温度プロファイル推定方法及び温度プロファイル推定装置
【課題】リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを高精度に推定する。
【解決手段】温度プロファイル推定方法は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第1加熱特性値を区分ごとに取得するステップS101と、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第2加熱特性値を区分ごとに取得するステップS102と、所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第3加熱特性値を、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、区分ごとに推定するステップS103と、推定された第3加熱特性値を用いて、所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定することにより温度プロファイルを推定するステップS104とを含む。
【解決手段】温度プロファイル推定方法は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第1加熱特性値を区分ごとに取得するステップS101と、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第2加熱特性値を区分ごとに取得するステップS102と、所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の第3加熱特性値を、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、区分ごとに推定するステップS103と、推定された第3加熱特性値を用いて、所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定することにより温度プロファイルを推定するステップS104とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー装置は、それぞれが互いに独立して雰囲気温度を制御することができる複数のゾーンを有する。この複数のゾーンの雰囲気温度を適切に制御することにより、リフロー装置の内部を通過する実装基板(電子部品などの部品が実装された基板)の温度プロファイルを予め定められた温度条件に適合させることができる。
【0003】
そこで、実装基板の温度が予め定められた温度条件に適合するように実装基板を加熱するための雰囲気温度を決定するために、雰囲気温度を変更しながら、実装基板の温度プロファイルをシミュレーションする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載の方法では、まず、設定温度と一致するように雰囲気温度が制御された各ゾーンを通過する実装基板の温度プロファイルを測定し、測定した温度プロファイルを用いて、各ゾーン又はゾーンを細分化した各区分における加熱特性値を算出する。そして、算出した加熱特性値を用いて、各ゾーンの雰囲気温度を変更した場合における実装基板の温度プロファイルを推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−64002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加熱能力又は放熱特性などのリフロー装置の特性などにより、設定温度と雰囲気温度とは一致しない場合がある。特に、設定温度が高い場合、放熱の影響が大きくなるため、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離する傾向がある。
【0007】
また、各ゾーンの境界では、隣接するゾーンからガス(加熱された、空気又は窒素等の流体など)が流入又は流出するため、温度干渉領域が形成され、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離することが多い。
【0008】
このように、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離した場合、特許文献1に記載の方法では、設定温度と雰囲気温度とが一致することを前提として温度プロファイルが推定されるため、推定された温度プロファイルの誤差が大きくなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを高精度に推定することができる温度プロファイル推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定方法は、所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法であって、前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得ステップと、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得ステップと、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定ステップと、推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定ステップとを含む。
【0011】
これにより、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができるので、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【0012】
また、さらに、前記第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第4加熱特性値を前記区分ごとに取得する第4加熱特性値取得ステップと、前記第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第5加熱特性値を前記区分ごとに取得する第5加熱特性値取得ステップとを含み、前記第2加熱特性値取得ステップでは、前記第4加熱特性値に対する前記第1加熱特性値の比を用いて、前記第5加熱特性値を前記第2加熱特性値へ前記区分ごとに変換することにより、前記第2加熱特性値を前記区分ごとに取得することが好ましい。
【0013】
これにより、第2加熱特性値を得るために、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイルを測定する必要がなくなる。したがって、対象基板が変わるたびに測定しなければならない温度プロファイルの数を減らすことができ、温度プロファイルを測定するための負荷を低減することができる。
【0014】
また、前記第2加熱条件が示す設定温度は、前記第1加熱条件を示す設定温度よりも高い温度であって、前記各区分における前記リフロー装置の加熱能力によって定まる温度であることが好ましい。
【0015】
これにより、設定温度と雰囲気温度とが一致しない可能性が高い、設定温度が高い場合における加熱特性値を、高精度に推定することができるので、高精度に温度プロファイルを推定することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置は、所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置であって、前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得部と、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得部と、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定部と、推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定部とを備える。
【0017】
これにより、上記温度プロファイル推定方法と同様の効果を奏することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係るリフロー装置は、上記温度プロファイル推定装置を備える。
【0019】
これにより、上記温度プロファイル推定方法と同様の効果を奏することができる。
【0020】
なお、本発明は、このような温度プロファイル推定方法として実現することができるだけでなく、温度プロファイル推定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体、あるいはインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができる。したがって、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】リフロー装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第1加熱特性値の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る第2加熱特性値の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第3加熱特性値推定処理を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定処理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例を説明するための図である。
【図11】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。そこで、まず、一般的なリフロー装置について、図1を用いて説明する。
【0024】
図1は、リフロー装置の一例を示す断面図である。
【0025】
リフロー装置100は、実装基板を加熱することにより、部品を基板にはんだ付けする装置である。リフロー装置100は、基板を搬送する搬送手段であるコンベアと、基板を加熱又は冷却するためのゾーンA〜Fとを有する。ゾーンA〜Cは、基板をはんだの溶融点未満の所定温度範囲に所定時間だけ保持されるように予備加熱するための予熱ゾーンである。また、ゾーンD、Eは、はんだの溶融点以上の所定温度範囲に所定時間だけ保持されるようにリフロー加熱するためのリフローゾーンである。また、ゾーンFは、加熱された基板を冷却するための冷却ゾーンである。
【0026】
これらの各ゾーンでは、それぞれ独立して雰囲気温度が制御される。具体的には、リフロー装置100は、各ゾーンごとに設定された設定温度と各ゾーンの雰囲気温度とが一致するように、各ゾーンに配置された加熱器又は冷却器を制御する。
【0027】
しかしながら、加熱能力もしくは冷却能力、又は放熱特性などリフロー装置100の特性などにより、設定温度と実際の雰囲気温度とが一致しない場合がある。特に、各ゾーンの境界では、隣接するゾーンからガス(加熱された、空気又は窒素等の流体など)が流入又は流出するため、温度干渉領域が形成され、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離することが多い。
【0028】
このようなリフロー装置100内を搬送される対象基板の温度プロファイルを高精度に推定するための温度プロファイル推定装置について、以下に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
温度プロファイル推定装置10は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。具体的には、温度プロファイル推定装置10は、第1加熱特性値取得部11と、第2加熱特性値取得部12と、第3加熱特性値推定部13と、温度プロファイル推定部14とを備える。
【0032】
第1加熱特性値取得部11は、第1加熱特性値を区分ごとに取得する。第1加熱特性値は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。具体的には、第1加熱特性値は、例えば、設定温度Taに設定された各区分内を搬送される対象基板の温度を測定した結果を用いて、式(1)に従って算出される。
【0033】
【数1】
【0034】
ここで、mは加熱特性値であり、tは区分を通過するのに要した時間であり、Taは区分の設定温度であり、Tintは区分の入口における基板温度であり、Tsは区分の出口における基板温度である。
【0035】
なお、区分とは、リフロー装置内を搬送方向に分割した空間を示す。本実施の形態のように、区分は、ゾーンA〜F等をさらに細分化した空間であることが品質的に好ましいが、基板の温度プロファイルに悪影響がなければ、ゾーンと同一であってもよい。また、加熱条件とは、リフロー装置内を搬送される基板を加熱するための条件であり、例えば、各ゾーンの設定温度と基板の搬送速度とを示す。
【0036】
第2加熱特性値取得部12は、第2加熱特性値を区分ごとに取得する。第2加熱特性値は、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。具体的には、第2加熱特性値は、例えば、設定温度Taに設定された各区分内を搬送される対象基板の温度を測定した結果を用いて、式(1)に従って算出される。
【0037】
第3加熱特性値推定部13は、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、第3加熱特性値を区分ごとに推定する。第3加熱特性値は、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。
【0038】
つまり、第3加熱特性値推定部13は、第1加熱条件が示す設定温度と、第2加熱条件が示す設定温度との内側又は外側の設定温度における加熱特性値を補間することにより、第3加熱条件が示す設定温度における加熱特性値を第3加熱特性値として推定する。なお、補間とは、内挿及び外挿を含み、典型的には線形補間である。
【0039】
ここで、第3加熱条件は、所与の加熱条件の一例であり、温度プロファイルを推定するために与えられる加熱条件である。所与の加熱条件を変更しながら、温度プロファイルを推定することにより、温度プロファイルを予め定められた温度条件に適合させるための加熱条件を探索することができる。
【0040】
温度プロファイル推定部14は、推定された第3加熱特性値を用いて、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定する。これにより、温度プロファイル推定部14は、第3加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。
【0041】
具体的には、温度プロファイル推定部14は、例えば、第3加熱条件が示す区分ごとの設定温度Ta、及び第3加熱特性値mとを用いて、式(2)に従って、区分ごとに対象基板の温度変化を推定する。
【0042】
【数2】
【0043】
次に、以上のように構成された温度プロファイル推定装置10における各種動作について、図3〜図7を用いて説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る第1加熱特性値の一例を示す図である。また、図5は、本発明の実施の形態1に係る第2加熱特性値の一例を示す図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係る第3加熱特性値推定処理を説明するための図である。また、図7は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定処理を説明するための図である。
【0045】
まず、第1加熱特性値取得部11は、第1加熱特性値を区分ごとに取得する(S101)。図4に示すように、第1加熱特性値取得部11は、第1加熱条件41が示す設定温度(例えば、下限値)に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイル42から算出される第1加熱特性値m1iを取得する。
【0046】
なお、第1加熱条件41は、ゾーンA〜Fの設定温度が、順に、160℃、160℃、160℃、230℃、230℃、90℃であり、搬送速度が0.6m/minであることを示す。
【0047】
また、温度プロファイル42は、第1加熱条件41に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板に熱電対などの温度センサを取り付けて温度を測定することにより得られた温度プロファイルである。
【0048】
続いて、第2加熱特性値取得部12は、第2加熱特性値を区分ごとに取得する(S102)。図5に示すように、第2加熱特性値取得部12は、第2加熱条件51が示す設定温度(例えば、上限値)に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイル52から算出される第2加熱特性値m2iを取得する。
【0049】
なお、第2加熱条件51は、ゾーンA〜Fの設定温度が、順に、190℃、190℃、190℃、260℃、260℃、120℃であり、搬送速度が0.6m/minであることを示す。つまり、第2加熱条件51が示す設定温度は、第1加熱条件41が示す設定温度よりも高い。
【0050】
また、温度プロファイル52は、第2加熱条件51に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板に熱電対などの温度センサを取り付けて温度を測定することにより得られた温度プロファイルである。
【0051】
続いて、第3加熱特性値推定部13は、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、各ゾーンを細分化した区分ごとに第3加熱特性値を推定する(S103)。例えば、ある区分において、設定温度が160℃のときの第1加熱特性値m1iと設定温度が190℃のときの第2加熱特性値m2iとが取得されていた場合、設定温度180℃のときの第3加熱特性値m3iは、図6のグラフに示すように、160℃と190℃との内側の加熱特性値を内挿することにより推定される。
【0052】
なお、一般的に、設定温度が低い場合よりも設定温度が高い場合の方が、設定温度と実際の雰囲気温度との差が大きくなりやすい。そこで、第2加熱条件51が示す設定温度は、各ゾーンにおけるリフロー装置の加熱能力によって定まる温度であることが好ましい。具体的には、第2加熱条件51が示す設定温度は、例えば、ゾーンを安定して加熱することができる上限の設定温度であることが好ましい。これにより、温度プロファイル推定装置10は、設定温度と雰囲気温度との差が大きくなる可能性が高い加熱条件における加熱特性値を、高精度に推定することができるので、温度プロファイルの推定精度を向上させることができる。また例えば、第1加熱条件41が示す設定温度は、基板のリフローはんだ付けのために、ゾーンを安定して加熱することができる下限値であることが好ましい。
【0053】
次に、温度プロファイル推定部14は、推定された第3加熱特性値を用いて、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定することにより、温度プロファイルを推定する(S104)。
【0054】
例えば、図7に示すように、温度プロファイル推定部14は、各区分において、第3加熱条件71が示す設定温度に従って加熱される対象基板の第3加熱特性値m3iを用いて、温度プロファイル72を推定する。なお、温度プロファイル推定部14は、さらに、この第3加熱条件71を変更しながら、温度プロファイル72が所定の温度条件73を満たす加熱条件を探索してもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置10は、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができる。したがって、温度プロファイル推定装置10は、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【0056】
つまり、本来、加熱特性値は、実際の雰囲気温度を用いて算出されれば一定値であるが、設定温度を用いて算出した場合、設定温度と雰囲気温度とが乖離したときに変動する。したがって、従来のように、設定温度と雰囲気温度とが一致していることを前提に、加熱特性値を一定値として温度プロファイルを推定した場合には、設定温度と雰囲気温度とが乖離したときに温度プロファイルに推定誤差が生じる。そこで、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置10は、設定温度に応じた第3加熱特性値を用いて温度プロファイルを推定することにより、高精度に温度プロファイルを区分ごとに推定することが可能となる。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0058】
本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20は、第2加熱特性値の取得に関する処理が実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置10と異なるが、他の処理については同様である。したがって、以下に、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0059】
図8は、本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。図8において、図2と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
第4加熱特性値取得部21は、第4加熱特性値を区分ごとに取得する。第4加熱特性値は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す。つまり、第4加熱特性値は、第1加熱特性値が得られるときと同一の加熱条件(第1加熱条件)に従って加熱された、第1加熱特性値が得られるときの基板(対象基板)と異なる基板(基準基板)の加熱特性値である。
【0061】
第5加熱特性値取得部22は、第5加熱特性値を区分ごとに取得する。第5加熱特性値は、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す。
【0062】
第2加熱特性値取得部23は、第4加熱特性値に対する第1加熱特性値の比を用いて、第5加熱特性値を第2加熱特性値へ区分ごとに変換することにより、第2加熱特性値を区分ごとに取得する。
【0063】
具体的には、第2加熱特性値取得部23は、例えば、式(3)に示すように、第4加熱特性値に対する第1加熱特性値の比を用いて、第5加熱特性値を第2加熱特性値へ区分ごとに変換する。
【0064】
【数3】
【0065】
ここで、m1iは、区分iにおける第1加熱特性値である。また、m2iは、区分iにおける第2加熱特性値である。また、m4iは、区分iにおける第4加熱特性値である。また、m5iは、区分iにおける第5加熱特性値である。
【0066】
次に、以上のように構成された温度プロファイル推定装置20における各種動作について、図9を用いて説明する。
【0067】
図9は、本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。なお、図9において、図3と同一のステップについては同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
第1加熱特性値が取得された後、第4加熱特性値取得部21は、第4加熱特性値を区分ごとに取得する(S201)。具体的には、第4加熱特性値取得部21は、第1加熱条件41が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の測定された温度プロファイルから算出される第4加熱特性値m4iを取得する。
【0069】
また、第5加熱特性値取得部22は、第5加熱特性値を区分ごとに取得する(S202)。具体的には、第5加熱特性値取得部22は、第2加熱条件51が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の測定された温度プロファイルから算出される第5加熱特性値m5iを取得する。
【0070】
そして、第2加熱特性値取得部23は、第4加熱特性値m4iに対する第1加熱特性値m1iの比を用いて、第5加熱特性値m5iを第2加熱特性値m2iへ区分ごとに変換する(S203)。つまり、第2加熱特性値取得部23は、第2加熱条件51に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板の温度プロファイル52を測定することなく、第2加熱特性値m2iを取得することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20は、第2加熱特性値を得るために、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイルを測定する必要がない。したがって、対象基板が変わるたびに測定しなければならない温度プロファイルの数を減らすことができ、作業者の作業負荷を低減することができる。
【0072】
つまり、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20では、基準基板の温度プロファイルを測定する負荷は増加するが、対象基板の温度プロファイルを測定する負荷は軽減する。したがって、温度プロファイル推定装置20は、生産すべき基板が変更されるなどにより、温度プロファイルを推定すべき対象基板が変更される場合などに、温度プロファイルを測定する作業者の負荷を軽減させることができる。
【0073】
以上、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0074】
例えば、上記実施の形態1及び2において、第3加熱特性値推定部13は、2つの加熱特性値に基づく補間により、第3加熱特性値を推定していたが、さらに多くの加熱特性値に基づく補間により、第3加熱特性値を推定してもよい。この場合、第2加熱特性値取得部12、23及び第5加熱特性値取得部22は、第2加熱条件が示す設定温度とは異なる設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板又は基準基板の加熱特性値をさらに取得する。
【0075】
図10は、本発明の変形例を説明するための図である。図10に示すように、第3加熱特性値推定部13は、例えば、4つの加熱特性値に基づく区分線形補間などにより、第3加熱特性値を推定してもよい。これにより、第3加熱特性値推定部13は、さらに高精度に第3加熱特性値を推定することができる。なお、第3加熱特性値推定部13は、線形補間だけではなく、2次以上の多項式補間など曲線補間により、第3加熱特性値を推定してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態1又は2に係る温度プロファイル推定装置10、20は、リフロー装置100に備えられてもよい。
【0077】
また、図1に示したリフロー装置100は一例であり、異なるゾーン構成のリフロー装置であっても本発明は適用されうる。例えば、リフロー装置100が冷却ゾーンを備えない場合であっても、温度プロファイル推定装置10、20は、高精度に温度プロファイルを推定することができる。
【0078】
さらに、本発明は、このような温度プロファイル推定装置の特徴的な構成要素が行う処理を実行する温度プロファイル推定方法として実現することもできる。また、その温度プロファイル推定方法を図11に示すようなコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体、インターネット等の伝送媒体を介して配信することができる。
【0079】
図11は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、例えば、コンピュータが読取可能な媒体であるCD−ROM515に記憶され、CD−ROM装置514を介して読み出される。また例えば、温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、有線若しくは無線ネットワーク、又は放送などを介して伝送される。
【0080】
コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、ハードディスク504、通信インタフェース505等を備える。
【0081】
CPU501は、CD−ROM装置514を介して読み出されたプログラム、又は通信インタフェース505を介して受信したプログラムを実行する。具体的には、CPU501は、CD−ROM装置514を介して読み出されたプログラム、又は通信インタフェース505を介して受信したプログラムをRAM503に展開する。そして、CPU501は、RAM503に展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。
【0082】
ROM502は、コンピュータ500の動作に必要なプログラム及びデータを記憶する読み出し専用メモリである。RAM503は、CPU501がプログラムを実行するときにワークエリアとして使用される。具体的には、RAM503は、例えば、プログラム実行時のパラメータなどのデータを一時的に記憶する。ハードディスク504は、プログラム、データなどを記憶する。
【0083】
通信インタフェース505は、ネットワークを介して他のコンピュータとの通信を行なう。バス506は、CPU501、ROM502、RAM503、ハードディスク504、通信インタフェース505、ディスプレイ511、キーボード512、マウス513及びCD−ROM装置514を相互に接続する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
リフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置などとして利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10、20 温度プロファイル推定装置
11 第1加熱特性値取得部
12、23 第2加熱特性値取得部
13 第3加熱特性値推定部
14 温度プロファイル推定部
21 第4加熱特性値取得部
22 第5加熱特性値取得部
41 第1加熱条件
42、52、72 温度プロファイル
51 第2加熱条件
71 第3加熱条件
73 温度条件
100 リフロー装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー装置は、それぞれが互いに独立して雰囲気温度を制御することができる複数のゾーンを有する。この複数のゾーンの雰囲気温度を適切に制御することにより、リフロー装置の内部を通過する実装基板(電子部品などの部品が実装された基板)の温度プロファイルを予め定められた温度条件に適合させることができる。
【0003】
そこで、実装基板の温度が予め定められた温度条件に適合するように実装基板を加熱するための雰囲気温度を決定するために、雰囲気温度を変更しながら、実装基板の温度プロファイルをシミュレーションする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載の方法では、まず、設定温度と一致するように雰囲気温度が制御された各ゾーンを通過する実装基板の温度プロファイルを測定し、測定した温度プロファイルを用いて、各ゾーン又はゾーンを細分化した各区分における加熱特性値を算出する。そして、算出した加熱特性値を用いて、各ゾーンの雰囲気温度を変更した場合における実装基板の温度プロファイルを推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−64002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加熱能力又は放熱特性などのリフロー装置の特性などにより、設定温度と雰囲気温度とは一致しない場合がある。特に、設定温度が高い場合、放熱の影響が大きくなるため、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離する傾向がある。
【0007】
また、各ゾーンの境界では、隣接するゾーンからガス(加熱された、空気又は窒素等の流体など)が流入又は流出するため、温度干渉領域が形成され、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離することが多い。
【0008】
このように、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離した場合、特許文献1に記載の方法では、設定温度と雰囲気温度とが一致することを前提として温度プロファイルが推定されるため、推定された温度プロファイルの誤差が大きくなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを高精度に推定することができる温度プロファイル推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定方法は、所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法であって、前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得ステップと、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得ステップと、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定ステップと、推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定ステップとを含む。
【0011】
これにより、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができるので、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【0012】
また、さらに、前記第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第4加熱特性値を前記区分ごとに取得する第4加熱特性値取得ステップと、前記第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第5加熱特性値を前記区分ごとに取得する第5加熱特性値取得ステップとを含み、前記第2加熱特性値取得ステップでは、前記第4加熱特性値に対する前記第1加熱特性値の比を用いて、前記第5加熱特性値を前記第2加熱特性値へ前記区分ごとに変換することにより、前記第2加熱特性値を前記区分ごとに取得することが好ましい。
【0013】
これにより、第2加熱特性値を得るために、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイルを測定する必要がなくなる。したがって、対象基板が変わるたびに測定しなければならない温度プロファイルの数を減らすことができ、温度プロファイルを測定するための負荷を低減することができる。
【0014】
また、前記第2加熱条件が示す設定温度は、前記第1加熱条件を示す設定温度よりも高い温度であって、前記各区分における前記リフロー装置の加熱能力によって定まる温度であることが好ましい。
【0015】
これにより、設定温度と雰囲気温度とが一致しない可能性が高い、設定温度が高い場合における加熱特性値を、高精度に推定することができるので、高精度に温度プロファイルを推定することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置は、所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置であって、前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得部と、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得部と、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定部と、推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定部とを備える。
【0017】
これにより、上記温度プロファイル推定方法と同様の効果を奏することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係るリフロー装置は、上記温度プロファイル推定装置を備える。
【0019】
これにより、上記温度プロファイル推定方法と同様の効果を奏することができる。
【0020】
なお、本発明は、このような温度プロファイル推定方法として実現することができるだけでなく、温度プロファイル推定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体、あるいはインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができる。したがって、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】リフロー装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第1加熱特性値の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る第2加熱特性値の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第3加熱特性値推定処理を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定処理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例を説明するための図である。
【図11】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。そこで、まず、一般的なリフロー装置について、図1を用いて説明する。
【0024】
図1は、リフロー装置の一例を示す断面図である。
【0025】
リフロー装置100は、実装基板を加熱することにより、部品を基板にはんだ付けする装置である。リフロー装置100は、基板を搬送する搬送手段であるコンベアと、基板を加熱又は冷却するためのゾーンA〜Fとを有する。ゾーンA〜Cは、基板をはんだの溶融点未満の所定温度範囲に所定時間だけ保持されるように予備加熱するための予熱ゾーンである。また、ゾーンD、Eは、はんだの溶融点以上の所定温度範囲に所定時間だけ保持されるようにリフロー加熱するためのリフローゾーンである。また、ゾーンFは、加熱された基板を冷却するための冷却ゾーンである。
【0026】
これらの各ゾーンでは、それぞれ独立して雰囲気温度が制御される。具体的には、リフロー装置100は、各ゾーンごとに設定された設定温度と各ゾーンの雰囲気温度とが一致するように、各ゾーンに配置された加熱器又は冷却器を制御する。
【0027】
しかしながら、加熱能力もしくは冷却能力、又は放熱特性などリフロー装置100の特性などにより、設定温度と実際の雰囲気温度とが一致しない場合がある。特に、各ゾーンの境界では、隣接するゾーンからガス(加熱された、空気又は窒素等の流体など)が流入又は流出するため、温度干渉領域が形成され、設定温度と実際の雰囲気温度とが乖離することが多い。
【0028】
このようなリフロー装置100内を搬送される対象基板の温度プロファイルを高精度に推定するための温度プロファイル推定装置について、以下に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
温度プロファイル推定装置10は、リフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。具体的には、温度プロファイル推定装置10は、第1加熱特性値取得部11と、第2加熱特性値取得部12と、第3加熱特性値推定部13と、温度プロファイル推定部14とを備える。
【0032】
第1加熱特性値取得部11は、第1加熱特性値を区分ごとに取得する。第1加熱特性値は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。具体的には、第1加熱特性値は、例えば、設定温度Taに設定された各区分内を搬送される対象基板の温度を測定した結果を用いて、式(1)に従って算出される。
【0033】
【数1】
【0034】
ここで、mは加熱特性値であり、tは区分を通過するのに要した時間であり、Taは区分の設定温度であり、Tintは区分の入口における基板温度であり、Tsは区分の出口における基板温度である。
【0035】
なお、区分とは、リフロー装置内を搬送方向に分割した空間を示す。本実施の形態のように、区分は、ゾーンA〜F等をさらに細分化した空間であることが品質的に好ましいが、基板の温度プロファイルに悪影響がなければ、ゾーンと同一であってもよい。また、加熱条件とは、リフロー装置内を搬送される基板を加熱するための条件であり、例えば、各ゾーンの設定温度と基板の搬送速度とを示す。
【0036】
第2加熱特性値取得部12は、第2加熱特性値を区分ごとに取得する。第2加熱特性値は、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。具体的には、第2加熱特性値は、例えば、設定温度Taに設定された各区分内を搬送される対象基板の温度を測定した結果を用いて、式(1)に従って算出される。
【0037】
第3加熱特性値推定部13は、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、第3加熱特性値を区分ごとに推定する。第3加熱特性値は、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の加熱特性を示す。
【0038】
つまり、第3加熱特性値推定部13は、第1加熱条件が示す設定温度と、第2加熱条件が示す設定温度との内側又は外側の設定温度における加熱特性値を補間することにより、第3加熱条件が示す設定温度における加熱特性値を第3加熱特性値として推定する。なお、補間とは、内挿及び外挿を含み、典型的には線形補間である。
【0039】
ここで、第3加熱条件は、所与の加熱条件の一例であり、温度プロファイルを推定するために与えられる加熱条件である。所与の加熱条件を変更しながら、温度プロファイルを推定することにより、温度プロファイルを予め定められた温度条件に適合させるための加熱条件を探索することができる。
【0040】
温度プロファイル推定部14は、推定された第3加熱特性値を用いて、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定する。これにより、温度プロファイル推定部14は、第3加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度プロファイルを推定する。
【0041】
具体的には、温度プロファイル推定部14は、例えば、第3加熱条件が示す区分ごとの設定温度Ta、及び第3加熱特性値mとを用いて、式(2)に従って、区分ごとに対象基板の温度変化を推定する。
【0042】
【数2】
【0043】
次に、以上のように構成された温度プロファイル推定装置10における各種動作について、図3〜図7を用いて説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る第1加熱特性値の一例を示す図である。また、図5は、本発明の実施の形態1に係る第2加熱特性値の一例を示す図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係る第3加熱特性値推定処理を説明するための図である。また、図7は、本発明の実施の形態1に係る温度プロファイル推定処理を説明するための図である。
【0045】
まず、第1加熱特性値取得部11は、第1加熱特性値を区分ごとに取得する(S101)。図4に示すように、第1加熱特性値取得部11は、第1加熱条件41が示す設定温度(例えば、下限値)に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイル42から算出される第1加熱特性値m1iを取得する。
【0046】
なお、第1加熱条件41は、ゾーンA〜Fの設定温度が、順に、160℃、160℃、160℃、230℃、230℃、90℃であり、搬送速度が0.6m/minであることを示す。
【0047】
また、温度プロファイル42は、第1加熱条件41に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板に熱電対などの温度センサを取り付けて温度を測定することにより得られた温度プロファイルである。
【0048】
続いて、第2加熱特性値取得部12は、第2加熱特性値を区分ごとに取得する(S102)。図5に示すように、第2加熱特性値取得部12は、第2加熱条件51が示す設定温度(例えば、上限値)に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイル52から算出される第2加熱特性値m2iを取得する。
【0049】
なお、第2加熱条件51は、ゾーンA〜Fの設定温度が、順に、190℃、190℃、190℃、260℃、260℃、120℃であり、搬送速度が0.6m/minであることを示す。つまり、第2加熱条件51が示す設定温度は、第1加熱条件41が示す設定温度よりも高い。
【0050】
また、温度プロファイル52は、第2加熱条件51に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板に熱電対などの温度センサを取り付けて温度を測定することにより得られた温度プロファイルである。
【0051】
続いて、第3加熱特性値推定部13は、第1加熱特性値と第2加熱特性値とに基づく補間により、各ゾーンを細分化した区分ごとに第3加熱特性値を推定する(S103)。例えば、ある区分において、設定温度が160℃のときの第1加熱特性値m1iと設定温度が190℃のときの第2加熱特性値m2iとが取得されていた場合、設定温度180℃のときの第3加熱特性値m3iは、図6のグラフに示すように、160℃と190℃との内側の加熱特性値を内挿することにより推定される。
【0052】
なお、一般的に、設定温度が低い場合よりも設定温度が高い場合の方が、設定温度と実際の雰囲気温度との差が大きくなりやすい。そこで、第2加熱条件51が示す設定温度は、各ゾーンにおけるリフロー装置の加熱能力によって定まる温度であることが好ましい。具体的には、第2加熱条件51が示す設定温度は、例えば、ゾーンを安定して加熱することができる上限の設定温度であることが好ましい。これにより、温度プロファイル推定装置10は、設定温度と雰囲気温度との差が大きくなる可能性が高い加熱条件における加熱特性値を、高精度に推定することができるので、温度プロファイルの推定精度を向上させることができる。また例えば、第1加熱条件41が示す設定温度は、基板のリフローはんだ付けのために、ゾーンを安定して加熱することができる下限値であることが好ましい。
【0053】
次に、温度プロファイル推定部14は、推定された第3加熱特性値を用いて、第3加熱条件が示す設定温度に従って加熱された区分内を搬送される対象基板の温度の時間変化を区分ごとに推定することにより、温度プロファイルを推定する(S104)。
【0054】
例えば、図7に示すように、温度プロファイル推定部14は、各区分において、第3加熱条件71が示す設定温度に従って加熱される対象基板の第3加熱特性値m3iを用いて、温度プロファイル72を推定する。なお、温度プロファイル推定部14は、さらに、この第3加熱条件71を変更しながら、温度プロファイル72が所定の温度条件73を満たす加熱条件を探索してもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置10は、設定温度と雰囲気温度とが一致しないことなどの理由により発生する温度プロファイルの推定誤差を、設定温度に応じた加熱特性値を用いて低減することができる。したがって、温度プロファイル推定装置10は、高精度に温度プロファイルを推定することが可能となる。
【0056】
つまり、本来、加熱特性値は、実際の雰囲気温度を用いて算出されれば一定値であるが、設定温度を用いて算出した場合、設定温度と雰囲気温度とが乖離したときに変動する。したがって、従来のように、設定温度と雰囲気温度とが一致していることを前提に、加熱特性値を一定値として温度プロファイルを推定した場合には、設定温度と雰囲気温度とが乖離したときに温度プロファイルに推定誤差が生じる。そこで、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置10は、設定温度に応じた第3加熱特性値を用いて温度プロファイルを推定することにより、高精度に温度プロファイルを区分ごとに推定することが可能となる。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0058】
本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20は、第2加熱特性値の取得に関する処理が実施の形態1に係る温度プロファイル推定装置10と異なるが、他の処理については同様である。したがって、以下に、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0059】
図8は、本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の機能構成を示すブロック図である。図8において、図2と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
第4加熱特性値取得部21は、第4加熱特性値を区分ごとに取得する。第4加熱特性値は、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す。つまり、第4加熱特性値は、第1加熱特性値が得られるときと同一の加熱条件(第1加熱条件)に従って加熱された、第1加熱特性値が得られるときの基板(対象基板)と異なる基板(基準基板)の加熱特性値である。
【0061】
第5加熱特性値取得部22は、第5加熱特性値を区分ごとに取得する。第5加熱特性値は、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す。
【0062】
第2加熱特性値取得部23は、第4加熱特性値に対する第1加熱特性値の比を用いて、第5加熱特性値を第2加熱特性値へ区分ごとに変換することにより、第2加熱特性値を区分ごとに取得する。
【0063】
具体的には、第2加熱特性値取得部23は、例えば、式(3)に示すように、第4加熱特性値に対する第1加熱特性値の比を用いて、第5加熱特性値を第2加熱特性値へ区分ごとに変換する。
【0064】
【数3】
【0065】
ここで、m1iは、区分iにおける第1加熱特性値である。また、m2iは、区分iにおける第2加熱特性値である。また、m4iは、区分iにおける第4加熱特性値である。また、m5iは、区分iにおける第5加熱特性値である。
【0066】
次に、以上のように構成された温度プロファイル推定装置20における各種動作について、図9を用いて説明する。
【0067】
図9は、本発明の実施の形態2に係る温度プロファイル推定装置の動作を示すフローチャートである。なお、図9において、図3と同一のステップについては同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
第1加熱特性値が取得された後、第4加熱特性値取得部21は、第4加熱特性値を区分ごとに取得する(S201)。具体的には、第4加熱特性値取得部21は、第1加熱条件41が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の測定された温度プロファイルから算出される第4加熱特性値m4iを取得する。
【0069】
また、第5加熱特性値取得部22は、第5加熱特性値を区分ごとに取得する(S202)。具体的には、第5加熱特性値取得部22は、第2加熱条件51が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される基準基板の測定された温度プロファイルから算出される第5加熱特性値m5iを取得する。
【0070】
そして、第2加熱特性値取得部23は、第4加熱特性値m4iに対する第1加熱特性値m1iの比を用いて、第5加熱特性値m5iを第2加熱特性値m2iへ区分ごとに変換する(S203)。つまり、第2加熱特性値取得部23は、第2加熱条件51に従って加熱されたリフロー装置100内を搬送される対象基板の温度プロファイル52を測定することなく、第2加熱特性値m2iを取得することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20は、第2加熱特性値を得るために、第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板の温度プロファイルを測定する必要がない。したがって、対象基板が変わるたびに測定しなければならない温度プロファイルの数を減らすことができ、作業者の作業負荷を低減することができる。
【0072】
つまり、本実施の形態に係る温度プロファイル推定装置20では、基準基板の温度プロファイルを測定する負荷は増加するが、対象基板の温度プロファイルを測定する負荷は軽減する。したがって、温度プロファイル推定装置20は、生産すべき基板が変更されるなどにより、温度プロファイルを推定すべき対象基板が変更される場合などに、温度プロファイルを測定する作業者の負荷を軽減させることができる。
【0073】
以上、本発明の一態様に係る温度プロファイル推定装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0074】
例えば、上記実施の形態1及び2において、第3加熱特性値推定部13は、2つの加熱特性値に基づく補間により、第3加熱特性値を推定していたが、さらに多くの加熱特性値に基づく補間により、第3加熱特性値を推定してもよい。この場合、第2加熱特性値取得部12、23及び第5加熱特性値取得部22は、第2加熱条件が示す設定温度とは異なる設定温度に従って加熱された各区分内を搬送される対象基板又は基準基板の加熱特性値をさらに取得する。
【0075】
図10は、本発明の変形例を説明するための図である。図10に示すように、第3加熱特性値推定部13は、例えば、4つの加熱特性値に基づく区分線形補間などにより、第3加熱特性値を推定してもよい。これにより、第3加熱特性値推定部13は、さらに高精度に第3加熱特性値を推定することができる。なお、第3加熱特性値推定部13は、線形補間だけではなく、2次以上の多項式補間など曲線補間により、第3加熱特性値を推定してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態1又は2に係る温度プロファイル推定装置10、20は、リフロー装置100に備えられてもよい。
【0077】
また、図1に示したリフロー装置100は一例であり、異なるゾーン構成のリフロー装置であっても本発明は適用されうる。例えば、リフロー装置100が冷却ゾーンを備えない場合であっても、温度プロファイル推定装置10、20は、高精度に温度プロファイルを推定することができる。
【0078】
さらに、本発明は、このような温度プロファイル推定装置の特徴的な構成要素が行う処理を実行する温度プロファイル推定方法として実現することもできる。また、その温度プロファイル推定方法を図11に示すようなコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体、インターネット等の伝送媒体を介して配信することができる。
【0079】
図11は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、例えば、コンピュータが読取可能な媒体であるCD−ROM515に記憶され、CD−ROM装置514を介して読み出される。また例えば、温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、有線若しくは無線ネットワーク、又は放送などを介して伝送される。
【0080】
コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、ハードディスク504、通信インタフェース505等を備える。
【0081】
CPU501は、CD−ROM装置514を介して読み出されたプログラム、又は通信インタフェース505を介して受信したプログラムを実行する。具体的には、CPU501は、CD−ROM装置514を介して読み出されたプログラム、又は通信インタフェース505を介して受信したプログラムをRAM503に展開する。そして、CPU501は、RAM503に展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。
【0082】
ROM502は、コンピュータ500の動作に必要なプログラム及びデータを記憶する読み出し専用メモリである。RAM503は、CPU501がプログラムを実行するときにワークエリアとして使用される。具体的には、RAM503は、例えば、プログラム実行時のパラメータなどのデータを一時的に記憶する。ハードディスク504は、プログラム、データなどを記憶する。
【0083】
通信インタフェース505は、ネットワークを介して他のコンピュータとの通信を行なう。バス506は、CPU501、ROM502、RAM503、ハードディスク504、通信インタフェース505、ディスプレイ511、キーボード512、マウス513及びCD−ROM装置514を相互に接続する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
リフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置などとして利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10、20 温度プロファイル推定装置
11 第1加熱特性値取得部
12、23 第2加熱特性値取得部
13 第3加熱特性値推定部
14 温度プロファイル推定部
21 第4加熱特性値取得部
22 第5加熱特性値取得部
41 第1加熱条件
42、52、72 温度プロファイル
51 第2加熱条件
71 第3加熱条件
73 温度条件
100 リフロー装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法であって、
前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得ステップと、
第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得ステップと、
前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定ステップと、
推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定ステップとを含む
温度プロファイル推定方法。
【請求項2】
さらに、
前記第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第4加熱特性値を前記区分ごとに取得する第4加熱特性値取得ステップと、
前記第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第5加熱特性値を前記区分ごとに取得する第5加熱特性値取得ステップとを含み、
前記第2加熱特性値取得ステップでは、前記第4加熱特性値に対する前記第1加熱特性値の比を用いて、前記第5加熱特性値を前記第2加熱特性値へ前記区分ごとに変換することにより、前記第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する
請求項1に記載の温度プロファイル推定方法。
【請求項3】
前記第2加熱条件が示す設定温度は、前記第1加熱条件を示す設定温度よりも高い温度であって、前記各区分における前記リフロー装置の加熱能力によって定まる温度である
請求項1又は2に記載の温度プロファイル推定方法。
【請求項4】
所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置であって、
前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得部と、
第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得部と、
前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定部と、
推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定部とを備える
温度プロファイル推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の温度プロファイル推定装置を備えるリフロー装置。
【請求項6】
請求項1に記載の温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定方法であって、
前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得ステップと、
第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得ステップと、
前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定ステップと、
推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定ステップとを含む
温度プロファイル推定方法。
【請求項2】
さらに、
前記第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第4加熱特性値を前記区分ごとに取得する第4加熱特性値取得ステップと、
前記第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される基準基板の加熱特性を示す第5加熱特性値を前記区分ごとに取得する第5加熱特性値取得ステップとを含み、
前記第2加熱特性値取得ステップでは、前記第4加熱特性値に対する前記第1加熱特性値の比を用いて、前記第5加熱特性値を前記第2加熱特性値へ前記区分ごとに変換することにより、前記第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する
請求項1に記載の温度プロファイル推定方法。
【請求項3】
前記第2加熱条件が示す設定温度は、前記第1加熱条件を示す設定温度よりも高い温度であって、前記各区分における前記リフロー装置の加熱能力によって定まる温度である
請求項1又は2に記載の温度プロファイル推定方法。
【請求項4】
所与の加熱条件で加熱されたリフロー装置内を搬送される対象基板の温度の時間変化を示す温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定装置であって、
前記リフロー装置内を搬送方向に分割した区分ごとに、第1加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第1加熱特性値を取得する第1加熱特性値取得部と、
第2加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第2加熱特性値を前記区分ごとに取得する第2加熱特性値取得部と、
前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の加熱特性を示す第3加熱特性値を、前記第1加熱特性値と前記第2加熱特性値とに基づく補間により、前記区分ごとに推定する第3加熱特性値推定部と、
推定された前記第3加熱特性値を用いて、前記所与の加熱条件が示す設定温度に従って加熱された前記区分内を搬送される前記対象基板の温度の時間変化を前記区分ごとに推定することにより、前記温度プロファイルを推定する温度プロファイル推定部とを備える
温度プロファイル推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の温度プロファイル推定装置を備えるリフロー装置。
【請求項6】
請求項1に記載の温度プロファイル推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−176239(P2011−176239A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40896(P2010−40896)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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