるものである。
【0003】
このような渦電流センサは、鋳造金型のキャビティにおける溶湯の流れを検出するために利用されている。例えば、特許文献1に記載の技術である。
特許文献1に記載の技術では、空芯のコイルを円筒状のセラミック製ケースにて封止して成るプローブを備えた渦電流センサが、該プローブの先端面がキャビティ面と面一となるように金型に形成された設置孔に挿設され、この渦電流センサにてキャビティ内の溶湯の湯面レベルを検出する構成とされる。
【0004】
ところが、上記のように鋳造金型に設置された渦電流センサのプローブでは、鋳造を数十ショット繰り返すうちに、セラミック製ケースに割れが生じて該カバー内に離型剤や溶湯が流入して測定値にノイズが発生したり、コイルが熱損したりする事態が生じていた。原因は次のような理由であると考えられる。
金型の加熱やキャビティへの溶湯の流入により、金型が高温となって膨張し、プローブの設置孔に縮径や歪みが生じる。設置孔とプローブとの間には、溶湯が進入しない程度の間隙が予め設けられているものの、設置孔の収縮や歪みにより、熱変形の小さいプローブのセラミック製ケースは金型から圧を受けることとなる。さらに、プローブのキャビティに露出している部分は、熱衝撃や鋳造圧等を受け、苛酷な環境に曝されている。このようなことから、鋳造を数十ショット繰り返すと、圧縮に弱いプローブのセラミック製ケースが割れてしまうのである。
【特許文献1】特開2006−102772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明では、例えば、渦電流センサのプローブを設置した金型の設置孔が熱により縮径するなど、コイルを格納するケースに該コイルの検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難いプローブの構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、コイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、前記コイルケースのうち、前記プローブの検出部に該当する部分がセラミック材料で構成され、他の部分が金属材料で構成されているものである。
【0008】
請求項2においては、コイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、前記コイルケースは、金属材料で構成された筒状体と、セラミック材料で構成された前記筒状体の一側端部を閉塞する蓋体とで構成されているものである。
【0009】
請求項3においては、コイルケースで覆われたコイルを備え、金型に設けられた設置孔に挿設されて該金型のキャビティに充填される溶湯の流れを検出するために用いられる渦電流センサのプローブであって、前記コイルケースのうち、前記金型のキャビティに露出する部分がセラミック材料で構成され、前記設置孔と対峙する部分が、溶湯に対して低反応であり、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成されているものである。
【0010】
請求項4においては、セラミック材料で構成されたコイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、前記コイルケースにおける前記プローブの検出部に該当する部分以外を覆う、金属材料で構成されたカバーが備えられるものである。
【0011】
請求項5においては、コイルケースで覆われたコイルを備え、金型に設けられた設置孔に挿設されて該金型のキャビティに充填される溶湯の流れを検出するために用いられる渦電流センサのプローブであって、前記コイルケースのうち前記設置孔と対峙する部分が、溶湯に対して低反応であり、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成されたカバーにて、溶湯が進入しない程度の間隙を設けて覆われているものである。
【0012】
請求項6においては、前記カバーは、溶湯が進入しない程度の間隙が設けられて積層された複層の筒状体であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明によれば、渦電流センサのプローブにおいて、該プローブの検出部側の磁界の透過性を確保しながらも、例えば、渦電流センサのプローブを設置した金型の設置孔が熱により縮径するなど、コイルを格納するケースに該コイルの検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難いプローブの構造を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例1に係る渦電流センサのプローブの構成を示す図、図2は本発明の実施例2に係る渦電流センサのプローブの構成を示す図、図3は渦電流センサのプローブに設けたカバーの別形態を示す図、図4は渦電流センサの構成を説明する図である。
【0016】
図4に示すように、本発明の実施例に係る渦電流センサ16は、プローブ20と、高周波発信器17と、アンプユニット18と、演算・表示ユニット19等で構成される。
また、本実施例において、前記渦電流センサ16は、金型10のキャビティ11に充填される溶湯の流れ(溶湯の湯面レベル)を検出するために使用され、渦電流センサ16のプローブ20は金型10に穿設された設置孔12に、その端面がキャビティ11に露出するように挿設される。
【0017】
前記プローブ20にはコイルケース25で覆われたコイル22が具備され、該コイル22には、前記高周波発信器17にて高周波電流が通電される。前記演算・表示ユニット19では、前記アンプユニット18を介して増幅された前記コイル22の電圧変化が測定され、電流の周波数の変化に基づいて測定対象までの変位が演算されるとともに表示出力される。
なお、本発明は上記構成の渦電流センサ16及び該渦電流センサ16の使用形態に限定されるものではなく、渦電流効果を利用して変位を計測するための装置に広く適用することができる。
【0018】
上記構成の渦電流センサ16のプローブ20は、金型10の加熱やキャビティ11への溶湯の射出により設置孔12が熱変形で縮径し、金型10の設置孔12から圧を受けても割れが発生せず、また、溶湯が射出されたときの熱衝撃や鋳造圧に耐えることができる構造が備えられる。つまり、上記構成の渦電流センサ16のローブ20には、コイル22を格納するコイルケース25に該コイル22の検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難い構造が備えられる。
以下に、渦電流センサ16のプローブ20の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
先ず、渦電流センサ16のプローブ20の実施例1について説明する。
図1に示すように、前記プローブ20には、本体21と、空芯のコイル22と、コイルケース25等が具備される。前記本体21とコイルケース25とで筒状の容器が形成され、その内部空間にコイル22が封止された状態で格納される。
【0020】
前記コイルケース25は、コイル22が内挿される一端開放の筒状体であって、筒状の側壁部24と、該側壁部24である筒状体の一側端部を閉塞する円盤状の蓋部23(蓋体)とで構成される。
つまり、コイルケース25の側面は側壁部24で形成され、閉塞された端面25aは蓋部23で形成されることとなる。前記コイルケース25の開放側端部には、外周側に突出するフランジ25bが形成される。
なお、前記側壁部24と蓋部23とは、側壁部24に蓋部23が内挿され、側壁部24の端部において内周側に突出するフランジ24aと、蓋部23の周縁に形成された段形状部23aとが係合することにより、一体的に接合される。
【0021】
前記本体21は、筒状体であって、金型10の高温に耐えうる金属材料又は樹脂材料で構成される。前記本体21の一側の端部には内周側へ突出するフランジ21a及び内周溝21bが形成される。
前記本体21とコイルケース25とは、コイルケース25の開放側端部に設けられたフランジ25bが、本体21に設けられた内周溝21bに嵌合するとともに、同じく本体21に設けられたフランジ21aに掛止されることにより、連結される。
【0022】
前記プローブ20は金型10の設置孔12に挿設される。このとき、コイルケース25の側壁部24は、金型10の設置孔12の内周に対峙し、同じくコイルケース25の蓋部23は、キャビティ11に面し、該キャビティ11の内壁とコイルケース25の端面25aとが略面一となる。このプローブ20のコイル22の検出方向(本実施例の場合、キャビティ11が存在する方向)には、コイルケース25の端面25aを構成する蓋部23が存在することとなる。
【0023】
なお、プローブ20が金型10の設置孔12に挿設された状態において、設置孔12の内周とコイルケース25の側壁部24の外周とは、溶湯が進入しない程度に離間されて、設置孔12の内周とコイルケース25の側壁部24の外周とに間隙が設けられる。
【0024】
前記コイルケース25の側壁部24を構成する材料は、溶湯と反応し難い低反応材料であり、さらに溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料(金型の主材料)よりもヤング率が低いことを条件とする、金属材料又は樹脂材料である。
【0025】
本実施例のように、溶湯構成材料がアルミニウムである場合には、アルミニウムと反応し難く、アルミニウム溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料である鉄よりもヤング率が低いことを条件とする、金属材料が側壁部24を構成する材料として採用される。例えば、側壁部24を構成する金属材料として、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウム、クロム、及びこれらの合金のうち、何れかを採用することができる。
なお、溶湯が合成樹脂である場合には、側壁部24を構成する材料を樹脂材料とすることも可能である。
【0026】
一方、コイルケース25の蓋部23を構成する材料は、溶湯構成材料と反応し難く、溶湯温度よりも融点が高く、熱衝撃や鋳造圧に耐えうる強度を備え、且つ、電通されたコイル22より発生する磁場が通過可能であることを条件とする、セラミック材料又は樹脂材料である。
【0027】
本実施例のように、溶湯構成材料がアルミニウムである場合には、アルミニウム溶湯温度よりも融点が高いことが条件となるため、蓋部23を構成する材料として高温用セラミック材料が採用される。つまり、蓋部23は、例えば、アルミナセラミックス、炭化珪素セラミックス、窒化珪素又はジルコニアセラミックス等の高温用セラミックスということとなる。但し、溶湯が合成樹脂である場合には、蓋部23を構成する材料を樹脂材料とすることも可能である。
【0028】
上述のように、前記コイルケース25は、該コイルケース25のうち、プローブ20の検出部に該当する部分(本実施例においては、金型10のキャビティ11に露出する部分)である蓋部23が略円盤状のセラミック材料で構成され、その他の部分である側壁部24が金属材料で構成されている。
【0029】
上記構成のプローブ20において、金型10の温度が上昇して設置孔12が縮径したり歪んだりすると、コイルケース25の側壁部24は該設置孔12の内壁から圧を受ける。このとき、前記コイルケース25の側壁部24を構成する材料は金型構成材料よりもヤング率が低いため、該側壁部24は前記設置孔12の変形に追従して変形して、設置孔12の内壁から受ける圧が吸収される。これにより、側壁部24に掛かる負荷、及び、該側壁部24と別部材で構成された蓋部23に掛かる負荷(特に、周から中心に向かう方向の圧縮力)が軽減される。従って、設置孔12が熱変形による縮径・拡径を繰り返しても、コイルケース25の側壁部24及び蓋部23は破損し難いのである。
【0030】
つまり、上記構成のプローブ20では、プローブ20に具備されるコイル22の検出方向(プローブ20の検出部側)の磁界の透過性を確保しながらも、例えば、渦電流センサ16のプローブ20を設置した金型10の設置孔12が熱により縮径するなど、コイル22を格納するコイルケース25に該コイル22の検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難いプローブの構造を実現できるのである。
【0031】
上記実施例の場合、蓋部23のみをセラミック材料で構成することとなるため、比較的高価なセラミック材料部分が低減することから、納期短縮、コスト削減を図ることができる。なお、プローブ20のコイル22の検出方向に存在するコイルケース25の蓋部23は磁場が通過可能であるので、側壁部24が金属材料で構成されていても、渦電流センサ16の機能は維持される。
【実施例2】
【0032】
続いて、渦電流センサ16のプローブ20の実施例2について説明する。
図2に示すように、前記プローブ20には、本体21と、空芯のコイル22と、コイルケース25等が具備される。前記本体21とコイルケース25とで筒状の容器が形成され、その内部空間にコイル22が封止された状態に格納される。
【0033】
前記コイルケース25は、内部にコイル22が内挿される一端開放の筒状体であって、溶湯構成材料と反応し難く、溶湯温度よりも融点が高く、熱衝撃や鋳造圧に耐えうる強度を備え、且つ、電通されたコイル22より発生する磁場が通過可能であることを条件とする、セラミック材料又は樹脂材料で構成される。
【0034】
本実施例のように溶湯構成材料がアルミニウムである場合には、アルミニウムよりも融点が高いことが条件となるため、コイルケース25を構成する材料として高温用セラミック材料が採用される。つまり、コイルケース25は、例えば、アルミナセラミックス、炭化珪素セラミックス、又はジルコニアセラミックス等の高温用セラミックスということとなる。但し、溶湯が合成樹脂である場合には、コイルケース25を構成する材料を樹脂材料とすることも可能である。
なお、プローブ20が金型10の設置孔12に挿設された状態において、前記コイルケース25の端面25aはキャビティ11の内壁と略面一となるように配置され、該端面25aが、コイル22が近接配置されたプローブ20の検出部に存在することとなる。
【0035】
前記本体21は、筒状体であって、金型10の高温に耐えうる金属材料又は樹脂材料で構成される。前記本体21の一側の端部には内周側へ突出するフランジ21aが形成される。
前記コイルケース25の開放側端部には外周側へ突であるフランジ25bが形成される。前記コイルケース25には、該コイルケース25の端面25a以外の部分を、前記フランジ25bも含めて覆うカバー30が設けられる。つまり、プローブ20の検出部以外を覆うカバー30が設けられ、プローブ20の検出部にはカバー30が存在しないので、渦電流センサ16の機能は維持されるのである。前記カバー30は、前記コイルケース25のフランジ25bを覆った部分が、本体21に設けられたフランジ21aに掛止されて、本体21より落脱不能とされる。
【0036】
前記カバー30は筒状体であって、コイルケース25の筒状の側壁部25cに外嵌される。本実施例においては、前記カバー30は、コイルケース25の側壁部25cと、本体21の一部分とを、併せて覆うことができる形状を有する。これは、プローブ20が金型10の設置孔12に挿設された状態において、カバー30をコイルケース25及び設置孔12から落脱させないための形状であり、カバー30の形状は本実施例に限定されるものでない。
【0037】
前記カバー30の内周と、コイルケース25の筒状の側壁部25cとの間は、溶湯が進入しない程度に離間される。また、プローブ20が金型10の設置孔12に挿設された状態において、前記カバー30の外周と、金型10の設置孔12の内周との間は、溶湯が進入しない程度に離間される。
【0038】
前記カバー30を構成する材料は、溶湯と反応し難く、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料(金型の主材料)よりもヤング率が低いことを条件とする、金属材料又は樹脂材料である。
【0039】
本実施例のように溶湯構成材料がアルミニウムである場合には、アルミニウムと反応し難く、アルミニウムよりも融点が高く、且つ、金型構成材料である鉄よりもヤング率が低いことを条件とする、金属材料がカバー30を構成する材料として採用される。例えば、カバー30を構成する金属材料として、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウム、クロム、及びこれらの合金のうち、何れかを採用することができる。
なお、溶湯が合成樹脂である場合には、カバー30を構成する材料を樹脂材料とすることも可能である。
【0040】
上述の通り、前記プローブ20では、コイルケース25のうち金型10の設置孔12と対峙する部分が、溶湯と反応し難く、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成されたカバー30にて、溶湯が進入しない程度の間隙を設けて覆われている。
【0041】
上記構成のプローブ20において、金型10の温度が上昇して設置孔12が縮径したり歪んだりすると、コイルケース25の側壁部25cを覆うカバー30は該設置孔12の内壁から圧を受ける。
このとき、前記カバー30を構成する材料は金型構成材料よりもヤング率が低いため、該カバー30は前記設置孔12の変形に追従して変形して、設置孔12の内壁から受ける圧が吸収される。また、設置孔12とコイルケース25との間に前記カバー30が設けられ、設置孔12とカバー30、該カバー30とコイルケース25の側壁部25cとの間に、それぞれ間隙が設けられる結果、設置孔12の縮径の許容幅が拡大されることとなる。
これにより、コイルケース25の側壁部25cに掛かる負荷(特に、周から軸心に向かう方向の圧縮力)が軽減される。従って、設置孔12が熱変形による縮径・拡径を繰り返しても、コイルケース25は破損し難くなる。
【0042】
つまり、上記構成のプローブ20では、プローブ20に具備されるコイル22の検出方向(プローブ20の検出部側)の磁界の透過性を確保しながらも、例えば、渦電流センサ16のプローブ20を設置した金型10の設置孔12が熱により縮径するなど、コイル22を格納するコイルケース25に該コイル22の検出方向以外から加わる負荷に起因する割れが生じ難いプローブの構造を実現できるのである。
【0043】
なお、前記カバー30は、溶湯が進入しない程度の間隙が設けられて積層された複層の筒状体で構成することもできる。
この場合、図3に示すように、重ねられた径の異なる複数の筒状体33・33でカバー30が構成され、各筒状体33の間には、溶湯が進入しない程度の間隙が設けられる。
カバー30を複層に構成することによれば、筒状体33・33同士の間にも間隙が設けられるので、設置孔12の縮径の許容幅が更に拡大されることとなり、コイルケース25の側壁部25cに掛かる負荷をより一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1に係る渦電流センサのプローブの構成を示す図。
【図2】本発明の実施例2に係る渦電流センサのプローブの構成を示す図。
【図3】渦電流センサのプローブに設けたカバーの別形態を示す図。
【図4】渦電流センサの構成を説明する図。
【符号の説明】
【0045】
10 金型
11 キャビティ
12 設置孔
16 渦電流センサ
17 高周波発信器
18 アンプユニット
19 演算・表示ユニット
20 プローブ
21 本体
22 コイル
23 蓋部
24 側壁部
25 コイルケース
30 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、
前記コイルケースのうち、前記プローブの検出部に該当する部分がセラミック材料で構成され、他の部分が金属材料で構成されていることを特徴とする、渦電流センサのプローブ。
【請求項2】
コイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、
前記コイルケースは、金属材料で構成された筒状体と、セラミック材料で構成された前記筒状体の一側端部を閉塞する蓋体とで構成されていることを特徴とする、渦電流センサのプローブ。
【請求項3】
コイルケースで覆われたコイルを備え、金型に設けられた設置孔に挿設されて該金型のキャビティに充填される溶湯の流れを検出するために用いられる渦電流センサのプローブであって、
前記コイルケースのうち、前記金型のキャビティに露出する部分がセラミック材料で構成され、前記設置孔と対峙する部分が、溶湯に対して低反応であり、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成されていることを特徴とする、渦電流センサのプローブ。
【請求項4】
セラミック材料で構成されたコイルケースで覆われたコイルを備える渦電流センサのプローブであって、
前記コイルケースにおける前記プローブの検出部に該当する部分以外を覆う、金属材料で構成されたカバーが備えられることを特徴とする、渦電流センサのプローブ。
【請求項5】
コイルケースで覆われたコイルを備え、金型に設けられた設置孔に挿設されて該金型のキャビティに充填される溶湯の流れを検出するために用いられる渦電流センサのプローブであって、
前記コイルケースのうち前記設置孔と対峙する部分が、溶湯に対して低反応であり、溶湯温度よりも融点が高く、且つ、金型構成材料よりもヤング率が低い材料で構成されたカバーにて、溶湯が進入しない程度の間隙を設けて覆われていることを特徴とする、渦電流センサのプローブ。
【請求項6】
前記カバーは、溶湯が進入しない程度の間隙が設けられて積層された複層の筒状体であることを特徴とする、請求項5に記載の渦電流センサのプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−107206(P2008−107206A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290377(P2006−290377)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】