説明

温感パップ剤

支持体2と、該支持体2の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層1とを備え、前記粘着剤層1が、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールを含有する温感パップ剤10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体と粘着剤層とを備えた温感パップ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貼付剤の粘着剤層中において温感を付与するための薬物としてカプサイシンに代表される温感付与物質が使用されており、例えば、特開2000−143507号公報、特開平6−256183号公報、特開平10−298065号公報に記載されている。このような温感付与物質は、貼付剤使用時に温感を十分に持続させるため、比較的多くの量を貼付剤の粘着剤層中に配合する必要があった。しかしながら、このように温感付与物質を粘着剤層中に多量に配合すると、貼付剤を剥離した後においても皮膚刺激が残存する、いわゆる残刺激性の問題があった。
【0003】
特に、カプサイシンは残刺激性が強く、カプサイシンを含有する含水性貼付剤を皮膚に適用した後に入浴した場合には、その残刺激性(皮膚を刺すようなヒリヒリした感覚)は非常に耐え難いものであった。このため、貼付剤においてカプサイシンの温感効果が十分に得られ、かつ残刺激性の低減されたカプサイシン含有含水性貼付剤が望まれていた。
【0004】
一方、特開平11−199522号公報においては、カプサイシンに対して所定量の清涼化剤であるL−メントールを配合した皮膚外用剤が開示されている。しかしながら、L−メントールを配合した皮膚外用剤においてもカプサイシンによる残刺激性の問題は残存しており、また、L−メントールの清涼化作用と相まって相対的にカプサイシンの温感効果は向上するものの却って残刺激性は強くなる傾向があった。このように、残刺激性が十分に低減された温感パップ剤は未だ得られていなかった。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分な温感効果が得られ、かつ、適度な温感効果に伴う心地よい刺激の持続性を一層増強せしめると共に残刺激性が十分に低減された温感パップ剤を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、温感パップ剤の粘着剤層にL−メントール及びポリエチレングリコールを配合することにより、L−メントールの清涼化作用と相まって相対的にカプサイシン等の温感付与物質による温感効果が向上し、またポリエチレングリコールにより適度な温感効果に伴う心地よい刺激の持続性が一層増強され、さらに驚くべきことに、貼付剤の使用中においては上述した効果が得られるにもかかわらず、剥離後においてはポリエチレングリコールが残刺激低減剤として機能し、カプサイシン等の温感付与物質による残刺激性を十分に低減させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。また、温感パップ剤の粘着剤層にL−メントール及びポリエチレングリコールを配合することは、粘着剤の製造適性という点からも優れていることが判明した。
【0007】
すなわち、本発明の温感パップ剤(温感含水性貼付剤)は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層が、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールを含有するものである。
【0008】
温感付与物質としては、カプサイシン、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン、カプサイシノイド、カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニリルアミド(N−アシルワニルアミド)、ノニル酸ワニリルアミド(ノニル酸ワニルアミド)及びバニリルアルコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる温感付与物質が適用できる。
【0009】
上記本発明の温感パップ剤は、粘着剤層の全量を基準として、温感付与物質を0.001〜0.1質量%、L−メントールを0.01〜5質量%、及びポリエチレングリコールを3〜25質量%それぞれ含有することが好ましい。
【0010】
また、ポリエチレングリコールの分子量は200〜4000がよく、粘着剤層には、更に非ステロイド系抗炎症剤を含有させてもよい。
【0011】
本発明の温感パップ剤において使用される支持体は、熱可塑性樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの両面にそれぞれ配置された織布又は不織布からなる繊維シートとを備えた3層構造の支持体であることが好ましい。
【0012】
また、支持体は、500〜6000g/m/24hrの透湿度(水蒸気透過性)を有するものであることが好ましい。上記範囲の透湿度を満たす支持体を用いることで、温感付与物質による温感を適切な強度に調整することが可能となり、上述した心地よい刺激をさらに向上させることが可能である。なお、上記透湿度(水蒸気透過性)は、JIS Z 0208に規定される方法に準じて測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の温感パップ剤の一実施形態を示す模式断面図である。
図2は、本発明の温感パップ剤の他の実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の温感パップ剤の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の温感パップ剤の実施形態を示す模式断面図である。図1に示す温感パップ剤10は、支持体2と、支持体2の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層1とを備え、粘着剤層1が、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールを含有する。
【0015】
温感付与物質としては、カプサイシン(N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−8−メチル−6−ノネンアミド);ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン、カプサイシノイド、カプシコシド等のカプサイシン類似体;トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来の温感付与物質;ニコチン酸ベンジル;ニコチン酸β−ブトキシエチル;N−アシルワニリルアミド(N−アシルワニルアミド)、ノニル酸ワニリルアミド(ノニル酸ワニルアミド);バニリルアルコールアルキルエーテル(アルキルエーテル部分のアルキル炭素数は1〜6が好ましい。)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、トウガラシ由来の温感付与物質は通常カプサイシンを含有する。また、温感付与物質は塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)を形成していてもよい。
【0016】
上記の温感付与物質の中では、カプサイシン又はトウガラシ由来の温感付与物質が好ましい。
【0017】
このような温感付与物質を貼付剤10の粘着剤層1中に含有させることにより、皮膚が刺激を受け、温感効果が得られると共に血流促進効果が向上し、温和な刺激が長時間持続する。
【0018】
温感付与物質の配合量は特に制限されないが、粘着剤層1の全量を基準として、温感付与物質が0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.005〜0.03質量%であることがより好ましく、0.01〜0.03質量%であることが更に好ましい。薬物の配合量が上記下限値未満であると温感付与物質による皮膚への刺激が十分に得られず、温感効果及び血流促進効果が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると貼付剤使用時における皮膚への刺激が過剰となり皮膚刺激性及び貼付剤剥離後における残刺激性が顕著となる傾向にある。
【0019】
薬物として使用されるL−メントールは、モノテルペンアルコールの一種であり、はっか油中の主成分である。このようなL−メントールはひんやり爽快な使用感で肌をすっきりとさせる効能があり、温感付与物質と併用することにより、温感付与物質の温感効果をより向上させることができる。
【0020】
L−メントールの配合量は特に制限されないが、粘着剤層1の全量を基準として、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが更に好ましい。L−メントールの配合量が、上記下限値未満であると、温感付与物質と併用することによる温感向上の相乗効果が不十分となる傾向にある。他方、上記上限値を超えると長期保存した場合に結晶が析出する場合があり、またコスト高となり得る。
【0021】
温感パップ剤の粘着層にはポリエチレングリコールが含まれている。このように、ポリエチレングリコールを残刺激低減剤として使用することが本発明の特徴の一つである。ポリエチレングリコールは、エチレングリコールの重合体でありポリエーテルに分類される。ポリエチレングリコールは、一般にはエチレンオキサイドの重合により製造され、両末端は一般にヒドロキシル基となっている。
【0022】
ポリエチレングリコールをパップ剤の粘着剤層1中に含有させることにより、温感付与物質による適度な温感効果に伴う心地よい刺激の持続性が一層増強され、それにもかかわらず剥離後においては温感付与物質による残刺激性を十分に低減させることができる。
【0023】
ポリエチレングリコールとしては、平均分子量が200〜4000のものが好ましい。平均分子量は、200〜1500がより好ましく、200〜600が更に好ましく、200以上500未満が特によい。平均分子量が200未満であると、心地よい刺激の持続性、及び残刺激性の低減効果が十分に得られにくくなる傾向にある。他方、上記それぞれの上限値を超えると、作業性が悪くなるとともに、心地よい刺激の持続性、及び残刺激性の低減効果が十分に得られにくくなる。なお、ポリエチレングリコールは、第一工業製薬、旭電化工業、三洋化成工業、日本油脂等から入手可能である。
【0024】
ポリエチレングリコールの配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、3〜25質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。配合量が上記下限値未満であると、貼付剤剥離後における残刺激性の低減効果、特に入浴などに伴う体温上昇時のヒリヒリ感の低減効果が不十分となる傾向にあり、上記上限値を超えると粘着剤層の粘着性が不十分となる傾向がある。
【0025】
温感パップ剤10における粘着剤層1は、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールに加えて、パップ剤の骨格をなす水溶性高分子、吸水性高分子、水でゲル化する高分子等の親水性高分子と水とを含有する。これら以外にも、多価アルコール、多価金属塩、界面活性剤等のパップ剤の粘着剤層に一般的に配合され得る諸成分を含有してもよい。
【0026】
親水性高分子は、粘着剤層の基剤として機能し、例えば、ゼラチン、ポリアクリル酸又はその塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩)、あるいは部分中和物、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられ、各々単独あるいは2種以上を配合して使用することが可能である。この中でも特に、ゼラチン、ポリアクリル酸又はその塩、あるいは部分中和物及びポリビニルアルコールを各々単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることにより、粘着性及び保型性が良好である貼付剤を得ることが可能となる。
【0027】
親水性高分子の配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、5〜25質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがより好ましく、10〜15質量%であることが更に好ましい。配合量が上記下限値未満の場合は、粘着力が不十分となり剥がれやすくなる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると、粘着力が強くなりすぎるために剥離時に痛みを伴う等の使用感に問題を生じる傾向にある。また、配合量は、製剤の粘着性や凝集性、保型性、吸水能、膏体の不均一化、作業の低下、使用感の低下、製造中の粘性等を考慮して適宜決定されることが好ましい。
【0028】
粘着剤層に含まれる水としては、精製水や滅菌水、天然水等を用いることができる。水は、親水性高分子その他の成分の分散・溶解剤として働くものである。特に、後述する保湿剤として機能するグリコール類および多価アルコールを製剤中均一に分散・溶解させるために重要である。更に、水自身も使用時および使用後の使用感を著しく向上させ、また保湿成分とともに皮膚へ移行し潤いやハリを与えるなどの効果をもたらすものである。
【0029】
水の配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、30〜95質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることが更に好ましい。配合量が上記下限値未満であると、作業性の低下やコスト高となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると保型性を保つことが困難となる傾向にある。また、配合量は、製剤の粘着性、使用前における保水性の低下、作業性の低下、使用時における使用感の低下、使用前における保型性等を考慮して決定される。
【0030】
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトールが挙げられる。この中でも特にグリセリンが作業性や使用感等が良好である点で好ましい。
【0031】
多価アルコールの配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、5〜45質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが更に好ましい。配合量が、上記下限値未満であると、貼付時に製剤中の水分が揮散しやすくなり、粘着力が低下し剥がれやすくなる傾向があり、他方、上記上限値を超えると、粘着力のさらなる増強が得られないため不経済となる傾向にある。
【0032】
上記多価金属塩としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、カオリン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。この中でも特に、合成ケイ酸アルミニウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましい。
【0033】
多価金属塩の配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。配合量が上記下限値未満であると、反応が十分に進行せずゲル強度が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると、製造時における反応速度が早過ぎてゲル化が不均一となり、作業性が不十分となる傾向にある。
【0034】
また、ゲル化の速度調製剤として、金属イオンに対してキレート作用を持つEDTA、酢酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などの有機酸、EDTA−2ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、などの有機酸塩、有機塩基などを配合してもよい。
【0035】
上記界面活性剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、ノルマルドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミネート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン等の非イオン界面活性剤が配合することが可能である。この中でも特に、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0036】
界面活性剤の配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、0.05〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1.5質量%であることがより好ましく、0.4〜1.0質量%であることが更に好ましい。配合量が上記下限値未満であると、ブリードを起こしやすくなる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると保型性を保つことが困難となる傾向がある。
【0037】
更に、本発明においては、必要に応じて、美肌成分、非ステロイド系抗炎症剤、保湿成分、酸化防止剤、架橋剤、防腐剤、粘着付与剤、溶解剤、色素、香料、紫外線吸収剤、無機充填剤及びpH調整剤等を配合することも可能である。
【0038】
上記美肌成分としては、水溶性プラセンタエキス、アラントイン、レシチン、アミノ酸類、コウジ酸、コウジ酸誘導体(好ましくは炭素数5〜20のアルキル基が付加されたコウジ酸誘導体)、タンパク質、ホルモン類、各種生薬エキス(アロエ、ヘチマ、カンゾウ等のエキス)、海草エキス、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等)、カフェイン、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリプロリジン、メキタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェン、アリルスルファターゼB、ブフェキサマック、ベンダザック、フルフェナム酸ブチル、イブプロフェン、インドメタシン、アスピリン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、2−ピリジンメチルフェナム酸、5,6−デヒドロアラキドン酸、エスクレチン、ユーバチリン、4−デメチルユーバチリン、カフェイン酸、ベノキサプロフェン等が好適に使用され、中でも水溶性プラセンタエキス、アラントインが特に好ましい。
【0039】
上記非ステロイド系抗炎症剤としては、インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ピロキシカム、ロキソプロフェン、イブプロフェンピコノール、ジクロフェナクナトリウム等が好適に使用される。
【0040】
上記保湿成分としては、アシル化ケフィラン水溶液、麦芽エキス、グリコール類をそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることが可能である。これらの配合量は特に制限されないが、粘着剤層1の全量を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜25質量%である。配合量は、製剤の粘着性や凝集性、使用前における保水性および保型性の低下、ゲルの不均一化、作業性の低下および使用時の使用感の低下等を考慮して決定されることが好ましい。
【0041】
また、上記グリコール類においては、ポリエーテルの構造を有するグリコール類である、平均分子量が500〜3000のポリプロピレングリコールが好ましい。
【0042】
上記酸化防止剤としては、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE等を配合することが可能である。
【0043】
上記架橋剤としては、水難溶性アルミニウム化合物、多官能性エポキシ化合物、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属又は金属化合物等の無機系架橋剤をそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることが可能である。
【0044】
上記防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルを用いることが可能である。
【0045】
上記粘着付与剤としては、カゼイン、プルラン、寒天、デキストラン、アルギン酸ソーダ、可溶性デンプン、カルボキシデンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルエーテル、マレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール部分ケン化物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、N−ビニルアセトアミド等を配合することが可能である。
【0046】
上記溶解剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、クロタミトン、ハッカ油等が挙げられる。この中でも、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。これらの配合量は、粘着剤層1の全量を基準として、0.2〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜2質量%、特に好ましくは0.8〜1.5質量%である。
【0047】
上記色素としては赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)等の法定色素を配合することが可能である。色素については特に限定されないが、製剤イメージに大きく影響を与え、使用感や肌の活性化感の向上につながるものである。
【0048】
上記香料としては、ハッカ油、ケイヒ油、チョウジ油、ウイキョウ油、ヒマシ油、テレピン油、ユーカリ油、オレンジ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、レモングラス油等やローズマリー、セージ等の植物抽出物等を配合することが可能である。
【0049】
上記紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メチル、ウンベリフェロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等を配合することが可能である。
【0050】
上記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタンを用いることが可能である。
【0051】
上記pH調整剤としては、酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、クエン酸バッファー、リン酸バッファー、グリシンバッファー、酢酸バッファーその他の緩衝液等を配合することが可能である。
【0052】
前述の各成分を適宜適量配合した混合液(膏体)のpH値は、皮膚に刺激を与えないように配慮することが望まれ、混合液のpHが4〜8であることが好ましく、5〜7の範囲であることがより好ましい。
【0053】
上記の美肌成分、保湿成分、酸化防止剤、架橋剤、防腐剤、粘着付与剤、溶解剤、色素、香料、紫外線吸収剤、無機充填剤及びpH調整剤のそれぞれの配合量は特に制限されないが、これらの添加物の合計量は、粘着剤層1の全量を基準として5〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
【0054】
上述した粘着剤層1は支持体2上に配置されるものであり、温感パップ剤10に用いられる支持体2としては、粘着剤層1を支持し得るものであればよく、伸縮性又は非伸縮性の支持体を用いることができ、具体的には、繊維シート又は樹脂フィルム等を用いることが可能である。中でも、水蒸気透過性を有する織布又は不織布からなる繊維シートが好ましい。このような繊維シートの支持体を用いると、貼付時に患部と貼付剤との間に貯留した汗を効果的に発散させることができ、汗によるムレや皮膚刺激を防止することが可能となる。
【0055】
支持体2としては、具体的には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムシート、ナイロン、アクリル、綿、レーヨン、アセテート等の合成繊維又は天然繊維、あるいはこれらの繊維を複合して織布又は不織布とした繊維シート、さらにはこれらと水蒸気透過性を有するフィルムとの複合素材等からなる繊維シートが挙げられる。
【0056】
これらの中でも、安全性、汎用性及び伸縮性の点から、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる織布又は不織布の繊維シートが好ましく、ポリエチレンテレフタレートからなる織布又は不織布の繊維シートがより好ましい。このような繊維シートは厚みのあるものであっても、柔軟性を有し、皮膚に追従しやすく、皮膚刺激性の低いものである。さらに、繊維シートを用いることにより適度な自己支持性を有する貼付剤を得ることが可能である。
【0057】
支持体2の厚みは、400〜2000μmが好ましく、より好ましくは600〜1000μmである。厚みが上記下限値未満の場合は、投錨性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると、貼付時に違和感を生じる傾向にある。
【0058】
また、支持体2の透湿度は、500〜6000g/m/24hrであることが好ましく、2000〜6000g/m/24hrであることがより好ましく、3000〜5000g/m/24hrであることがさらに好ましい。支持体の透湿度が下限値未満であるとムレやかぶれの原因となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えるとODT効果による適度な保湿効果が得られにくくなる傾向にある。なお、上記透湿度(水蒸気透過性)は、JIS Z 0208に規定される方法に準じて測定することが可能である。
【0059】
次に、温感パップ剤として好適な、3層構造の支持体を備える温感パップ剤について、図2に示す模式断面図を参照しながら説明する。
【0060】
図2に示す温感パップ剤20は、熱可塑性樹脂フィルム2bと、この両面にそれぞれ配置された織布又は不織布からなる繊維シート2aとを備えた3層構造の支持体2の一方の面上に、粘着剤層1を設けたものである。
【0061】
繊維シート2aとしては、上述した繊維シートと同様のものを用いることが可能である。繊維シート2aは、目付(単位面積当たりの重量)10〜200g/mであるものが好ましく、目付50〜150g/mであるものがより好ましい。目付が上記下限値未満のものは、貼付剤の取扱性が不十分であるだけでなく、クッション性に乏しく異物感の改善も不十分となる傾向にある。他方、上記上限値を超えるものは、クッション性は大きくなるものの全体的に固くなり、皮膚刺激が大きくなる傾向にある。
【0062】
また、前記繊維シート2aの厚みは、10〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。厚みが上記下限値未満の場合は、投錨性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると、貼付時に違和感を生じる傾向にある。
【0063】
熱可塑性樹脂フィルム2bとしては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、特にポリエステル又はポリエチレンからなる樹脂フィルムが好ましい。
【0064】
熱可塑性樹脂フィルム2bを用い支持体2を3層構造とすることにより、支持体2中へ薬物が移行することによる薬物の損失がほとんどなく、貼付剤を皮膚へ貼付した際には密封による適度なODT(密封包袋法)効果及び適度な保温効果を有する貼付剤20を得ることが可能となる。
【0065】
熱可塑性樹脂フィルム2bの厚みは、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。厚みが前記下限値未満であると貼付剤を作製した際に自己支持性を維持できず貼りにくくなる傾向があり、また薬物のバリア性が低く密封効果が不十分となる場合がある。他方、上記上限値を超えると貼付部位への追従性が不十分となり違和感を生じやすくなり、また貼付部位を傷つけやすくなる傾向にある。
【0066】
3層構造の支持体2を備えた貼付剤20は、適度な自己支持性を有し、腰痛、筋肉痛等の患部を支持固定することが可能となる。また、取扱性に優れると共に、粘着剤層1中に含有させた薬物の支持体2背面(粘着剤層1が付着している面の反対側の面)からの薬物透過が防止でき、皮膚への貼付後における密封保温効果によって温感付与物質による温感効果が著しく向上する。
【0067】
更に、この貼付剤20により密封された部位は、貯留した皮膚水分により角質層が軟化膨潤し、皮膚のバリア性が低下することにより温感付与物質や薬物の経皮吸収が著しく増大する。
【0068】
3層構造の支持体2の厚みは、100〜1200μmが好ましく、より好ましくは300〜900μmである。厚みが上記下限値未満の場合は投錨性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると貼付時に違和感を生じる傾向にある。
【0069】
また、3層構造の支持体2の透湿度は、500〜6000g/m/24hrであることが好ましく、2000〜6000g/m/24hrであることがより好ましく、3000〜5000g/m/24hrであることがさらに好ましい。支持体の透湿度が下限値未満であるとかぶれや膏体ダレが発生する傾向にあり、他方、上記上限値を超えるとODT効果による適度な保湿効果が得られなくなる傾向にある。
【0070】
3層構造の支持体2の製造方法としては、2枚の繊維シート2aの間に液状の熱可塑性樹脂を流し込み、熱可塑性樹脂が固化する前にロールに通しラミネートすることにより薄く展延して、その後、熱可塑性樹脂が固化させて2枚の不織布又は織布からなる繊維シート2aを熱可塑性樹脂に接着させる方法が挙げられる。これにより、樹脂フィルム2bと繊維シート2aからなる3層構造の支持体2が得られる。
【0071】
また、支持体の色は特に限定されないが、使用感や肌の活性化感の向上につながるため、白色、肌色、黄色、赤色、橙色、緑色、ピンク色、水色等に着色しておくことが好ましい。
【0072】
次に、温感パップ剤の製造方法について説明する。温感パップ剤10,20は、上記支持体2の少なくとも一方の面上に上述の粘着剤層1を配置したものであるが、粘着剤層1を支持体2上に配置する方法は特に制限されない。例えば、薬物、粘着剤層に一般的に配合され得る諸成分、及び必要に応じて添加される上述した他の成分の混合物を攪拌機中で混合し、均一な混合物を得る。これを支持体2上に塗工又は展延することによって温感パップ剤10,20を得ることができる。
【0073】
ここで、温感パップ剤は、図1,2に示すように1層の粘着剤層を備えるものであってもよく、また、薬物の皮膚透過性を損なわない限りにおいて2層以上の粘着剤層(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0074】
また、粘着剤層1の膜厚は特に制限されないが、20〜200μmであることが好ましい。粘着剤層1の膜厚が上記下限値未満であると薬物の皮膚透過性が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限値を超えると貼付後に粘着剤が皮膚に付着したまま残存してしまう現象(粘着剤残り)が起こりやすくなる傾向にある。
【0075】
また、貼付剤10,20が粘着剤層1上に離型紙(図示せず)を更に備える場合には、上記混合物を離型紙に塗工した後、塗工面上に支持体2を貼り合わせ、又は上記混合物を支持体2上に塗工した後、塗工面上に剥離紙を貼り合わせることによって、離型紙を備える貼付剤を得ることができる。
【0076】
このように貼付剤10,20が離型紙を更に備える場合、かかる離型紙としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム、上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が挙げられる。これらの剥離紙においては、粘着剤層1と接触する側の面にシリコーン処理を施すと、貼付剤10,20から離型紙を剥離する際の作業容易性が高められるので好ましい。
【0077】
このようにして得られる温感パップ剤10,20は、適宜所定の形状に裁断して用いることが好ましい。すなわち、体の部分的な箇所に用いることを目的として、胸用、背中用、腕用、足用、腰用、肩用等のように目的の部位にうまく適用できる形状に加工することができる。なお、貼付剤は、保存中の汚染、揮発性物質の蒸散等による効果の減少等を防止する観点から使用時まで密封性の袋または容器に保存しておくことが望ましい。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
【実施例1】
【0079】
精製水55.55%、ゼラチン3%、ポリアクリル酸3%、ポリアクリル酸部分中和物3%、ポリビニルアルコール2%、合成ケイ酸アルミニウム1%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.3%、ポリオキシエチレンモノステアレート0.5%、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.3%、メチルパラベン0.2%、グリセリン20%、ポリエチレングリコール10%、L−メントール1.0%、及び、10%トウガラシエキス0.15%が均一に分散・溶解するまで攪拌することにより、粘着剤層1となる塗工液を得た。なお、塗工液におけるカプサイシンの配合量は0.015%であった。また、ポリエチレングリコールには、分子量400のマクロゴール400を用いた。
【0080】
次に、塗工液を1000g/mになるように支持体2上に展延し、フィルムを貼着した。その後、10cm×14cmに裁断し、シート状の温感パップ剤を得た。
【0081】
なお、実施例1で用いた支持体2の組成は、ポリエステル不織布(目付50g/m)/ポリエチレンフィルム(厚さ15μm)/ポリエステル不織布(目付50g/m)の3層構造の支持体であり、透湿度は3800g/m/24hrであった。また、透湿度はJIS Z 0208に規定される方法に従い、温度40℃、相対湿度90%で測定した。
(比較例1)
【0082】
実施例1における塗工液においてグリセリンの配合量を30%に変更し、ポリエチレングリコールを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により温感パップ剤を得た。
(比較例2)
【0083】
実施例1における塗工液においてポリエチレングリコールの代わりに、ソルビトール70%水溶液を10%配合した以外は、実施例1と同様の方法により温感パップ剤を得た。
(比較例3)
【0084】
実施例1における塗工液においてポリエチレングリコールの代わりに、流動パラフィンを10%配合した以外は、実施例1と同様の方法により温感パップ剤を得た。
(試験例1:残刺激性試験)
【0085】
実施例1及び比較例1〜3で得られた温感パップ剤を用いて、残刺激性試験を以下のようにして行った。まず、成人30名(パネラー)の腰にそれぞれの貼付剤を貼付し、その状態を8時間にわたり維持させた。次に、貼付剤を剥離し、更に1時間経過後に全てのパネラーを入浴させた。
【0086】
入浴時におけるそれぞれの貼付剤を使用した部分のヒリヒリ感を、以下に示すヒリヒリ感の強さの基準:
5 なし
4 少し感じる
3 ある
2 強いが我慢できる
1 我慢できない
で全てのパネラーに評価してもらい、評価結果の平均値によって残刺激性を評価した。得られた結果を表1に示す。

【0087】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1で得られた温感パップ剤は残刺激性が十分に低減されたものであり、温感パップ剤剥離後において快適な入浴が可能となることが確認された。一方、比較例1〜3の温感パップ剤を使用した場合には残刺激性の問題があり、パネラーの中には入浴時のヒリヒリ感が我慢できないパネラーの存在もあることが確認された。なお、貼付時における実施例1で得られた温感パップ剤は、温感、清涼感、及びそれらの持続性の点においても良好なものであった。
【0088】
このように数ある刺激低減剤の中でも、ポリエチレングリコールは残刺激性を十分に低減させる残刺激低減剤として特に好適であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明によれば十分な温感効果が得られ、かつ、適度な温感効果に伴う心地よい刺激の持続性を一層増強せしめると共に残刺激性が十分に低減された温感パップ剤が得られる。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層が、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールを含有する、温感パップ剤。
【請求項2】
前記温感付与物質が、カプサイシン、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン、カプサイシノイド、カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニリルアミド、ノニル酸ワニリルアミド及びバニリルアルコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる温感付与物質である、請求項1記載の温感パップ剤。
【請求項3】
前記粘着剤層の全量を基準として、前記温感付与物質を0.001〜0.1質量%、前記L−メントールを0.01〜5質量%、及び前記ポリエチレングリコールを3〜25質量%それぞれ含有する、請求項1又は2記載の温感パップ剤。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコールの分子量が200〜4000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の温感パップ剤。
【請求項5】
前記粘着剤層が更に非ステロイド系抗炎症剤を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の温感パップ剤。
【請求項6】
前記支持体が、熱可塑性樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの両面にそれぞれ配置された織布又は不織布からなる繊維シートとを備えた3層構造の支持体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の温感パップ剤。
【請求項7】
前記支持体の透湿度が500〜6000g/m/24hrである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の温感パップ剤。

【国際公開番号】WO2004/047820
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555065(P2004−555065)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015176
【国際出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】