説明

温度制御層が形成された調理加熱器具[APPARATUSFORCOOKINGBYHEATCONVECTIONCOMPRISINGTEMPERATURECONTROLLAYER]

【課題】調理加熱器具の過度な温度上昇を抑制して、食べ物が焦げないように温度制御できる調理加熱器具を提供する。
【解決手段】食べ物が調理される加熱部を具備する調理加熱器具に於いて、上記の加熱部の一面に温度を制御する温度制御層20、30が形成され、上記の温度制御層20,30は膨張黒鉛を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理加熱器具に関することで、もっと詳しくは調理加熱器具の過度な温度上昇を抑制して食べ物が焦げないように制御する温度制御層が形成された調理加熱器具に関することである。
【0002】
一般的に高温の熱を伝達されたフライパン、鍋、焼肉用鉄板などの加熱調理器具はアルミニウムあるいはステンレス素材を使用して製造していて、最近はこの素材らの耐久性、耐熱性を向上させるために多様な研究が進んでいる。
【0003】
しかし、このような素材で製造された加熱調理器具は熱の伝達が優れ、伝達された熱の大部分を調理対象物に伝達するので、ガスレンジと同じ加熱装置を利用する場合、加熱時間が3分を経過すると400℃以上に加熱して食べ物が焦げしてしまう問題が発生する。
【0004】
あるいは、加熱調理器具の使用者らは食べ物の調理が完了されることを待たないで他の仕事を並行することが一般的なのであっという間に調理器具が過熱されて大火事になる問題が発生する。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記と同じ問題を解決するために発案されたものであり、調理加熱器具の過度な温度上昇を抑制して食べ物が焦げないように温度制御層が形成された調理加熱器具を提供する。

【課題を解決するための手段】
【0006】
上記と同じ目的を達成するために本発明の調理加熱器具は食べ物が調理される加熱部を具備する調理加熱器具に於いて、上記の加熱部の一面には温度を制御する温度制御層が形成されて、上記の温度制御層は膨張黒鉛(Expandable Graphite)を含む。
【0007】
温度制御層は膨張黒鉛とフリット(Frit)系のセラミック物質が混合され0.2〜10μmの厚さで形成される。そして温度制御層はフリット(Frit)系のセラミック物質と膨張黒鉛が10:1〜10:3の重量比で混合し形成される。この際、上記のフリット(Frit)系のセラミック物質の代わりにテフロン(登録商標)(Teflon)が混合されることもある。
【0008】
また、膨張黒鉛は膨張倍率が30乃至150倍で、平均粒度(Size)が0.1〜9μmとなるように制御できる。
【0009】
そして、調理加熱器具はフライパン、焼肉用鉄板、釜の蓋(鉄で作られたもの)、パン焼き機、オーブン、トースター、グリル及び炒め調理器具中の一つである。
【0010】
上記と同じ目的を達成するために本発明の調理加熱器具の製造方法は黒鉛を250℃〜800℃で熱処理して膨張黒鉛を製造する第1段階、上記の膨張黒鉛を0.1〜9μmの大きさで粉砕する第2段階、及び上記粉砕された膨張黒鉛にフリット(Frit)系のセラミック物質を混合して、液体に混ぜ、調理器具の内側面に噴射して温度調節層を形成する第3段階を含める。
【0011】
そしてフリット(Frit)系のセラミック物質はNa2Si03,及びA1203-Si02 などで成り立つグルプから選択された一つである。
【0012】
この時、第3段階は上記膨張黒鉛とフリット(Frit)系のセラミック物質を10:1〜10:3の重量比で混合し水と混ぜ、上記調理加熱器具の内側面に噴射して成り立つ。

【発明の効果】
【0013】
本発明によると温度制御層により調理加熱器具の昇温速度が緩慢するので食べ物がよく熟成され、高熱で加熱しても調理加熱器具の温度が350℃以上上がらないので食べ物が焦げない長所がある。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施例による調理加熱器具の斜視図である。
【図2】図2は、図1をA-A’方向で見た断面図である。
【図3】図3は一般の調理加熱器具と本発明の実施例による調理加熱器具を加熱時、内側面からの温度変化を測定したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は多様な変更が可能でいろんな実施例を持つことができ、特定の実施例らを図面に例示して詳細に説明する。
【0016】
しかし、これは本発明を特定した実施形態に対して限定することではないし、本発明の思想及び技術範囲に含まれたすべての変更、均等物乃至入替え物を含むことで理解すべきである。
【0017】
本出願で使用している用語はただ、特定な実施例を説明するためにしようすることで、本発明を限定する意図ではない。
【0018】
単数の表現は文脈上の明白に異なることではない限り、複数の表現を含む。
【0019】
本出願で、“含む”あるいは“持つ”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品あるいはこれらを組み合わせたことが存在することを意味し、一つまた、その以上の他の特徴らと数字、段階、動作、構成要素、部品あるいはこれを組み合わせたことの存在また付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0020】
また、本出願で添付した図面は説明の便意のために拡大あるいは縮小して図示されたことで理解すべきである。
【0021】
これから本発明に対する図面を参考して詳細に説明し、図面符号に関係なく同じであるか対応する構成要素は同一な参照番号を付与してこれに対して重複する説明は省略することにする。
【0022】
図1を参照する時、本発明の実施例による調理加熱器具は熱と接続される加熱部10と摘みで構成され、上記加熱部10は1次的に熱を直接伝達された外側面と、上記外側面の反対面として調理対象物が置かれて熱を伝達もらえる内側面で構成される。
【0023】
上記調理加熱器具は外側面が熱によって加熱することで、その反対面である内側面で食べ物が調理できる器具としてその種類には制限がない。具体的な例は一面あるいは両面のフライパン、焼肉用鉄板、釜の蓋、及びその他の炒め調理器具中から選択される一つである。また、具体的な実施例としてパン焼き機、オーブン、トースター、グリルなどから選択されたどの一つである。
上記内側面では加熱温度を制御する温度制御層20が形成される。
【0024】
上記温度制御層20は加熱時、所定の温度以上で内側面が加熱されることを防止する機能を遂行する。
上記温度制御層20は上記内側面に一定な厚さで形成され食べ物が焦げないように温度を制御する役割を遂行して、食べ物を調理する火力が高すぎる場合でも上記内側面を食べ物が調理できる最適な温度で維持できる長所がある。
【0025】
上記温度制御層20は大きく分けて膨張黒鉛とフリット(Frit)系セラミックス物質で構成される。まず、膨張黒鉛について述べる。上記膨張黒鉛は燐酸黒鉛を所定の温度で熱処理して黒鉛の層間の距離を膨張させて製造する。
【0026】
一般的な黒鉛の層間の距離は3.40〜3.55Åである反面、本発明の実施例による膨張黒鉛の層間の郷里は3.40〜3.55Åの30〜150倍まで膨張するようになる。
【0027】
この時、上記の膨張黒鉛の層間の距離が3.55Åの30倍以下である場合には一般的に食べ物が調理する温度より高い温度で制御され、安く食べ物が焦げる問題があり、反対に上記の膨張黒鉛の層間の距離が3.40〜3.55Åの150倍以上である場合には加熱温度が落ち、食べ物が調理できない問題がある。
【0028】
上記のフリット系のセラミック物質は一般的なエナメルコーティングに使用される物質が全部適用し、具体的にはNa2SiO3,及びAl2O3-SiO2などで成り立つグループから選択されたいずれか一つ以上の物質で構成される。
【0029】
上記のフリット系のセラミック物質は膨張黒鉛と10:1〜10:3の重量比で混合し構成する。上記のフリット系のセラミック物質は上記の膨張黒鉛が調理加熱器具の内側面に均質に塗布できるようにする長所があり、付随的に遠赤外線の放出効果によって食べ物が万遍なく火が通るようにする効果がある。
【0030】
上記のフリット系のセラミック物質と膨張黒鉛の比が10:1未満である場合には膨張黒鉛の比率が少ないから欲しい温度で調理加熱器具の温度を制御できない問題があるし、10:3を超過する場合には膨張黒鉛の比率が高くてコーティングができない問題がある。
【0031】
この時、上記のフリット系のセラミック物質代わりにテフロンを混合してもいい。
【0032】
上記のテフロンと膨張黒鉛を混合する場合には10:3〜10:6の重量比で混合するのが望ましい。
【0033】
重量比が上記範囲を外れる場合は効果が発現しなかったりコーティングができない問題がある。
【0034】
上記温度制御層20は上記の膨張黒鉛とフリット系のセラミック物質が混合され、上記の調理加熱器具の内側面に0.2〜10μmで形成することができる。
【0035】
上記の温度制御層20が0.2μm以下に形成される場合には薄過ぎて欲しい温度領域で十分に制御できないし、10μm以上の厚さで形成される場合には上記調理加熱器具の内側面に均質な厚さで形成されにくい問題がある。
【0036】
この時、上記膨張黒鉛の平均粒経が0.1μm以下である場合には粒子が小さ過ぎて上記温度制御層20内部で分散して下部で加熱される熱を完全に遮断できない問題があるし、平均粒経が0.9μm以上である場合には膨張黒鉛の粒子が大きくて温度制御層(20)の表面が凸凹し食べ物に万遍なく温度を伝達しにく問題がある。
【0037】
従って、上記膨張黒鉛の平均粒経は0.1〜0.9μmであるのが望ましい。
【0038】
また上記温度制御層20上面にはテフロン(図なし)がもっと形成されることもある。
【0039】
上記テフロン層によって食べ物が焦げ付かない効果があるし、食べ物調理後、油や異物が着かないから洗滌が楽になる長所がある。
【0040】
上記調理加熱器具の外側下面には上記温度制御層30がもっと形成される。(以下“下部温度制御層”と定義する。)
【0041】
上記下部温度制御層30の構成は上記調理加熱器具の内側面に形成された温度制御層20と同一な物質に形成されるし、上記下部温度制御層30による加熱される温度を2重に制御され、食べ物に伝達され温度をもっと均一に制御できる長所がある。
【0042】
この時、上記下部温度制御層20は0.2〜2μmの厚さで形成することができる。
【0043】
以下では本発明の一実施例による調理加熱器具の製造方法について述べる。
【0044】
本発明の実施例による調理加熱器具の製造方法は黒鉛を250℃〜800℃で熱処理して膨張黒鉛を製造する第1段階と、上記膨張黒鉛を0.1〜9μmの大きさで粉砕する第2段階と、上記粉砕された膨張黒鉛にフリット系のセラミック物質と水を混合して調理加熱器具の内側面に噴射する第3段階を含む。
【0045】
まず、膨張黒鉛を製造する第1段階に対して述べると、燐酸黒鉛の層間に科学品を挿入(Intercalation)する。この時、上記科学品には硫酸あるいはアルカリ金属などと一緒に一般的に黒鉛の層間に挿入される物質を全て適用することができる。
【0046】
今後、これを水(H2O)で洗滌し挿入された科学品を除いた後、乾燥させる。
【0047】
このように乾燥された黒鉛を真空中において250〜800℃で熱処理して膨張黒鉛を製造される。
【0048】
上記と同じ熱処理を通じって膨張黒鉛の層間の距離は3.55Å〜150倍に膨張するようになる。
【0049】
上記膨張黒鉛を粉砕する第2段階について述べると、上記第1段階を通じて製造された膨張黒鉛を0.1〜9μmの大きさで粉砕する。
【0050】
この時、上記粉砕方法について制約はなく、一般的な膨張黒鉛の粉砕方法が全て適用可能である。
【0051】
次に調理加熱器具の内側面に噴射する第3段階について述べる。
【0052】
まず上記第2段階を通じてフリット系のセラミック物質と膨張黒鉛を10:1〜10:3の重量比で混合する。
【0053】
上記混合物質を水あるいはアルコールに混ぜ、調理加熱器具に0.2〜10μmの厚さに塗布できるように噴射する。
【0054】
以後、400〜500℃の温度で加熱後、常温まで冷却して上記温度調節層が上記加熱器具の内側面に有効に固定するようにする。
【0055】
この時、フリット系セラミック物質代わりにテフロンを膨張黒鉛と10:3〜10:6の重量比で混合することもある。
【0056】
また、下部の温度調節層を調理加熱器具の下部に前出した方法と同一に形成されることもできる。
【0057】
以下では一般的なフライパン(P1)と本発明の実施例による温度制御層が形成されたフライパン(P2)を一般家庭用のガスレンジに加熱して昇温及び時間を測定した結果について説明する。
【0058】
図3は一般調理加熱器具と本発明の実施例による調理加熱器具を加熱時、内側面での温度変化を測定したグラフである。
【0059】
図3を参照する時、一般調理加熱器具は30秒後200℃に加熱され、1分後には温度が上昇し、約2分経過後には450℃まで温度が時間によって連続的に上昇することが分かる。
【0060】
これに反して本発明の実施例による調理加熱器具は30秒後145℃で加熱して、1分後には200℃で温度が上昇し、約2分後には250℃で温度が上昇することがわかる。
【0061】
また、約5分が経過した後にも温度は約300℃で維持していることが確認できる。
【0062】
このような結果を基に本発明の実施例による調理加熱器具を利用する場合、温度上昇時間が遅延(delay)されることが確認でき、特に最大昇温温度が350℃で維持され食べ物調理時間を経過する場合にも食べ物が焦げないことが分かる。
【0063】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義された本発明の基本概念を利用して当業者が様々な変更及び改良を行った発明も本発明の権利範囲に属する。

【符号の説明】
【0064】
10:調理加熱器具
20:温度制御層
30:下部温度制御層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食べ物が調理される加熱部を具備する調理加熱器具において、
前記加熱部の一面には温度制御層が形成され、前記温度制御層は膨張黒鉛を含む調理加熱器具。
【請求項2】
前記温度制御層は、膨張黒鉛とフリット系のセラミック物質が混合され形成される
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項3】
前記温度制御層は、膨張黒鉛とフリット系のセラミック物質が10:1〜10:3の重量比で混合され形成される
請求項2に記載の調理加熱器具。
【請求項4】
前記温度制御層は、膨張黒鉛とテフロンが混合され形成される
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項5】
前記膨張黒鉛は、膨張比率が30乃至150倍である
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項6】
前記膨張黒鉛の平均粒度は、0.1〜9μmである
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項7】
前記温度制御層の厚さは、0.2〜10μmである
請求項1に記載の調理加熱器具
【請求項8】
前記調理加熱器具は、フライパン、焼肉鉄板、釜の蓋及び炒め調理器具、パン焼き機、オーブン、トースター、グリルで成り立つグループから選択されるいずれか一つの調理器具である
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項9】
前記温度制御層の上部には、さらにテフロンコーティングが形成された
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項10】
前記調理加熱器具の外側面には、さらに下部温度制御層が形成されており、前記下部温度制御層は0.2〜2μmの厚さで形成されている
請求項1に記載の調理加熱器具。
【請求項11】
黒鉛を250℃〜800℃で熱処理して膨張黒鉛を製造する第1段階;
前記膨張黒鉛を0.1〜9μmの大きさで粉砕する第2段階;及び
前記粉砕された膨張黒鉛にフリット系のセラミック物質を混合し、液体に混ぜた後、調理器具の内側面に噴射して温度調節層を形成する第3段階;を含む調理加熱器具の製造方法。
【請求項12】
フリット系のセラミック物質はNa2Si03,及びA1203-Si02 などから成り立つグループから選択されたいずれか一つの物質である
請求項11に記載の調理加熱器具の製造方法。
【請求項13】
前記第3段階で、前記膨張黒鉛とフリット系のセラミック物質の重量比は10:1〜10:3である
請求項11に記載の調理加熱器具の製造方法。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−135603(P2012−135603A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174910(P2011−174910)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(511195688)
【氏名又は名称原語表記】KO, Young Shin
【住所又は居所原語表記】No. 708−1101, Cheong Sol downtown, Seong Won apartment, Geumgok−dong, Bundang−gu, Seongnam−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】