説明

温度制御装置および温度制御方法

【課題】ペルチェ素子を用いて温度制御対象物に高速な加熱冷却サイクルを与える温度制御装置および温度制御方法を提供する。
【解決手段】温度制御対象物を加熱および冷却する温度制御装置であって、第一および第二の温度制御対象物がそれぞれ配置される一方の面を備えた第一および第二のペルチェ素子と、第一および第二のペルチェ素子の他方の面に跨って熱的接触配置される接続部材と、第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性をそれぞれ制御する第一および第二の通電制御手段と、を備え、第一および第二の通電制御手段により、第一および第二の温度制御対象物が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、接続部材の温度を一定に保つように、第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性を制御することを特徴とする温度制御装置および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子を用いて温度制御対象物に高速な加熱冷却サイクルを与える温度制御装置および温度制御方法に関し、例えばバイオチップのPCR(Polymerase Chain Reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)法に適用できる温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信の分野などでは信号の立上り/立下りをシャープにする技術、すなわち劣化しやすい高周波成分を予め補正しておく技術が用いられてきた(例えば、特許文献1)。
【0003】
PCR法は、反応液に至適な温度サイクルを与えることで選択的にDNAを増幅する方法である。高温に長時間さらされることによるダメージを低減したり、注目する塩基配列のみを増幅して意図しない生成物を抑制したりするには、素早い加熱冷却が望ましい。反応液を微量にして熱容量を小さくすることで高速な加熱冷却が可能になったが、それでも容器(バイオチップ)や装置の熱時定数をゼロにすることはできない。
【0004】
すなわち、装置の温度センサが測定した温度と反応液(温度制御対象物)の実際の温度が異なるため、高速に加熱冷却した場合には応答の遅れが顕著になっていた。つまり、目標値に近づくにつれて加熱冷却速度が遅くなる、温度波形が鈍るという問題が生じていた。このような状態になっている場合の、温度変化の例を示すグラフを図5に示す。温度センサの測定温度が目標の温度(70°Cおよび95°C)に近づくにつれ、反応液の温度変化が鈍くなっているのがわかる。
【0005】
PCRの加熱冷却装置には、小型で可動部分を持たず加熱冷却の両方に使えるペルチェ素子が用いられることが多い。ペルチェ素子の内部構造aは、例えば、図4に示すように、n型半導体a3とp型半導体a4とを金属板a2で接続し、これらn型半導体a3及びp型半導体a4のそれぞれに金属板a11,a12を取り付けて構成されたものである。半導体a3およびa4は、例えば、ビスマステルルなどの大きなペルチェ効果の得られる材料からなる。そして、金属板a11から金属板a12に電流を流すと金属板a2側は冷却され、金属板a12から金属板a11に電流を流すと金属板a2側は加熱される。
【0006】
ペルチェ素子は例えばCPUや半導体レーザの冷却装置として用いられてきた。更に複数のペルチェ素子を組み合わせて、被温度制御物体である高出力半導体レーザを、間歇的に駆動されて急速加熱するときには急速冷却し、駆動されていないときには所定温度に保つ装置も知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この装置においても、大部分の熱を廃棄しており、そのエネルギ効率は改善されていない。
【0007】
【特許文献1】特許第3461108号公報
【特許文献2】特許第3087813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような技術的背景に基づいてなされたもので、ペルチェ素子を利用して高速に温度制御対象物の温度を制御するに際し、小さい入力電流でシャープな温度波形をつくることのできる温度制御方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、温度制御対象物を加熱および冷却する温度制御装置であって、
第一の温度制御対象物が配置される一方の面を備えた第一のペルチェ素子と、
第二の温度制御対象物が配置される一方の面を備えた第二のペルチェ素子と、
前記第一のペルチェ素子の他方の面及び前記第二のペルチェ素子の他方の面に跨って熱的接触配置される接続部材と、
前記第一のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性を制御する第一の通電制御手段と、
前記第二のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性を制御する第二の通電制御手段と、
を備え、
前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記第一および第二の温度制御対象物が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御装置である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第一のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記第一の温度制御対象物を配置する一方の面の温度が、冷却初期において安定冷却期より低くなるように制御することによって、温度制御対象物の温度を直接測定せずに離れた場所で温度を測定していることによる誤差、すなわち容器(バイオチップ)や加熱冷却装置の熱時定数を補正し、第一の温度制御対象物の温度が目標値に近づいても冷却速度を最大に保つことができる。
【0011】
第一のペルチェ素子が第一の温度制御対象物を最大速度で冷却する際、第一のペルチェ素子によって接続部材は最大速度で加熱されるが、接続部材は同時に第二のペルチェ素子によって最大速度で冷却されるので、結果として接続部材の温度は一定に保たれる。すなわち、第一のペルチェ素子の両面の温度差は、従来の方法を用いた場合より小さく保たれるため、目標温度近くで冷却速度を最大に保っても、熱を汲み上げるのに必要な電流値が小さくて済む。
【0012】
なお、温度制御対象物がプラスチックなどの熱伝導率の低い材料で作製された薄い板であって熱的に領域分割されている場合には、第一の被温度制御領域と第二の被温度制御領域に対して加熱と冷却が反対になるように制御すればよい。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、前記接続部材が放熱フィンを有することを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置としたものである。
【0014】
接続部材が放熱フィンを有することにより、ペルチェ素子からの発熱を放熱して前記接続部材の温度を一定に保つことができるという効果がある。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置において、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記第一および第二の温度制御対象物が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御方法としたものである。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置において、熱的に領域分割されている第一の領域と第二の領域とを有する一つの温度制御対象物に対して、
前記第一のペルチェ素子の一方の面に前記温度制御対象物の第一の領域を配置し、
前記第二のペルチェ素子の一方の面に前記温度制御対象物の第二の領域を配置し、
前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記温度制御対象物の第一および第二の領域が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御方法としたものである。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置を2台使用し、温度制御対象物の一方の面に第一の温度制御装置を配置し、温度制御対象物のもう一方の面に第二の温度制御装置を配置して、請求項3または4のいずれかに記載の方法により、温度制御対象物の温度制御を行うことを特徴とする温度制御方法としたものである。
【0018】
温度制御装置を2台使用して温度制御対象物の両面に配置することにより、より熱容量の大きな温度制御対象物に対しても、良好な温度制御を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置に設置された温度センサでの温度ではなく、温度制御対象物それ自体の温度を予測して制御するため、より適切な温度波形をつくることができ、かつ、それぞれのペルチェ素子における両面の温度差が小さく抑えられるため、より小さい入力電流で温度制御対象物を加熱冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、2つのペルチェ素子を使用した温度制御装置であって、温度制御対象物A,Bを配置した状態を示す温度制御装置の斜視図である。温度制御装置は2つのモジュールと、この2つのモジュールに接続された接続部材5から構成されている。第一のモジュールは、第一のペルチェ素子11、熱伝導板12及び温度センサ13から構成されている。また、別のモジュールは、第二のペルチェ素子21、熱伝導板22及び温度センサ23から構成されている。そして、これら第一のペルチェ素子11と第二のペルチェ素子21に跨って熱的接続部材5が接続されている。熱的接続部材5は、銀などの熱伝導性の高い材料で作製されており、第一のペルチェ素子11に接続した位置でその反対面に放熱フィン51を備えており、また、第二のペルチェ素子21に接続した位置でその反対面に放熱フィン52を備えている。放熱フィン51,52及び熱伝導板12,22も熱伝導性の高い材料で作製することが望ましい。なお、図示しない負帰還制御回路が、第一のペルチェ素子11、第二のペルチェ素子21、温度センサ13,23の間に接続されている。
【0021】
この例においては、第一のペルチェ素子11及び第二のペルチェ素子21として、図4に示す内部構造aからなるペルチェ素子を使用し、その金属板a2を熱的接続部材5に接続している。そのため、第一のペルチェ素子11及び第二のペルチェ素子21のいずれにおいても、n型半導体a3側の金属板a11から電流を流すと、熱的接続部材5を冷却し、熱伝導板12,22を介して温度制御対象物A,Bを加熱する。逆に、p型半導体a4の金属板a12から電流を流すと、熱的接続部材5を加熱し、温度制御対象物A,Bを冷却する。
【0022】
本発明では、この温度制御装置を次のように制御する。すなわち、第一の温度制御対象物Aを加熱するとき、目標温度を高く設定しておき加熱後半においてより大きな電流を流し、第一の温度制御対象物Aを冷却するとき目標温度を低く設定しておき冷却後半においてより大きな電流を流す。そのため、温度センサの設置されている熱伝導板の温度は目標温度を超過するが、温度制御対象物Aの温度は、目標値に近づいても失速することなく最大速度を保って加熱冷却される。
【0023】
第一の温度制御対象物Aを加熱するとき、同時に第二の温度制御対象物Bを冷却し、第一の温度制御対象物Aを冷却するとき、同時に第二の温度制御対象物Bを加熱する。第一の温度制御対象物Aを冷却するとき、ペルチェ素子のフィン側の面はその反作用で加熱される。一部の熱はフィン51から放熱され、一部の熱は接続部材5に流れる。同時に、第二の温度制御対象物Bを加熱するとき、ペルチェ素子21の熱的接続部材5側の面はその反作用で吸熱される。すなわち、熱的接続部材5に熱的に接続されたペルチェ素子11と21を逆位相で駆動するとき、熱的接続部材5の温度変化は小さく抑えられる。
【0024】
図1の例では、第一のペルチェ素子11のp型半導体a4側の金属板a12から電流を流して第一の温度制御対象物Aを加熱し、同時に第二の温度制御対象物Bを冷却する。このとき、熱的接続部材5は、第一のペルチェ素子11による冷却と第二のペルチェ素子21による加熱で一定温度に保たれる。
【0025】
また、第一のペルチェ素子11のn型半導体a3側の金属板a11から電流を流して第一の温度制御対象物Aを冷却し、同時に第二のペルチェ素子21のp型半導体a4の金属板a12から電流を流して第二の温度制御対象物Bを加熱する。このとき、熱的接続部材5は、第一のペルチェ素子11による冷却と第二のペルチェ素子による加熱で一定温度に保たれる。
【0026】
そして、第一のペルチェ素子11に交流電流を流し、第二のペルチェ素子21に、これとは逆位相の交流電流を流すと、熱的接続部材5は一定温度に保たれ、第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bは加熱と冷却を周期的に繰り返す。このような交流電流は、図示しない負帰還回路を使用して、目標設定された加熱冷却サイクルと、系による補正値を基に、それぞれの温度センサ13,23で検出された温度から負帰還制御する。
【0027】
なお、仮に、第一のペルチェ素子11と第二のペルチェ素子21を熱的接続部材5に接続し、第一のペルチェ素子11と第二のペルチェ素子21に同位相の交流電流を流すと第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bは加熱と冷却を周期的に繰り返す。
【0028】
次に、図3(a)は温度制御装置を2台使用する温度制御方法を示す斜視図であり、図3(b)はその正面図である。この方法では温度制御装置を2台使用し、この2台の温度制御装置の間に第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bを挟んで温度制御する。
【0029】
すなわち、図3に示すように、その一方の温度制御装置は第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bの上方に配置されている。図中、11および21は一方の温度制御装置のペルチェ素子を示している。また、他方の温度制御装置は第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bを挟んでその下方に配置されている。図中、31および41は他方の温度制御装置のペルチェ素子を示している。これら2台の温度制御装置はいずれも、それぞれ熱的接続部材5および6を一定温度に保つように駆動される。
【実施例1】
【0030】
図1に示す温度制御装置を使用し、第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bとして24mm×24mm×1.5mmのポリカーボネイトを使用して、ポリカーボネイトの中央が72℃と95℃の間で加熱冷却を繰り返すように、ペルチェ素子11及び21に交流電流を流した。電流の大きさとしては、図2に示すように、第一の温度制御対象物Aを加熱するとき加熱後半においてより大きな電流を流し、第一の温度制御対象物Aを冷却するとき目標温度を冷却後半においてより大きな電流を流した。反応液が至適な温度に達すれば反応が瞬間的に起きるとして安定加熱冷却時間はゼロ、すなわち目標温度波形は、台形波ではなく鋸波とした。電流の向きとしては、ペルチェ素子11と21とで逆位相の交流電流を流した。なお、熱的接続部材5としては金属で熱伝導率が最も高い銀を用いた。
【0031】
この結果、加熱冷却を1サイクル回すのに必要なエネルギは34.2Jであった。比較のため、目標値に近づくと加熱冷却速度が失速するような、予測制御を行わない場合の従来の電流値を同位相で流して加熱冷却を繰り返したところ、1加熱冷却サイクル回すのに必要なエネルギは39.8Jであった。また、比較のため、温度制御対象物においてシャープな温度波形となるように、加熱冷却の後半においてより大きな電流値を同位相で流して加熱冷却を繰り返したところ、1加熱冷却サイクル回すために42.0J、すなわち従来より約5%多くの入力エネルギが必要であった。それに対して、本発明の方法を用いた場合には、従来の入力電流を同位相で流した場合に比較して、温度制御対象物A,Bに対してシャープな温度波形を与えながらも、すなわち常時高速に加熱冷却しながらも、約14%エネルギ効率が向上していることが確認できた。
【実施例2】
【0032】
温度制御対象物として、2つの被温度制御領域をもつ52mm×24mm×1.5mmのポリカーボネイトを使用して、それぞれの被温度制御領域が72℃と95℃の間で加熱冷却を繰り返すように、ペルチェ素子11及び21に交流電流を流した。ポリカーボネイトの熱伝導率は十分に低く、温度制御対象物は板形状でその厚さは十分に薄いため、それぞれの被温度制御領域は熱的に分断されている。電流の大きさとしては、第一の温度制御対象物領域を加熱するとき加熱後半においてより大きな電流を流し、第一の温度制御対象物領域を冷却するとき目標温度を冷却後半においてより大きな電流を流した。電流の向きとしては、ペルチェ素子11と21とで逆位相の交流電流を流した。なお、熱的接続部材5としては金属で熱伝導率が最も高い銀を用いた。
【実施例3】
【0033】
図3に示すように、第一の温度制御対象物A及び第二の温度制御対象物Bを2台の温度制御装置で挟んだ。これら2台の温度制御装置は実施例1の温度制御装置と同じものである。また、第一の温度制御対象物A及びBも実施例1と同じものを使用した。そして、それぞれの温度制御装置を実施例1と同様に駆動して加熱冷却を繰り返した。
【実施例4】
【0034】
熱的な接続部材として放熱フィンを有するものを用いた。ペルチェ素子は熱を強制的に移動させるヒートポンプであるが、ペルチェ素子自体の発熱があるため、加熱と冷却は対称的にはならないためである。第一の温度制御対象物A及びBは実施例1と同じものを使用し、温度制御装置を実施例1と同様に駆動して加熱冷却を繰り返した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ペルチェ素子を用いて温度制御対象物に高速な加熱冷却サイクルを与える用途に適用できる。例えば、バイオチップのPCRに適用できる。

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の温度制御方法において使用される装置の例を示す斜視図
【図2】本発明の温度制御方法における温度変化の例を示すグラフ
【図3】図3(a)本発明の温度制御装置の例を示す斜視図、図3(b)その正面図
【図4】ペルチェ素子の内部構造aを示す斜視図
【図5】従来の温度制御方法における温度変化の例を示すグラフ
【符号の説明】
【0037】
11,21,31,41・・・ペルチェ素子
12,22・・熱伝導板
13,23・・温度センサ
5,6・・・・熱的接続部材
51,52,61,62・・放熱フィン
A,B・・・・温度制御対象物
a・・・・・・ペルチェ素子の内部構造
a2・・・・・金属板
a3・・・・・n型半導体
a4・・・・・p型半導体
a11,a22・・金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御対象物を加熱および冷却する温度制御装置であって、
第一の温度制御対象物が配置される一方の面を備えた第一のペルチェ素子と、
第二の温度制御対象物が配置される一方の面を備えた第二のペルチェ素子と、
前記第一のペルチェ素子の他方の面及び前記第二のペルチェ素子の他方の面に跨って熱的接触配置される接続部材と、
前記第一のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性を制御する第一の通電制御手段と、
前記第二のペルチェ素子に流す電流の振幅と極性を制御する第二の通電制御手段と、
を備え、
前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記第一および第二の温度制御対象物が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記接続部材が放熱フィンを有することを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置において、
前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記第一および第二の温度制御対象物が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御方法。
【請求項4】
請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置において、熱的に領域分割されている第一の領域と第二の領域とを有する一つの温度制御対象物に対して、
前記第一のペルチェ素子の一方の面に前記温度制御対象物の第一の領域を配置し、
前記第二のペルチェ素子の一方の面に前記温度制御対象物の第二の領域を配置し、
前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の振幅を、前記温度制御対象物の第一および第二の領域が配置される側の面の温度が冷却初期においては安定冷却期よりも低く、加熱初期においては安定加熱期よりも高くなるように、かつ、前記第一および第二のペルチェ素子に流す電流の極性を前記接続部材の温度を一定に保つように、前記第一および第二の通電制御手段により制御することを特徴とする温度制御方法。
【請求項5】
請求項1または2のいずれかに記載の温度制御装置を2台使用し、温度制御対象物の一方の面に第一の温度制御装置を配置し、温度制御対象物のもう一方の面に第二の温度制御装置を配置して、請求項3または4のいずれかに記載の方法により、温度制御対象物の温度制御を行うことを特徴とする温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−263860(P2008−263860A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111711(P2007−111711)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】