渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置
【課題】本発明は、リフトオフ時の板厚の測定精度をさらに向上することができる渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、渦電流測定センサ4を非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して渦電流測定センサ4へ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて励磁電流の位相角を調整して較正試験体上に設置された渦電流測定センサ4から出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて非磁性金属の膜厚を測定する工程とを有するものである。
【解決手段】本発明は、渦電流測定センサ4を非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して渦電流測定センサ4へ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて励磁電流の位相角を調整して較正試験体上に設置された渦電流測定センサ4から出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて非磁性金属の膜厚を測定する工程とを有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に係り、特に、磁性金属上の非磁性金属の膜厚の測定に好適な渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンのタービン動翼(磁性金属)は、運転中に進展する動翼表面の金属腐食を軽減するために、動翼表面に高硬度のステライト板(非磁性金属)を被覆して使用している。そしてステライト板が0.3mm以下の厚さになった時点で新しいステライト板を被覆し直すようにしている。
【0003】
そこで、このステライト板の厚さを計測するために、金属板上に設置した励磁コイルを励磁し、この金属板に生じる渦電流による誘導磁場の変化を検出コイルで検出して板厚を測定する、例えば特許文献1に記載のような金属膜厚測定装置を用いている。
【0004】
しかしながら、このような測定装置においては、励磁コイル及び検出コイルの金属板上からの浮き上がり(以下、リフトオフ)があると、測定値が変化するので板厚の測定に誤差が生じる問題がある。これら測定誤差を低減するために、位相角を調整して検出コイルによって検出されたX出力(検出コイルの抵抗の実数分)とY出力(検出コイルの抵抗の虚数分)のうち、Y出力の変動率が最も少なくなるような位相角を選定し、この変動率が少ないY出力を厚さの測定信号として用いることが、例えば特許文献2に示すように、既に提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−270214号公報
【特許文献2】特開2003−232776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術によれば、リフトオフ時の検出誤差をある程度低減することはできるが、十分とは云えず、リフトオフ時の板厚のさらなる測定精度の向上が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、リフトオフ時の板厚の測定精度をさらに向上することができる渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分(Y出力)の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
即ち、位相角を制御してY出力の変動率を低減させていたが、このように位相角を制御しても、励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数が測定対象物である非磁性金属材料に合っていなければ、Y出力の変動率を必ずしも低減させることができないことが実験により確認された。そこで、励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を非磁性金属と同じ仕様の較正試験体に適する値に選定すると共に、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された検出コイルから出力されるY出力の変動率が小さくなる位相角を選定した上で、前記非磁性金属の膜厚を測定するようにすることで、Y出力の変動率をさらに低減することで測定精度の向上を実現したのである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、リフトオフ時の板厚の測定精度をさらに向上することができる渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第1の実施の形態を図1〜図4に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に基づいて説明する。
【0012】
渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1は、大きく分けて、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)2と、このパソコン2と信号線S1によって信号の授受を行う渦電流式膜厚測定手段3と、この渦電流式膜厚測定手段3と信号線S2によって信号の授受を行う渦電流測定センサ4と、この渦電流測定センサ4を駆動するアクチュエータ5と、このアクチュエータ5に信号線S3を介して駆動信号を授受するアクチュエータドライバ6と、このアクチュエータドライバ6と前記パソコン2と間に信号の授受を行う信号線S4とによって構成されている。
【0013】
前記渦電流測定センサ4は、フェライトからなるコア7と、このコア7に巻回され信号線S2を引き出したコイル8と、このコイル8の外周を覆う銅,銀,アルミニュウム,パーマロイのうち1つ以上の材料から構成されたシールド材9とで形成され、全体を非導電性の接着剤で固定している。尚、コイル8は励磁コイルと検出コイルとを兼用したものであるが、励磁コイルと検出コイルを別個に備えたものでもよい。
【0014】
前記アクチュエータ5は、基台10Aと、この基台10Aによって駆動される第1移動台10Bと、この第1移動台10Bによって駆動される第2移動台10Cとより構成されている。前記基台10Aは、モータ11Aを備えており、このモータ11Aによって駆動されるねじ棒12Aと、このねじ棒12Aに移動可能にねじ込まれた移動駒13Aとを有している。前記第1移動台10Bは前記移動駒13Aに連結されており、基台10Aのねじ棒12Aと直行する方向に延在するねじ棒12Bと、このねじ棒12Bを駆動するモータ11Bと、前記ねじ棒12Bに移動可能にねじ込まれた移動駒13Bとを有している。さらに、前記第2移動台10Cは前記移動駒13Bに連結されており、基台10Aのねじ棒12A及び第2移動台10Bのねじ棒12Bと夫々直行する方向に延在するねじ棒12Cと、このねじ棒12Cを駆動するモータ11Cと、前記ねじ棒12Cに移動可能にねじ込まれた移動駒13Cとを有している。そして第2移動台10Cの移動駒13Cに前記渦電流測定センサ4が固定されており、この渦電流測定センサ4は前記モータ11A〜11Cを駆動することで、基台10Aを基準としてX,Y,Z方向に移動することができるのである。
【0015】
また、前記パソコン2は、演算部21と、HDD22と、RAM23と、ROM24と、I/Oポート25と、キーボード26と、記録メディア27と、モニタ28を備えている。
【0016】
前記渦電流式膜厚測定手段3は、演算部31と、ハードディスク(HDD)32と、ランダムアクセスメモリ(RAM)33と、リードオンメモリ(ROM)34と、I/Oポート35と、D/Aコンバータ36と、A/Dコンバータ37とを有している。
【0017】
前記アクチュエータドライバ6は、前記渦電流式膜厚測定手段3と同様に、演算部61と、HDD62と、RAM63と、ROM64と、I/Oポート65と、D/Aコンバータ66と、A/Dコンバータ67とを有している。
【0018】
そして、信号線S1は、パソコン2のI/Oポート25と渦電流式膜厚測定手段3のI/Oポート35とを接続し、信号線S2は、渦電流測定センサ4と渦電流式膜厚測定手段3のD/Aコンバータ36及びA/Dコンバータ37とを接続し、信号線S3は、アクチュエータ5のモータ11A〜11Cとアクチュエータドライバ6のD/Aコンバータ66及びA/Dコンバータ67とを接続している。
【0019】
上記構成において、パソコン2と渦電流式膜厚測定手段3と渦電流測定センサ4とアクチュエータ5とアクチュエータドライバ6とが渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1を構成し、パソコン2の操作によって、これらが周波数選定手段となり位相角選定手段となり膜厚測定手段となるのである。
【0020】
次に、上記構成の渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1を用いて磁性金属上の非磁性金属の膜厚を測定する手順を説明する。
〔ステップ1〕
渦電流測定センサ4を較正試験体上に乗置する。
〔ステップ2〕
パソコン2のキーボード26及び記録メディア27等、1つ以上のデータ入力手段を用いて磁性金属上の非磁性金属である測定対象物と同じ導電率や透磁率及び較正試験体の厚さ、渦電流測定センサ4と較正試験体との相対位置をI/Oポート25に入力する。入力されたデータは演算部21に伝達され、演算部21でHDD22,RAM23,ROM24のいずれかに収納した図5に示され式1で近似される較正試験体の厚さ測定誤差が小さくなる周波数の非磁性金属厚さ依存性の評価結果を用いて、初期周波数f(Hz)を演算する。
f=t2÷(2πσμ) …式1
ここで、tは較正試験体(非磁性金属)の厚さ(m)、σは導電率(Ω/m)、μは透磁率(H/m)を表す。
〔ステップ3〕
ステップ2で演算された初期周波数f(Hz)は、I/Oポート25及び渦電流式膜厚測定手段3のI/Oポート35を経由して渦電流式膜厚測定手段3の演算部31に伝達される。演算部31からは、周波数f(Hz)で位相角0度でI/Oポート35及びD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。そして渦電流測定センサ4で検出されたX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3のA/Dコンバータ37及びI/Oポート35,演算部31を介してHDD32,RAM33,ROM34等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。同時に、渦電流測定センサ4の測定値をI/Oポート35を介してパソコン2の演算部21に伝達する。
【0021】
パソコン2では、渦電流測定センサ4の測定値を記録すると共に、I/Oポート25を介してアクチュエータドライバ6に、渦電流測定センサ4のリフトオフ量を変更するように指示する。
【0022】
アクチュエータドライバ6は、I/Oポート65を介して演算部61にリフトオフ量を伝達し、演算部61は、HDD62,RAM63,ROM64等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録されている第1及び第2移動台10B,10Cの移動量と、供給電圧値及び供給電流値、印加電圧時間の関係から各モータ11A〜11Cへの電力供給条件を決定する。この電力供給条件に基づいてI/Oポート65及びD/Aコンバータ66を介して各モータ11A〜11Cへの電力を供給する。
【0023】
電力供給中に、印加された電圧値と印加時間及び電流値はA/Dコンバータ67及びI/Oポート65を介して演算部61に伝達され、演算部61で実際の移動量を演算して前記各モータ11A〜11Cの回転数を調整し、目標のリフトオフ量まで渦電流測定センサ4を移動させる。
【0024】
渦電流測定センサ4の移動が完了したことをI/Oポート65を介してパソコン2の演算部21に伝え、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録すると共に、モニタ28に表示する。
〔ステップ4〕
周波数を2f(Hz)で位相角を0度及び周波数をf/2(Hz)で位相角を0度として、夫々ステップ3と同じようなフローでリフトオフさせたときのX−Y出力曲線を評価する。
〔ステップ5〕
パソコン2の演算部21で、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録された式2と式3を解析するプログラムを用いて、各周波数f/2(Hz),f(Hz),2f(Hz)での位相角変更時のY出力の偏差を計算する。
dy(θ)=dx0|sinθ|+dy0|cosθ| …式2
偏差=〔(位相角θ度でのY出力)−(位相角0度でのY出力)〕÷〔(位相角0度でのY出力)×100(%)〕 …式3
ここで、θは位相角、dx0は位相角0度でのX出力の偏差、dy0は位相角0度でのY出力の偏差、dy(θ)は位相角θ度でのY出力の偏差を表す。
〔ステップ6〕
パソコン2の演算部21で、ステップ5で求めた図6に示す偏差の位相角依存性から、各周波数f/2(Hz),f(Hz),2f(Hz)での偏差の最小値における位相角を求める。因みに、図6において、実線は周波数f(Hz)を、1点鎖線は周波数f/2(Hz)を、破線は周波数2f(Hz)を示す。
〔ステップ7〕
ステップ6で求めた図7に示す最小の偏差の周波数依存性が極小点を持つ場合には、パソコン2の演算部21でその周波数、例えば280k(Hz)を測定周波数と決定する。
【0025】
しかし、極小点を持たず、最小の偏差を与える周波数が2f(Hz)の場合には、較正試験体の推定厚さを0.7倍してステップ2〜6の手順を繰り返す。ここで、推定厚さを0,7倍とすると、周波数の変更範囲が2f〜4f(Hz)となるために、連続した周波数範囲で極小点を評価できることになる。他方、極小点を持たず、最小の偏差を与える周波数がf/2(Hz)の場合には、推定厚さを1.4倍にしてステップ2〜6の手順を繰り返す。推定厚さを1.4倍にすることで、周波数範囲がf/2〜f/4(Hz)となるために、連続した周波数範囲で極小点を評価できることになる。
〔ステップ8〕
パソコン2のキーボード26あるいは記録メディア27から、磁性金属M1上の測定対象物である非磁性金属M2の形状と渦電流測定センサ4の位置情報を入力し、非磁性金属の膜厚測定の開始を指示する。
【0026】
非磁性金属M2の形状は、パソコン2のI/Oポート25を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。非磁性金属M2の形状の入力後、ステップ7で決定したY出力の偏差が小さくなる周波数と位相角を演算部21から渦電流式膜厚測定手段3の演算部31に伝達し、この演算部31からI/Oポート35及びD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。
【0027】
渦電流測定センサ4で測定されたX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3のA/Dコンバータ37,I/Oポート35,演算部31を介してHDD32,RAM33,ROM34等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。これらへの記録と同時に、I/Oポート35を介して渦電流式膜厚測定手段3の測定値をパソコン2の演算部21に伝達し、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に測定結果を記録する。
【0028】
さらに、渦電流式膜厚測定手段3は、測定値と共に入力された非磁性金属M2の形状データをI/Oポート35を介してアクチュエータドライバ6の演算部61に伝達する。アクチュエータドライバ6の演算部61では、非磁性金属M2の形状に渦電流測定センサ4が沿うように、HDD62,RAM63,ROM64等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録した基台10A,第1移動台10B,第2移動台10Cの移動量、供給電圧値、供給電流値、電圧印加時間の関係から各モータ11A〜11Cへの電力供給条件を決定する。この電力供給条件に基づいてアクチュエータドライバ6は、I/Oポート65及びD/Aコンバータ67を介してアクチュエータ5に電力を供給する。アクチュエータ5への電力供給中に、印加電圧値と印加時間、流れた電流値は、A/Dコンバータ66,I/Oポート65を介して演算部61に伝達され、演算部61で実際の移動量計算してアクチュエータ5のモータ11A〜11Cの回転数を調整し、渦電流測定センサ4を非磁性金属M2の上で移動させる。この渦電流測定センサ4の移動量は、アクチュエータドライバ6のA/Dコンバータ66,I/Oポート65を介してパソコン2の演算部21に伝達され、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態によれば、周波数と位相角の両方を制御することで、測定すべき非磁性金属におけるリフトオフ時の測定誤差を最小とすることができ、測定精度をより向上させることができる。
【0030】
ところで以上の説明は、非磁性金属と同じ仕様の較正試験体を用いて周波数と位相角を制御して、最適な周波数と位相角を求めるものであるが、各仕様の較正試験体を複数種用意しておき、各較正試験体に最適な周波数と位相角を予め求めておけば、いかなる非磁性金属に対しても、即、適切な周波数と位相角を求めることができる。
【0031】
さらに、上記実施の形態は、渦電流測定センサ4として、一つのセンサを用いたが、その変形例として図8及び図9に示すように、複数のセンサ4a,4b…4nを直列あるいは特定方向に並設した渦電流測定マルチセンサ4Aとすることも可能である。このように渦電流測定マルチセンサ4Aにすれば、上記実施の形態に較べて、アクチュエータの駆動方向を減らすことができ、その分、アクチュエータの構成を単純化できると共に、検査時間を短縮することが可能である。
【0032】
次に、本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第2の実施の形態を図10及び図11に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1Aに基づいて説明する。尚、図1〜図4と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施の形態は、非磁性金属の交換時の膜厚を基準として、この基準膜厚よりも非磁性金属の膜厚が厚いか薄いかを判定する方法を示すものである。
【0034】
図10において図1と異なる構成は、図1のアクチュエータドライバ6の代わりに、エンコーダ14を設け、このエンコーダ14の巻取りコード15の先端を渦電流測定センサ4に連結して渦電流測定センサ4を手動で移動させるようにした点である。また、図4と図11と異なる点は、図11においてA/Dコンバータ29をパソコン2に設けた点と、図11における渦電流式膜厚測定手段3Aが図4における渦電流式膜厚測定手段3の演算部31とHDD32とRAM33とROM34とを撤去している点である。
【0035】
次に、上記構成の渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1Aを用いて磁性金属上の非磁性金属の膜厚を測定する手順を説明する。
〔ステップ21〕
パソコン2のキーボード26あるいは記録メディア27のうち、1つ以上の入力装置を用いて磁性金属M1上の測定対象物である非磁性金属M2の誘電率と透磁率及び非磁性金属M2の交換時の基準膜厚を入力し、I/Oポート25を介して演算部21に伝達する。演算部21では、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記憶させていた式1を計算するプログラムを用いて周波数を演算する。
〔ステップ22〕
ステップ21の演算結果は、I/Oポート25を介して渦電流式膜厚測定手段3AのI/Oポート35に伝達され、そこからD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。そして渦電流測定センサ4で測定された誘導磁場のX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3AのA/Dコンバータ37及びI/Oポート35を介してパソコン2のI/Oポート25に伝達され、演算部21を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。
【0036】
この渦電流測定センサ4での測定の間、渦電流測定センサ4を手でリフトオフさせ、そのときの渦電流測定センサ4からの検出信号を取得する。
〔ステップ23〕
パソコン2の演算部21で、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録した式2及び式3を計算するプログラムを用いてY出力の偏差の位相角依存性を計算し、Y出力の偏差が最小になる位相角を求める。
〔ステップ24〕
ステップ23での計算結果は、I/Oポート25を介して渦電流式膜厚測定手段3Aに伝達し、周波数をステップ21の計算値、位相角をステップ23の評価結果として、D/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。
【0037】
渦電流測定センサ4で測定されたX出力とY出力は、A/Dコンバータ37及びI/Oポート35を介してパソコン2のI/Oポート25に伝達され、演算部21を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。
【0038】
そして、測定対象物である非磁性金属M2上にエンコーダ14を固定し、渦電流測定センサ4を非磁性金属M2に沿って手動によって移動させることで、エンコーダ14の巻取りコード15が移動量に応じて引き出され、その巻取りコード15の引き出し量をエンコーダ14で測定して渦電流測定センサ4の位置を測定する。その測定結果はパソコン2のA/Dコンバータ29及びI/Oポート25を介して演算部21に伝達され、渦電流測定センサ4の位置情報をHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録すると共に、モニタ28に渦電流測定センサ4の出力と位置情報を表示する。
〔ステップ25〕
モニタ28に表示された渦電流測定センサ4の出力を非磁性金属の交換時の膜厚基準と比較して、測定対象物である非磁性金属M2が交換時期に達しているか否かを判定する。
【0039】
以上説明したように本実施の形態によれば、周波数と位相角をある範囲に設定できるので、第1の実施の形態に較べて非磁性金属の膜圧の測定が簡便化され、測定時間の短縮が図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第1の実施の形態を実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を示すブロック図。
【図2】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられる渦電流測定センサを示す斜視図。
【図3】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられるアクチュエータを示す斜視図。
【図4】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置の信号伝達図。
【図5】周波数の非磁性金属厚さ依存性を示すグラフ。
【図6】Y出力変動率と位相角の依存性を示すグラフ。
【図7】Y出力変動率と周波数の依存性を示すグラフ。
【図8】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられる渦電流測定センサの変形例を示す模式側面図。
【図9】図8のA−A線に沿う横断平面図。
【図10】本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第2の実施の形態を実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を示すブロック図。
【図11】図10に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置の信号伝達図。
【符号の説明】
【0041】
1…渦電流式非磁性金属膜厚測定装置、2…パーソナルコンピュータ、3…渦電流式膜厚測定手段、4…渦電流測定センサ、4A…渦電流測定マルチセンサ、5…アクチュエータ、6…アクチュエータドライバ、7…コア、8…コイル、9…シールド材、10A…基台、10B…第1移動台、10C…第2移動台10C、11A〜11C…モータ、12A〜12C…ねじ棒、13A〜13C…移動駒、14…エンコーダ、15…巻取りコード。
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に係り、特に、磁性金属上の非磁性金属の膜厚の測定に好適な渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンのタービン動翼(磁性金属)は、運転中に進展する動翼表面の金属腐食を軽減するために、動翼表面に高硬度のステライト板(非磁性金属)を被覆して使用している。そしてステライト板が0.3mm以下の厚さになった時点で新しいステライト板を被覆し直すようにしている。
【0003】
そこで、このステライト板の厚さを計測するために、金属板上に設置した励磁コイルを励磁し、この金属板に生じる渦電流による誘導磁場の変化を検出コイルで検出して板厚を測定する、例えば特許文献1に記載のような金属膜厚測定装置を用いている。
【0004】
しかしながら、このような測定装置においては、励磁コイル及び検出コイルの金属板上からの浮き上がり(以下、リフトオフ)があると、測定値が変化するので板厚の測定に誤差が生じる問題がある。これら測定誤差を低減するために、位相角を調整して検出コイルによって検出されたX出力(検出コイルの抵抗の実数分)とY出力(検出コイルの抵抗の虚数分)のうち、Y出力の変動率が最も少なくなるような位相角を選定し、この変動率が少ないY出力を厚さの測定信号として用いることが、例えば特許文献2に示すように、既に提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−270214号公報
【特許文献2】特開2003−232776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術によれば、リフトオフ時の検出誤差をある程度低減することはできるが、十分とは云えず、リフトオフ時の板厚のさらなる測定精度の向上が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、リフトオフ時の板厚の測定精度をさらに向上することができる渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分(Y出力)の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
即ち、位相角を制御してY出力の変動率を低減させていたが、このように位相角を制御しても、励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数が測定対象物である非磁性金属材料に合っていなければ、Y出力の変動率を必ずしも低減させることができないことが実験により確認された。そこで、励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を非磁性金属と同じ仕様の較正試験体に適する値に選定すると共に、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された検出コイルから出力されるY出力の変動率が小さくなる位相角を選定した上で、前記非磁性金属の膜厚を測定するようにすることで、Y出力の変動率をさらに低減することで測定精度の向上を実現したのである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、リフトオフ時の板厚の測定精度をさらに向上することができる渦電流式非磁性金属膜厚測定方法及びそれを実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第1の実施の形態を図1〜図4に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に基づいて説明する。
【0012】
渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1は、大きく分けて、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)2と、このパソコン2と信号線S1によって信号の授受を行う渦電流式膜厚測定手段3と、この渦電流式膜厚測定手段3と信号線S2によって信号の授受を行う渦電流測定センサ4と、この渦電流測定センサ4を駆動するアクチュエータ5と、このアクチュエータ5に信号線S3を介して駆動信号を授受するアクチュエータドライバ6と、このアクチュエータドライバ6と前記パソコン2と間に信号の授受を行う信号線S4とによって構成されている。
【0013】
前記渦電流測定センサ4は、フェライトからなるコア7と、このコア7に巻回され信号線S2を引き出したコイル8と、このコイル8の外周を覆う銅,銀,アルミニュウム,パーマロイのうち1つ以上の材料から構成されたシールド材9とで形成され、全体を非導電性の接着剤で固定している。尚、コイル8は励磁コイルと検出コイルとを兼用したものであるが、励磁コイルと検出コイルを別個に備えたものでもよい。
【0014】
前記アクチュエータ5は、基台10Aと、この基台10Aによって駆動される第1移動台10Bと、この第1移動台10Bによって駆動される第2移動台10Cとより構成されている。前記基台10Aは、モータ11Aを備えており、このモータ11Aによって駆動されるねじ棒12Aと、このねじ棒12Aに移動可能にねじ込まれた移動駒13Aとを有している。前記第1移動台10Bは前記移動駒13Aに連結されており、基台10Aのねじ棒12Aと直行する方向に延在するねじ棒12Bと、このねじ棒12Bを駆動するモータ11Bと、前記ねじ棒12Bに移動可能にねじ込まれた移動駒13Bとを有している。さらに、前記第2移動台10Cは前記移動駒13Bに連結されており、基台10Aのねじ棒12A及び第2移動台10Bのねじ棒12Bと夫々直行する方向に延在するねじ棒12Cと、このねじ棒12Cを駆動するモータ11Cと、前記ねじ棒12Cに移動可能にねじ込まれた移動駒13Cとを有している。そして第2移動台10Cの移動駒13Cに前記渦電流測定センサ4が固定されており、この渦電流測定センサ4は前記モータ11A〜11Cを駆動することで、基台10Aを基準としてX,Y,Z方向に移動することができるのである。
【0015】
また、前記パソコン2は、演算部21と、HDD22と、RAM23と、ROM24と、I/Oポート25と、キーボード26と、記録メディア27と、モニタ28を備えている。
【0016】
前記渦電流式膜厚測定手段3は、演算部31と、ハードディスク(HDD)32と、ランダムアクセスメモリ(RAM)33と、リードオンメモリ(ROM)34と、I/Oポート35と、D/Aコンバータ36と、A/Dコンバータ37とを有している。
【0017】
前記アクチュエータドライバ6は、前記渦電流式膜厚測定手段3と同様に、演算部61と、HDD62と、RAM63と、ROM64と、I/Oポート65と、D/Aコンバータ66と、A/Dコンバータ67とを有している。
【0018】
そして、信号線S1は、パソコン2のI/Oポート25と渦電流式膜厚測定手段3のI/Oポート35とを接続し、信号線S2は、渦電流測定センサ4と渦電流式膜厚測定手段3のD/Aコンバータ36及びA/Dコンバータ37とを接続し、信号線S3は、アクチュエータ5のモータ11A〜11Cとアクチュエータドライバ6のD/Aコンバータ66及びA/Dコンバータ67とを接続している。
【0019】
上記構成において、パソコン2と渦電流式膜厚測定手段3と渦電流測定センサ4とアクチュエータ5とアクチュエータドライバ6とが渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1を構成し、パソコン2の操作によって、これらが周波数選定手段となり位相角選定手段となり膜厚測定手段となるのである。
【0020】
次に、上記構成の渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1を用いて磁性金属上の非磁性金属の膜厚を測定する手順を説明する。
〔ステップ1〕
渦電流測定センサ4を較正試験体上に乗置する。
〔ステップ2〕
パソコン2のキーボード26及び記録メディア27等、1つ以上のデータ入力手段を用いて磁性金属上の非磁性金属である測定対象物と同じ導電率や透磁率及び較正試験体の厚さ、渦電流測定センサ4と較正試験体との相対位置をI/Oポート25に入力する。入力されたデータは演算部21に伝達され、演算部21でHDD22,RAM23,ROM24のいずれかに収納した図5に示され式1で近似される較正試験体の厚さ測定誤差が小さくなる周波数の非磁性金属厚さ依存性の評価結果を用いて、初期周波数f(Hz)を演算する。
f=t2÷(2πσμ) …式1
ここで、tは較正試験体(非磁性金属)の厚さ(m)、σは導電率(Ω/m)、μは透磁率(H/m)を表す。
〔ステップ3〕
ステップ2で演算された初期周波数f(Hz)は、I/Oポート25及び渦電流式膜厚測定手段3のI/Oポート35を経由して渦電流式膜厚測定手段3の演算部31に伝達される。演算部31からは、周波数f(Hz)で位相角0度でI/Oポート35及びD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。そして渦電流測定センサ4で検出されたX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3のA/Dコンバータ37及びI/Oポート35,演算部31を介してHDD32,RAM33,ROM34等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。同時に、渦電流測定センサ4の測定値をI/Oポート35を介してパソコン2の演算部21に伝達する。
【0021】
パソコン2では、渦電流測定センサ4の測定値を記録すると共に、I/Oポート25を介してアクチュエータドライバ6に、渦電流測定センサ4のリフトオフ量を変更するように指示する。
【0022】
アクチュエータドライバ6は、I/Oポート65を介して演算部61にリフトオフ量を伝達し、演算部61は、HDD62,RAM63,ROM64等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録されている第1及び第2移動台10B,10Cの移動量と、供給電圧値及び供給電流値、印加電圧時間の関係から各モータ11A〜11Cへの電力供給条件を決定する。この電力供給条件に基づいてI/Oポート65及びD/Aコンバータ66を介して各モータ11A〜11Cへの電力を供給する。
【0023】
電力供給中に、印加された電圧値と印加時間及び電流値はA/Dコンバータ67及びI/Oポート65を介して演算部61に伝達され、演算部61で実際の移動量を演算して前記各モータ11A〜11Cの回転数を調整し、目標のリフトオフ量まで渦電流測定センサ4を移動させる。
【0024】
渦電流測定センサ4の移動が完了したことをI/Oポート65を介してパソコン2の演算部21に伝え、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録すると共に、モニタ28に表示する。
〔ステップ4〕
周波数を2f(Hz)で位相角を0度及び周波数をf/2(Hz)で位相角を0度として、夫々ステップ3と同じようなフローでリフトオフさせたときのX−Y出力曲線を評価する。
〔ステップ5〕
パソコン2の演算部21で、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録された式2と式3を解析するプログラムを用いて、各周波数f/2(Hz),f(Hz),2f(Hz)での位相角変更時のY出力の偏差を計算する。
dy(θ)=dx0|sinθ|+dy0|cosθ| …式2
偏差=〔(位相角θ度でのY出力)−(位相角0度でのY出力)〕÷〔(位相角0度でのY出力)×100(%)〕 …式3
ここで、θは位相角、dx0は位相角0度でのX出力の偏差、dy0は位相角0度でのY出力の偏差、dy(θ)は位相角θ度でのY出力の偏差を表す。
〔ステップ6〕
パソコン2の演算部21で、ステップ5で求めた図6に示す偏差の位相角依存性から、各周波数f/2(Hz),f(Hz),2f(Hz)での偏差の最小値における位相角を求める。因みに、図6において、実線は周波数f(Hz)を、1点鎖線は周波数f/2(Hz)を、破線は周波数2f(Hz)を示す。
〔ステップ7〕
ステップ6で求めた図7に示す最小の偏差の周波数依存性が極小点を持つ場合には、パソコン2の演算部21でその周波数、例えば280k(Hz)を測定周波数と決定する。
【0025】
しかし、極小点を持たず、最小の偏差を与える周波数が2f(Hz)の場合には、較正試験体の推定厚さを0.7倍してステップ2〜6の手順を繰り返す。ここで、推定厚さを0,7倍とすると、周波数の変更範囲が2f〜4f(Hz)となるために、連続した周波数範囲で極小点を評価できることになる。他方、極小点を持たず、最小の偏差を与える周波数がf/2(Hz)の場合には、推定厚さを1.4倍にしてステップ2〜6の手順を繰り返す。推定厚さを1.4倍にすることで、周波数範囲がf/2〜f/4(Hz)となるために、連続した周波数範囲で極小点を評価できることになる。
〔ステップ8〕
パソコン2のキーボード26あるいは記録メディア27から、磁性金属M1上の測定対象物である非磁性金属M2の形状と渦電流測定センサ4の位置情報を入力し、非磁性金属の膜厚測定の開始を指示する。
【0026】
非磁性金属M2の形状は、パソコン2のI/Oポート25を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。非磁性金属M2の形状の入力後、ステップ7で決定したY出力の偏差が小さくなる周波数と位相角を演算部21から渦電流式膜厚測定手段3の演算部31に伝達し、この演算部31からI/Oポート35及びD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。
【0027】
渦電流測定センサ4で測定されたX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3のA/Dコンバータ37,I/Oポート35,演算部31を介してHDD32,RAM33,ROM34等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。これらへの記録と同時に、I/Oポート35を介して渦電流式膜厚測定手段3の測定値をパソコン2の演算部21に伝達し、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に測定結果を記録する。
【0028】
さらに、渦電流式膜厚測定手段3は、測定値と共に入力された非磁性金属M2の形状データをI/Oポート35を介してアクチュエータドライバ6の演算部61に伝達する。アクチュエータドライバ6の演算部61では、非磁性金属M2の形状に渦電流測定センサ4が沿うように、HDD62,RAM63,ROM64等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録した基台10A,第1移動台10B,第2移動台10Cの移動量、供給電圧値、供給電流値、電圧印加時間の関係から各モータ11A〜11Cへの電力供給条件を決定する。この電力供給条件に基づいてアクチュエータドライバ6は、I/Oポート65及びD/Aコンバータ67を介してアクチュエータ5に電力を供給する。アクチュエータ5への電力供給中に、印加電圧値と印加時間、流れた電流値は、A/Dコンバータ66,I/Oポート65を介して演算部61に伝達され、演算部61で実際の移動量計算してアクチュエータ5のモータ11A〜11Cの回転数を調整し、渦電流測定センサ4を非磁性金属M2の上で移動させる。この渦電流測定センサ4の移動量は、アクチュエータドライバ6のA/Dコンバータ66,I/Oポート65を介してパソコン2の演算部21に伝達され、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態によれば、周波数と位相角の両方を制御することで、測定すべき非磁性金属におけるリフトオフ時の測定誤差を最小とすることができ、測定精度をより向上させることができる。
【0030】
ところで以上の説明は、非磁性金属と同じ仕様の較正試験体を用いて周波数と位相角を制御して、最適な周波数と位相角を求めるものであるが、各仕様の較正試験体を複数種用意しておき、各較正試験体に最適な周波数と位相角を予め求めておけば、いかなる非磁性金属に対しても、即、適切な周波数と位相角を求めることができる。
【0031】
さらに、上記実施の形態は、渦電流測定センサ4として、一つのセンサを用いたが、その変形例として図8及び図9に示すように、複数のセンサ4a,4b…4nを直列あるいは特定方向に並設した渦電流測定マルチセンサ4Aとすることも可能である。このように渦電流測定マルチセンサ4Aにすれば、上記実施の形態に較べて、アクチュエータの駆動方向を減らすことができ、その分、アクチュエータの構成を単純化できると共に、検査時間を短縮することが可能である。
【0032】
次に、本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第2の実施の形態を図10及び図11に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1Aに基づいて説明する。尚、図1〜図4と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施の形態は、非磁性金属の交換時の膜厚を基準として、この基準膜厚よりも非磁性金属の膜厚が厚いか薄いかを判定する方法を示すものである。
【0034】
図10において図1と異なる構成は、図1のアクチュエータドライバ6の代わりに、エンコーダ14を設け、このエンコーダ14の巻取りコード15の先端を渦電流測定センサ4に連結して渦電流測定センサ4を手動で移動させるようにした点である。また、図4と図11と異なる点は、図11においてA/Dコンバータ29をパソコン2に設けた点と、図11における渦電流式膜厚測定手段3Aが図4における渦電流式膜厚測定手段3の演算部31とHDD32とRAM33とROM34とを撤去している点である。
【0035】
次に、上記構成の渦電流式非磁性金属膜厚測定装置1Aを用いて磁性金属上の非磁性金属の膜厚を測定する手順を説明する。
〔ステップ21〕
パソコン2のキーボード26あるいは記録メディア27のうち、1つ以上の入力装置を用いて磁性金属M1上の測定対象物である非磁性金属M2の誘電率と透磁率及び非磁性金属M2の交換時の基準膜厚を入力し、I/Oポート25を介して演算部21に伝達する。演算部21では、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記憶させていた式1を計算するプログラムを用いて周波数を演算する。
〔ステップ22〕
ステップ21の演算結果は、I/Oポート25を介して渦電流式膜厚測定手段3AのI/Oポート35に伝達され、そこからD/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。そして渦電流測定センサ4で測定された誘導磁場のX出力とY出力は、渦電流式膜厚測定手段3AのA/Dコンバータ37及びI/Oポート35を介してパソコン2のI/Oポート25に伝達され、演算部21を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録する。
【0036】
この渦電流測定センサ4での測定の間、渦電流測定センサ4を手でリフトオフさせ、そのときの渦電流測定センサ4からの検出信号を取得する。
〔ステップ23〕
パソコン2の演算部21で、HDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録した式2及び式3を計算するプログラムを用いてY出力の偏差の位相角依存性を計算し、Y出力の偏差が最小になる位相角を求める。
〔ステップ24〕
ステップ23での計算結果は、I/Oポート25を介して渦電流式膜厚測定手段3Aに伝達し、周波数をステップ21の計算値、位相角をステップ23の評価結果として、D/Aコンバータ36を介して渦電流測定センサ4に交流電圧を印加する。
【0037】
渦電流測定センサ4で測定されたX出力とY出力は、A/Dコンバータ37及びI/Oポート35を介してパソコン2のI/Oポート25に伝達され、演算部21を介してHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録される。
【0038】
そして、測定対象物である非磁性金属M2上にエンコーダ14を固定し、渦電流測定センサ4を非磁性金属M2に沿って手動によって移動させることで、エンコーダ14の巻取りコード15が移動量に応じて引き出され、その巻取りコード15の引き出し量をエンコーダ14で測定して渦電流測定センサ4の位置を測定する。その測定結果はパソコン2のA/Dコンバータ29及びI/Oポート25を介して演算部21に伝達され、渦電流測定センサ4の位置情報をHDD22,RAM23,ROM24等のいずれか1つ以上のデータ入力手段に記録すると共に、モニタ28に渦電流測定センサ4の出力と位置情報を表示する。
〔ステップ25〕
モニタ28に表示された渦電流測定センサ4の出力を非磁性金属の交換時の膜厚基準と比較して、測定対象物である非磁性金属M2が交換時期に達しているか否かを判定する。
【0039】
以上説明したように本実施の形態によれば、周波数と位相角をある範囲に設定できるので、第1の実施の形態に較べて非磁性金属の膜圧の測定が簡便化され、測定時間の短縮が図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第1の実施の形態を実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を示すブロック図。
【図2】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられる渦電流測定センサを示す斜視図。
【図3】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられるアクチュエータを示す斜視図。
【図4】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置の信号伝達図。
【図5】周波数の非磁性金属厚さ依存性を示すグラフ。
【図6】Y出力変動率と位相角の依存性を示すグラフ。
【図7】Y出力変動率と周波数の依存性を示すグラフ。
【図8】図1に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置に用いられる渦電流測定センサの変形例を示す模式側面図。
【図9】図8のA−A線に沿う横断平面図。
【図10】本発明による渦電流式非磁性金属膜厚測定方法の第2の実施の形態を実施するための渦電流式非磁性金属膜厚測定装置を示すブロック図。
【図11】図10に示す渦電流式非磁性金属膜厚測定装置の信号伝達図。
【符号の説明】
【0041】
1…渦電流式非磁性金属膜厚測定装置、2…パーソナルコンピュータ、3…渦電流式膜厚測定手段、4…渦電流測定センサ、4A…渦電流測定マルチセンサ、5…アクチュエータ、6…アクチュエータドライバ、7…コア、8…コイル、9…シールド材、10A…基台、10B…第1移動台、10C…第2移動台10C、11A〜11C…モータ、12A〜12C…ねじ棒、13A〜13C…移動駒、14…エンコーダ、15…巻取りコード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項2】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、予め複数の仕様に形成された複数の較正試験体上に前記励磁コイルと検出コイルを設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体の仕様に適する値に夫々選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記各較正試験体に応じて前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を夫々選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角を前記非磁性金属に応じて選択して前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項3】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ導電率、透磁率及び前記非磁性金属の交換時の膜厚に形成した較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項4】
渦電流測定センサを非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置し渦電流測定センサへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて励磁電流の位相角を調整して較正試験体上に設置された渦電流測定センサから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて非磁性金属の膜厚を測定する工程とを有する渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項5】
前記励磁電流の周波数を選定する工程は、
(周波数)=(厚さ)2÷(2×π×導電率×透磁率)
の式で基準となる周波数を算出する工程を有し、前記位相角を選定する工程は、
偏差=〔(検出コイルの浮き上がり発生時の渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)−(検出コイルの浮き上がりがないときの渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)〕÷(検出コイルの浮き上がりがないときの渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)
で定義される偏差の位相角依存性を、
(位相角0度での渦電流式膜厚測定手段出力の虚数部分の偏差)×sin(位相角)+(位相角0度での渦電流式膜厚測定手段出力の実数部分の偏差)×cos(位相角)
の式で算出し、誤差が小さくなる位相角を決定する工程を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項6】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定装置において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する周波数選定手段と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する位相角選定手段と、周波数選定手段と位相角選定手段によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する膜厚測定手段とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定装置。
【請求項1】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項2】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、予め複数の仕様に形成された複数の較正試験体上に前記励磁コイルと検出コイルを設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体の仕様に適する値に夫々選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記各較正試験体に応じて前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を夫々選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角を前記非磁性金属に応じて選択して前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項3】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定方法において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ導電率、透磁率及び前記非磁性金属の交換時の膜厚に形成した較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する工程とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項4】
渦電流測定センサを非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置し渦電流測定センサへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する工程と、選定された周波数に基づいて励磁電流の位相角を調整して較正試験体上に設置された渦電流測定センサから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する工程と、これら工程によって決められた周波数と位相角に基づいて非磁性金属の膜厚を測定する工程とを有する渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項5】
前記励磁電流の周波数を選定する工程は、
(周波数)=(厚さ)2÷(2×π×導電率×透磁率)
の式で基準となる周波数を算出する工程を有し、前記位相角を選定する工程は、
偏差=〔(検出コイルの浮き上がり発生時の渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)−(検出コイルの浮き上がりがないときの渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)〕÷(検出コイルの浮き上がりがないときの渦電流式膜厚測定手段の虚数部分の出力)
で定義される偏差の位相角依存性を、
(位相角0度での渦電流式膜厚測定手段出力の虚数部分の偏差)×sin(位相角)+(位相角0度での渦電流式膜厚測定手段出力の実数部分の偏差)×cos(位相角)
の式で算出し、誤差が小さくなる位相角を決定する工程を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の渦電流式非磁性金属膜厚測定方法。
【請求項6】
励磁コイルを励磁し磁性金属上の非磁性金属に生じる渦電流による誘導磁場を検出コイルにより検出して前記非磁性金属の膜厚を測定する渦電流式膜厚測定手段を用いた渦電流式非磁性金属膜厚測定装置において、前記励磁コイルと検出コイルを前記非磁性金属と同じ仕様の較正試験体上に設置して前記励磁コイルへ供給する励磁電流の周波数を各較正試験体に適する値に選定する周波数選定手段と、選定された周波数に基づいて前記励磁電流の位相角を調整して前記較正試験体上に設置された前記検出コイルから出力される虚数部分の変動率が小さくなる位相角を選定する位相角選定手段と、周波数選定手段と位相角選定手段によって決められた周波数と位相角に基づいて前記渦電流式膜厚測定手段により前記非磁性金属の膜厚を測定する膜厚測定手段とを備えたことを特徴とする渦電流式非磁性金属膜厚測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−298292(P2007−298292A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124132(P2006−124132)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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